A two ports UWB antenna is designed, fabricated and measured. This antenna is designed to which has two excitation ports with 1st port structure as half circle and 2nd port is a rectangular. The simulation of this proposed antenna uses the commercial software CST (Computer Simulation System) to design and optimization. The prototype antenna is built on the printed circuit board (FR4) which has dimensions of 80×70 mm and the thickness of FR4 is 0.775 mm. For measurement of antenna, the operation frequency is cover entire UWB band (3-10.6 GHz) at port 1 and HIPERLAN/2 (5.2 GHz) at port 2. Furthermore, the measured gain is over 2 dbi and measured correlative coefficient is below 0.5 entire frequency ranges. Consequently, this proposed antenna is practical for several UWB and HIPERLAN/2 application.

In this research, we developed a 5.8-GHz magnetron phased array for high power microwave power transmission. In order to stabilize the oscillation frequency and phase of 5.8-GHz magnetrons, we utilized an injection locking method, which was proposed in previous research and successfully stabilized the magnetrons output. We designed a closed loop-controlled direction of arrival estimation system as well. By utilizing the second harmonic reflection to send feedback signal, external power for the receiver is not needed in this system.

This paper presents on a miniaturized planar sensor for characterizing relative permittivity of materials. The proposed planar sensor design is based on a near-field transmission-line measurement technique implemented by a modified complementary square ring resonator (CSRR). The CSRR is created to generate resonant frequency with the behavior of band reject filter. The 1st and 2nd iterations of Minkowski fractal pattern are applied to minimize the size of the CSRR, while still achieving an operating frequency at 2 GHz. The transmission coefficient measurement is collected by using the Rohde & Schawarz ZVB-20 Network Analyzer. Through-Open-Shot-Match (TOSM) calibration is performed on the two-port measurement to eliminate the systematic errors that cause in uncertainty in measurement. Five microwave laminates, e.g. RT/duroid 4003, 6002, 6006, DiClad 880, and FR-4, are measured and performed to generate the relative permittivity extraction model.

誘電体材料の高精度な複素誘電率の測定周波数帯の拡大を目指し、サブTHz帯円筒空洞共振器の実現に向けた検討を進めている。サブTHz帯円筒空洞共振器に用いる励振構造として同軸励振と導波管励振の2種類について、これらの励振構造が共振特性へ及ぼす影響を電磁界シミュレーションにより検討する。同軸励振280GHz帯円筒空洞共振器の実現には、直径0.1mm程度の同軸励振線路挿入孔の製作と外直径が0.1mm以下の同軸励振線の開発が必要となることを明らかにした。また、導波管励振による実現には、0.22 x 0.11mm程度の導波管励振孔の製作が必要となることを明らかにした。

This paper presents a multiband monopole antenna designed by combining of a rhombic ring radiator with strip on a top layer and a fractal ring resonator placing on the bottom layer. The antenna size is approximately 36 x 52 mm2. The simulation and measurement results are in good agreement. The antenna covers the operating bands of 22.22%, 9.8%, and 31.27% at the resonant frequencies of 1.8 GHz, 2.45 GHz, and 3.71 GHz, respectively. The average gain of the antenna is about 2 dBi. Also, the radiation patterns are omni-directional at all of operating frequencies.

産総研はCRAVITYと名付けられた超伝導デバイス作製のためのクリーンルームを有しており、各種デバイスプロセスの開発およびそれらを用いたデバイスの作製を行っている。超伝導デジタル回路作製プロセスはCRAVITYの中でも最も歴史が古く、現在は3種類のプロセスを用いて超伝導デジタル回路を作製し、年間3000チップ以上を国内外の研究機関に供給している。デジタル集積回路は数多くの回路要素から構成されており、それらのパラメータすべてが設計された値から許容範囲内に収まっていないと回路動作にとって致命的な欠陥となる。このため、集積回路プロセスに求められることは、各種パラメータを設計値通りに作製する“制御性”、パラメータのばらつきがチップ全体にわたって許容範囲内に収まるための“均一性”および欠陥のないデバイスを作るための“信頼性”である。本稿ではCRAVITYがデジタル集積回路の高い“制御性”、“均一性”、“信頼性”を実現するために行っている活動とこれらの現状を紹介する。

量子コンピュータの実現を目指して，超伝導量子ビットの集積化の研究開発が近年急速に推し進められている．しかしながら依然として，超伝導量子ビットのコヒーレンス時間の改善は重要な課題である．コヒーレンス時間の改善は，量子制御・測定の精度を向上させ，最終的には，量子コンピュータの構成に必要な量子ビット数を削減につながる．本発表では，超伝導量子ビットの導入から，その作製技術と性能評価技術について説明する．

近年、従来のジョセフソン接合（超伝導／絶縁体／超伝導接合）における絶縁層を強磁性体で置き換えた、強磁性ジョセフソン接合が注目されており、磁性と超伝導の相互作用に起因する新しい物理現象の探索やそのデバイス応用が活発に進められている。本講演では、強磁性ジョセフソン接合において発現する特徴的な物理現象のひとつである「π状態（π接合）」に焦点を当て、その基礎的な物理メカニズムの解説やπ接合の作製・評価・解析手法、さらに磁束バイアスフリーなπ接合超伝導量子ビットを始めとする、π状態を用いた新奇な量子デバイスへの応用例まで解説を行う。

国立天文台では、1980年代半ばから主にニオブ(Nb)系超伝導技術の研究開発に取り組み、野辺山宇宙電波観測所のミリ波帯SIS受信機やアタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計（ALMA）用SIS受信機などの開発を通じてデバイス作製技術を発展させた。現在は、ALMA望遠鏡の機能強化のために、さらなる低雑音化、広帯域化、マルチビーム化などを目指した研究開発を進めている。本稿では、これらの電波天文観測用受信機の心臓部と言える超伝導デバイスの開発について紹介する。

超伝導ナノ細線単一光子検出器（SNSPD）は，他材料を用いた単一光子検出器より高い検出効率，低い暗計数率，高い動作速度，低いジッタなど優れた性能を有する．SNSPDの開発では，デバイス構造，光結合，読み出し回路，薄膜成長，微細加工など多種多様の課題を解決する必要がある．本講演では，SNSPD開発における様々な超伝導体の薄膜成長および微細加工技術について，我々の研究を含めてこれまでの進展をまとめると共に，現状の課題および今後の展望について述べる．

本講演では、本シンポジウムの導入として続く講演で議論される内容に関連してナノフォトニクスの最近の展開を概観したのち、その一つであるトポロジカルフォトニクスについて、我々の取り組みを紹介する。

本講演では、トポロジカルフォトニクスの概念を解説するとともに、当グループの最近の研究成果を紹介する。

2次元フォトニック結晶スラブをもちいたナノ共振器は、波長程度の微小領域への長時間の光閉じ込めが可能という特長をもち、光と物質の相互作用の増強、微小なフットプリントでの光情報の保持、保持した光の動的制御等の高度な光操作等に利用できる。我々はこれまで、理論と実験の両面から2D-PCナノ共振器の低損失化(=高Q値化)に取り組み、加えて種々の応用を実現してきた。さらに最近、ニューラルネットワーク(NN)に構造パラメータとQ値の関係を学習させ、これを用いて多数の構造パラメータを最適化する手法を提案し、大幅な設計Q値の向上に成功した。本講演ではこの最適化手法の一部を紹介する。

我々がすすめている単結晶シリコンをベースとした誘電体メタサーフェスに関する研究を紹介する．はじめに，誘電体メタサーフェスの構造色に関する最新の研究成果を紹介する．次に金属・絶縁体相転移材料により誘電体と金属の切り替えを動的に行うことによる新しい機能素子について紹介する．最後にミー共振器による多重極子フォトニクスへの展望を述べる．

メタマテリアルは，波長より細かな人工構造を用いて物質の光学特性を制御した疑似材料である．メタマテリアルを構成する構造を波長より細かく設計・加工することで，１つ１つの構造は光波に直接感知されずにメタマテリアル全体が１つの均質な物質として振る舞う．本講演では，メタマテリアル研究の最近の動向について簡単に触れた後，光学領域のメタマテリアルの中から特に赤外光を吸収するメタマテリアルとその高感度赤外吸収分光への応用を中心にその研究成果を紹介する．

蛍光増強性能に特に優れるメタ表面（人工的に設計したナノ構造表面）を見出し、その応用としてバイオマーカー分子の蛍光検出を行っている。対象分子の特異的（選択的な）検出のために蛍光標識は最もスタンダードな方法の１つであり、感度が高く、汎用性も高い。そのため、現在の標準的な生体分子検定法では測定困難な低濃度域の検出法として、超高感度な蛍光検出法は有力である。今回の講演では、メタ表面バイオセンサーの研究開発の現状と展望について述べる。

ラマン分光法は分子振動や格子振動を検出する分光計測技術であり、様々な基礎科学および産業分野において物質分析に利用されてきた。近年では、顕微イメージングと組み合わせた、ラマン分光顕微鏡が開発され、細胞や生体組織内の分子分析と観察に応用されている。しかしながら、ラマン散乱光は微弱な光学効果であるため、分子検出の感度が十分でないことが多く、その高感度化のための技術が望まれている。本研究では、金属ナノ構造近傍におけるラマン散乱の増強効果を利用した細胞内分子の高感度検出技術について、我々の研究成果を中心に紹介する。

受信器では, PAM4およびコヒーレント受信ともに変調速度が50 GBaudを超える高速化が求められており, さらには100 GBaud級への期待も高まっている. この中でInP系導波路型受光素子は, 感度特性とのトレードオフを抑えた広帯域化や, PAM4/コヒーレント受信には欠かせない高線形性に有利な構造を持っており, 今後のさらなる高速化に向けて有望な受光素子である. 本報告では, 筆者らがこれまでコヒーレント受信器向けに取り組んできた90°ハイブリッド集積受光素子の実用化例を振り返り, 400Gb/s超コヒーレント伝送に向けたInP系導波路型受光素子の広帯域･高感度化について解説する. また講演では, PAM4受信器向けに, これら技術を応用した受光素子についても紹介する.

Avalanche Photodiode (APD)は電気的な内部利得を持ち一般的なフォトダイオードよりも高感度な動作が可能である．APDを100-Gbit/s PAM4伝送方式に適用できれば，更なる伝送距離の延伸が期待できる．本稿では従来の25G級APDから更に高速性を向上させ，100-Gbit/s PAM4動作を達成した．加えて，40 km伝送を可能とする受信感度を実現したのでその結果を報告する．

Siフォトニクス技術を用いたGe受光器は、光通信用受光素子の小型化が実現できるものの、次世代光アクセスネットワークで検討されている1600nm帯の波長に対しては、その吸収端が1550nm付近にあることから高い受光感度が望めないとされてきた。しかし、我々は導波路型、Butt結合、SAM構造とすることにより、1600nm帯の波長に対しても、高い受光感度と低偏波依存の特性を有するGe-APDを開発した。GBPは逆バイアス15.5V時に369.1GHzとなり、1600nm帯の波長に対しては我々の知る限り世界最高レベルの値が得られた。また、平均入力パワー-0.6dBmの10Gbps, NRZ信号に対するAPD出力はクリアなアイ開口が得られた。以上のことから、我々が開発したGe-APDが次世代光アクセスネットワークに適用可能であることを示した。

空間多重信号一括受信に向け開発を進めている２次元型高速フォトディテクターアレーデバイスとそのデモンストレーション内容について報告を行う。

非冷却赤外線イメージセンサは、シリコン基板上に断熱構造を有する画素を2次元アレイとして形成したものであり、赤外線を吸収する赤外線吸収体と温度センサから構成された温度検知部において、赤外線の入射により発生する微小な温度変化を検知する．非冷却赤外線イメージセンサは、民生用途など幅広い分野での応用に向け、高感度化および低コスト化の技術開発が著しい．今回、非冷却赤外線イメージセンサの中で、三菱電機が開発を行っているダイオード方式非冷却赤外線イメージセンサ技術（画素縮小・TECレス・シャッタレス）について報告する．

本講演では，カーボンナノチューブフィルムを用いたフレキシブル・ウェアラブルな光・テラヘルツカメラ，並びに共鳴周波数可変型プラズモニック構造を用いた分光イメージャーについて紹介する．前者では，全方位からの画像計測が可能になり，3次元曲面形状を持つ物体のマルチビュー非破壊検査や，装着型の触診式センシングに有効であることを示す．後者では，回折限界を超えるサブ波長領域での物質・バイオ分光画像分析への応用について紹介する．

広帯域・低雑音特性を有し、特性の制御性・安定性にも優れる新たなテラヘルツ波検出器、「フェルミレベル制御バリア（FMB）ダイオード」を開発した。試作した素子により、2乗検波において市販の広帯域SBDと比べ1桁程度低い雑音等価電力（NEP）を実証すると共に、ヘテロダイン検波においてSBDで報告されている最適LO出力よりも2桁程度低い値でNEPが最小になることを明らかにした。

本講演では、第５世代移動通信システム（５Ｇ）等に用いられるミリ波無線通信について、必要とされる高周波回路技術や、それを構成するCMOS集積回路技術について紹介する。

我々は，マルチバンド対応の基地局向け広帯域・高出力・高効率GaN HEMT増幅器の開発を目的として，GaN HEMTのマルチセルダイを用いたディスクリートデバイス，およびドハティ増幅器の試作とともに，増幅器の設計ツールとなるマルチセルダイの大信号モデル作成に取り組んでいる．本稿では，GaN HEMTを用いた1.8-2.2 GHz帯1 kW級ドハティ増幅器の試作結果と，マルチセルダイの大信号モデルについて述べる．

InAlGaN-HEMT結晶構造および、InAlGaN-HEMTを用いたW帯およびS帯の高出力デバイスの開発状況について述べる。InAlGaN-HEMT構造において、AlNスペーサ層の平坦度向上により電子移動度の向上を実現した。また、InAlGaN-HEMTを試作し、W帯およびS帯での高出力動作を実証した。次世代高出力デバイス技術として、HEMT表面に高放熱ダイヤモンド膜を形成し、さらなる高出力化が可能であること実証した。

300GHz帯を用いたCMOSトランシーバに関する技術とその応用について紹介する

第5世代通信のサービスが実用化され，一般に普及するためには第5世代通信の通信容量でも増大する通信トラフィックに対応できなくなってきている．そこで，Beyond 5Gとしてテラヘルツ帯無線通信に期待が寄せられている．しかし、半導体で十分な出力を出すことが出来ない。この周波数帯で高出力を出すことの出来るデバイスとして期待されている300GHzTWTの開発の現状について紹介する。

300 GHz帯をはじめとするテラヘルツ波帯は，高分解能なイメージングやセンシングなどの応用が研究されているだけでなく，帯域を広く取れることからBeyond 5Gを志向した高速無線通信への適用も期待されている．通信容量拡大のために，高シンボルレート化，変調多値化，多重数増加の３つの軸を伸ばしていくことが必要であり，この中で広帯域化による高シンボルレート化と，高SNDR化による変調多値化は，超高速IC技術がテクノロジードライバとなっている．本稿では，テラヘルツ波帯で動作する超高速IC技術として，20 Gbit/sのASK送信用ICおよび100 Gbit/sの16QAM送受信用ICについて述べる．

本稿ではコネクテッドカー社会の実現に向けた課題の整理と，コネクテッドカーを実現する通信技術の一つであるセルラーV2Xの概要，そしてNTTドコモがこれまで検討してきたコネクテッドカーの実証実験の取り組みについて紹介する．

V2Xの無線方式のひとつとしてC-V2X (Cellular V2X)が注目されている。
本稿では、C-V2Xの概要を俯瞰するとともに、3GPPで規定された無線インターフェース仕様の計測手法を中心とした最新の計測技術を紹介する。

This talk reviews a single-chip CMOS transceiver (TRX) capable of wireless data rates up to 80 Gb/s using part of frequencies covered by IEEE Std 802.15.3d. The talk also reviews transmitter and receiver modules having a WR-3.4 interface.

大容量，低遅延の5G無線通信のサービスが開始されつつあり，さらにその先を見据えたbeyond 5G，6Gに関する議論も既に開始されている．これらのシステムでは，通信速度の向上に向け変調多値数や変調帯域幅の増加が見込まれ，それに伴うEVMの制約から信号のクリッピング量をより小さくせざるを得なくなり，電力増幅器を大きくバックオフして使用することが想定され，効率が低下する．そこで，12dB以上のバックオフでもCW信号による効率60%以上を実現できる電力増幅器のアーキテクチャを検討した．高PAPR信号でも高い電力効率を実現する電力増幅器アーキテクチャとして，Doherty増幅器とOutphasing増幅器を組み合わせた2入力型のDoherty-Outphasing増幅器の動作解析と試作及びLTE信号による評価を行ったので報告する．

5G通信の台頭により、IoTデータを現場で圧縮・変換して解析するエッジコンピューティングの適用が拡大している。モビリティ・ヘルスケア・ロボット・都市等において、動画や音、温度・湿度・圧力・歪・振動・磁気・ガズ・匂い・味覚等のデータを、ネットワークで集約してクラウドにアップロードし、解析結果を機器にフィードバックする一連の動作をエッジが実現する。高速・大容量や超低遅延、多数機器接続性を有する5Gには、高品質・高信頼性が求められる産業や社会インフラ分野へのエッジの展開を加速する。本発表では、産業応用に向けた5G・エッジの取り組みとして、5G向け半導体部材、5Gエッジアーキテクチャ、動画配信やAR/VRの動向等を述べる。

黎明期の無線通信は情報を遠くまで伝達することを目指してきた．陸上移動無線通信の利用が一般化した今，数十バイト程度の小さな情報を，より低消費電力で，そしてより安価に遠方まで伝達するLPWA（Low-Power Wide-Area）も望まれるようになった．本講演ではLPWAの基本原理，応用，そして課題について解説する．

近赤外波長領域は我々の生活に欠かせないものとなっており、これまで多くの近赤外光源が食品検査や生体計測に利用されてきた。本研究では、光源の中でも有機発光ダイオード(OLED)に注目し、近赤外波長領域での発光特性に関する研究を紹介する。また、OLEDの特長であるフレキシブル性を最大限に活用し、極薄フィルム基板上に作製したUltra-Flex OLEDに関する研究例を合わせて紹介する。

有機薄膜太陽電池（OPV）の高効率化を目指した材料開発が活発に行われている。近年は、p型半導体ポリマーだけでなく、非フラーレン系n型材料の開発も盛んに行われてきており、飛躍的に効率が向上している。本発表では、従来のフラーレン誘導体との組み合わせを指向した高結晶性半導体ポリマーの開発や、最近の非フラーレン系n型材料との組み合わせを指向して開発したポリマーに関して報告する。

有機太陽電池は安価、軽量性、フレキシブルなど無機太陽電池では実現できない性質を有することから、将来のエネルギー変換デバイスとして注目を集めている。しかし、その光電変換効率は最高で16％程度と、高効率無機太陽電池と比較すると未だに劣るのが現状である。光電変換効率が劣る最大の原因は、有機太陽電池において電圧損失が大きいからである。本発表では、その電圧損失の原因となる界面で起こる再結合を抑制するための方法や、その界面構造制御の研究で得られた基礎的な知見を基に行った新規分子の開発などの結果について発表を行う。

本研究ではナフタレンフラックス法による有機単結晶育成法を開発した.従来の溶媒では再結晶不可能であった長鎖ポリアセン系分子の単結晶を作製することに成功した.ポリアセン系分子の１つであるBBQPPについて結晶構造を決定し,それを元にバンド構造計算を行った.今回合成したBBQPPは高移動度が期待できるへリングボーンとは異なるため高性能な有機半導体である望みは薄いが,柳瀬が開発したナフタレンフラックス法は様々なπ共役系分子に適用できるため,物質探索の幅が大きく広がったという意味で価値のあるものである.現在はルブレンに見られるようにフェニル基などのπ共役官能基をポリアセン系分子に導入することを試みている.

電子捕集層として酸化亜鉛（ZnO）を用いる逆型有機薄膜太陽電池（inverted-OPV）は、一般的な順型OPVと比較して、大気下で安定に駆動する。そのようなInverted-OPVの問題点は、ZnO薄膜を成膜するために、通常のプラスティック基盤の耐熱性を遥かに上回る高温（～200℃）が必要となることが挙げられる。この問題を解決するためには、低温でZnO薄膜を作製可能とするプロセスを見出す必要がある。本発表ではZnO薄膜の作製温度における太陽電池特性の依存性を調査することによって見出した、ZnOの低温作製プロセスについて報告する。また、素子特性向上を指向し、低温作製ZnOに表面修飾を施した結果得られたデバイス特性についても発表する。

有機半導体デバイスの特性は、活性層に用いられる分子の化学構造のみならず、薄膜の凝集構造や分子配向といった高次構造の影響を受ける。したがって、有機デバイスの高性能化のためには、デバイスの動作原理に合わせた高次構造の制御が必須となる。一般に薄膜成長は、吸着、拡散、脱離などのプロセスを経て安定核が形成し薄膜が成長するため、薄膜の高次構造制御のためには成長初期の素過程を理解することが重要となる。しかしながら有機薄膜の成長過程を評価する手法が限られていることもあり、素過程に関する理解は十分とはいえず、現在も様々な研究が行われている。本講演では、我々の研究室で行っている水晶振動子マイクロバランスを用いた有機薄膜形成過程の解析について紹介する。

光集積回路技術のこれまでの進展と将来展望について，考えを述べる．

石英ガラスを材料とする光導波路を用いて作製される平面光波回路の基本技術、特徴、代表的な応用デバイスについて解説する。導波路の実効屈折率分布の少なさが特徴であり、設計からの光路長誤差が少ない、位相誤差による特性劣化が少ないなどの理由により、MZI型の熱光学効果光スイッチ、AWG波長合分波器、コヒーレント受信用の光回路などが実用化されている。また、石英ガラス導波路と光半導体素子やニオブ酸リチウム導波路とのハイブリッド集積により、アクティブな集積デバイスの実現可能性についても述べる。

半世紀にわたる化合物半導体集積光デバイス・光集積回路の歴史を振り返るとともに，そのゆくすえを展望する．

シリコンフォトニクスは，集積性，エネルギー効率，経済性に優れた光デバイス集積プラットフォームであり，持続成長可能な情報処理・伝送システムの実現に不可欠な光電子融合技術として，まさに実用に供されようとしている．しかしながら，そのシリコンフォトニクスも，量子的なスケーリング限界，加工精度，材料特性などに本質な技術的課題がある．そして，これらの技術的課題を打破するために，バックエンドフォトニクス，プラズモニクスなどの新規デバイス技術やインテリジェントな制御技術の導入により，シリコンフォトニクスの進化形が示されつつある．

最初の提案から50年が経過しながらも、長い間実際の実用化は成されなかった光集積回路が、近年急速な勢いで発展している。本講演では、この理由を考察しながら、そこで出てきた異種材料集積技術を用いたIII-V/SOIハイブリッド光集積回路を中心に、ハイブリッド光集積回路への要求、歴史、そして今後の展開について述べていく。

本稿では，シリコンフォトニクスの集積化，高密度化に焦点をあて，その進展と課題，更に，将来展望について考察した．トランシーバに求められるのは，800Gbps，1.6Tbps，更には，10Tbps以上の高速・大容量化であり，如何に，小型・低コストで使い易く作製できるかが重要である．CMOSファブによる大量生産やLSI制御による使い易さの向上は可能であるが，高速化はいつかリミットを迎えるため，アレイ化，WDM化，PAM化などによる多重化が進む．その先に，キーを握るのは，やはり光結合・光ファイバー実装であることは間違いない．この分野の地道な研究を如何に勝ち抜いていくかが集積化・高密度化の最終的な勝負を決めるのではないかと考えている．