本項では、電子情報通信学会パターン認識・メディア理解研究会におけるメンターシッププログラムについて紹介する。このプログラムは、同研究会に関連する分野の国際トップ会議への採択を目指す若手の学生や研究者に対して、発表経験を有するメンターがアドバイスを提供するものである。日本の研究者コミュニティの国際プレゼンス向上を企図して進めてきた同プログラムの経緯と現状、今後の課題について述べる。

本講演では、ACM SIGIR東京支部が主催するワークショップPOWIRを紹介する。POWIRは、日本国内における情報検索研究の国際的プレゼンスを向上するために、情報検索に関する主要国際会議に投稿予定の原稿に対し、有志委員によるフィードバックと議論の場を提供するメンタリングワークショップである。POWIRがどのように実施されるか、どのような成果を上げていているか、運営においてどのようなことに気をつけていることなどを紹介する。

VLDB国際会議が2020年に東京で開催されることが決定され，これをきっかけとして日本のデータベース研究コミュニティの研究力・技術力を強化する取り組みとして「VLDB突破会」を2017年10月から2020年の1月まで実施した．本講演では，VLDB突破会の活動について報告するとともに，学会において難関国際会議への投稿・採択に向けたメンターシップ活動について意見交換する．

日本国内最大規模の機械学習ワークショップである情報論的学習理論ワークショップにおいて，若手学生や研究者の交流の場としてメンタリング企画を行った．本講演ではその立ち上げから実際の企画までの流れを紹介するとともに，その企画の振り返りをする．

研究コミュニティであるcvpaper.challengeはコンピュータビジョン（CV）分野の今を映し，新しいトレンドを創り出すことを目標に掲げ，本気で「日本のCV分野を強くする」ことに挑戦している．論文読破・まとめ・アイディア考案・研究テーマ設定・議論・実装・論文執筆に至るまで幅広く取り組み，日本語論文サマリやサーベイ資料，研究論文やコードなど凡ゆるコンテンツをWEB 経由で公開している．2015年5月のスタート以来，現在までにCVPR論文を完全読破したことを皮切りに，トップ国際会議の網羅的サーベイを年２回実施するなど年間1,000本以上，累計では１万本に迫る勢いで日本語論文サマリをまとめている．最近では学生を中心に論文投稿を実施しCV分野トップ３の国際会議であるCVPR/ICCV/ECCVに連続で採択されるに至っている．

フォトニックコンピューティング研究のこれまでの流れを概観するとともに、シンポジウム全体概要をレビューする。

本発表では、複雑系フォトニクスを活用した光リザーバコンピューティングと光意思決定に関する研究の最新動向について概説する。戻り光を有する半導体レーザを複数用いて並列化や多層化を行うことで、光リザーバコンピューティングの性能向上を達成する。また半導体レーザにおけるカオス的遍歴を用いて、多腕バンディット問題における意思決定を効率的に実現する。

極限光変調を生かすフォトニック近似コンピューティングに関する最近の研究活動、展望について述べる。

機械学習の高速化・高効率化に向けて、脳の神経回路を模した人工ニューラルネットワーク（ANN）を光回路へ実装する技術が注目を集めている。ANNの中でも、ランダムなネットワークを用いて情報処理を行うリザーバコンピューティング（RC）は、大半のパラメータの学習が不要であるため、光回路との親和性が良く、近年精力的に研究が進められている。本稿では、光通信用の集積回路として発展した石英系導波路(Planar lightwave circuit, PLC)技術を転用した、スケーラブルなオンチップ型の光RCの構成を提案し、その試作機による動作を紹介する。また、本素子の応用例として、光通信向けの信号処理や、高性能化に向けた物理デバイスの学習に特化したアルゴリズム構築、FPGAを用いたシステム実装についても紹介する。

本講演では、光の時空間ダイナミクスに基づく超高速・高効率のフォトニックコンピューティングおよびセンシング応用について示す。はじめに光波動現象を情報担体とする超高速・高効率光リザバー計算回路を紹介し、1.3 PMAC/s相当の瞬時処理の可能性を議論する。また、高速光ランダムパターン生成に基づく圧縮センシング技術を導入し、それと光リザバー計算回路を組み合わせることで、サブナノ秒スケールの超高速パターン認識への展開が可能となることを示す。時間があれば、マルチモーダルセンシング応用やリザバーの高度化についても紹介する。

ムーアの法則が終焉へと向かう中，光を用いたコンピュータのアクセラレーションが進んでいる．本講演では，レーザネットワークにおける同期現象に着目し，光アクセラレータとして競合バンディット問題を解くことを目的とする．レーザネットワークにおいてレーザダイナミクスが起因となる遅延カオス同期とネットワーク構築が起因となるゼロ遅延同期を同時に発生させることにより，競合回避システムの構築を行った．数値計算と実験では異なるネットワーク構造となったが，それぞれの構築で2つの同期現象を同時発生できることが分かった．また，このネットワークを用いて競合バンディット問題を解決し，単独で意思決定を行うよりも報酬が増加することが分かった．

光通信システムの重要な要素技術である光変調の動作速度や機能性は年々向上し続けている。フォトニックコンピューティングにおける光変調に求められる機能は光通信システムとは異なる部分がある。本稿では、高速で制御精度の高い光変調技術が、フォトニックコンピューティングに果たす役割について述べる。

フォトニクス系のシステムは，レーザーの高速駆動や広帯域性を活用した超高速の機能実現を可能とし，基幹系の通信において光が不可欠な社会基盤となっていることは勿論のこと，短距離の通信においても光化が益々進展している．一方，現在の情報処理の多くを担っているマイクロプロセッサ等は集積電子デバイス技術を中心としたエレクトロニクスを基礎としている．フォトニックコンピューティングにおいても，全ての処理を光化することは困難であり，制御回路や後処理回路はエレクトロニクスに依存している．光と電気の融合は最重要課題の一つと言える．

光デバイスを用いたナノフォトニックニューラルネットワークアクセラレータは，高性能・低電力なコンピューティングシステムを実現するための有望な手段の1つである．ナノフォトニックデバイスは光を情報媒体として扱う性質上，極めて突出した利点(極低レイテンシ，低損失、高い耐雑音性，および，広い帯域幅)を有する反面，集積度の低さや電/光・光/電変換(電力・時間)コストの高さといった問題がある．このような特異なデバイスを活用し効率的なコンピュータシステムを構築するには，デバイスの利点の最大化と欠点の隠蔽をシステムレベルで達成する必要があり，デバイス・アーキテクチャ・ソフトウェアを協調設計が極めて重要となる.本発表では，効率的な光コンピュータシステムの実現に向けたシステムスタックを跨いだ性能分析に基づく最近の研究活動を紹介し，光コンピューティングの課題と可能性を示す．

フォトニックコンピューティングにより超高速な機械学習や最適化の実現が期待される．Laser Chaos Decision Makerは，Multi-Armed Bandit問題に適用可能な高速学習であり，その有効性についての理論も整理されつつある．小型デバイスの実装も進められている．本稿では，Laser Chaos Decision Makerの応用例として，無線通信システムの高速最適化に関する研究を紹介する．

機械学習の中間言語表現とそのハードウェアアクセラレータ

従来の画像データセットは多様な物体を凡ゆるシーンにて撮影した実画像に対して、人間がペアとなる教師を付与することでデータセットを構成、AIが学習することで基礎的な視覚能力を獲得できることが既成事実となっていた。提案の数式ドリブン教師あり学習（FDSL）では、実画像の利用および人間の教師こそが実は公平性や透明性を害する原因であると仮説を立て、実画像および人間の教師を一切用いず、自然の法則に基づいた数式から画像パターンを生成し、AIの基礎的な視覚能力を獲得させる。本発表では、実画像および人間の教師による画像データセットに匹敵する精度にまで到達したFDSL手法について紹介する。

本講演は，学習済みDNNモデルの圧縮技術についてのチュートリアルです．近年，画像認識等のさまざまなタスクにおいてDNNが標準的に利用されるようになりつつあります．その一方で，推論時の計算コストの高さゆえに，エッジデバイスのような計算リソースが限られた環境下でのDNNの利用が難しい，という課題があります．本講演では，学習済みDNNモデルの精度を可能な限り維持しつつ軽量化するための，DNN圧縮技術について解説します．また，圧縮技術の有用性を実感していただくために，サンプルプログラムを用いて学習済みモデルを圧縮する実習を行います．

現代の数値気象予報の土台となっているデータ同化は、数値シミュレーションモデルと観測・実験データを融合する計算技術として、極めて広範囲の科学分野への浸透が進んでいる。代表的なデータ同化手法であるカルマンフィルタ、アンサンブルカルマンフィルタ、粒子フィルタ、4次元変分法（アジョイント法）は、近年隆盛を極めている機械学習・深層学習においても用いられており、データ同化と機械学習は密接な関係にある。本講演ではデータ同化の基礎理論、ならびに地震学分野および構造材料分野などにおけるデータ同化の応用例について紹介する。

データ駆動型研究における最も重要な資源はいうまでもなくデータである．しかしながら，物質・材料科学ではデータ駆動型研究に資する体系的なオープンデータを創出しようという動きは極めて低調である．本講演では，限られたデータの壁を乗り越えるためのアプローチの一つとして，統計的機械学習と材料シミュレーションの融合技術とその可能性を論じる．

本論では、我々が取り組んできた社会シミュレーションと機械学習を融合する二つの研究の紹介を通して，社会シミュレーションというドメインにおいて具体的にどういったニーズや問題が存在するかを概観する．その上で，社会シミュレーションの役割の視点から，社会シミュレーションと機械学習を融合させる研究の課題整理を試みる．最後に，シミュレーション一般と機械学習を融合させる研究すなわちAIシミュレーション研究の課題について考察する．

さまざまなビジネスプロセスにより構成される総合的な事業活動の最適化として，総合的品質管理(total quality management; TQM)が提案されている。この方法論のひとつとして，プロセスのダイナミクス（動的特性）に着目し，複数のプロセスにより構成される事業活動の最適化技術としてエンタープライズ最適化を提案する。事業活動のダイナミクスを再現したシミュレータで運用を総合的に評価し，強化学習をコアとしたAI技術によって運用を最適化する方法である。また，事例として，化学プラントの運転と鉄道運行管理を紹介する。

近年シミュレーションは様々な意思決定に利用されている．例えば，製造業の工場において製品を生産する時間や，所望の増産に対応する設備数をシミュレーションを用いて推定する．しかしシミュレーションを作成したとしても，現実のシステムとは結果が乖離してしまう場合がある．この問題に対処するため，現実のシステムから観測した実データを用いてシミュレーションのパラメータを調整する必要がある．実データとシミュレーションの結果がフィットするように，パラメータを推定する手法の１つにカーネル近似ベイズ計算がある．本講演では，カーネル近似ベイズ計算の手法を概説し，このカーネル近似ベイズ計算を拡張した応用例を紹介する．