プログラム
format_list_bulleted通信ソサイエティ
一般セッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
B-1. アンテナ・伝播A(電波伝搬,非通信利用)
3月21日 13:00〜17:00 56号館 101教室 座長 幸谷 智(東京電機大)
B-1-1 |
人体遮蔽特性測定における壁面反射波の影響の低減
◎久保賢治郎・岩井誠人・笹岡秀一・伊藤優希(同志社大) |
B-1-2 |
屋内工場環境における28 GHz帯伝搬損失特性の検討
◎伊藤智史・林 高弘・山﨑浩輔(KDDI総合研究所)・中尾允彦・酒井清一郎(KDDI) |
B-1-3 |
自動倉庫における無線システムの受信レベル改善検討
○岡村 航・チン ギルバート・吉敷由起子(構造計画研)・辻 和人(村田機械) |
B-1-4 |
大規模屋内空間の電磁解析
◎嶌田斐呂・後藤 淳・前山利幸(拓殖大)・山本尚武・菱川哲也(パナソニック) |
B-1-5 |
工場内電波伝搬シミュレーションの高速化手法に関する一検討
○前野 輝・江村鉄平・濱邉太一・堀端研志・佐藤 浩(パナソニック) |
屋内環境において人体遮蔽測定を行う場合壁面からの反射波の影響が無視できない.本報告では,人体遮蔽特性測定における,測定系位置の複数化およびそれに伴う平均処理による壁面反射波の影響の低減を目的とする.今回はFDTD法による計算結果を対象とした.定量的評価の結果,平均処理によって壁面からの反射波の影響を相対的に低減した人体遮蔽特性測定が可能となった.
近年28 GHz 帯など既存の移動通信システムより高い周波数帯域を候補とする5G への取り組みが加速しており,工場の遠隔監視などの利用シーンが想定されている.本稿では
上記に向けた基礎検討として伝搬損失をITU-R のInH (Indoor Hotspot)と比較,適用可能性や差異について考察した.
IoT(Internet of Things)化に伴い製造や物流現場においても無線システムの導入が進んでいる.無線システムを導入する際には,通信トラブルの未然防止のために,実験やシミュレーションによる無線環境の事前評価を行うことが重要である.本研究では,既設建屋にも簡単に設置でき,製品受入から出荷までの一連の流れをコンピュータで一元管理するシステムが導入された自動倉庫において,無線システムの受信レベル改善検討を行った.
920MHz帯無線通信を用いたIoTの実現のためには,機器間の回線設計が重要である.特に屋内空間では,さまざまな躯体構造があるとともに什器などもあり伝搬環境は複雑となる.本稿では,大規模な屋内空間をモデル化して伝搬環境を明らかとするべく,電磁解析と実測を行った結果を報告する.数値解析値と実測値の信号強度を比較し,実測を基準にした時の実測値の差の平均値は11.04dBで,これは再現しきれていないモデルの構造体によるフェージングの影響と思われる.そのため,フェージングの深い落ち込みを再現できなく信号強度に差が発生したと考える.
工場を想定した狭空間における電波伝播を把握するためのシミュレーションを
高速化するための手法を述べる.具体的には光線追跡法で低解像度で取得した
受信電力値から,InDoorHotSpotシナリオに定義された伝播式を利用して高速化を
図り,その精度を評価した.
休 憩(14:30 再開) 座長 猪又 稔(NTTドコモ)
B-1-6 |
高基地局における電波伝搬損失測定評価
○表 英毅・緒方大悟・木村 翔・佐藤彰弘(ソフトバンク) |
B-1-7 |
三次元空間セル構成法におけるビル間電波伝搬損失特性の検討
○池田 賢(東工大)・表 英毅(ソフトバンク)・藤井輝也(東工大) |
B-1-8 |
2.4GHz帯実測データに基づく六面体アンテナを用いた伝搬損失の基礎検討
○島崎安徳(パナソニック)・栁澤昂輝・西森健太郎・谷口諒太郎(新潟大)・濱邉太一・竜田明浩・江村鉄兵・浅田拓也(パナソニック) |
B-1-9 |
車車間通信環境における遮蔽車両を考慮した伝搬損失の推定
◎山根健太郎・岩井誠人・笹岡秀一(同志社大) |
B-1-10 |
ドローンを用いたITS 融合ネットワークの構築 その3
○仲栄真一成・阿部海人・藤井 知(沖縄高専)・吉川憲昭・木下研作(サイバー創研) |
市街地や住宅地における電波伝搬損失モデルとしてITU-R 勧告P.1410-5がある。また、地物による損失であるクラッター損失のモデルとしてITU-R 勧告P.2108 がある。ITU-R 勧告P.1410-5 では移動局近傍の都市構造が考慮されており、直接波が主体な領域、反射が主体な領域及び回折が主体な領域に分割して伝搬損失を推定できるのが特徴である。ただし、基地局高の適用範囲が70m までである。著者等は基地局高150mにおける電波伝搬損失測定を行い、ITU-R 勧告P.1410-5 と比較して、回折が主体な領域では推定式は良く一致しているが反射が主体な領域では推定誤差が大きくなる場合があることを報告した。本稿ではITU-R 勧告P.1410-5 の反射係数を評価する。また、併せてITU-R 勧告P.2108 とも比較する。
近年中高層ビルの屋内オフィスで使用される移動端末が急増しており、それらの屋内での通信トラフィックを効率よく運ぶ手段が求められている。その手段として、中高層ビルの屋内にスモールセルを構成する“三次元空間セル構成”が有効である。同一周波数を使用する三次元空間セル構成を効率よく設計するには、中高層ビル内のスモールセル間の干渉を考慮する必要あり、その推定技術が不可欠である。本稿では、中高層ビル内に設置したスモールセルと異なる中高層ビル内に設置したスモールセル間の伝搬損失を高精度に推定できる伝搬損失推定式を提案する。
第5世代移動通信システム(5G)に向けた開発が進められており、多数のIoT端末が存在する環境での基礎検討として,端末側の伝搬特性を把握するための検討が行われている。本稿では市街地における周辺が比較的高い建物が多数存在するストリートセル環境にあるIoT端末を想定し,全方向からの電波を取得可能な六面体アンテナを用いて測定した各面毎の受信データを用いて2.4GHz帯における伝搬損失特性の評価結果について述べる
本報告では、車車間通信環境における遮蔽車両を考慮する場合の伝搬損失を簡易に計算する手法として、第1フレネルゾーンの遮蔽割合を用いる方法を提案し、交差点十字路を想定した2次元モデルをを用いて、その特性をUTD計算と比較した。
完全自律制御型ドローンを用い、今回、5.7GHzの電波伝搬特性を調べた。前回行ったドローン高度30mでの920MHzと5.7GHzの測定結果を比較すると、5.7GHzの伝搬特性は著しく地上からの干渉を受け、急激に減衰する場所が非常に多い。そのため、必然的に送信電力は920MHzより大きく成らざる得ないことが分かった。
休 憩(16:00 再開) 座長 表 英毅(ソフトバンク)
B-1-11 |
圧縮センシングを用いた合成開口レーダのための高密度目標の画像再生法
○戎 克知・桐本哲郎・孫 光鎬(電通大) |
B-1-12 |
大規模FDTD解析を用いた4.4GHz帯機外WAICシステム設計のための伝搬損失推定
◎関口徹也・日景 隆・山本 学・野島俊雄(北大)・二ッ森俊一・森岡和行・河村暁子・米本成人(海上・港湾・航空技術研究所) |
B-1-13 |
GPM DPR V6 降雨タイプ分類アルゴリズムの改善
○阿波加 純(東海大) |
B-1-14 |
レイトレース法による802.11ad伝搬経路の再現
○大植裕司・新海宗太郎・植田剛央・山崎 聡・山田英之(パナソニック) |
合成開口レーダ(SAR: Synthetic Aperture Radar)は,昼夜を問わない全天候型の地表イメージング技術として有用である.近年,圧縮センシング(CS: Compressed Sensing)技術を用いたSAR画像再生が注目されている.この方法では,例えば,電波法で周波数帯域が制限されるような状況においても高分解能画像再生が可能である.しかし,CS画像再生では,目標が疎であることが必要であり,その応用範囲が限られる.本研究では画像を低分解能モードと高分解能モードの2段階で再生することで疎でない目標輪郭の高分解能画像を再生する圧縮センシング法を提案する.
航空機の運用コスト低減を目的として非常用照明や気圧センサーといった装置への通信を担うワイヤハーネスを無線代替するシステムが提案されている.このシステムに用いられる無線通信規格WAICは,4.2 GHzから4.4 GHzの周波数帯の利用が提唱されている.高速・高信頼な無線通信を実現するためには,航空機内外における電波伝搬特性を考慮した無線回線設計が重要となるが,送受信アンテナの設置位置など複数の条件を考慮した実測定の実施は,コストなどの面から困難である.当研究グループでは,大規模FDTD解析の適用を提案し,WAICシステムを想定した機内外の電波伝搬特性について報告している.本稿では,WAICシステムと周波数帯が近接する電波高度計を対象とした与干渉推定を目的に伝搬損失特性について評価する.
全球降水観測(GPM)主衛星に搭載されている2周波降水レーダ(DPR)の標準アルゴリズムV6(バージョン6)による処理データは2018年10月に一般公開された。GPM DPRのレベル2(物理量算出)標準処理アルゴリズムの一つである降水タイプ分類アルゴリズムのV6における大きな変更点は、ワシントン州立大学が開発したスロープ法による対流性降雨タイプの層状性降雨タイプへの再分類を導入したことであるが、既に不具合が見つかっている。ここでは、この不具合の解消を中心に、降雨タイプ分類アルゴリズムの次期バージョンでの改善に向けた取り組みについて述べる。
工場における802.11adの伝送実験を題材に、レイトレース法によるビームフォーミングの伝搬経路再現を試み、工作機械と仕掛品を直方体の金属ブロックでモデル化する比較的簡単な方法で、実験結果と良い相関が取れることを確認できた。
3月22日 9:00〜11:45 56号館 101教室 座長 金 ミンソク(新潟大)
B-1-15 |
郊外地における高マイクロ波帯到来角度広がり特性
○北 直樹・白戸裕史・俊長秀紀(NTT) |
B-1-16 |
植生環境における上空からの電波の到来方向特性の測定
○木村 翔・緒方大悟・佐藤彰弘・表 英毅(ソフトバンク) |
B-1-17 |
19 GHz帯48素子円形アレーを用いた実環境での到来方向推定結果
◎上村早紀・西森健太郎・伊藤創一・谷口諒太郎(新潟大)・猪又 稔・北尾光司郎・今井哲朗(NTTドコモ) |
B-1-18 |
基地局側における水平面内・垂直面内電波到来角度プロファイルの同時推定モデル
○藤井輝也(東工大) |
B-1-19 |
準ミリ波帯中継器の送信性能評価
○志村竜宏・葉若秀樹・桂 勇男(住友電工) |
基地局への到来波の角度広がりは,スペースダイバーシチ,MIMO,アンテナの実照射エリアの検討等に重要な伝搬特性の一つであり,これまでにもUHF帯/低マイクロ波帯における検討が行われている.近年アセス区間にも高マイクロ波帯からミリ波帯を適用する検討が進められているが,到来角度広がりの検討は少ない.そこで本稿では,郊外地における実測結果から26GHz帯の基地局到来角度広がり特性について述べ,4GHz帯との比較結果について述べる.
移動体通信においてMIMO等の空間処理アルゴリズムを精度良く評価するためには,電波到来角プロファイル推定が重要である[1].基地局側及び移動局側の水平面電波到来角プロファイルについては,様々な環境における測定結果を基にした推定法が提案されている[2].一方,基地局側の垂直面電波到来角プロファイルについては,市街地における測定結果が[3][4]に報告されているが,移動局側の垂直面到来角プロファイルに関する報告は少ない.市街地における移動局側の垂直面電波到来角プロファイルに関する測定結果は以前報告している[5].また,植生環境における伝搬特性は[6]に報告されている.
本稿では,[6]と異なる植生環境における移動局側電波到来角プロファイルを測定したので,その結果について報告する.
第5世代移動通信システム(5G)では,ミリ波帯の使用が想定されている [1].5GではMassive MIMOの使用が想定されるため,ミリ波帯での到来方向の把握は重要である.本稿では,新潟市の市街地において19GHz帯の48素子円形アレーを用いた場合の電力・遅延時間・到来方向の関係を明らかにする.また,Beam former (BF) [2]による到来方向の推定結果を示す.
第5世代移動体通信では伝送効率を一層向上させるために、基地局アンテナとして素子を水平方向のみではなく垂直方向にも配置するMassive MIMOのような多素子2次元配置アンテナが検討されている。このようなアンテナを効率よく設計するには水平面内及び垂直面内の電波到来角プロファイルが重要である。
本稿では、筆者らが提案した散乱体モデルを拡張し、基地局側の電波到来角度特性に加えて基地局側の垂直面内電波到来角度特性を同時に扱える伝搬モデルを提案する。
試作した28GHz帯中継器における基地局から端末への系統で中継アンプとアンテナビーム指向性特性を測定した結果について報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 齋藤健太郎(東工大)
B-1-20 |
屋内環境におけるダイバーシチアンテナを用いた電波伝搬特性評価
○中西孝行(三菱電機)・人見健三郎(三菱電機エンジニアリング)・小竹弘晃・花井諭司・瀧川道生・米田尚史(三菱電機) |
B-1-21 |
垂直面電波到来角を考慮した人体遮蔽測定
○佐藤彰弘・緒方大悟・木村 翔・表 英毅(ソフトバンク)・日景 隆(北大) |
B-1-22 |
無人航空機を用いた移動通信における植生による伝搬損失特性に関する検討
○緒方大悟・佐藤彰弘・木村 翔・表 英毅(ソフトバンク) |
B-1-23 |
アンテナ高が低い場合の桑農場における920 MHz帯電波伝搬特性
○山田千紘・中野由顕・数井亮太・島崎仁司・門 勇一・一田昌利(京都工繊大) |
B-1-24 |
920MHz帯電波伝搬における樹木の2次元モデルの検討—大地を考慮した場合—
◎数井亮太・島崎仁司(京都工繊大) |
近年,IoT(Internet of Things)が急速に普及しており,宅内やビル管理,スマートタウン等で省配線化などを目的とした無線導入が期待されている.IoT無線機器の通信距離を適切に把握するために,電波伝搬解析技術が重要となる.著者らはこれまで屋内環境において統計モデル及び回線設計マージンについて検討してきたが,受信電力のばらつきが大きく,通信品質を維持するためにはマージンを大きくとる必要があった.そこで本報告では,屋内環境において2素子ダイバーシチアンテナを用いた電波伝搬特性評価と回線設計マージンの低減効果について検証する.
移動体通信において、人体による電波伝搬遮蔽損失の検討は重要であり、単純な直接波の遮蔽損失量だけでなく、水平面および垂直面の到来角度特性を考慮した損失モデルを検討する必要がある[1]。
高基地局、市街地環境における移動局側の水平面及び垂直面の電波到来角度は、周辺の建物の影響で建物方向からも道路方向からも高い角度(大きい仰角)から到来することが一例として報告されている[2]。また、開放地においては基地局・移動局間の仰角が大きい場合には、水平面及び垂直面の電波到来角度はいずれも基地局方向からの到来波が主となる[3]。
本稿では、仰角の異なる環境における人体遮蔽損失測定を行い、その特性を解析し、実環境での人体遮蔽損失の扱い方について検討を行う。
移動体通信のエリア設計には地形,建物等のクラッター,植生,人体による影響など基地局から移動局に電波が到達するまでの環境による影響を精度よく推定・評価する必要がある.
特に郊外地で建物が少なく直接波が建物,樹木,人体等で遮られたときに周辺からの反射波が存在しないと考えられる.このような環境では孤立した建物, 植生, または人体による回折・散乱波が主波となりこれらの特性を明確化する必要がある.植生による損失については, ITU-R勧告P.833として標準化されているが地域・樹種が限定的であり地域・樹種が異なる場合には別途検討が必要である.
本稿では植生による損失およびその季節特性について測定を行ったのでその結果について報告する.
本研究では,農場センサネットワーク構築に必要なリンクバジェットを算出するために,一例として桑農場を取り上げ,920 MHz帯で電波伝搬特性を測定した.送受信アンテナの高さを1波長(約0.32m)に固定し,アンテナ間距離を変えてRSSI(受信信号強度)の測定を行った.その際,桑の高さが0.8から3.0 mに成長する間の6通りの高さで測定した.その結果,水平偏波は,桑が成長するにつれて上部に葉が多くなると回り込む波の成分が小さくなり,伝搬損失の変化が桑の成長に対して小さくなる.一方,垂直偏波では,桑の成長に対して伝搬損失の変化が少ないことがわかった.得られた電波伝搬特性は農場センサネットワーク構築に有用である.
樹木中の920MHz帯電波伝搬特性を2次元FDTD解析し,葉の集合を2通りにモデル化したものでその損失特性を比較している.モデル1はn個のセルのうち1個を葉,(n-1)個を空気と考え,そのパターンの集合を樹木とする.またモデル2は樹木全体を葉と空気の中間の電気特性をもつ媒質と考え,葉の誘電率・導電率を1/nにしたものとする.解析領域は大地を含めた樹木を横から見た領域で行った.計算の結果,励振から70波長離れた観測点での伝搬特性を両モデルで比べてみたところ,水平偏波ではモデル1とモデル2は同等の伝搬特性が得られた.一方,垂直偏波ではモデル2の密度を4倍にしたものとモデル1とで同等の伝搬特性が得られた.
3月22日 13:15〜15:30 56号館 101教室 座長 前山利幸(拓殖大)
B-1-25 |
地上デジタル放送波とGPSを用いた高精度・高安定の発振器の検討
○沢井淳志・山本 隼・都竹愛一郎(名城大) |
B-1-26 |
長波JJY信号の受信C/Nの変動に関する研究
◎金森大輝・藪本 浩・都竹愛一郎(名城大) |
B-1-27 |
水中無線通信のための水中アンテナ試作
○小澤亮太・幸谷 智・小林岳彦(東京電機大) |
B-1-28 |
円形パッチFSS電波吸収体のノッチ数による偏波ロバスト性に関する基礎検討
◎篠崎友花・新井宏之(横浜国大) |
正確な時刻は、デジタル機器の同期や電子取引の時刻決定において重要な役割を果たしている。正確な時刻を保つためには、正確な周波数を得ることが重要である。現在、正確な周波数は、ルビジウム原子発振器やセシウム原子発振器といった原子発振器から得ることができる。しかし、原子発振器は高価であり、安価な発振器が望まれている。その1つとして、地上デジタル放送波を利用した発振器が考えられる。我々の研究室では既に、地上デジタル放送波に同期した水晶発振器を作成し、地上デジタル放送波と同等の短期安定度を得ることができている。本研究では、地上デジタル放送波に同期した水晶発振器をGPSに同期させ、長期安定度を向上させた発振器について検討している。
長波JJY信号より時刻情報を得るには,0秒から59秒までの連続した情報を正しく受信する必要がある.夜間において,長波JJY信号は電離層で反射し,受信電界強度は電離層の影響を受け,昼間より受信電界強度が高くなるため,夜間の方が時刻校正しやすいと考えられている.本研究では,電波時計の安定した時刻校正にむけて,長波JJY信号の電界強度を測定し,受信C/Nを求めた.結果,季節によっては昼間に時刻校正しやすいことが明らかになった.
水中での電波を用いた無線通信は新たな水中開発技術として注目されており,この技術を利用した水中ロボット間通信等の実現が期待されている.
そこで今回,淡水を想定した10 MHz帯水中アンテナの試作をし,所望の周波数で動作することを確認した.またこの水中アンテナを用いて淡水中での電波伝搬特性を測定し,測定値と理論値は近似するとともに,伝搬損失がおよそ61 dB/mとなる結果を得た.
薄型電波吸収体として、誘電体基板一枚による周波数選択板(FSS: Frequency Selective Surface)を用いたものが提案されている.本稿ではFSSの形状と偏波特性の関係性を明らかにするため,筆者らが以前提案していたノッチ入り円形パッチFSSを元に反射特性の解析をした.
その結果,ノッチの数が増えると偏波による影響を抑えられることを確認した.ノッチが8本の場合が二重共振となるため-10dBの帯域幅が広くなった.以上のことから,円形パッチFSS吸収体ではノッチが8本の場合が最適であると言える.
休 憩(14:30 再開) 座長 芳野真弓(日本電業工作)
B-1-29 |
スモールオフィスにおける26GHz帯の伝搬損失特性推定
吉江明花・◎山岸誠知・日景 隆(北大)・久野伸晃・中村光貴・山田 渉・鷹取泰司(NTT) |
B-1-30 |
ミリ波帯屋内超高速無線アクセス回線における準決定論的伝搬経路モデル
○岸本 悟・金 ミンソク(新潟大) |
B-1-31 |
屋内環境におけるミリ波帯イントラクラスタ特性の測定
○赤坂啓太・金 ミンソク(新潟大) |
B-1-32 |
室内光無線通信の回線設計に関する検討
◎金岡舜一・新井宏之・橋口 弘(横浜国大) |
第5 世代移動通信システムの実現に向け国内外問わず多くの研究が行われている.5Gでは現行の第4世代移動通信システムより高い周波数帯(6 GHz以上)も利用されるため,セル設計やシステム設計のための伝搬環境推定 では,人体による遮蔽や壁面粗さなどを考慮した評価が重要である.著者らはこれまで,大規模FDTD解析を用いた26 GHz帯屋内電波伝搬特性推定法について検討し,什器や人体による遮蔽影響などを含む損失推定モデルの構築を行っている.本稿では,これら大規模解析結果の妥当性検証を目的として実施した,数値解析と同一条件での小規模オフィス内における伝搬損失特性の測定結果を報告する.
近年のモバイルトラフィックの急増を受け,最大30Gbpsでの超高速無線通信が可能であるミリ波帯(60~GHz帯)の無線LANシステムが開発されている.IEEE802.11ayの伝搬経路モデルでは,既存のIEEE802.11adの伝搬経路モデルの効率と性能の向上のために準決定論的(Quasi-Deterministic: Q-D)伝搬経路モデルが採用されている.
Q-D伝搬経路モデルでは,多重波クラスタを決定論的成分(強電力をもつ正規反射成分:D-ray)と確率論的成分(散乱や多反射成分:R-ray)に分けて,伝搬経路のインパルス応答を表現する.D-ray は周囲環境により決定されるため,正規反射成分がレイトレーシング(RT)法などにより幾何光学的に生成される.一方で,R-rayは測定から得られたInter-cluster特性から確率論的に生成される.本稿では,超分解能伝搬経路推定手法\cite{subgrid}を用いた測定結果を解析し,RTの結果を照らし合わせて支配的な成分が決定論的手法により正確に予測できることを確認した.さらに,壁面反射成分のIntra-clusterパラメータを算出し,会議室環境におけるQ-Dモデルを構築した.
次世代移動通信システムに向けて6GHz以上の高周波数帯の利用が検討されており,電波伝搬特性の解明とモデル化が課題となっている.ミリ波帯においては,波長が散乱体の大きさに比べて十分短いことから,正規反射が支配的な伝搬メカニズムとなる.しかし,その正規反射において,表面の粗さが波長に比べて無視できないため,正規反射に伴う拡散散乱を考慮する必要がある. IEEE802.11ad/ayの通信路モデルでは,壁や地面の正規反射パスを複数の素波で構成されたイントラクラスタ特性として表わしている.本研究では,定速移動測定により観測した正規反射成分のフェージング特性からイントラクラスタ特性の検証を行った.
光無線通信の高速・大容量が注目されており,さまざまな環境で実証されている.しかし,室内短距離通信を目的とする光アンテナの性能については詳細な検討が少ないため,本稿では回線設計を行い光無線通信で求められるアンテナの性能を明らかにした.自由空間での光無線通信における光アンテナの性能を求めるため,回線設計を行った.これら結果より,室内での光無線通信における光アンテナのパラメータを特定することが可能になる.
B-1. アンテナ・伝播B(アンテナ一般)
3月19日 9:00〜11:45 56号館 102教室 座長 笹森崇行(北海学園大)
B-1-33 |
Characteristic Mode法による開口を有する筐体のモード解析
◎神山一貴・新井宏之(横浜国大) |
B-1-34 |
円偏波給電回路の反射特性のみを用いた軸比測定
○山本伸一・井田雄也・瀧川道生(三菱電機) |
B-1-35 |
円筒座標系のダイアディックグリーン関数を用いた近傍界遠方界変換に関する一検討
◎持木和人・今野佳祐・陳 強(東北大) |
B-1-36 |
電波の偏波表現に関する一考察
○内藤 出(新居浜高専) |
B-1-37 |
DBF/チャネライザ機能を用いたフェーズドアレーアンテナのパターン測定
○織笠光明・大倉拓也・三浦 周(NICT)・仙波新司(アクシス) |
近年のスマートフォン普及に伴い,内蔵型アンテナが主流になると,筐体を含めたアンテナの共振を利用することで,計算時間の効率化が図れる.そこで本報告は,モード解析の一種であるCM (Characteristic Mode)法を用いて,筐体のモード解析による諸特性について述べる.
反射鏡アンテナの一次放射器として用いる円偏波給電回路は、低軸比であることが求められることが多く、軸比を精度良く測定する必要がある。一般的に軸比を測定する場合、給電回路の通過特性の直交する2つの成分を測定して円偏波合成する手法を用いる。特に周波数の高いKa帯等では正確に測定することが課題となる。本稿では、通過特性を測定することなく、比較的測定が容易である反射特性のみを用いて、軸比を精度よく測定することを目的とする。
近年の情報通信社会の発展にともない,アンテナに対する要求が厳しくなっている.
その1つにアンテナの遠方界特性を高精度かつ簡易的に求める測定法の要求がある.しかし,アンテナの遠方界測定において,送受信アンテナを互いの遠方界領域に置くために十分に距離を大きくする必要があること,また屋外で行う場合は理想的な実験環境の構築は難しいことなどから,実験的に測定するのは困難である.本研究ではアンテナの近傍界を円筒走査によって測定し,円筒座標系におけるダイアディックグリーン関数と近傍電界を用いて,遠方界推定を行う手法の有用性を確認し,各種走査パラメータが遠方界推定に与える影響を明らかにした.
電波の偏波状態は,旋回方向を符号で考慮した軸比とチルト角,あるいは偏波比で表現され,幾何的表現としてポアンカレ球上の一点として表される.これらは確立されたものであるが,文献によって定義が異なったり,同一の文献中でも整合しない場合があるように見受けられ,混乱を生んでいるように感じられた.本稿では,筆者の理解に基づく表現を示し,いくつかの文献と比較した結果を報告する.
将来の衛星搭載用アンテナの高機能化,高性能化の要求に対して,情報通信研究機構(NICT)ではDBF/チャネライザとアレー素子を組み合わせたアンテナの研究開発を進めている.しかし機能・性能確認はDBF/チャネライザ自身の機能・性能のみであった.今回DBF/チャネライザの総合評価として放射素子と組み合わせたアレーアンテナの放射パターン測定を実施した.ここではその結果について報告する.
休 憩(10:30 再開) Chairperson Mitoshi Fujimoto(Univ. of Fukui)
[English Session 1]
B-1-38 |
Diagnosis of Array Antennas with Defective Elements Using Artificial Neural Network
◎Xin Wang・Keisuke Konno・Qiang Chen(Tohoku Univ.) |
B-1-39 |
Experimental Evaluation of Intersymbol Interference in Non-Far Region Transmission using 30-GHz Band Large Array Antennas
○Tuchjuta Ruckkwaen・Kiyomichi Araki・Takashi Tomura・Jiro Hirokawa・Makoto Ando(Tokyo Tech) |
B-1-40 |
Comparison of received power and channel capacity with micro and milli-meter wave bands based on outdoor propagation measurement
◎Ryotaro Taniguchi・Kentaro Nishimori(Niigata Univ.) |
B-1-41 |
Human-Body Localization Using Unsynchronized MIMO Radar
◎Abuduaini Abudusaimi・Nobuyuki Shiraki・Naoki Honma・Dai Sasakawa(Iwate Univ.)・Takeshi Nakayama・Shoichi Iizuka(Panasonic) |
B-1-42 |
Experimental Investigation of Wave-packet Propagation Dynamics in Terahertz Frequency Region
○Hana Arisesa・Yusuke Tanaka・Shintaro Hisatake(Gifu Univ.) |
A method based on NNs is designed for diagnosis of antenna arrays in this report. The near-field works as the input and the current of an antenna under test is the output in this model. The effect of size of the training dataset and the number of sampling points are investigated. The result of numerical simulation shows that the proposed model can estimate the current distribution correctly. As a result, defective elements are detected.
The intersymbol interference (ISI) in 60GHz-band l28x64-slot array antennas in non-far region transmission [1] was evaluated and compared with experimental data in [2], [4]. The ISI level, however, was high due to the non-uniformity in the antenna excitation caused by fabrication problems. In this paper, a new 64x32-slot array antenna in 30-GHz band with better performance is introduced and ISI is then evaluated.
In the 5th generation mobile communication system, it is assumed that multiple cells with different frequency bands are used for further improving the frequency utilization efficiency. In this report, we measure and evaluate the received power and channel capacity in the microwave and millimeter wave bands (5.12 and 19.55GHz).
This study investigates the frequency offset elimination technique suitable for the living-body MIMO radar in unsynchronized conditions. The phase error due to the frequency offset is successfully eliminated by using the direct path between the transmitter and receiver.The experimental results indicate that the 50-percentile of distance error was decreased from 3.5 m to 0.3 m. The result demonstrated that the proposed method can estimate living-body locations with a high accuracy even when the system has a frequency difference between the transmitter and receiver.
Previously, we developed visualization system for continuous wave in the THz band [1]. In this presentation, we demonstrate a measurement system for the experimental investigation of propagation dynamics of wave packet in terahertz (THz) frequency region based on electrooptic (EO) sensing. The wave packets are modeled by superposition of harmonic continuous wave frequencies in THz frequency. The amplitude and phase distributions of electromagnetic (EM) wave at every sequence frequency is measured then summed up to visualize the wave packet propagation dynamics in free space.
3月19日 13:00〜17:00 Room 102, Bldg. No. 56 Chairperson Ryo Yamaguchi(Softbank)
[English Session 2]
B-1-43 |
Proposal of a Polarization Switchable Active Array Antenna Integrating a Single-Lambda Slot-Ring Gunn Oscillator and PSK Modulator
◎Maodudul Hasan・Eisuke Nishiyama・Ichihiko Toyoda(Saga Univ.) |
B-1-44 |
Experimental Study of a Circularly Polarized Dual-Axis Dual-Beam Array Antenna Employing Dual-Feed Network
○Thet Paing Phyoe・Eisuke Nishiyama・Ichihiko Toyoda(Saga Univ.) |
B-1-45 |
Dual-Band Flat Lens Antenna
○Arie Setiawan・Yoshihiko Kuwahara(Shizuoka Univ.) |
B-1-46 |
Design of the Matching Coupling Slot for Parallel Plate Waveguide with Hard Walls
◎Tianyu Wang・Takashi Tomura・Jiro Hirokawa(Tokyo Tech) |
B-1-47 |
Analysis of the 2×2 Radiating Slots with the Perpendicular Corporate-feed Based on Method of Moments
○Shuang Ji・Takashi Tomura・Jiro Hirokawa(Tokyo Tech) |
A polarization switchable active integrated array antenna (AIAA) using a PSK modulator and single-lambda slot-ring Gunn oscillator for polarization switching is newly proposed for spatial modulation applications. Employing a PSK modulator in the
horizontal feed line, it is possible to flip the horizontal polarization of the antenna and hence the polarization can be switched between ±45.
This paper proposes a new circularly polarized microstrip array antenna integrating four circularly polarized antenna elements and a dual-feed network. The proposed antenna provides the pencil and conical-beam radiation patterns in the x-z and y-z planes by effectively using the planar magic-Ts. The performances of the array antenna are experimentally confirmed to highlight its features. The proposed antenna can be used in many kinds of advanced antennas such as a beam steering antenna and wide-angle rectenna.
Flat lens antenna known as the transmittarray antenna is a solution to bulky and heavy dielectric lenses. The antenna consists of a feeding antenna and planar array as phase delay or tuner. Due to the low profile, high gain, and lightweight, also effective in two frequency bands without changing the structure array, a flat lens antenna still attracted much attention for recent years. In this research, the lens antenna for dual-band and circular polarized application is proposed.
A parallel plate antenna is attractive for millimeter-wave application due to its high antenna efficiency, light weight, and simple structure. It is truncated by hard walls at the edges. This paper aims to analyze and design the matching coupling slot by HFSS.
This paper conducts the analysis of a novel 2 × 2 radiating slots sub array with the perpendicular corporate-feed based on method of moments.
休 憩(14:30 再開) 座長 松沢晋一郎(豊田中研)
B-1-48 |
5.8GHz帯ビーム型無線電力伝送用ラジアルラインスロットアンテナ
○戸村 崇・広川二郎(東工大)・古川 実・藤原暉雄(翔エンジニアリング) |
B-1-49 |
半波長間隔スリット層を用いたE面配列導波管スロットアレー送受信アンテナ間のアイソレーション向上
◎地頭所浩平・戸村 崇・広川二郎(東工大) |
B-1-50 |
Tの字型スロットと非共振クロススロットによる所望の利得を実現する同心円状配列ラジアルラインスロットアレーアンテナ
◎橘 朋美・樋熊康裕・常光康弘(拓殖大) |
B-1-51 |
ネジ締結加工樹脂導波管スロットアレーアンテナ
◎宇野 孝・中本成洋・深沢 徹・米田尚史・山本剛司・柿元生也(三菱電機)・小西善彦(広島工大) |
B-1-52 |
2×2素子を放射単位とする並列給電導波管スロットアレーアンテナのスリット層装荷によるEH両面サイドローブ抑圧の検討
荒川遥香・○広川二郎・戸村 崇(東工大) |
電気自動車やドローンへの無線給電としてマイクロ波によるビーム型無線電力伝送が検討されている.電波型無は近距離から長距離までの無線電力伝送を実現できる.筆者らはラジアルラインスロットアンテナによるビーム型無線電力伝送系の基礎検討をした.本稿ではラジアルラインスロットアンテナを設計し,電磁界解析により送受信アンテナ間の伝送量を検討する.
同一周波数同一偏波で送受信を同時に行う空間分割複信では十分な送受間アイソレーションが必要である。導波管スロットアレーを用いた場合、素子指向性からH面配列ではアイソレーションは確保できるが、E面配列ではできない。二層構造導波管並列給電スロットアレーの上にE面方向に半波長間隔のスロットのペアを設けてエンドファイア方向の放射を抑圧したが、スロットの周波数特性により動作帯域が狭かった。本稿では、スロット層をスリット層に置き換えて検討を行った。
ラジアルラインスロットアレーアンテナ(RLSA)とは,高利得・高効率の平面薄型アンテナである.衛星放送受信用アンテナや,金星探査機あかつき,小惑星探査機はやぶさ2 などに使用されている.
本報告では,放射スロットの最外周部に非共振クロススロットを用いることで反射を抑圧し,内周部にTの字型スロットを必要な周配列することで,最少1周から任意の周にかけて,反射が少なく所望の利得を実現する同心円状ラジアルラインスロットアレーアンテナを提案する.
導波管スロットアレーアンテナの課題であるコスト・重量を解決するため,樹脂導波管スロットアレーアンテナを開発している.樹脂導波管を加工する場合,ネジ締結部が必要となる.放射導波管を幅方向へ密に配列させるためには,ネジ締結部を導波管内部に設ける必要があるが,ネジ締結部の影響により放射パターンが劣化する.
本稿では,放射パターン劣化を低減させるために,導波管内に突起部を設けた,目標サイドローブレベル(以下SLL)-32 dB以下の直交二偏波樹脂導波管スロットアレーアンテナの垂直偏波アンテナについて報告する.
2×2素子を放射単位する並列給電導波管スロットアレーアンテナの開口分布にテイラー分布を適用すると,1.66波長周期の放射単位内一様励振に起因するグレーティングローブが30-40度方向に生じる.これまでに,著者らはスリット層を装荷し,E面とH面それぞれでグレーティングローブを抑圧するアンテナを設計した.これらをふまえて,本稿ではEH両面においてグレーティングローブを抑圧するアンテナを設計した.
休 憩(16:00 再開) 座長 井上和弘(東芝)
B-1-53 |
平行平板装荷シングルテーパスロットアンテナのビーム走査特性改善
○渡辺 光・山口 聡・中本成洋・深沢 徹・米田尚史(三菱電機) |
B-1-54 |
2面結合ハイブリッドとコルゲート導波管形移相器を用いた非遠方界2次元直交4多重伝送用ビーム切換回路の設計
○和田健太郎・戸村 崇・広川二郎(東工大) |
B-1-55 |
SIWを用いた広帯域導波管-MSL変換回路
○三木祐太郎・桑山一郎・山岸 傑(住友電工) |
B-1-56 |
先端開放プローブを用いた方形導波管狭壁面給電に関する検討
◎上坂昂司・中本成洋・深沢 徹・米田尚文・山本剛司・柿元生也(三菱電機)・小西善彦(広島工大) |
フェーズドアレーは,周波数帯域の上限周波数で覆域端ビーム走査時にグレーティングローブが出ないように素子間隔を決定する.したがって,広帯域フェーズドアレーでは下限周波数においては波長オーダでの素子間隔が特に密となる.素子間隔が狭いと,素子間相互結合が大きくなり,広角方向ビーム走査時のアクティブ反射が劣化するといった課題があった.本稿では,平行平板装荷シングルテーパスロットアレーアンテナにおいて,下限周波数におけるE面ビーム走査時の利得低下を改善する構造を提案し,電磁界解析により有効性を検討した結果を示す.
ミリ波帯用の空間分割多重伝送方式の一種であるOAMと等価な方式として直角座標系直交多重(ROM)方式が提案されている.著者らは,ビーム切換え回路を用いたアンテナ系を実現するために,2面結合器とコルゲート移相器を用いた4モードROM多重伝送用ビーム切換え回路を66.5GHz帯で設計した.コルゲート移相器は64-68GHzでVSWR1.1以下,移相誤差7.1°以下の結果を得た.ビーム切換え回路全体を解析し,比帯域4.6%,移相誤差15°以下の結果を得た.
ミリ波レーダアンテナ等の給電部に用いられる、導波管からプリント基板上のマイクロストリップ線路(MSL)への変換については、これまで種々の手法が提案されている。筆者らは基板集積導波路(SIW)を用いることで、広帯域な導波管-MSL変換回路を実現した。本稿ではその検討内容について報告する。
方形導波管を狭壁面からプローブで給電する場合,磁界結合をするためにプローブをL字にし,先端を方形導波管の広壁面に短絡する方法がとられる.しかしながら,プローブの加工や方形導波管との導通が必要であることから製造性に課題がある.本稿では,上記課題を解決するために方形導波管にアイリス構造を設け,方形導波管狭壁面から直線状プローブを挿入する給電構造を提案する.
3月20日 9:00〜11:45 56号館 102教室 座長 有馬卓司(東京農工大)
B-1-57 |
2つの反射位相特性を有するメタ表面を用いた2×2 LOS-MIMOのチャネル容量改善
○久世竜司・福迫 武・松島 章(熊本大) |
B-1-58 |
広帯域直交偏波変換機能を有するボウタイ型メタ表面
○野一色崇志・福迫 武・久世竜司(熊本大) |
B-1-59 |
複数の周波数で共振する球面アンテナに関する基礎検討
◎藤田佳祐(弓削商船高専) |
B-1-60 |
誘電体チューブアンテナの開口面効率と交差偏波特性
山内潤治・◎安藤 瑠・中野久松(法政大) |
B-1-61 |
隣接通信エリア構築を可能とするウエーブ型電磁波フィルタ
○甲斐 学・伴 泰光(富士通研) |
大容量の移動通信を実現する伝送方法として, Multiple Input Multiple Output (MIMO)がある.見通しでのMIMO伝送は,直接波の影響が支配的となる.よって,アンテナ素子間隔を適切に設定し設置することが重要である.この問題を回避するために,メタ表面反射板を用いたLOS-MIMOの構成を提案した.
本報告では,縁端部を中心部とは異なる反射位相特性を持つメタ表面を用いることで,縁端の影響をチャネル容量改善に寄与させる構成を提案する.
本研究報告では広帯域な直交偏波変換機能を有するボウタイ型メタ表面について提案を行う.
このメタ表面はグラウンド板を含む誘電体上にボウタイ型の金属パターンの層を単位セルとして周期的に配列されており,その単位セルは縦が1/3波長,横が1/4波長,厚みが1/8波長程度の大きさである.
具体的な性能については12x8配列の周期構造では中心周波数8.5GHz,比帯域36.4%の範囲において入射波の95%以上を偏波面を直交させて反射する.
アンテナを小型化していくと,電磁蓄積エネルギが大きくなることで帯域幅が小さくなってしまうことが知られている.従来の帯域幅限界に関する研究はアンテナが単一共振であるという前提条件に基づいていた.しかし,アンテナが異なる周波数で複数の共振を持つ場合についての理論限界は知られていない.さらに,アンテナを複共振させるための条件も明らかでない.そこで,本報告では単純な形状で解析的取扱いが可能な球面アンテナを対象にして,2つの共振を可能にする励振電磁界の満たすべき条件を求めた.
給電部に誘電体小球を有するチューブアンテナを取り上げ, 開口面効率と伝搬界分布との関係を議論する. さらに, これまで未検討であった, 円偏波励振時の交差偏波特性も検討する.
事務所や工場等において、無線LANに代表される近距離無線は、AP同士の干渉が発生する。通常は、CHを変更して干渉を低減させるが、他の通信システムが乱立する場合、CH数に限界が生じ、通信速度の低下を招くことになる。そこで、APからのビームを絞ることができ、かつ、不要なエリアまで電波を飛ばさない角状エリアを形成することの可能なウエーブ型電磁波フィルタを開発した。複数のλ/2長スロットの入った複数の金属板を所定の角度で交互に並べることで構成される。従来のモノポール式に比べ、ガードエリアを約1/10に狭くすることができ、隣接した通信エリアを構築することができる。
休 憩(10:30 再開) 座長 瀧川道生(三菱電機)
B-1-62 |
利得の安定化を図ったキャビティ装荷偏心スパイラルアンテナの測定結果
◎山浦真悟・千葉英利・山口 聡・深沢 徹・西岡泰弘・米田尚史(三菱電機) |
B-1-63 |
コニカルスパイラルアンテナにおける構造と軸比の関係性
◎内田和宏・今野佳祐・陳 強(東北大) |
B-1-64 |
海中におけるkHz帯アンテナの伝送特性
◎竹村大幹・佐藤弘康・陳 強(東北大) |
B-1-65 |
傾斜した短絡素子の装荷によるモノコーンアンテナの小型化
○松林一也・道下尚文・森下 久(防衛大) |
B-1-66 |
オングラスダイポールアンテナ特性に対する車体影響の定量的評価
○小川鉄矢・宇野 亨・有馬卓司・櫛山裕次郎(東京農工大)・加賀谷 修(AGC) |
ビームチルト特性を有する偏心スパイラルアンテナは,メインビーム方向が周波数に依存する課題を有する.本課題を回避するため、キャビティに内蔵した電波吸収体をアンテナパターン面に近接させることが有効である.これにより,所望の覆域内での最小利得を向上できる.更に,電波吸収体とアンテナパターン面の間隔(空気層)には最適値があることが報告されている.本稿では,この間隔を最適値で設計したキャビティ装荷楕円型偏心スパイラルアンテナの測定結果を示し,設計結果の妥当性を実証する.
コニカルスパイラルアンテナは入力インピーダンスが周波数に依存せず,円偏波を放射する超広帯域アンテナとして広く知られている.このようなコニカルスパイラルアンテナにおいて,軸比と構造との関係はあまり明らかにされているとは言えない.そこで本研究ではコニカルスパイラルアンテナの構造の特徴を示しつつ,どのような構造の時に良好な軸比である円偏波を放射するのかを明らかにする.
海中通信はダイバーや潜水機との通信,センサーネットワークの構築などに期待されている.本報告では, 海中においてkHz帯の電波を伝送するアンテナの特性と,伝搬特性との関係を数値的に解析した結果を報告する.本稿ではアンテナ構造を変化させたときのSパラメータをFDTD(Finite Difference Time Domain)法解析により求め,最大伝送係数τを評価した.海中における送受ダイポールおよび送受ループの最大伝送係数について,偏波及びシースの有無に対して評価した.その結果,近距離通信ではループアンテナの偏波依存性がダイポールアンテナに比べて小さく,100 kHz以下における最大伝送係数はループアンテナがダイポールアンテナに比べて高いことがわかった.
モノコーンアンテナは無指向で広帯域の特性を有するが,動作帯域の下限周波数はアンテナ寸法に依存する.本稿では,地上デジタル放送(470~700 MHz)と携帯電話(700~3600 MHz)の周波数帯をカバーする広帯域アンテナとして, 3本の傾斜した短絡素子の装荷によるモノコーンアンテナの小型化を検討する.
自動車に設置されるアンテナは意匠の観点よりガラスに直接取り付けられるオングラスアンテナを用いることが多くなっている.車載用アンテナ設計では,アンテナ単体の特性と自動車搭載時の特性が大きく異なるため,アンテナ単体だけでの評価ができない.しかし,車体を含むモデルのシミュレーションは,膨大な解析時間とメモリが必要になるという問題がある.本報告では,車載アンテナ設計に必要な計算機資源の削減を図るために,自動車の車体全体モデルから一部を省いたモデルを用いて,アンテナ特性の評価を行い,車体の影響について明らかにする.
3月20日 13:00〜17:00 56号館 102教室 座長 榊原久二男(名工大)
B-1-67 |
層厚が異なる構造を用いた350GHz帯並列給電導波管スロットアレーの広帯域化設計
◎倉本 航・戸村 崇・広川二郎(東工大)・Joachim Oberhammer(Royal Inst. of Tech.) |
B-1-68 |
導波管カプラを用いるテラヘルツ帯グーボー線路の励振
○橋爪 智・門内靖明(慶大) |
B-1-69 |
藍藻スピルリナを鋳型として作製した微小ヘリカルアンテナ
○野竹孝志(理研)・彌田智一(同志社大)・鎌田香織(防衛医大)・大谷知行・南出泰亜(理研) |
B-1-70 |
3Dプリンタを用いて構築するW帯ミリ波レーダ用ABS樹脂製反射型フレネルレンズアンテナの設計および特性推定
○二ッ森俊一・坂本信弘・曽我登美雄(電子航法研) |
B-1-71 |
準ミリ波帯における誘電体キューブアンテナの放射パターン計測
○佐村雄斗・堀尾和輝(岐阜大)・Oleg V. Minin・Igor V. Minin(Tomsk State Univ.)・久武信太郎(岐阜大) |
著者らは,表面が金メッキされたシリコンウェハを拡散接合した350GHz帯で並列給電導波管スロットアレーアンテナを試作し,ピーク利得29.5dBi、利得3dB低下帯域幅12.7%を実現した。従来は試作のやりやすさのため厚さが200μmの1種類のウェハ5枚を使用していたが,さらなる広帯域化のため厚さの異なるウェハを用い、ウェハの枚数を増やして6枚とした。本稿では、使用するウェハの厚さを考慮して放射単位である2x2スロットサブアレーを設計した。板厚を固定とし、その他の11のパラメータを調整した。反射が-15dB以下の比帯域が最大化されるように設計した結果、従来の比帯域9.1%(332.5GHz~364.2GHz)に対して、本モデルでは比帯域20.7%(326.5GHz~398.9GHz)を得られた。
300 GHz帯グーボー線路を作製・励振する新しい方法を提案する。グーボー線路とは、単一導体層およびそれを取り囲む誘電体層からなる伝送線路である。二つの導体間に電磁界を閉じ込めて伝送するマイクロストリップ線路と比べて電磁界の閉じ込めが弱いため、金属損失、誘電損失の低い伝送を実現できる。本発表では、300 GHz帯で用いられるWR3.4矩形導波管と結合したグーボー線路を設計、実装した結果を述べる。グーボー線路による低損失な伝送が可能になることで、近接する対象物のセンシングや、漏れ波アンテナの実装などに応用することができ、テラヘルツセンシングシステムの実現に資するものと考えられる。
3次元螺旋形状を有する藻類スピルリナを鋳型として、テラヘルツ光の波長程度のサイズスケールを有する微小金属コイルを製作した。このコイルを、次世代超高速テラヘルツ無線通信用ヘリカルアンテナとして応用できると考え、テラヘルツ近接場顕微鏡を用いてテラヘルツ放射パターンを高空間・時間分解能で計測した。エンドファイヤーモード及びノーマルモード放射ともに、広帯域で放射している様子が確認できた。
3Dプリンタを用いて構築する誘電体アンテナは,ミリ波レーダ等に適用して,高利得かつ低コストでアンテナを実現できる可能性がある.筆者らは民間航空用ミリ波レーダの研究開発を実施しているが,3Dプリンタ製アンテナは,上記利点のためミリ波用途に適したアンテナの一つである.一方,3Dプリンタ材料として多く用いられるABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂は非常に低コストである利点があるが,従来のミリ波用誘電体に比較して誘電正接が大きい課題がある.本稿では,ABS樹脂製高利得アンテナを実現するための基本検討として,反射型フレネルレンズアンテナを設計および解析し,アンテナ特性と材料定数との関係を議論する.
無線通信の高速化・大容量化のニーズに応えるために、高いキャリア周波数であるミリ波・テラヘルツ波通信に関する研究が多く進められている。中でも、アンテナは送受信におけるキーデバイスであり、ミリ波・テラヘルツ波帯では広帯域性、導波管への接続性、取り回しの良さなどの観点からホーンアンテナが多く使われれているが、アンテナの小型化が課題となっている。本発表では、波長程度の大きさでありながら、同じ大きさのホーンアンテナと比較して指向性が鋭く、構造が簡単な誘電体キューブアンテナ(dielectric cuboid antenna(DCA))を提案する。
休 憩(14:30 再開) 座長 桧垣 誠(東芝)
B-1-72 |
電磁バンドギャップ構造によるテーパスロットアンテナの広帯域な直接結合の低減
◎平野拓海・廣瀬 明(東大) |
B-1-73 |
進行波型直列給電ダイポールアレーアンテナの設計
○後藤 準・丸山貴史・宇田川重雄・深沢 徹・米田尚史(三菱電機) |
B-1-74 |
広角ビーム走査フェーズドアレー向けクロススロット結合パッチアンテナ
◎横川 佳・中本成洋・高橋智宏・深沢 徹・大塚昌孝・米田尚史(三菱電機) |
B-1-75 |
円形ループアンテナアレイに平面波が入射した場合の受信電流の解析
○斉藤 昭・石川 亮・本城和彦(電通大) |
B-1-76 |
モーターによる素子回転を利用したラジアルライン給電ヘリカルフェーズドアレーの実験検証
○中本成洋・鈴木雄将・山口 聡・深沢 徹・米田尚史・宮下裕章(三菱電機) |
テーパスロットアンテナを用いたSFCW(Stepped Frequency Continuous Wave)方式による地中探査レーダ(Ground Penetrating Radar: GPR)は、広帯域での測定を行うことにより深さ方向の解像度を向上させることができ、パルス波を用いた計測よりもSN比を高く保てる利点がある。また、密に並べられたそれぞれのテーパスロットアンテナで独立に一点を観測することで、合成開口処理を行わずに高い空間分解能を実現する。しかしこの時、テーパスロットアンテナ間の直接結合が問題となる。
本発表は、電磁バンドギャップ構造(Electromagnetic Band Gap: EBG)を用いた広帯域かつ低直接結合なテーパスロットアンテナを提案し、その特性の評価を行う。
進行波型直列給電型ダイポールアレーアンテナを設計法を確立した。ダイポール素子中央部を横断するように幅狭のマイクロストリップラインを配置し、変成器により各素子への電力分配およびインピーダンス整合を図ることで、ブロードサイド方向に直線偏波を放射する4素子ダイポールアレーアンテナを実現できることをシミュレーションにより確認した。
近年, 円偏波パッチアンテナを用いて広角方向にビーム走査するフェーズドアレーが検討されている. しかし, 広角ビーム走査時において, 利得低下が大きく軸比特性が劣化する課題がある. 一方, パッチアンテナを形成する基板の等価比誘電率を1.2~1.7とすることで, 広角方向の軸比特性が改善することが知られている. 本稿では, 広角ビーム走査時の軸比特性改善及び放射効率改善のため, パッチアンテナ素子を形成する基板内部に導体柱を用いて中空構造を設けたクロススロット結合パッチアンテナ素子方式を提案する.
異なる軌道角運動量を有するOAM波(高次磁気量数モード)の直交性を活用し、これを直接放射するループアンテナアレイを用いたOAM多重通信方式が提案され有用性が示されている。ここではループアンテナの磁気量子数高次モードへの感度を活用した、センサーへの応用のための基礎検討として、ループアレイに平面波が入射した場合の受信電流を解析した
高効率・高利得な平面アレーとして,ラジアルライン給電アレーがある.筆者らはこれまで,同アンテナにおいて,動的なビーム走査を実現すべく,ラジアルライン給電された各ヘリカル素子の回転角をモーターにより個別制御し,ビーム走査を実現するラジアルライン給電ヘリカルフェーズドアレーを提案している.本稿では,提案アンテナの試作検証結果を示す.試作検証の結果,良好なビーム走査特性を確認するととともに,正面方向での中心周波数におけるアンテナ利得は30.2 dBi(効率77%)で,軸比1.1 dBの良好な放射特性を確認した.
休 憩(16:00 再開) 座長 三浦 周(NICT)
B-1-77 |
誘電体板を装荷した葉状ボウタイスロットアレーアンテナ
◎蒔苗匠馬・山本 学(北大) |
B-1-78 |
電磁結合を利用した直列給電アレーアンテナ
○山ヶ城尚志・甲斐 学(富士通研) |
B-1-79 |
位相差給電による水平面内ヌル制御プリントアレーアンテナ
○田村 成・勝田 敦・新井宏之(横浜国大) |
B-1-80 |
4ブランチ切替ダイバーシチ用の簡易な2素子アンテナアレー
○西本研悟・西岡泰弘・米田尚史(三菱電機) |
高誘電率の誘電体板を平面アンテナ上に配置し,アンテナ素子と誘電体板との間隔を適切に設定することで,アンテナ単体の場合に比べて高利得化及び狭ビーム化が可能である.本稿では,本手法を用いることで,葉状ボウタイスロットアレーアンテナの高利得化及び狭ビーム化が可能であることをFDTD法による数値シミュレーションによって示す.
無線IoT技術によって製造現場の生産性向上を目指す際,管理者の異なる無線からの電波干渉が問題になる.本干渉を低減する一手法として,利得が高い指向性アンテナを用いて,限られた領域に電磁波を放射する方法が考えられる.このような目的で利用するため,電磁結合を利用した直列給電アレーアンテナを設計し,電磁界シミュレーションと実測により5GHz帯無線LANの動作周波数帯で,動作利得10dBi以上の良好な特性が得られることを確認した.
本稿では、ヌル制御範囲を-60°から60°の制約下に置くことにより、簡易的なヌル制御を可能にするアンテナを提案する。製作が容易であるプリントモノポールアンテナを2素子同一平板上に設計し、ストリップ線路を同一平面上に配置してシミュレーションによる検討を行う。また、アンテナ背面に反射板を配置したときの指向性の変化についても検討する。
マルチパス環境に設置される小形無線端末用アンテナにおいては,ダイバーシチ方式が有効であり,ブランチ数を増やすほどフェージングによる受信電力低下を低減できる.しかし,小形端末に複数のアンテナを搭載する場合にはアンテナ間の相互結合が強くなるため,多数のアンテナを用いるのは困難である.そこで,先に,1個の方向性結合器と3個の移相器を組み合わせることにより2素子アレーで4ブランチ切替ダイバーシチを実現する小形アンテナを検討したが,回路サイズが大きく損失が増大するという課題があった.ここでは,より簡易な回路構成の4ブランチ切替ダイバーシチアンテナを提案する.提案アンテナは,2素子アンテナアレー,4個のサセプタンス素子,2個の移相器から構成される.計算により低相関の4ブランチダイバーシチが実現できることを確認する.
3月21日 13:00〜17:00 56号館 102教室 座長 道下尚文(防衛大)
B-1-81 |
板状C字型寄生素子による板状ダイポールアンテナの結合低減効果
○川上由紀(福井高専)・堀 俊和(福井大)・陸田裕子・萩原弘樹(日本電業工作) |
B-1-82 |
偏波によりビーム方向の異なるリフレクトアレーアンテナの検討
○深谷芽衣・小幡亮太・牧野 滋(金沢工大)・瀧川道生・中嶋宏昌(三菱電機) |
B-1-83 |
リフレクトアレーアンテナにおける曲率半径を用いた残留収差の簡易評価法
○琴浦 葵・牧野 滋・須永 誼(金沢工大)・瀧川道生・中嶋宏昌(三菱電機) |
B-1-84 |
円型メタループアンテナの実験検証
○吉野一徳・山内潤治・中野久松(法政大) |
B-1-85 |
低姿勢円偏波ヌルステアリングアンテナ
◎阿部智希・山内潤治・中野久松(法政大) |
寄生素子付きメタサーフェスを反射板として使用することで,アレーアンテナの薄型化および低結合化が可能であることが明らかとなっている.また,メタサーフェスを反射板として利用する場合,天頂方向の利得を考慮した最適素子数があることがわかっている.
本研究では,結合低減効果の広帯域化のため,板状寄生素子を提案している.板状ダイポールアンテナの結合を低減するため,反射板として用いたパッチ型メタサーフェスに板状C字型寄生素子を組み込んでいる.解析の結果,板状C字型寄生素子を用いることで,8%の比帯域幅において5dB以上の結合低減効果が得られた.
リフレクトアレーアンテナは,金属板装荷FSRの反射位相制御機能を適用している.FSRの素子の形状や寸法を適切に選ぶことで,一次放射器から発せられた球面波を平面波に形成する.本報告では,これらの機能を応用して,偏波により独立した位相制御を行い,各偏波で異なる方向にビームを放射するリフレクトアレーアンテナの素子について検討する。
収差を球面波に近似することで簡易的な残留収差の評価が可能であることを示した.本報告では,より厳密な残留収差を評価することで,収差が回転楕円面の一部であることを示す
角型メタループアンテナおよび円型メタループアンテナを解析してきた. 本稿では円型ループアンテナを試作し, アンテナ特性の解析結果を検証する.
円偏波を放射するヌルステアリングアンテナが報告されている. このアンテナの高さは約0.07波長となっている. 本稿では, 更なる低姿勢化を行うために, メタラインを用いた円偏波ヌルステアリングアンテナを提案する.
休 憩(14:30 再開) 座長 川上由紀(福井高専)
B-1-86 |
回転対称構造フォトニックバンドギャップアンテナ
山内潤治・◎齋藤星汰・安藤 瑠・中野久松(法政大) |
B-1-87 |
ステップ状ストリップ素子を用いた超広帯域直交偏波変換反射板
◎村山輝樹・出口博之・辻 幹男(同志社大) |
B-1-88 |
遮断TE およびTM モードを用いた右手/左手系複合円形漏洩導波管の放射特性
◎仲嶋淳吾・出口博之・辻 幹男(同志社大) |
B-1-89 |
CRLH伝送線路漏れ波アンテナの位相変動の等価回路解析
○寺田一貴・長 敬三(千葉工大)・佐々木隆吉・佐藤啓介・大島一郎(電気興業)・道下尚文(防衛大) |
B-1-90 |
容量装荷小型線状メタアンテナの広帯域化
◎陳 偉一・上田哲也(京都工繊大) |
回転対称構造からなるフォトニックバンドギャップアンテナをBOR-FDTD法を用いて解析する.出力開口部で半径方向への界の振幅と位相変化が緩やかになり,高利得な漏れ波アンテナとして動作することを明らかにする.
本稿では直交偏波変換板として有用な新たな素子を提案する.提案素子はGAなどの複雑な設計法を用いることなく,簡易なステップ形状で広帯域にわたって直交偏波変換が可能なことを交差偏波の反射振幅特性の計算値を示して明らかにしたので報告する
近年,等価的に負の誘電率,負の透磁率を同時に示す人工媒質であるメタマテリアルが注目されており,今までに左手系導波管を提案してきた[1][2].本稿では,円筒導波管の仕切り壁とリッジ装荷を設けた遮断TEモードと遮断TM01モードで構成された円筒導波管の伝搬軸に沿ってスリットを設けた場合の放射特性について数値的検討を行ったので報告する.
CRLH伝送線路で構成した漏れ波アンテナが提案されている。このアンテナは周波数の変化により主ビーム方向が変化する問題がある。そこで、本報告ではCRLH伝送線路の等価回路を用い、主ビーム方向の周波数変動を低減するパラメータを検討した結果について述べる。無損失対称T型等価回路を用い、各パラメータをランダム探索し伝達移送分散特性について検討した。検討周波数は3.5[GHz]と3.8[GHz]に着目し、両周波数間の伝達位相差で評価を行った。結果、右手系パラメータの値を小さくする必要があることがわかった。
近年,メタマテリアルの一つである右手/左手系複合伝送線路を用いて,電磁界分布が一様となる0次共振器を応用したマイクロ波回路・アンテナに関する研究が行われている.0次共振アンテナの構造を,平面化・小型化することはできるが,狭帯域動作となる問題があり,広帯域化が望まれる.そこで本稿では,金属細線において周期的に容量素子が装荷されたV字型0次共振器を基にして小型で広帯域に亘り動作する線状メタアンテナを提案した.提案構造では, 0次共振およびモノポールアンテナと類似した複数の共振モードを利用することにより,動作周波数の広帯域化を図った.数値計算により,動作比帯域幅70%以上の広帯域化が可能であることを確認した.
休 憩(16:00 再開) 座長 藤本孝文(長崎大)
B-1-91 |
超広帯域システムにおけるショートスタブ構造付き小型アンテナの実測検討
○市川舜太・竹村暢康(日本工大) |
B-1-92 |
極超広帯域BORアンテナ
◎蔡 政霖・阿部智希・山内潤治・中野久松(法政大) |
B-1-93 |
滑らかな立体ボウタイアンテナの特性について
◎上田倫央・平澤泰文・何 一偉(阪電通大) |
B-1-94 |
双円錐の素子を用いたアンテナの特性
○倉本晶夫(NECプラットフォ-ムズ) |
超広帯域(Ultra-wideband: UWB)システムは,非常に広い周波数帯域を用いて通信を行うことで近距離における高速な無線通信を可能とするシステムとして広く検討されている.米国連邦通信委員会(FCC)は,2002年に超広帯域システムの使用周波数として3.1GHz~10.6GHzを認可しており,この周波数帯域を満たす広帯域な特性を有するアンテナの設計が求められている.アンテナは様々な通信機器への導入のために小形な形状が求められている.本稿では,筆者らが以前に提案したショートスタブを装荷したハーフ形状平面型UWBモノポールアンテナの試作アンテナの実測を行った結果について報告する.
BOR(回転対称体)アンテナ及びミアンダアームからなるアンテナは178%の超広帯域特性を有する. 本稿では, このアンテナのBORのみに注目し, その特性を再検討する.さらに, 本アンテナの特性を平面ファンアンテナの特性と比較する.
板状ボウタイアンテナは広帯域特性を持つため,地下探査レーダなどに広く利用されている.電流が板状に広げて流れるため,板状アンテナは一般に線状アンテナより広帯域性になることは知られている.ボウタイアンテナの小型化と広帯域化のため,終端に負荷を取り付けるなどの工夫がされている.
ボウタイアンテナの両サイドにエッジ構造を持っているため,電流が面上に均一に分布しないと考える.また,終端は直線に切断しているため,反射が大きくなる.本研究ではボウタイアンテナの終端を円形や,楕円形にし,また,ボウタイ全体にある程度の厚みを持たせ,板状の構造を3次元にして,両サイドのエッジを緩やかにする試みをした.このアンテナのインピーダンス特性や,指向性などについて検討する.
近年,電波監視や通信等の用途で広帯域・無指向性のアンテナが多用されている.広帯域のアンテナにおいては,垂直面の放射パタ-ンが周波数により変動するが,この変動が小さいことが望ましい.前回,垂直面の放射パタ-ンの主ビ-ム方向が水平方向に維持され,かつ,主ビ-ムにヌルが発生しない双円錐の素子を用いたアンテナを提案した.今回,双円錐の素子を用いたアンテンの試作・測定を実施し,0.8~10GHzでVSWR<2.1,かつ,広い帯域にわたって,垂直面の放射パタ-ンで水平方向を主ビ-ムとし,主ビームにヌルが発生しないことを確認した.今後は,双円錐の形状に対する最適化手法を検討していく予定である.
3月22日 9:00〜11:45 56号館 102教室 座長 山本 学(北大)
B-1-95 |
簡易な回路構成により放射パターン制御可能なダイバーシチアンテナの一検討
◎和田紗希・西本研悟・西岡泰弘・米田尚史(三菱電機) |
B-1-96 |
バックローブを抑圧した小形円偏波アンテナの試作評価
◎坂本寛明・柳 崇・西岡泰弘・米田尚史(三菱電機) |
B-1-97 |
透明モノポールアンテナの検証
◎田中一喜・桑原義彦(静岡大) |
B-1-98 |
小型無線機用正方形状折返しダイポールアンテナの特性解析
○蒲生城久・道下尚文・森下 久(防衛大)・山本尚武・松本一弘・菱川哲也(パナソニック) |
B-1-99 |
無給電素子を用いた平板逆Fアンテナの素子間相互結合の簡易低減手法
◎フンクァン クァン(防衛大)・グェントゥワン ハン(レークイドン工科大)・道下尚文(防衛大)・佐藤 浩・小柳芳雄(パナソニック)・森下 久(防衛大) |
920MHz帯の特定小電力無線局において、2素子アレーアンテナの励振分布を制御可能な、4つの集中定数素子で構成された簡易な減結合回路を用いた適用事例の一検討について示す。
これまでの検討で,電流源と磁流源を組み合わせることでバックローブの抑圧が可能な小形円偏波アンテナに関して述べた.本稿では,提案手法を適用した小形円偏波アンテナの試作評価結果について述べる.
近年通信機器の小型化が進むとともに,MIMOなどアンテナを複数使用するシステムの普及が進み,アンテナを置くスペースを確保することが困難になりつつある.この問題を解決する方法として,透明導電性材料を使ってディスプレーの上に構成する薄型アンテナの実現が考えられる.透明デバイスの材料は透明性および導電性を備えている必要がある.そこで本研究で用いるのが金属メッシュである.金属メッシュとは正方格子状に十分に細い導線を配置し,開口部の面積で透明性と導電性を調節して低い抵抗率と高い透過性を得る.この金属メッシュを用いて目に見えない透明なモノポールアンテナの実現可能性を検討した.
携帯端末への搭載を考慮した折返しダイポールを給電点から1/8波長で折り曲げコンパクトな構造とした折返しループアンテナが検討されている.本稿では,920MHz帯小型無線機としてグランド板のまわりに折返しダイポールアンテナを配置した構成を検討する.アンテナ構造としては,基板上に構成することから,アンテナは誘電体上の同一平面もしくは裏面を利用した折返し構造が考えられる.グランド板を正方形状とし,ここではグランド板の大きさについて検討する.
近年,Massive MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)が次世代通信の要素技術として検討されており,アンテナの素子間相互結合の低減が重要となっている.素子間相互結合の低減には,ブリッジ素子や回路素子を用いた手法が提案されている.本稿では,より多くのアンテナ素子に対応できるよう,無給電素子のみの調整による素子間相互結合低減手法について検討する.
休 憩(10:30 再開) 座長 竹村暢康(日本工大)
B-1-100 |
品質工学を用いた小形アンテナのロバスト設計に関する一検討
○柳 崇・西岡泰弘・米田尚史(三菱電機) |
B-1-101 |
スイッチング素子を用いた金属近接ロバストアンテナの一検討
◎中川雄太・グェンコン ワイ・道下尚文・森下 久(防衛大) |
B-1-102 |
四分円筒形キャビティ付きスロットアンテナのRFIDへの応用
◎西嶋 潤・島崎仁司(京都工繊大) |
B-1-103 |
UHF-RFIDシステムによる収納位置検出ユニットの開発
◎△松岡慎治・鳥屋祐樹・門野敦哉・岡野好伸(東京都市大) |
B-1-104 |
UHF-RFID二次元近接タグ識別ユニットの開発
◎△鳥屋祐樹・松岡慎治・岡野好伸(東京都市大) |
無線機器に実装する小形アンテナはアンテナの周囲構造の影響を受けるため,これらを含めた最適設計が必要である.これに対し本報告では,品質工学(タグチメソッド)におけるロバスト設計の考え方を小形アンテナ設計に取り入れ,小形アンテナの設置条件に対するばらつきを低減する検討を行った結果を示す.小形基板に実装したモノポールアンテナに対して電磁界シミュレーションによる数値実験を行い,地板からの距離やケーブルを模擬した導体の長さを変化させた場合のばらつき(3σ)を26%から15%に低減でき,本手法の有効性を示している.
アンテナのインピーダンス特性は近接物体の影響を強く受けることが知られている.この問題に対し,入力インピーダンスを適切に選択し,金属板近接時の影響を低減できることが報告されている.しかし,報告された方式では入力インピーダンスはアンテナの素子幅に依存しており,アンテナの作成後に入力インピーダンスの調整が行えない.また,アンテナ形状に依存せず入力インピーダンスを調整する方法としては外部に整合回路を用いる方法があるが,部品点数の増加による高コスト化といった問題がある.本稿では,アンテナ素子形状をスイッチング素子のみで変化させる簡易な構成で,入力インピーダンス制御の可能性を検討する.
筆者らは先に,円筒形を4分の1にした形の空洞共振器 (キャビティ)の上面にV字形の放射スロットを設けたアンテナを設計し,920 MHz 帯において複素インピーダンスをもつRFIDチップと整合を取れるよう同調スタブとして機能するスロットを付け加えたアンテナについて報告している.本報告では,このアンテナにRFIDチップを装荷し,リーダとアンテナ間の最大通信距離の測定を行った.測定は水を入れた容器にアンテナを貼り付けた状態と水の無い状態の2通りで,測定結果から計算した距離の減衰率をダイポールアンテナと比較した.これにより,作製したキャビティ付きアンテナはキャビティが無いものに比べ,キャビティ側にあるものの影響を受けにくいと評価できる.
近年,RFID技術は非接触で多角的な検品・認証が可能な認証システムとして注目されており,物流や在庫管理等の分野において広く活用されている.さらに,リーダライタの取得情報から物品の位置を検出可能なシステムが実用化されれば,物品管理業務の精度と安全性が向上する.これまでに,UHF-RFIDを用いて密集・静止したタグの精密監視が可能となる近接型リーダライタユニットは提案されている.そこで,このユニットをマトリクス状に組み合わせることで,タグ位置検出が可能なユニットの実用化を試みた.具体的には,医薬品等の試験管を想定し,UHF-RFID技術を用いた位置検出システムの開発を行う.
近年,RFIDはバーコードにかわる認証技術として物流管理等の分野で注目されている.RFIDシステムは,電磁誘導方式(HF帯)と電波方式(UHF帯)の2系統のシステムが存在する.電磁誘導方式は,密集したタグの読み取りに適している.一方,電波方式は十数メートルの読み取りが可能である.物流の綿密な管理においてこれらを合わせ持つリーダライタが存在すれば,シームレスな管理が可能となり利便性の高いシステム構築が実現できる.しかしながら,周波数が異なるこれらのシステムの統合は困難である.そこで本稿では,UHF-RFID技術を用いて2次元的に散在するタグの識別を可能にするユニットを提案し,出入庫管理ゲート及び作業台での継ぎ目の無い物品管理を目指す.
3月22日 13:00〜17:00 56号館 102教室 座長 山ヶ城尚志(富士通研)
B-1-105 |
ループアンテナを用いたOAM多重通信方式における給電ケーブルの影響の解析
○三宅久之助・斉藤 昭・大塚啓人・山岸遼平・鈴木 博・石川 亮・本城和彦(電通大) |
B-1-106 |
MBAN用マイクロストリップアンテナ
○グアン チャイユー・藤本孝文(長崎大) |
B-1-107 |
間隙付きループ装荷パッチアンテナの放射効率の円偏波放射特性依存性評価
◎髙山侑紀・久我宣裕(横浜国大) |
B-1-108 |
摂動給電を用いた平面アンテナの基礎検討
○土地将太・松井章典(埼玉工大) |
B-1-109 |
28GHz基板端ループアンテナの試作
○中嶋政幸(アンテナ技研) |
OAM通信は, 電磁界の軌道角運動量を利用して固有モード伝送を行い, 高い周波数利用効率を可能としている. ループアレイを用いたOAM通信方式において端子方位を制御することでループ半径が同じであっても偏波を用いて多重度を2倍にする方法が提案されている. この手法は同じループ半径を用いるので異なる面にアンテナを設置する必要があり, 給電するためのケーブルはループアンテナアレイを貫く形で設置している. しかし, この場合は異なるループ半径のアンテナ間でも, 通過が大幅に増大する現象が観測され, その原因を解析した.
近年, Medical body area network (MBAN)は,無線端末やセンサーを体や服に装着させ,体温・心電図等の生体情報の取得及び管理を含めた健康管理システムへの応用として注目されている.MBANでは安定な信号レベルを確保するために,人体の影響を受けないアンテナが要求される.本研究では,人体影響の少ないMBAN用平面アンテナの設計を行っている.
本稿ではパッチ素子を用いて間隙付ループを励振する円偏波アンテナの放射効率の円偏波放射特性に対する依存性を評価している. 本アンテナの円偏波動作周波数は間隙付ループの寸法に依存している. アンテナの放射効率と円偏波の軸比特性との相関を2通りの寸法において評価し,軸比条件を緩和することで放射効率が改善することを確認した.
安価なプリント基板で容易に作成できる構造で,円偏波特性が期待できる摂動給電に着目した平面アンテナを提案する. シミュレーションおよび測定の結果,ボアサイト方向において軸比が下がり所望の円偏波特性が得られた.また,基板広がり方向への直線偏波も得られた.
第5世代移動通信システムの一要素技術であるフェーズドアレイアンテナでは、一般に平面基板上に多数のアンテナ素子とその位相振幅制御を行う集積回路を実装する。平面基板の端部において基板に垂直な偏波を無調整で実現できれば、比較的実現が容易な基板に平行な偏波と組み合わせることによりビーム多重化の設計自由度向上が期待できる。本稿では、まず基板端で基板に垂直な偏波を励振する28GHz一波長矩形ループアンテナの構成を述べ、次にその入力反射特性および動作利得の測定値を計算値と比較して示し、本アンテナを用いることにより基板に垂直な偏波が無調整で得られることを述べる。
休 憩(14:30 再開) 座長 西本研悟(三菱電機)
B-1-110 |
素子面積を半分としたバラクタ装荷2周波片側短絡一層構造多リング形マイクロストリップアンテナの周波数制御に関する一検討
◎本多祥平・斉藤作義・木村雄一(埼玉大) |
B-1-111 |
バラクタ装荷円偏波周波数制御平面アンテナの反射特性改善の一検討
◎池田裕磨・斉藤作義・木村雄一(埼玉大) |
B-1-112 |
Lプローブにより給電される広帯域リング形平面アンテナの試作特性
○古川耕平・斉藤作義・木村雄一(埼玉大)・福永達也(TDK) |
B-1-113 |
Lプローブにより給電される2周波多リング型マイクロストリップアンテナの広帯域化に関する一検討
◎△木村雄樹・斉藤作義・木村雄一(埼玉大)・福永達也(TDK) |
B-1-114 |
単層偏波共用Lプローブ同軸コネクタ給電円形パッチアンテナ
○飯塚 泰・齋藤和男・大越貴行(ワカ製作所) |
バラクタダイオードを装荷したリング形マイクロストリップアンテナ(MSA)の周波数制御については、種々の研究が成されている。本稿では周波数制御マルチバンド平面アンテナの小形化を目的として、リング形素子の片側を短絡した周波数制御MSAの素子面積をさらに半分としたバラクタ装荷2周波動作一層構造多リング形MSAの周波数制御特性につき実験により検討を加えたので、ここに報告する。
可変リアクタンス素子を用いたマイクロストリップアンテナ(MSA)の周波数制御については、種々の研究が成されている[1]-[4]。方形リング形素子の各頂点にバラクタダイオードを装荷したLプローブ給電円偏波リング形MSAでは軸比が最良となる周波数において反射特性が劣化する課題があった[5], [6]。本稿では、スタブが装荷されたLプローブにより給電される二層構造バラクタ装荷円偏波平面アンテナの周波数制御法につき、実験により検討を加えたので、ここに報告する。
マイクロストリップアンテナ(以後、MSA)の広帯域化については、種々の研究が行われている[1][3]。また、Lプローブにより給電された多リング形MSA[4]広帯域化の基礎検討として、比誘電率2.6、中心周波数の約0.12波長程度の厚さを有する誘電体基板を使用したLプローブ給電リング形MSAは比帯域約28%を示すことが報告されている[5]。本稿では、厚さの大きい誘電体基板を使用したLプローブ給電リング形MSAの試作したので、ここに報告する。
マイクロストリップアンテナは小型・薄型・軽量・安価という特長を有し多面的な研究が行われている。また、Lプローブにより給電される多リング型MSAはマルチバンド平面アンテナとして良好な特性を示す。このLプローブ給電リング形MSAに中心周波数の約0.1波長程度の厚さを有する誘電体基板を用いると、約28%の比帯域(反射量10 dB以下)が得られることが報告されている。そこで、本稿ではシミュレーションにより、2リング形MSAを用いた2周波帯において広帯域特性を有する平面アンテナについて検討を行い、設計基礎資料を得たので報告する。
SMPMコネクタからLプローブを経由してパッチに給電する偏波共用円形パッチアンテナについて検討を行った.シミュレーションによる検討の結果,厚さ約0.05波長の単層基板で約9.6%の帯域を得ることができる.この帯域でポート間アイソレーション20 dB以上を確保することができる.
休 憩(16:00 再開) 座長 広川二郎(東工大)
B-1-115 |
スタブ装荷リング形マイクロストリップアンテナを素子とする平面波入射リフレクトアレーに関する基礎検討
○木村雄一・本多秀尚・斉藤作義(埼玉大) |
B-1-116 |
提案する深層学習による電波伝搬推定モデルの評価
○今井哲朗(NTTドコモ) |
B-1-117 |
Massive arrayを用いたブラインド信号処理の可能性
○西森健太郎(新潟大) |
B-1-118 |
導電媒質における微小ダイポールアンテナによる電界
○石井 望・小原大貴(新潟大)・チャカロタイ ジェドウィスノプ・和氣加奈子・渡辺聡一(NICT) |
リフレクトアレーについては、種々の研究が成されている。また、素子内側のマイクロストリップラインにより放射位相を制御する一層構造のリング形マイクロストリップアンテナをリフレクトアレーの素子アンテナとして用いた場合の反射特性について検討されている。本稿では、この素子アンテナを用いたリフレクトアレーの平面波入射時の特性についてシミュレーションにより検討を加えた。
現在,筆者等は携帯端末から収集されるビックデータの利用を想定した深層学習による電波伝搬推定法の検討を進めており,これまでに畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network: CNN)をベースとする伝搬損推定モデルを提案した.しかし,その評価は議論を簡単にするため“送受信間が見通し外かつ送受信間距離50m以上”のデータを対象としていた.本稿では提案モデルの性能を“送受信間が見通し内および送受信間距離50m以下”となるデータも含めて評価したので報告する.
第5世代移動通信システムでは,Masssive MIMOがキー技術の一つとなっており,次世代システムでもこれらの技術は基盤技術として重要となると考えられる.本稿では,最近著者がMassive array伝送の信号処理部として注目しているブラインド信号処理を取り上げ,適用領域と今後の可能性について述べる.
無線電力伝送技術の実用化に伴い,著者らはkHz帯からMHz帯における当該機器の比吸収率(SAR)測定の可能性について検討を行っている.SAR測定では,プローブによりSAR測定用液剤内に生じた電界強度を測定する.このプローブの出力電圧と実際のプローブ先端における電界強度との関連付けをプローブ較正という.本稿では,著者らがこれまでに開発を行ってきたMHz帯における送信アンテナ係数を利用したプローブ較正法を拡張し,kHz帯において適用できることを明らかにする.すなわち,簡単な数式を用いて液剤内における電界強度の距離特性についての知見を得るとともに,生体等価食塩水内における伝達係数測定によりその知見の妥当性を確認した.
B-1. アンテナ・伝播C(アンテナシステム)
3月19日 9:15〜11:45 56号館 103教室 座長 武田茂樹(茨城大)
B-1-119 |
オーバーラップ素子を導入したMIMOレーダにおける固有ベクトルを用いた送信信号誤差補正
◎△加藤秀崇・菊間信良・榊原久二男(名工大) |
B-1-120 |
MIMOレーダ方式向けアレー開口設計の一検討
○紀平一成・深沢 徹・米田尚史(三菱電機) |
B-1-121 |
送受積パターン改善のためのコヒーレントMIMOレーダ用窓関数の検討
○高橋龍平・鈴木信弘・若山俊夫(三菱電機) |
B-1-122 |
MIMO-OFDMレーダを用いた生体位置推定精度の評価
◎白木信之・本間尚樹・笹川 大(岩手大)・中山武司・飯塚翔一(パナソニック) |
近年,自動車による自動運転や危険回避システムの実現のため,高性能なレーダの開発が急務である.特に送信と受信にそれぞれ複数のアンテナを用いるMIMO(Multiple-Input and Multiple-Output) 通信技術をレーダ分野に適用したMIMO レーダは,従来のレーダと比べて高精度,高分解能を有するため注目されている.しかし,同一信号切替方式を用いたMIMO レーダでは送信信号に位相誤差,振幅誤差が発生する.本研究では,仮想アレーの一部をオーバーラップさせ,重なった素子の受信信号を含む固有ベクトルを利用して信号の補正を行うことで,ターゲット方向推定の精度の向上を図る.
送受積パターンで等価的に大きなアンテナ開口を実現するMIMOレーダ方式が注目されている.この方式は受信側で送信素子毎の信号を分離抽出するので,最適な送受信ビーム形成を行うことができ,高い角度分解能が得られる.本報告では,RF部のコスト最小化の観点からアンテナ開口(送受信素子数)の導出法を検討する.
筆者らは,コヒーレントMIMOレーダにおいて,マルチパスクラッタ低減のための窓関数を提案した.この窓関数は,送出角DOD(Direction-Of-Departure)および到来角DOA(Direction-Of-Arrival)による2次元ビームパターンとなる双方向ビームパターンにて,マルチパスクラッタを捉えるサイドローブ領域に対応するDODおよびDOAにヌルを形成するMIMOビームウェイトから導出される.
上記の双方向ビームパターンにてDOD=DOAを満たすサイドローブ領域の低減を行うことで,従来送受積ビームパターン の改善が可能である.本稿は改善検討の結果を,従来窓関数であるHamming関数を用いた場合と比較する.
近年,一人暮らしの高齢者が増加しており,高齢者見守りシステムの需要が増加している.高齢者見守りシステムの一環として生体の位置推定が検討されている.文献[1]ではOFDM (Orthogonal Frequency Division Multiplexing) 信号をMIMO (Multiple-Input Multiple-Output) レーダに適用した高速生体位置推定法が提案されている.しかし,同報告では対象の位置が推定範囲の中心の1点のみに限定されており,対象が複数の位置に配置されている場合の検討がなされていない.
本報告では,MIMO-OFDM レーダを用いて1人の対象の位置推定精度を面的にシミュレーション評価した結果について述べる.
シミュレーション結果より,位置推定誤差の90%値を比較すると使用サブキャリア数1のときは6.0 mであったが,使用サブキャリア数30以上では0.1 m 以下となり使用サブキャリア数を増加することで位置推定誤差が改善することを明らかとした.
休 憩(10:30 再開) 座長 本間尚樹(岩手大)
B-1-123 |
Virtual Massive MIMO(VM-MIMO)の提案
○村上友規・大宮 陸・中平俊朗・石原浩一・林 崇文(NTT) |
B-1-124 |
高速パターン切替型仮想Massiveアレーによる伝搬環境制御
◎渡部一聖・西森健太郎・谷口諒太郎(新潟大)・村上友規(NTT) |
B-1-125 |
32×32デイジーチェーンMIMOアンテナのOTA評価実験
◎福嶋大希・生川菜々・本田和博・小川晃一(富山大) |
B-1-126 |
100 Gbps Beyond V2X向け128×128デイジーチェーンMIMOアンテナ
○生川菜々・福嶋大希・本田和博・小川晃一(富山大) |
B-1-127 |
ライスフェージング環境下でのMU-MIMO通信におけるブロック最大SNR法の特性解析
◎小川純平・米津宏亮・菊間信良・榊原久二男(名工大) |
本稿では,少数のアンテナで仮想的にアンテナを構成するVirtual Massive MIMO(VM-MIMO)を提案し,その有効性を実験結果から明らかにする.
5Gシステムのキー技術であるMassive MIMOでは,アンテナ数の増加に伴いハードウェア規模が大きくなることが課題となる.本稿では,Virtual Massive (VM)-MIMOをベースとして,高速にA/D変換を行い1シンボル内で複数のアンテナパターンを形成し,仮想Massiveアレーを実現する伝搬環境制御法を提案する.また,提案方法の基本性能と有効性を明らかにする.
我々は,車両の激しい動的変動に対してロバストな特性を具備し,全アジマス方向に対して数十ギガビットの伝送容量を達成するデイジーチェーンMIMOアンテナの開発を行っている.本稿では,2次元フェージングエミュレータOTA装置によって,32 × 32デイジーチェーンMIMOアンテナのアジマス方位-伝送容量特性を実験的に解明した.さらに固有値分布により高い伝送容量を生むメカニズムを明らかにした.
我々は,100Gbps Beyond V2X(次世代型超高速V2X)の実現に向けて,車両の激しい動的変動に対してロバストな特性を具備し,全アジマス方位に対して100Gbpsの伝送容量を達成するデイジーチェーンMIMOアンテナの開発を行っている.本稿ではデイジーチェーンアレー構造による128×128大規模MIMOシステムの構成法と伝送容量特性について述べる.
マルチユーザMIMO(MU-MIMO)通信の下り回線の線形制御技術として,BD(Block Diagonalization)法,MMSE-CI(Minimum Mean Square Error Channel Inversion)法及びブロック最大SNR(BMSN:Block Maximum Signal-to-Noise ratio)法が提案されている.本研究では,BMSN法に着目し,ライスフェージング環境下での特性をシミュレーションにより評価する.
3月19日 13:00〜16:00 56号館 103教室 座長 北 直樹(NTT)
B-1-128 |
ビーム制御機能つきミリ波伝送ユニットによる自動方向調整実験
○田邊浩介・高橋良英・木全祐介・桑原俊秀・佐々木英作(NEC) |
B-1-129 |
電力伝送におけるPower Inversion Adaptive Arrayを用いたヒト照射回避法
◎勝又亮裕・本間尚樹・長谷部 駿(岩手大) |
B-1-130 |
5G用4.65GHz帯超多素子アクティブアンテナによる空間多重性能の改善
○望月拓志・平部正司・早川 誠・菊間知裕・野勢大輔(NEC) |
B-1-131 |
励振振幅一様指向性変調アレーアンテナの動的励振分布制御に向けた一検討
○栗山 侑・紀平一成・深沢 徹・大塚昌孝・米田尚史(三菱電機) |
B-1-132 |
アレーアンテナの量子化誤差補正における最適減衰量
○藤元美俊・間宮拓朗(福井大) |
5Gではミリ波による大容量,超低遅延の無線伝送が期待されている.無線のバックホールは様々な場所へ誰でも簡単に設置できることが求められる.一方で,ミリ波のアンテナは高利得であるが故にビーム幅が細く,作業者による物理的な方向調整が難しいことが課題である.
筆者らはE帯のビーム制御機能つきミリ波伝送ユニット(以下,検証機)を試作し,自動的にビームを対向局へ指向させるための屋外検証実験を実施したので,その結果について報告する.
ワイヤレス電力伝送法の一種であるマイクロ波方式では,アンテナを用いて広範囲のデバイスに対して送電することが可能である.送電効率を向上するため,アレーアンテナによるビームフォーミングを用いる方法が検討されている[1].しかし,放射された電力が人体にも照射されるという問題もある[2].
本研究では,伝搬チャネルの時間応答から人体に対応する成分を抽出することで,ヒトに対してヌルビームフォーミングを行うマイクロ波方式の送電について検討する.実験により得られた伝搬チャネル情報を用い,PIAA (Power Inversion Adaptive Array) に基づきヌル形成を行った場合の曝露電力の改善効果について明らかにした.実験により,人体への照射電力が10 dB程度低減され,また送信電力を1 W,距離を1 mとしたときの人体曝露電力は平均で -40.0 dBWであることを確認した.
フルデジタルビームフォーミング方式を採用した超多素子アクティブアンテナシステム(AAS)内にDigital Predistortion(DPD)を搭載した4.65GHz帯AASを2台水平方向に連結し、水平方向の空間分解能を1AAS時に比して高めた結果、高出力域での非線形歪補償によるDownlink(DL)放射SINR改善と併せて、空間多重性能を維持・改善する事ができたため報告する。
通信領域を限定する指向性変調アレーアンテナにおいて,通信シンボル送信用の和パターンと干渉シンボル送信用の差パターンを同時形成する方式が検討されている.著者らは,送信機構成の簡素化を目的として,励振振幅制御を不要とする励振分布算出法を示した.一方で,通信方向外のコンステレーションを時間と共に変化させる指向性変調の動的励振分布制御が検討されている.本稿では,QAM(Quadrature Amplitude Modulation)の動的励振分布制御を実現する励振振幅一様化のための符号設定条件を明らかにする.
アレーアンテナでは,各素子の信号の振幅・位相を調整することで干渉波を抑圧することが可能である.しかし,ディジタル振幅調整器・移相器を使用する場合,量子化誤差の影響によってヌル形成の精度が劣化し,干渉抑圧性能が低下する.そこで,筆者らは補助アンテナおよび減衰器を用いた量子化誤差低減法を提案した.
本報告では,減衰量の効果についてシミュレーションおよび理論的に検討し,高い量子化誤補正効果を得るための減衰量を示している.
休 憩(14:30 再開) 座長 西森健太郎(新潟大)
B-1-133 |
複数交差点環境における伝搬スプレッドを考慮した通信路容量
◎安藤由純・藤元美俊(福井大)・山口 良・豊見本和馬(ソフトバンク) |
B-1-134 |
素波間相関を考慮した2×2MIMO伝送容量特性
○本田和博・小川晃一(富山大) |
B-1-135 |
上り回線MIMO 基地局における低演算量な被干渉低減手法
◎内田圭耶・藤元美俊(福井大)・北尾光司郎・今井哲朗(NTTドコモ) |
B-1-136 |
自己干渉除去に適した近距離Full-Duplex MIMO用アンテナ配置
◎小田島祥太・本間尚樹・川越厚人(岩手大) |
B-1-137 |
E帯OAMモード多重無線屋外伝送実験における伝送特性
○平部正司・グェン トゥン・善久竜滋・宮元裕章・生田耕嗣・佐々木英作(NEC) |
B-1-138 |
両円偏波アナログOAM伝送におけるモード選択効果の測定
○本間尚樹・由利憲識(岩手大) |
コネクテッドカーなどで移動通信を行う際, 周りの電波伝搬環境によって伝送品質が変動する. 特に見通し外環境では, マルチパスの影響が大きく, 遅延時間・角度・周波数の広がり(スプレッド)が大きくなる. スプレッドは伝搬環境以外にもアンテナ指向性などでも変化するため, 状況に応じた対応が必要となる.
本稿では, 複数の交差点がある見通し外環境において,スプレッドを低減し, 高い伝送品質が得られるビーム幅を明らかにする.
MIMO端末は,端末に到来する素波の相関が無相関,端末アンテナが有相関としてモデル化し,2×2MIMO伝送容量解析を行っている.しかしながら,素波間の相関が無相関とは限らない.本研究では,素波間の相関を有相関としたときの2×2MIMO伝送容量解析を実施したので報告する.
高速かつ広帯域な通信を行うため,5Gでは同一キャリアで動的に上下リンクを切り替えるDynamic TDDの導入が検討されている.しかし基地局が密集した状態でDynamic TDDを適用した場合,様々な干渉が発生する.
本報告では上り回線MIMO 基地局が干渉を受ける伝搬環境において,低演算量で干渉を低減する手法を提案する.
近年スマートフォンなどのモバイル端末の増加によってNFC (Near-Field Communication) と呼ばれる近距離通信の利用が増加しつつある.昨今の通信速度向上と周波数資源不足を考慮するとより周波数利用効率の高い通信方式が必要である.MIMO (Multiple-Input Multiple-Output) 方式はアンテナ数に比例して周波数利用効率を向上可能であるが,小型端末では限界がある.そこで,本報告ではアンテナ配置を工夫した近距離無線通信用IBFD (In-Band Full-Duplex) MIMO方式を提案する.IBFD通信では同時に同一周波数で送受信を行うことで周波数利用効率を最大で2倍に高められる.IBFD通信では局内の強力な自己干渉によりSINR (Signal to Interference plus noise ratio) が劣化するが,送受アンテナを十字配置とし,BF (Beamforming) を利用することでSINRを抑圧する.数値解析によって他のアンテナ配置と比較を行った結果,提案法が最も良く自己干渉を抑圧でき,20 bits/s/Hz 以上高い伝送レートを達成することができた.
近年,大容量無線伝送を実現する手段として,電磁界の軌道角運動量(OAM:Orbital Angular Momentum)による多重無線伝送方式が注目されている.そこで我々は,リングアレーアンテナを用いてミリ波におけるOAMモード多重無線伝送の検討を行ってきた.本報告では,E帯におけるOAMモード多重無線屋外伝送実験で256QAM×8モード多重伝送を実現したので報告する.
本報告では,4素子の両円偏波円形アレーおよびDFT回路を試作し,OAMモード選択による伝送レート改善効果を実験的に評価した結果について述べる.提案モード選択法によって,送受信距離が5波長以上の場合に,注水定理と同等の伝送レートが得られることが明らかになった.
3月21日 13:15〜17:00 56号館 103教室 座長 塩見英久(阪大)
B-1-139 |
DODとRSSI Rangingの組み合わせによる屋内位置推定精度向上法
◎北村大地・本間尚樹・成毛一史・菊地幸汰(岩手大)・菅原雄介・三浦 淳(ERi) |
B-1-140 |
無線通信路の時空間特徴量を用いた屋内測位法の検討
◎安川 悟・金 ミンソク(新潟大) |
B-1-141 |
多重波トモグラフィーイメージング(RTI)による屋内測位法の検討
○金 ミンソク・田嵜威司(新潟大) |
B-1-142 |
圧縮センシングを用いた反復型近傍波源位置推定の一検討
◎△稲見将宏・菊間信良・榊原久二男(名工大) |
無線ビーコンを用いた屋内向け位置推定法として,信号強度情報であるRSSIを用いたRSSI Rangingや,RSSIからDODを推定する手法などが検討されている.本研究では,RSSIに基づいたDOD位置推定方式に対してRSSI Rangingを組み合わせることで,装置を拡張せずに位置推定精度を向上する方法を提案する.実験より提案法は従来法であるDODのみを用いた手法と比較し,位置推定誤差の平均値を0.57 m,中央値を0.60 m改善することを明らかにした.
近年,急速な高齢化社会に伴い,高齢者の単独世帯が増加しており,孤立死や家庭内事故の問題が年々深刻化している.そのため,高齢者の行動パターンを把握し,転倒や,トイレ・浴室から長時間出てこないなどの異常事態を検出できるシステムの開発が重要となっている.本稿では,通信路の時空間特徴量を用いることで,プライバシー面にも配慮した屋内測位を可能にする手法を検討する.マルチパス成分の変化を捉え,機械学習法で判定することにより,簡易な構成で高精度な屋内測位が可能になることをレイトレーシングシミュレーションにより示す.
本稿では,近年注目を集めているミリ波通信システムで得られる高分解能通信路特性から抽出された多重波伝搬経路を用いる多重波RTI 法を提案し,各経路の遮蔽損失の変化を個
別に扱うことにより,少ないノードで高分解能RTI が実現できることを示す.
電波の到来方向推定において波源が近傍にある場合は,波面が球面となるため遠方界到来方向推定とは異なる推定法が必要となる. 一方, 遠方界到来方向推定のアルゴリズムで圧縮センシングが注目されている. 本研究では, 近傍波源位置推定に圧縮センシングを導入する. その一つの手法として, 前回推定値を用いて角度と距離を順に求める反復推定方法を提案し, その性能を検討する.
休 憩(14:30 再開) 座長 鷹取泰司(NTT)
B-1-143 |
MIMOセンサのチャネル相関値変動に基づく人体移動方向の推定
◎乾 拓真・伊藤優希・岩井誠人・笹岡秀一(同志社大)・家田清一(アイシン精機) |
B-1-144 |
フレネルゾーンを考慮した圧縮センシングによる対象位置推定
○鈴木賢梧・笹川 大・本間尚樹(岩手大) |
B-1-145 |
MIMOアレーを用いた個人識別法の住空間における一検討
○飯塚翔一・中山武司(パナソニック)・笹川 大・本間尚樹(岩手大) |
B-1-146 |
圧縮センシングを用いた複数人数位置推定法
◎沼﨑和樹・本間尚樹・笹川 大・白木信之(岩手大)・中山武司・飯塚翔一(パナソニック) |
B-1-147 |
生体行動識別法の性能評価
○笹川 大・本間尚樹(岩手大)・中山武司・飯塚翔一(パナソニック) |
電波により人体などを検出する技術としてMIMOセンサを利用した手法がある.従来研究では,人体の有無により伝搬環境が異なることを利用したMIMO伝搬チャネルの相関値を用いて人体検出を行っていたが,本報告では,この相関値の時間変動を方向指紋とすることにより人体の移動方向の推定を行った. FDTD法による伝搬特性解析により三次元空間を模擬し,2×2のMIMOアンテナを用いた人体の移動方向推定について評価を行った.
近年,野生動物による農作物被害が増加しており,その対策としてデバイスフリーな位置推定法の需要がたかまっている.本稿では,検出エリアに置かれた複数アンテナ間の伝搬路の変化を検出し,圧縮センシングにより対象の位置を推定する方法を提案する.フレネルゾーンに対象が侵入すると,伝搬路が変化することを利用する.提案法は,5×5のマルチアンテナを用いることで平均誤差0.22mの精度で位置推定が可能であることを示した.
MIMOアンテナを用いて時変動チャネルを観測し,教師データとの相関を計算することによりバイタルサイン等の特徴から個人を識別する手法において,アンテナ配置を変更することでアンテナから離れた被験者に対して個人識別評価を行った.アレーアンテナを用いた位置推定を用いることで,被験者が環境中央以外であっても被験者6名を80%の識別率で識別可能であることを示した.
実環境における生体位置推定法として,MIMO (Multiple-Input Multiple-Output) レーダを用いた手法が提案されている.同手法ではMUSIC (MUltiple SIgnal Classification) 法を用いて生体位置推定をするが,到来波数 (生体数) が既知である必要があった.一方,圧縮センシングを用いることで到来波数情報なしに到来波方向を推定することが可能となる.しかし,圧縮センシングに瞬時の生体周波数信号を用いると,複数対象全てを検出できない場合がある.
本稿ではチャネル行列周波数応答から求めた相関行列を用いた,圧縮センシングに基づく生体位置推定法を提案する.提案法はチャネル行列の周波数応答から求めた相関行列を用いることで,到来波数情報がなくても複数対象の位置を推定する.実験により,提案法は対象数が未知であっても位置推定が可能であることを明らかとした.
著者らは転倒検知による見守りシステムのための屋内環境における生体行動識別法を提案している.同手法は2次元MIMO (Multiple-Input Multiple-Output) アレーを使用し,推定した生体の高さと生体活動に対応する反射断面積 (RCS: Radar Cross Section) の軌跡を用いて行動を識別する.本稿では,対象が教師データの位置と異なる場合およびアンテナ・対象間に障害物がある環境を想定し,生体行動識別法の性能評価を行った結果について報告する.実験結果より,同手法は対象の位置によらず行動を識別可能であることを明らかとした.また,障害物によって環境が変化した場合においても,電波を透過する石膏ボードの裏では識別精度がほぼ変わらないことを明らかとした.
休 憩(16:00 再開) 座長 井上祐樹(NTTドコモ)
B-1-148 |
LOS市街地ストリートセル環境におけるISTAを用いた20GHz帯二次元到来方向推定
◎立神光洋・藤元美俊(福井大)・北尾光司郎・今井哲朗(NTTドコモ) |
B-1-149 |
32×32デイジーチェーンMIMOアンテナにおける到来波推定精度改善
◎大坪勇樹・生川菜々・本田和博・小川晃一(富山大) |
B-1-150 |
OFDMAの上り回線における周期定常性を利用した到来方向推定
◎遠藤 丞・藤元美俊(福井大) |
B-1-151 |
TOFとDOAを組み合わせた屋内位置推定法
◎高橋優人・本間尚樹・佐藤 潤(岩手大)・村上友規(NTT) |
第5世代移動通信システムでは,システム容量増大のために,Massive-MIMOが検討されており,垂直・水平方向の到来波の情報が必要となる.また,近年では,圧縮センシングを用いた到来方向推定法が注目されており,その中でISTAと呼ばれる手法が提案されている.
本報告では,20GHz帯チャネルサウンダにより取得された実測定データに対しISTAを適用し,垂直・水平方向の二次元到来方向推定を行い,Beamformerによる推定結果と比較する.
我々は,全アジマス方向に対して超高速通信を実現できるデイジーチェーンMIMOアンテナの開発を行っている.本研究では,32×32デイジーチェーンMIMOアンテナのAOA機能について,ライス伝搬環境下における到来波推定精度を改善したので報告する.
近年の無線通信の急速な普及により,無線通信品質の保証が重要視されるようになった。
通信品質を改善する方法として,信号の周期定常性を利用し電波の到来方向を推定する手法が現在検討されている。
一方,現在主流の多元接続方式として,直交周波数分割多元接続(以下OFDMAと呼ぶ)が利用されている。
本研究では,OFDMA上り回線における所望波到来方向推定法を提案し,有効性を評価する。
電波を用いた無線局の位置推定法としてTOF (Time Of Flight) を用いた方法が検討されている.TOFを用いて位置推定を行う場合,複数のアンテナ素子を基準として算出した電波伝搬距離から位置推定を行う.しかし,TOFで高精度に位置推定を行うためには,素子間隔以上の分解能が必要になり,小形アレーアンテナでは精度が劣化する.TOFの他に電波を使った位置推定法としてDOA (Direction Of Arrival) を用いた方法が挙げられるが,広帯域を必要としない代わりに2つの異なる観測点が必要であった.
本報告では,cm級の位置推定の実現に向けて,TOFにDOAを組み合わせた手法について,実環境におけるポテンシャルを評価し,TOFにDOAを組み合わせた位置推定を行う方法について検討し,実験によりその有効性の評価を行った.TOFと5 GHzで求めたDOAを組み合わせることで,位置誤差の平均値は8.9cmに改善され,TOFのみを用いた場合よりも精度が高いことが明らかとなった.
3月22日 9:15〜11:45 56号館 103教室 座長 柳 崇(三菱電機)
B-1-152 |
同軸型非共振電界プローブの複素アンテナ係数の比較検討
◎勝田 敦・新井宏之(横浜国大)・荒井正巳(華為技術日本) |
B-1-153 |
5Gアンテナシステムを評価するためのタイムドメイン近傍界測定システムの提案
◎丸山裕介(岡山大)・新井宏之(横浜国大)・田中稔泰(マイクロウェーブファクトリー)・藤森和博(岡山大) |
B-1-154 |
近傍界より求めた導体表面電流分布を用いた遠方界推定
◎林 祐造・新井宏之(横浜国大)・岩永伸也・堀 智(小島プレス) |
B-1-155 |
FRPM管非破壊検査のためのマイクロ波信号のタイムドメイン解析
◎松川沙弥果(産総研)・吉田光佑・西村禎洸(三重大)・黒川 悟(産総研)・奥田忠弘・硲 昌也(栗本鐵工)・村田博司(三重大) |
近年の高速大容量移動体通信システムの需要増加に伴い、ミリ波帯のアンテナの研究が盛んに行われている。だがミリ波帯は波長が短い為、アンテナ測定には遠方界ではなく 近傍や極近傍での測定が必要となる。そこで、極近傍や近傍での測定を簡易的な構造かつ非共振性の高い、同軸型非共振電界プローブを提案している。本プローブの特性を微小ダイポールアンテナや微小ループアンテナと比較して波長に対して大きな構造で同様の特性が得られることを示した。そこで本稿では、実験とシミュレーションを用いた複素アンテナ係数でのプローブ構造に対する特性の比較検討を行う。
第5世代移動通信システム(5G)は従来に比べて広帯域な信号を用いることが予定されている.またMassiveMIMOなど,より多くのアンテナを用いた高速通信の技術が開発され,導入が想定されている.
RFの入力端子がある場合,測定はVNA(ベクトルネットワークアナライザ)を用いる方法が取られるが,この場合アンテナ側に入力する必要がある.しかしアクティブアンテナ等の単体で波形を出力するアンテナを通常の運用形態や動作状態において測定する必要が生じている.また5Gでは電波を任意の方向に集中させるビームフォーミング技術を活用するため,動作状態での測定が必要となる.そのため我々は近傍界でタイムドメインでの測定を行い,被測定アンテナへの信号入力を必要としない遠方界推定システムの提案を行う.
金属筐体にアンテナを接続すると筐体全体がアンテナとして動作するため筐体サイズによっては、遠方界の測定に広大なスペースを要する場合がある。また、筐体に重量がある場合、測定のための台座の取り外しが不可能となる。本報告では筐体重量が大きいことを前提とし、さらに測定時間の低減という観点から、筐体の半球面近傍電界を利用し、さらに筐体を線状要素を用いて近似して、近傍界電界と各線状要素の間に逆問題を定義し、これを解くことで得られた、筐体表面電流分布を利用して遠方界を推定する手法について述べる。
Fiberglass Reinforced Plastics Mortar (FRPM) で構成された地中埋設パイプラインを非破壊で効率よく検査・診断する技術が求められている.我々はFRPMが1-10 GHzのマイクロ波に対して比較的低損失であることに着目し,マイクロ波を用いた非破壊検査法を提案している.本研究では,管路の軸方向・周方向の2次元情報を簡便に一括して取得するため,FRPM管壁を伝搬するマイクロ波の信号に対してタイムドメイン解析を行った.その結果,マイクロ波は円筒形の管壁に沿って広がって周回しながら伝搬していることがわかり,管路の軸方向・周方向の2次元情報を信号の時間軸 (1次元) と測定アンテナ位置(1次元) に対応させて計測・診断することできた.これは,地中埋設FRPM管における欠陥・異物の有無を非破壊で検査・診断する手法として有用と考える.
休 憩(10:30 再開) 座長 石井 望(新潟大)
B-1-156 |
HAPSシステムにおける水平面内ビームパターンの基礎検討
○須藤渉一・星野兼次・太田喜元(HAPSモバイル)・藤井輝也(東工大) |
B-1-157 |
浅いニューラルネットワークを用いたアレーアンテナの近傍界分布制御法に関する研究
○飴谷充隆・黒川 悟(産総研) |
B-1-158 |
多素子アレイにおける二軸走査での欠損素子検出
◎楠瀬恭介・新井宏之(横浜国大) |
B-1-159 |
近傍界振幅情報を用いたアレーアンテナの校正法
◎淺井美佑・新井宏之(横浜国大) |
B-1-160 |
MIMOアレイレーダによる近距離イメージングのための遺伝的アルゴリズムを用いた素子配置最適化
◎小川弥夢・阪本卓也(兵庫県立大) |
本発表ではHAPSのサービスリンクアンテナに関する基礎検討として、各セルを構成するアンテナは平面アレイアンテナを仮定、その水平面を構成するリニアアレイアンテナに着目し、水平方向のビームパターン特性を確認する。まず所望のビームパターンとしてビーム幅とサイドローブレベルを規定し、それを達成するための各素子に与えるウェイトを一般逆行列から求める。その際、一般逆行列および所望パターンを表す行列のサンプリングは、任意の間隔で実施しても所望の値を満足するビームパターンが得られることをシミュレーション評価により明らかにする。
また、実際の設計を考慮し、ウェイトにランダムの位相が加算された場合でも所望の値を満足するビームパターンが得られることを確認する。
次世代の無線通信(5G)ではアレーアンテナを用いた近傍界高速通信が検討されているが,アレーアンテナによる近傍界分布制御法については,十分に検討されていない.
本稿では,過去に提案したニューラルネットワークを用いて近傍界分布からアレーアンテナの励振係数を推定する方法を用いて,ある平面における任意の近傍界分布を実現する方法について検討した.
アレイアンテナの校正評価には素子毎に位相を回転させて評価する手法があるが,製品検査などを目的として開口面電界分布の対称性を利用し,直交する二軸走査のみ,でアンテナ素子欠損を検出する手法について検討した。
近年,移動通信トラフィックの増加に伴い,大容量かつ高速な通信が求められており,多素子アレーアンテナの需要が高まりつつある.それに伴い,アレーアンテナの校正法について様々な検討が行われている.本稿では,アレーアンテナの近傍界振幅情報を用いて校正を行う方法を検討する.
4素子ダイポールアレーアンテナにおいて,近傍界に生じるヌル点に着目した時,素子に位相誤差がない場合では測定位置におけるヌル点の位置とその励振位相の組み合わせが確認できる.この情報を利用して素子の位相誤差を検出できることを明らかにした.今後の課題は複数の素子に位相誤差がある場合に拡張することである.
先進国の高齢化に伴い,健康寿命が重要視されている.健康寿命延伸のためには疾患の早期発見が重要であり,例えば心拍計測による疾患検出が報告されている.心拍の測定には脈波計や心電計が広く使われてきたが,センサ装着の不快感などが課題であった.近年,MIMO(multiple-input and multiple-output)アレイレーダを用いた非接触での心拍測定が注目されている.これまで,MIMOアレイには比較的単純な素子配置が用いられており,最適とはいえなかった.本研究では,近傍イメージングに焦点を絞り,遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm; GA) を用いたMIMOアレイ素子配置の最適化手法を開発する.
3月22日 13:00〜14:15 56号館 103教室 座長 飴谷充隆(産総研)
B-1-161 |
準ミリ波を用いた車載通信システム向け球面カバレッジの検討
○大西政彦・桂 勇男(住友電工) |
B-1-162 |
アップチャープFMCWレーダにおけるドップラ周波数の折り返し検出について
◎堀内貴裕・山田寛喜・山口芳雄(新潟大) |
B-1-163 |
ミリ波FM-CWレーダを用いた交通監視システムにおけるターゲットの識別に関する実験的検討
◎西村和真・堀内貴裕・山田寛喜・山口芳雄(新潟大) |
B-1-164 |
近距離ミリ波レーダのための波数空間分離に基づくRPM法の高精度化
◎秋山繕輝・木寺正平(電通大) |
B-1-165 |
ミリ波レーダにおける到来方向推定を用いた車両分離に関する検討
○上野 大(オムロン)・堀内貴裕(新潟大)・杉井祐太(オムロン ソーシアルソリューションズ)・齋藤啓介(オムロン)・山田寛喜(新潟大) |
5G(NR)システムでは、高速・大容量通信を実現するため、
28GHz帯を活用するが、電波伝搬を考慮して、アレイアンテナ
構成を取る必要が生じている。その結果、端末がアンテナ指向性
を有する仕様となっており、周囲方向に対する指向性を含む送信
特性を定義するため、新たに球面カバレッジという概念が導入さ
れた。
車載用途を考えた場合、一般的な携帯端末と異なり、通信機の
姿勢が限定されるため、カバレッジエリアを狭め、アンテナ利得
を高く設定することが可能であると考えられる。
そこで、シミュレーションにて、車載用のアンテナ配置方法と
その結果得られる球面カバレッジのの性能について検討を実施し
たので、その結果を報告する。
アップチャープFMCWレーダでの速度推定は,スロウタイムの位相シフトを利用してドップラ周波数を推定する手法が良く用いられる.しかし,サンプリング定理の観点から推定可能なドップラ周波数はパルス送信間隔によって制限され,上限を超えたドップラ周波数は折り返しが生じることによる誤推定が発生する.筆者らはこの問題に関して,受信パルスのファストタイム信号の全位相情報を利用して折り返し数を推定する手法を提案している. 本稿では,複数ターゲットがレンジ方向で互いに近距離に位置している条件において,提案手法の有効性を実験により評価したので,それを報告する.
近年,レーダを用いた交通監視システムが注目を集めており,ターゲットの識別と識別に必要とするレーダの観測時間は重要な研究課題となっている.本稿では,ミリ波FM-CWレーダを屋外に設置し,人間と自動車の移動している様子を観測する実験を行う.そして,取得したデータを解析することでターゲットによってドップラ周波数の時間変化に違いが生じるか検証し,観測時間を長くしたとき,人間の場合はドップラ周波数分布が広範囲になり,自動車の場合は局所的で変化がないことを示す.また,ドップラ周波数によって人間と自動車の識別を行う場合に必要とする観測時間も検討し,約0.2秒の観測時間があれば識別できることを示す.
ミリ波レーダは,光学センサが適用困難な状況(粉塵,
見通し外等) でもセンシングが可能であるため,車両衝
突防止センサや災害現場での救助センサとして有望であ
る.レーダによる3 次元画像化法として,合成開口処理
等のコヒーレント処理に基づく各種の方法が提案されて
いるが,位相不確定性や干渉性ノイズによる虚像等が問
題となる.一方,RPM(Range Points Migration) 法は,
各素子で観測される距離点群を目標境界上の散乱中心点
群に写像する方法であり,共焦点法の種々の問題を解決
する[1].また,ドップラ速度の統合とデータクラスタ
リングによる高速化・高精度化等が進められている[2].
一方,同手法はインコヒーレントな処理に基づき,角度
分解能は基本的に距離分解能で決定されるため,比帯域
幅が小さいミリ波レーダ等の信号モデルでは精度が劣化
する.本稿では同問題を解決するため,波数空間変換に
基づく距離分解法及びクラスタリング処理を導入する.
幾何光学近似に基づく数値計算データにより,本手法の
有効性を示す.
自動運転社会において,より精度の高い車両・歩行者検出用インフラセンサの要求が増している.その中で,ミリ波レーダは屋外のロバスト性が高いことから,次世代インフラセンサとして期待されている.本稿では,ミリ波レーダを車両の検知に適用した場合,車両の分離が難しい同距離同速度で並走するシーンに対して検討を行った.車両を分離する手段として,高分解能アルゴリズムであるMUSIC法を適用し,結果として,近距離(30m)において並走車両が分離されていることを確認した.今後は,遠距離での分離および,歩行者の分離について検討する.
B-2. 宇宙・航行エレクトロニクス
3月20日 9:00〜11:45 52号館 101教室 座長 田中 真(東海大)
B-2-1 |
電磁波を用いた3次元海中位置推定システムの検討
◎加藤涼介・高橋応明(千葉大)・陳 強(東北大)・石井 望(新潟大)・吉田 弘(海洋開発研究機構) |
B-2-2 |
航空レーザ測深(ALB)を用いた水棲生物追跡システムの研究
◎△角至悠希・天野 亮・今宿 亙・光永 靖・鳥澤眞介・前田佳伸(近畿大) |
B-2-3 |
GNSS観測における樹木による遮蔽の影響の検討
○古川 玲・江森洋都・吉敷由起子(構造計画研)・久保信明(東京海洋大) |
B-2-4 |
2受信局と3衛星間のTDOAを用いた未知電波源の非同期追尾
○網嶋 武・鈴木信弘(三菱電機) |
B-2-5 |
TOA測位におけるTaylor級数推定法と直接法
○小菅義夫・古賀 禎・宮崎裕己・呂 暁東(電子航法研)・稲葉敬之(電通大) |
水難事故の発生件数はここ数年ほぼ一定で、ほとんど減少が見られない。水難事故の際に救助活動を行うのはダイバーであるが、海中には様々な漂流物が存在し、救助中のダイバーに常に危険が伴う。本研究では、水中におけるダイバーの位置の特定により、救助活動を支援することを想定し、中波以下の低周波数帯の電波を用いた海中位置推定システムの検討を行う。先行研究において、10kHzの超長波電波は、理論上1mあたり3.5dB減衰し、30m以上の距離を伝送できる。また、深さ方向における2次元の位置推定についてはすでに報告されている。本研究では、10kHzの電磁波を用いた海中位置推定システムにおける受信電力強度(RSS)使用の優位性について述べる。また、RSSを用いた深さ2mから8mまでの3次元位置推定シミュレーションを行ったので、併せて報告する。
本研究では,水棲生物の位置をリアルタイムで測定するためにレーザ光源,再帰性反射シートを用いたシステムを提案する.このシステムは,水棲生物に取り付けられた再帰性反射シートが緑色レーザ光源から照射される光を反射し,レーザ光源の検出システムがその反射光を検出する.航空レーザ測深(ALB)を用いて実験を行い,高度約500mから緑色レーザを照射して,カプセルレンズ型再帰性反射シート取り付けたイサキの位置を推定した.ALB測定を用いてリアルタイムで水棲生物を追跡する方法を実証した.
衛星測位の精度は,衛星数,衛星配置と観測情報の品質に大きく依存する,衛星毎の観測情報の品質は,衛星-受信機間を信号が伝搬する経路に存在する電離層,大気圏,建物,樹木などの影響を受ける.
樹木の遮蔽がある場合,信号強度の低下やマルチパス誤差が発生すると言われており,無線通信向けにはITU-R 勧告P.833の植生による信号の減衰式があるが,マルチパス誤差や測位にどのような影響が出るかについては不明である.
本稿では樹木に遮蔽される環境と遮蔽されない環境において,GNSS信号を同時に取得し,信号強度とマルチパス誤差について分析を行った.
衛星通信に生じるアップリンク干渉の電波源を追尾する方法として,3衛星間の到来時間差(TDOA: Time Difference of Arrival)が知られている.一方,地上受信局数が2局しかない場合,衛星へのアンテナ指向を切り替えてTDOAを非同期計測する必要がある.この計測値に対し,従来の同期計測を仮定した追尾方式を適用すると,切り替えに要する時間に移動体が移動するため,追尾誤差が生じる.本稿では、非同期追尾方式を提案する.
受信局と目標間の距離観測値を使用したTaylor級数推定法による目標位置推定(TS法と呼ぶ)について述べる.TS法は,距離の線形近似のため目標位置初期値を設定する必要がある.このTS法では,受信局と目標位置初期値を結ぶ直線上のベクトルのうちいずれか3個が1次独立なら解が存在する.従って,TS法で解を求めるには,最低3個の受信局が必要である.一方,目標位置初期値なしで,距離観測値自乗の受信局間の差より作成した連立方程式を直接解いて目標位置を推定する方法が報告されている(D法と呼ぶ).D法では,最低3個の距離自乗差,従って4個以上の受信局が必要である.本稿では,同一平面上にない4個の受信局が存在する場合,D法で解が一意的に求まるとともに,TS法でも解が求まることを示した.従って,同一平面上にない4個以上の受信局で求めたD法の解を初期値にして,TS法で目標位置が推定可能である.さらに,この場合,TS法の推定精度は,D法以上であることを示した
休 憩(10:30 再開) 座長 網嶋 武(三菱電機)
B-2-6 |
ホールディングポイント近傍における変則的飛行の検出に関する研究
◎鳥村瑠那・田中 真(東海大) |
B-2-7 |
宙空より落下する物体の衝突確率に関する基礎研究
◎永島 柚・田中 真(東海大) |
B-2-8 |
ILSローカライザー信号における干渉波の実験結果
本田純一・松永圭左・○毛塚 敦・田嶋裕久(電子航法研) |
B-2-9 |
無人航空機用通信における920MHz 帯の伝搬特性の検討
◎渡辺拓哉・北沢祥一・上羽正純(室工大) |
B-2-10 |
固定翼UAV用の無線映像伝送システムの開発
○古賀 禎(電子航法研) |
航空機は着陸の許可が得られるまで管制官の指示にてホールディングを行い,場合に応じてTime Approachと呼ばれる縦に積み重なる形をとる.
上下方向に他の機体が存在する状態は,機体部品の落下やエンジントラブル等が生じた際に,他機を巻き込む事故に発展する可能性がある.
従って,管制官だけでなくパイロット自身も他機とのクリアランスを意識できるような情報提供が必要であると考えた.
本研究では,ホールディングポイントにおける変則的飛行を検出するシステムの基礎研究を行い,ホールディングが安全に実行できているという判断基準の明確化とホールディングポイントを大きく外れた変則的飛行の挙動を検出することを試みた.
日本国内には空港,原子力施設,石油基地,重要通信施設,自衛隊基地,米軍基地など多くの重要施設が存在する.現在,航空機や人工衛星およびスペースデブリはその重要施設のほぼ真上を通過する時刻も存在する.宙空を飛行する物体から,一部の部品またはその全部が自由落下運動を経て地上に到達することは確率的に表現することが可能である.これまでは,落下物体が地上に到達する確率は非常に小さな値として認識され,めったに起こらない事象として理解されていたが,近年,航空機からの落下物の問題が浮上し,その対策が急務となっている本研究では,日本における重要施設と航空機やデブリなど宙空の飛行物体からの落下物の関係性に着目し,大局的な衝突の影響評価を行うことを目指した.
計器着陸システム(ILS)の一つであるローカライザー(LOC)は,航空機に着陸コースの水平方向の位置を知らせる重要な役割を担っている.しかし,建物や航空機からの散乱波が誤差要因としてしばしば問題となっている.本研究は,ILSの電波干渉を数値解析するための計算アルゴリズムの開発を進めている.本稿は,計算結果の検証用として,実環境で発生する干渉波について,仙台空港内で実験を行ったのでその結果を紹介する.実験から建物からの干渉波と見られる信号を得られることが分かった.
UAVに搭載した920MHz帯無線機と地上局との電波伝搬特性を評価した。
本稿は,固定翼UAV用の映像無線伝送システムの開発について紹介する。
3月21日 13:00〜17:00 52号館 101教室 座長 秋田 学(電通大)
B-2-11 |
ガウス混合モデルとEMアルゴリズムに基づくRPM法のパラメータ最適化法
◎高橋蹴人・木寺正平(電通大) |
B-2-12 |
近距離車載レーダのためのデータ統合によるRPM法の高精度化
◎大森知樹・木寺正平(電通大)・赤峰悠介・礒野友輔(SOKEN) |
B-2-13 |
自動車用FMCWレーダにおけるターゲット検出のための反復CFAR法
◎△奥田健夫・牧野祐也・梅比良正弘・王 瀟岩・武田茂樹(茨城大)・黒田浩司(日立オートモティブシステムズ) |
B-2-14 |
送信周波数差を利用する速度曖昧さ解法の性能評価
○三本 雅・諏訪 啓・若山俊夫(三菱電機) |
B-2-15 |
HPRFパルスドップラレーダ向け仮検出型目標検出方式
◎小幡 康・亀田洋志・和泉秀幸(三菱電機) |
B-2-16 |
レーダーシステムの不要発射測定サイトの評価について
○塩田貞明・町澤朗彦・川原昌利・北澤弘則(NICT)・井上 朗・中村 透・村川真一・石井義弘(ラボテック・インターナショナル) |
B-2-17 |
レーダースプリアス測定用オープンサイトのマルチパス対策の予備検討(周波数特性)
○町澤朗彦・川原昌利・北澤弘則・塩田貞明(NICT)・井上 朗・中村 透・村川真一・石井義弘(ラボテック・インターナショナル) |
B-2-18 |
レーダースプリアス測定用オープンサイトのマルチパス対策の予備検討(ハイトパタン)
○川原昌利・町澤朗彦・塩田貞明・北澤弘則(NICT)・井上 朗・中村 透・村川真一・石井義弘(ラボテック・インターナショナル) |
マイクロ波・ミリ波レーダは,粉塵,濃煙及び悪天候下でも測定可能であるため,自動車の衝突回避センサ等に有用である.レーダによる画像化法として,RPM(Range Points Migration)法が提案されている\cite{RPM}.RPM法は,各素子位置の距離データから抽出される距離点と呼ばれる離散点の集合から,到来方向分布をカーネル密度推定で推定する手法であり,多数の散乱点が混在する場合でも高精度な画像化を実現する.しかし,同手法ではカーネル密度推定のパラメータを事前に決定する必要がある.本稿では,RPM法の分布推定においてガウス混合基底(GMM:Gaussian Mixture Model)を導入し,EM(Expectation Maximization)アルゴリズムで各パラメータを自動的に決定する手法を導入する.数値計算に基づく性能評価により,本手法の有効性を示す.
マイクロ波・ミリ波帯の電磁波を用いた近距離レーダシステムは,光学センサ等の適用が困難な,壁越し・粉塵・見通し外環境等での目標探知が可能であり,自動車の突防止センサとして有望である.
上記応用に資する画像化法の一つとして,目標境界抽出に特化した高精度画像化法であるRPM 法(Range Points Migration) が提案されている.
車載レーダ応用においては,ultiple Input Multiple Output)レーダ側が走行に従って移動することが想定され,同開口面積の増大により更なる高精度化が望める.
各アレイでのデータ統合及び実空間上での連続的なクラスタリング効果を新たにRPM 法の評価値に組み込むことで精度改善を図る.
精緻な車両モデルを用いたFDTD(Finite ifference Time Domain)法により,本手法の有効性を示す.
自動車用ミリ波FMCW(Frequency Modulated Continuous Wave)レーダでは、近接した複数ターゲットを分離するため20[cm]程度の分解能が必要で、これらを自動で分離・検出する必要がある。ターゲット検出には、ターゲット周囲の平均値を基準に検出しきい値を設定するCFAR(Constant False Alarm Rate)法がある。しかし、近接の複数ターゲットを分離する場合、レーダ断面積の大きなターゲットによりCFARの設定しきい値が大きくなり、レーダ断面積の小さなターゲットの検出率が低下する問題がある。レーダ用として、クラッタの影響を低減する改良CFAR方式等が提案されているが、今回の問題には適用できない。本稿では、しきい値設定とターゲット検出を反復して実施する反復CFARターゲット検出法を提案し、計算機シミュレーションにより有効性を確認したので報告する。
Chirp Sequenceレーダで折り返しによる速度曖昧さの解法として,送信周波数差を利用する方法を提案しており,シミュレーションによる性能評価結果を示す.
レーダの低S/N目標検出について,目標の動きを補償しながら信号を積分する方式が知られている.しかしながら全積分時間に渡る信号の蓄積が必要なため,HPRF(High Pulse Repetition Frequency)パルスドップラレーダに適用する場合には装置規模の拡大が課題である.本稿ではより簡易な処理での目標検出を目的とし,低検出閾値で一旦仮検出した信号群から,多目標追尾アルゴリズムで目標信号のみを抽出する方式を提案する.
レーダーシステムから発射される不要発射を測定するためのサイトを構築する技術を開発するため、サイト候補地を決定し、サイト候補地における伝搬特性の評価を行った。評価はサイトの電波伝搬特性(サイト挿入損(Site Insertion Loss))を測定値と理論値(自由空間伝搬損失)を比較することにより実施した。今回実施した測定では、受信アンテナの高さを変えた時のSILの変化を確認する目的で実施したが、測定中のサイトの状態(表面の状態)の変化による影響も測定結果に含まれていると考えられる。今後は、サイトの状態は可能な限り同条件下で測定を実施する必要がある。
レーダースプリアス測定用オープンサイトのマルパス対策として草地のみと多重金属フェンスを追加した場合について通路利得係数の周波数特性を評価した。測定の結果、送受信間が20m程度の距離に対して周波数帯域7-25GHzでは、草地のみの方が通路利得係数の周波数変動が小さく優れていた。
レーダースプリアス測定用オープンサイトのマルチパス対策として、草地のみと多重金属フェンスを追加した場合のハイトパタンの測定を行った。測定の結果、送受信間距離20m及び周波数帯域7~25GHzにおいてはハイトパタンの測定においても草地による効果のほうが多重金属フェンス設置による効果よりもすぐれていた。
休 憩(15:15 再開) 座長 星野赳寛(三菱電機)
B-2-19 |
アジマス方向のデジタルビーム形成を用いた可変PRF合成開口レーダの画像再生処理方式
◎宮本麻由・土田正芳・中村聖平・横田裕也・諏訪 啓(三菱電機) |
B-2-20 |
PiSAR-X2データを用いたSAR画像散乱体高さ分離方式の評価
◎片山由美子・諏訪 啓(三菱電機) |
B-2-21 |
ESPRIT法を用いたXバンド航空機SARによる建築物観測データの高分解能高さ方向再構成
○牛腸正則・山田寛喜・山口芳雄・佐藤亮一(新潟大)・児島正一郎(NICT)・有井基文(三菱電機) |
B-2-22 |
PSクラスタリングと地図データに基づく合成開口レーダを利用した建物の2次元変位解析
◎生藤大典・田中大地・宝珠山 治(NEC) |
B-2-23 |
AMSR時空間データを用いた変動パターン解析
○今岡啓治(山口大)・可知美佐子(JAXA) |
B-2-24 |
振幅・位相特性に着目した特定電波源識別技術の検証
○△杉本 司・名坂純哉・有馬 聖(立命館大)・小林正明(AOC)・熊木武志(立命館大) |
B-2-25 |
ミリ波レーダを用いた非接触心拍測定のための精度推定法
○阪本卓也・山口玲偉(兵庫県立大) |
合成開口レーダ(Synthetic Aperture Radar; SAR)システムにおける、高分解能化と広域化のトレードオフの緩和を狙う方式として、アジマス(Az)方向のDBF (Digital Beam Forming)を応用した方式(アジマスマルチビーム形成)や、エレベーション(El)方向のDBFと可変PRF(Pulse Repetition Frequency)を組み合わせた方式が提案されている。本稿では、上記トレードオフの更なる緩和を狙い、El方向のDBFおよびアジマスマルチビーム形成と可変PRFを全て組み合わせる方式を提案する。特に、Az方向に不等間隔なサンプル位置を等間隔にリサンプルする際の誤差を低減する画像再生方式に焦点を絞って報告する。
衛星に搭載されたSAR(Synthetic Aperture Radar)で撮像されたSAR画像中の散乱体を高さ方向に分離するため,異なる軌道で複数のベースラインのSAR画像の位相差を組み合わせた方式を提案している.本発表では,この提案方式を情報通信研究機構が運用するPiSAR-X2により撮像されたSAR画像に適用し方式を評価した.その結果,衛星搭載SARと同様に,SAR画像中の散乱体を高さ方向に分離することが明らかになった.
地球観測の分野において災害観測などの様々な用途に航空SAR(Synthetic Aperture Radar) が活用されており,特にSAR を用いた三次元イメージング手法の1つであるTomoSAR(SAR Tomography)は近年注目を集めている.TomoSAR ではマルチベースライン観測データをアレー受信信号と見なし,到来方向推定手法を適用することで仰角,すなわち高さ方向に重畳した信号を分離する.しかし建築物や植物の大きさに対し,TomoSARの分解能は不十分である.本稿ではこの問題を改善するためにESPRIT法を利用し高精度かつ高分解能な高さ方向イメージングが実現可能であることを示す.
本稿では,都市部における建設物や道路監視のために,PS (Persistent Scatterer) 点クラスタリングと地図データに基づく合成開口レーダを用いた2 次元変位解析手法を提案する.提案手法は,時間的に反射強度が安定した反射点"PS 点" に対して, PS クラスタリングを利用することで同一構造物からの反射によるPS 点をひとつのクラスタにまとめ,各クラスタを地図データ上の適切な構造物と対応付ける.そして,異なる観測方向ごとに,対応付けられたPS 点を統合解析することで,構造物単位で2 次元変位を得る.解析結果から,都市部の構造物の変位解析に本手法が有効であることを確認する.
1970年代から継続的に行われてきた人工衛星搭載型マイクロ波放射計による観測により,現在では30〜40年規模のデータが蓄積され,ようやく気候変動の一端を捉えることができるようになった.近年様々な分野で用いられる機械学習的なアプローチは,このような人工衛星データ解析にも有用と考えられる.本報告では,熱帯太平洋域におけるマイクロ波放射計AMSR-Eによる海面水温データに対して自己組織化マップ(SOM)を適用することにより,代表的な気候変動パターンとしてエルニーニョ現象の解析を試行し,監視海域におけるインデックス等との比較を行った.
近年,情報通信技術が発展する一方,無線LANの不正利用や,サイバー犯罪等の事件に巻き込まれるといった情報セキュリティに係る問題が増加してきている.
本稿では,特定電波源識別技術が新しいセキュリティの一手法に成りうる可能性を提示する.
特定電波源識別(Specific Emitter Identification : SEI)とは,電波に含まれている,発信者が意図しない変調成分等を無線通信機器固有の特徴とみなし,無線通信機器の個体を特定する技術である.
特定電波源識別技術確立のための基礎検証を受信波形の振幅位相特性に着目して行ったところ,各無線機器に固有の特徴があることが判明した.
現在,心拍測定には脈波計や心電計などの接触型デバイスが用いられているが,不快感や皮膚アレルギー等の問題が指摘されている.一方,レーダを用いた非接触心拍測定が注目を集めているが,姿勢や体動による精度低下が報告されており,測定された心拍数の精度を推定する手法が不可欠である.本研究では,受信信号の特徴を用いた心拍測定精度の推定法を提案し,その性能を評価する.
B-3. 衛星通信
3月19日 9:15〜11:30 52号館 102教室 座長 辻 宏之(NICT)
B-3-1 |
無線通信用鉄塔点検へのドローン活用に関する一検討
○柴山大樹・原田耕一・野村智之・五藤大介・山下史洋(NTT) |
B-3-2 |
地上/UAV共用携帯電話システムのSTBC適用による性能改善
◎粂野康司・岡本英二(名工大)・辻 宏之・三浦 周(NICT) |
B-3-3 |
無人航空機を用いたユーザ位置検出における初期値選定手法の拡張
○斉藤祐貴・堀川裕貴・石川博康(日大) |
B-3-4 |
無人航空機を用いた位置検出手法における最大誤差推定方式の検証
○堀川裕貴・斉藤祐貴・石川博康(日大) |
無線通信用の鉄塔の点検の安全性向上に向けた取り組みとして,ドローンを利用した撮影映像による点検の実施方式および実地検証結果について述べる
これまで地上/UAV共用携帯電話システムの伝送スループットを計算機シミュレーションにより算出し,十分な性能が得られていることを明らかにしてきた.さらに,code division multiplexing (CDM) 適用によるダイバーシチ効果を得る手法,及びOFDMAのリソース割り当てスケジューリングによる性能改善について検討を行った.しかしながらその伝送特性にはまだ改善の余地があった.そこで本稿では,地上/UAV共用携帯電話システムにおいて,space-time block code (STBC) を適用し,送信ダイバーシチ効果による伝送性能改善が可能であることを示す.
無人航空機システム(UAS: Unmanned Aircraft System)では,時速40~100km/hで高度150~1,000mの上空を無人航空機(UAV: Unmanned Aerial Vehicle)が旋回飛行することを想定していることから,UAV-送受信機間の視線速度の変化によって生じるドップラーシフトを複数のUAVに対して観測することにより,ユーザの位置検出が可能となる.これまで,最小二乗法の初期値を選定するアルゴリズムである,初期値選択アルゴリズムを提案し,評価解析を行ってきた.同提案アルゴリズムでは,複数ある候補の中から適切な初期値を選択できないケースが生じる.
そこで,本研究では,アルゴリズムの拡張を図り,円旋回する2機のUAVによる飛行モデルで評価したのでその結果を報告する.
無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)と地上制御局等から構成される無人航空機システム(UAS:Unmanned Aircraft System)では,UAVが周回飛行することによりUAV-ユーザ端末間の送受信信号の周波数にドップラーシフトが生じる.このドップラーシフト量を観測することで,ユーザ端末の位置を検出することが可能である.我々はこれまで,ドップラーシフトに基づく測位精度指標,並びに,測位精度指標に基づく最大・最小位置検出誤差推定方式を提案した.
本研究では,2機のUAVが円旋回するモデルにおいて,最小2乗法による位置検出誤差特性と,位置検出誤差推定方式により導出した最大推定誤差との関係を評価・解析し,同推定方式の有効性を検証したので,その結果を報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 柴山大樹(NTT)
B-3-5 |
直接波測位時間率によるリレー型GPSの送信周期の検討
◎村井宣文・早川俊成・杉山隆利(工学院大) |
B-3-6 |
高層ビル郡環境におけるGPS反射回数に基づく擬似距離近似制御法の提案
◎早川俊成・村井宣文・杉山隆利(工学院大) |
B-3-7 |
クリッピングとフィルタリングを用いた帯域分解合成伝送の隣接チャネルに与える影響
◎小俣澄夏・白井 基・杉山隆利(工学院大)・浦田 泉・山下史洋(NTT) |
B-3-8 |
スペクトラム圧縮伝送へのMLD適用によるマルチチャネル環境下でのシステムスループット向上効果
◎白井 基・小俣澄夏・杉山隆利(工学院大) |
近年,携帯端末などの位置情報を取得する手段としてGPS(Global Positioning System)が広く普及しているが, 都市環境においては障害物によって測位に必要な4機以上のGPS衛星からGPS信号を受信できずに測位が不可能になる場合がある.この問題を解決する手法としてリレー型GPSが提案されている.しかし, リレー型GPSの擬似衛星携帯端末はスマートフォンなどの携帯端末を使用することを想定しているため,バッテリーの消費電力の問題上GPS衛星のように常時GPS信号を送信するわけにはいかない.本稿では,目標のGPS受信機の直接波測位時間率と擬似衛星携帯端末のGPS信号送信周期との関係をシミュレーションにより明らかにしたので報告する.
近年GPS衛星を使った測位が広く普及をしている.しかし高層ビル群環境では多数反射波を受信する.反射波の擬似距離をそのまま測位演算に利用した場合,測位精度が劣化する問題がある.そこでGPS受信信号電力から反射回数を推定し,反射回数ごとに反射波の擬似距離から直接波の擬似距離へ近似を行う擬似距離制御法を提案する.本稿では,擬似距離近似制御法の測位誤差改善効果を従来のGPS測位と比較して計算機シミュレーションによって評価する.
衛星通信では回線交換ベースの要求多元接続方式によって生じる未使用帯域が散在することで,周波数の有効利用が実現できない問題がある.これを解決する方法として帯域分解合成伝送が検討され,その有効性が示されている.さらに,サブスペクトラムへの分解数に伴い増大するPAPR をクリッピングにより低減させる方式が提案され,その特性も評価されている.本稿では,クリッピングを適用した帯域分解合成伝送信号が隣接チャネルに与える影響を計算機シミュレーションにより評価する.
近年,周波数帯域の枯渇が深刻化しているため,「スループット/所要帯域幅[bps/Hz]」で定義される周波数利用効率を向上させる技術が必要となっている.そこで,スループットを出来るだけ維持したまま,変調スペクトラムの所要帯域幅をナイキスト帯域幅未満に狭帯域化することで周波数利用効率を向上させるスペクトラム圧縮伝送が提案され,その有効性が示されている.しかし,圧縮伝送ではISIの影響により伝送品質が劣化してしまう.そこで,伝送品質改善のために,圧縮伝送にMLD(Maximum Likelihood Detection)の適用を検討してきた.本稿では,MLDを適用した場合のマルチチャネル環境下におけるシステムスループット向上効果を定量評価したので報告する.
3月19日 13:15〜17:00 52号館 102教室 座長 山下史洋(NTT)
B-3-9 |
ニーズに合わせて通信容量や利用地域を柔軟に変更可能なハイスループット衛星通信システム技術の詳細設計の状況
○三浦 周・森川栄久・吉村直子・岡田和則・織笠光明・大川 貢・若菜弘充・山本伸一・高橋 卓(NICT)・川本雄一・加藤 寧(東北大)・坂井英一・須永輝巳・堀江延佳・金指有昌・角田聡泰(三菱電機)・川崎和義・菅 智茂・佐藤正樹・小園晋一・大倉拓也・阿部侑真・豊嶋守生(NICT) |
B-3-10 |
ハイスループット衛星通信システムの状態変化を考慮した周波数フレキシビリティ性の定量評価に関する一考察
◎亀井大樹・川本雄一・西山大樹・加藤 寧(東北大) |
B-3-11 |
ハイスループット衛星通信システムにおけるACMに対する非線形歪の影響
○大川 貢・若菜弘充・三浦 周(NICT) |
B-3-12 |
ハイスループット衛星における周波数フレキシビリティの性能とトラヒック変動の特徴量に関する一考察
◎阿部侑真・大川 貢・三浦 周・岡田和則・秋岡眞樹・豊嶋守生(NICT) |
B-3-13 |
技術試験衛星9 号機搭載用 マイクロ波モジュール試作評価について
○角田聡泰・稲沢良夫・尾野仁深・草野正明・須永輝巳・金指有昌・堀江延佳・坂井英一(三菱電機) |
B-3-14 |
技術試験衛星9号機搭載 可変ビーム用アンテナの基本設計
○金指有昌・高谷侑希・稲沢良夫・尾野仁深・草野正明・須永輝巳・角田聡泰・堀江延佳・坂井英一(三菱電機) |
B-3-15 |
ハイスループット衛星通信システムにおけるビーム指向性制御を伴った効率的な電力リソース割当に関する検討
◎高橋昌希・川本雄一・西山大樹・加藤 寧(東北大) |
大容量化と周波数割当のフレキシビリティを主眼とする衛星通信技術の確立を目的とした「ニーズに合わせて通信容量や利用地域を柔軟に変更可能なハイスループット衛星通信システム技術の研究開発」の詳細設計を実施した。平成28年度に研究開発を開始し概念設計・基本設計を実施し、平成30年度は詳細設計フェーズである。設計進捗に伴う中継器構成の見直しと最終化、解析モデルの環境軸変化に関する検討や制御システムの時間変化に対する動的性能の検証、最終年度に行う総合評価の詳細検討を進めている。またチャネライザとアンテナ/給電部の開発では衛星搭載用試作モデルの基本設計を完了し基本設計審査を受審し、詳細設計を行っている。
今日,航空機インターネットや海底資源調査船での通信といった地上通信網の届かない地域などに通信環境を提供する衛星通信に注目が集まっている.近年では,高速・大容量通信を実現するHTSの研究・開発が進んでいる.しかし,現在のHTSでは各ビームへの周波数リソース割当が固定であり,通信リソースの有効利用ができていないのが現状である.そのため、HTSのフレキシビリティ性を付与する技術の研究・開発が進んでいる.本研究グループでは,これまでにHTSのフレキシビリティ性の定量的な評価を可能とするシステム解析モデルの構築に取り組んできた.本研究では,これまでのシステム解析モデルを拡張させた上で,デジタルチャネライザを用いた周波数リソース割当手法のフレキシビリティ性の評価を実施する.
近年, ハイスループット衛星通信(HTS)システムにおいて,多値変調方式を用いた適応通信(ACM: Adaptive Coding and Modulation)が使用され,周波数利用効率の向上が図られている.ヨーロッパ(ETSI)で規格化されたDVB-S2XはBPSKから256APSKまでの変調方式が設定され,種々の性能評価が行われている.中継器の非線形歪みの影響もその一つであるが,多値数が多くなると非線形歪みによりBER特性が劣化する.また,複数波が共通増幅された場合,相互変調干渉の影響を受ける.ACMの前処理で非線形特性を理想的に補償する技術が有効であるが,ボルテラフィルタを用いた非線形歪補償の効果および相互変調雑音(IM)を低減する周波数チャネル配列について検討した.
近年,ブロードバンド衛星通信の需要増加に伴い,大容量なハイスループット衛星が求められている.さらに,通信トラヒックの変動に合わせて柔軟に割り当て帯域を変更できる周波数フレキシビリティ機能も重要である.これまで,航空機トラヒックや災害時トラヒックの時間変動の解析や周波数フレキシビリティの評価が行われてきた.本稿では,着目すべきトラヒック変動の特徴量を検討し,シミュレーションによってその特徴量と周波数帯域割り当てアルゴリズムの性能指標を比較する.
技術試験衛星9号機では、Ka帯のHTS衛星に向け利用周波数帯域のフレキシビリティ化による周波数利用効率向上と空間的変動に対応したフレキシビリティ(エリアフレキシビリティ)の実現を目指した研究開発を行っており、採用を検討しているモジュールについて評価結果を報告する.
平成33年度に打ち上げ予定の技術試験衛星9号機の開発に関し,平成29 年度~平成31年度(予定)にて,総務省委託研究「Ka帯広帯域デジタルビームフォーミング機能による周波数利用高効率化技術の研究開発」を受託した.ディジタル回路を利用し振幅位相を制御することで可変ビームを生成し,空間的変動に対応したフレキシビリティ(エリアフレキシビリティ)を実現できる中継器等を開発中である.本稿では搭載用に開発している,可変ビーム用アンテナの基本設計の結果を報告する.
衛星通信ネットワークにおける利用用途の多様化に伴い,衛星通信システムにおける通信需要が年々増加している状況下で,大容量通信を可能とするHTS(High Throughput Satellite)の研究開発が進んでいる.しかしながら,現行のHTSではマルチビームへの電力リソース割当が固定であり,通信需要の変動に対応不可能である点が課題である.近年では,通信需要の変動に合わせて各ビームの電波を柔軟に制御可能な機能としてビームフォーミングが注目を集めている.本稿では,ビームフォーミング機能を持つマルチポート増幅器が搭載されたHTSから地上へ複数のビームが照射される状況を想定し,通信需要の地理的偏りに応じた柔軟性の高い電力リソース割当手法を提案する.
休 憩(15:15 再開) 座長 筋誡 久(NHK)
B-3-16 |
BFNにおける励振位相量子化による利得劣化の考察
○尾野仁深・稲沢良夫・角田聡泰・須永輝巳・草野正明・金指有昌・堀江延佳・坂井英一(三菱電機) |
B-3-17 |
ゲーティング処理を用いたアレーアンテナの系統誤差校正の測定パラメータ解析
◎大倉拓也・三浦 周・織笠光明(NICT)・仙波新司(アクシス) |
B-3-18 |
スペクトラム分解伝送による干渉回避に関する一検討
○山下史洋・五藤大介・今泉 豊・原田耕一(NTT) |
B-3-19 |
深層学習を用いた2波LEO-MIMO制御信号のドップラー周波数推定
○桶間 椋(名大)・五藤大介(NTT)・山里敬也(名大)・柴山大樹・山下史洋(NTT) |
B-3-20 |
複数低軌道(LEO)衛星を用いたMIMO伝送による大容量化の検討
○五藤大介・山下史洋・柴山大樹(NTT)・山里敬也・桶間 椋(名大) |
B-3-21 |
衛星通信における高可用基地局構成の提案
○松井宗大・松下 章・今泉 豊・原田耕一・山下史洋(NTT) |
B-3-22 |
離島衛星通信のKu帯統合化に向けた品質確認に関する一検討
○原田耕一・今泉 豊・五藤大介・山下史洋(NTT) |
静止通信衛星システムにおけるニーズに応じたリソース配分のエリアフレキシビリティ向上に向けて,DBF (Digital Beam Forming)技術の開発を行っている.DBFはデジタル移送器を用いたAPAA(Active Phased Array Antenna)に比べてより細かな位相制御が可能なため,ビーム形状のフレキシビリティの向上が見込める.今回,DBFとAPAA方式との比較として,特定規定点利得の最適化をした理想的な励振位相と,特定のビット数で量子化した励振位相とで,ビームの形状や利得の比較を行った.これにより,量子化ビットの精度向上による利得向上を確認した.
DBF アレー給電反射鏡アンテナにおいて所望の指向性を精度良く形成するためには給電部の系統誤差の校正が重要であることから,軌道上において系統誤差を衛星内で直接測定,校正する自己校正技術の確立を目指している.これまでに,ピックアップアンテナを用いてアレー給電部との結合特性を測定し,ゲーティング処理により給電部の各素子の振幅及び位相を推定し,あらかじめ取得した基準値との差分から校正係数を算出する手法を提案している.本報告では,ゲーティング処理における時間幅の変化に対するピックアップアンテナの検出量の変化を明らかにし,時間幅が0.05 µs以下で振幅は0.5 dB以内,位相は2 deg.程度の差で変化量を検出可能であると確認できた.
スペクトラム分解伝送を干渉波回避に適用した検討結果を報告する。
本稿では,複数の低軌道(LEO)衛星を用いたMIMO通信(LEO-MIMO方式)において,伝送容量向上の為に衛星間の全信号を重畳させ,端末では深層学習によるドップラー周波数推定を行う手法を提案する.衛星の様なチャネルモデルや通信状況が地上に比べてシンプルな環境では,ある程度受信パターンが制限されるため,機械学習によるブラインド推定で検出できる可能性がある.本稿ではそれぞれ異なるドップラー周波数が発生する2衛星の重畳信号の受信波形情報から,深層学習によるドップラー周波数推定を行うことを検討する.
筆者らは,低軌道衛星(LEO)システムにMIMO技術を適用するLEO-MIMOの検討を行っている.本システムはLEOが複数衛星を用いる特徴を生かし,複数アンテナを所有した端末局が複数のLEO衛星と同時に通信を行うMIMO伝送を行うものである.本稿では,複数衛星からの同時伝送を考慮した帯域割当を想定した伝送容量評価を報告する.
本稿では、複数の小型アンテナを連携させる分散アレーアンテナ技術及び,高出力増幅器を冗長構成にした適応冗長HPA構成技術を組み合わせた、高可用基地局構成を提案する。
NTTでは,これまで地球局の可搬性の観点から,Ku帯を用いた災害対策用衛星通信システムと,サービスエリアの広域性の観点から,C帯を用いた離島衛星通信システムを開発してきた.一方で,近年船舶や航空機でのKu帯の利用が進み,Ku帯のサービスエリアが拡大傾向にあることから,現在C帯でサービス提供している離島衛星通信をKu帯に統合化する検討を開始した.
本稿では,離島地域でのKu帯の通信品質を把握するための初期検討状況を報告する.
3月20日 9:15〜11:30 52号館 102教室 座長 小島政明(NHK)
B-3-23 |
ニューラルネットワーク型DPDによる低バックオフ動作時のEVM改善
○安藤暢彦・田島賢一(三菱電機) |
B-3-24 |
Preliminary Design of an Intersatellite Lasercom Experiment Between a LEO CubeSat and a GEO Relay Satellite
○Alberto Carrasco-Casado・Dimitar Kolev・Yasushi Munemasa・Hiro Kunimori・Morio Toyoshima(NICT)・Do Xuan Phong・Takayuki Hosonuma・Shinichi Nakasuka(The Univ. of Tokyo) |
B-3-25 |
大気ゆらぎ予測モデルの経時による適合度低下について
○竹中秀樹・遠藤寛之・藤原幹生・北村光雄・都筑織衞(NICT)・清水亮介(電通大)・佐々木雅英・豊嶋守生(NICT) |
B-3-26 |
ハイスループット衛星通信システムにおけるビームホッピング利用とフレキシビリティ性の関係に関する一考察
○川本雄一・加藤 寧(東北大) |
衛星搭載向け増幅器では,その動作点を低バックオフに設定することが一般的である。しかし、増幅器の非線形性により歪みが発生するため、歪み補償(DPD)の適用が有効である.DPDの方式は多項式型が一般的であるが、多項式型DPDは低バックオフ領域での補償精度が悪い。
本発表では、多項式型とは動作原理が異なるニューラルネットワーク型DPDを用いて低バックオフ領域における補償精度をシミュレーションにより求め、多項式型より補償精度が良いことを示す。
NICT and the University of Tokyo are preparing an experiment to demonstrate the technologies needed to perform LEO-GEO intersatellite lasercom links by using a CubeSat as the LEO terminal for the first time with the goal to achieve datarates as high as 10 Gbit/s to communicate with the ETS-IX GEO satellite. Some of the biggest challenges of this mission are the extremely low size, weight and power available in the CubeSat, the accurate pointing precision required for the lasercom link, and the difficulties of closing the link at such a high speed as 10 Gbit/s.
近年,衛星機器に搭載されるセンサ類の高性能化に伴い,衛星通信における通信速度の向上が求められている.現在,宇宙通信で広く使われている電波通信においては,電波干渉問題やキャリア周波数の制限などから,通信速度の高速化は困難である.そのため,解決策の一つとして衛星光通信が注目されている.
衛星光通信では,地表における大気ゆらぎの影響により,受信光強度が時々刻々とランダムに変化し,通信品質を著しく劣化させる.しかし,この受信光強度の変化は完全にランダムな現象では無く,これまでの時系列情報と相関を持っている.そのため,この相関を利用することで受信強度の予測が可能になると考えられる.
本講演ではこの点に着目し,機械学習を用いた受信光強度の予測法の検討について述べる.また,機械学習結果からある一定時間経過した場合の入力データでの予測と比較し,当該手法の拡張性を検討する.
衛星通信システムの高速化・大容量化への需要の高まりに伴い,ハイスループット衛星 (HTS: High Throughput Satellite) の開発が進んでいる.またHTS実現のための技術の一つとしてビームホッピング技術に注目が集まっている.ビームホッピング技術ではHTSが有する複数ビームの照射位置を一定時間毎に切り替えて利用することで衛星に搭載する信号増幅器数を削減可能となり,システムのコスト削減につながる.本稿ではこのビームホッピング技術を搭載したHTSの性能評価として,我々の研究グループがこれまで評価モデルの構築に取り組んできたフレキシビリティ性[1]に与える影響について検証した結果について報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 髙橋 卓(NICT)
B-3-27 |
Ground-to-Satellite Laser Uplink Pre-Compensation Study for Future Missions in NICT
○Dimitar Kolev・Alberto Carrasco-Casado・Yoshihiko Saito・Morio Toyoshima(NICT) |
B-3-28 |
光通信デバイスの衛星搭載用途スクリーニング手法の検討
○中村純一・小竹秀明・合田拓朗・橋本陽一・大島 浩(NEC) |
B-3-29 |
光コヒーレント送受信部の衛星搭載に向けた放射線耐性評価
○安藤俊行・原口英介・長谷川清智・松田恵介・竹本裕太・矢島雄三(三菱電機) |
B-3-30 |
光周波数雑音特性に基づくアナログ光位相制御回路の設計
○原口英介・安藤俊行(三菱電機) |
Satellite laser communications, especially the optical feeder link possibilities between ground and geostationary (GEO) satellites, are gaining popularity because of the low size, weight and power consumption together with much higher possible data rates compared to radio-frequency-based solutions. For efficient uplinks, however, uplink beam pre-compensation technique is required and different solutions are investigated. In this paper we discuss the current available solutions and their problems and propose our simple solution that we are developing at the moment.
衛星通信の大容量化のニーズが高まる中、衛星搭載用10 Gbit/s級光空間通信コンポーネントの開発を進めている。この開発にあたり、衛星搭載向けに製造された光通信デバイスは無く、品質保証されたデバイスの入手が課題であった。今回、開発中のコンポーネントに地上用光通信デバイスを使用するべく、宇宙環境耐性を確認・確保するためのスクリーニング手法を検討したので報告する。
将来の10Gbps超級の光衛星通信や衛星搭載光ビームフォーミングには、高感度な光コヒーレント送受信技術が有効である。ここでは地上用の光コンポーネントによる実現に向け、キーコンポーネントである狭線幅基準光源の放射線耐性評価を行ったので報告する。
多値度が高い変調方式ではシンボル間のSN比確保の為,狭線幅,高安定な光源が求められている.また,衛星間光通信に用いられるようなアナログコヒーレント光通信や,光位相同期による光周波数変換では,光位相雑音の特性が重要なパラメータとなる.ここでは光源の線幅狭窄化を例として,光周波数雑音の特性を用いたアナログ光位相制御回路の設計結果について述べる.
B-4. 環境電磁工学
3月19日 13:15〜17:00 54号館 404教室 座長 後藤 薫(NICT)
B-4-1 |
チャネルボンディングを考慮した5GHz帯Wi-Fiチャネル決定アルゴリズムの提案
○吉岡 博・野瀬昇一・平澤徳仁・伊藤秀紀・西脇 博(NTT東日本) |
B-4-2 |
既存の無線通信による5Gの通信品質への影響評価
○大室雅司・池本喜代美・石渡 祐(村田製作所) |
B-4-3 |
伝導ノイズによるL2スイッチの通信品質劣化メカニズム解明
○マハムド ファーハン・岡本 健・奥川雄一郎・加藤 潤(NTT) |
B-4-4 |
10-50 MHzインプラントIR通信における波形等化に関する一検討
◎藤井雄基・山田亮祐・安在大祐・王 建青(名工大) |
IEEE802.11n等のWi-Fi通信規格においては、複数のチャネルを束ねて通信するチャネルボンディング等により高速化が図られている。NTT東日本においても、それらの高速化技術を採用したギガらくWi-Fi等の通信サービスを提供しており、円滑なサービス運用に務めている。近年は、Wi-Fi利用者の急増に伴うアクセスポイント(AP)の増加により、電波干渉が発生しやすい状況となっている。本稿では、混雑した環境においても電波干渉が少なく、高いスループットが得られるチャネルを決定するチャネルボンディングを考慮したアルゴリズムを提案する。
次世代通信規格5Gではミリ波帯の採用が決定されたが,イントラEMCで問題となる既存の無線通信から発生するスプリアスの影響が明らかとなっていない.そこで,本稿では外来ノイズとして5Gの信号周波数に近接するノイズがミリ波回路に結合した際の影響を評価した.結果,LO信号にノイズが結合することで5Gの通信特性に影響を与えるスプリアスが発生することを確認した.
筆者らは,伝導ノイズによるL2スイッチ(L2SW)等のネットワーク機器の通信品質劣化の予測に向け,伝導イミュニティ評価法や,通信品質劣化メカニズムの解明について検討している[1].本稿では,L2SWの動作に基づいて伝導ノイズによる通信品質劣化メカニズムを推定し,実験により検証した結果を報告する.
近年,生体情報のセンシングから診断・治療までを統合するインプラント通信が期待され,その実現には微弱無線周波数帯の活用が注目される.インプラント通信では,人体内の電波伝搬により信号に歪みが生じ,符号間干渉が発生するため,信頼性の高い高速伝送の実現には符号間干渉の影響を除去することが不可欠である.先行研究においては、10-50MHz帯IR(Impulse Radio)方式での波形等化を適用することで通信特性の改善が確認されている.本研究では,更なる高速な20Mbpsの伝送速度において波形等化による通信特性の改善効果について検討し,その有効性を示す.
休 憩(14:30 再開) 座長 花澤理宏(UL Japan)
B-4-5 |
金属平板とスイッチを用いた電磁界攪拌機の動作周波数の広帯域化に関する検討
◎濱本将太郎・須賀良介(青学大)・滝沢幸治(TDK)・橋本 修(青学大) |
B-4-6 |
kHz帯からMHz帯における銅メッシュの近傍磁界シールド効果に対する設計チャート
土屋明久(産総研)・◎瀬戸貴大・吉原岳志・須賀良介(青学大)・菅間秀晃(産総研)・橋本 修(青学大) |
B-4-7 |
電磁ノイズ抑制のためのCo-Zr-Nb膜を配置したCPWの配線抵抗
○室賀 翔(秋田大)・遠藤 恭(東北大)・田中元志(秋田大) |
B-4-8 |
散乱マイクロ波測定による電解質の濃度推定
◎渡辺智章(秋田高専)・黒澤孝裕(秋田県産技セ)・駒木根隆士(秋田高専) |
B-4-9 |
放熱性能を考慮した電磁シールド用パンチングメタル形状の検討
○若槻友里・渡辺哲史(岡山県工技セ) |
電磁界攪拌機は,電波の反射方向及び反射量を変化させ,空間に均一な電磁界を発生させる装置であり,その小型化が要求されている.
筆者らは小型な電磁界攪拌機として一列に並べた金属平板をスイッチで接続し,スイッチのON,OFFによりRCS(Rader Cross Section)を変化させる構造について検討している.
本研究では動作周波数の広帯域化を目的として,電界方向の金属平板寸法の変化によるRCSの周波数特性を電磁界解析により評価した.
kHz帯からMHz帯における近傍界の漏洩磁界を遮蔽する方法として金属製のメッシュ材料が用いられており,その寸法と磁界シールド効果の関係が報告されている.しかし,漏洩磁界を遮蔽したい周波数とメッシュ材料の寸法の関係についての報告は少ない.本稿では,文献で表される理論式を応用し,メッシュ材料の近傍界における磁界シールド効果を計算し,任意の磁界シールド効果が得られる設計チャートについて検討した.
磁性膜の強磁性共鳴(Ferromagnetic resonance, FMR)損失を用いて電磁ノイズエネルギーを制御する手法が提案されているが,設計指針は確立されていない。本研究では,伝導ノイズ抑制を目的として信号線幅8 um,線路長2 mmのコプレーナ線路(CPW)上に膜厚0.5 umのCo85Zr3Nb12(Co-Zr-Nb)膜を配置した場合について,CPWの配線抵抗への影響を磁気回路を用いて定量的に導出した。配線抵抗の解析値は実験値とおおよそ一致し,実効的なFMR周波数6.7 GHzにおいて約35 Ωの極大値を得た。さらに,FMR損失による配線抵抗の増加が極大となる周波数およびその極大値の膜厚依存性を磁気回路により導出し,電磁ノイズ抑制体の設計パラメータを考察した。以上の結果より,本研究で提案する磁気回路が設計に有用であることを示した。
液体の濃度を,試料のサンプリング不要で非接触で推定するために,マイクロ波の散乱強度と高周波誘電率の関係を利用する手法を検討した.食塩濃度を変えた実験の結果,散乱波電力スペクトラムの中で,電力が大きい2GHz帯の成分における塩分濃度と受信電力の関係は塩分濃度の上昇に対して受信電力が単調に減少し,報告されている電解質溶液の誘電率の濃度変化と傾向一致した.このことから,あらかじめ濃度が分かる試料を測定してリファレンスとすることで,塩分濃度と散乱波受信電力から濃度推定が可能であることが示された.
電子機器の筐体に用いるパンチングメタル構造には十分な電磁シールド性能と放熱性能が同時に求められる.このような構造の設計を目的として,本報告では理論式から,パンチングメタルの形状に対する漏えい磁界および圧力損失の関係を求め,電磁シールド性能と放熱性能を両立するための形状を検討した.圧力損失係数がパンチングメタルの開口率に依存し絶対的な孔半径の影響は小さいのに対し,漏えい磁界の方は孔半径の値が大きく影響するため,シールド性能と放熱性能を両立させるためには孔半径を極力小さく,かつ開口率が大きくなるような形状にする必要がある.
休 憩(16:00 再開) 座長 豊田啓孝(岡山大)
B-4-10 |
ESD電流をハーネスに印加した時の特性解析
◎侯 俊・上 芳夫・肖 鳳超・萓野良樹(電通大) |
B-4-11 |
ウェアラブル機器の静電気放電の等価回路
◎張 戈弋・上 芳夫・肖 鳳超・萱野良樹(電通大) |
B-4-12 |
ESD間接放電試験環境における垂直結合板近傍での電界分布測定
◎森永育宏・長井渓之介・安在大祐・王 建青(名工大) |
B-4-13 |
基板内配線に誘起されるESDノイズ電圧の定量的評価
○堀口嵩浩・中本藤之・福井範行・宮崎千春(三菱電機) |
静電気放電(ESD)現象とは,ある物体の電荷が突然他の物体に向けて激しく放たれる現象である.このような静電気放電は電子回路に誤作動を引き起こしたり,回復不能な損傷を与えたりする可能性がある.シミュレーションはESD対策を見つけることに役立つ.
ESDガン等価回路と連携し,3 次元電磁界フルウェーブ解析シミュレータを用いたシミュレーションはESDガンの製品の質,特性,使い方によっては試験に影響を及ぼすことの影響を考慮しなくて済み,また試験場を構築する必要もなく試験できるため有効である.
本研究では,ISO規格に従ってハーネスのESD耐性のシミュレーションにESDガン等価回路と連携する方法を検討することである。
近年,ウェアラブル製品が急速に普及してる.ウェアラブル機器が人体装着するとき,静電気放電(ESD: Electrostatic discharge)より,他の電子機器に損傷を与えたり, 他の電気製品の影響を受けるという問題がよくある. この潜在的リスクを考慮し,ウェアラブル機器のESD耐性を検証する必要がある.シミュレーションよりESD耐性を検証するとき,電流波形が模擬的に発生できる等価回路モデルを設計する必要がある.
本研究では,先行研究の実測されたウェアラブル機器の放電電流波形より,人体の異なる位置に装着しているウェアラブル機器の静電気放電の等価回路を求めることを目的とする.
近年普及しているウェアラブル機器に対し,国際電気標準会議規定のIEC 61000-4-2に準拠した静電気放電 のイミュニティ試験を行うことで,外部電磁界に対するイミュニティ性能を確認する必要がある.しかし,IEC61000-4-2 では試験対象の詳細な位置が規定されていないことに加え,垂直結合板から発生する電界が一様でない場合,試験配置によってEUT が受ける影響が異なると考えられる.そこで本研究ではイミュニティ試験結果の試験対象配置位置依存性を検討することを目的として垂直結合板近傍での電界分布の測定を行った.
本発表では,ESD試験を模擬した電磁界解析モデルを構築し,製品を想定した評価基板に生じるノイズ電圧が定量的に評価可能となったことを示す.
3月20日 9:00〜11:45 54号館 404教室 座長 萓野良樹(電通大)
B-4-14 |
周期構造を有する隣接差動線路間のディファレンシャルモードクロストークの低減メカニズム
◎王 晨宇・竹田大晃・五百旗頭健吾・豊田啓孝(岡山大) |
B-4-15 |
Sパラメータを用いた差動伝送用ケーブルの対内スキュー解析
○杉山剛博(日立金属) |
B-4-16 |
多導体伝送線路のクロストーク低減のための固有モードに着目した伝送方式に関する検討
◎佐藤匠弥・松嶋 徹・福本幸弘(九工大) |
B-4-17 |
コモンモードノイズによる誤動作発生の指標となるICの波形観測の検討
○佐々木秀勝・佐野宏靖(都産技研) |
B-4-18 |
PLCのスケールモデルに対するコモンモード電流の解析
◎小池大一朗・三島脩平・松嶋 徹・福本幸弘・市坪信一・奥村浩幸(九工大) |
本稿では,多線条線路系でのクロストーク現象の解析理論によって,周期構造を有する隣接差動線路間におけるこれらディファレンシャルモードクロストークの低減メカニズムを調べたので報告する.ディファレンシャルモードのみに着目した理論式から得られた結果は,3次元電磁界シミュレータANSYS HFSSで得られた結果と概ね一致した. まだ,周期構造を有する場合,ディファレンシャルモードにおける偶モードと奇モードの特性インピーダンスと位相定数の値の差は通常構造の場合に比べて小さくなっており,クロストークが低減したことが理論式より見て取れる.以上により,ディファレンシャルモードにおける偶モードと奇モードの特性インピーダンスと位相定数に着目することで周期構造導入によるクロストーク低減メカニズムを説明できた.
差動伝送用ケーブルでは,2芯の線路間に製造上のばらつきに起因する僅かな伝搬時間差(対内スキュー)がある.近年のデータ伝送速度の高速化に伴い,僅かな時間差でも信号品質に与える影響が無視できなくなっており,対内スキューの低減が課題となっている.本報告では,差動伝送用ケーブルのSパラメータを使って対内スキューの導出を実施,対内スキューの劣化要因について分析した.その結果,対内スキューは,ケーブル2芯の対称性に関係するパラメータと,差動モードと同相モードの伝搬時間差の関係するパラメータの積に関係していることを明らかにした.
信号伝送において、クロストークや多チャンネル化による信号本数の増加などの課題がある。本報告では伝送線路の固有モードに着目しクロストークを抑制する伝送方式について検討しており、今回は4線の信号線を用いた10mケーブルをモデルにシミュレーションを行った。その結果、これまでの信号伝送においてクロストークによりアイパターンが閉じているのに対して、提案法についてアイパターンの開口は十分であった。
コモンモードノイズにより誤動作した電子機器の対策として、コモンモードノイズを直接低減する方法が一般的に用いられている。しかし、低減するレベルの具体的な指標が示せないことが課題である。この課題を解決する方法として、コモンモードノイズによる誤動作時のIC端に発生するディファレンシャルモードノイズの周波数成分に着目し、誤動作との関係を調査した。また、パルスノイズに対しても同様の結果が得られることを確認した。
大規模構造物であるPLC回路網の電磁特性を評価するためにスケールモデルを構築した。このモデルの実測とシミュレーション、および実スケールモデル(実モデル)の実測の結果を比較したところ、傾向はよく一致したが、スケールモデルの実測が大きくなるという結果が得られた。これは周波数が高くなることで無視できなくなった、終端や始端の寄生容量の影響をシミュレーションで再現しきれていないことが原因だと考えられる。
休 憩(10:30 再開) 座長 肖 鳳超(電通大)
B-4-19 |
2つのLCL計算式の同一性について
○脇坂俊幸・三村政博・古賀久雄(パナソニック)・桑原伸夫・松嶋 徹・福本幸弘(九工大) |
B-4-20 |
FDTD法を用いた有限なグランド平面の電位変動によって生じる電磁ノイズ現象の定量化
◎△神野崇馬・木虎秀二・土岐 博・阿部真之(阪大) |
B-4-21 |
両側磁気結合を用いたノイズフィルタのIC動作状態における性能検証
○小林玲仁・大和田 哲・宮崎千春(三菱電機) |
B-4-22 |
層間ズレによる特性変動を抑制可能なESLキャンセル回路の実測結果
○熊本武文・米田 諭・廣瀬健二・小林玲仁・佐々木雄一(三菱電機) |
B-4-23 |
PSD手法を用いたビアレス・オープンスタブ型EBG構造の設計
◎金尾 奨・奥山友貴・五百旗頭健吾・豊田啓孝(岡山大) |
現在,LCLは通信機器の試験時に使用されるISN (Impedance Stabilization Network)の平衡度を評価するための指標として広く使用されている.平衡度は,グラウンドを含む被測定機器の通信ポートを見たT型の回路で表す事により理論値を求めることができるが.異なる方法で求められた2つの式があり,これが同一のものであるのか不明であった.今回,2つの式の同一性について検証を行ったので報告する.
我々の研究グループでは、これまでにマクスウェル方程式とオームの法則、連続の式から導出した電位と電流に関する伝送方程式を用い、2次元平面回路における数値計算を実現した。
数値計算では、FDTD(Finite-Difference Time-Domain)法を用いて時間領域で数値計算を行う。
一般的に、分布定数回路理論を用いた計算ではグランド導体は無限の大きさを持つ導体として見なされているため、その形状による影響を考慮することができない。そこで本報告では、有限な大きさを持つグランド平面内の電位変動が及ぼす電磁ノイズ現象を一般的な2本線回路と我々がこれまで提案してきた3本線対称化回路を用いて定量化した。
これまで、シャントコンデンサで構成されるノイズフィルタの高周波領域の性能向上のため、両側磁気結合フィルタを提案した。本稿では、IC搭載の評価基板を作成し、実使用条件と同等のIC動作状態における、両側磁気結合フィルタのフィルタ性能を実測評価した。その結果、両側磁気結合フィルタは、IC動作状態における実機と同等の負荷インピーダンス条件においても、従来の磁気結合の無いフィルタよりフィルタ性能が向上することを明らかにした。
層間ズレによる特性変動を抑制可能なESLキャンセル回路について検討した。直交配置型矩形結合ループを用いると,垂直積層型矩形結合ループを用いる場合よりも100kHz~1GHzにおけるSdd21のばらつきが抑えられるとともに,最大劣化量も約22dBから約5dBに低減できることがわかった。また,設計結果と実測結果もよく一致した。
多層プリント回路基板に実装された部品や回路間で電磁干渉が発生するイントラEMCで問題となっているGHz帯のノイズ対策として電源とグラウンド層の2層で構成できるビアレス・オープンスタブ型EBG構造を我々は提案している.
ビアレス・オープンスタブ型EBG構造の実用化に向け,PSD手法を用いて阻止域の拡大と阻止量(減衰定数)の増加を解析的に検討した.阻止域を拡大すると減衰定数が小さくなるというトレードオフの関係がある場合において,複数の構造パラメータwb,ws,aを同時に設計できる.
結果として,PSD手法で得られた構造パラメータの範囲解は従来設計で得られた値を含んでいる.そして,要求性能を厳しくした条件では,従来設計で得られたws = 0.2 mmを含まない範囲解が得られた.これにより従来設計の妥当性を確認するとともに,PSD手法によるEBG設計の有効性を確認した.
3月20日 13:00〜17:00 54号館 404教室 座長 森岡健浩(産総研)
B-4-24 |
インバータ電源装置近傍における不要電波と移動通信への干渉評価
◎椙本祥史・渡邊 航・三浦典之・永田 真(神戸大)・宮澤安範・田中 聡・山口正洋(東北大) |
B-4-25 |
車載通信システムのイミニュティ評価用BAN(Broadband Artificial Network)の高周波化に向けた改良
◎三井悠也・福本幸弘・松嶋 徹(九工大) |
B-4-26 |
高周波コモンモード電力注入による車載機器の新しいイミュニティ試験法
◎山本拓実・大井凌也・久門尚史・和田修己(京大) |
B-4-27 |
1次元Van AttaアレーによるBPSK変調再帰反射波の入射角度特性評価
◎鎗田純輝・西方敦博(東工大) |
B-4-28 |
セシウム原子の多重共鳴を利用した低周波帯用交流磁界センサの初期検討
○石居正典(産総研) |
B-4-29 |
アンテナ間位相差検出に基づく放電ノイズの3次元到来方向可視化装置の構築
◎栗原昌伸・大橋恒太・安在大祐・王 建青(名工大)・田中洋佑・山下有三(ホッコー)・西川 久(アールエフネクスト) |
B-4-30 |
水道電界通信を用いた流入土砂検出に関する検討
◎鍬釣 一・芳野裕樹(熊本高専) |
B-4-31 |
MHz帯における電気定数測定のための同軸プローブ設計に関する検討
◎清水悠斗・佐々木謙介・和氣加奈子・渡辺聡一(NICT) |
近年、無線通信の通信量は急増すると予測されており、無線通信に用いられる周波数はますます拡大される。一方で高速パワーデバイスやそれを用いたインバータ機器や無線電力給電(WPT)などの新たな電波利用機器の普及が見込まれており、これらの機器の近傍における不要電波が移動通信等の無線信号に及ぼすノイズ干渉が顕在化する恐れがある。
本研究では、WPT用インバータ電源装置から放射される不要電波のLTE移動通信への干渉を評価するとともに、磁性扁平粉がポリマー中に分散された複合構造のノイズ抑制シート(NSS)によるノイズ低減効果をLTE移動通信性能を指標として評価した。
伝導性妨害波の評価方法であるISO11452-7の高周波化を行うにあたり,従来のBANでは低周波帯域および高周波帯域では規定を満たせないものであった.本研究では,低周波帯域と高周波帯域それぞれに対応したBANを製作することで解決を試みた.その結果,低周波帯域の規定値を満たすBANを構築でき,高周波帯域も1GHz周辺まで規定値と同等の性能を有するBANを実現した.
自動車内の通信ネットワークには高速・大容量・低遅延・高信頼性が要求されており, これらの実現には通信機器のEMC性能の向上は不可欠であるため, EMC試験法が注目されている. 従来のBCI法や高周波(RF)電力の直接注入法は, 再現性の不十分さや周波数帯域の不足が課題として挙げられる. 本報告では車載機器のイミュニティ試験法として, 再現性が高く, 高周波領域にも応用が期待される新たなコモンモード妨害波注入法を提案する.
複数のアンテナを規則的に配列,配線することで電波に対する再帰反射性が得られるVan Attaアレーの応用により,レーダに検出されやすい薄型小型な再帰反射体の実現を目指して試作・評価を行ってきた.Van Attaアレーの伝送線路上に付加した電子スイッチを制御することで反射波に変調をかけ,制御信号としてPN系列を使用することで高い検出性能を得る方法を検討している.本報告では,電子スイッチによって2つの経路長を切り替えることでBPSK変調が可能な再帰反射体を試作し,コンスタレーションにおけるシンボル間距離の入射角度特性の改善を確認した.
本研究では,交流磁界とセシウム原子の相互作用を利用する次世代型の交流電磁界センサの実現に関する研究を行っている.本報告では,対象周波数帯の低周波化に向けてゼーマン副準位間のエネルギー差に着目し,低周波帯用の磁界センサの実現に向けた研究開発に関する初期検討を行ったので報告する.
電力設備や配電線設備の故障・停電は社会の経済的損失・生活の不安等につながる.
これらを未然に防ぐために先行事例として,故障の前兆現象である部分放電の箇所同定技術が報告されている[1].
しかし,現有の測定方法には測定時間や装置の大きさ,使用者のスキルに依存することなどの課題が残っている.
本研究では地上からの巡視・点検が可能なポータブル型計測装置の設計,及び部分放電発生箇所の可視化ツールの構築・評価を行う.
[背景]災害により水道管が破損した場合,迅速な破損個所を特定する方法として水道管を通信経路とした水道電界通信を考案している.
[目的]過去研究で水道電界通信は断水箇所の検出が可能であることが得られたため,本研究では,断水個所から土砂が流入したとき,断水箇所を検出することが可能であるか調査することを目的としている.
[方法]水道管を砂利で満たし,電極を用いて電界を印加させ距離ごとの出力電圧を測定する.
[結果]砂利を入れた状態,水で満たした状態,空気で満たした状態とで出力電圧に顕著な差が現れた.
[結論]水道電界通信は土砂が流入した場合でも断水箇所を検出することが可能である.
生体組織の実質的な電気定数のデータベースとなっているGabrielらの測定において,同軸プローブを用いた測定が行われている.しかしながら,この測定において50 MHz以下において不確かさ評価を含む詳細な議論が行われておらず測定結果の妥当性検証が十分とは言えない.また,既存の反射係数を用いた同軸プローブ測定では100 MHz以下の測定が困難である.そこで,本研究ではMHz帯における電気定数測定精度向上のための基礎検討として,2種類の同軸プローブを試作し,それらを用いた測定システムの不確かさ評価を行った。その結果、測定精度向上のためには同軸プローブの内導体及び外導体の直径を大きくすることが有効であることが示された。
休 憩(15:15 再開) 座長 和氣加奈子(NICT)
B-4-32 |
散乱電界計測に基づく人体を透過する電力密度の測定方法に関する基礎的な検討
◎松本 涼(青学大)・李 鯤・佐々木謙介・渡辺聡一・和氣加奈子(NICT)・須賀良介・橋本 修(青学大) |
B-4-33 |
マンホール型基地局周辺のRF 電磁界ばく露計算のための係数
○東山潤司・河野義幸・井山隆弘・大西輝夫(NTTドコモ) |
B-4-34 |
マイクロ波帯WPTシステムにおける局所SARの距離特性
◎藤田直希(青学大)・和氣加奈子・清水悠斗・長岡智明・渡辺聡一(NICT)・須賀良介・橋本 修(青学大) |
B-4-35 |
車室内ワイヤレス給電システムのSAR評価
○松沢晋一郎・渡辺俊明(豊田中研)・菅藤 徹・婦木慎一郎(豊田合成) |
B-4-36 |
透明ファントムを用いた埋込み金属プレートによるSAR上昇の実験的評価
◎伊藤涼音・松田映美・日景 隆・野島俊雄(北大)・長岡智明・渡邊聡一(NICT) |
B-4-37 |
500 kHz Muscle Phantom Development for Evaluation of Radiofrequency Transcatheter Renal Denervation
○Rakhmadi Aditya・Kazuyuki Saito(Chiba Univ.) |
B-4-38 |
6 GHz超の電波ばく露による眼球温度上昇に対する角膜の熱伝達率依存性
◎西川周吾(青学大)・長岡智明・渡辺聡一(NICT)・須賀良介(青学大)・和氣加奈子(NICT)・橋本 修(青学大) |
ICNIRPガイドラインの次期改定案では,6 GHz以上の周波数において,人体へ透過する電力密度(以下,透過電力密度)が新たな電波ばく露への人体防護のための評価指標として提案されている.そこで,本稿では散乱電界測定に基づいた透過電力密度の測定法を提案し,2次元FDTD法を用いて提案手法の有効性を検証した.
有効性検証の結果,提案手法による透過電力密度の推定結果は散乱体への入射角が0°および45°の場合において,それぞれ-2.9 %および0.3 %で理論値と一致した.
マンホール型基地局について,計算に基づく適合性評価に適用すべき係数の検討のため,設置環境の異なる実証実験局にて複数の周波数帯の評価を行った結果について報告する.設置環境や周波数帯の異なる基地局であっても,報告済みの評価結果と同様に,電力密度の測定値は係数4を乗じた計算値以下であった.
近年,マイクロ波帯を利用したWireless Power Transfer (WPT)システムの検討が進められている.このシステムの特徴は,EV (Electric Vehicle)等で用いられる非放射型のWPTシステムと違い,アンテナで電力の電力伝送を行うことである.電波防護指針では,周波数100 kHz以上の局所ばく露 (波源からの距離20 cm以下)に対して,局所10 g平均SAR (Specic Absorption Rate)の指針値が示されている.非放射型のWPTシステムでは,既に人体ばく露に対する評価方法が検討されている. しかしマイクロ波帯WPTシステムに対しては,電波防護指針に対する適合性評価手法が十分確立しているとは言えない.そのため本研究では,マイクロ波帯WPTに対するばく露評価手法を確立することを目的として,近傍に配置された場合を想定した局所SARの評価方法について検討した.
スマートフォンの普及に伴い、ワイヤレス充電が普及しつつある。そのためのQi規格[1]が策定されている。Qiのシステムでは、送受電間の距離が数mm以内と短いことが課題である。その解決のため、ISM(Industry-Science-Medical)バンドの6.78MHz帯の磁気結合を用いるシステムが検討されている。磁気結合方式を用いたシステムでは、磁界漏えいによる人体ばく露が懸念されることから、ICNIRPガイドラインに対する評価が不可欠である。そこで、車内におけるコイル近傍の人体の電磁ばく露についてシミュレーションにより評価した。ICNIRPガイドラインでは、刺激作用を示す体内誘導電界と、熱作用を示すSAR(Specific Absorption Rate)の両方の評価が必要である。体内誘導電界については基本制限以下であることをシミュレーションで確認している。本発表では、SARの評価結果を示す。
体内に金属を埋め込んでいる場合,指針値以下でも局所的なばく露量増加(温度上昇)の可能性が示唆されている.医療用金属プレート等の装着者が該当し,指針適用性の検討が重要となっている.筆者らの研究グループではこれまでに,数値解析によるSARの推定を行い,金属製プレートが2枚平行に埋め込まれた場合に,その空隙部においてSAR 値が上昇する可能性があることを明らかにしている.本稿では,新たに開発された半透明ファントム材料を用いて,骨折治療用金属プレートが埋めこまれた人体下顎部を再現したファントムを作成し,骨に近接して平行に埋め込まれた2枚の金属プレート空隙部における温度上昇特性を実験的に評価する.
Transcatheter renal denervation (RDN) is a treatment to reduce hypertension by using a catheter inserted through an artery and ablates a specific area of nerve outside the blood vessel. The method is based on a concept by ablating specific renal nerves around blood wall using radiofrequency current (500 kHz). To understand the heating depth and temperature distribution of the RF current, similar dielectric properties conditions between simulation and real experiment is necessary. A phantom that matches in term of dielectric properties is essential for the RDN evaluation.
スマートフォン等の普及に伴い、モバイル端末の顔面前方における使用機会が増加している。第5世代移動通信システムでは、これまでより高い6 GHz超の電波も使用予定であるため、新たな周波数帯の電波による眼の影響が懸念される。先行研究によると、電波ばく露に起因した眼球温度上昇を推定する際に用いる熱伝達率に幅があるため、本稿では眼球温度上昇に対する角膜の熱伝達率の依存性について検討した。その結果、熱伝達率を変化させた際の角膜の最大温度上昇は、熱伝達率が60 W/m2・℃に対して定常時では69.8%以上、短時間ばく露では84.2%高くなったことから、熱伝達率の変化による眼球の温度上昇変化は無視できないことが示唆された.
3月21日 15:00〜17:00 54号館 404教室 座長 松嶋 徹(九工大)
B-4-39 |
散乱パターンのニューラルネットワーク解析による電磁波到来方向推定手法
○飯塚達哉・伊丹 豪・鳥海陽平・加藤 潤(NTT)・酒井 道(滋賀県立大) |
B-4-40 |
リバブレーションチャンバーにおけるDe-embedding手法の適用に関する一検討
◎谷口晃大・青柳貴洋(東工大) |
B-4-41 |
電磁界センサによる低周波近傍界ポインティングベクトルの計測
○中島宏進・八木谷 聡・尾崎光紀(金沢大)・大前 彩・Umberto Paoletti(日立) |
B-4-42 |
A Study on Measurement Deviation of the AM Signal by Nonlinear Detection Characteristics of an Electric Field Probe
○Ifong Wu・Yasushi Matsumoto・Kaoru Gotoh・Soichi Watanabe(NICT) |
B-4-43 |
LED電球から生じる放射雑音の確率モデル化―パルス発生間隔を考慮したモデルに関する検討―
◎上利健太・後藤 薫・松本 泰(NICT)・須賀良介・橋本 修(青学大) |
B-4-44 |
測定器の簡易的接地に向けた対地静電容量の見積もり手法の提案
◎荒井稔登・岡本 健・加藤 潤(NTT) |
B-4-45 |
近接放射イミュニティ試験に用いるTEMホーンプロトタイプの評価
○張間勝茂(NICT)・久保崇将・石田武志(ノイズ研究所) |
B-4-46 |
モノコーンアンテナを用いた標準アンテナ法によるバイコニカルアンテナの校正
○藤井勝巳・佐藤洋平・酒井孝次郎・杉山 功・西山 巌(NICT) |
筆者らは,広帯域な電磁波に対応する小型な到来方向推定システムの実現のため,散乱体周期構造を介した電磁波の重ね合わせによって形成される定在波分布(散乱パターン)を用いて,周波数帯を限定しない到来波の方向・周波数を推定する手法を提案してきた.到来波の方向及び周波数により散乱パターンが変化することを確認していたが,得られた散乱パターンから散乱原理に基づいて到来方向を推定するモデル式の導出は難しい.
そこで本稿では,機械学習手法の一つであるニューラルネットワーク(NN)の適用について検討した.散乱パターンを入力として,到来方向と周波数を出力するNNを作成し,電磁界シミュレータHFSSを用いて取得した様々な散乱パターンを学習させた後,推定精度を評価した.
電磁波における測定場の一種であるリバブレーションチャンバー(Reverberation Chamber, RC) 内の電磁界分布は,実験や数値計算による評価が必要であり,設計のためには多量の計算が必要となる.そこで,本研究では,計算時間の低減とスターラーによる効果のモデル化を目指し,その影響を分離(De-embed) するための円筒波展開を用いた手法について基本的な検討を行った.その結果,2次元RCにDe-embedding 手法を適用した場合に,電界分布を直接モーメント法で計算する場合と同程度の精度で計算することができた.
電子機器が放出する不要な電磁波ノイズが他の機器に悪影響を与えるEMC問題が深刻となっている.この対策として,電磁波ノイズを計測し電磁波源を特定することが有効である.我々は,低周波帯(100 kHz~10 MHz)において電界3成分と磁界3成分の両方を同時に計測可能な小型電磁界センサを開発し,平面電磁波の計測が可能であることを確認した.本研究では,電磁界センサを用いて,低周波帯における球面電磁波の計測及び評価を行った.
Due to the nonlinear characteristics of the electric field probe, the electric field measurement of communication signals using this type of the probe calibrated with the unmodulated signal may cause a measurement deviation, especially in the high-electric-field-strength region. In this paper, the deviation factor of the measured value of the communication signal is investigated by using the electric field probe with diodes. The AM signal is chosen as an example of the communication signal.
電磁雑音によるデジタル通信への電磁干渉を統計的かつ定量的に評価するためには,電磁雑音のモデル化が有効と考えられる.これまでに,Middleton class A モデルやMarkov-Middleton モデルによるLED雑音のモデル化を報告したが,パルス雑音の継続特性を表現することが困難であった.本稿では,状態継続特性を柔軟に扱うことのできる準マルコフ過程を従来のMiddleton class A モデルに適用し,本提案モデルから生成される模擬雑音を用いてデジタル通信へ与える影響を検討した
筆者らは,電磁ノイズの測定の際に測定器のグラウンドと大地間に生じる静電容量を見積もる事で,測定器で測定された電圧を正確なノイズの電圧に補正する測定手法を検討している.本報告では,その際に必要となる,静電容量の見積もり手法に関する提案と,実験と回路解析を行った結果について報告する.
IEC規格で規定される近接放射イミュニティ試験に用いるアンテナとして、短縮指数関数テーパーTEMホーンのプロトタイプを作製した.プロトタイプについて実験および数値シミュレーションによる評価結果から,試験周波数をカバーできる広帯域性,試験基準を十分に満足する反射特性.また,高周波数域においても偏りの少ない電界均一領域を維持できることを示した.
試作したモノコーンアンテナを送信アンテナとして用いた「標準アンテナ法」により,バイコニカルアンテナの校正を行った.産業技術総合研究所による校正結果と比較したところ,±0.6 dB以内の差で一致する結果だった.
B-5. 無線通信システムA(移動通信)
3月19日 9:00〜11:45 52号館 301教室 座長 眞田幸俊(慶大)
B-5-1 |
28GHz帯スモールセルのシステム設計に関する一検討
○中村弘希・大澤 魁・剱持郁也・大塚裕幸(工学院大) |
B-5-2 |
3Dビームフォーミングを適用した時分割リレー通信の一検討
◎宇多津裕貴・薮田龍平(工学院大)・増野 淳・須山 聡(NTTドコモ)・大塚裕幸(工学院大) |
B-5-3 |
LTEシステムにおけるWSPF-MIMOスケジューリングの提案と評価
◎小竹啓輝・服部 武・小川将克(上智大) |
B-5-4 |
ローカルスポットセルへのシームレスハンドオーバを実現する事前仮想接続
○伊深和雄・松村 武・石津健太郎・村上 誉・児島史秀(NICT) |
B-5-5 |
Radio over Fiberを用いた上りリンクにおける大システム極限を利用した信号検出に関する一検討
◎△田中誠二・大澤 昇・衣斐信介・三瓶政一(阪大) |
高速,広帯域化を目的として高周波数帯を利用する移動通信の研究が盛んである.特に,第5世代移動通信システム(5G)においては,28GHz帯の利用が想定されている.しかしながら,28 GHz帯はこれまでの周波数帯に比べ伝搬損失が大きいため,システム設計が難しいという問題点がある.
本稿では,送信パラメータをもとにセルレイアウトすなわち基地局間距離(ISD; Inter-site distance)を決定し,そのシステムパラメータを用いて28 GHz帯スモールセルシステムのユーザスループット特性を明らかにする.
次世代移動通信システムでは,セル端も含めてシステム全体の通信品質を向上することが重要である.それを実現する方法として,基地局eNBとユーザ端末UEとの間にリレー基地局RNを設置しリンクバジェットを改善する技術がある.また,電波のビーム幅を鋭くしかつその指向性を制御できるビームフォーミングBFがある.これまで筆者らはバックホールリンク(eNB-RN)及びアクセスリンク(RN-UE)に3D-BFを適用した場合の特性評価を行ってきたが,eNBとそのeNBに接続するUE(eNB-UE)には3D-BFを適用していない.本稿では,時分割リレー通信においてバックホール,アクセスリンクに加え,eNB-UEに3D-BFを適用した場合のユーザスループット特性を明らかにする.
システム全体の通信容量を増加させるためには,基地局近傍UE(ユーザ端末)に無線リソースを多く割り当てる必要がある.本稿では,UEを位置に応じてグループに分類し,グループごとに通信品質を制御するために,各グループに所属するUEの平均通信容量比に対応するWeightを指定し,システム全体の通信容量を増加させるスケジューリング方式としてWSPF-MIMO(Weighted Stochastic Proportional Fair for MIMO)を提案する.提案方式により,基地局近傍UEの通信容量を増加させつつ,基地局遠方UEに対してWeightに基づく通信容量を確保する.単位時間当たりのシステム全体の通信容量及び各UEの通信容量の標準偏差により提案方式の有効性を示す.
第5世代移動通信システム(5G)の自営利用を目的としたローカル5Gの検討が始まっている.そこで筆者らは,独立した自営スモールセル(ローカルスポットセル)のサービスを移動端末に効率的に提供するための事前仮想接続技術が提案している.しかし,この技術は,ローカルスポットセルでスムーズにサービスを享受できるが,ローカルスポットセル外における公衆網等を利用するアシストセルでのデータ通信をシームレスにハンドオーバできない.本稿では,アシストセルとローカルスポットセル間でシームレスハンドオーバを実現するための事前仮想接続技術を提案する。
RoF (Radio over Fiber)はDU (Distributed Unit)において無線信号と光信号を変換してアナログ中継することにより,ユーザ端末と遠隔地にあるCU (Central Unit)の間で通信を行う技術である.MU-MIMO (Multi-UserMulti-Input Multi-Output)を行うRoF伝送システムを介した上りリンクは,ユーザ端末とDU間の無線通信路と,DUとCU間の光ファイバ通信路が複合された通信路行列によって表される.本検討では,ユーザ数に対してDUのアンテナ数が十分に大きいシステムを想定し,大システム極限を利用したRoFにおける信号検出を提案する.
休 憩(10:30 再開) 座長 村岡一志(NTTドコモ)
B-5-6 |
ミリ波帯大容量伝送におけるSpatial-Wideband effectによるサンプル信号分散量の多項式回帰
◎田中 健(neko9 Laboratories)・丸田一輝(千葉大)・菅 宣理(neko9 Laboratories)・中山 悠(青学大) |
B-5-7 |
Gibbs Samplingを用いたMIMO復調方式における乱択アルゴリズムの適用
○宮澤道志・眞田幸俊(慶大) |
B-5-8 |
Quantized Range Control of Low-resolution Analog-to-Digital Converters in Massive MIMO System
○Greyson Gao・Sanada Yukitoshi(Keio Univ.) |
B-5-9 |
A Simple Stochastic Model of Edge Caching Based on Queueing Networks
○△Tetsuki Taniguchi(Tokyo Tech) |
B-5-10 |
Performance Bound Approximation for Nonlinear Estimation with a Closed-Form Expression
○Lu WANG・Tomoaki Ohtsuki(Keio Univ.) |
近年大容量通信のためにミリ波帯による広帯域伝送が注目されている。
しかし,Spatial-Wideband effectにより,MIMO合成時に無雑音下でも受信信号の分散が生じるという課題がある。高品質伝送のため、規定された分散値以下となるアンテナ素子の選択が必要となるが、本稿ではこれを目的としてアンテナ素子数により分散値を多項式回帰により表現したので報告する。
近年,Multiple-Input Multiple-Output(MIMO)伝送技術の研究が行われている.MIMO伝送技術は送信側と受信側で複数のアンテナを用い, 移動体通信の大容量化・高速化を実現する. Gibbs Sampling(GS)を用いたMIMO復調方式は, より少ない計算量で最尤復調に近い特性を得ることができる. 本稿では,GSで計算されるメトリックの値に応じて送信シンボル候補をランダムに選択する方法を検討する.
The low-resolution analog-to-digital converters (ADCs) have been commonly applied in a massive MIMO base station (BS). In our proposed system, the quantization range is specified based on the mean power of received signals and the span of the input amplitude is bound to eliminate thermal noise. Numerical results illustrate that the performance with low-resolution ADCs can be better than that with an infinite-resolution case.
This manuscript describes a simplified stochastic model based on queueing networks focusing on the effect of edge caching for the analysis of wirelss systems equipped with edge cloud (EC).
Through computer simulations, the effectiveness and problems of the proposed model are presented.
In this report, we work on the convergence and asymptotic analysis of the separation approach, where the nonlinearity of the mixture function is extracted by the flexible approximation and the nonlinear problem is solved linearly in the feature space. The analysis stems from the performance of a mismatched estimator that accesses the finite sample size. By providing a closed-form expression of the mean squared error (MSE), we can present a novel algebraic formalization as well as derive an upper bound on the estimation error. The simulation results show that if the nonlinearity of mixing functions can be extracted by the flexible approximation, the consistency of numerical MSE and analytical MSE can be achieved as the sample size tends to be infinity.
3月19日 9:00〜11:45 52号館 304教室 座長 須山 聡(NTTドコモ)
B-5-11 |
組織的Polar符号化MIMO-OFDMにおけるHTRCI及びパンクチャリングによるスループット改善
○丸茂 稜・田沼直也・渡辺滉也・丸田一輝・安 昌俊(千葉大) |
B-5-12 |
周波数変調を用いたブロック伝送におけるパンクチャド畳込み符号用シンボル復号法
○東中雅嗣・佐野裕康・岡村 敦(三菱電機) |
B-5-13 |
直交Gold系列を用いた音響スぺクトル拡散通信方式
◎豊田 遥・白數優一・佐野隆貴・下村和輝・久保博嗣(立命館大) |
B-5-14 |
伝送路予測多重遅延検波を用いた差動トレリス符号化変調
◎久保哲朗・高橋拓也・下村和輝・久保博嗣(立命館大) |
B-5-15 |
OFDM伝送におけるキャリア間干渉を考慮したチャネル及び干渉信号電力結合最大事後確率推定
○工藤雅大・大槻知明(慶大) |
Polar符号は符号器の構造上,符号長が2の乗数に制限される。この問題を解決するために,符号語の中から所定数の箇所を間引きして送信することで上記の制限を取り払うとともに,符号化率を上げることで伝送効率を高めるパンクチャリングと呼ばれる手法がある。しかし,一般にはパンクチャリングでは,BER特性が劣化してしまう。本研究では,組織的Polar符号の特徴に注目し,BER特性の劣化を抑え,スループットを改善可能とするパイロット伝送及びパンクチャリング手法を提案する。また,チャネル推定法として,MIMO-OFDM伝送において複数のパスのチャネル推定を1シンボルで実現可能とするHTRCIによるパイロットを用いることで,さらなる伝送効率の改善を図る。
周波数変調を用いたブロック伝送は,低PAPRという特徴から電力制約が厳しい環境に適した方式である.M値FSKと2値畳込み符号を連接した場合の復号方法として,シンボル単位で遷移するトレリス線図を用いたシンボル復号法が知られているが,適用可能な符号化率Rに関して,シンボル当たりのビット数と1/R が公倍数の関係になる構成に限定されるという制約があった.本稿では,シンボル復号器をパンクチャ周期と整合させたトレリス構造を用いて動作させることで上記制約を緩和し,良好なビット誤り率特性と高い伝送速度を両立することを示す.
近年,スマートフォンなどのスピーカ・マイクを装備し,信号処理能力を有する電子機器を活用した陸上音響通信が検討されている.現在の陸上音響通信の主流は下り回線のみを用いた放送モードである.本稿では,陸上音響通信において上り回線を実現するために,直交Gold系列によりCDMA (code division multiple access) を実現する,音響スペクトル拡散 (SS) 通信方式を提案する.
高速フェージングには,差動符号化PSKに伝送路予測のPer-Survivor Processingによる多重遅延検波 (PSP-MDD) を適用することが有効である.しかし,予測形PSP-MDDは受信感度が劣化するという課題がある.本稿では,受信感度の劣化を抑圧するために,差動トレリス符号化変調 (DTCM) に予測形PSP-MDDを適用する方式を提案する.次に,計算機シミュレーション結果から,提案する予測形PSP-MDDを用いたDTCMは,従来の差動符号化PSKによる手法に対して,受信感度を改善するのみでなく,伝送路変動に対する追随性も改善可能であることを明らかにする.
現在,放送波にはOFDM伝送が利用されており,中継放送などで番組素材を伝送する際のFPUでも利用されているが,FPUの伝送帯域には複数システムの信号が混在する.このような環境を想定し,我々は干渉信号を検出・推定する手法の1 つとして,OFDM伝送におけるチャネル及び干渉信号電力結合最大事後確率推定法を提案した.同手法では送受信機で周波数同期が取れている場合を想定しており,キャリア間干渉は考慮されていない.一方,キャリア間干渉を考慮したチャネル推定では干渉信号が存在しない環境での推定法が提案されている.本稿では,キャリア間干渉及び干渉信号が存在する環境下でのチャネル及び干渉信号電力の推定法を提案する.
休 憩(10:30 再開) 座長 牟田 修(九大)
B-5-16 |
多目的最適化問題における低信頼中継局を用いたPLNCの位置変動による安全性の検討
◎池内 剛・田久 修(信州大)・藤井威生(電通大)・大槻知明(慶大)・笹森文仁・半田志郎(信州大) |
B-5-17 |
低信頼中継局によるWireless MIMO SwitchingとPLNCを用いた物理層セキュリティの検討
◎高橋 新・田久 修(信州大)・藤井威生(電通大)・大槻知明(慶大)・笹森文仁・半田志郎(信州大) |
B-5-18 |
下りリンクカオスNOMA伝送手法における復号演算量削減の検討
◎枡田佳大・岡本英二(名工大)・山本哲矢(パナソニック)・伊藤啓太(名工大) |
B-5-19 |
カオス畳み込み変調における演算量削減に関する検討
◎伊藤啓太・枡田佳大・岡本英二(名工大)・山本哲矢(パナソニック) |
B-5-20 |
電波暗号化非直交多元接続手法のコードブック定振幅化の検討
○岡本英二・枡田佳大・伊藤啓太(名工大)・山本哲矢(パナソニック) |
中継局を用いた通信において,高効率な伝送技術である物理層ネットワークコーディング(PLNC:Physical Layer Network Coding)では,中継局において二つの信号が混信するため,一方の信号を復調する際にもう一方の信号が干渉となることで所要の信号電力対干渉雑音比(SINR:Signal to Interference and Noise Ratio)を満たさなくなる.その結果,復調が困難になり情報漏洩の抑制が可能となる.しかし,二つの信号が同時に中継局にアクセスする際に各信号で電力差が生じるキャプチャ効果により各信号の復調が可能になってしまう.そこで,中継局から各送信局へ通信路状態情報(CSI:Channel State Information)を定期的に通知することによって送信電力制御を行うことでキャプチャ効果の抑制を可能にする.ここで中継局が低信頼である場合,中継局が盗聴に優位になるようにCSIを偽装し情報を搾取する可能性がある.本稿では,二つの正規通信局と低信頼中継局から構成されるPLNCにおいて,低信頼中継局の位置を変えたときのシステムの安全性への影響を評価した.
複数アンテナを有する中継局を経由して,複数端末間で情報交換をするWireless MIMO Switchingが提案されている.しかし,中継局のアンテナ数が$N$のとき,交換可能な端末数は$N$に限られていた.非再生中継と干渉キャンセラを利用して,自局が発した信号を除去し,他局の発した信号を受信する物理層ネットワークコーディング(PLNC)が提案されている.PLNCは,アンテナ数より1つ多い端末での情報交換を可能にし,時間効率に優れ,さらに過負荷状態を確立できるため,中継局での情報漏洩を抑制できる.本稿では,Wireless MIMO SwitchingとPLNCを融合した情報交換法を提案する.
第5世代移動通信システム(5G)において,より大容量かつ高速な通信を行う手法の一つとして非直交多元接続手法(non-orthogonal multiple access: NOMA)が検討されている.我々はその検討の一つとして,物理層秘匿性と高信頼な通信を実現する手法としてカオスNOMA伝送手法[1]を提案し,検討を行ってきた. しかし,これまでの検討においては,重畳全ユーザの信号を同時に推定し復号を行う統合的な最尤系列推定(maximum likelihood sequential estimation: MLSE)を用いて復号を行っており,復号演算量が重畳ユーザ数に対して指数関数的に大きくなるという問題があった.そこで,本稿ではNOMAの代表的な復号手法である逐次干渉除去(succesive interference cancelation: SIC)とMLSEを組み合わせることで,カオスNOMA伝送における復号演算量の削減を行い,その際の演算量とビット誤り特性を示す.
我々は,電波そのものを暗号化することで対象者以外が復調することを困難にするカオスMIMO(multiple-input multiple-output)伝送方式を提案している[2].この手法は伝送ビット系列に相関を持つカオス信号と送受信側で共有する共通鍵から生成したガウス信号を送信信号として伝送する方式である.送信側における伝送ビット系列の畳み込みと共通鍵により,カオスMIMO伝送方式は符号化率1の通信路符号化効果と物理層における秘匿性を有する.カオスMIMO伝送方式では,送信シンボル生成のためにビットの畳み込みを用いているため,受信側ではMLSE(maximum likelihood sequence estimation)による最尤系列探査を行う必要がある.そのため,復調における演算量はカオスの変調ブロックに対し2のべき乗に比例して増加する.そこで,本稿では新たにリスト型の系列探査により,既存手法に対し演算量を削減したMLSE手法を提案する.
第5世代(5G)や次世代の移動通信システムのmassive machine type communications(mMTC)シナリオを実現する手法の一つとして,非直交多元接続手法が提案されている.我々は物理層秘匿性を有する電波暗号化即時送信型非直交多元接続手法(grant-free sparse chaos code multiple access: GF-SCCMA)を提案した[1].この手法はInternet of things(IoT)端末上りリンク伝送などに適用することを考えているため,省電力化のためにpeak to average power ratio(PAPR)を低減させることが重要である.しかしこれまでの検討では,送信コードブックは振幅変動を伴う擬似ガウス分布信号であったため,PAPRはorthogonal frequency division multiplexing(OFDM)と同様で大きくなっていた.そこで生成した既存手法コードブックの位相情報のみを用いて振幅を一定にする手法を提案し,その伝送性能を計算機シミュレーションにより評価する.
3月19日 13:00〜17:00 52号館 301教室 座長 金子めぐみ(NII)
B-5-21 |
衛星搭載AISにおける伝送路推定並びに衝突パケット分離検出
◎清水星哉・張 裕淵・府川和彦(東工大)・平原大地(JAXA) |
B-5-22 |
HAPS システムにおけるフィーダリンク用アンテナのビーム方向制御検討
○松浦一樹・太田喜元(HAPSモバイル) |
B-5-23 |
複数ゲートウェイHAPSシステムにおけるフィーダリンク干渉低減の検討
◎藤井隆史・太田喜元(HAPSモバイル) |
B-5-24 |
HAPSモバイル通信におけるセル構成の設計に関する一検討
○柴田洋平・金沢 昇・星野兼次・太田喜元・長手厚史(HAPSモバイル) |
B-5-25 |
Outage Probability Analysis of Sensor Nodes Served by an ULA Equipped UAV-BS
○Hendrik Lumbantoruan・Koichi Adachi(The Univ. of Electro-Communications)・T. Z. Hui Ernest・R. P. Sirigina・A. S. Madhukumar(Nanyang Technological Univ.) |
公海等遠洋でもAIS (Automatic Identification System) を利用可能とする,衛星を用いたAIS通信システムは,複数のパケットが衝突し伝送特性が大幅に劣化する.このため,SIC (Successive Interference Cancellation) による衝突パケットの分離検出が検討されてきたが,伝送路パラメータの推定精度が不十分で,所望のビット誤り率を達成できないという問題があった.そこで本稿では,判定信号を使ってパラメータの推定精度を高め,遅延検波ではなく多シンボル遅延検波を導入してBER特性を更に改善する.
成層圏プラットフォーム (HAPS)を用いた地上のセルラ携帯端末と直接通信する携帯通信サービスは,サービスエリアの拡大,災害時の通信手段として非常に魅力的である.HAPSの通信回線は地上に固定設置されたゲートウェイ局とHAPS 間を結ぶフィーダリンク,HAPS とUser Equipment間を結ぶサービスリンクから成る.HAPS は飛行に応じて,回転や傾きが生じる.そのため,HAPSに搭載するフィーダリンク用アンテナでは,GW 局とのリンクを維持するためのビーム方向制御が必要不可欠である.そこで本稿では,HAPSの姿勢変化に耐性のあるFL アンテナのアンテナ構成及びビームフォーミング制御を提案する.
成層圏プラットフォーム(HAPS)を用いた地上のセルラ携帯端末(携帯端末)との直接通信サービスは、サービスエリアの拡大、災害対策として非常に魅力的である。HAPS通信システムは, HAPSと携帯端末間の通信であるサービスリンクと HAPSと地上基地局(ゲートウエイ)間の通信であるフィーダリンクで構成される. HAPSのサービスリンクの通信容量はその中継周波数であるフィーダリンクの通信容量で決まることから、フィーダリンクの周波数有効利用技術が不可欠である。本稿では,フィーダリンクの周波数有効利用技術について検討を行った
HAPS(High-Altitude Platform Station)では高度20kmの成層圏で運用される飛行船等から超広域の移動通信サービスを提供できる。また、LTE等の地上移動通信網と同じシステムを適用可能であることから、日常使用する端末で直接接続可能であり、災害に強いネットワークを実現できる。HAPSモバイル通信においては機体に搭載可能なセル数によって様々なセル構成が考えられるが、搭載可能なセル数に応じた最適なセル構成についてはこれまで検討が十分に行われていない。本稿では、任意のセル数に適用可能なセル構成の最適化手法を提案する。
An unmanned aerial vehicle (UAV) with a uniform linear array antenna (ULA) has been proposed to tackle the high outage probability due to the low transmit power of sensor node (SN) and the existence of interfering SNs [1]. The purpose of this manuscript is to analytically evaluate its effectiveness.
休 憩(14:30 再開) 座長 福田英輔(富士通研)
B-5-26 |
HetNet構成におけるMIMO対応送信干渉キャンセラーの最適制御
◎谷口怜奈・藤井輝也・表 英毅(東工大) |
B-5-27 |
HetNet構成における上り回線干渉キャンセラーの検討
◎金田拓也・藤井輝也・阪口 啓(東工大) |
B-5-28 |
Sparse Power and Spectrum Allocation Scheme for HetNet
◎Ahmed Nasser・Osamu Muta(Kyushu Univ.) |
B-5-29 |
3.4GHz帯を用いた異周波HetNetにおける適応制御型CREの効果
○藤澤研斗・大澤 魁(工学院大)・増野 淳・須山 聡(NTTドコモ)・大塚裕幸(工学院大) |
B-5-30 |
28GHz帯3セクターピコセルを用いた異周波HetNetのユーザスループット特性
○剱持郁也・大澤 魁(工学院大)・増野 淳・須山 聡(NTTドコモ)・大塚裕幸(工学院大) |
マクロセル内部に同一周波数を用いた複数スモールセルを設置したHetNet (Heterogeneous Network) 構成は、周波数利用効率を向上させる技術として期待されている。HetNet構成では干渉除去技術が不可欠である。筆者等はマクロセルの下り回線の干渉除去技術として、SISO(Single-Input Single-Output)を対象として、各スモールセル基地局が、端末が受信するマクロセル信号をキャンセルするための干渉除去信号を自セルの送信信号に重畳して送信する“スモールセル送信干渉キャンセラー”を提案し、自セル信号と干渉除去信号の送信電力の最適分配について検討した。本稿では、2×2 MIMO(Multi-Input Multi-Output)を対象として、送信干渉キャンセラーを適用した場合の自セル信号と干渉除去信号の送信電力の最適分配制御を検討する。
マクロセル内部に同一周波数を用いた複数のスモールセルを設置して構成するHetNet (Heterogeneous Network) 構成は、周波数利用効率を向上させる技術として期待されている。この構成では同一周波数を用いることから干渉回避(除去)が不可欠である。スモールセルにおけるマクロセルからの干渉除去技術として、下り回線を対象に協調制御ネットワークを用いた“スモールセル送信干渉キャンセラー”が提案されている[1],[2]。しかし、上り回線の干渉除去技術に関しては殆ど検討されていない。本稿では下り回線と同様に、協調制御ネットワークを介して上り回線の干渉を除去する“上り回線干渉キャンセラー”を提案する。
In this article, we propose a novel interference management technique in terms of power and resource block (RB) allocation for heterogeneous networks (HetNets) based on compressive sensing (CS) theory. In HetNet, the same RB (i.e., frequency or time) is sparsely reused among all base stations (BSs). In other words, a limited, i.e., `sparse', number of BSs should be active in a dedicated RB. Based on this idea, we propose to relax the NP-hard problem of the power and RB allocation in HetNet into a sparse l1-norm problem that gives a near-optimum solution.
移動通信システムでは,システム容量を増大するためにヘテロジーニアスネットワークHetNetの積極的な導入が検討されている.また,データ通信の高速化を目的として256-QAM, 1024-QAMの研究開発も盛んである.HetNetにおいては,マクロセルからピコセルに負荷分散するCRE技術が重要であり,筆者らは,パーソナルセルを指向する適応制御型CREを提案し,その特性評価を行ってきた.
本稿では,2GHzで動作するマクロセルと3.4GHzで動作するピコセルから成る異周波HetNetにおいて, 256-QAMを適用した場合の適応制御型CREのユーザスループット特性を明らかにする.
次世代の移動通信システムではシステム容量を増大するためにヘテロジーニアスネットワークHetNetの研究が盛んである.また,さらなる高速化を目的として広い帯域幅を利用出来る高周波帯の利用も注目されている.しかしながら,帯域幅の異なる異周波HetNetの検討は十分行われていない.本稿では,2GHzで動作するマクロセルと28GHzで動作しマクロセルの10倍の帯域幅を有するピコセルのHetNetについて検討する.特に,ピコセルへの負荷分散を促進するCell Range Expansion (CRE)技術に対するユーザスループット特性を明らかにする.
休 憩(16:00 再開) 座長 三上 学(ソフトバンク)
B-5-31 |
SL列車への5G無線伝送実証試験
○増野 淳・村岡一志・須山 聡・奥山達樹・野中信秀・奥村幸彦(NTTドコモ) |
B-5-32 |
5G移動通信環境における8K映像無線伝送の取り組み
○留場宏道・設楽彰一・彦惣桂二・浜口泰弘(シャープ)・村岡一志・増野 淳・須山 聡・奥村幸彦(NTTドコモ) |
B-5-33 |
5G向け低SHF帯超多素子アンテナを用いた屋外端末移動環境におけるデジタルビームフォーミング性能評価
◎野勢大輔・菊間知裕・丸田 靖(NEC)・奥山達樹・村岡一志・増野 淳・須山 聡・奥村幸彦(NTTドコモ) |
B-5-34 |
都市部鉄道環境における28GHz帯5G下り伝送実験
○村岡一志・野中信秀・高橋雄太・奥山達樹・増野 淳・須山 聡・奥村幸彦(NTTドコモ) |
本稿ではNTTドコモが実施主体となり総務省より請負った,平成30年度「屋外において平均4-8 Gbpsの超高速通信を可能とする第5世代移動通信システム(5G)の技術的条件等に関する調査検討の請負」における試験の一部として,観光産業への5G活用を想定し東武鉄道,日本電気,シャープ,インフォシティの協力のもと2018年11月に実施された,SL(Steam Locomotive:蒸気機関車)列車への5G 無線伝送実証試験について報告する.
本稿では,5G移動通信環境を想定した8K映像無線伝送に関し,観光産業への活用を想定した5Gのユースケースの実証試験として,2018年11月に実施した,地方観光資源として復刻運行されているSL(Steam Locomotive:蒸気機関車)の乗車体験を向上させるための8Kライブ映像無線伝送試験について報告する.
筆者らはデジタルビームフォーミング(BF)方式を採用した超多素子アクティブアンテナシステム(AAS)に着目しており、国土交通省国土技術政策総合研究所の試験走路で移動端末に対するデジタルBFの有用性を検証してきた。本稿では東武鬼怒川線SL鉄道に端末を載せて移動させた場合のデジタルBF追従性能を評価したので報告する。
第5世代移動通信システム(5G)では,超広帯域を利用できる可能性がある高周波数帯の活用が期待されるが,その際には高周波数帯の伝搬損失を補償する超多素子アンテナによるビームフォーミングが必須となる.このとき,移動するユーザに対しては,ユーザ方向にビームを適応的に切り替えるビーム追従が求められる.筆者らは,これまでにビーム追従機能を備えた28 GHz帯5G伝送装置を用いて,郊外の鉄道環境において直線の線路上を走行する列車に対する伝送実験を行ってきた.本稿では,都市部の鉄道環境でカーブする線路沿いに28 GHz帯5G基地局を配置した伝送実験を実施したので,実験で得られた下り伝送特性について報告する.
3月19日 13:00〜17:00 52号館 304教室 座長 村上 誉(NICT)
B-5-35 |
OFDM方式における圧縮センシング外挿を用いた伝搬路推定に関する一検討
◎新保薫子・菅沼碩文(早大)・留場宏道・難波秀夫・小野寺 毅(シャープ)・前原文明(早大) |
B-5-36 |
キャリア間干渉自己キャンセラを用いた2重差動OFDM
◎田中優花・中井 唯・久保博嗣(立命館大) |
B-5-37 |
差動OFDMのための多重開ループ周波数オフセット推定によるAFC
◎中井 唯・田中優花・久保博嗣(立命館大) |
B-5-38 |
Windowed-OFDM信号におけるCPの不完全巡回性の影響に関する一検討
◎木澤雅和・井家上哲史(明大) |
B-5-39 |
低ACLP・低PAPRを達成するOverlap-Windowed-OQAM-DFTs-OFDM方式
◎△今井水輝・岡本拓也・岡野貴大・梅比良正弘・王 瀟岩(茨城大) |
OFDM方式において,伝搬路推定は多値化を施す際に不可欠となるだけでなく,その精度の向上は,周波数有効利用の観点から重要な課題である.本稿では,通常適用されるLS (Least Square)の特性向上をねらいとして,圧縮センシング(CS : Compressed Sensing)による外挿を用いた伝搬路推定法を提案する.具体的には,LSにより得られた周波数応答に対して,CSにより得られたガードバンド部分の周波数応答を外挿し,時間領域の雑音軽減を実現するものである.また,雑音軽減効果を高めるべく,CSとLSにより得られた有効サブキャリヤ内の周波数応答の相関によりCS外挿の可否判断を行うことを特色としている.さらに,提案方式の有効性を,LSを比較対象にとってBERの観点から計算機シミュレーションにより検証する.
マルチパス伝搬環境に対しては,複数のサブキャリアを用いるOrthogonal Frequency Division Multiplexing (OFDM) が有効である.しかし,OFDMではサブキャリア間隔が狭くなり,移動環境においてドップラーシフトに起因するキャリア間干渉 (ICI) への対応が課題となる.本稿では,大きなドップラーシフトが存在する下で,ICIの影響を低減するために,OFDMにintercarrier interference self-canseller (ICISC) と2重差動符号化を用いる方式を提案する.
本稿では,時間的に変動する周波数オフセットに有効な,1つのサブキャリアをトーンとした差動OFDM (orthogonal frequency division multiplexing) のためのAFC (automatic frequency control) 方式を提案する.周波数オフセットが時間的に変動する場合,短いトーン観測時間にて周波数オフセットを推定する必要がある.しかし,短いトーン観測時間では,周波数オフセットの推定精度が低下する.この問題を解決するために,本稿では,広いカバレッジと高い推定精度を両立する多重開ループ周波数オフセット推定 (MOLFE)によるAFCを用いた差動OFDMを提案する.次に,計算機シミュレーションにより,提案するMOLFEを用いたAFCにより,短いトーン観測時間にて,良好なBER (bit error rate) 特性を実現できることを示す.
次世代無線通信システム(5G)の実現に向け,限られた周波数資源を有効に活用することは重要な課題であると考えられる.現在広く採用されているOFDM変調方式では,高い帯域外放射電力が問題視されており,各々のOFDMシンボルに窓関数処理を行うWindowed-OFDM(W-OFDM)方式が提案されている[1].しかしながら,窓処理によってCP(Cyclic Prefix)の一部に不完全な巡回性が生じ,有効なCP長が短くなるため長い遅延パスに対してブロック間干渉(IBI)を引き起こすことが考えられる.本稿では,W-OFDM方式における遅延パスに対する性能をBERの観点から評価するとともに, IBIの影響を軽減するために時間領域等化FIRフィルタ(TEQ)を用いた場合の検討を行う.
5G/B5GではeMBB(enhanced Mobile Broadband)に加え、mMTC(massive Machine Type Communications)によるIoT(Internet of Things)サービスが期待されている。mMTCでは、非同期通信のための低ACLP(Adjacent Channel Leakage Power)、端末低消費電力化のための低PAPR(Peak to Average Power Ratio)が要求される。本文では、低ACLP・低PAPRを達成するため、筆者らが提案しているOQAM (Offset Quadrature Amplitude Modulation)-DFTs-OFDM(Discrete Fourier Transform spreading Orthogonal Frequency Division Multiplexing)にオーバーラップウィンドウ処理を適用したOverlap-Windowed-OQAM-DFTs-OFDM方式を提案し、計算機シミュレーションにより基本特性を評価したので報告する。
休 憩(14:30 再開) 座長 石井直人(NEC)
B-5-40 |
LR-SE-VPへのAアルゴリズムの適用
◎二階堂 健・髙畑文雄(早大) |
B-5-41 |
Massive MIMOダウンリンクのMFプリコーディングにおける端末マルチアンテナ環境下でのアウテージ確率解析
◎伊藤香貴・丸田一輝・安 昌俊(千葉大) |
B-5-42 |
マルチセルMassive MIMOにおけるセミブラインドMMA及びMMSE-SMIによる多値信号適用時の動作改善
○丸田一輝・安 昌俊(千葉大) |
B-5-43 |
PFスケジューリングを考慮したMU MIMO THPのシステム容量特性
◎田口華蓮・水谷亮太・新保薫子・菅沼碩文・前原文明(早大) |
B-5-44 |
Massive MIMOにおけるブロック対角化を用いたハイブリッドビームフォーミングのパラメータ推定
○柘植健太・張 裕淵・府川和彦(東工大)・須山 聡・奥村幸彦(NTTドコモ) |
VP (Vector Perturbation)に基づくプリコーディングを採用したMU-MIMO (Multi User-Multiple Input Multiple Output)において,所要送信電力を最小化する最適摂動ベクトルを検出するLR-SE-VP (Lattice Reduction-Sphere Encoding-VP)の摂動ベクトル探索へ,最深部までの予想メトリックを用いるAアルゴリズムを適用した際の特性を明らかにする.計算機シミュレーションによる特性評価の結果として,基地局アンテナ数が4,8,16のとき,Aアルゴリズムを適用することによる基準BER=10^(-3)と10^(-6)を達成する所要SNRの劣化量は0.5[dB]以内であり,摂動項の探索回数の削減効果は送信アンテナ数の増加に伴い大きくなることを明らかにする.
Massive MIMOは多数の送信アンテナを持つことにより,ヌル制御をしないMatched-Filter(MF)プリコーディングを適用しても,ユーザの増加による干渉の影響を抑え通信品質を向上させることができる.これまでの研究では,ユーザあたり1つの受信アンテナを持つ場合におけるアウテージ確率に関する数式モデルが提案されている.本稿ではこれを拡張し,ユーザが複数の受信アンテナを持つ場合について性能評価および定式化をする.
Massive MIMOシステムにおいて容量増大のために空間多重数を増加する場合,チャネル推定に必要な直交系列数には上限があることから,それらは各セルにて繰り返し用いることになり,その結果パイロット信号によるセル間干渉(パイロット汚染)が生じる.このためセル間干渉(ICI)に加えユーザ間干渉(IUI)も十分に抑圧できない.これまでに,チャネル推定値に基づくウェイトを初期値としたセミブラインド(SB)定包絡線及アルゴリズム(CMA)及び判定帰還型チャネル推定(DFCE)を用いたアップリンク干渉抑圧方式を提案した.CMAはその特徴から複数の振幅を持つQAM信号への対応が課題であった.本稿では,セミブラインド多値定包絡線アルゴリズム(SBMMA)及びデータ部を利用したMMSE-SMIを適用することによるQAM信号への適用領域の拡大を図る.
MU-MIMOの非線形プレコーディングの一つであるTHPは,線形プレコーディング(LP)と比較して雑音強調を抑圧できることから,より一層の大容量化が実現できる.特に,THPでは,LPと異なり,modulo lossの影響が生じることから,その影響を考慮した上で,上位のユーザスケジューリングを含めた特性をシステムレベルで評価することが重要と考えられる.THPのシステムレベル評価では,modulo lossの影響を0.5dBの固定劣化として算入したものがあるが,その影響を正確に考慮したものは見当たらない.本稿では,ユーザスケジューリングとしてProportional Fairness(PF)が適用されたときのTHPのシステム容量をmod-Λチャネルを用いて正確に算定する.また,PFのメトリックの算出に対して,mod-Λチャネルに基づく正確な方法とシャノン・ハートレーの定理に基づく簡易な方法が与える影響についても考察する.
Massive MIMOにおいて,BB回路およびRF回路の数を大幅に削減できるアナログ・デジタルハイブリッド型構成が検討されている.しかしながら,受信信号の自由度が大幅に減少するため精度良くインパルス応答が推定できず,送信ウェイトを制御することが困難となっていた.そこで本稿では,上り回線でチャネル推定を行い,下り回線では推定したチャネルインパルス応答を用いて,AB(Analog Beamforming)行列を推定する.その後,等価チャネル行列を基に,ブロック対角化を実現するようDB(Digital Beamforming)のプリコーディング行列を制御する方法を提案する.
休 憩(16:00 再開) 座長 久保博嗣(立命館大)
B-5-45 |
多素子MIMO-OFDMにおける余剰アンテナを活用したピークキャンセラの歪み補償に関する検討
◎△景山知哉・牟田 修(九大) |
B-5-46 |
共通共分散行列を用いたSMI法の判定帰還による干渉抑圧特性改善
◎島 康介・妹尾克哉・後藤健太・赤尾貴志・丸田一輝・安 昌俊(千葉大) |
B-5-47 |
DSTBC復号後の推定SINRに基づきビーム選択を行う干渉抑圧方式
◎佐々木 慧・増田進二・中島昭範・佐野裕康・岡村 敦(三菱電機) |
B-5-48 |
非同期システム間干渉を考慮したFBMCとOFDMのシステム容量評価
◎田端寛樹・西田紘基・菅沼碩文・前原文明(早大) |
OFDM では, ピーク電力対平均電力比(PAPR) の低減が課題となる. 著者等は帯域外輻射および帯域内歪み電力を許容値以下に抑えながらOFDM のPAPR を低減させるピークキャンセラ方式を提案した. 本稿では, 多素子MIMO-OFDMシステムにピークキャンセラを適用した場合に, 余剰のアンテナ自由度を活用した歪み補償技術を検討する. 計算機シミュレーションにより帯域外輻射電力(ACLR) およびビット誤り率(BER) 特性を評価し, その有効性を示す.
ビームフォーミングを行うアダプティブアレーアンテナの重み推定法としてSMI(Sample Matrix Inversion)法がある.これまでSMI法の改善として共通共分散行列を用いる手法が提案されてきたが,重み推定精度の向上とパイロットシンボル数増加による伝送効率の低下はトレードオフの関係にある.そこで本稿では,パイロットシンボル数を増加させることなく重み推定精度を向上させることを目的とし,従来の共通共分散行列を用いたSMI法で判定した初期解を用いた判定帰還による重み推定を行う手法を提案する.
無線通信における自システム内の同一チャネル干渉は受信性能低下を引き起こす.そこで,既知系列により推定したSINR を用いて複数の固定ビームを選択・合成することで干渉を抑圧する方式が検討されている.また,差動時空間ブロック符号(DSTBC)方式は高速移動環境で安定した通信に有効な方式である.しかし,高速移動によるチャネル推定精度の劣化で,差動復号前のSINR を用いるとビームを選択・合成できない課題があった.そこで,既知系列を用いてDSTBC 復号後のSINR を推定し,ビームを選択・合成する方式を提案する.本稿では,計算機シミュレーションにより,提案方式の受信性能を評価し,提案手法の有効性を示す.
OFDMは,ガードインターバルの挿入により,マルチパスフェージングを1タップの等化処理で克服できるものの,方形波伝送の適用により,帯域外輻射が大きくなることから,非同期システム間の隣接チャネル干渉問題が特に深刻となる.一方,FBMCは,波形整形された波形の適用により,帯域外輻射を抑圧できることから,システム間干渉の軽減に有効となる.本稿では,FBMCあるいはOFDMからなる非同期システムを対象として,隣接チャネル干渉を考慮したシステム容量を隣接システム間のD/Uやガードバンドをパラメータにとって評価する.
3月22日 9:00〜11:45 52号館 302教室 座長 山本高至(京大)
B-5-49 |
周波数スケジューリング型車車間協調伝送手法のシステム性能解析に関する一検討
◎石川隼土(名工大)・岡本頌平・岡田 啓(名大)・牧戸知史(豊田中研)・岡本英二(名工大) |
B-5-50 |
Q学習を用いたLTE-LAAの干渉制御
◎和田健史郎・大槻知明(慶大) |
B-5-51 |
電波環境データベースを用いたLPWA向け周波数共用手法の検討
◎山崎悠大・藤井威生(電通大) |
B-5-52 |
V2Vにおいて高信頼性を達成するためのリソース選択方式
○青木 寛(モバイルテクノ)・ウー ジャンミン・下村剛史・陳 紅陽・成 慧テン(富士通研) |
B-5-53 |
高信頼低遅延無線通信システムにおけるRTS および拡張CTSを用いたメトリック合成型マルチユーザ検出の伝送遅延時間特性
○宗 秀哉(東工大)・征矢隼人(neko9 Laboratories)・府川和彦・張 裕淵(東工大) |
近年自動運転の研究開発が盛んに行われている.面的最適化を伴う自動運転システムの実現には無線通信が不可欠であり,その無線通信リンクは高速に移動する移動体のための伝搬路変動による劣化が大きく,また制御信号の遅れが事故にもつながることから,さらなる高品質低遅延伝送の実現が求められている.我々のグループでは,これに対し,車車間通信リレー協調伝送を活用した基地局遠方車両の高品質化手法をこれまで提案してきた[1].本稿では,より実際的な環境における伝送性能改善を目指し,SUMO (Simulation of Urban MObility)移動シミュレータを用いて車両の動きを模擬し,道路ネットワークにおける車車間協調通信のペアリング確率を算出した.そして道路上の車両数を増やし,多元接続を行いつつ信頼性を確保するようなスケジューリング手法の適用を行った際の提案手法の有効性をシミュレーション解析により明らかにした.
無線帯域資源不足への対策として, LTE の周波数帯域を免許不要帯域に拡張するLTE-LAA (LTE-Licensed Assisted Access) が検討されている.しかし,免許不要帯域は主にWi-Fi が使用しているため,干渉制御が必要となる.LTE-LAAでは,干渉制御としてLBT (Listen Before Talk) が用いられる.LBT において,LTE-LAA BS (Base Station) は, まずキャリアセンス(CCA : Clear Channel Assessment) を行い,キャリアを検知した場合はランダム時間待機(バックオフ) し,再度キャリアセンスする.一方,キャリアが検知されなければ,パケットを送信する.しかし, これだけでは,もしWi-FiユーザがLTE-LAA ユーザに比べて多い場合に,Wi-Fi ユーザのスループットが大きく低下するなど,WAP (Wi-Fi Access Point) の送信が妨げられる.本稿では, WAP の送信を妨げず,LTE のスループットを上げるようなLTE-LAA の干渉制御を目的として,Q 学習を用いたLTE-LAA BS の送信待機時間と送信時間の制御法を提案する.
現在,IoT デバイスの需要が増加するにつれ,低コスト長バッテリー寿命の端末が求められている.その解決策の一つとしてLPWA(Low Power Wide Area:低電力広域)の活用が考えられている.多くのLPWAではSub-GHz帯でスペクトラム拡散技術や超狭帯域技術を用いて通信を行うことで長距離通信を可能にし,単純なプロトコルとトポロジを用いることで消費電力や端末コストを削減している.その中でも特に注目されているのがオープンスタンダードであるLoRaWANである.しかし,既存のLoRaWANでは各LoRa端末のDutyCycleを1\%の固定値としており,周辺システムの影響やLora端末数の変化に対応したデータレートが得られないという課題があった.そこで本稿では,許容干渉時間比率と許容パケットロス率に応じてDutyCycleを設定するアルゴリズムを提案し,その有効性について検討する.
C-V2X(cellular vehicle to everything)の内,車両同士が直接通信するV2V(vehicle-to-vehicle)ではmulticastやbroadcastで隊列走行や事故防止等に用いる通信が想定されており,99.999%以上のPRR(packet reception rate)が要求されている.筆者らは高信頼性を満たすためにBi-modeを検討し,本稿はその評価結果を報告する.
伝送遅延時間に厳しい制約のあるIoTシステムにおいて,アンライセンス帯でCSMA/CAにより通信する場合,端末(UT)数の増加に伴いパケット衝突が多頻度で発生し,伝送遅延時間が非常に長くなる.この問題を解決するため,本稿では,RTS および拡張CTS(eCTS)を用いたメトリック合成型マルチユーザ検出(MUD)を提案し,その伝送遅延時間特性を明らかにする.
休 憩(10:30 再開) 座長 岡本英二(名工大)
B-5-54 |
包絡線変動量を抑圧するFSK用位相回転送信ダイバーシチ方式
○山口歌奈子・東中雅嗣・佐野裕康・岡村 敦(三菱電機) |
B-5-55 |
URLLCにおける周波数ホッピングパターンの特性評価
○中村 理・浜口泰弘(シャープ)・衣斐信介・三瓶政一(阪大) |
B-5-56 |
フルデュープレクスにおける変調方式に対する繰り返しディジタル自己干渉キャンセラのブロック誤り率特性
◎山田大貴・大友崇裕・佐和橋 衛(東京都市大)・齊藤敬佑(NTTドコモ) |
B-5-57 |
NRにおけるPVS送信ダイバーシチを用いたときのセルID検出確率特性
◎志村 彩・太田恭吾・佐和橋 衛(東京都市大)・永田 聡(NTTドコモ) |
B-5-58 |
NRにおける同期信号バーストの多重間隔に対するセルID検出確率特性
◎太田恭吾・志村 彩・佐和橋 衛(東京都市大)・永田 聡(NTTドコモ) |
包絡線変動量が小さく優れた電力効率を特長とするFSK(Frequency Shift Keying)方式により変調された信号に対し,更なる信頼性向上のために送信ダイバーシチとしてSTBC(Space-Time Block Code)方式を適用した場合,STBC符号の影響により一方の送信アンテナにおける信号では周期的に振幅値0への落ち込みが生じ,包絡線変動量増大による送信電力効率の低下を招く.そこで、本稿ではSTBC符号へ位相回転処理を付加することでアンテナ間の包絡線変動を一定とし,さらに,振幅値0への落ち込みを抑止することで包絡線変動量の増大を抑圧する,FSK用位相回転送信ダイバーシチ方式を提案する.
NRのアップリンクでは,信頼性確保のため,PUSCH (Physical Uplink Shared Channel)の繰り返し送信が仕様化されおり,符号化利得獲得のため,繰り返し毎にリダンダンシーバージョン(RV)の変更が可能となっている.加えて,周波数ダイバーシチ効果獲得のため,送信スロット間の周波数ホッピング(FH)も適用可能である.
本稿では,繰り返し送信におけるRVパターンとFHパターンについて検討し,伝送特性を計算機シミュレーションにより評価する.
本稿では,Full Duplex (FD)[1]における自己干渉(SI: Self-Interference)と希望波信号の推定値を生成して交互に受信信号から差し引く繰り返しディジタル自己干渉キャンセラ(DSIC: Digital Self-Interference Canceller)[2]を用いたときの平均ブロック誤り率(BLER: Block Error Rate)の観点から,変調方式に対するSIの推定精度を評価する.
本稿では,5G New Radio (NR)の同期信号を用いたときの,Precoding Vector Switching (PVS)送信ダイバーシチを適用した場合の物理セルID (PCID: Physical Cell Identity)検出確率を計算機シミュレーションにより評価する
本稿では,5G New Radio (NR)の同期信号を用いたときの,同期信号を含む同期信号バーストセット (SSBS: Synchronization Signal Burst Set)の多重間隔に対する物理セルID (PCID: Physical Cell Identity)検出確率を計算機シミュレーションにより評価する.
3月22日 9:00〜11:45 52号館 304教室 座長 衣斐信介(阪大)
B-5-59 |
16点SCMA大規模システムのガウス確率伝搬法による信号検出特性の評価
◎李 仁杰・西村寿彦・大鐘武雄・小川恭孝・萩原淳一郎(北大) |
B-5-60 |
重畳型16QAMを用いた大規模MIMOのDAMPによる信号検出
◎渡部泰成・西村寿彦・大鐘武雄・小川恭孝・萩原淳一郎(北大) |
B-5-61 |
軟入力の振幅制限を行う過負荷繰返し線形MIMO受信機
井上 翼・◎田野 哲・侯 亜飛(岡山大) |
B-5-62 |
遅延推定に基づくマルチパス分離によるチャネル予測に関する考察
◎高野裕太・小川恭孝・西村寿彦・大鐘武雄・萩原淳一郎(北大) |
B-5-63 |
深層学習を用いた到来方向推定の検討
◎加瀬裕也・西村寿彦・大鐘武雄・小川恭孝(北大)・来山大祐・岸山祥久(NTTドコモ) |
現在,IoTなどのデバイス間通信に向けて超多数の多元接続方式が検討されている.その一つとして,SCMA (sparse code multiple access)がある.SCMAは0を含む変調信号点とスパースな周波数拡散行列を用い,多数端末の同時接続を実現する手法である.本稿では,複素信号点を有する16点SCMAを用いた100端末の同時接続を想定し,周波数相関性が異なる伝送路において,ガウス確率伝搬法 (GaBP) による検出性能評価を行った.
大規模MIMOシステムの信号分離では,演算量を削減できるGaBP法が有効である.しかし,多値化への対応は簡単ではなく,16-QAM信号をQPSK信号の重畳表現することを提案した.
このとき,送信アンテナ数と受信アンテナ数が同程度の場合,重畳により実際上は過負荷となるため特性が劣化する恐れがある.これに対し,DAMPが提案されている.本稿ではGaBPとDAMPを用いた検出特性の比較を行う.
本稿では,軟入力の振幅制限を行う過負荷繰返し線形MIMO受信機を提案する.私たちがこれまで検討してきた過負荷MIMO通信路における繰返し軟判定復号によって,MLDを上回るBER特性を得ることができたが,BER特性がフロアを引いてしまうという問題があった.そこで,軟判定信号値が閾値を超える場合に信号値の入力制限を行うことで,誤った尤度をもつ信号の影響を低減する方法を提案し,そのBER特性を計算機シミュレーションにより評価する.
マルチユーザMIMOシステムでは,事前に干渉を除去するプリコーディングを行うために下り回線のチャネル情報 (CSI)を必要とする.しかし,チャネルは時変動するため,その追従には頻繁にパイロットシンボルを送信する必要がある.未来のチャネルを予測することで,その送信頻度を抑えることができる.チャネル予測手法として,マルチパスの分離・予測・再合成を行うSOS法は予測範囲を広げることが期待できる.本稿では,OFDM信号において各サブキャリアのCSIを用いて連立方程式を立て,それらの近似解を求める手法と圧縮センシングを適用する手法のそれぞれについてマルチパス分離を行い,チャネル予測精度を評価する.さらに従来のIDFTを用いた手法との特性の比較を行う.
電波の到来方向推定は,無線通信端末の位置推定や各種レーダに応用される技術である.計算資源が発展した近年では,計算量が多いものの従来手法より高い精度で推定できる圧縮センシングを用いた手法が提案されている.筆者らは,Hintonらの研究を皮切りに画像,音声,言語などの分野で盛んに研究されるようになった深層学習を用いた推定手法を提案し,整数角度条件での検討を行った.本項では実数角度に拡張し,性能評価を行う.
休 憩(10:30 再開) 座長 安達宏一(電通大)
B-5-64 |
FDEを用いるLOS-MIMOにおけるCDMパイロット信号多重を用いたときの周波数領域のチャネル応答の平均化効果
○青野佳奈・鄭 斌・佐和橋 衛(東京都市大)・神谷典史(NEC) |
B-5-65 |
分割ブロック符号における繰り返しチャネル推定の二次外挿による性能改善
◎本杉晃一・米井賢太郎・丸田一輝・安 昌俊(千葉大) |
B-5-66 |
改良型HTRCIチャネル推定によるパイロットコンタミネーション除去
◎黒木 駿・松原 駆・勝野将人・丸田一輝・安 昌俊(千葉大) |
B-5-67 |
MIMO SC-FDEにおける受信ウェイト行列の演算量削減手法の評価
◎齋藤剣聖・小川恭孝・西村寿彦・大鐘武雄・萩原淳一郎(北大) |
B-5-68 |
SC-FDE方式の伝送特性改善に関する検討
○松崎敬文・山岸史弥・山里亜紀子・岡部 聡・居相直彦(NHK) |
周波数領域等化(FDE: Frequency Domain Equalizer)を用いるLine-of-sight (LOS)-Multiple-Input Multiple-Output (MIMO)の受信機構成が提案されている[1].本稿では,FDEを用いるLOS-MIMOにおけるCode Division Multiplexing (CDM)パイロット信号多重を用いたときのビット誤り率(BER: Bit Error Rate)に対する周波数領域のチャネル応答の平均化効果を計算機シミュレーションにより評価する.
移動体通信において高速フェージングによる時間変動するチャネルを推定する方法として、受信信号を判定帰還し繰り返しチャネル推定を行う方法(ICE)がある。 この方式にブロック符号を用いると、受信側での復号の際、全てのデータの受信を待つ必要がありブロックサイズが大きい場合遅延が大きくなる。この問題を解決するため、本研究ではデータを分割しブロックサイズを小さくすることで処理遅延を低減しつつ、性能の改善を可能にするチャネル推定法を提案する。
移動体通信において,所望のセルの基地局からのパイロット信号と同じ信号を他のセルが使用し,パイロット信号が混信してしまいチャネル推定精度が落ちるパイロットコンタミネーション(pilot contamination)が生じる.またチャネル推定法の一つであるHTRCI(High Time Resolution Channel Interferometry)は,MIMO伝送において複数パスのチャネル推定を1シンボルで実現可能であり,受信側で観測されるインパルス応答を加算することで雑音の低減されたチャネル情報を推定できる.本研究ではこのHTRCIを改良し,パイロットコンタミネーションを除去する手法を提案する.これにより複数セル間に亘るチャネル推定を行い,端末局においてMLDを適用し,セル間干渉を除去する.
MIMO SC-FDE では,空間多重による高速伝送を実現可能であるが,受信側で伝送路等化と信号分離の両方を実現するウェイトを計算する必要がある.送受信アンテナ数と周波数ポイント数が多くなると,その演算量が増加してしまう.逆行列演算を含む最適なウェイトを求める周波数ポイントをに減らし,その間を補間することによって演算量を削減することが可能である.また,受信アンテナ数の多いシステムでは,最大比合成ダイバーシチ (MRC)のウェイトを用いることも有効である.筆者らはこれまで,主に平均誤り率の観点から特性評価を行ってきたが,特定の変調方式と誤り率訂正に限定される.
本稿では,達成可能スループットを用いて演算量削減の評価を行う.
4K・8K映像の伝送が可能なミリ波SHVワイヤレスカメラの伝送方式として一般的に電力増幅器の歪の影響を受けにくく電力効率に優れたSingle-Carrier – Frequency Domain Equalization (SC-FDE)方式の適用を検討している.SC-FDE方式では,パイロット信号のUnique Word (UW)を挿入し,データシンボルの平均電力よりもUWの平均電力を大きく(ブースト)することでチャネル推定精度を高める伝送特性の改善を進めている.本報告では,UWをブーストした時のMMSE基準等化における信号対雑音電力比の補正,及びチャネル推定の精度を向上する手法を提案し,シミュレーションにより所要C/Nが低減することを確認したので報告する.
3月22日 13:00〜16:30 52号館 302教室 座長 宮路祐一(豊橋技科大)
B-5-69 |
CFR-Less RF Frontend Architecture for 5G
○Alexander N. Lozhkin・Toru Maniwa・Hiroyoshi Ishikawa(Fujitsu Labs.) |
B-5-70 |
Report on 5G hardware trial equipment and evaluation of 5G propagation characteristics
○Qiaozhi Hua・Ryoichiro Tazawa・Hlaing Myint San・Keping Yu・Zheng Wen・Chengkai Yan・Ngoc Nguyen Quang・Kiyohito Tokuda・Takuro Sato(Waseda Univ.) |
B-5-71 |
超高密度分散アンテナシステムにおける送信点設計のための屋内伝送実験
○奥山達樹・須山 聡・村岡一志・増野 淳・奥村幸彦(NTTドコモ)・小林崇春(富士通)・秋山千代志(富士通研)・筒井正文・関 宏之・箕輪守彦(富士通) |
B-5-72 |
オフィス環境における5G向け低SHF帯超多素子アンテナを用いたアクセスポイント間協調ビームフォーミングDL伝送実験
◎泉井康平・江 奕・山崎健一郎(NEC)・奥山達樹・村岡一志・増野 淳・須山 聡・奥村幸彦(NTTドコモ) |
B-5-73 |
5G 超高密度分散アンテナシステムにおけるスケジューリング周期短縮時の高無線スループット化手法
○有川勇輝・坂本 健・重松智志(NTT) |
The energy efficiency should be a main design target for 5G RF front-ends (RFFEs) in order to achieve a low network operation cost. In this work we investigated the effect of the Tx signal processing architecture on RFFE total DC power consumption and the quality of the transmitted signal in terms of ACLR and EVM. We show that crest factor reduction can be successively excluded from the Tx signal processing chain in order to increase RFFE efficiency and simplify the hardware design.
Using our Waseda 5G hardware design equipment, we explored the transmission performance in the environment of indoor and outdoor at the Waseda campus. The experiment frequency is 28GHz band and the specification for conducting the 5G trial is corresponding to 3GPP documents based on Verizon specifications. The evaluation is achieved on the conditions of long-distance transmission experiment in the courtyard and short transmission experiment in the hall.
第5世代移動通信システム(5G)における大容量通信実現のため,超高密度分散アンテナシステムが提案されている.本システムでは多数のアンテナ素子を多数の送信点(Transmission Points: TPs)に分散し,TPを超高密度に分散配置することで,端末基準の仮想的なセルを構築・動的制御することで各端末の受信電力を向上させ大容量化を図る.従来検討では,屋内外実験による分散配置による容量向上効果の検証や集中配置と分散配置の比較,送信点の素子選択などのアルゴリズム検討がされている.本稿では,送信電力の観点も含め,屋内環境で最適なエリア構築に資する送信点設計指針を屋内伝送実験により導く.
アクセスポイント間協調ビームフォーミング (CB)DL伝送実験結果について報告し,CB効果によりオフィス環境にて多重端末数15UEまでは多重端末数に比例した推定DLシステムスループットが得られることを確認した。
第5世代移動通信システムでは,送信アンテナを超高密度に配置し,それらの無線送信を協調制御することにより,システム容量の向上を図る超高密度分散アンテナシステムが検討されている.本システムでは,電波干渉を考慮しながら,全送信アンテナと端末とを対象に,最適な送信組合せを決める協調無線リソーススケジューリングを行う.この処理では大量の計算を行うのに対し,処理に費やせるスケジューリング周期は最短数百マイクロ秒程度にまで短縮されることが検討されている.本稿は,スケジューリング周期が短縮され,1 端末あたりの計算時間が十分に確保できない場合において,無線スループットを改善する手法を提案する.
休 憩(14:30 再開) 座長 鬼沢 武(NTT)
B-5-74 |
28 GHz帯を用いた5G無線アクセスにおけるInter-BBU HOを用いたモビリティ実験
○栗田大輔・来山大祐・岸山祥久(NTTドコモ) |
B-5-75 |
メタマテリアル技術を適用した反射板による見通し外における28GHz帯5Gエリアの補間
○来山大祐・栗田大輔・宮地健介・岸山祥久(NTTドコモ) |
B-5-76 |
28GHz帯車両ガラス設置型アンテナを用いた下り伝送特性
○猪又 稔・今井哲朗・来山大祐(NTTドコモ)・佐山稔貴・加賀谷 修・東海林英明・竹内彰一・信岡 淳(AGC) |
本稿では,Ericsson社・Intel社との実験協力による基地局・移動局のビームフォーミング・ビームトラッキング技術について報告する.これまで,準ミリ波(28 GHz)を用い,超多素子アンテナ(Massive MIMO)を用いた移動局・基地局ビームフォーミングを実装した5G伝送実験を用いて,屋内外伝送評価を実施した.本稿では,お台場に構築した5Gトライアルエリアにおけるモビリティ検証を基地局ベースバンドユニットを跨いだハンドオーバー機能(Inter-BBU HO)を実装した5G伝送実験装置を用いて実施し,実験結果について報告する.
本報告では見通し外環境における通信品質の改善に向けて,反射波の伝搬方向およびビーム幅を反射板の設置方法によらずに自由に設計可能なメタマテリアル技術を適用した反射板による5Gエリア補間技術を検討した結果について報告する.
5G では,28 GHz 帯が有力な候補バンドとして検討されており,高周波数帯を用いた伝送実験としてセルラーV2X の検証が進められている.5G では高い伝搬損失を補うため超多素子アンテナを用いたビームフォーミングの利用が想定されているが,車両の走行位置に応じて適切にビームを受信するため,車両に設置するアンテナは無指向性かつ,車両による侵入損失を抑制できることが望ましい. 本稿では28GHz 帯車両ガラス設置型アンテナを用いた下り伝送特性を報告する.
休 憩(15:30 再開) 座長 張 裕淵(東工大)
B-5-77 |
ハイブリッドビームフォーミングを用いる高SHF帯マルチユーザMassive MIMO における低演算量2段階ユーザ選択法
◎野中信秀・村岡一志・須山 聡・増野 淳・奥村幸彦(NTTドコモ) |
B-5-78 |
5Gにおける高SHF帯・広帯域Massive MIMOシステムを用いた屋外環境SU-MIMO伝送実験
◎酒井 学・中川兼治・蒲原健一郎・井浦裕貴・岩山直文・岡崎彰浩(三菱電機)・野中信秀・須山 聡・増野 淳(NTTドコモ)・岡村 敦(三菱電機)・奥村幸彦(NTTドコモ) |
B-5-79 |
5G高SHF帯・広帯域Massive MIMOの超稠密環境におけるアンテナ配置及びプリコーディング方式の比較評価
○西本 浩・平 明徳・岡崎彰浩・岡村 敦(三菱電機) |
B-5-80 |
基地局アンテナアレーの分散化とプリコーディングの関係について
◎鈴木裕也・西村寿彦・大鐘武雄・小川恭孝・萩原淳一郎(北大) |
第5世代移動通信システム(5G) の実現のために,高SHF帯においてハイブリッドビームフォーミング(BF)を用いるマルチユーザ Massive MIMO 技術を用いたFBCP (Fixed analog BF and CSI-based Precoding)の検討を行われている.マルチユーザMIMOではスループットを向上するにはユーザ間のチャネルの直交性が高いユーザを選択する必要があるが,演算量の削減が課題となる.本稿では,低演算量ながら,ユーザ間の公平性を考慮しつつ高いシステム効率を実現するユーザ選択法を提案する.
第5世代移動通信システム(5G)の実現に向け,著者らは高SHF帯におけるActive Phased Array Antenna(APAA)によるアナログビームフォーミングと,Multiple-Input Multiple-Output(MIMO)におけるディジタルプリコーディング処理を組み合わせたハイブリッド・ビームフォーミング技術の検討を行い,28GHz帯APAA-MIMOシステムを開発し,これまでに,電波暗室におけるシングルユーザMIMO(SU-MIMO)16ストリーム空間多重伝送実験を行っている.本稿では,屋外環境における28GHz帯500MHz帯域幅APAA-MIMOシステムを用いたSU-MIMO16ストリーム空間多重伝送実験結果を報告する.
第5世代移動通信(5G)における空間利用の高度化に向けて,Massive MIMO(multiple-input multiple-output)を用いたマルチユーザMIMO(MU-MIMO)が盛んに検討されている.5Gでは高SHF(super high frequency)帯等の高周波数帯の利用が見込まれており,適用シナリオの1つとして端末が密集する稠密環境も想定されている.本稿では,超稠密環境における高周波数帯Massive MIMO下りリンク伝送について,基地局アンテナ配置及びプリコーディング手法による特性比較を行う.評価結果から,基地局アンテナを集中配置させ,更に非線形プリコーディングを適用することで良好な特性となることを明らかにする.
近年急増しているトラヒック量に対応するために,5Gでは,大規模MIMOシステムにおける分散アンテナシステムの研究が盛んに行なわれている.著者らはこれまで,ユーザ端末 (UE)が一つのアンテナ素子を有する場合の分散アンテナシステムについて検討してきた.本稿ではUEが二つのアンテナ素子を有する場合について,ブロック対角化 (Block Diagonalization, BD)法,ブロック最大SNR (Block SNR Maximization, BSM)法の二つによりプリコーディングを行った際の集中配置と分散配置のチャネル容量特性の比較を行う.
3月22日 13:00〜15:30 52号館 304教室 座長 丸田一輝(千葉大)
B-5-81 |
5Gバックホール向け送受信装置を用いた屋外フィールド試験
○内田大輔・河口民雄・依田大輝・佐野 誠・秋田耕司(東芝)・Evgeny Tsimbalo・Magnus Sandell(東芝欧州研究所) |
B-5-82 |
OAMモード多重とE-SDMの等価性について
○山本綾乃・西村寿彦・大鐘武雄(北大)・旦代智哉・内田大輔(東芝) |
B-5-83 |
OAM波を生成するループアンテナと円形アレーアンテナの関係
○鈴木 博・斉藤 昭・本城和彦・石川 亮(電通大) |
B-5-84 |
OAM-MIMO多重伝送における異なる偏波の利用に関する実験検討
◎八木康徳・笹木裕文・山田貴之・加保貴奈・李 斗煥・清水敬司(NTT) |
近年,第5世代移動通信システム実現に向けた検討が盛んに行われており,無線バックホールへの期待も高まっている.我々は伝送距離5km,伝送速度20Gbpsを目標に,広帯域が確保可能なEバンドをターゲットとして試作機開発を行ってきた.本報告では,試作機を用いて900mの伝送距離で行ったフィールド試験結果を示す.
軌道角運動量(Orbital Angular Momentum: OAM)モード多重では,等間隔円アレー(Uniform Circular Array: UCA)を送受信側にそれぞれ配置することを前提として,チャネルを離散フーリエ変換/逆変換行列によって固有値分解する.一方,固有ビーム空間分割多重 (Eigenbeam-Space Division Multiplexing: E-SDM)はチャネルの特異値分解によって直交ビームを生成する.本稿では,レイトレーシングで取得したチャネル情報を用いて,既に他の文献でも述べられている両者の等価性の確認を行う.さらに,大地反射波が存在することでOAMモード多重の直交性が崩れる場合での通信容量の評価を行う.
近年,電磁波の角運動量をベースとした直交モードを用いて情報伝送を行うための研究が行われている.このモードの生成法には,ループアンテナを用いる方法と,円形アレーアンテナを用いる方法が知られてる.これらの方法の球座標系におけるベクトルポテンシャルを求め,両者の関係について述べる.
無線通信の大容量化の実現手段として電磁波の軌道角運動量(OAM: Orbital Angular Momentum)を用いた空間多重伝送方式が注目されている.OAM多重伝送はOAMモードの直交性を利用した空間多重伝送方式であり,円形に配置したアレーアンテナ(UCA: Uniform Circular Array)を用いることでOAMビームを生成することができる.これまでに,複数のUCAを用いたOAM-MIMO多重伝送技術により28GHz帯・10mで100Gbps超の伝送に成功しており,さらなる伝送容量の増大には偏波を用いて空間多重数を倍増させることが考えられる.本稿では,OAM-MIMO多重において交差偏波の干渉を加えた状態で,各偏波100Gbps超の伝送実験結果を報告する.
休 憩(14:15 再開) 座長 中島昭範(三菱電機)
B-5-85 |
コネクテッドカーによる歩行者の位置情報送信の効率化に関する一検討
◎三浦竜也・三瓶政一(阪大) |
B-5-86 |
コネクテッドカーと手動運転車の混在状況における効率的な位置情報送信に関する一検討
◎西壅智哉・三瓶政一(阪大) |
B-5-87 |
複数基点に設置したLiDARによる閉空間内移動体認識に関する一検討
○林田直人・三瓶政一(阪大) |
B-5-88 |
LiDARを用いた屋内動態管理システムにおける遮蔽への対策に関する一検討
◎道見大成・三瓶政一(阪大) |
B-5-89 |
車載ミリ波レーダの時系列情報に基づく物体識別
◎中村崇志・豊田健太郎・大槻知明(慶大) |
現在,交通事故の解消を達成することを目的として自動運転技術の開発が進められている.自動運転車の代表例であるコネクテッドカーは歩行者の位置情報をLTE(Long Term Evolution)セルラシステムで取得し,近距離を前提とした通信では通信不可能な離れた他車と共有することができる.本稿では,車道に近く飛び出す危険性が高いと判断される歩行者のみ位置情報を送信することで,コネクテッドカーが送信する情報量を抑える手法を提案する.また,複数のコネクテッドカーが同じ歩行者を検知している場合,その歩行者と最短距離であるコネクテッドカーのみにその位置情報の送信を担当させることで,歩行者の位置情報の重複を防ぐ手法も提案する.
コネクテッドカーの普及期でも手動運転車が一定量は存在すると予想されるので,コネクティドカーの制御に際しては手動運転車の情報収集も必要である.提案方式では,手動運転車はコネクテッドカーに検知され,その位置情報が運行管理システムに送信されるが,その効率的運用のためには無線リソースの効率的利用が必要である.提案方式では複数のコネクテッドカーが同じ手動運転車を検知している場合,その手動運転車と最短距離であるコネクテッドカーのみにその位置情報の送信を担当させるとともに,担当している手動運転車が検出範囲外に出た場合における当該手動運転車の位置情報取得を他のコネクテッドカーに引き継ぐハンドオーバ処理を行う
本研究では,屋内空間内における自動運搬車の軌道計画に用いる動態情報取得のためのセンサを屋内空間に設置するシステムを想定し,センサとして周辺物体との距離を広範囲で正確に把握できる測域センサ(LiDAR)を用いる.LiDARは最も近い物体しか計測できず,不検出領域が存在するため,複数地点にLiDARを設置し多方向から取得した情報を統合することでLiDARの不検出領域を少なくすることを検討する.また,LiDARの計測データは点群であり,そのままでは動態情報として使用できないため,統合情報を基にしたクラスタリング及びID送受信による移動体のトラッキング,移動の有無に基づいた物体の種別による,動態情報の位置精度を向上させる物体認識手法を提案する.
本研究では,屋内空間に複数のLiDARを設置し,取得した動態情報を各運搬車へブロードキャストすることで各運搬車の自律走行を実現するシステムを想定する.LiDARは最も近い物体しか計測できないため,どのLiDARからも計測不可能な遮蔽空間が存在する可能性があり,遮蔽空間内では運搬車は自己位置と不可視エリア内に存在する他の運搬車の位置の把握ができないため自律走行が不可能となる.そこで,各運搬車が遮蔽空間内では自己位置を推定し,その情報を管理システムにアップロードすることで遮蔽空間内においても各運搬車が互いの位置を把握する手法を提案する.また,推定位置の誤差による影響を抑制することについても検討する.
交通事故防止のために,ミリ波レーダを使用した車外物体識別の需要が高まっている.レーダを用いた方法では,電波を物体に照射し,反射波を解析して得られる物体との相対速度・相対距離・信号強度といった情報に基づいて,教師あり機械学習を用いて識別する.しかし,従来手法では,1サンプル時間ごとに特徴量を抽出しており,抽出した特徴量の時系列的な変化を捉えられない.本稿では,算出した特徴量の時間変化を,時間窓を設定し,その中の平均および分散を算出することで,物体の動きをより正確に捉える手法を提案する.実際に歩行者,自転車,缶,ボールなどを車両前方で横断させた実験を行い,提案法によって識別精度が向上することを確認した.
B-5. 無線通信システムB(無線アクセスネットワーク)
3月19日 9:00〜11:45 52号館 101教室 座長 西村寿彦(北大)
B-5-90 |
BLE信号の多次元観測による屋内位置推定に関する一検討
◎鳥居寛享・衣斐信介・三瓶政一(阪大) |
B-5-91 |
BLEと角度情報を用いた機械学習による屋内位置推定に関する一検討
◎田﨑宏大・衣斐信介・三瓶政一(阪大) |
B-5-92 |
無線センサネットワークにおけるレートレス符号を用いたパケット伝送方式
◎樋田有記・張 裕淵・府川和彦(東工大) |
B-5-93 |
省電力高信頼無線マルチホップネットワークにおける接続管理方式
◎長久保咲絵・佐方 連(東芝) |
B-5-94 |
Clustering of Service Robots Based on Available Radio Resources in Robotic Wireless Networks
○Rui Teng・Shirayuki Araki・Satoru Shimizu・Kazuto Yano・Yoshinori Suzuki(ATR Wave Engineering Labs.) |
近年,位置情報を利用したサービスの需要が拡大している.屋外での位置推定には GPS (Global Positioning System) の利用が一般的であるが,屋内では NLOS (Non Line of Sight) 環境となり推定精度が低下する.そのため,屋内位置推定では,小型かつ省電力で普及率の高い BLE (Bluetooth Low Energy) の RSSI (Received Signal Strength Indicator) を用いた位置推定手法などが提案されている.本稿でもこれを用いてRSSIのフィンガープリントを多クラスSVM (Support Vector Machine) により判別し位置推定を行う.さらにSVMにより得られた時系列の位置情報を事前情報とし,これに対して推定対象の運動モデルに基づくカルマンフィルタを適用することで推定および追跡能力の向上を目指す.以上を市販のBLEドングルを装着した送受信機を用いて屋内位置推定実験により実証する.
近年,位置情報を利用したサービスが拡大している.屋外での位置推定には全球測位衛星システムの利用が一般的であるのに対し,屋内では NLOS (Non Line Of Sight) 環境となり推定精度は低下する.屋内位置推定の一種として,小型で省電力かつ普及率の高い BLE (Bluetooth Low Energy)の RSSI (Received Signal Strength Indicator) を用いたフィンガープリントによる位置推定手法が提案されている.観測した RSSI の分布を解析的にとらえることは困難であることから,本稿では機械学習を用いた試行的手法を利用することで推定を行う.送信機が無指向性であっても,屋内環境では送信機の微妙な位置や向きの違いで RSSI 分布の特性が変化する.また,スマートフォンのような多機能端末にはジャイロセンサも標準搭載されていることが多いことから,本稿では,BLE の RSSI を用いた多数の受信機による大規模観測に加え,ジャイロセンサによる角度情報を利用して,推定精度をより向上させる手法を検討する.
Wireless Sensor Networkは,広範囲な領域に多数の無線センサを配置し,無線センサからの情報を伝送及び収集する通信ネットワークであるが,電力供給困難な場所に配置されるため,省電力化が求められる.
従来のパケット伝送方式では,送信誤りが生じるとNAKを返送しパケット再送を行っていたが,伝搬環境が劣悪な場合には,頻繁に送信誤りが生じるため,再送回数の増加に伴い消費電力が増大するという問題があった.
この問題を解決するため本稿では,再送を行わず,レートレス(LT)符号を適用して誤りに耐性のあるパケット伝送及び収集法を提案する.計算機シミュレーションにより,提案方式のパケット誤り率特性を明らかにする.
近年、インフラの老朽化や自然災害による事故の予防手段として無線センサネットワークが注目されている。本稿では、様々な環境でロバストに活用できるよう、時変動の速さが異なる伝搬路でも適切に無線通信先を管理しセンサネットワークを維持する通信方式を提案する。
An important goal of robotic wireless networks
(RWNs) is to successfully accommodate a number of
robots in resource-constraint wireless networks such as
wireless LANs (WLANs). This paper proposes a clustering
scheme based on available radio resources in order to
increase the number of operatable robots.
休 憩(10:30 再開) 座長 小川将克(上智大)
B-5-95 |
3D Massive MIMO における空間相関を利用した平面分割によるチャネル補間
○栗山真純・大槻知明(慶大) |
B-5-96 |
Low-Complexity MMSE Channel Estimation in Massive MU-MIMO System
◎Yunfeng Deng・Tomoaki Ohtsuki(Keio Univ.) |
B-5-97 |
Massive MIMOにおけるパイロット汚染存在時の学習に基づくチャネル推定法
○廣瀨大輝・大槻知明(慶大) |
B-5-98 |
Massive MIMO におけるノイマン級数を用いた逆行列近似による線形プリコーディング
○石井 龍・Yuwen Cao・大槻知明(慶大) |
B-5-99 |
フィールド試験結果を用いた5G向けビーム制御の評価
◎内野大地・石岡和明・武 啓二郎・岡村 敦(三菱電機) |
Massive MIMO (multiple-input multiple-output) では,その膨大なアンテナ数ゆえ,チャネル推定に利用するパイロット信号や,チャネル状態情報(CSI)のフィードバック量が問題となる.この削減法の一つとして,一部のアンテナからのみパイロット信号を送信し,残りのアンテナのチャネルを,空間相関に基づき補間する手法が存在する.また,補間に必要な計算量を減らすため,平面アンテナ配列全体を線形方向に分割して補間する方法がある.しかし,この方法ではチャネル推定精度がある一定以上に改善されない.本稿では,全体をいくつかの小さい平面に分割して補間する方法を提案する.シミュレーションにより,提案法は分割しない場合に比べアンテナ数の増加に伴う計算量の増加を抑えつつ,線形分割法よりチャネル補間精度が改善することを示す.
Massive multi-user MIMO (MU-MIMO) systems are regarded as a promising technique to satisfy high speed, low delay, and high capacity demand for wireless communications. MU-MIMO system requires accurate channel state information (CSI) to exploit spatial diversity. However, accuracy of CSI is usually degraded by pilot contamination. The MMSE estimation is a good method to mitigate pilot contamination, however, with high computational complexity. In this report, we propose a low-complexity MMSE channel estimation method which restricts the dimensions of long-term channel covariance matrices in MMSE estima-tion and share simulation results.
TDDに基づくMassive MIMOでは, チャネル推定のため, ユーザから基地局にパイロット信号を送信する. パイロット信号の長さはチャネルの時変性に制限され, 直交パイロット信号の数は有限個となる. それゆえ, 近接セルでは共通のパイロット信号が再利用される. そのため, 近接セルからの干渉を受けてチャネル推定精度が劣化するパイロット汚染が生じる. 本稿では, ニューラルネットワークを用いて, パイロット汚染発生時の受信信号に対応する所望チャネルを学習することで, パイロット汚染の影響を低減するチャネル推定法を提案する. 計算機シミュレーションにより, 提案法が従来法と比較してチャネルのMSE特性を改善することを示す.
Massive MIMO では,送信側のチャネル状態情報(CSI) 等を用いてプリコーディングを行うが,その計算量はチャネル数の増加と共に増大する.最適な線形プリコーダの1 つにRegularized Zero Forcing (RZF) があるが,逆行列計算のため計算量が多い.そこで,プリコーディングの計算量削減を目的として,逆行列を行列多項式で近似するTPE (Truncated Polynomial Expansion) が提案されている.しかし,TPE では近似行列多項式の項数が増えると,計算量がRZF 以上に増える問題点がある.本稿では,ノイマン級数(NEU)を用いた逆行列近似を用いて,より少ない計算量で同等のレートを達成できるプリコーディング法を提案する.
5GではDCをサポートしており、Massive MIMOによる狭域ビームを用いるときに、SgNB候補の切替に失敗する場合がある。その解決一手法として複数ビーム利用接続確立方式を提案している。
本発表ではフィールド試験で測定したRSSI値を用いて上述の方式におけるSgNB切替失敗率をシミュレーションにて評価した。
3月19日 13:00〜16:30 52号館 101教室 座長 谷口健太郎(東芝)
B-5-100 |
深層強化学習による画像からのミリ波通信プロアクティブハンドオーバ
◎香田優介・中島功太・山本高至・西尾理志・守倉正博(京大) |
B-5-101 |
Intelligent User Association in mmWave Network
◎Yuva Kumar Sadagopan・Fereidoun H. Panahi・Tomoaki Ohtsuki(Keio Univ.) |
B-5-102 |
帯域内全二重における深層学習を用いた自己干渉除去
◎田齊広太郎・上原秀幸・宮路祐一・小松和暉(豊橋技科大) |
B-5-103 |
USRPによる帯域内全二重におけるディジタルプリディストーションを用いた自己干渉除去
◎Teong Zhe Chua・小松和暉・宮路祐一・上原秀幸(豊橋技科大) |
ミリ波通信における通信路遮蔽への対策として,カメラ画像から抽出される遮蔽者の位置,速度を用いて遮蔽を予測し,事前にハンドオーバ制御を行う,プロアクティブハンドオーバを検討してきた.本研究では,カメラ画像からハンドオーバの意思決定を直接下すフレームワークを提案する.画像には遮蔽者の位置,速度はもちろんのこと,遮蔽者の数,体格などの情報が含まれている.本フレームワークは,制御に必要な情報の抽出からハンドオーバの方策の獲得までを自動的に行える.ハンドオーバの方策の獲得には,画像を制御情報とする他のタスクでの方策獲得に成功している深層強化学習を用いる.2人の遮蔽者が歩行する状況で得たカメラ画像と受信電力に基づく評価において,1人の遮蔽者に対して行った先行研究と同様のスループット特性を示すことで,本フレームワークの実現可能性を示す.
Millimeter-Wave (mmWave) technology has been showing big promise for 5G. However, mmWave frequencies experience large propagation path loss and are very sensitive to blockages like human bodies and buildings. In this report, we propose a Multi Armed Bandit (MAB) based User Association (MBUA) for a typical user equipment (UE) in mmWave networks to reduce the number of blockages experienced by UE. We consider a mmWave network where base stations(BSs) are distributed in the landscape such that each UE will be served by secondary beam once the UE experiences blockage in the initial beam.
帯域内全二重では同一周波数で同時に送受信するため,既存の複信方式と比べ,周波数利用効率の向上が期待される.しかし,端末が自身の送信信号を強い自己干渉と して受信してしまうため,所望信号の復調を困難にする.本研究では,深層学習により送受信機全体の非線形性を考慮した自己干渉除去ができる可能性があると考え,深層学習のみによる自己干渉除去手法と,線形自己干渉キャンセラを組み合わせた自己干渉除去手法の有効性について確認する.
同一周波数で同時に送受信する帯域内全二重は既存の複信方式と比較して周波数利用効率の向上が期待される.しかし,自端末の送信信号が自己干渉として受信され,相手端末からの所望信号の復調を困難にする.自己干渉除去の手法として,線形自己干渉キャンセラがあるが,自己干渉が非線形歪みを有する場合は除去性能が劣化する.
本研究では,USRPで帯域内全二重の端末を構成し,ディジタルプリディストーションを用いて電力増幅器の特性を線形化することによって線形自己干渉キャンセラにおける除去量の改善を図る.
休 憩(14:15 再開) 座長 西本 浩(三菱電機)
B-5-104 |
屋外実環境におけるNOMAと送信BF併用伝送のユーザ選択法の検討
○白澤嘉樹・西森健太郎(新潟大) |
B-5-105 |
FIR型送信ビーム形成と双方向受信等化を適用した広帯域シングルキャリアMIMOシステム
◎栗山圭太・福園隼人・吉岡正文・立田 努(NTT) |
B-5-106 |
複数のUCAを用いたOAM多重伝送においてアンテナ軸ずれがシステム容量に与える影響
◎伊藤有希・齋藤周平・菅沼碩文(早大)・小川賀代(日本女子大)・前原文明(早大) |
B-5-107 |
Efficient Transmit Antenna Grouping for Correlated GSM-MIMO System
◎Yuwen Cao・Tomoaki Ohtsuki(Keio Univ.) |
近年,マルチユーザMIMO技術と基地局アンテナ数を超えたユーザと同時通信する技術を併用し,Successive Interference Canceller (SIC) を用いた非直交多元接続 (Non Orthogonal Multiple Access : NOMA)とZero Forcing (ZF) による指向性形成を併用した多元接続が提案されている.しかしながら,NOMAでは選択したユーザによって通信の成否が決定される.本報告では,屋外実環境のデータを用いてNOMAとZFの併用伝送の性能を評価する.さらに,この併用伝送の成功確率を高めるためのユーザ選択法を新たに提案し,その効果を検証する.
長遅延波環境における広帯域シングルキャリアMIMOシステムでは,シンボル間干渉とストリーム間干渉を抑制する必要がある.これに対し,筆者らはCIR伝達関数行列の逆行列を送信ウェイトとして干渉を抑制するFIR型送信ビーム形成法を提案した.しかしながら,CIR行列の行列式が非最小位相の場合,送信ウェイトのタップ係数が発散する課題があった.
本稿では,CIR行列の逆行列を随伴行列と行列式の逆応答に分離し,それぞれ送信ウェイトと受信等化ウェイトに用いるシングルキャリアMIMOシステムを提案する.提案法では,受信側で双方向等化を行うことで,行列式が非最小位相の場合もタップ係数の発散を回避する.
UCAアンテナによるOAM伝送では,搬送波周波数,アンテナ素子数やアンテナ径といったパラメータにより,送信信号の空間的な電力分布及び位相分布が大きく変化し,通信距離により,受信特性が大きく変動することから,UCAの各種パラメータと通信距離を考慮した通信方式設計は極めて重要である.これまでに,複数のUCA を同心円状に多重させて,アンテナ径に冗長性を与える方式が提案されており,OAM信号の受信特性の安定化に極めて有効と考えられる.本稿では,アンテナ軸ずれといった現実的な条件が複数のUCAを用いたOAM多重伝送のシステム容量に与える影響を,UCA多重数をパラメータにとって取得・評価する.
This report first devises a correlated generalized SM-MIMO (GSM-MIMO) system with transmit antenna groups (TAGs). To alleviate the influence caused by channel correlations, we consider the interleaved grouping that provides an important insight for conceiving the proposed transmit antenna grouping. Finally, Monte-Carlo simulations are conducted to verify the analysis and reveal the performance gain of the proposed scheme.
休 憩(15:30 再開) 座長 石原浩一(NTT)
B-5-108 |
5GHz帯マイクロ波給電と無線LANとの共存に関する検討
○谷口健太郎・パビセティ サントシュ・森 浩樹(東芝) |
B-5-109 |
マルチビームMassive MIMOのための公平性アクセス制御方式
○森野善明・平栗健史・吉野秀明(日本工大)・西森健太郎(新潟大) |
B-5-110 |
マルチセル環境下での逐次干渉除去を用いたALOHAにおけるスループット劣化の影響評価と対策
◎佐野裕大・宮路祐一・上原秀幸(豊橋技科大) |
B-5-111 |
屋内無線ネットワークにおける複数の分断経路を考慮した同期制御方式の拡張
○三宅裕士・青山哲也・武 啓二郎・岡村 敦(三菱電機) |
近年,ケーブルの制約を受けずにメートルオーダで電力を送電可能なマイクロ波給電が注目を集めている.マイクロ波給電は,ITU-Rにおいても標準化に向けた取り組みがなされており,送電用周波数として5GHz帯が候補に挙げられている.5GHz帯を利用することでアンテナ素子を小型化することができ,狭ビーム生成・制御によって高効率な給電が期待できるが,一方で既存の無線LAN(WLAN)との適切な共存が求められる.そこでマイクロ波給電とWLANとの共存方式の検討を行った.
Massive MIMO (Multiple Input Multiple Output)伝送は,次世代無線通信において重要な技術として注目されており,既存のMU (Multi User)-MIMO伝送などと比較して飛躍的な通信速度の向上が期待されている.本研究では,CSI (Channel State Information)推定が不要となるマルチビームMassive MIMOのアクセス制御を考案し,ユーザの公平性を保つ手法の検討を行った.本報告では,ユーザの公平性を考慮した方式において高い伝送効率が得られることを確認したため報告する.
Contention Resolution Diversity Slotted ALOHA
(CRDSA)は,時分割送信される複数の同一パケッ
ト(レプリカ)を逐次干渉除去により受信し,高いス
ループットを達成するメディアアクセス制御である.し
かし,マルチセル環境において,周辺セルからの干渉を
受けると,逐次干渉除去ができずにスループットが低下
することが予期される.
本稿ではCRDSA における評価セルのスループット
を向上させるために,評価
セルの端末数に対する周辺セルの端末数の比に応じ
て評価セルのレプリカ数とフレーム長を制御した.
その結果対策手法を用いてレプリカ数とフレーム長を制御するこ
とで評価セルの端末数に対する周辺セルの端末数の比が0.3 の
ときスループットを1.6 倍向上させることができた.
ローカル無線ネットワークにおいて,無線を用いる無線機間の同期確立手法が検討されている.遮蔽物によって経路が分断すると,無線を活用した同期制御では,各経路で同期誤差が蓄積し,TDMA ベースの無線ネットワークの場合,局間でフレームタイミング差が発生し,干渉の原因となる.
本稿では,3 つに分断した経路において,経路間のフレームタイミング差の縮小する同期制御方式を提案する.
3月22日 9:00〜11:15 52号館 101教室 座長 中村 理(シャープ)
B-5-112 |
RoFを適用したミリ波FWAシステムの提案
○白戸裕史・伊藤耕大・菅 瑞記・後藤和人・俊長秀紀・北 直樹(NTT) |
B-5-113 |
ミリ波RoF-FWAシステムにおけるビームフォーミングのためのファイバ長推定方法
○菅 瑞紀・伊藤耕大・白戸裕史・北 直樹(NTT) |
B-5-114 |
ミリ波RoF-FWAシステムにおける波長固定ビームフォーミング手法の提案と評価
◎伊藤耕大・菅 瑞紀・白戸裕史・北 直樹(NTT) |
B-5-115 |
ミリ波RoF-FWAシステムにおけるスループット特性改善方法
○後藤和人・俊長秀紀・白戸裕史・北 直樹(NTT) |
近年,海外を中心にアンライセンス帯ミリ波を用いた大容量伝送システムを光NW未提供エリアへのインフラ用途(アクセス/エントランス)に用いる検討が行われている.本検討では,ユーザを収容する無線基地局の設置性向上・設備の収容効率向上を図るため,基地局の信号処理機能と送受信機能を分離しRoF(Radio over Fiber)を介して配置する方法を提案する.本稿では,従来の課題とそれに対する提案システムの概要を示す.
ミリ波RoF-FWA (radio over fiber – fixed wireless access) システムでは,BS (base station) の構成を簡易化してCS (central station) でビーム制御を行うことが望ましい.本稿では,BSの各アンテナに入力する波長を固定し,CSで位相制御を行うビームフォーミング手法を提案する.この手法ではファイバ長情報が必要であるが,ひとつのCSに複数のBSが接続されているミリ波RoF-FWAシステムに既存のファイバ長推定方法をそのまま適用することは難しい.そこで,時刻同期によりCSからWT (wireless terminal) が接続するBSまでのファイバ長を推定する方法を提案し,その性能を評価する.
著者らはミリ波RoF-FWA (Radio over Fiber – Fixed Wireless Access) システムを提案している.本システムはミリ波を使用するため,利得確保のためのビームフォーミングが必須となる.RoFにおけるビームフォーミング手法として,波長分散を利用し,波長を調整してRF位相を調整する手法が提案されている.しかし,これらの手法には波長利用効率が悪い,光ファイバの距離情報が必要,BS (Base Station) を制御不要としたときのBS構成が複雑,光ファイバが長い・RF周波数が高いときの波長調整量が小さく高精度化が必要といった課題が存在し,ミリ波RoF-FWAシステムへの適用は困難である.本稿では,上記課題を解決する新たな波長固定ビームフォーミング手法を提案し,その性能評価を行う.
筆者らは,ミリ波RoF-FWA(Radio over Fiber – Fixed Wireless Access)システムを提案している.RoF-FWAシステムでは,光ファイバと無線を介して接続されるCS(Central Station)とWT(Wireless Terminal)間の距離は数km以上離れることがある.この場合,伝搬遅延が増大し,伝送特性が劣化することが問題である.当該問題に対して,増大した伝搬遅延に起因して発生する衝突を回避することで伝送特性を改善する方法は提案されているが,長遅延に伴い発生する無線帯域の空き時間を有効活用することはできない.
そこで本稿では,当該空き時間を有効活用することで,伝送特性を改善する方法を提案し,その性能を評価する.
休 憩(10:15 再開) 座長 大塚裕幸(工学院大)
B-5-116 |
地上放送高度化方式における水平・垂直偏波電界強度測定
○神田正則・宮坂宏明・成清善一(NHK) |
B-5-117 |
地上放送高度化方式における移動受信特性の評価
○宮坂宏明・竹内知明・中村円香・土田健一(NHK) |
B-5-118 |
5Gモバイルフロントホールへの無線適用に関する一検討―遅延波環境における小型アンテナを用いるミリ波無線フロントホールの性能評価―
○黄 俊翔・白戸裕史・黒崎 聡・北 直樹(NTT) |
B-5-119 |
5Gモバイルフロントホールへの無線適用に関する一検討 ~ アンテナ小型化に伴う同一チャネル間干渉の影響 ~
○俊長秀紀・白戸裕史・黄 俊翔・伊藤耕大・後藤和人・北 直樹(NTT) |
NHKでは次世代の地上放送の実現に向けて、地上放送高度化方式を検討している。この中で、より大容量化を実現する手段の一つに水平偏波と垂直偏波を用いる偏波MIMO伝送方式がある。今回、名古屋地区に整備した親局規模の実験試験局から水平・垂直両偏波の電波を同時に発射し、移動受信による電界強度測定を行った。
2018年12月より衛星による4K8K放送が始まり,次世代の地上放送への取り組みが注目されている.これまで筆者らは,現行の地上テレビジョン放送よりも周波数利用効率が高い伝送方式(以下,地上放送高度化方式)の検討を進めてきた.今回,野外実験により,地上放送高度化方式の移動受信特性を評価したので,その結果を報告する.
第5世代移動通信システム(5G)において,都心部の市街地環境にスモールセル基地局を設置する際に,光回線に加え,ミリ波帯の無線装置等も活用することで,フロントホールを効率的に構築することが期待されている.こうした無線装置は設置容易性を確保するため,アンテナの小型化が望ましく,比較的に小型なアレーアンテナ等の利用が想定される.しかしながら,アンテナの小型化に伴い指向性が広がり,ミリ波帯においても環境に起因する遅延波の影響が無視できなくなる.本稿では,10Gbps程度の伝送レートを有するフロントホールインタフェースを想定し,市販ミリ波無線装置と小型アンテナを使用し,アンテナの指向性と設置条件に対して遅延波の影響を実験的に評価し,その適用領域を明確化する.
2020年以降の5G商用サービス開始/拡大を目指した研究開発が急ピッチで進められている.本検討では,フロントホールの集約基地局(CS)―アクセスポイント(AP)間の一部区間を無線化する適用例において,CS配下に複数APを収容する形態を想定して装置・アンテナの小型化に起因する課題について設置条件の一例について検討し,アンテナ半値幅が7~8deg以下であれば,干渉の影響は軽微であることを確認した.
3月22日 13:00〜16:30 52号館 101教室 座長 宮本伸一(和歌山大)
B-5-120 |
無線リソース最適化のための戦略管理アーキテクチャ(WiSMA)における端末通信品質に基づく動的マルチインタフェース制御法
○中平俊朗・アベセカラ ヒランタ・村上友規・石原浩一・林 崇文(NTT) |
B-5-121 |
階層型クラスタリングを用いたIEEE 802.11ax無線LANの協調制御
◎中山章太・河村憲一・若尾佳佑・岸田 朗・山田知之・守山貴庸・鷹取泰司(NTT) |
B-5-122 |
無線LANにおけるダイナミックスペクトラムアクセスのための三次元協調キャリアセンス手法の提案
◎大宮 陸・村上友規・石原浩一・林 崇文・鷹取泰司(NTT) |
B-5-123 |
無線LANスループット改善のためのグラフ畳込みを用いたチャネル選択則の強化学習
◎神矢翔太郎・中島功太・大津一樹・山本高至・西尾理志・守倉正博(京大) |
B-5-124 |
A Q-Learning-based User-to-Multiple Access Point Association Method for Heterogeneous Quality of Service Provision
Thi Ha Ly Dinh・○Megumi Kaneko(NII)・Keisuke Wakao・Hirantha Abeysekera・Yasushi Takatori(NTT) |
B-5-125 |
複数周波数帯同時利用無線LANに対するレート制御手法
○夜船誠致・周東雅之・雨澤泰治・佐藤慎一(モバイルテクノ) |
B-5-126 |
920MHz帯を活用した複数周波数帯同時利用無線LAN試作装置の評価
○周東雅之・夜船誠致・雨澤泰治・佐藤慎一(モバイルテクノ) |
今後増大が見込まれる無線トラヒック,および無線端末を効率的に収容するため,アンライセンス無線システムのさらなる活用が重要となる.筆者らは,自律分散制御と集中制御を組み合わせ,全体最適化を行いつつ環境変動への追従性を高めることでアンライセンス無線の無線リソース利用効率向上を目指した制御方式として,WiSMAを提案している.本稿ではWiSMAを活用し,次世代無線LAN規格802.11ax (以後11ax)で採用予定であるSR (spatial reuse)の効果を引き出すため,AP (access point)のマルチインタフェースに対する動的制御法を提案し,その効果を計算機シミュレーションにより明らかにする.
5G時代のマルチアクセス環境において、筆者らはモバイル回線と連携した制御により、高密度環境下でのシステム容量を増大させる無線LANシステムを提案している.本稿では、IEEE 802.11axを想定し、上りマルチユーザ伝送制御の隣接セル間で階層クラスタリングを用いた協調制御を行い、通信品質を改善する手法を提案する.
モバイル端末の爆発的な普及に従い,モバイルのトラヒック量も増加し続けている.これまで,既存無線局に支障を来さない範囲で空き周波数を再利用することで高速化を実現するコグニティブ無線の検討が進められてきた.本稿では空き周波数再利用技術の無線LANへの適用を検討する.空き周波数の効率的な再利用には広帯域かつ複数方向のキャリアセンスが必要だが,これらを規定時間内に行うのは難しい.そこで本稿では,事前に取得した統計情報から各端末でキャリアセンスを実施する際の周波数チャネルおよび3次元空間の方向を指定し,即座にその結果を共有することで,高効率かつ複数方向の周波数チャネルの空き状況を検出する手法を提案する.
高密度な無線LAN利用環境下においては,効率的な周波数利用を促す無線リソース制御が重要である.特に無線LANのアクセスポイント(AP)は,近傍の同一帯域を用いるAPと時分割的に動作するため,これを考慮したチャネル制御がスループットの改善に有効である.
本稿では,強化学習を用いて,実際の経験をもとに,スループットを改善するチャネル選択則を獲得する方法を検討する.その際,スループットの経験を紐付ける要素として,AP同士のキャリアセンス関係の利用を提案しており,特徴抽出器としてグラフ畳込み層を用いることによって,無線LANに適した学習系の構築を目指している.
With small cell densification and service diversification, smart distributed optimization methods will become ever more important to ensure robustness to dynamic environment changes and to core network failures in future wireless access networks. This paper investigates the issue of user-to-multiple AP association, where a user requiring several applications may be served by several APs simultaneously. The problem is formulated as a network sum-rate maximization subject to the required QoS constraints for each user and application, and AP load constraints. We propose a distributed user-to-multiple AP association method, where each user takes an optimized decision locally, leveraging reinforcement learning techniques. Simulation results show the effectiveness of proposed method.
筆者らはISM 帯の周波数利用効率の向上を目指し,単一端末で複数周波数帯を同時利用する複数周波数帯同時利用無線LAN システムを検討してきた.本システムでは,符号化後のデータを同時利用可能な周波数帯(空きチャネル)に分割・同時送信するため,復号系列に対する誤り検出結果(FCS)でレート制御を行うARF(Auto Rate Fallback)では各周波数帯で最適な変調方式を選択できない.そこで本稿では,既存無線LAN装置との後方互換性を維持しつつ,複数周波数帯に対する変調方式と符号化率の最適な組合せを選択可能なレート制御手法を提案する.
筆者らはISM帯の周波数利用効率の向上を目指し,単一端末で複数の周波数帯を同時利用する無線LANシステムを検討し,周波数帯間の伝搬損失差を有効活用して特性の改善を図ってきた.今回,本技術を搭載した試作装置を開発し,920MHz帯の活用について実証実験により評価した結果について報告する.
休 憩(15:00 再開) 座長 光山和彦(NHK)
B-5-127 |
無線LAN保護のための仮想専用チャネル構築法における飽和スループットの理論解析
◎藤澤健太・宮本伸一(和歌山大) |
B-5-128 |
無線LAN保護のための仮想専用チャネル構築法における媒体予約期間通知領域の動的制御に関する一検討
◎山田健志・藤澤健太・宮本伸一(和歌山大) |
B-5-129 |
Q-Learning Based Concurrent Transmissions for WLANs with Identification of Interfering Transmitters
◎Bo Yin・Koji Yamamoto(Kyoto Univ.)・Hirantha Abeysekera(NTT) |
B-5-130 |
CTS 信号の制御による無線LAN における低遅延通信のための品質改善
○河村憲一・中山章太・若尾佳佑・岸田 朗・山田知之・守山貴庸・鷹取泰司(NTT) |
B-5-131 |
複数無線基地局同時制御による無線LAN稠密環境下での低遅延サービス収容に向けた品質改善
◎若尾佳佑・中山章太・山田知之・岸田 朗・河村憲一・守山貴庸・鷹取泰司(NTT) |
B-5-132 |
フレーム間LDPCによる複数APからの無線LANブロードキャスト通信の高信頼化技術
○篠原笑子・井上保彦・林 崇文(NTT) |
不特定多数のBSS(Basic Service Set)が同一周波数チャネルを共有する無線LANでは,個々のBSSの伝送性能を保証することはできない.この問題に対し,我々は,比較的広域なプライベート空間を対象とし,空間内に分散配置した端末から外来者が運用するBSSに対して媒体予約期間を周期的に通知することで,空間所有者専用チャネルを仮想的に構築する手法を提案した.本稿では,媒体予約期間を通知するNAVフレーム送信電力の設計指針の確立を目的として,NAVフレーム送信電力と飽和スループットの関係の理論解析を行う.
不特定多数のBSS (Basic Service Set) で周波数資源を共用する無線LANでは,個々のBSSの伝送性能を保証することは不可能である.この問題に対し,これまで我々は,比較的広域なプライベート空間を対象とし,エリアオーナによって設置された端末(守衛端末)から継続的に媒体予約期間を報知することで,外来者のBSS(外来BSS)の割り込みを排除する仮想専用チャネル構築法を提案した.本稿では,仮想専用チャネル構築法を導入した場合の周波数資源の有効利用を目的として,エリアオーナが運用するBSSの位置に応じて媒体予約期間を通知する領域を動的に制御する手法を提案し,その有効性を明らかにする.
An efficient way of improving spatial channel reuse in dense wireless local area networks (WLANs) is facilitating concurrent transmissions among overlapping basic service sets (OBSSs), i.e., co-located WLANs that operate in the same frequency channel. In this work, we propose a Q-learning based concurrent transmissions for WLANs, where a transmitter identifies the interfering transmitter before exploiting concurrent transmissions.
第5世代移動通信(5G)の特徴の1つは低遅延性であり、5G時代にはIoT用途を中心に低遅延な無線サービスが拡大することが予想され、無線LANに代表される自律的な無線アクセスにおいても、低遅延・低ジッタな品質を必要とする用途への要望が拡大することが予想される。しかしながら、無線LANの通信品質は、環境によっては周囲からの干渉等により安定しない点が課題である。本稿では、周囲の無線LANからの干渉をCTS(Clear to Send)信号の送信により抑制することで、保護すべき通信を優先制御する方式を提案し、遅延の改善効果を評価した結果を報告する。
近年, VRなどのサービスの普及につき, 無線LANにも低遅延通信収容の需要が高まっている. 無線LANの低遅延通信収容においては, 複雑な無線干渉環境の中で, 従来の非低遅延通信の帯域を犠牲にし過ぎることなくいかに低遅延通信の輻輳を回避するかが重要となる. 本発表では, 制御サーバーによるEDCAパラメータの集中制御により, 低遅延/非低遅延通信共存を指向した無線LANシステムを提案する.
多数の無線LAN端末向けに同報的な通信を可能にする新たな通信規格の策定のためIEEE 802.11ではTGbcが設立された.BCSではAPとSTAとの間で接続処理を実行しないで無線フレームを受信させることから、大多数のSTAが宛先となる場合にユニキャストと比較して無線リソースを非常に高効率で使用できると考えられる.しかしながら,ブロードキャストはユニキャストが使用する応答フレームを使用しないため,ユニキャストと比較して通信の信頼性が低くなってしまうことが課題となっている.本稿では,複数APからのブロードキャスト通信時に欠損したフレームを補償する技術としてフレーム間LDPCを採用し,その効果を理論計算により明確にする.
B-6. ネットワークシステム
3月19日 9:00〜11:45 52号館 202教室 座長 宮坂昌宏(NTT西日本)
B-6-1 |
MECサーバの地理的階層を考慮した仮想リージョンの提案
◎小野孝太郎・石橋亮太・中原悠希・桑原 健(NTT) |
B-6-2 |
デバイスのサービス有効度を用いた最適配置選択方式
◎片岡 操・野口博史・磯田卓万・山登庸次(NTT) |
B-6-3 |
IoTデバイスのデータ処理におけるネットワーク上のリソース最適配置の提案
◎磯田卓万・野口博史・片岡 操・山登庸次(NTT) |
B-6-4 |
物理CPUへの効率的なVM配置についての一考察
○木村紗也佳・山下誉幸・三好淳平・桶田雄紀・黒川 悟・加藤英司(ドコモ・テクノロジ) |
B-6-5 |
サーバ移動サービスにおける最小支配集合を用いたワークプレース容量設計法の性能改善
◎伊藤嵩真・福島行信(岡山大)・村瀬 勉(名大)・横平徳美(岡山大) |
マルチアクセスエッジコンピューティング(MEC)環境では,端末に近接配置されたサーバ(MECサーバ)により,低遅延/大容量通信が要求されるようなMEC特有のサービス(MECサービス)が提供される.本稿では,MECサービスの要件充足とリソースの効率的な利用を両立するために,地理的に階層構造をとるMECサーバのリージョンとして,MECサーバやネットワーク(NW)といったNW事業者のリソース状況を考慮してMECサービスの要件毎に設定される可変の仮想リージョンを提案し,MECサービス提供者がMECサーバのリージョンを直接指定する方法とNW事業者が定義する仮想リージョンを指定する方法について,MECサービスの要件充足とリソースの効率的な利用の両立の観点で定性的に比較評価した.
ネットワーク上に点在する多数のデバイスをサービスに関わらず利用できるOpen IoTの将来では、NW上のどのマシンでデバイスデータを処理するアプリケーションを実行するかだけではなく、サービスに有効な意味データを持つデバイスの選択もトラヒックやサービスにかかる時間に大きな影響を与える。本稿では、サービス達成時間およびTR量の削減を目的に、あるデバイスのあるサービスにとってのデバイスデータ有効度合(以下サービス有効度)を用いた、デバイスとAPL実行マシンの組み合わせを求める方式を提案する。
現状のIoTサービスはサービス利用者の所有するIoTデバイスからデータを取得し, クラウドサーバでデータ収集・解析を行なっている. 将来, 多様なIoTサービスを低コストで開発, 運用するには, IoTデバイスとサービスを分離し, 水平分離的に相互利用できることが必要になる. しかしながら, 相互利用による通信トラヒックの増大が懸念される. 通信トラヒックの低減に向けて, IoTデバイスの全てのデータをクラウドサーバで処理するのではなく, IoTデバイスとネットワーク上の距離が近いサーバで処理させることが求められる. 本稿は, IoTデバイスからのデータを処理するアプリをネットワーク上に分散されたリソースに最適配置する手法を提案する.
移動体通信分野では仮想化システムへの移行が進んでいる.仮想化のメリットとして,専用ハードで実現していたシステム構成を汎用サーバで実現する事によるCAPEXの低減が挙げられる. そこで,汎用サーバ上へ効率的にVMを配置することによって,CAPEXを低減させることを目指し,物理CPUへの効率的なVM配置条件を考察した.
IaaS型クラウドサービスで稼働するネットワークアプリケーション(NW-App)の通信品質を改善するためにサーバ移動サービスが提案されている.このサービスではNW-Appのサーバが稼働できる計算機(WP)がネットワーク(NW)内に分散配置されており,サーバはより良い通信品質が得られるWPへ移動できる. サーバ移動サービスプロバイダの経済性を高めるためには,NW内の各WPに割り当てられるリソース量を必要最小限に抑えつつ,NW-Appに対して良好な通信品質を提供することが重要である. 本研究では,最小支配集合問題に帰着して解く従来法に対して,配置されるWPの間でのサーバの移動可能性を考慮するように拡張を施すことにより,その性能改善を図る.
休 憩(10:30 再開) 座長 谷田直輝(日立)
B-6-6 |
FPGAを活用したSPPのスケール性拡張検証
○大谷育生・赤松雄貴・堀米紀貴(NTT) |
B-6-7 |
P4を用いた複数ルーティング構成法の実装に関する検討
○橘 拓至(福井大)・平田孝志(関西大) |
B-6-8 |
P4による複数ルーティング構成法の実装評価
○平田孝志(関西大)・橘 拓至(福井大) |
B-6-9 |
VNFインスタンス移行時のフロー転送断時間制御方法
○杉園幸司・河野伸也・岡田昭宏(NTT) |
B-6-10 |
仮想スイッチにおけるRSS利用の課題についての一考察
○澤崎文彦・荒岡 誠(NTT) |
DPDK(Data Plane Development Kit)を用いて高速に物理NIC・VM間やVM・VM間を接続するSPP(Soft Patch Panel)に関して、FPGA(Field Programmable Gate Array)を活用してスケール性を向上する検討を行っている。
本稿では先行研究の方式検討結果に基づき、Layer-2振分け機能を含むFPGA内機能の実装を行い、FPGA搭載NICを2つ用いて性能検証を行った結果について述べる。
通信ネットワークの高速障害復旧を実現するために,予備のルーティング構成を事前に用意する複数ルーティング構成法(Multiple Routing Configurations: MRC)が提案されている.本構成法では,障害が発生すると障害発生箇所を使用しないルーティング構成に切り替えることで,高速な障害復旧を実現する.本稿では,複数ルーティング構成法の新たな実現例として,ネットワーク機器のデータプレーンプログラミングが可能なP4を用いた実装について検討する.実装結果から,P4によって予備ルーティング構成の切り替えを実現できることが示された.
通信ネットワークにおいて高い可用性を提供するためには,障害発生時において迅速な障害復旧が必要である.このような通信ネットワークの高速障害復旧を実現するために,これまでに複数ルーティング構成法(Multiple Routing Configurations: MRC)が提案されている.本稿では,Software-Defined Networking(SDN)においてネットワーク機器のデータプレーンのプログラミングを可能とする言語であるP4を用いて,このMRCをMininet上に実装し,その検証を行う.
データ完全同期による仮想化ネットワーク機能実行ソフトウェア(VNFI) サーバ間移行方式では, VNFIのデータ更新によるサーバ間データ不整合状態継続解消のためVNFIを停止する.停止中の転送データ量削減が可能な場合,VNFI 停止時間を短縮できる.移行VNFI が大容量トラヒックを処理する場合, 既存転送技術を用いたVNFI停止時間短縮が困難になり, フローの要求転送断時間を実現できない状況が生じる.
本稿では,VNFI 同期用帯域によるVNFI 停止時間短縮が可能な量までVNFI 入力トラヒックを制限し, 転送断時間短縮要求フローを優先的に処理することで, 要求フロー転送断時間を実現する手法を提案する.
DPDKとRSS(Receive Side Scaling)と呼ばれるハードウェアアクセラレーション技術を組み合わせて数百Gbpsクラスのスループットを出した仮想スイッチが報告されている。一方、データセンタで頻出するネットワーク設計パターンにおいてRSSとVXLAN等レイヤ3をアンダーレイとする仮想ネットワークの組み合わせはスケールしない課題がある。本稿は左記課題と対応策について検討した結果を述べる。
3月19日 13:00〜17:00 52号館 202教室 座長 中平佳裕(OKI)
B-6-11 |
BGP Flowspec および VRF を用いたサービスチェイニング方式の一検討
○西岡孟朗・井上里美・大澤 浩(NTT) |
B-6-12 |
BGP Flowspec および VRF を用いたサービスチェイニング実現方式における,導通確認試験方式
◎三好勇樹・工藤伊知郎・大澤 浩・西岡孟朗・鈴木裕志・林 裕平(NTT) |
B-6-13 |
Segment RoutingとBGP flowspecを用いた5GネットワークスライスにおけるTraffic Engineering手法の提案
◎宮坂拓也・北原 武(KDDI総合研究所)・丹羽朝信・熊木健二(KDDI) |
B-6-14 |
複数サービスチェインに対するモデル予測制御を用いたVNFインスタンス管理法
○熊崎雅哉・橘 拓至(福井大)・小蔵正輝(奈良先端大) |
B-6-15 |
サービスチェイニングにおける要求使用率とパス帯域の関係
○山崎裕史・本間俊介・杉園幸司(NTT) |
近年,複数のサービスファンクション (SF) 間でトラヒックを柔軟に転送し,多様なネットワークサービスを実現するサービスチェイニング技術の検討が行われている.本稿では,BGP FlowspecおよびVirtual Routing and Forwarding (VRF) 機能を用いたサービスチェイニングの実現方式を提案し,従来方式との定性的な比較評価を行う.
近年,複数のサービスファンクション (SF) 間でトラヒックを柔軟に転送し,多様なネットワークサービスを実現するサービスチェイニング(SC)技術の検討が行われている[1].我々はBGP Flowspec および Virtual Routing and Forwarding (VRF) 機能を用いたSCの実現方式を提案してきたが,本稿では,上記SC実現方式における導通確認試験においての方式を提案し,考察と評価を実施した.
3GPPにおいて標準化が進められている次世代移動体通信規格(5G)では,Network Slice (NS)を用いることで通信要求の異なる複数のサービスを同一の物理ネットワークに収容可能となる.しかしながら3GPP標準規格では5Gノード間のIPトランスポートネットワークにおいて,各NSの通信要求を保証するための機構は規定されていない.
本稿では,現状の5Gの標準規格を変更せずに,Segment RoutingとBGP flowspecを用い, 5Gのユーザプレーンを構築する5Gノード間のIPトランスポートネットワークにおいて,NSの通信要求を満たすTraffic Engineering (TE)を実現する手法を提案する.
複数のVNFを適切な順序で使用するサービスチェイニングの研究開発が盛んに行われている.ここで,VNFのデータ処理能力はVNFインスタンス数に依存するため.トラヒックの変動に応じて適切にVNFインスタンス数を管理する必要がある.しかし,VNFインスタンスの増減には時間ががかるため,トラヒックが急増した場合にはデータの棄却が発生する可能性がある.そこで本稿では,複数サービスチェインに対するモデル予測制御に基づくVNF管理法を提案する.数値例から,モデル予測制御を用いて将来のバッファの状態を予測してVNFインスタンス数を管理することで,データの棄却を抑制できることが分かった.
サービスチェイニングにおいて、これまでに提案した方法によりパス帯域を決めた場合に、要求するリソース使用率とパス帯域の関係について評価した結果について報告する。
休 憩(14:30 再開) 座長 山垣則夫(NEC)
B-6-16 |
小型自立移動式災害対策支援ユニットにおける通信システムの構築
◎田島氷河・鈴木浩平・水野 修(工学院大) |
B-6-17 |
D2D型SNSにおけるカスケード障害を低減する自律分散制御法
◎横井花深・橘 拓至(福井大) |
B-6-18 |
大規模ネットワーク故障時のネットワーク縮退化に着目した復旧順序決定法
◎笹生孔太・源田浩一(日大) |
B-6-19 |
仮想環境における部分バックアップとリストア方式に関する検討
○朱 瑋・三原孝太郎・木村伸宏(NTT) |
B-6-20 |
多装置ネットワークのソフトウェア更新スケジューリング手法
○中務諭士・高橋 賢・吉岡弘高(NTT) |
大規模な都市災害時において,災害対策本部からユーザに対して,災害情報の収集・配信が必要である.そこで,自立移動式災害対策支援ユニット(D-ZEV:Disaster-robust Zero Energy Vehicle)およびD-ZEV miniを開発している.本研究では,D-ZEV miniに車載する通信システムとして,DTN機能を実装した無線LANアクセスポイントを構築した.また,通信システムの実験を行い,送信する適切なデータサイズを決定した.実験結果より,10~20MBのデータサイズを送信することで,通信システムを有効に使用できることを確認した.
Device-to-device (D2D) 型ソーシャルネットワークサービス(D2D 型SNS) は,D2D 通信を行う物理網とユーザが交流するソーシャルネットワークで構成され,両階層の接続状況に応じてデータ通信が行われる.このような2 階層構造のデータ通信では,一方の階層で発生した障害がもう一方の階層にも影響し,障害が連鎖して大規模化するカスケード障害が発生する.本稿では,D2D 型SNS に対して,カスケード障害を低減する自律分散制御法を検討する.提案法では,ソーシャルネットワーク内のユーザに対して新たな交友関係を自律分散的に追加する.また,提案法の性能を数値シミュレーションで評価する.数値例において,自律分散制御を適用することで,カスケード障害に強いD2D 型SNS を運用できることを示す.
大規模なネットワーク故障が発生した際にネットワークを効率的に回復するためには,設備の復旧順序が重要である.しかし,大規模ネットワークの復旧順序決定には多大な時間を要する.本検討では,ネットワーク規模を縮退することで,大規模ネットワークの故障においても適切な復旧順序を現実的な時間で決定する方法を提案する.
大規模電話系システムに適用する基幹系SIPサーバは従来,専用サーバによって構成されてきたが,仮想化技術の普及により将来は汎用サーバ上に構成されると考える.また,激甚災害に対応するために,二重化激甚構成や現用局から遠隔の激甚局へ定期的にバックアップファイルを転送する方式を採用している.本研究では,仮想環境でバックアップサイズや転送量,リストア時間を減少できる効率的な部分バックアップとリストア方式を検討する.
ネットワークを構成する装置について、新プロトコル対応やバグ改修のためにソフトウェア更新作業が必要になった際、特段のポリシを設定せずに更新処理を行う装置を選択するのではなく、必要な信頼性要件を満足しながら更新する装置を選択してスケジューリングする手法について提案する.
休 憩(16:00 再開) 座長 上 豊樹(パナソニック)
B-6-21 |
パーソナルデータ流通基盤の検討
○須加純一・小倉孝夫・光延秀樹・伊藤 章(富士通研) |
B-6-22 |
クラウドネイティブ型ネットワーク機能アーキテクチャの検討
○篠原健太・堀米紀貴(NTT) |
B-6-23 |
5GC サービスベースインターフェース実装に関する一検討
○野島大輔・池田憲宏・山田 曉・岩科 滋(NTTドコモ) |
B-6-24 |
仮想環境における再開方式に関する一考察
◎戸田貴都・三原孝太郎・木村伸宏(NTT) |
情報銀行や PDS(Personal Data Store)といった個人のパーソナルデータを管理し,個人の同意の上,第三者の事業者(利用者)にパーソナルデータを提供する仕組みの構築が進んでいる.現在検討されている情報銀行は,パーソナルデータを,個人の同意を得た上で,集約して管理し,利用者に提供する形態をとっている.本形態では,パーソナルデータ管理のために,大容量のストレージが必要なだけでなく,最新データへの更新の対応といった運用のコストも大きい.そこで,筆者らは,現状の情報銀行の形態をベースに,各種パーソナルデータの特性から,情報銀行に集約するデータの管理と,保有者の拠点にデータ本体を残し,そのデータ本体の概要を示すメタデータのみの管理を行うハイブリッドな形態での基盤を提案する.
ネットワーク機能の仮想化がNFV を中心に進められている.NFV のアーキテクチャは図1 に示す通り,VNF,NFVI,VNFM,VIM といった機能部が定義さ
れている.一方で,クラウドネイティブとよばれる技術革新がWeb 系の領域を中心に進められている.それに伴い,NFVのアーキテクチャには状況の変化に対応できていない点が出てきているため,本稿では,クラウドネイティブなネットワーク機能アーキテクチャの在り方について検討する.
3GPP では,5G時代の多種多様なサービスの実現に向けて,5G Core Network (5GC)をRelease 15仕様として策定した.サービスを迅速かつ柔軟に提供するために,5GCのControl-Planeにマイクロサービスアーキテクチャを適用したサービスベースアーキテク
チャ(SBA)が採用されており,Network Function (NF)間ではサービスベースインターフェース(SBI)と呼ばれるインターフェースを介して接続される.本稿では,OpenAPI Generatorを活用したSBIの実装方法について述べる.
現在の通信システムにおいては,サービス提供の信頼性確保のためのACT/SBY構成によるサーバ二重化に加え,故障検知時の自動復旧機能では故障の影響範囲の局所化および復旧にかかる時間短縮のために再開範囲を少しずつ拡大するエスカレーションの機構を取り入れている等の工夫をしている.また近年,通信システムの低コスト化を目的として,IAサーバを用いた仮想環境への移行が提案されており,これによってハードウェア(HW)そのものに加え維持管理コストの低減が期待される.本稿では,コスト面だけでなくサービス提供の面からも,仮想化の活用によって現行のシステムから更に信頼性を高める方式を提案する.
3月19日 9:00〜11:45 52号館 204教室 座長 松井健一(NTT)
B-6-25 |
通信系伝送装置における音声系障害検出方式の検討
○金光卓生・佐藤教之(NTT) |
B-6-26 |
通信系伝送装置における音声系障害時機能停止の検討
○佐藤教之・金光卓生(NTT) |
B-6-27 |
Streaming Telemetry対応光アクセス装置の検討
○片山久嗣・井上 徹(住友電工) |
B-6-28 |
ENUMを利用した特定番号への輻輳制御方式の提案
○杉本 駿・清水 宏(NTT) |
B-6-29 |
キャッシュを利用したOpenFlow通信の高速化
◎祐野雅範・三輪 忍・八巻隼人・本多弘樹(電通大) |
デジタル処理を行うエコーキャンセル機能を持つ通信系伝送装置において、装置内での演算処理誤りによる雑音等の音声系障害の発生時に音声データのみが異常となった場合は、エコーキャンセル機能の動作特性から異常の検出が難しく、障害が継続してしまう懸念がある。今回提案する障害検出方式を採用することで、エコーキャンセルを含む音声処理前後での音声データの変化によらず該当の通話チャネルの正常性の確認が可能となる。
デジタル処理を行うエコーキャンセル機能を持つ通信系伝送装置において、装置内での演算処理誤りによる雑音等の音声系障害の発生時に音声データのみが異常となった場合は、エコーキャンセル機能の動作特性から異常の検出が難しく、障害が継続してしまう懸念がある。今回提案する障害検出方式を採用することで、異常の検出のみでなく装置の機能停止が可能となる。
ネットワーク機器の管理プロトコルとして従来からのSNMPやNETCONFが存在している。
これらは管理システムから機器情報のデータモデルに対する要求を発行し、その応答を受信することで情報取得を行う。
一方、機器から管理システムへ定期的に情報発信するStreaming Telemetry技術(以下、Telemetryと略)が昨今注目されており、機器情報をリアルタイムに収集し、状態変化に応じた自律的機器制御を実現する要素として期待されている。
本報告では、光アクセス装置へTelemetryを導入し、従来方式との性能比較、及びTelemetry方式の考察を行う。
通信事業者間のIP相互接続後の接続構成において、新しく導入されるENUMサーバを利用し、企画型輻輳に対する輻輳制御方式を提案し、提案方式による効果を評価する。
クラウドサービスの登場、サーバ仮想化、携帯端末とコンテンツの爆発的増加などの要因により、ネットワーク業界ではSDN (Software Defined Network) が注目されている。
SDNの代表的なプロトコルであるOpenFlowでは、従来のネットワークスイッチの管理・制御処理をOpenFlowコントローラが、転送処理をOpenFlowスイッチが行うことで、ネットワークを一元的に管理・制御できる。
OpenFlowスイッチにおいてパケット転送時に行われるテーブル検索処理が性能上のボトルネックとなっていることから、本研究ではその性能を改善する。
休 憩(10:30 再開) 座長 藤橋卓也(愛媛大)
B-6-30 |
低レートDoS検知に有効なL3,L4ヘッダ内の重要変数の検討
◎林 裕平(NTT)・鈴木彦文(信州大)・西岡孟朗(NTT) |
B-6-31 |
制御ネットワークシステムにおけるフレーム認証に関する演算負荷削減方法の一検討
◎井川昂輝・坂上太一・遠山 治・伊東輝顕(三菱電機) |
B-6-32 |
DNSトンネリング経由標的型攻撃に対するキャッシュヒット率を用いた検知手法の検討
◎石倉直武(阪府大)・近藤大嗣(Univ. of Lorraine)・戸出英樹(阪府大) |
B-6-33 |
ブロックチェーン上のスパムメッセージの分析
◎清野隼史・後藤滋樹(早大) |
B-6-34 |
災害時における認証されていないノードの信頼管理に関する一考察
○クルボノヴ ウルグベク・小泉佑揮・長谷川 亨(阪大)・西垣正勝・大木哲史(静岡大)・河辺義信(愛知工業大) |
近年,HTTP FloodやSlow DoS等の,低いレートでもWebサーバをサービス不能にできる攻撃が脅威となっている.これら攻撃は,ルータの従来の情報取得技術であるNetFlowがパケットサンプリングを伴うため,ルータを用いた網での検知が困難だった.一方,ルータからパケットのL3,L4ヘッダ(以降,ヘッダと呼ぶ)の一部をサンプリング無しで容易に送出することが期待できる技術が昨今現れ始めている.本稿では,ヘッダ情報から算出可能かつ低レートDoS検知が可能な特徴量計算法の確立に向け,検知におけるヘッダ内の重要変数の選定とその考察を行う.
制御システムにおけるマスタ・スレーブ間の通信では,産業用Ethernet上の通信プロトコルの導入が進んでいるが,通信フレームのセキュリティに関しては規定されていない場合が多い.通信フレームのセキュリティ対策の1つとして,成りすましや改竄の防止を目的としたメッセージ認証符号の導入が挙げられるが,演算負荷の増大が課題となる.
本稿では,制御システムで一般に用いられる,マスタとN個のスレーブがライン接続されたネットワーク構成において,通信フレームにメッセージ認証符号を導入した場合を想定し,その際に生じる演算負荷を削減する手法を検討する.
標的型攻撃による情報漏洩は,セキュリティ脅威の一つとして恐れられている.また,多くの企業はDNSプロトコルの利用制限を行っていないため,DNSトンネリング経由の標的型攻撃が近年確認されてきている.本研究では,従来にない新たな視点として,一般的なクライアントアプリケーションに基づく正常DNSトラヒックとDNSトンネリングに基づく異常DNSトラヒックのキャッシュ特性の違いに注目し,キャッシュヒット率の時系列データからDNSトンネリングの検知を目指す.
Bitcoin以降に登場した仮想通貨には,送金取引だけではなく,スマートコントラクトの機能を持つものが存在し,メッセージのやりとりなどにも利用されている.スマートコントラクトによるメッセージのやり取りがメジャーになるにつれて,メールやSNSと同様にスパムメッセージが現れるようになった.これに対して,現状では主要な仮想通貨においてスパムフィルタのような機能が存在しない.また,現在までブロックチェーン上におけるスパムメッセージの実態調査は行われておらず,どれぐらいの数のスパムメッセージが存在しているのかも未知数である.本研究ではブロックチェーンに汎用的に適用できるスパムメッセージ判別法を提案し,提案手法を用いてNEMにおけるスパムメッセージの分析を行う.
災害時に災害救援組織は、正確な情報を収集する必要であるが、信頼性が不明なボランティアや被災者からSocial Networking Service (SNS) を用いて発信された情報を、そのまま利用することは望ましくない。これに対して、本稿では、これらのメンバが協力して、信頼性の高いボランティアや被災者からのメッセージだけを災害救援組織に送信するフレームワークを提案する。
3月20日 9:30〜11:30 52号館 202教室 座長 小島英春(阪大)
B-6-35 |
ETSI ISG ENIの活動状況と今後の展開に向けて
○桐葉佳明・中尾彰宏(東大) |
B-6-36 |
機械学習を用いたP2PTVトラヒックの分類
◎林 晃司・三好 匠(芝浦工大) |
B-6-37 |
機械学習を用いたP2PTVトラヒックの時系列分析
◎大岡里奈・林 晃司・三好 匠・山崎 託(芝浦工大) |
B-6-38 |
通信分析と機械学習によるデバイス識別手法に関する検討
○野口博史・片岡 操・磯田卓万・山登庸次(NTT) |
人工知能 (AI)や機械学習 (ML)を用いた情報通信ネットワ ーク制御・管理技術に関して、欧州の電気通信標準化機構である ETSIのISG (Industry Specification Group)にて、議論が進められている ENI(Experiential Networked Intelligence)の最新の活動状況と、今後の展開課題に関して報告する。
近年,動画利用者数の増加に伴い,P2P(Peer-to-peer)方式の映像配信サービス(P2PTV)が注目されている.P2PTVではコンテンツごとにピア数やスループットが大きく変動するため,トラヒックの制御が困難である.そこで,ピア数とスループットに着目してP2PTVトラヒックを分類し,モデル化する手法が提案されている.しかし,これらの手法では分析者の主観によってトラヒックを分類しており,分類の基準が曖昧である.本稿では,特徴量に基づいてデータを分類するクラスタリングによって,P2PTVトラヒックの分類を行う手法を検討した.また,約400本のP2PTVトラヒックを用いて分類を行った結果,4つのクラスタに分類されることが分かった.
近年,ユーザ端末(ピア)間で直接通信する P2P(Peer-topeer)方式を利用した動画配信サービス(P2PTV)が注目され ている.P2PTV ユーザの参加・離脱は変動するため,動画視聴 中にトラヒックが変化する可能性がある.P2PTV のネットワー ク品質を維持するためには,トラヒック特性の分析が重要な課題 である.本稿では,機械学習を用いて P2PTV トラヒック特性の 変動に対応できる時系列分類手法について検討する.
今日,IoT(Internet of Things)が急速に拡大を続けており,ネットワーク管理者には,多様多数のデバイスの性質や状態を把握して適切かつ安全に管理することが求められている.我々は,これまでに多種多様なデバイスの種類や個体を識別して自動で管理する手法を提案した.本稿は,先行研究における通信データの特徴量化処理と,特徴量を用いた類似性算出処理への改善を提案し,ネットワークカメラを用いた実験により識別正解率向上への効果を示した.
休 憩(10:45 再開) 座長 國頭吾郎(NTTドコモ)
B-6-39 |
ネットワークデータへの次元圧縮手法の適用に関する一考察
○仲川宜秀・風戸雄太・中谷裕一(NTT) |
B-6-40 |
取引履歴の解析に基づくダークマーケットの所有するBitcoinアドレス識別
○金村晃太・豊田健太郎・大槻知明(慶大) |
B-6-41 |
ネットワーク予約サービスにおける機械学習による予約受付判定法
◎伊豆田昂彦・源田浩一(日大) |
昨今、ネットワーク分析やセキュリティ分析にて、ネットワークデータ(以下、NWデータ)を用いて機械学習を行う事例が増えている。しかしNWデータの特徴量が膨大になると、学習に大量のリソースが必要となり、計算時間も増大する。その解決策の1つとして、次元圧縮手法を用いて、事前に特徴量を削減する方法がある。本論文では複数の次元圧縮手法をNWデータに適用し、その有用性について考察する。
Bitcoinは,銀行の口座番号に相当するBitcoinアドレス間で送金を行う仮想通貨の一つであるが,その匿名性ゆえに,違法薬物や武器を扱うダークマーケット (DNM: Darknet Market) の決済手段に用いられている.本稿では,科学捜査の観点から,未知のDNM運営者によって所有されるBitcoinアドレスの識別手法を提案する.一般に,DNMは複数のBitcoinアドレスを所有しており,それらの取引の特徴は類似していると考えられる.提案法では,識別対象のBitcoinアドレスから,同一ユーザによって所有される複数のBitcoinアドレスを推定する手法であるアドレスクラスタリングを用いる.同一ユーザが所有する複数のBitcoinアドレス毎に送受金額,送受頻度といった特徴量を抽出し,それぞれ教師あり分類器を用いてラベル付けし,最も多く分類されたラベルを分類結果とする.複数のBitcoinアドレスの分類結果を利用するため,従来法と比較して高い精度で識別できる.提案法の有効性を実データを用いたシミュレーションにより示す.
ネットワークをホテル予約のように利用者が使いたいときに使いたい分だけ予約できるサービス(NW予約サービスと呼ぶ)はさらなる普及が期待されている.NW予約サービスでは予約受付率の向上と素早いレスポンスタイムが求められる.本稿では,高速なレスポンスとリクエストされた時間での受付率向上を可能とする機械学習による予約判定方法を提案し,一次評価を通しその有効性を確認した.
3月20日 13:00〜16:30 52号館 202教室 座長 高野知佐(広島市立大)
B-6-42 |
IoTワイヤレス機器に対する広域ネットワークスキャン技術の研究 ---全体概要---
○鈴木義規・矢野一人・江頭直人・栗原拓哉・清水 聡・阿野 進・中村 徹・大槻弘幸・坂野寿和(ATR)・川本雄一・加藤 寧(東北大)・和氣弘明(NTT-AT) |
B-6-43 |
IoTワイヤレス機器に対する広域ネットワークスキャン技術の研究 ‐無線通信量・消費リソース量削減技術‐
○矢野一人・江頭直人・栗原拓哉・清水 聡・鈴木義規(ATR) |
B-6-44 |
IoTワイヤレス機器に対する広域ネットワークスキャン技術の研究―無線端末属性把握技術と予備実験―
○江頭直人・矢野一人・栗原拓哉・清水 聡・鈴木義規(ATR) |
B-6-45 |
IoTワイヤレス機器に対する広域ネットワークスキャン技術の研究‐無線LANを対象としたネットワークスキャンによる通常通信スループットへの影響の評価‐
○橋田紘明・川本雄一・加藤 寧(東北大) |
B-6-46 |
IoTワイヤレス機器に対する広域ネットワークスキャン技術の研究―スキャン制御フレームワーク―
○栗原拓哉・江頭直人・矢野一人・鈴木義規(ATR) |
B-6-47 |
IoTワイヤレス機器に対する広域ネットワークスキャン技術の研究―通信量削減に向けたスキャン頻度/スキャンポート最適化技術―
○大崎光洋・石岡 裕・和氣弘明(NTT-AT) |
近年,IoT(Internet of Things)機器の数は著しい増加傾向にあり,2017年に世界で流通しているIoT機器の数は約275億台に及び,2020年までに403億台まで増加すると予想されている.一方,既に流通しているIoT機器においては脆弱なものも数多く存在し,IoT機器の脆弱性を狙ったサイバー攻撃が急増,DDoS攻撃により大量の不正通信が発生した例もある.そのようなサイバー攻撃に対する対策として,広域ネットワークスキャン(以下,NWスキャン)技術を用いて,サイバー攻撃の標的となる脆弱なIoT機器を特定し,対策を講じる手段が有効と考えられる.一方,今後増加が容易に予想される無線接続されるIoT機器(以下,IoTワイヤレス機器)に対して,既存のNWスキャン技術をそのまま適用すると,大量の無線通信を伴い周波数の逼迫を惹起するおそれがある.
本稿は,IoTワイヤレス機器に対して,既存の通信への影響を与えることなく,効率的にNWスキャンを実現するための研究開発について概説し,研究計画を述べる.
筆者らは大量のIoTワイヤレス機器に対して,既存の通信への影響を与えることなく効率的にネットワークスキャンを実現するための研究開発を実施している.本稿では筆者らが検討を行っている,所要のスキャン頻度を充足しつつネットワークスキャンに必要な無線トラヒック量や無線リソース量を削減する技術について概説する.
筆者らは,無線接続される大量のIoT(Internet of Things)機器に対して,既存の通信への影響を与えることなく効率的に広域ネットワークスキャン(NWスキャン)を実現するための研究開発を実施している.所要のNWスキャン頻度を充足しつつNWスキャンに必要な無線トラヒック量や無線リソース量を削減するには,NWスキャン対象となる無線端末が存在するネットワークを特定し,当該無線端末の通信環境が良好な状況を狙ってNWスキャンを実施することが重要である.そのためには,当該端末の属性(有線・無線の判別,無線システムの種類等)をNWスキャン結果から把握する必要がある.本稿では,無線端末属性把握技術について説明し,実験による検証結果について報告する.予備実験結果から平均遅延によって有線・無線接続を区別可能な見通しを得た.
IoT機器の普及が進む中,そのセキュリティ対策としてネットワークスキャン(NS)が注目を集めている.NSでは短時間に多くのprobeパケットを送信することになるため,ネットワークの輻輳を惹起する恐れがある.そのため,輻輳を低減するためのスキャン制御をすることが求められる.しかし,NSでは膨大な数のIoT機器が対象となるため,端末ごとにスキャン制御を行うことは非現実的である.そこで本研究グループは,スキャン制御区分が同一であるネットワークをひとまとめにするクラスタリング手法の開発を行っている.
本稿では,クラスタリング手法における初期検討として,個々のネットワークにおけるNSによる通常通信スループットへの影響について検討を行う.通常通信スループットとは,NSにより発生するトラフィックを除く,データ通信のスループットのことを指す.
著者らは,大量のIoTワイヤレス機器に対して,既存の通信への影響が小さい,効率的なネットワークスキャン技術の研究開発を実施している.これを実現するためには,スキャン対象無線機器及びその周辺の無線通信状況を推定し,その情報をもとに無線通信の少ないタイミングを選ぶようなスキャンタイミングスケジューリングを実施する必要がある.本稿ではそれを実現するための枠組みとして,スキャンスケジューラ,スキャン解析マネージャ,クラスタリングマネージャから成るスキャン制御フレームワークと,整数計画法を用いたスキャンタイミングスケジューリング手法を提案する.
近年、IoT機器の数は著しく増加しており、これらのIoT機器に対するサイバー攻撃も増加している。このようなサイバー攻撃を防ぐためにも、国内のIoT機器に対して網羅的にポートスキャンを実施してセキュリティ設定を調査する広域ネットワークスキャンの実施が不可欠な状況となってきている。
本研究では、広域ネットワークスキャンにおいて、スキャン対象とするポート数およびスキャン頻度の最適化を図ることにより、スキャンに係る通信量の削減を目指す。今回は、最適化の効果を検証する前段の調査として、IoTを含む全ての機器を対象としてポートスキャンを実施し、機器が使用しているポートおよびスキャン頻度の標準的な値の調査を検討する。
休 憩(14:45 再開) 座長 小島祐治(富士通研)
B-6-48 |
移動/固定マルチアクセスのIoTサービスを実現するネットワーク方式検討
◎永徳はるか・谷田康司(NTT) |
B-6-49 |
IoTデバイス間の用途を考慮したPCRFのポリシールール調停方式
○栗田佳織・岩橋宏樹・西原英臣・松尾和宏(NTT) |
B-6-50 |
データ空間分割によるHash衝突回避手法の提案
○金子 斉・西木雅幸(NTT) |
本研究は、5G時代のIoTサービスを見据え、移動/固定マルチアクセスを実現することで、IoTサービス提供形態とIoTサービスそのものの多様化を促進することを目的としている。特に、固定網に接続する固定端末が移動網へ接続し、移動網独自のIoTサービスを受ける形態を想定し、その実現方式の検討を行った。実現方式として、移動網での認証に用いるIMSI情報及び認証情報の機能配備箇所毎に固定網内(案1)、移動網内(案2)、固定端末(案3)の3案を仮定し、それぞれの接続手順を検討した。さらに、移動/固定網とユーザへのへのインパクトの観点から、各案の比較評価を行った。
近年のIoTデバイスの多様化に伴い,ポリシー制御によるデバイス種別に応じた柔軟な通信サービスの制御が求められている.各デバイスに対する複数のポリシールール間で要求帯域のリソース競合が発生した場合,PCRFは書くルールを適切に調停し,帯域を最大限に活用した上で優先度の高いルールを選択する必要がある.本発表では,調停方式を提案し,アプリケーション用途に応じたパラメータを考慮した評価結果を示す.
転送システムにおけるルール検索において、ハッシュ法は、すぐれた高速検索手法であるが、ハッシュ衝突がその課題の1つであった。本稿では、検索データ空間を分割して木構造を構成することにより、ハッシュ衝突を回避する手法について提案している。
休 憩(15:45 再開) 座長 笹部昌弘(奈良先端大)
B-6-51 |
位置依存形P2Pと端末間通信による情報配信方式
◎勝 智実・山崎 託・三好 匠(芝浦工大) |
B-6-52 |
位置依存形P2Pによる危険性を考慮した歩車間通信システム
◎尾嵜真帆・下村勇介・三好 匠・山崎 託(芝浦工大) |
B-6-53 |
Peer-to-Peer方式サーバ管理システムにおけるファイル共有方式の検討
○谷 昂樹・北村光芳・清水陽太(東京工芸大) |
移動体通信網や高性能な携帯端末の普及より,位置情報を用いて特定の情報を必要とする人へ配信する様々なサービスが提供されている.このようなサービスでは,サービスを享受したいユーザに位置情報に応じて情報を配信する.その1つとして,位置情報に基づいたP2P(Peer-to-peer)方式を用いて近隣端末間でデータの送受信を行うシステムや,通信設備を介さず近隣端末間で直接データの送受信を行う,端末間通信方式が提案されている.本稿では,位置依存形P2P と端末間通信を併用した情報配信方式を検討する.
交通事故による死者数は歩行者が36.5%と最も高く,脇見運転や安全不確認といった運転者による不注意が原因で発生する場合が多い.そこで,従来手法では,GPSとLTEを用いて位置情報に基づくP2Pネットワークを構築し,周辺の自動車と位置情報を共有することで交通事故を予防する車車間通信方式が提案されている.しかし,本方式では,スマートフォンによる実装が検討されているものの,歩行者への情報通知に関してはまだ考慮されていない.本稿では,自動車と歩行者事故の削減を目的とし,位置依存形P2Pネットワークを用いた歩車間通信を検討する.
近年,情報化社会の発展により,クラウドコンピューティングやeコマースなどの重要性が増している.今後,さらなる需要の増加が予想されるため,それらのサービスを支えるサーバシステムの高可用性は非常に重要となる.そこで,特定の管理サーバを必要としないPeer-to-Peer(P2P)方式サーバ管理システムが提案されている.P2P方式では管理対象サーバを管理する上で必要となる管理ファイル等を各管理サーバが共有する必要がある.そのため,Fileサーバが重要な役割を果たす.そこで,本報告ではFileサーバを使用せずにファイル共有を可能とするファイル管理方式について検討を行う.
3月21日 13:00〜17:00 52号館 202教室 座長 木村達明(阪大)
B-6-54 |
福岡空港における無線LANの利用状況に関する実験評価
○田村 瞳・茶谷祐太郎(福岡工大)・野林大起・塚本和也(九工大) |
B-6-55 |
電子レンジ漏洩電波の無線LAN Ch.帯域幅時間領域特性
◎小林武史・喜田健司(東洋大)・石川博康(日大)・篠永英之(東洋大) |
B-6-56 |
IEEE 802.11ax無線LANにおける各局の送信フレームバッファリング量に着目した上りOFDMA伝送の検討
◎高橋良一・谷川陽祐・戸出英樹(阪府大) |
B-6-57 |
高密度Wi-Fiにおける周波数チャネル割当の一検討
◎泉澤拓弥・野島大輔・勝間田優樹・山田 曉(NTTドコモ) |
B-6-58 |
高密度Wi-Fiにおける端末情報を用いたAccess Pointの設置位置推定
◎勝間田優樹・野島大輔・泉澤拓弥・山田 曉(NTTドコモ) |
公衆無線LANが普及し,さらにモバイルデータオフロードのための無線LANも敷設されているため,市街地や公共交通機関などユーザが多く集まる場所において無線LANが多く利用されている.我々は2013年1月,2016年12月に市街地において無線LANの普及/利用状況を定量的に評価するための調査を行った.本研究では,市街地とは異なる利用目的で人々が集まる公共交通機関のひとつである福岡空港においてこれまでと同様の調査を行い,無線LANの普及/利用状況について過去の実験結果と比較し,無線LAN技術に関する課題について議論する.
電子レンジ漏洩電波は2.4 GHz帯無線LAN通信に影響を与えるが、各無線LANCh.に対して与える影響はわかっていない。そこで、まず著者らは電子レンジ漏洩電波の周波数スペクトラムの時間領域特性をCh.1,5,13相当の帯域毎に測定し、漏洩電波をパターン毎に分類し、発生確率を算出した。結果、電子レンジ干渉下において、漏洩電波が存在しない時間帯があることから、通信可能な時間帯が存在すると考えられる。この割合を通信可能時間率とすると、Ch.1では37.6 % 、Ch.5では23.5 %、Ch.13は32.8 %となり、Ch.毎に漏洩電波が異なる時間領域特性をもつことが考えられる。
近年,スマートフォンなどの普及により無線LANに接続する端末局数が増加しており,端末局あたりのスループットが低下するなどの問題が生じている.多くの端末局を無線LANに効率的に収容するための一手法として,IEEE 802.11axではOFDMA伝送が規定されている.本稿では,基地局と端末局から発生するフローに対して十分な通信帯域を全局に割り当てるための上りOFDMA伝送法を検討,提案する.
無線LANのエリア設計では, Access Point (AP) のカバレッジ・接続ユーザ数・隣接APからの干渉等を総合的に考慮し, ユーザ体感品質の向上を図る必要がある. 特に, 人口密度の高い集客施設等においては, APを高密度に設置する高密度Wi-Fiと呼ばれる運用形態がとられている. 高密度Wi-Fiでは, エリア設計時の課題が多いことから, 様々な技術が検討されている. 本稿では, 高密度Wi-Fiにおける各APの周波数チャネルの時間占有率の低減に向けた周波数チャネル割当手法を提案する. また, 実環境での評価を行い, 従来の手法と比較してエリア全体の周波数チャネルの時間占有率が12.6%改善できることを示す.
無線LANのインタフェースを持つ端末を個人が複数持つ時代が到来し,人口密集地でのユーザ体感品質向上は喫緊の課題となりつつある.特に,人口密集地でのユーザ体感品質向上に向けては,周波数チャネルを適切に割当て高品質な通信エリアを形成することが望ましいものの,現在では人の手の介在なく自動で周波数チャネルを適切に割当てることは難しい.APの位置を推定できれば,周波数チャネルの自動割当が可能となるものの,現在検討されているAccess Point(AP)情報のみを用いたAPの位置推定では精度が不十分である.本稿では,端末(STA)情報を用いて位置推定を行うことで,約72.6%の推定誤差低減が見込めることをシミュレーションにより示す.
休 憩(14:30 再開) 座長 塚本和也(九工大)
B-6-59 |
カバレッジの異なる異種無線ネットワーク間連携手法の検討
◎永吉涼佑・谷川陽祐・戸出英樹(阪府大) |
B-6-60 |
無線マルチホップネットワークにおけるノード性能差を考慮した自律分散型チャネル割当
○佐藤芳則・木下和彦(徳島大) |
B-6-61 |
直列無線センサーネットワークにおける逆方向通信干渉を考慮した転送スケジュール
◎△木村亮太・柴田将拡・鶴 正人(九工大) |
B-6-62 |
受信信号強度の変動を考慮した無線センサネットワーク協調形UAV経路制御手法
◎内田悠太・山崎 託・三好 匠(芝浦工大)・上田清志(日大) |
B-6-63 |
ZigBee ネットワークにおける無線 LAN 通信の併用による通信負荷および同ー周波数帯無線LANからの干渉の軽減に関する検討
◎松本 輝・谷川陽祐・戸出英樹(阪府大) |
無線LANは使用料や使用契約が不要であるという利点をもつため,スマートフォンやタブレット端末のユーザの多くは,無線LANが利用可能な状況において他の無線ネットワークよりも無線LANの使用を望む.そのため,無線LANのような使用料や使用契約が不要である公衆無線アクセス網の広域普及が望まれている.本稿では,そのような公衆無線アクセス網の低コストでの普及のため,1つの基地局のカバレッジ拡大を指向した無線LANと,より長距離の通信が可能な無線ネットワークとの間の連携法を検討する.
近年, IoT(Internet of Things) の発展に伴い,無線通信の更なる広範囲化から無線マルチホップネットワークが有用となることが想定され,これまで以上に逼迫する周波数資源を有効利用する方法を検討する必要がある.
異なるチャネルを使用し複数の通信を行うことで,センサネットワーク内の送信パケットの衝突を回避する方式や,少数の高性能ノードを導入し,クラスタリングを用いて周囲のデータを集約した効率のよいシンクへのデータ転送を行う研究がある.
本稿では,少数の高性能ノードを導入し,それぞれの通信状況に応じて動的にチャネル割当を行うことで,通信の効率化を図る方式を検討する.
我々のグループでは,通信インフラの整っていない環境での直列マルチホップ無線ネットワークを対象としている.先行研究では各リンクのパケットロス率や,伝送速度が異なる場合に,パケット到達率を最大化させる静的スロット割り当てを解き,導出したスケジューリングの有効性を,より現実的なシミュレーションが可能なScenargieを用いて示してきた.しかし,先行研究の手法では,干渉の影響によってパケットロス率の増加や伝送速度の低下が発生する.そこで本研究では,干渉の影響を低減するスケジューリングを提案し,Scenargieシミュレータを用いて有効性を評価する.
近年,国内外においてUAV(Unmanned aerial vehicle)を用いた研究開発やサービスが注目されており,物流や宅配といった分野での活躍が期待されている.しかし,UAVが落下した場合における安全性の問題等から,市街地での運用は困難である.一方で,市街地においては無線センサネットワークの普及が進んでいる.本稿では,無線センサネットワークとUAVが協調して飛行経路を構築する手法を提案する.シミュレーション評価では,実環境に近い電波伝搬環境下において,UAVの動作を検証する.
近年,IoTや無線センサネットワークの発展により,短距離無線通信規格であるZigBeeが注目されている.しかし,ZigBeeは低伝送速度かつ省電力な運用が想定されており,通信負荷の抑制が必要である.また,同ー周波数帯を用いる無線LANからの電波干渉が問題となる.そこで本稿では,無線LANから電波干渉を受けるZigBeeネットワークを想定し,干渉を軽減しつつZigBeeフレームの一部を無線LANを用いて転送することでZigBeeネットワークの負荷を軽減する手法を提案する.
休 憩(16:00 再開) 座長 木下和彦(徳島大)
B-6-64 |
CDNを用いた動画像ストリーミング配信システムにおけるコンテンツ複製を考慮した光パス設定に関する一検討
○藤本章宏(和歌山大)・廣田悠介(NICT)・戸出英樹(阪府大) |
B-6-65 |
Geo-Centric情報プラットフォーム上におけるPublish/Subscribeを用いた時空間コンテンツ流通に関する検討
◎永島 薫・長尾健太郎・樋口伸伍(九工大)・妙中雄三(奈良先端大)・塚本和也(九工大) |
B-6-66 |
適切なユーザ移動を伴う最適コンテンツ配置制御の提案
◎森 雄大・橘 拓至(福井大) |
B-6-67 |
伝送優先度に基づき複数パケットを結合するパケット転送方式
○青山哲也・武 啓二郎・岡村 敦(三菱電機) |
動画像ストリーミングの需要の増大により,多数のリクエストを効率よく収容でき,かつ,高品質な通信が可能な配信基盤が求められるようになった.
本稿では,細粒度の周波数資源を柔軟に割り当て可能なエラスティック光ネットワーク(EON: Elastic Optical Networks)上に構築されたCDN (Content Delivery Network)において,動画コンテンツの配置・複製制御と連携して光パスを設定する方式を提案し,ネットワーク資源とサーバ資源の双方の利用効率の向上を目指す.
近年,IoT技術の発達により地域で生成される多様な異分野IoTデータ連携させるIoTデータ流通サービスが注目されている.しかし,異分野IoTデータを連携させて生成したコンテンツの流通方法が課題となっている.我々は,連携されるデータは物理的に近い位置にある点に着目し,地理空間を意識したコンテンツ(時空間コンテンツ)流通を行う地理指向情報プラットフォーム(GCIP:Geo-Centric Information Platform)を提案した.本研究はIoTデータ収集,及び配信手法として適していると考えられるPublish/Subscribe(Pub/Sub)通信に着目し,GCIPにPub/Subを適用する方法を提案し,既存のPub/Sub手法を用いた実験評価を通じて,時空間コンテンツ流通に対する課題を検討する.
ICN(Information Centric Networking)に代表されるコンテンツ配信はコンテンツをユーザの近隣へ移動させることで伝送遅延を減少させる。本稿では従来のコンテンツ配置制御に加えてユーザの移動を用いてさらなる伝送遅延減少を目的とする。
提案方式は最適化問題によって制御する方式であり、提案法の性能をシミュレーションによって評価する。シミュレーション結果から、提案法はコンテンツのみ移動させる従来法よりも目的関数値が常に下回ることを示した。また,ユーザの移動距離についても調査し,提案法は従来法よりも迅速にコンテンツを発見できることを示した。
社会インフラの基盤となる制御システムでは,リアルタイム性や信頼性が求められることから,従来,固定局間のネットワークは有線で構築されていた.今後は,敷設コストの低減,メンテナンスの効率化から固定局間を無線マルチホップネットワークで構築することが考えられる.
本稿では,高速道路や鉄道等の沿線に大容量な無線マルチホップネットワークを構築し,移動端末に対する通信サービスのインフラとして活用する際の技術課題を挙げ,制御系パケットの転送方法について検討する.
3月22日 9:00〜11:45 52号館 202教室 座長 川手竜介(三菱電機)
B-6-68 |
多量のIoTデバイスに対する死活監視方式
○河野伸也・木村明寛・岡田昭宏(NTT) |
B-6-69 |
ネットワークスライス技術を用いたIoTサービストラフィックにおけるコアネットワークの自律運用管理手法
◎城 哲・加須屋悠己・宮澤雅典(KDDI) |
B-6-70 |
NFV環境における障害監視制御方式の一考察
○三原孝太郎・左野利史・木村伸宏(NTT) |
B-6-71 |
API連携アプリの可用性を向上する転送制御に関する一検討
○宮城安敏(NTT) |
B-6-72 |
特定の管理サーバを必要としない省電力サーバシステムの開発について
北村光芳・○清水陽太・谷 昂樹(東京工芸大) |
近年、IoTサービスの普及が進んでおり、デバイス数が爆発的に増加している。当該サービス事例の一つとして、センサ等による情報収集が一般的である。本稿では、センサ等のIoTデバイス数が増大した場合でも、IoT収容装置に対する死活監視の負荷増化を抑制可能な死活監視方式を提案する。
スマートホームやスマート工場を筆頭に、IoT(Internet of Things) を活用したサービスに対する関心が高まっている.政府が目指すSociety5.0時代ではあらゆる産業がネットワークにつながるスマート社会の構想となっており,今後,この傾向は益々加速することが見込まれる.これに伴い,様々な目的やサービスにそったIoTデバイスからの多種多様な特性を持つトラフィックがエリアネットワークを介してコアネットワークを流れるようになるため, 障害・災害・イベント時のようなトラフィック傾向が変化する状況下においてサービスを継続的に提供するため,ネットワークを安定的に管理・運用することが求められる.特に,複数のIoTサービストラフィックにおいて共通ネットワークであるコアネットワークの安定稼働が重要となる.
筆者らは本課題への対策として,ネットワークスライス技術を用いたコアネットワークの自律的運用管理手法を検討した.
従来のキャリアシステムをNFV(Network Functions Virtualization)化するに際して現行の障害監視制御方式が使えなくなることを課題提起し、基盤側の複雑性を吸収し、かつVM側で統一的な障害ハンドリングできる方式として物理障害は直接監視せず抽象化されたリソースをエンドツードンドで監視する方式と、基盤側で物理障害を監視してリソース影響に翻訳してVMに通知する2案を提案。
各案について障害検知性能と実装難易度の観点で比較評価を行い、従来級の信頼性の担保のためには後者の案が望ましいと結論を得た。
APIを組み合わせたアプリでは使用するイネーブラ毎に処理性能等が異なるため、イネーブラ毎のレスポンス差異が大きく、アプリ全体としての可用性が低くなる課題がある。また、イネーブラの仕様変更があった際にアプリ修正が完了するまでユーザは正常にアプリを利用できない。そこで、各イネーブラの負荷やサービス提供状況をAPI-GWで把握し状況に応じてリクエストを変換、転送することにより可用性を高める転送制御方法を提案する。
近年,ネットワークの高速化およびクラウドコンピューティングの普及により,インターネットサービスは我々の生活にとって必要不可欠となっている.そのため,そのサービスを支えるサーバシステムの省電力化および高可用性を実現することが重要となる.省電力サーバシステム(PSS)では,特定の管理サーバがサービスを提供しているサーバの負荷状態を測定し,その状況に応じた構成にサーバシステムを変更することによって省電力化を実現している.そのため,特定の管理サーバに対する冗長化による制御方法の複雑化やコストの増加および管理対象サーバ数に伴う,管理のための負荷の増加が懸念される.そこで,本報告では特定の管理サーバを必要としないPSSの構築方法およびその動作概要について示す.
休 憩(10:30 再開) 座長 萩谷範昭(NTTドコモ)
B-6-73 |
通信の公平制御における制御対象ユーザ数最適化方式の提案
◎岩橋宏樹・西原英臣・栗田佳織・松尾和宏(NTT) |
B-6-74 |
マイクロバーストに対するDCTCPの性能評価
○菅原大輔(関西大)・白木長武(富士通研)・山本 幹(関西大) |
B-6-75 |
映像配信における帯域確保時のビットレート選択に関する一検討
○北田裕之・奥山隆文・安川正祥(NTT) |
B-6-76 |
VM構成における仮想サーバ内ネットワーク遅延性能評価
○藤本 圭・的場光平・荒岡 誠(NTT) |
B-6-77 |
システム-ネットワーク統合シミュレータの基礎検討
○小野 豪・武田栄里子・早瀬茂規(日立) |
ベストエフォート型の通信サービスでは,一部の大量の通信を行うヘビーユーザにより通信帯域が逼迫し,その他のユーザの通信が阻害され,ユーザ間での公平性に偏りが発生する.ヘビーユーザの通信を抑え公平な通信制御を実現する方式として,一定の監視周期毎に各ユーザの通信量を計測し,通信量の多い上位Nユーザに対して次周期での通信帯域を制限する方式があるが,ユーザの通信状況によっては,Nが過大となりヘビーユーザ以外のユーザも制限してしまい回線容量を効率的に使用できない,あるいはNが過小となり制限対象ユーザの通信帯域が極端に小さくなるといった問題があった.本稿では最適な制限対象ユーザ数Nの決定方式の提案とシミュレーションによる評価行う.
データセンタネットワークにおいては,短期的にトラヒックが集中し発生するマイクロバーストによるパケットロスが問題となっている.本稿では,HadoopにおけるMap ReduceのReduce処理にみられるような,複数フローの1リンクへの集中到着をマイクロバーストの発生モデルとして取り上げる.このモデルにより,データセンタに適した輻輳制御として提案されているDCTCPを用いた場合に,マイクロバーストが与える影響について評価した.評価により定常的なフローが存在する状況においてDCTCPがマイクロバーストに対し,ある程度の耐性をもつことを示す.
映像配信サービスの品質を高める技術として,回線状況に応じて,クライアントが動的にビットレートを選択するABR(Adaptive Bit Rate)が広く利用されている.本稿では,実環境での映像トラヒックを計測し,帯域確保を実施した際のABRによる選択ビットレートの動作を分析する.
VM構成において仮想サーバ内のネットワーク遅延をeBPFバイトコードを用いて計測を実施した.仮想サーバ内のネットワーク遅延発生区間,及び,遅延発生状況の確認結果について報告する.GuestがCPUを専有する場合においても,1台の仮想サーバを介するだけで,数ms程度の遅延が発生する結果を得た.
IoTシステム構築では,有線/無線の熟練技術者が,顧客のIoTシステムに要求されるシステム稼働率などのシステム要求を達成可能なネットワーク要件を割り出し,そのネットワーク要件を満たすネットワークシステムを構築しなければならない.しかし,一般的にIoTシステムは分野によって求められる要求事項が様々である為,システム性能見積もりや最適システム構成の見積りが難しく,IoTシステム構築のリードタイムが長くなる恐れがある.この解決に向けて,報告者らはシステム要求の評価とネットワークの評価を統合した統合シミュレータを試作すると共に初期評価を行ったので,この結果について報告する.
B-7. 情報ネットワーク
3月19日 9:00〜11:45 52号館 303教室 座長 平山孝弘(NICT)
B-7-1 |
DTNによる災害時情報共有システムにおける地理的要件を考慮した性能評価
◎澁谷海斗・小林亜樹(工学院大) |
B-7-2 |
Delay Tolerant Networkingにおけるノードの送信総データ量に基づく送信制御方式
○小板橋由誉・井上勇気・内山翔太・水野 修(工学院大) |
B-7-3 |
ネットワークのカスケード故障を抑制する迂回ルーチングの制御
◎見雪雄哉・林 幸雄(北陸先端大) |
B-7-4 |
ユーザ提供型モバイルネットワークにおける最適な接続先選択
◎小野寺 俊・中山 悠・戸辺義人(青学大) |
B-7-5 |
SR-MPLSにおけるラベル数削減方式に関する一検討
◎鋒 幸洋・小島久史・桑原 健(NTT) |
大規模災害時などの既存の通信インフラが機能しない劣悪な通信環境において,避難所などを拠点に通信ノードを自律分散的に構築し,USBメモリなどの可搬ストレージを通信媒体とする災害情報システムについて提案してきた.これまでは通信ノードの配置を規則的なものとしたモデルでの分析であり,地理的に不均等な実配置下での有効性については不明であった.そこで本稿では,実避難所配置を反映したモデルにおける各避難所へ効率的にコンテンツを転送するための可搬ストレージへのコンテンツ選出アルゴリズムについて提案する.シミュレーション評価により,実避難所配置を反映した場合においても本システムが一定の有効性を示すことを確認した.
移動端末のみを用いた通信方式としてDelay Tolerant Networking(DTN)が提案されている.DTNにおける所定のルーティング方式では,ノードの移動に伴い繰り返し通信を行うため,ノードのバッテリ切れが発生する恐れがある.
本稿では,ノード消費電力の削減を目的とし,ノードが送信してきたデータの総データ量に基づいた送信制御方式を提案し,送信総データ量を基にノードが蓄積している送信データを廃棄することで,送信制御を行いノード消費電力の削減を実現する.また,提案方式の有効性を確認するため,シミュレーションによって評価を行った.その結果,ノード消費電力を削減し,既存のルーティング方式よりバッテリ残量を最大で40%増加できることを確認した.
現実の多くのシステムに共通するスケールフリーネットワークでは,多くの結合を持つハブノードを除去すると連結成分が極端に分離される脆弱性があり,この脆弱性を打破した玉葱状ネットワークが提案されている.また,電力崩壊や渋滞など過負荷が連鎖するカスケード故障の防止策として,いけにえ法によるものが提案されているが,負荷に注目した迂回ルーティングは更に有効であることが示されている.既存手法では送信元sと受信先tをランダム順に選択しており,s,tの選び方の順序に検討の余地がある.本稿では,s,tの選び方の順序にコストに基づいた優先順位を付けることを提案し,シミュレーションによりその妥当性を示す.
モバイルトラヒックは,第五世代移動通信システム(5G)普及とともに今後も爆発的に増大することが予想 される.さらに,その特性として時空間的な変動が顕著であり,高周波数帯の利用を想定した場合,その影響はより大きくなる.従来型のネットワークでは,エリアごとのピークレートに合わせた設備計画を行う必要があるが,上記の変動を考慮すると効率性が低いという課題があった.この課題に対し,ユーザ提供型モバイルネットワーク(mobile user-provided network; mobile UPN)が有効である.ただしモバイル通信状況は,ユー ザや基地局の分布に加え,地形や建築物などの周辺環境 によって大きく変動する.本稿では,モバイル UPNにおける最適な接続先選択に関する初期検討の結果について報告する.
トラヒックエンジニアリング(TE)を実現する技術として,Segment Routing(SR)が注目されている.本稿では,ingressでプッシュできるSID数に制限がある場合でも経路を柔軟に制御するため,ingressにおけるSID数削減方式を提案する
休 憩(10:30 再開) 座長 今井尚樹(KDDI総合研究所)
B-7-6 |
名前通信を用いた位置ベース検索の性能評価に関する一考察
◎栗原佳輝・小泉佑揮・長谷川 亨(阪大) |
B-7-7 |
情報指向型センサネットワークプラットフォームにおけるネットワーク構築用制御プロトコルの設計
○木村圭吾・望月寛大・水野 修(工学院大) |
B-7-8 |
NDN網におけるDoS耐性のあるPublish/Subscribe通信プロトコルに関する一考察
◎村井穏永・武政淳二・小泉佑揮・長谷川 亨(阪大) |
B-7-9 |
Ceforeを用いたモバイルエッジ連携型位置コンテンツ配信の一検討
◎植田一暁・田上敦士(KDDI総合研究所) |
B-7-10 |
ICNネットワークにおけるインネットワーク計算処理を用いた位置ベースサービスの実装
◎澁谷広軌・栗原佳輝・小泉佑揮・長谷川 亨(阪大) |
筆者らは、Named Data Networking(NDN) 網で、Publish/Subscribe 通信を行うContent Oriented Pub/Sub System (COPSS) を用いて、位置とデータを指定した要求をマルチキャストすることで、複数の IoT デバイスが持つ 位置に紐づくデータ (位置データ) を収集する手法を提案している。本稿では、指定する位置の広さと要求数の関係を、シミュレーションにより評価する。
複数のM2Mサービスを実現するネットワークについて,情報指向型センサネットワークプラットフォーム(ICSNP:Information-Centric Networking-based Wireless Sensor Network Platform)を提案している.ICSNPには,サービスの目的を実現するためにセンサネットワークで実現するべき要件が存在する.要件を満たすために,様々な手法を提案し,要件に合った手法を実行している.しかし,ネットワーク構成の変化におけるプロトコルは未検討である.本稿では,ICSNPにおけるネットワーク拡張のための制御用信号の設計を行う.
非同期グループ通信は、ミッションクリティカルな作業中のメンバへのメッセージ同報に有用であり、Named Data Networking (NDN) 網において、多数のPublish/Subscribe 通信プロトコルが提案されている。しかしながら、プッシュ型のマルチキャスト通信であり、 多数のメンバに無駄なパケットを送りつけるDenial of Service Attack(DoS攻撃)が容易に実現できる。これに対して、本稿では、NDN 網において、メンバが情報をプル型で要求するプロトコルを提案する。
Information-Centric Networking (ICN)を用いて位置に紐づいたデータを配信する時空間分散DBとしてOpenGeoBase (OGB)が提案されている.我々はOGBを拡張し,モバイルエッジにデータを直接格納する方式を提案し, Cefore を用いてプロトタイプ実装した.
Internet-of-Things (IoT) デバイスが収集した位置データを用いた、クラウドベースの位置ベースサービスが普及しているが、全データをクラウドに収集することによるトラフィック量や遅延の増加が課題である。本稿では、Information Centric Networking (ICN) ネットワークにおいて、エッジルータやデバイスでインネットワーク計算処理を行うことで、これらの課題を解決する位置ベースサービスを設計、実装する。
3月20日 9:00〜11:45 52号館 302教室 座長 川原憲治(九工大)
B-7-11 |
トラヒックエンジニアリングにおけるフロー配置アルゴリズム:ネットワークトポロジの影響
○嘉藤 学(有明高専)・川原憲治(九工大) |
B-7-12 |
パケット・トレーラによるIoTトラフィックQoS制御の検討
○山本 周・桐葉佳明・中尾彰宏(東大) |
B-7-13 |
OpenFlowを用いたIoTパケットのIPv6/IPv4フロー制御
○浅田裕紀・藤井哲郎(東京都市大) |
B-7-14 |
並列TCP接続によるネットワークリソースの動的有効活用と安全性に関する一考察
○舟阪淳一・石田賢治・小畑博靖(広島市立大) |
B-7-15 |
ENUM/DNSパケットにおける緊急呼の輻輳制御方式の提案
○杉木優太・清水智史・中村憲一・山本高大(NTT) |
SDNの進展でフローレベルでのトラヒック制御が可能となり、TE(Traffic Enginnering)による負荷分散が実現できる。
筆者らは\cite{Kato}でランダム・グラフ、\cite{Kato2}でスケールフリーネットワークを評価対象としてリンク負荷を平滑化するようにトラヒックフローを配置するアルゴリズムを提案した。
本稿ではこれらのアルゴリズムの性能に及ぼすネットワークトポロジの影響を調べる。
特に、高次数ノードが少数、低次数ノードが多数存在するスケールフリーネットワークにおいてフロー配置が困難な状況、その状況でのアルゴリズムの効果を明らかにする。
様々なデバイスや機器がネットワークに接続されるIoTでは、各々のトラフィックに要求されるネットワーク伝送品質に応じて、個別にQoS制御できることが望ましい。コア・ネットワークのIPネットワークでは、パケット・ヘッダ情報によりトラフィック識別が行えるが、トラフィックのフローとアプリケーションを紐づけるには、例えばDPIによりトラフィック内容を検出することが必要になる。しかし、パケットのデータ部分監視は電気通信事業法の規定に触れる可能性があり、また暗号化への対応は難しい。
そこで、パケットにユーザ同意により、フローの先頭パケットのトレーラにメタ情報を付加し、その情報に基づきトラフィック制御を行う手法が有効であることを報告している [1] 。今回は、TCPに加えUDPにも対応し、パケット・トレーラを用いたトラフィックQoS制御を行うネットワーク構成と実験評価について報告する。
近年、設置されたIoTの数が爆発的に増えており2020年には約400億台に達すると言われている。IoTではデータ収集にインターネットを使用する。既に、IPv4グローバルアドレスは枯渇しており、IPv6アドレスを用いたIoTシステムの開発となる。本稿では、OpenFlowを用いることにより、IPv4環境に設置されたサーバに対するIoTパケットの配信にIPv6ルーティングヘッダを用いてフロー制御により実現する方式を提案する。これにより、ISPが設置するNAT64などへの負荷を大幅に軽減できる。
広帯域ネットワークリンクの利用において、1本のTCP接続で帯域を使い切れない場合は複数の並列TCP接続を利用することが考えられる。従来研究において、複数の並列TCP接続を確立することで、遅延やパケットロスが発生する場合でもファイルを高速に転送可能であることが示されている。またクラウドとエッジの連携を想定するエッジコンピューティングでは、エッジにおいて実行可能ファイルを受信しながら実行することも考えられるため、並列TCP接続を用いて分割して送信される部分ファイルの到着順序にも配慮が必要である。本稿ではエッジコンピューティングを想定し、並列TCP接続によりネットワークリソースを十分に、かつ安全に利用する方法について議論する。
現状の電話網である、PSTN網からIP網へ移行を予定している。IP網では接続先へドメインでルーティングするようになり、ENUMサーバがドメイン情報を保持している。緊急呼もドメインルーティングを実施するため、ENUMサーバ輻輳時において緊急呼を優先的に処理する必要があり、その方式を提案する。
休 憩(10:30 再開) 座長 村瀬 勉(名大)
B-7-16 |
待ち行列理論を用いた被災地呼優先受付制御のモデル化
◎△川瀬達也・宮田純子(芝浦工大) |
B-7-17 |
L1ノルム最小化によるパケット損失率推定における計測パスの選択方法
◎吉川泰司・中川健治・渡部康平(長岡技科大) |
B-7-18 |
カオスアトラクタを用いた短期的トラヒック予測方式
◎△鈴木奈保人・宮田純子(芝浦工大) |
B-7-19 |
無限関係モデルを用いたHTTPS通信の分析
◎佐藤弘毅・後藤滋樹(早大) |
B-7-20 |
Twitterのトレンドワード抽出によるアーリーアダプターの発見
◎竹田涼人・汪 雪テイ・山崎俊彦・相澤清晴(東大) |
大規模災害発生時における受付制御として,119 番通報以外の通信を指す一般呼を,被災地内から発生した呼と被災地外から発生した呼に区別した被災地呼優先受付制御が提案されている.しかし,119 番通報などの重要度の高い通信である緊急呼の存在を考慮されておらず,モデル化に至っていない.そこで,本研究では緊急呼及び被災地呼を優先しつつ被災地外呼を最大限収容する受付制御を提案し,提案手法の有効性を示す.
通信事業において,ネットワーク内部の把握が重要な問題となる.パケット損失率推定においては,アクティブ計測とパッシブ計測を併用したEMアルゴリズムによる推定[1]及びそれを高速化したL1ノルム最小化法がある.本研究はL1ノルム最小化法において推定を行うためにアクティブ計測を行うパスの選択について考え,任意のリンクでパケット損失が発生した場合においても推定可能なパスを選択方法を適用する.
結果として,リンク数L=21,パス数M=12のシミュレーションネットワークに対してパスの選択の計算量はL1ノルム最小化法における全探索の2M L = 86016に対して提案法では2M=4096となり,計算量の削減が達成できた.
近年のアプリケーションの多様化とストリーミング通信の普及に伴い,ネットワーク上を流れる通信トラヒックは非常に激しい変動を示している.これに伴い,従来のストリーミング通信はUDP通信が主流であったが,近年ではストリーミング通信においてもTCPによる通信を行うアプリケーションが増えてきている.このため,TCP/UDP混在環境におけるトラヒック予測の必要性が高まってきている.そこで,本研究ではインターネット上の通信トラヒックがカオス現象であると指摘されていることに注目した,カオス理論によるトラヒック予測方式を提案する.これは,カオスが小数自由度の決定論的な方程式から不規則で複雑な振る舞いを発生させる現象であることに注目すると,一見不規則な現象の中には決定論に従って発生しているものが少なからず存在する可能性に着目した予測方式である.さらに,本稿ではTCPおよびUDP混在環境におけるデータに対して提案法を適用し,提案法の有効性を示す.
HTTPSのトラヒックが増加している.HTTPSはSSL/TLSを利用して安全にHTTPの通信を行う.その一方でHTTPSの暗号化された通信は,ネットワーク運用者のトラヒック監視を難しくしている.本研究はHTTPS通信においても暗号化されない情報を活用して,無限関係モデル (IRM, Infinite Relational Model) を用いて,HTTPS通信の分析を行う.
新しい技術や流行を早い段階で受容する集団をアーリーアダプターと呼び , 彼らはマーケティングの対象として有効である . そこで本研究では Twitter のログを解析して, 過去に流行したワードを抽出し, それらを用いることでアーリーアダプターを発見し, 将来のトレンド予測に役立てることを目的とする.過去に流行したワードの抽出には, ワードの出現頻度の異なる時間間隔における移動平均を比較することで実現することができた.
3月20日 13:00〜16:00 52号館 302教室 座長 加島伸悟(NTT)
B-7-21 |
制御システムネットワークのセキュリティ対策に関する一検討
○谷田直輝・三村 和・柴田剛志(日立) |
B-7-22 |
AI技術を活用したセキュリティアラート自動判定手法
○三村 和・長谷川千絵・池上幸三(日立) |
B-7-23 |
異常への寄与度を用いた異常箇所推定手法
◎松尾洋一・池田泰弘・中野雄介・渡辺敬志郎(NTT) |
B-7-24 |
システム障害要因推定のための因果グラフ要約
◎橋本悠香・松尾洋一・川田丈浩・西松 研(NTT) |
B-7-25 |
Seq2Seqによる障害復旧コマンド列の自動生成
◎池内光希(NTT)・渡邉 暁(NTT東日本)・松尾洋一・川田丈浩(NTT) |
重要インフラの制御システムを狙ったサイバー攻撃が世界的に報告され,日本でもセキュリティ対策が求められている.重要インフラの制御システムは機密性が高いため,実際のサイバー攻撃のログデータが公開されることは少なく,過去の攻撃データに基づいたシグネチャ検知型のセキュリティ監視は,情報制御・制御ネットワークに対する適用が困難である.そこで我々は,制御ネットワークのトラフィックを制御通信種別のパケットに分類し,パケットのオフセットごとに値の変化パターンを学習・監視する方式によるセキュリティ対策の検討を行い,主機に対する異常操作を検知可能な見込みを得た.
社会インフラへのサイバー攻撃の懸念が増加する中,インフラ事業者らはセキュリティ監視の強化を進めている.この動向に対し筆者らは,AI技術を活用し,従来人手で行ってきたセキュリティ監視業務の効率化を目指す.本稿では,監視業務での一次分析におけるアラート自動判定手法を示す.アナリストのアラート判断結果とセキュリティ装置ログとの関係モデルをAI技術を用いて学習することで,アラートを自動的に誤検知と判定することを可能にした.
システム運用において,障害箇所の推定はシステム内で発生したアラートを入力情報として,ベイジアンネットワークなどの手法を用いて行っているが,アラートが出ない場合,見逃が発生する.本稿では,入力データとしてシステムからとれる様々なデータの障害への寄与度を計算する既存手法の結果を用いることで,障害箇所推定の精度向上をさせる手法を提案する.
システム運用において,オペレータの運用負荷低減のため,故障対応の自動化技術が検討されている.特に,障害発生時に障害の要因を特定することは人手では膨大な時間を要する場合が多く,障害要因推定技術に関する研究は重要である.これらの技術はBayesian Networkや決定木などの因果グラフを用いて行われるケースが多い.このため,因果グラフの重要な部分を抜き出す(グラフ要約)ことで要因推定の高速化が期待される.本稿では,1. 要因となる可能性が高いノードは要約後も残す2. 要約の前後で要因推定の結果に変化が少ない3. 要約後のグラフはサイクル構造を持たないという3つのポイントを考慮した,要因推定に適したグラフ要約法を提案する.
大規模化する通信システムにおいて,発生する障害の
種類は多岐に渡り,保守者の手作業による復旧措置では
高品質なマネジメントの維持が困難となっている.そこ
で近年,ログやアラームなどの機器情報と復旧手順を対
応させたルールを事前に作成することで復旧を自動化す
るシステムの開発が進められている.ところが,ルール
の作成には保守者の多大な稼働を割かなければならない.
また作成したルールを自動実行しても問題ないか,その
信頼性を確認する作業も高度なノウハウを必要とする.
そこで本稿では,障害時に発生するログを元に,人手を
介することなく復旧手順を自動生成し,さらに得られた
復旧手順の信頼性を定量的に算出する手法を提案する.
休 憩(14:30 再開) 座長 吉田裕志(NEC)
B-7-26 |
M/D/1/Kモデルを用いたMPEG-DASHのバッファ占有量とセグメントロス率の解析
◎△糟谷大祐・宮田純子(芝浦工大) |
B-7-27 |
適応ビットレート制御のためのスループット予測の評価
◎魏 博(早大)・宋 航(広島大)・金井謙治・川上 航・甲藤二郎(早大) |
B-7-28 |
ICN ルータのキャッシュが引き起こす DASH コンテンツのビットレート振動に関する一考察
○山本瑶司・武政淳二・小泉佑揮・長谷川 亨(阪大) |
B-7-29 |
MMCFTPを用いた8K非圧縮超高精細映像素材のファイル転送
◎片桐章斗・丸山 充・瀬林克啓(神奈川工科大)・山中顕次郎・漆谷重雄(NII)・君山博之(東京電機大) |
B-7-30 |
映像IoT集信の動画像圧縮伝送に関する検討
○権藤俊一・黒坂拓巳・村井信哉(東芝) |
B-7-31 |
映像IoTのEdge Computingへの適用における効率的なストレージ利用の一検討
◎鍔木拓磨・肥後直樹・越地弘順・椿 俊光・桑原 健(NTT) |
ビデオストリーミングサービスにおいて,適応的に画質を変動させるMPEG-DASHでは,クライアント側で蓄積されているデータ量(以下,バッファ占有量)に着目した画質選択法が提案されている.一方で,DASHシステム上で動画の再生単位を意味するセグメントはそのロス率(以下,セグメントロス率)が映像品質に影響があると指摘されているにも関わらず,既存研究ではセグメントロス率が考慮されていなかった.本研究では,バッファ占有量に加えてセグメントロス率も考慮した画質選択法を提案し,その特性を解析する.
Dynamic adaptive video streaming over HTTP(DASH)による動的適応ビデオストリーミングは、ユーザーエクスペリエンス品質(QoE)を保証するために現代のビデオストリーミングで広く研究され採用されている。適応ビットレート制御はDASHの重要な部分であり、その最終目標は再バッファリングを最小限に抑えながらビデオビットレートを最大にすることである。スループット予測は、適切なビデオビットレートを動的に選択するのに役立つ重要な役割を果たす。 本稿では、適応ビデオストリーミングにおけるスループット予測の影響について検討した。
ICN (Information Centric Networking) 環境下で Dynamic Adaptive Streaming over HTTP (DASH) コンテンツを視聴する場合、ネットワーク内キャッシュによって、平均ビットレートが向上する一方でビットレートが振動することが指摘されている。しかし、その発生のメカニズムは議論されていない。本稿では、シミュレーションによりビットレート振動のメカニズムを評価する。
近年,映像制作業界や放送業界ではIPネットワークを使ったファイルベースの編集システムの導入が進んでいるが,8K/4K映像の普及に伴い,システムのワークフローにおいて映像素材ファイルの転送に時間を要するという課題がある.実際,神奈川工科大学では8K/4K非圧縮超高精細映像素材を遠隔地のクラウド上にある複数のサーバに分割して転送する際の転送時間の削減が課題である.そこで,国立情報学研究所が開発した恒速ファイル転送プロトコルMMCFTP(Massively Multi-Connection File Transfer Protocol)を使って8K非圧縮超高精細映像素材ファイルを転送した際の性能評価を行った.結果,従来使用していた映像転送方法と比較して,転送時間を1/10以下に削減できたため,MMCFTPは映像素材転送用途に有用である.
社会インフラや公共施設の定点カメラに加え,車載の通信対応ドライブレコーダーや,鉄道,産業用ロボット,ドローンなど,移動体に搭載されたカメラなど,広域に配置された多数のカメラの大量の映像で,詳細かつ確実なリアルタイム遠隔監視を実現するニーズのトレンドと,自動化も進める映像IoTに向けた動画像圧縮伝送の課題について整理し,それらを解決するための新たなアプローチであるピクチャベース動画像配信アーキテクチャについて検討を実施した.
EC (Edge computing) は,ストレージなどのリソースをCC (Cloud computing) より近い通信ビルに配置することで,CC では実現できない低遅延サービスやCC へのネットワークの帯域逼迫を軽減可能な技術である.一方,高度な監視カメラソリューションなどの映像IoTも普及が進んでいる.本稿では,映像IoT を対象としてCC と比較してリソースが少ないEC 上で大量の映像データを扱うための,映像データの優先度付けとストレージ容量の確保方法を提案する.提案手法により,ストリーミングされる映像データをEC 上で扱いやすくなるため,映像IoT の更なる普及に寄与できると考える.
3月22日 9:00〜11:45 52号館 303教室 座長 馬場健一(工学院大)
B-7-32 |
5Gネットワークにおける異種無線アクセスシステムの時分割協調
◎後藤健至・川原憲治(九工大) |
B-7-33 |
無線LANとの共存環境におけるZigBeeの送信成功率を向上させるアクセス制御手法の一検討
◎築地瑞樹・馬場健一(工学院大) |
B-7-34 |
Performance evaluation of Cooja simulator in 6TiSCH network with high number of nodes
◎Ryan Paderna・Toshio Ito・Mitsuru Kanda(Toshiba) |
B-7-35 |
Q-Learningを使用した無線メッシュネットワークの経路最適化に関する一検討
◎小林卓矢・澤 健太郎・石原功之郎・角 武憲・山内尚久(三菱電機) |
B-7-36 |
車車間通信における電波伝搬特性の深層学習に基づく情報中継車両選択に関する検討
◎山本悠仁・高木由美・太田 能・鎌田十三郎(神戸大) |
近年,無線ネットワークにおける通信トラヒックや接続端末数が増加している.さらに,IoT/M2Mにおいて「モノ同士」の通信の増加が想定される.そこで,将来的により低遅延で膨大数の端末接続が可能で転送帯域が大きな次世代の移動通信システム(5G)の実現が期待される.本研究では,5Gの無線アクセス部分において,異種無線網の協調による膨大数の端末の接続性の確立と省電力化の実現を目的する制御手法を検討する.
近年,家庭内の電化製品などをネットワークに繋ぎ,ZigBeeにより一括管理するスマートホームが注目されている.
しかし,ZigBeeと同じ2.4GHz帯のISMバンドを利用する無線LANが広く普及しており,両システムが混在する環境においては電波干渉により通信品質が劣化する.
そこで本研究では,両機器のパラメータ,無線LAN側の送信アルゴリズムを調節することで無線LANとの共存環境におけるZigBeeのパケット送信成功率を向上させるアクセス制御手法を提案した.
シミュレーションより,提案手法を用いる事で無線LANのスループット低下を抑え,さらにZigBeeパケットの送信成功率が向上することを確認した.
A new IEFT 6TiSCH working group was established to address the IoT development. 6TiSCH implements time slotted channel hopping (TSCH) for wireless mesh network with IPv6 application. 6TiSCH network offers hundreds of nodes for monitoring and control. Recently, an increase of interest in open source platform for wireless network sensor such as Contiki-NG are being considered by many academic and industry community. Contiki-NG supports both real hardware implementation, and simulation called Cooja simulator. Cooja provides multi-level simulation for a price of longer simulation time and high memory usage. This research investigates the performance of Cooja in hundreds of node network.
工場、およびビル監視等に、無線メッシュネットワークの適用が進んでいる。安定した通信経路の選択方式として、従来方式では、受信電力の変動が小さく、且つ少ない経路を選択する方式が提案されている。さらに安定した通信経路を選択するには、経路選択に用いる受信信号強度などの閾値を設置環境に応じて決定されることが望ましい。本稿では、無線メッシュネットワークの通信経路安定性、および設置容易性の両立を目的として、従来方式の閾値決定手段に強化学習を適用し、設置環境に適した閾値決定アルゴリズムを提案する。
車車間通信を利用した出会い頭の衝突警報や緊急車両の接近通知などのアプリケーションにおいては,交差点で交差する道路上の車両にも情報を配信することが望ましい.しかし,都市部では建物が密集しており,他車両による中継が必要となる.また,必要以上の車両が情報を中継することは,中継パケットの衝突の原因となり,ひいては無線資源の浪費につながり望ましくない.我々は,各車両が中継すべきか否かをより適切に判断する基準として,自身が中継することによって追加で情報が届く台数の予測値EAV(Expected Additional Vehicles)を用いる.この値の予測を深層学習によって実現を試みた.本稿では,その基礎検討結果について報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 劉 江(早大)
B-7-37 |
許容遅延を考慮した異種アドホックネットワーク間接続GWの最適配置
○宮 太地(東工大) |
B-7-38 |
車両を対象とする位置ベースサービスにおける匿名位置集合の評価法に関する一考察
◎ダンゴル ジェシャン・北 健太朗・小泉佑揮・長谷川 亨(阪大) |
B-7-39 |
測定値の密度分布を用いた有意データ領域抽出方法
○大久保敬子・鈴木敏明(日立) |
B-7-40 |
群衆ソーシングにおけるグラフベースの位置検証に関する一考察
◎笹沼涼介・小泉佑揮・長谷川 亨(阪大) |
B-7-41 |
マルチホップネットワークにおける位置名に基づくフォワーディングに関する一考察
○長谷川 亨・栗原佳輝・小泉佑揮(阪大)・上杉 充(パナソニック) |
フローに許容遅延が存在する異種アドホックネットワーク間相互接続環境において,全ノードの地理位置が把握可能としたときの,ゲートウェイ配置最適化による,許容遅延満足フロー数最大化手法を提案した.
筆者らは、位置ベースサービスにおけるプライバシー保護手法として、ユーザが興味のある位置(目的位置) を含む k 個の位置の集合(匿名位置集合)を指定して位 置ベースサービスを要求することで、サービス提供者か らユーザの目的位置を隠蔽する手法を検討している。 ただし、匿名位置集合から目的位置を推測されないため には、匿名位置集合に含まれる各位置の人気度を考慮す る必要がある。本稿では、車両を対象とする位置ベース サービスを想定し、点過程に基づく車両の位置のモデル 化 を用いて、位置の人気度を定義する手法を示す。
工場やプラントなどの様々な製造現場において,IoT(Internet of Things)を活用した状態監視の普及が進んでいる.センサから得られる情報には,電源OFF/待機/稼動等,複数の状態が混在することが多い.異なる状態が混在するデータにおいて分析精度を向上させるためには,状態を識別し,分析対象となる有意データを抽出する必要がある.本研究では,複数の状態が混在するセンサデータから,閾値や特徴量等を指定せずに,有意データ領域を抽出する方法を提案する.
位置ベースの群衆ソーシングでは、位置の正しさの検
証が課題である。例えば、ドライブレコーダーの映像を
匿名で収集するサービスにおいては、ユーザが申告し
た位置を検証するため、グラフに基づいた信頼性検証で
あるTrustRankの適用が検討されている。TrustRank
はリンクによる隣接関係をグラフとするWeb における
技術であるのに対して、位置ベースの群衆ソーシングで
は、隣接関係の構築には地理的な制約がある。本稿では、
位置ベースの群衆ソーシングに対するグラフベースの位
置検証の適用可能性を検討する。
筆者らは、これまでにNamed Data Networking(NDN) ベースのISP 網において、位置で指定した宛先のIoT デバイスにパケットを配信する、位置ベースフォワーディングを提案した。本稿では、ローカル無線インタフェースを有するが、インターネット接続機能を持たないIoT デバイスに、マルチホップ通信で配達できるよう、位置ベースフォワーディングを拡張する。
3月22日 13:00〜17:00 52号館 303教室 座長 松本延孝(KDDI総合研究所)
B-7-42 |
ブロックチェーン技術を適用した自律分散無線アクセス共用網の検討
○青山寛樹・川原憲治(九工大) |
B-7-43 |
複数ノードの通信中継による自律分散的協調型メッセージ通信システムの提案
◎市川博彬・小林亜樹(工学院大) |
B-7-44 |
ブロックチェーン上でのセンサデータ分散型取引プロトコル実装
◎横森大祐・小林亜樹(工学院大) |
B-7-45 |
宛先解決履歴を活用した呼処理リソース効率化手法の一検討
○銭谷由彦(NTT) |
B-7-46 |
大規模災害時に発生する通信途絶状況のローカルクラウドによる早期緩和方式に関する検討
○坂野寿和・トウ ルイ・矢野一人・清水 聡・鈴木義規(ATR) |
スマートフォン等の移動端末の普及に伴い、公衆無線LANサービスの拡大・無線LANアクセスポイント(以下、無線AP)の設置数増加が予想される。一般に公衆無線LANを利用するには、利用サービスへのユーザ登録が必要になるが、多種多様な公衆無線LANへ個別に登録するのは利便性に欠ける。そこで、利便性向上のために、ブロックチェーンを適用した多数多様な無線APを統括的に利用できる自律分散システムの構築を考える。ブロックチェーンは信頼できる仲介者なしに非信頼のユーザ間での取引ができる。これにより、不特定多数の異種サービスや無線AP間での連携を可能となる。
本研究では、上記システム構築のための、システム構成・必要機能について検討する。
システム参加ノードが他人の通信を中継し合うことで成り立つようなアドホックネットワークやP2Pネットワークによるメッセージングシステムにおいて、他人の通信を中継することで発生するデータをブロックチェーン上に記録し報酬を与えることによって、各参加ノードがシステムに協力する動機付けがされた自律分散的なメッセージングシステムを提案した。他人のメッセージを転送すると、報酬としてシステム内の誰かにメッセージを送信する権利が得られる。複数ノードによるメッセージ中継について検討し、利己的なシステム参加ノードによる不正について検討を行う。
IoTの普及によりセンサデータ流通が望まれており,取引プラットフォームも提案されている.一方,ブロックチェーン上でペナルティ付き秘密計算を担わせ,第三者の介在なくペナルティ付き公平性を担保する手法も提案されている.
本稿では,センサデータが継続的なストリーム型データである特徴を活かして,ブロックチェーン上で任意のコード実行を実現するプラットフォームであるEthereum上に,保証金の強制支払いによるペナルティ付き公平性を実現する分散型取引プロトコルを実装する.また,本プロトコルにおいて想定される不正についての検討を行う.
IP相互接続時の呼処理における課題(網から他網へのポートアウト/他網から自網へのポートイン該当電番への着信時、呼処理サーバで行う呼接続処理において宛先解決における空振りが発生)に対して、今回提案する手法では空振りを減らし呼処理サーバの呼処理リソース効率化が見込める。
地震や台風などによる大規模災害の発生頻度が高まるなか,レジリエントな通信確保技術が求められている.本稿では,ローカルクラウドにより通信途絶状況を早期に緩和する方式を提案する.提案方式のサービス可用性に関する基本検討を行い導入効果への期待を示す.
休 憩(14:30 再開) 座長 持田誠一郎(NTT)
B-7-47 |
探索木によるSDN網未知障害発生時の代替経路発見高速化効果
◎松浦 匠(東工大)・中山裕貴・林 經正(ボスコ・テクノロジーズ)・山岡克式(東工大) |
B-7-48 |
深層強化学習による動的仮想ネットワーク割当手法の検討
◎鈴木晃人(NTT)・安孫子 悠(静岡大)・原田薫明(NTT) |
B-7-49 |
プロアクティブ制御型ネットワークによる輻輳時間改善効果の実機評価
○小林正裕・駒井友香・原田薫明(NTT) |
B-7-50 |
プロアクティブ制御型ネットワークの実現に向けたアクセスパターンに基づいたトラヒック予測手法
◎駒井友香(NTT)・木村達明(阪大)・小林正裕・原田薫明(NTT) |
B-7-51 |
DPDKアプリケーションのリソース最適化を目指したパフォーマンス測定ツールの検討
○島仲雄大・青木弘太・丸山 充・瀬林克啓(神奈川工科大)・君山博之(東京電機大)・高橋宏和(NTT) |
ネットワークに存在する,サイレント故障と呼ばれる再現困難な未知障害は,計測による故障位置把握が困難である.そこで,従来手法では,SDNの機能を利用した高速な代替経路設定手法を提案している.
これは,代替経路探索と障害箇所絞り込みを再帰的に適用する方式であり,障害箇所絞り込みの際,障害発生領域を二分割し計測を行うが,分割位置は固定であり,効率化の余地が存在する.
そこで,本研究では,探索木を用いて,故障箇所絞り込みの過程を総当たりし,より効率的な分割位置決定を行う,高速な代替経路設定を実現した.
また,計算機シミュレーションを行った結果,従来手法と比較して障害計測コストを低減可能であることを示した.
本研究では,深層強化学習によりネットワーク状態と仮想ネットワーク(VN)割当結果の関係を事前学習し,各時刻での最適化計算を不要とすることで,リソース需要変動に追従した動的VN割当手法を提案する.
筆者らは,通信ネットワーク内外の多様なデータを分析することにより,潜在的なサービス品質劣化リスク(故障・輻輳等)や需要変化を予測し,事前の制御・早期/自動復旧を行う,プロアクティブ制御型ネットワークの研究に取り組んでいる.本稿では,プロアクティブ制御型ネットワークの主要動作の1つである,トラヒック予測による輻輳の事前回避制御に着目し,実機環境にてプロアクティブ制御を行い,仮想化ネットワークにおけるトラヒック予測の有無による輻輳時間の改善効果を評価するともに,評価結果からトラヒック予測に求められる性能要件について考察する.
本稿では,プロアクティブ制御型ネットワークの実現に向けて,要求通信品質に基づくトラヒックを予測する手法を提案する.提案手法では,利用サービス・ユーザ・アクセス時刻を基にした,アクセスの傾向(アクセスパターン)をとらえ,トラヒックをグループ化して予測する.
近年,DPDK(Data Plane Development Kit)という高速パケット処理技術により,汎用サーバを使用し,40Gbps,100Gbpsの転送速度を持つアプリケーションの実現が可能となった.DPDKは既存のLinux上の測定ツールが使用できないため,外部装置を使用したトラヒック負荷などの手段でしか性能評価できない問題がり,本稿では測定コードによる内部的な測定値の取得,可視化を行うパフォーマンス測定ツールの開発を行った.Interop Tokyo 2018で使用したDPDKアプリケーションを対象に評価を行った結果,1パケットの処理に約7~15μsec,平均して11μsec要することが確認でき,パケットを受信してから約1秒間は1パケットの処理に1.8msec要することが本ツールを用いた性能評価で確認できた.8K高精度トラヒックメータを使用したパケット処理性能の比較においては,2.558%の差がある事が確認できた.
休 憩(16:00 再開) 座長 植田一暁(KDDI総合研究所)
B-7-52 |
バンディットアルゴリズムを用いたICNパケット転送戦略の評価
◎山内智晴・相田 仁(東大) |
B-7-53 |
マルチコア NDN ルータにおける排他制御の必要な PIT の操作に関する一考察
◎山田裕太郎・武政淳二・小泉佑揮・長谷川 亨(阪大) |
B-7-54 |
キャッシュ削減手法の提案
◎山本隼人・中里秀則(早大) |
B-7-55 |
The Implementation of Integrated ICN and CDN as a Video Streaming Service
◎△Chengkai Yan・Katsuhiro Sasaki・Quang Ngoc Nguyen・Toshitaka Tsuda・Takuro Sato(Waseda Univ.) |
ICN上でのパケットフォワーディングにおいてルータがInterestの送信先を決定する際、転送先となるノードはルータのコンテンツキャッシュにより複数存在する可能性があり、加えて時々刻々と変化しうる。これに対処するため、各経路のRTT情報を転送の度に取得し、それを元に経路スコアを更新しつつ経路選択を行う手法を提案する。提案手法ではRTT情報を取得するための経路探索と得られたRTT情報に従った経路活用とをバランスよく行うために、バンディットアルゴリズムを参考に用いた。提案手法をシミュレータ上で検証し、既存のBestroute Strategy以上の遅延性能を確保しつつ経路変化に対応できることを確認した。
マルチコア Named Data Networking (NDN) ルータが複数コアで並列にパケットを処理する際には、パケット単位で書き換えが発生する Pending Interest Table (PIT) の操作を相互排他する必要がある。しかしながら、PITへの読み書きなどの操作全体に、排他制御を行うと転送速度が著しく低下する。本稿では、PIT の操作の内、真に排他制御が必要な操作の組み合わせ、これらが発生する条件を明確化する。
音楽や動画などの大容量コンテンツの普及によって増加しているサーバへの負荷を減少させるためにコンテンツ指向ネットワーク(ICN)が注目されている。ICNを用いて行われるライブストリーミングを想定し、ライブストリーミングの連続するデータを周期的に取得する特性を利用して、使用中のキャッシュを削減し、新たなコンテンツをキャッシュする容量を増やす手法を考えた。キャッシュ利用を効率化するために、コンテンツの要求周期を可変とするコンシューマを想定し、複数のユーザが同一コンテンツを要求する際に、ルータがコンシューマのコンテンツ要求タイミングをずらす指示をすることで、コンテンツの保持時間を短くする。
In this paper, we have proposed combining CDN and ICN as a 5G slice for video streaming service. Besides, note that in this research, we focus on the ICN slice design for content distribution when the content already stored at the ICN Gateway from the ICN slice. The result shows that our approach can reduce the download time effectively, especially when chunk size is big enough.
B-8. 通信方式
3月19日 9:00〜11:45 54号館 104教室 座長 藤原稔久(NTT)
B-8-1 |
TDD-HetNet における上り回線パイロット割当と下り回線干渉軽減に関する一検討
◎神渡俊介・牟田 修(九大) |
B-8-2 |
TFIによる組織的Polar符号を用いたOFDMのスループット特性改善
◎田沼直也・丸茂 稜・渡辺滉也・丸田一輝・安 昌俊(千葉大) |
B-8-3 |
一般回帰ニューラルネットワークを利用したチャネル推定と補償
○Nythanel Hoeur・大村高輝・丸田一輝・安 昌俊(千葉大) |
B-8-4 |
複素信号を用いたHTRCI法によるパイロットコンタミネーション除去
◎松原 駆・黒木 駿・勝野将人・丸田一輝・安 昌俊(千葉大) |
B-8-5 |
IQ imbalance下におけるMMSECを用いた性能改善
◎立松弘貴・阿部由希帆・丸田一輝・安 昌俊(千葉大) |
マクロセル(MC) とスモールセル(SC) が同一周波数を利用する2層ヘテロジニアスネットワーク(HetNet) では,MC とSC 間の干渉(異層間干渉)を軽減することが重要となる. 本稿では, 多素子アンテナを備えたMC 基地局(MBS) と複数のSC 基地局(SBS) からなる時分割復信(TDD) HetNet において, 下り回線の異層間干渉の軽減手法について検討した. 検討方式では, MC とSC 間の干渉チャネル状態を上り回線において直交パイロットを用いて推定し, その結果に基づき下り回線におけるMC からSCへの与干渉を軽減する. SC あたり複数のユーザが存在する場合の下り回線伝送レートを評価し, その効果を示した.
Polar符号は誤り訂正符号の一種であり,組織的符号化を行うことで符号語の中に情報ビットがそのままの形で現れる.この特性を利用し符号語の中にパイロット信号を埋め込み,データ伝送の冗長性を削減することでスループット特性の改善が可能である.本稿ではチャネル推定法としてTime-Frequency Interferometryを使用することで,さらなるスループット特性改善の方法を提案する.
高速移動体通信では,チャネルが時間的に大きく変動する.パイロットチャネル推定のみでは正確に推定できなくなる.解決方法としては判定帰還チャネル推定がある.しかし,この方法ではデータ長が長くなるほど,データ後部のチャネル推定精度が悪くなり,BER特性も劣化する問題がある.本研究では推定精度の高い前半部の判定帰還チャネル推定情報の一部のみを利用し,一般回帰ニューラルネットワークを通して学習させ,全データシンボルにおけるチャネル推定を行った.また,データシンボル数が大きくなっても,BER特性が改善できることを示した.
移動体通信において,ユーザーが隣接するセルの各基地局から同一のパイロット信号を受信した場合にチャネル推定精度が劣化するパイロットコンタミネーションが生じる.本研究では時間領域でパイロット信号の分離処理を行い,少数のシンボルでチャネルを推定することができるHTRCIを改良した新しいチャネル推定法を提案するとともにパイロットコンタネーションの影響を除去することを目的とする.
OFDM(Orthogonal~Frequency~Division~Multipulexing)においてダイレクトコンバージョン受信機はIQ~imbalanceの影響を受け,システムの性能劣化の原因となる.先行研究ではTFIパイロットに着目してIQ~imbalance推定および補償法の提案がされ,BER特性の改善がされた\cite{1}.本研究ではその後の処理であるチャネル補償法に最小平均二乗誤差(Minimum~Mean~Square~Error)を適用することで,BER特性の改善を目的とする.
休 憩(10:30 再開) 座長 高橋 賢(広島市立大)
B-8-6 |
多数デバイスを収容する携帯電話網に関する高効率通信方式-端末設置環境と信号分離性能の関係の評価-
○手塚隼人・森山雅文・滝沢賢一・児島史秀(NICT) |
B-8-7 |
プリアンブルレスOFDMシステムの同期取得における雑音の影響の低減
○篠木勇冶・一色健太郎・丸田一輝・安 昌俊(千葉大) |
B-8-8 |
プリアンブルレスOFDMシステムにおける複数シンボルを用いたタイミング同期性能改善
○一色健太郎・篠木勇冶・安 昌俊・丸田一輝(千葉大) |
B-8-9 |
CSMA/CAにおける不均一な確率密度を有するバックオフ値に基づく優先制御法の研究
◎河原祐樹・杉山隆利(工学院大) |
B-8-10 |
Throughput Maximization for Success Prioritized Non-persistent CSMA
○Daisuke Umehara(Kyoto Inst. of Tech.) |
IoT端末の普及に伴い上りトラフィックの急増が予測されている.5GではIoTへの対応が議論されており, 基地局は, 膨大な数の小サイズデータを効率的に受信することが求められる.我々は多数接続及び低遅延通信の同時実現に向けてnon-orthogonal multiple access in uplink (UL-NOMA) に基づいたコンテンションベースの上り信号の通信方式に関する研究を行っている[1].IoTで基地局が扱う端末局は, 固定されているものや移動環境にあるものなどさまざまあると考えられるが, これまで我々は3GPPのモデルである固定端末80%, 移動端末20%の環境のみ想定して検討を行っていた.そこで, 本稿では提案通信方式を用いたシステムとフェージングエミュレータを用いて, 移動端末の割合を増やすことによるシステムのパフォーマンスへの影響を評価したので, その結果を報告する.
IoTやセンサーネットワークではサイズの小さなデータが頻繁に送受信され,その度タイミング同期をおこなっている.この同期のための信号も送信していると効率が悪くなるため,ガードインターバルの周期性を利用した同期方法がある.しかしこの方法では雑音を十分に小さいと仮定しているため雑音の影響が大きい.本研究では信号と雑音の電力の比を近似せずに評価関数を算出し,雑音の影響を低減することができることを示した.
現在移動体通信の方式として広く用いられているOFDMシステムでは,シングルキャリアシステムと異なり,高い同期性能が要求される.プリアンブルを利用したシンボルタイミングを取得する方法があるが,冗長性があり,帯域利用効率が低下する問題がある.このため近年,プリアンブルを利用しないブラインド同期(プリアンブルレス)について広く研究されている.本稿ではガードインターバルの周期性を利用した同期取得法の性能改善と比較を行う.
特性の異なるアプリケーションの端末が同一WLAN内に混在する場合,CSMA/CAにより送信権が公平に与えられると,Data端末の時間占有率がVoIP端末よりも高いためVoIP端末の遅延が増加する.そこで,Data端末のAIFSをVoIP端末よりも長くする方法があるが,Data端末のスループットが劣化する.本稿では不均一な確率密度を有するバックオフ値を設定することで,VoIP端末が低遅延を保持しつつ,Data端末のスループットを改善する手法を提案する.VoIP及びData端末の混在環境を想定したシミュレーションを行い, 提案方式によるData端末のスループット改善効果を定量的に示す.
We have proposed a random access protocol, success prioritized non-persistent carrier-sense multiple access (SP-NP-CSMA) with sleep function to gain the throughput and the energy efficiency for event-driven variable-length sensor data gathering. In this manuscript, we optimize the contention window (CW) to approximately maximize the throughput for SP-NP-CSMA with reservation (SP-NP-CSMA-R).
3月19日 13:15〜17:00 54号館 104教室 座長 梅原大祐(京都工繊大)
B-8-11 |
多値変調を用いた過負荷MIMOシステムのための基底格子縮小を用いた繰り返し線形受信機の検討
◎藤原拓也・田野 哲・侯 亜飛(岡山大) |
B-8-12 |
ISDB-Tテレビ受信機における自動起動信号の間欠受信特性
○高橋 賢(広島市立大) |
B-8-13 |
雑音と1ビットアナログ-ディジタル変換器を用いた信号強度の異なるDS-CDMA信号の復調
◎△中島康雄・山里敬也(名大)・荒井伸太郎(岡山理科大)・田中宏哉・田所幸浩(豊田中研) |
無線通信のさらなる高速化を目指して,多値QAMを適用した過負荷MIMOシステムにおける基底格子縮小を用いた線形受信機構成法を検討する.16QAMおよび64QAMを用いた6×2MIMOシステムにおけるBER特性を計算機シミュレーションを用いて評価する.
ISDB-T地上ディジタルテレビ放送信号に重畳される緊急警報放送用の自動起動信号を間欠受信する方法に対して,相互情報量の点で比較した.受信Eb/N0が7 dB以上のときには自動起動信号以降からTMCC先頭までのフレーム内期間を休眠する方法を,それ以下のときにはTMCCパリティのビットパターンを用いて自動起動信号の誤検出を軽減する方法にフレーム間での間欠受信を適用すれば,より高い相互情報量が得られることがわかった.
本稿では,分解能が1ビットのアナログ-ディジタル変換器(1bit ADC)と雑音を組み合わせることによる直接拡散符号分割多元接続信号の復調手法を提案する.受信機に1bit ADCを用いることで,受信機の簡易化・低コスト化が期待できる.しかし,1bit ADCを用いる場合,量子化の影響によって,信号強度差のある複数のDS-CDMA信号を同時に受信した場合に,信号強度の小さい信号を正しく復調することはできない.提案手法では,雑音が加わることによって量子化の影響を軽減される確率共鳴現象を復調に利用することで,信号強度が小さい信号に対しても復調が可能になる.
休 憩(14:15 再開) 座長 山浦隆博(東芝)
B-8-14 |
獣害対策向けIoTシステムの検討
◎佐々木裕也・竹村大輝・寺田恵太郎・横谷哲也・向井宏明(金沢工大) |
B-8-15 |
獣害対策向けIoTシステムのネットワーク構築について
◎竹村大輝・佐々木裕也・寺田恵太郎・横谷哲也・向井宏明(金沢工大) |
B-8-16 |
工場向けエリアネットワークの大規模化と検証
◎村田篤亮・竹村大輝・横谷哲也(金沢工大)・小林靖典・小林靖弘(小林製作所) |
B-8-17 |
農業CPS向けSigfox通信端末の設計と試作
三改木朋希・秋山将輝・山之内 亘・○山崎悟史(沼津高専) |
Internet of Things(IoT)の普及に伴い、様々なIoTユースケースが検討されサービスを提供している。代表的なIoTユースケースの例としては交通インフラ、公共施設、スマートハウス、ウェアラブルデバイス、自動車、工場、農業などで、そこからニーズに合ったIoTサービスを提供するためIoTサービスは多岐にわたる。これらに加えて今まで解決できなかった社会的な課題にIoTを導入することで解決できるケースが増えている。本稿では、IoTユースケースとして過疎地域における獣害対策を取り上げ、MQTTを用いたシステムの検討を行う。
IoTを用いた多彩なサービスが検討されている。IoTの導入により、ネットワークを介した遠隔監視等が容易にできるため、今まで対策が遅れていた山間部等に対しても多彩なサービスが提供できる。これらのサービスの中で近年注目されているものとして獣害対策がある。具体的な事例としては、獣による農作物被害や人的被害への対策である。
本稿では、上記具体例のIoTネットワーク構築に対する検討について報告する。
一般に工場で導入されている工作機械はネットワークに接続できるものが少なく、価格が高価な製品が多いため、工場のIoT化を行うためにはネットワーク対応の製品を新たに購入したり、工作機械の導入に伴う従業員の研修等で大きな投資を行う必要がある。本稿では、既存の工作機械に本体に変更を加えずIoT対応の通信インタフェースを取り付けることで容易にネットワークに接続できるできるような仕組みと、それらを接続するセンサネットワーク構築を示し、その検証を報告する。
近年,異常気象などの多くの災害被害は,農作物の収穫に深刻な影響を与えている.その一対策として,2012年から我々はCPS (Cyber-Physical System)を地域農業に導入し,ハウス内の温度・湿度などの環境情報を解析し収穫量推定を検討してきた.現在稼働中の農業CPSは,マルチホップ通信に伴うデータ欠損が原因でデータ解析精度の劣化を招いていた.そこで本稿では,通信の長距離化を主目的としてLPWA(Low Power Wide Area)に着目し,Sigfox通信規格を実装したセンサ端末を設計・試作した.その概要とフィールド性能評価について述べる.
休 憩(15:30 再開) 座長 神谷聡史(NEC)
B-8-18 |
DASH配信時のON-OFF状態を考慮したビットレート選択手法
○河上晃司・金井謙治・甲藤二郎(早大) |
B-8-19 |
主観画質に基づく符号化方式を用いたDASH配信手法のQoE評価
◎長島達哉・金井謙治・甲藤二郎・坂本雄輔・竹内 健(早大) |
B-8-20 |
無線ネットワーク環境下におけるTCP Venoに基づくMultipath TCP輻輳制御の性能評価
◎前林伸治・金井謙治・甲藤二郎(早大) |
B-8-21 |
IoTネットワーク環境下におけるIoT向け通信プロトコルの遅延特性評価
◎関根 響・金井謙治・甲藤二郎(早大) |
B-8-22 |
oneM2Mを用いたIoT用アプリケーションプロトコルの性能評価
◎萱沼広稀(玉川大)・奥井宣広・三宅 優(KDDI総合研究所)・山﨑德和(玉川大) |
B-8-23 |
スケールフリートラヒックを収容するネットワークにおける割り込み型優先制御方式のリンクロスの評価
○児玉 司・横谷哲也・向井宏明(金沢工大) |
近年,ビデオトラフィックの爆発的な増加に伴い,ユーザ間でより高品質で公平な映像配信を実現するために,有限なネットワークリソースの効率的な運用が課題となっている.そこで筆者らは,Dynamic Adaptive Streaming over HTTP (DASH) 配信時の特徴的な受信バッファ制御であるON-OFF制御に着目し,ユーザ間で通信状態であるON状態が可能な限り重複しないようにスケジューリングすることで,DASH配信時のQuality of Service (QoS) 及びQuality of Experience (QoE) 向上を目指す.
近年,映像配信サービスの爆発的な普及に伴い,映像トラフィックが急増している.この結果,映像コンテンツによるネットワーク帯域の圧迫が問題となっており,競合時においても高品質性を維持する映像配信手法の確立が重要な課題となっている.そこで,本稿では,MPEG-Dynamic Adaptive Streaming Over HTTP (DASH) [1] による映像配信時のQuality of Experience (QoE) の向上を目的とし,主観画質に基づく適応符号化方式を用いた際のDASH配信特性を評価する.
近年,モバイル端末によるネットワークの利用率が爆発的に増加しており,主に,4GやWiFiといった多様な無線ネットワークが利用されている.その際,異なる通信規格あるいは通信経路を同時に使用することができるMultipath TCP(MTCP)を利用することで,スループットの向上や耐障害性の向上が見込める.しかしながら,既存のMTCPの輻輳制御はいずれも無線ネットワーク環境を考慮して設計されていない.そこで本稿では,無線ネットワークに対応するTCP Venoを参考にし,MTCPへ拡張したWeighted Veno (wVeno) を提案し,その性能評価を行う.
近年,様々なモノがインターネットへつながるIoT時代が到来し,世界中においてIoTデバイスが急速に普及し,爆発的に増加している.その背景のもと,IoT用途に用いられる代表的なアプリケーション層の通信プロトコルとしてHyper Text Transfer Protocol (HTTP),Constrained Application Protocol (CoAP),Messaging Queuing Telemetry Transport (MQTT)など多様なプロトコルが利用されている.本稿では,IoTネットワークを想定した環境下でこれら通信プロトコルのデータ通信時の遅延特性を比較評価する.
近年,ネットワーク技術の進化やセンサーデバイスの進化に伴う低コスト化などにより,これまでインターネットに接続されていなかった様々なモノがインターネットに接続されるIoTの普及が進みつつある.
本研究では, IoTで使用されているプロトコルであるHTTP, MQTT, CoAPを用いて,実利用を想定して,oneM2Mを使用しペイロードに数バイトから数キロバイトのデータを載せプロセス間通信を行い,それらの性能評価を実施する.
ネットワークには、4k・8kなどの超高精細映像トラヒックや、IoT機器から送信される微小なトラヒックなど、特徴の異なる多彩なトラヒックを同一ネットワークに収容することが求められている。これに対応するため、フレームの完全蓄積を不要とする、カットスルー転送が可能な「Copy方式」が提案されている。しかし、Copy方式は通信帯域の利用効率について問題視されている。はCopy方式の課題である通信帯域の利用効率について検討する。
3月22日 9:30〜11:45 54号館 104教室 座長 名倉健一(三菱電機)
B-8-24 |
タイムスロットを用いたOLTの省電力化に関する研究
◎宮鍋慶介・西山大樹・加藤 寧(東北大) |
B-8-25 |
分散PONシステムにおける冗長化の考察
○藤野健治郎・河本一貴・濱田洋平(住友電工) |
B-8-26 |
PONの段階的な速度アップグレードを実現する下り転送方法
◎原田臨太朗・鵜澤寛之・中村浩崇・寺田 純(NTT) |
B-8-27 |
TASを適用したL2-NWにおけるモバイルフロントホール収容時の低優先トラヒックの動的経路選択に関する一検討
○柴田直剛・鵜澤寛之・深田陽一・寺田 純(NTT) |
近年,あらゆるものがインターネットに接続されるIoT時代が到来している.
これに伴い,ネットワークに求められる要求も多様化している.
そこで,多様化した要求に対応するために高密度な基地局の配置や集中制御を行うC-RANC-RAN(Cloud-Radio Access Network)に着目する.
本稿では,C-RAN にFiWi(Fiber Wireless)を組み合わせたネットワークを想定し,FiWi を構成するOLT(Optical Line Terminal)とONU(Optical Network Unit)の通信を制御することで省電力化を図る.
ここでは,最適なタイムスロット数を導出することでOLT における消費電力を最適化する.
従来型PONシステムが抱える課題(PON区間長の問題、ファイバ心線不足、局舎電源不足)の解決を図る分散PONシステムを提案している。しかし、分散PONシステムは遠隔地に設備を置くため、ファイバ切断等に対する信頼性確保が課題であり、解決策の一つとして冗長構成がある。分散PONシステムでは遠隔装置と上位装置間はイーサネットに準拠するネットワークで構成されるため、冗長構成としてスター型とリング型が考えられる。
本稿では分散PONシステムにおける信頼性確保のための冗長構成について、検討結果を報告する。
Mobile Frontfaul (MFH)の経済的な構築のため,TDM-PONの適用が検討されている.モバイルシステムは需要に応じて段階的に速度アップグレードする傾向にあるため,MFHをPONで構築した場合にはPONもこれに対応できる必要がある.本稿では,このような場合におけるPONの下り転送方法を提案する.
モバイルフロントホール(MFH)をレイヤ2-NW(L2-NW)で構築することが検討されている[1].特にIEEE802.1Qbv[2]では,周期的に到来する高優先トラヒックをTAS(Time Aware Shaper)により優先的に伝送できるため,MFHとその他低優先トラヒックを同一L2-NWで収容した場合でも,MFHの要求遅延を担保できる.本稿では,TASを適用したL2-NWにおける低優先トラヒックの動的経路選択を提案し,シミュレーションにより帯域利用効率向上効果を評価する.
休 憩(10:45 再開) 座長 黒木圭介(KDDI総合研究所)
B-8-28 |
仮想網のサービス特性を考慮したTWDM-PONの下りスケジューリング方式の検討
○岡本駿志・中平佳裕・鹿嶋正幸・佐々木浩紀(OKI) |
B-8-29 |
フロントホール遅延要件を考慮したTDM-PONにおける送信可能ONU数改善に向けた検討
◎久野大介(阪大)・中山 悠(青学大) |
B-8-30 |
AMCCを用いた波長可変型WDM-PONプロテクションの検討
◎本田一暁・中村浩崇(NTT)・曽根恭介・中川剛二・廣瀬佳生・星田剛司(富士通)・寺田 純(NTT) |
B-8-31 |
WDM-PONシステムにおけるAMCCを用いたOLTプロテクション
○曽根恭介・中川剛二・廣瀬佳生・星田剛司(富士通) |
アクセス装置を含む5Gモバイルのフロントホール/バックホールの仮想化方式が検討されている.我々はTWDM-PONをアクセス装置に用いた際に,仮想ネットワーク(vNW)の資源をサービス特性に応じて割り当てる方式を検討してきた.TWDM-PONでは波長切替に伴うパケットロスを防ぐため,切替中に到着した下りパケットを通常のキュー(スルーキュー)とは異なる切替専用のキュー(切替キュー)に格納する等の対策をしている.ここで,切替後に発生する切替キューからの読出し遅延はサービスに影響を与える可能性があり,波長切替後に発生する下り遅延の影響を低減する仕組みが必要と思われる.そこで,本稿では,切替対象vNW/対象外vNWで提供されるサービス特性に着目し,サービス特性に応じて適切にキューから読出す制御方式を検討する.
厳しい遅延要件を持つフロントホールをTDM-PONにより収容する際に,上り制御遅延を抑制するモバイル動的帯域割当(M-DBA)が提案されている.
M-DBAでは,全RUの合計スループットがTDM-PONの通信容量を超えるとき,帯域を割り当てられたOptical network unit (ONU)の送信順序によっては,遅延要件内に送信可能なONU数が低下するといった課題が存在する.
本稿では,遅延要件内に送信可能なONU数を最大化する手法について検討したため,その結果を報告する.
モバイルトラヒックは近年爆発的な増加を遂げており,その収容のために第5世代移動通信システムの研究開発が活発に行われている.そこでは高密度かつ多数のスモールセル配置が想定され,効率的な保守運用が必要となる.我々はこれまで,MFH(Mobile fronthaul)区間へのWDM-PON適用,及びAMCC(Auxiliary management and control channel)を用いた監視制御チャネルの実現性や必要となる監視制御機能について検討してきた.本稿では,その機能の一つとして,光ファイバ区間におけるプロテクション機能について提案する.
WDM-PONシステムのAMCCを用いた遠隔監視制御機能の1つとして、OLTプロテクション手法の提案を行い、実証実験により、その実現性を確認した。
3月22日 13:00〜16:45 54号館 104教室 座長 久保亮吾(慶大)
B-8-32 |
光/RFハイブリッド・ワイヤレスシステムにおける切替え手法に関する一検討
◎椎名亮太・原 一貴・谷口友宏・池田 智(NTT) |
B-8-33 |
一波長双方向WDM-PON伝送における反射光の影響
◎渡瀬裕紀・紫尾田 将・久野大介・丸田章博(阪大) |
B-8-34 |
一波長双方向WDM-PON伝送におけるカプラ反射光の補償
◎紫尾田 将・渡瀬裕紀・久野大介・丸田章博(阪大) |
B-8-35 |
ランダム遅延を持つサブチャネル識別を可能とする光OFDM信号変復調手法に関する検討
○YIQI ZHANG・植之原裕行(東工大) |
B-8-36 |
25G級光アクセスネットワーク向け変調方式の基礎検討
○自念圭輔・船田知之(住友電工) |
通信サービスを利用するユーザの位置変化に応じて,光無線とRF無線を柔軟に切替える状況を想定した場合の,照度を利用した切替えに関する検討を行った結果を報告する.
大容量通信を行う次世代のPON(Passive Optical Network)システムを実現するために,従来のシステムに波長分割多重 (WDM)技術を導入したものが標準化されている.そこでは,上下リンクで異なる波長を用いることを想定しているが,今回,更なる帯域利用効率の向上にむけて,上下リンクに同一波長を用いた光伝送を行うことを検討する.しかしながら,一波長双方向伝送では,信号光の反射が干渉成分として現れる.本稿では,一波長双方向伝送において信号劣化の主要因となる反射光の影響を補償する手法の提案を行う.シミュレーションで提案手法を適用したときのビット誤り率評価を行ったため,その結果を報告する.
モバイルバックホール等の大容量かつ低遅延性能が要求されるサービスを収容するために,波長分割多重型Passive Optical Network(WDM-PON)の実現が期待されている.一般的なWDM-PONでは,上下リンクで異なる波長を用いて,一芯双方向伝送を実現している.今回,更なる帯域拡大に向けて,上下リンクに同一波長を用いた光伝送を行うことを検討する.本稿では,一波長双方向伝送を行った際に信号劣化の主要因となる反射光の影響についての理論解析を行った結果を報告する.
近年、5Gに代表される高速モバイル通信のデータを担える大容量・高速な光アクセスネットワークへの要求が高まっており、応用例としては低遅延性も強く求めるモバイル・フロントホールなどへの光・無線融合通信技術が考えられている。光アクセスシステム高速化としてNG-PON2の標準化および100Gbps級の検討も始まっているが、この仕様よりも大容量・データのやり取り頻度が高いと思われる状況への対応のため、より接続数・周波数・回線利用効率の高い低遅延のアクセスシステムの実現が重要だと思われる。この目標を実現するために、我々は光OFDM技術を利用し、ランダムに遅延したサブチャネルを持つOFDM信号の使用を検討している。今回、ランダム遅延を持つサブチャネル識別を可能とするOFDM信号変復調に関する検討をしたので、その結果について報告する。
近年、アクセスネットワークの広帯域化が求められている。現在標準中の50G-EPONでは1波長あたりの伝送速度が25Gbpsまで高速化しており、更に50Gbpsについても検討が進められている。このような通信の高速化に伴い、通信機器全体のコストに対する光トランシーバの占める割合の増加が大きな課題となる。この課題に対し、ディジタル信号処理を使った変調を使うことで、光部品のコストを抑えながら高速化を実現する手法は有望な解決策の1つである。しかしながら、この手法では光部品の非線形性により伝送特性が劣化してしまうという別の課題がある。今回、種々の変調方式の中で、PAM4 (Four-level pulse amplitude modulation)及びEDB (Electrical duobinary)について、光部品の非線形性を考慮したシミュレーションを行ったので報告する。
休 憩(14:30 再開) 座長 宮田純子(芝浦工大)
B-8-37 |
スライス生成・管理のための通信リソース抽象化手法
◎長沢明子・名倉健一・末廣 雄・平野幸男・小崎成治(三菱電機) |
B-8-38 |
リングNWとの相互接続方法に関する一検討
○木村英明・森田章弘・竹下絵莉奈・岩城亜弥子・矢沢 豪・吉原慎一・寺田 純(NTT) |
B-8-39 |
SD-WANの中継ネットワークにおけるエンド間の通信品質保証のための適応的制御の提案
◎竹下絵莉奈・木村英明・岩城亜弥子・矢沢 豪・森田章弘・吉原慎一・寺田 純(NTT) |
B-8-40 |
路面状況情報の交換を目的とした3波長V2X通信システム
○△櫻庭 彬(岩手県立大)・伊藤孝徳(岩手大)・柴田義孝(岩手県立大) |
第5世代移動通信システム(5G)では,低遅延,大容量,多数同時接続といった様々なサービスの性能要件に合わせて,迅速・柔軟にスライスを生成することによりサービスを提供することが想定される.筆者らはこれまで,スライス生成時の管理負荷低減のために,物理通信リソースを抽象化した抽象リソースを用いる手法を提案した.従来の抽象リソースモデルの課題として,5G サービスの主な性能要件である,遅延量,データレート,稼働率を考慮した抽象化手法が十分に検討できていないことが挙げられる.本稿では,これらの課題を解決するため,(1)5G性能要件を表現する抽象リソースモデルの定義,および,(2)抽象リソース生成手法,を提案し,抽象リソースを用いたスライス生成の性能評価結果を示す.
広域イーサネットを実現する手法として,ERP (Ethernet Ring Protection) を適用したリングNWが普及している.一方,近年,EVPN(Ethernet-Virtual Private Network)を用いたL2VPN (Layer 2 VPN)基盤も普及しており,リングNWと他方式により実現されたL2VPN基盤(以降,他NW)との連携が求められつつある.本稿では,リングNWと他NWとを高い信頼性で相互接続する方法について述べる.
SD-WAN ( Software Defined-WAN )の中継ネットワークにおける,エンド間の通信品質を保証するためのネットワークの変動に適応的な制御を提案する.
本稿では,自動運転車への応用を意識した路面状況情報の共有のための車車間・車路間通信手法について述べる.本システムでは,対向車との車車間通信および,路側中継サーバを経由する車路間通信を,異なる特徴を有する複数の無線デバイスからなる無線リンクを通信状況やデータの種別に応じて動的に切り替えるコグニティブ無線方式により,大容量のデータ通信を実現することを目指す.通信性能の評価実験を実フィールドで実施し,プロトタイプシステムを構成する環境では,200m以内において現実的なネットワークスループットを提供できることを確認した.
休 憩(15:45 再開) 座長 斉藤洋之(OKI)
B-8-41 |
NDNにおけるSFCのファンクションの確率的実行
◎伊藤智彦・中里秀則(早大) |
B-8-42 |
キャッシュネットワークにおける自己消去的手法によるBreadcrumbs+方式の拡張の検討
◎熊本洋平・中里秀則(早大) |
B-8-43 |
ICN上のコンテンツ分布
○藤永一生・中里秀則(早大) |
B-8-44 |
NDNにおけるネットワーク遅延とキャッシュ容量に基づくキャッシュ方式
○山﨑飛龍・中里秀則(早大) |
Named Data Networking (NDN)を利用したサービスファンクションチェイニング(SFC)において、実行するファンクションを選択する手法の一つとして、ファンクションを確率的実行する手法を提案し評価する。
現在、インターネットを流れるトラヒックは、映像ファイルやソフトウェアのアップロードデータなどの大容量コンテンツが大部分を占めており、これらに起因するサーバ負荷の増大が問題となっている。この問題の解決策として、ネットワーク内のルータにキャッシュする手法が提案されている。この手法において、キャッシュへのクエリ誘導方式としてBreadcrumbs(BC)方式が提案されている。また、BC方式には、Breadcrumbs+(BC+)方式や、自己消去型Breadcrumbs(自己消去型BC)方式などが提案されている。本稿では、BC+方式に自己消去型BC方式の手法を取り入れた更なる拡張方式を提案し、その性能評価を行う。
ICNの大きな特徴の一つに、ルーター上にコンテンツを配置するキャッシュという技術がある。サーバーより近いルーターにキャッ