プログラム
format_list_bulleted通信ソサイエティ
一般セッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
B-1. アンテナ・伝播A(電波伝搬,非通信利用)
3月17日 11:00〜12:15 総合科学部 K棟2F K210講義室 座長 太田喜元(ソフトバンク)
B-1-1 |
ドローンを用いた伝搬測定によるハイトゲインの検討
○山田 渉・久野伸晃・中村光貴・佐々木元晴(NTT)・西森健太郎(新潟大) |
B-1-2 |
ドローンを用いたITS融合ネットワークの構築とその実証
◎△仲栄真一成・辻野拓音・我那覇 翔・藤井 知(沖縄高専)・吉川憲昭・飯塚正孝・木下研作(サイバー創研) |
B-1-3 |
セルラ通信環境における車載アンテナの受信偏波特性の測定
◎岡本清立・川合優樹(同志社大)・聖川 桂(小島プレス)・岩井誠人・衣斐信介(同志社大) |
B-1-4 |
縦列走行V2V通信ドップラースペクトル[I] –シミュレーション–
山口 良・○芹澤弘一・豊見本和馬・宮下真行(ソフトバンク) |
B-1-5 |
縦列走行V2V通信ドップラースペクトル[II] –定式化–
○山口 良・芹澤弘一・豊見本和馬・宮下真行(ソフトバンク) |
ドローンに代表されるUAVを活用した物流などの各種サービスの実用化に向け,研究開発が活発に行われている.しかし,上空利用を想定した電波伝搬の検討は数少ないため,都市内UAV利用のための無線エリア設計法については未だ確立されていない状況である.そこで本稿では,モデル化に向けた初期検討としてドローンを測定系に活用したハイトゲイン評価結果について報告する.
ドローンを用いたITS融合アドホックネットワークを提案し、システムの構築とその実証を行った。5.7GHzの電波伝搬特性の実験結果から、地上・海上とも干渉によるフェージングが約25dBと大きい。また、アドホックネットワークを構築することで、しない場合に比べてスループットと受信レベルが改善された。学会当日ではその他の高度の2.4/5.7GHz電波伝搬特性とアドホックネットワークの評価の詳細についても報告する。
セルラ通信環境等において,車両設置を対象としたアンテナの必要性能は垂直偏波の利得により規定されることが多いが,実際の環境ではマルチパスなどの影響により水平偏波成分も大きな強度で到来するものと考えられる.したがって,この特性を考慮した車両用アンテナ開発が有効となると考えられるが、その実現には交差偏波識別度(XPD: Cross- Polarization Discrimination)の把握が必要である.本報告では,セルラ通信環境におけるXPDの分布を測定したので報告する.
縦列走行V2V直接通信における電波伝搬に関して,直接波,路面反射波,路面散乱波および2つの路面・車両多重散乱波の5つの伝搬経路(伝搬パス)に分類し,ドップラースペクトルをシミュレーションにより求める.
縦列走行V2V直接通信における電波伝搬に関して,2倍波スペクトルをもつ路面・車両多重散乱波はJakes一様散乱リングモデルと類似した周波数シフト特性をもつ.本稿ではこの点に着目して2倍波スペクトルの閉形式での定式化を行う.
3月17日 13:30〜17:30 総合科学部 K棟2F K210講義室 座長 佐々木元晴(NTT)
B-1-6 |
テラヘルツセンシングのための実スケール簡易FDTD法
○藤原 陸・荒原克樹・相馬翔太・中林寛暁・水津光司・長 敬三(千葉工大) |
B-1-7 |
インターディジタル構造を導入したメタサーフェイス反射器
○大西健斗(香川高専)・丸山珠美(函館高専)・塩沢隆広(香川高専) |
B-1-8 |
アンテナ間導体壁上面に設置したEBG構造による干渉抑圧の一考察
◎大橋諒太郎・田中 泰・瀧川道生・米田尚史(三菱電機) |
B-1-9 |
日食における中波放送波強度の観測
○深見哲男(石川高専)・長野 勇(金沢大)・東 亮一(石川高専) |
B-1-10 |
電磁波を用いた海中位置推定システムにおける波対策の基礎検討
○小林大希・加藤涼介・高橋応明(千葉大) |
近年,テラヘルツ波を用いた高周波・広帯域の特長を活かしたセンシングの研究が進められている.そのようなテラヘルツセンシングにおいて,測定システムを要因とする誤差は,測定結果に大きな影響を与える.センシング技術の向上には,このような誤差が発生しにくいFDTD法による電磁界シミュレーションの導入が有効であると考えられる.しかし,テラヘルツ波の波長の短さから,正確な結果を得るためにはセルサイズを小さくする必要があり,実スケールで計算を行うには計算機資源の点で問題が生じやすい.本報告では,そのような問題を解決するテラヘルツセンシングにおける実スケールでのFDTD解析を可能とする簡易計算法を提案する.
本研究では,従来のメタサーフェイスにインターディジタル構造(凹凸構造)を導入し,この構造パラメータにより反射位相を制御する方法を提案する.5.6GHzにおける構造パラメータ(凹凸の深さ)と反射位相の関係をシミュレーションにより求めた.この結果より垂直入射に対し20°で反射する反射器を設計した.現時点では制御可能な反射位相範囲が300°に限定される.このため指向性は強くないが設計値に近い約23 の反射角をシミュレーションにより確認した.今後,制御可能な反射位相範囲を広げること,偏波依存性の検討などに取り組む予定である.
複数のアンテナから構成されるシステムにおいてアンテナ間の干渉が問題となることがある.本稿では,2つのアンテナ間に導体壁が配置された系における電磁バンドギャップ(EBG: Electromagnetic Band Gap)構造による干渉抑圧効果について検討する.
日本において,2019年1月6日と2019年12月26日に部分日食があった.太陽光が生成源である電離層D層は,中波の電離層反射波の減衰に大きく影響する.つまり,昼間D層のため受信できないが,夜間D層が消滅するため遠方まで到達する.2012年5月21日の金冠日食時に石川県津幡において500kHzから1500kHzまでの中波放送波帯の電界強度を観測したが,数波しか反射波を観測できなかった。今回,特に2019年1月6日の部分日食時は,金冠日食と日出から日食に至る過程が時間的に同様であるが,日射遮蔽量が金冠日食の半分以下の特徴があった.しかし,中波放送波強度を水平方向無指向性の垂直ダイポールアンテナで観測したところ金冠日食より多くの放送波が観測された.
水難事故の発生件数はここ数年ほぼ一定で,ほとんど減少が見られない.水難事故の際に救助活動を行うのは主にダイバーである.水中におけるダイバーの位置の特定により,救助活動を支援することを想定し,低周波数帯の電波を用いた3次元海中位置推定システムの検討が行われている.本研究では,10kHzの電磁波を用いた海中位置推定システムにおける波対策の基礎検討として,波の有無による海面上空の伝搬の解析を行い,受信アンテナの空中配置の有用性を確認した.また,受信電力強度(RSS)を用いた3次元位置推定を,海面上の波の有無に分けて行い,目標の位置推定誤差2m以内を達成した.
休 憩(15:00 再開) 座長 北尾光司郎(NTTドコモ)
B-1-11 |
大規模屋内空間における伝搬特性
◎嶌田斐呂・前山利幸(拓殖大)・山本尚武・菱川哲也(パナソニック)・齋藤健太郎・高田潤一(東工大) |
B-1-12 |
T字路における伝搬解析の一検討
◎荒川祐也・嶌田斐呂・前山利幸(拓殖大)・山本尚武・菱川哲也(パナソニック)・齋藤健太郎・高田潤一(東工大) |
B-1-13 |
機械学習を活用した都市部伝搬損失推定における学習地点誤差と推定精度の関係
○久野伸晃・山田 渉・佐々木元晴・淺井裕介・鷹取泰司(NTT) |
B-1-14 |
都市環境モデルの伝搬特性推定を目的とした大規模FDTD解析の適用
◎吉江明花・日景 隆・山本 学・大宮 学(北大)・久野伸晃・山田 渉・淺井裕介・鷹取泰司(NTT) |
B-1-15 |
大規模FDTD解析による4.4GHz帯WAICシステム設計のための機外漏洩波特性推定
◎関口徹也・日景 隆・山本 学・野島俊雄(北大)・二ッ森俊一・森岡和行・河村暁子・米本成人(海上・港湾・航空技術研究所) |
大規模領域の電磁解析において, FDTD法では大きな計算リソースを必要とするため適用方法に検討が必要である. 本研究では,FDTD法とレイトレース法の併用を目指した初期検討としてレイトレース法の最大反射回数を増やし,計算の収束状況を評価領域の電界分布の累積確率について比較評価を行なった.オフィスモデルにおける4箇所から3m角の領域について空間的フェージングの比較評価を行なった.xy面では,直接波が支配的で,周囲からの反射が少ない仲上ライス分布となった.対してxz面は天井と床の反射が支配的となりレイリー分布となった.これは,レイトレースにおける反射回数が十分にあり,計算結果についても収束していると考えられる.
反射波と回折波が複雑に干渉する見通し外環境において電磁界数値解析手法であるFDTD法での伝搬解析は,大きな計算リソースを必要とするため適用方法に検討が必要と考えている.
本稿ではFDTD法とレイトレース法における適応方法の検討を行うため,T字路という直接波が届かない伝搬環境を例として,実測とシミュレーションの比較より検討した結果を報告する.
見通し内ではFDTD法とレイトレース法ともに実測とほぼ等しい結果を示したが,見通し外では,FDTD法と実測は良い一致を得ているが,レイトレース法は実測と大きく乖離している.
原因としてT字路となる見通し外では,反射波が廊下に十分に侵入していないことが原因と考える.
アンテナ・伝播研究会が開催した"共通のデータに基づく電波伝搬モデリング"を課題とするコンペティションにおいて,筆者らは配布データの伝搬経路を考慮したパラメータを用い機械学習を活用した推定手法を提案した.一般的に機械学習には大量のデータが必要とされる.しかしながら,そのレベルや位置情報に不確かさを有している可能性があり,本研究では位置情報について推定精度に与える影響について検討した.
次世代移動通信のための高速かつ高品質な無線通信環境の実現においては,複雑な電波伝搬特性の把握と高精度で効率の良い無線回線設計が必須であり,そのためには的確な伝搬モデリングが重要となる.従前,都市環境モデルの伝搬推定においてはRay-trace解析が多く行われている.さらに,Ray-traceと他の解析手法,例えば,地下街基地局アンテナによる人体ドシメトリや車車間通信評価を目的としたFDTD法とのハイブリッド解析なども提案されている.著者らは,大規模FDTD解析を用いた電波伝搬特性推定法について検討し,屋内や乗り物内などの多重反射環境における高精度かつ空間網羅性に優れた損失推定モデルについて検討を行ってきた.本研究は,今後ますます複雑化および多様化する都市環境における電波伝搬特性について大型計算機の資源を積極的に活用した大規模3次元Full-wave解析の適用を図り,新たな高精度伝搬モデリング構築法の確立を目的とする.本稿では,大規模FDTDシミュレーションについて,都市環境モデル電波伝搬特性推定への適用性検討を行う.計算には,北海道大学情報基盤センターのスーパーコンピュータシステムGrand Chariotを利用した.
航空機の運用コスト低減を目的として非常用照明などへの通信を担うワイヤハーネスを無線代替する航空機内データ通信システムWAIC(Wireless Avionics Intra-Communication)が検討されている.WAICシステムはAVSI(Aerospace Vehicle Systems Institute)により,4.2-4.4 GHz帯の利用が提唱されている[1].本稿では,アンテナ開口面に基づく窓部分の電磁界特性を評価した.
休 憩(16:30 再開) 座長 吉敷由起子(構造計画研)
B-1-16 |
工場内マイクロ波無線給電における人体上の電力密度推定
○グエン マインタイ・村井彬人(オムロン)・山田寛喜(新潟大) |
B-1-17 |
人体数を考慮した屋内の駅改札口周辺における伝搬損失距離特性
○中村光貴・山田 渉・佐々木元晴・浅井裕介・鷹取泰司(NTT) |
B-1-18 |
屋内建材近傍設置条件における空間相関特性の検討
○山本尚武・菱川哲也(パナソニック)・齋藤健太郎・高田潤一(東工大)・前山利幸(拓殖大) |
B-1-19 |
ロボットのための低アンテナ高5GHz帯電波伝搬の検討
○竜田明浩・笹井裕之・廣瀬元紀・重兼聡夫・上松弘幸・安藤 健(パナソニック) |
マイクロ波無線給電は長距離給電が可能であり様々な分野への適用を目指して研究が行われている.その中で,工場で使用されるセンサへの応用がセンサの断線防止,省配線の観点で期待される.一方 ,人体に影響を及ぼさないように電波防護指針を満たす必要があり,実用化に向けての課題の一つである .給電時に人体が存在する空間上の電力密度(以下,人体上の電力密度)が防護基準値を超えないように給電側で人体上の電力密度を把握し,その値に応じて送信電力を制御する必要がある.本稿ではマルチパスが多い工場内でも実装が容易で比較的精度が高い人体上の電力密度推定方法を提案し,シミュレーションにてその効果を確認した.
第5世代移動通信システムでは,混雑環境等の高トラフィック環境で高周波数帯の利用が検討されている.高周波数帯の伝搬損失は,人体等の遮蔽で大幅に増加するという報告があるが,混雑環境で,人体数の変動が伝搬損失距離特性へ与える影響は明らかでない.同じ混雑環境でも人体数は異なるため,無線システムの設計には人体数が伝搬損失距離特性へ与える影響の解明が必要である.本稿では,屋内環境において,人体数の変動が伝搬損失距離特性へ与える影響について検討した結果を報告する.
近年, IoT (Internet of things) の普及により屋内で利用される様々な家電・設備機器が無線システム化されており, 今後更なる普及が見込まれる. 一例として照明制御システムがあるが, 照明器具とコントローラは, 壁や天井などの建材近傍に固定設置される場合, セルラーのような移動による受信性能の改善は期待できない. 従って固定設置される無線システムにおいては, ダイバーシチアンテナによる性能改善が効果的と考える. 利用環境における到来波の受信電力とその到来角度を表す角度プロファイルの把握は, ダイバーシチアンテナの設計に必要である. そこで, 本稿ではオフィスを想定した簡易モデルにおいて, 角度プロファイルをシミュレーションで求め, 空間相関特性を理論計算により導出したのでその結果について報告する.
ロボットの無線通信搭載時のアンテナ高が低い場合に着目し,5GHz帯の電波伝搬の評価結果について述べる.
3月18日 9:45〜12:15 総合科学部 K棟2F K210講義室 座長 市坪信一(九工大)
B-1-20 |
電気的な指向性制御による920MHz帯RFIDの読取り率改善法
◎佐々木亮輔・舟山空良・山尾 泰(電通大) |
B-1-21 |
桑農場の灌木列に対する920MHz帯電波伝搬方向特性のアンテナ高依存性
◎中野由顕・岡田直樹・島崎仁司・一田昌利(京都工繊大) |
B-1-22 |
920MHz帯電波を用いた土壌水分量の推定手法の基礎検討
◎岡本真美・小林 真・西 正博・新 浩一(広島市立大) |
B-1-23 |
920MHz帯無線を用いたヒト室内移動経路推定手法の基礎検討
◎堀田禎之介・西 正博・新 浩一・小林 真(広島市立大) |
近年,RFID(Radio Frequency Identification)は,流通をはじめ様々なところで用いられている.RFIDの実用上の重要な点として,読取り率が挙げられる.読取り率を低下させる要因として,周囲環境から生じる電波の定在波の影響がある.定在波の影響を緩和するために本研究では,金属導体素子を用いることで,電気的にリーダライタ(R/W)アンテナの指向性を制御する方法を提案する.その結果,金属導体素子をスイッチで切替えることで電気的にR/Wアンテナの指向性を制御可能なことが確認できた.またそれを用いることで,RFIDの読取り率を改善できることを電磁界解析シミュレーションで確認した.
本報告では,桑農場における920MHz帯電波伝搬特性について,桑の灌木列方向に対する伝搬方向特性のアンテナ高による影響について測定を行った.送受信アンテナの高さを1.5mおよび0.3mの2通りとし,アンテナ間距離を保ちつつ受信アンテナの位置を変え,RSSI(受信信号強度)の測定を行った.その結果、伝搬方向が約10°から約120°の場合に,アンテナ高さが1.5mのときは変化がない一方,アンテナ高さが0.3mのときは依存性がみられた.桑農場の灌木列に対する伝搬の角度特性がアンテナ高さによって変化することがわかった.
2018年に西日本を中心に起こった豪雨による土砂災害被害によって多くの被災者や犠牲者が出た.
土砂災害前兆現象として地盤内に含まれる水分量の上昇することが,
抵抗型土壌水分量センサによって観測されている[1].
しかしながら,抵抗型土壌水分量センサにはプローブ端子の腐食,電気的ショックへの低い耐久性,「点」的な測定しかできないという物理的な課題がある.
本稿では抵抗型土壌水分量センサに代わる920MHz帯電波を用いた「面」的土壌水分量推定手法を提案する.
高齢者の見守りや働き方改革にともなう労働者の勤務状況の把握など,
様々な場面でヒト室内移動検知技術が求められている.
IoTで使用されている920MHz帯電波伝搬の変動を観測することで,ヒト室内移動経路を推定するシステムの構築を目指している.
本研究では,室内におけるヒト移動経路推定の可能性について
実験による評価を行った.
休 憩(11:00 再開) 座長 芳野真弓(日本電業工作)
B-1-24 |
都市部マクロセル環境における伝搬損失の2-26GHz帯周波数特性
○佐々木元晴・中村宏之(NTT) |
B-1-25 |
回折伝搬におけるビームフォーミングの挙動
○大植裕司・新海宗太郎・橋本和樹・山崎 聡・山田英之(パナソニック) |
B-1-26 |
車内構造物における60 GHz帯の反射及び透過の基礎的調査
○松井研輔・金子裕哉(矢崎総業)・金 ミンソク(新潟大)・國立忠秀(矢崎総業) |
B-1-27 |
10~100GHzにおけるビル反射損失の周波数特性の検討
○松村遼太・欅田雄紀・市坪信一(九工大)・表 英毅(ソフトバンク)・藤井輝也(東工大) |
B-1-28 |
D帯を用いた10Gbps伝搬実験
○大川 敬・伊東正治・八鍬直樹・丸本恒久(NEC) |
第5世代移動通信システム(IMT-2020)のための代表的なチャネルモデルとして,ITU-R SG5ではシステム評価を目的にITU-R報告M.2412が作成された.ITU-R M.2412のパスロスモデルでは0.5~100GHzの幅広い周波数fcにおいて周波数特性が自由空間損失と同様の20log(fc)とされている.一方,高周波数帯では直進性が高いなどの周波数特性が報告されており、セル設計等においては実際の周波数特性を把握することが重要である。本稿では,都市部マクロセル(UMa)環境での2~26GHzの測定結果からその周波数特性を報告する.
ミリ波無線LAN(IEEE802.11ad)の端末を工場内で移動させながらビームフォーミングの挙動を調べた。端末(STA)からアクセスポイント(AP)を見込む角度に追随してビームの方向が滑らかに変化するが、人や什器で伝搬路が遮られるときにビームの方向がグリッチ状に大きく変化する地点があることが分かった。グリッチの再現実験と遮蔽物によって生じる回折波のシミュレーションを行い、グリッチが回折波の干渉によって発生するヌル点をビームフォーミングにより回避した動作として説明できることを示した。
将来,車載センサの重要性が増加し,多くのセンサが車両に搭載されると考えられる.近年,60 GHz帯の電波を利用した自動車内での生体検知も検討されてきており,将来は通信との融合の可能性も含めて,車内におけるミリ波利用の可能性が考えられる.そこで,車内電波伝搬解析の為の基礎調査として車内構造物に於ける60 GHz帯の電波の反射及び透過の評価を実施したので報告する.インパネの反射及びシートの透過・反射の測定を行いそれらの損失を評価し,反射についてはその場所を特定した.
ITU-R SG3ではIMT-2020で使用する周波数を特定するために、衛星による通信と携帯電話システム等の陸上移動通信との共用を検討している。そのために都市部における周波数10~100GHzの伝搬損失の検討が行われており、周波数が高くなるとビルの反射損失が大きくなることが示されている。本研究では、周波数が10~100GHzまで増加することでビルの反射損失が増加するのかを材料の誘電率と壁面の凹凸の観点から検討した。材料の誘電率に起因する反射損失は周波数によってあまり変わらない。また、全反射波の電力は凹凸によって全体的にわずか1.5dBの損失増加である。
大容量無線伝送を実現するために100GHz帯超のテラヘルツ波帯の利用が注目されている。我々は、D帯(130-174.8GHz)におけるFDD通信可能な装置を開発し、導波管接続ならびに電波暗室内での伝搬特性確認してきた。ここでは、屋外において伝送容量10Gbpsでの伝搬実験を行ったので報告する。
B-1. アンテナ・伝播B(アンテナ一般)
3月17日 9:30〜10:45 総合科学部 K棟2F K210講義室 座長 笹森崇行(北海学園大)
B-1-29 |
オクターブバンド自己補対アンテナの解析
◎吉村仁志(拓殖大)・野田一房・平野圭一(雄島試作研究所)・常光康弘(拓殖大) |
B-1-30 |
周波数調整素子を用いた小型平面モノコーンアンテナの検討
○伊澤正裕(金沢村田製作所) |
B-1-31 |
ストリップBORアンテナ
◎蔡 政霖・阿部智希・山内潤治・中野久松(法政大) |
B-1-32 |
円形素子を装荷したY字形状の台形素子及び3本の短絡素子から構成される低姿勢広帯域アンテナ
○松林一也・道下尚文・森下 久(防衛大) |
B-1-33 |
分岐構造及び幅広構造のテ-パスロットアンテナ
○倉本晶夫(NECプラットフォームズ) |
製造ライン等にて、微小な異物の混入を検知する装置が必要とされている。レーザーや赤外線、超音波、電波等を用いた各種方式があり、用途に応じて使い分けられている。今回極めて微小な金属またはプラスチック等が製品素材に紛れ込んだ場合に発見して除去するために高い分解能を持つ物質識別用センサが求められている。
本研究では、FMCWレーダーを用いて高分解能を実現するために十分な帯域で使用可能なアンテナを調査し、40-80 (GHz) のオクターブバンドをカバーする自己補対アンテナを有限要素法による電磁界解析シミュレーター Femtetにて解析した。
IOT市場向けに使用されているWiFiについては、低コスト化のため、基板パターン上に小型で形成することを求められるケースが多い。現在の設計としては分岐モノポールが主として用いられているが、今後IEEE 802.11axの普及による帯域拡張により広帯域化が求められる。そこで、広帯域アンテナとして知られている平面モノコーンアンテナにスリットや周波数調整素子を加えることでアンテナの小型化を検討を行った。その結果スリットと周波数調整素子を付加しショート部分を有する構造とすることで、通常の平面モノコーンアンテナに対してV.S.W.R≦2.5となる帯域幅が2GHz帯で約129%、5GHz帯で約46%広帯域化できることを確認した。
充填型BORアンテナの内部を中空にした凹型BORアンテナを検討してきた. このアンテナは, 充填型BORアンテナの特性を維持したまま軽量化を達成している. 本稿では更なる軽量化を行う. このために凹型BORアンテナを構成する金属導体をストリップ状とした構造を検討する.
台形素子へ円形素子及び4本の短絡素子を装荷した低姿勢の広帯域アンテナが提案されている.本稿では,地上デジタル放送(470~710 MHz)の周波数帯をカバーする低姿勢の広帯域アンテナとして,既報告のアンテナの台形素子をY字形状に配置し,短絡素子の数を3本に変更した上で,短絡素子及び円形素子の直径を変更することにより,当該アンテナの更なる低姿勢化を検討したので報告する.
近年,電波監視等に用いる広帯域・高利得のパラボラアンテナの需要がある.広帯域・高利得のパラボラアンテナを実現するためには,周波数変化に対するビーム幅変化の少ない一次放射器が必要になる.広帯域な入力インピ-ダンス特性を有するテーパスロットアンテナを分岐構造または幅広構造とすることで,ビーム幅変化を緩和できることを確認したので報告する.
3月17日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟2F K211講義室 座長 佐藤 浩(パナソニック)
B-1-34 |
上面と背面で給電したMACKEY Ⅱ の検討
◎宮下圭介・田村俊樹・牧野 滋・伊東健治(金沢工大) |
B-1-35 |
金属上での動作を改善したMACKEYの検討
○田村俊樹・牧野 滋・伊東健治(金沢工大) |
B-1-36 |
マントルクロークを用いたダイポールアンテナ
◎グェン タインビン・道下尚文・森下 久(防衛大)・宮崎輝規・田所眞人(横浜ゴム) |
B-1-37 |
メタスパイラルアンテナを使用した円偏波ビーム走査
◎阿部智希・山内潤治・中野久松(法政大) |
B-1-38 |
FSSによる平面アンテナ利得向上に関する検討
○高野豊久・山岸 傑(住友電工)・中野雅之(KDDI総合研究所) |
周囲の金属による影響をうけにくい機能的小型アンテナとして,MACKEY(Meta-surface inspired Antenna Chip developed by KIT EOE Labo-ratory)について考案し,自由空間および金属上でも動作可能なことを示した.本報告では,アンテナ基板をAMC基板内に入れることによって薄型化したMACKEY Ⅱにおける給電方法の検討と,それに伴い設計したMACKEY Ⅱ上面給電型と,MACKEY Ⅱ背面給電型の二つのモデルについて提案を行い,基本型との性能の比較を行う.
周囲の金属における影響を受けない小型アンテナとしてMACKEY(Meta-surface inspired Antenna Chip developed by KIT EOE Labo-ratory)について考案し,自由空間および金属上でも動作可能なことを示した.本報告では,金属上における周波数シフトを修正するために基板縦幅Wを変更することで,金属上での動作の改善を行う.
現在,第5世代移動通信において,massive MIMOのような超多素子化,小形アンテナなど,アンテナ素子間の干渉である相互結合低減技術が求められている.近年では,メタマテリアル技術の利用により,いくつかの低減方法が提案されている.しかし,いずれの技術においても,結合低減のため,アンテナ特性が変わってしまう問題がある.一方,表面インピーダンスを調整することで電磁波を制御するマントルクローク技術が提案されている.本稿では,マントルクロークを用いたダイポールアンテナついて検討した.アンテナの長さおよびマントルクローク表面リアクタンスを調整することで,アンテナ特性の維持を達成できる可能性があることがわかった.
アルキメデススパイラルアンテナを使用した円偏波ビーム走査を検討してきた. このとき, アンテナ高は0.28波長であった. 本稿では, メタラインを使用し, スパイラルアンテナの低姿勢化を図り, 円偏波ビーム走査特性を検討する.
平面アンテナに主放射方向にFSS を適用することにより、FSS を使用しない平面アンテナと比較して、70%の面積で同利得のアンテナを実現できることをシミュレーション及び試作機評価で確認ので、上記結果について報告する。
休 憩(11:00 再開) 座長 野口啓介(金沢工大)
B-1-39 |
レンズを設けた回転対称構造フォトニックバンドギャップアンテナ
山内潤治・◎齋藤星汰・中野久松(法政大) |
B-1-40 |
回転対称構造フォトニックバンドギャップアンテナの整合に関する検討
山内潤治・◎宮本 凌・齋藤星汰・中野久松(法政大) |
B-1-41 |
非相反空間BPFに関する基礎検討
◎△篠崎友花・新井宏之(横浜国大) |
B-1-42 |
ワッフルアイロン構造を装荷した光アンテナの性能評価
○金岡舜一・橋口 弘・新井宏之・馬場俊彦(横浜国大) |
B-1-43 |
テーパ導体隔壁をもつ右手/左手系複合円筒導波管の伝送・漏洩特性測定
◎岡田 航・出口博之・辻 幹男(同志社大) |
開口端面をレンズ化したフォトニックバンドギャップ(PBG)アンテナを提案する.開口面で界の位相変化が緩やかになり,高利得な漏れ波アンテナとして動作することを明らかにする.
円形導波管で給電された回転対称構造からなるフォトニックバンドギャップ(PBG)アンテナが提案されている。本稿では、挿入誘電体をテーパ化することで、Al2O3のみで良好な特性が得られることを明らかにする。
光や電流の入力方向によって出力特性の異なる非相反な系としてアイソレータやサーキュレータが挙げられる.
近年では非相反性を持ったメタマテリアルも提案されている.本稿では従来からあるアイソレータ等と同様にフェライトを用い,平面波の入射方向によって透過量の異なる空間バンドパスフィルタ(BPF)を提案した.電波の入射方向により,透過電力は−6.5 dB と−18.4 dBで電力比はおよそ15.5 倍となった.
光を無線通信に用いる場合,自由空間伝搬損が大きいため,高利得なアンテナが望ましい.そのような高利得アンテナとして光漏れ波アンテナが考えられており, 40dBを超える高い利得が得られている [1].本稿では,文献で述べられているグレーティング導波路(GWG),ワッフル導波路(WWG)に加えて新たな構造を持つワッフルアイロン導波路(WIWG)について実際に実験を行うことにより,性能評価と比較検討を行う.
本稿文では,円筒導波管の遮断TM01モードとテーパ状にした導体隔壁を用いた扇形導波管の遮断TEモードを利用したCRLH円筒導波管を提案している。従来のリッジを用いたバランス条件の満たし方ではなく,扇形導波管の中心角を操作することによりバランス条件を満たすCRLH-TLが構成可能であることを示している。そして,数値計算により分散特性及び伝送特性,さらに導波管外壁にスロットを設けた漏洩波アンテナの漏洩特性,また実際に製作した導波管の実験結果を示すことで,アンテナとしての有用性を検証した。
3月17日 13:30〜17:30 総合科学部 K棟2F K211講義室 座長 竹村暢康(日本工大)
B-1-44 |
位相勾配を有するメタ表面を用いた2×2 LOS-MIMOのチャネル容量改善
○久世竜司・福迫 武・松島 章(熊本大) |
B-1-45 |
同時16通話を実現するDECT機器用AMCアンテナの開発
○濱邊太一・山下好澄・山内涼史・渋田 朗(パナソニック) |
B-1-46 |
正方形ループ型メタサーフェスによる2.45GHz帯平面電磁波の遮蔽
○山田裕紀・宇野 亨(東京農工大) |
B-1-47 |
平行平板を用いた周期構造メタマテリアルの誘電率および透磁率の広帯域測定
◎岡 祥太郎・宇野 亨・有馬卓司(東京農工大) |
B-1-48 |
金属上に設置可能なマルチバンドアンテナ
○内村弘志・平松信樹・猫塚 光(京セラ) |
大容量の移動通信を実現する伝送方法として, Multiple Input Multiple Output (MIMO)がある.見通しでのMIMO伝送は,直接波の影響が支配的となる.よって,アンテナ素子間隔を適切に設定し設置することが重要である.この問題を回避するために,著者らはメタ表面反射板を用いたLOS-MIMOの構成を提案した.本報告では,位相勾配を持つメタ表面を用いることで,縁端の影響をチャネル容量改善に寄与させる構成を提案する.
DECT機器の同時通話数を増加させるためには、変調方式の多値化、もしくは同時に複数チャネルを送受信する方法などが提案されている。
ここでは、既存機器との接続互換性や通話品質の維持を考慮すると、変調方式は変更せず、同時送受信することで同時16通話を実現する必要がある。その一方、IM≦-30dBmのEMC規格も満足させる必要があるため、AMC(Artificial Magnetic Conductor)基板を用いて通信経路間のアイソレーション確保可能にしたアンテナの検討結果を示す。
正方形ループ素子を有するメタサーフェスによる平面波のシールド特性を解析すると共に,実験によってその妥当性の確認を行う.FDTD法でシミュレーションを行い,実測結果と比較することでFSSを利用した電磁シールドが実現できることを確認した.中心周波数は2.45GHzとし,-20dB以上のシールド効果を達成した.今後は,正方形ループを2重にし,遮断周波数帯の広帯域化を目指したFSS構造の開発を行う予定である.
現在,メタマテリアルは多く研究されている.メタマテリアルは,負の誘電率と透磁率を実現できる.負の誘電率と透磁率を実現するメタマテリアルを組み合わせることにより,屈折率は負になる.負の屈折率は,アンテナおよび高解像度スーパーレンズの小型化に応用できると期待される.本研究の目的はSprit Ring Resonator(SRR)の簡易な測定システムを開発することである.本研究では実験装置として平行平板を提案した.実験による測定を行う前に,測定システムを含むメタマテリアルを解析し,実験方法の妥当性を検証した.また,測定システムを作成し,SRRの測定を行った.
これまで,人工磁気導体(AMC)に着目し,AMCの小型化とそれを用いた小型アンテナを開発した.このアンテナはAMCの特性を引き継いでいるため,金属板上でも利用できるという特徴を持つ.これまではBLE用として2.4GHz帯のみをターゲットとしていた.しかし,LPWA等,複数の周波数帯域に対応が必要な用途も多数ある.そこで今回,セルラー系のLPWA用アンテナにチャレンジした.周波数帯は800MHz/2GHzであり,目標特性は周波数帯域内の総合放射効率が-7dB以上である.検討を重ねた結果,2種類の放射モードを用いることで実現可能であることが分かった.さらに,コスト低減のため,アンテナ構造を極力簡素化し,樹脂成型品で試作した結果,目標特性を満足することを確認した.
休 憩(15:00 再開) 座長 瀧川道生(三菱電機)
B-1-49 |
成形ビームを放射するリフレクトアレーアンテナについて
◎重光賛志郎・深谷芽衣・牧野 滋(金沢工大)・中嶋宏昌・瀧川道生(三菱電機) |
B-1-50 |
デュアルバンド単層リフレクトアレー素子の一構成法
◎坂川幸太郎・井上治幸・出口博之・辻 幹男(同志社大) |
B-1-51 |
2周波偏波共用リフレクトアレー
◎グェン コンワイ・道下尚文・森下 久(防衛大)・松野宏己・伊藤智史・林 高弘・中野雅之(KDDI総合研究所) |
B-1-52 |
偏波によりビーム方向の異なるリフレクトアレーアンテナの検討3
◎瀧能翔太・深谷芽衣・牧野 滋(金沢工大)・瀧川道生・中嶋宏昌(三菱電機) |
B-1-53 |
オフセットリフレクトアレーによる扇形ビーム形成
新井宏之・○永原春菜・戸田礼二(横浜国大)・井上祐樹・井原泰介・石川義裕(NTTドコモ) |
リフレクトアレーアンテナにおいて、収差理論を応用することにより、簡易的に周波数特性を評価できることを示した。本報告では、簡易評価法を用いて設計したリフレクトアレーアンテナを測定し、簡易評価法の妥当性を示す。
筆者らは、任意形状素子によるリフレクトアレーについて検討を行ってきた、リフレクトアレーには、素子の共振現象を利用しているので狭帯域性という課題があり,これまでに広帯域で動作するものを提案してきた。本稿では、低域をカバーする素子と広域をカバーする素子の設計領域を分けて設計を行い、さらにそれらの素子を組み合わせることによって、ひとつの広帯域なものではカバーできない大きく離れた周波数帯においても所望の特性を得るデュアルバンド単層リフレクトアレー素子の設計について検討したので報告する。
第5世代移動通信システムで利用される28 GHz帯のように,今後,移動通信システムでは高い周波数の利用が活発になると考えられる.高い周波数の電波は直進性が高いため,カバレッジホールが発生する.この問題に対して,基地局の電波を任意の方向に反射するリフレクトアレーが提案されており,複数周波数に対応したリフレクトアレーも検討されている[1].本稿では,28 GHz帯,および今後利用が想定される39 GHz帯の2周波共用に対応した直交偏波共用のリフレクトアレーとして,正方形パッチ素子とクロスダイポール素子を積層した構造を提案する.
リフレクトアレーアンテナ(以下,リフレクトアレー)を用いたマルチビーム通信方式では偏波と周波数によってビーム方向を変化させることで、少ない鏡面でサービスエリアのカバーを実現する方法が提案されている.本報告では、前回提案した偏波によってビーム方向を変化させる素子(偏波によりビーム方向の異なるリフレクトアレーアンテナの検討2より)を用いたリフレクトアレーの測定結果を示す.
リフレクトアレーは平面構造かつ軽量で所望のパターンを形成できる利点があり様々な用途への応用が検討されている.本稿ではオフセットリフレクトアレーのビーム幅を制御するために,反射板の幅を可変させる簡易的な手法を用いることで扇形ビームを実現させるための検討を行う.
休 憩(16:30 再開) 座長 松沢晋一郎(豊田中研)
B-1-54 |
フェーズドアレーアンテナへの段階的サブアレー構成素子数変化による電力分布実装
◎△片野将太郎(総研大)・牧 謙一郎・水野貴秀(JAXA)・藤野義之(東洋大) |
B-1-55 |
スーパーゲインアレーアンテナにおける低サイドローブ化の一検討
○後藤 準・深沢 徹・米田尚史(三菱電機) |
B-1-56 |
八木宇田アンテナ応用によるワイヤレス電力伝送効率
○丸山珠美・小板侑司(函館高専) |
B-1-57 |
Ku帯偏波角可変フェーズドアレー用円偏波共用パッチアンテナの測定
○佐野 誠・桧垣 誠(東芝) |
宇宙空間で発電し無線電力伝送を行う太陽発電衛星では,1km超の大面積送電アレーアンテナが必要である.アレー全体に10dBガウス型電力分布を施すことで効率向上が見込めるが,従来手法では増幅器やアレーの構成が複雑になる点が課題となっていた.そこで本論文ではサブアレーを構成する素子数に分布をつける手法を提案する.同一の増幅器,同一のアンテナ面を用い,サブアレー構成素子数のみを変化させる構成にすることで,大量生産や大規模製造を可能にしつつ,メインローブ含有電力の向上が可能である.提案手法を用いてアレーを設計し,シミュレーションを行った.その結果,良好な特性を得たため報告する.
本稿では、スーパーゲインアンテナの課題の1つである低サイドローブ化に関する新たな手法を提案する。本手法で、円形アレーにおいて指向性利得を最大化する励振分布に対して励振振幅テーパの傾きを大きくする。8素子アレーに対してシミュレーションを行い、サイドローブレベルが-10dB以下になることを確認した。
アレーアンテナの各素子で受ける電力を合成すると同時にアレーアンテナの利得も利用して効率を向上させる新たなアンテナを提案する
Ku帯衛星通信システムでは一般に直線偏波が用いられるため,移動体地球局のアンテナには主ビーム方向と偏波角の高精度な制御が要求される.著者らは,偏波角可変アンテナをアレー化することで,可変移相器により主ビーム方向と偏波角を電子的に可変できることを計算で示した.本稿では,試作した放射素子の円偏波共用パッチアンテナの測定結果を示す.
3月18日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟2F K211講義室 座長 羽賀 望(群馬大)
B-1-58 |
Characteristic mode法を用いた固有モードの選択的励振
○紅 貴朗・新井宏之(横浜国大) |
B-1-59 |
ナチュラルモード法を用いた基本アンテナ素子の特性
○埜田夕平・新井宏之(横浜国大) |
B-1-60 |
特性モード解析を用いた金属近接時の折返しモノポールアンテナに関する一検討
○中川雄太・道下尚文・森下 久(防衛大) |
B-1-61 |
スロットによる金属筐体の特性モードの励振
◎西目 匠・道下尚文・森下 久(防衛大) |
B-1-62 |
海中微露出シースダイポールアンテナの理論解析
○佐藤弘康・許 双悦・陳 強(東北大) |
モード解析の一種である特性モード(CM)法は, プラットフォームの電流・電界分布を各固有モードと重み係数の線形結合で表現ができる [1][2]. ゆえに, 任意モードの重み係数を高めることで選択的にモードを励振することができる. 本稿では, 金属プラットフォームに対してCM法を用いて, 逆Fアンテナ による高次モードの励振について述べる.
固有モードを求める方法として、CM法がある。しかし、その妥当性についてはいくつかの問題で議論されている。固有モードを求める他の方法として、ナチュラルモード法(NM)があ,モーメント法から得られるインピーダンス行列の行列式が0になる式を解くことで境界条件を満足する固有値が得られる。本稿では基本的なアンテナ素子についてナチュラルモード法で固有周波数とQ値を求め、CM法との結果と比較検討する。
アンテナのインピーダンス特性は近接物体の影響を強く受けることが知られている[1].この問題に対し,アンテナの入力インピーダンスを適切に選択し,アンテナに近接する金属体の影響を低減できることが報告されている[2].本稿では,特性モード解析(CMA: Characteristic Mode Analysis)[3]を用いて,アンテナの金属近接時の特性の変化について,各モードの電流とMode Weighting Coefficient (MWC)から考察を行う.
近年の情報端末は,高機能化とともに端末サイズの小型化が求められている.また,デザイン性からほぼ全面に金属を用いた筐体を有しており,従来のPIFA や逆L アンテナでは十分なアンテナ性能を得られない場合がある.金属筐体そのものをアンテナとして励振することができれば,従来の小形アンテナに比して放射効率及び利得の向上が期待できる.本稿では,特性モード解析を用いた金属筐体が共振したときの電流分布の解析及びスロット励振による特性モードの励振と放射特性について検討した.金属筐体を複数の素子で励振し,理想的な電流分布を形成することができれば,小形アンテナの性能を向上できることがわかった.
海中通信用高効率アンテナが期待されている.アンテナ導体と給電回路を海水から絶縁するシースにおいて,完全にシースでアンテナ導体を囲むよりもアンテナ導体をシースから露出させた方が,送受アンテナ間の伝送係数が大幅に改善されることを確認した.その理論的検討にあたり,本報告ではシース構造を有するダイポールアンテナの入力インピーダンスの近似式を導出するとともにその有効性を示す.
休 憩(11:00 再開) 座長 今野佳祐(東北大)
B-1-63 |
FDTD法による薄い多層媒質解析手法の検討
○山ヶ城尚志・新出孝政(富士通アドバンストテクノロジ)・有馬卓司(東京農工大) |
B-1-64 |
FDTD法によるガラス上の金属薄膜アンテナの数値解析
◎水上嘉貴・何 一偉(阪電通大) |
B-1-65 |
四分木分割を用いたMR/FDTD法の高速化手法
◎朝日 慧・宇野 亨・有馬卓司(東京農工大)・西堀俊幸・植松明久(JAXA) |
B-1-66 |
小型パラボラによるブロードビームアンテナの実現
○瀨在俊浩・杉薗光太朗・寺岡 謙・砂見幸之(JAXA)・藤井秀彦・鈴木洋介(キーコム) |
B-1-67 |
グリッド装荷ステップ反射鏡アンテナの試作検証
○山本伸一・縫村修次・瀧川道生・米田尚史(三菱電機) |
FDTD法で波長に比べて微細な構造を正確に離散化すると,解析時間が膨大になるという問題がある.この問題を回避するためサブセル法をはじめとする多く解析手法が提案されているが,波長に比べて薄い多層媒質について解析した例は少ない.今回アンテナ解析への適用を目的として,波長に比べて薄い多層媒質を,セル内における誘電率および導電率の平均値を用いて解析した場合の精度を調査し,一次元問題において本手法の有効性を確認した.
高速大容量の次世代移動通信システム5Gの研究開発は急ピッチに進められている. 3.7, 4.5GHz帯に加え,新たに28GHzミリ波帯も採用されている.ミリ波帯の電波は直進性が強く,サービスの範囲が狭いため,より多くの基地局アンテナが必要となる.アンテナの設置場所の観点から,また,電波を屈折させ,室内や車内に取り込むためにガラス表面上に透明な金属の薄膜アンテナの研究・開発が行われている.本研究ではFDTD法による薄膜アンテナの解析手法について検討する.
走査する次元を増やすことにより地中の物体を3次元データとして推定する新しい地中探査レーダが開発されている.この推定に用いられるアルゴリズムの高精度化のため,数値電磁界解析が必要となる.走査次元を増やしたことにより,多数の解析が必要となるため,解析速度が重要である.FDTD法の一種であるMR/FDTD法は,等価定理を用いて複数の解析領域を接続することで大規模なモデルを比較的高速に解析できる手法であるが,それでも開発レーダの解析には解析速度が遅いという問題がある.このため,本研究では,MR/FDTD高速化法の開発を目標とし,四分木分割を用いた高速化法を提案,提案手法について精度および解析速度の検証を行った.
ロケット搭載アンテナは電波を広範囲に一様に放射することが理想である。しかしながら、ロケットに搭載されているアンテナのパターンは、一様とは言い難いものとなっている。この点を解決する為、小型パラボラによるブロードビームアンテナの実現方法を考案した。開口径が0.74波長の小型パラボラアンテナを試作し、その特性を測定した。その結果、小型パラボラによりブロードビームアンテナが実現出来ることを確認した。
円形導波管のTM01モード励振ホーンを用いた反射鏡アンテナを検討している。著者らは、鏡面に金属グリッドとステップ反射鏡を組み合わせて、従来のアンテナ方式[1]に比べて利得を改善する方式を提案している。本稿では、動作原理を検証するため試作モデルを製造し、計算値通りの特性が得られ、本アンテナ方式の有効性を示した。
3月20日 15:00〜17:30 School of Integrated Arts and Sciences (K Bldg.) Room K209 Chairperson Mitoshi Fujimoto(Univ. of Fukui)
[English Session I]
B-1-68 |
Theoretical Method Based Rain Attenuation Prediction for Millimeter-Wave Radio in Tropical Regions
○Yong Hong Tan・Kentaro Saito・Jun-ichi Takada(Tokyo Tech) |
B-1-69 |
Current Reconstruction of Phantom with Embedded DUT for Non-Invasive SAR Measurement
○Rasyidah Hanan Mohd Baharin・Toru Uno・Takuji Arima(Tokyo Univ. of Agriculture and Tech.)・Shuntaro Omi(National Inst. of Advanced Industrial Science and Tech.) |
B-1-70 |
A Study on Gain Enhancement of Leaf-Shaped Bow-Tie Slot Array Antenna within Quasi-Millimeter Wave Band
◎Mangseang Hor・Takuma Makanae・Takashi Hikage・Manabu Yamamoto(Hokkaido Univ.) |
B-1-71 |
Design of a Center-feed Waveguide Feeder Network for a Slot Array Antenna Panel
○△Tianyu Wang・Takashi Tomura・Jiro Hirokawa(Tokyo Tech) |
B-1-72 |
Wideband Design of a Parallel-Plate Slot Array Antenna with Hollow Waveguide Perpendicular-Corporate Feeding Network
○Shuang JI・Takashi TOMURA・Jiro HIROKAWA(Tokyo Tech) |
Rapid advances in radio communication systems have caused congestion in the lower microwave bands and have compelled service providers to migrate to higher millimeter-wave band to accommodate the ever-increasing data demands. However, the reliability of wireless systems at higher frequency can be severely degraded due to atmospheric phenomena of which rain is the dominant factor, especially in tropical region. Therefore, it is important to establish a model capable of predicting the amount of attenuation due to rain. In this study, a theoretical model utilizing the knowledge of scattering properties and drop-size distributions of raindrops is found to produce better prediction results than the ITU-R model, particularly at high rain rate and high frequency environment.
The conventional SAR measurement is invasive, and it may cause discomfort to patients. For this reason, a noninvasive SAR measurement system is deemed necessary. It is known that SAR quantity can be obtained by internal field of the phantom, directly related to the electric and magnetic current. In this paper, the electric current on the phantom’s surface is reconstructed by the electric field of probe obtained on the measurement’s surface. Method of Moments (MoM) is deployed for the calculation.
In recent years, many efforts to remove bandwidth limitation of planar antenna have been founded. One of the main purposes is to design a planar antenna which is suitable with next generation communication such as 5G and so on. Leaf-shaped bow-tie slot antenna is a type of printed antenna with wideband characteristic. In this paper, an array of 4-element leaf-shaped bow-tie slot antenna has been discussed. Antenna characteristic, such as gain and reflection coefficient, are evaluated by FDTD.
A center-feed parallel plate slot array antenna with high antenna efficiency and simple structure is proposed for millimeter-wave application. The feeder network for the slot antenna array panel is designed by MoM. Full structure simulation results are given. It is shown that a reflection below -20dB and a peak directivity of 36.0dBi are achieved in the desired bandwidth.
In this paper, the parallel-plate slot antenna with perpendicular-corporate feeding network realizes comparable reflection
bandwidth with fewer plates than the previous design in [1], while maintaining a high antenna efficiency in the 60GHz band.
休 憩(16:30 再開) Chairperson Takuji Arima(Tokyo Univ. of Agriculture and Tech.)
[English Session II]
B-1-73 |
Mutual Coupling Reduced Antenna Design for Transmission-stable Rectangular-coordinate Orthogonal Multiplexing System
○Baoquan Duan・Takashi Tomura・Jiro Hirokawa(Tokyo Tech) |
B-1-74 |
Transmission Enhancement by Using Baffles for Slot Pair on Parallel Plate Waveguide
○Tuchjuta Ruckkwaen・Takashi Tomura・Jiro Hirokawa(Tokyo Tech) |
B-1-75 |
Numerical Comparison of Circularly Polarized Microstrip Antennas with Short-End Microstrip-Line Perturbations for Reconfigurable Function
◎Htun Htet Wai・Eisuke Nishiyama・Ichihiko Toyoda(Saga Univ.) |
B-1-76 |
Design Concept of a Self-Oscillating Active Array Antenna Integrating a Microstrip-Line Gunn Oscillator with Inclined Patches for Spatial Modulation Systems
○Maodudul Hasan・Eisuke Nishiyama・Ichihiko Toyoda(Saga Univ.) |
To increase the transmission rate, various multiplexing techniques such as MIMO and OAM techniques using millimeter-wave are being widely researched, as well as 2x2-mode two-dimensional rectangular-coordinate orthogonal multiplexing (ROM) using 16x16-slot array antennas in the 60 GHz band. This ROM system has advantages such as a wide bandwidth and easy processing. Transmission enhancement by excitation optimization [2] was proposed to solve the deterioration problem caused by the fact that higher-order mode spreads rapidly. However, the transmission was unstable against distance and frequency due to the multi-reflection between the Tx and Rx antennas. This paper presents a method to reduce transmission instability. A mutual coupling reduced subarray was utilized to lower the design deviation between an infinite and finite element arrangement.
Near-field communication using a radial line slot array (RLSA) antenna is presented in. The antennas suffer from the reduction in transmission power due to the multiple reflection in near-field region. This study adopts baffle wall to improve transmission characteristic between two antennas in near-field region transmission.
This paper presents a numerical study of two microstrip antennas capable of providing reconfigurable CP performance. Both configurations effectively employ short-end microstrip-line perturbations for reconfigurable function and diodes for switchable capability. Since simple microstrip lines are used as perturbations, a simple structure without DC bias network can be designed. The sense of CP direction can be altered by applying opposite bias polarity to the switching diodes and the performance of these two configurations are numerically discussed by simulated results.
In this study, a new approach to obtain AIAA integrating a microstrip-line Gunn oscillator is proposed, which consists of a dual-polarized antenna, an oscillator and two switches. The key concept is that the dual-polarized antenna is excited either one of the feed lines controlled by the switches to achieve either ±45° polarization.
3月20日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟2F K210講義室 座長 中本成洋(三菱電機)
B-1-77 |
管軸に垂直な偏波を放射する導波管狭壁面上の平面アレーアンテナの定在波励振アレー設計と試作特性
○保前俊稀・斉藤作義・木村雄一(埼玉大) |
B-1-78 |
Eベントとステップを組み合わせた導波管側壁支持構造の設計
○山川奨太・広川二郎・戸村 崇(東工大) |
B-1-79 |
導波管2面ハイブリッド結合領域断面形状の最適化による広帯域化
◎陳 詩皓・戸村 崇・広川二郎(東工大) |
B-1-80 |
導波管グルーブギャップ導波路変換器のフロケモード展開解析
◎江尻敬祐・戸村 崇・広川二郎(東工大) |
B-1-81 |
導波管スロットアレー並列給電回路におけるH面T分岐の形状最適化
◎倉本 航・戸村 崇・広川二郎(東工大) |
導波管スロットアレーアンテナにおいて、スロットを1管内波長間隔で配列するとグレーティングローブが発生する。そこで、導波管の管内波長を短縮するために導波管内部に遅波構造を装荷する方法やリッジ導波管にT形のスロットを配列する方法が提案されている。これらの方法に対して、1管内波長(λg)間隔で配列された方形導波管の広壁面のスロット上にマイクロストリップアンテナ(MSA)を配置してグレーティングローブを抑制する平面アレーアンテナが提案されている。また、方形導波管狭壁面のスロット上に周長を5波長とするリング形MSAを配置した管軸に垂直な偏波を有する平面アレーアンテナが提案されている。そこで、本稿ではこの構成法を用いた定在波励振アレーを設計し、実験による検討を加えたので報告する。
積層薄板拡散接合並列給電中空導波管スロットアレーにおいて,アレーが大規模になると細くて長い金属パターンがあるため,エッチングや接合の際にたわみが生じやすい問題がある。これを防ぐため,ハーフエッチングを用いた構造を検討したが,アルミを用いた場合には溶けやすくハーフエッチング構造が作りにくい。これを解決するためEベンドとステップを組み合わせた支持構造を設計した。
反射特性としては、所望の帯域内でステップは-27dB以下、Eベンドは-42dB以下となった。全体の構造では55.6Gz から67.8GHzにわたり反射が-30dB以下となっている。
5Gのビームフォーミング技術に対応するアンテナの中に、導波管2面結合器を用いたバトラーマトリックスがある。2面結合器ではハイブリッド結合器と交差結合器の2種類があり、結合器の帯域はアンテナの性能に大きく関わっている。従来の導波管2面ハイブリッド結合器の帯域は6.5%である。結合器の帯域をさらに広げるため、結合領域内に使用する各伝搬モードの結合量をさらに高める必要がある。そこで、2次元の任意形状を用いて、ハイブリッド結合器の主に使う伝搬モードの位相を位相条件に合う断面形状を遺伝的アルゴリズムにより最適化する。
ギャップ導波路は上面金属と金属ピン付き底面金属の間に空隙があり,物理的な接触を必要としない.そのため,導波管では完全な導通を保証する必要があるがギャップ導波路ではその必要がない.また,損失は同じ導電率の金属であれば導波管と同程度である.これまでに導波方向が同一な導波管-ギャップ導波路変換器のフロケモード展開解析を行い解析手法の有効性を検討してきた.しかしギャップ導波路の上面金属と導波管の上面金属が同一であり,測定の際に完全な導通を導波管領域で保証できなかった.そこでEベンド型の変換器を用いてこの問題を解決する.Eベンド型の変換器ではギャップ導波路の上面金属が導波管の側壁と共通でないので導波管領域で完全な導通を保証できる.
著者らは,3種類の層厚の金メッキされたシリコンウエハを用いた350 GHz帯並列給電導波管スロットサブアレーの広帯域化設計し、比帯域20.0 %(326.5~398.9 GHz)を実現した。さらなる広帯域化を実現するためには給電部の広帯域化が必要である。本稿では給電部のH面T分岐の広帯域化を目的として、有限要素法を用いた遺伝的アルゴリズム(GA)による形状最適化を行った。対称軸にPMCを設置した1/2モデルを用いて解析時間を短縮し、MATLABにより反射を導出した。導波管幅と形状を構成するノードをあわせた67のパラメータをGAにより最適化した。反射が-28.9 dB以下となる比帯域は24.0 % (318.2~405.3 GHz)となり、従来よりも13.1 % 広がった。
休 憩(11:00 再開) 座長 木村雄一(埼玉大)
B-1-82 |
樹脂導波管スロットアレーアンテナの測定評価-垂直偏波アンテナ-
◎宇野 孝・上坂昂司・中本成洋・深沢 徹・米田尚史・山本剛司・柿元生也(三菱電機)・小西善彦(広島工大) |
B-1-83 |
樹脂導波管スロットアレーアンテナの測定評価―水平偏波アンテナ―
◎上坂昂司・宇野 孝・中本成洋・深沢 徹・米田尚史・山本剛司・柿元生也(三菱電機)・小西善彦(広島工大) |
B-1-84 |
誘電体基板上に形成した寄生素子を備えた導波管狭壁スロットアンテナに関する検討
○中本成洋・深沢 徹・米田尚史(三菱電機) |
B-1-85 |
建設用単管パイプを用いた5GHz帯導波管アンテナの開発
○石野祥太郎(古野電気)・八代成美(戸田建設) |
B-1-86 |
方形導波管広壁上クロススロットを用いた4つのスパイラルスロットへのシーケンシャル位相給電
○西本広希・戸村 崇・広川二郎(東工大) |
レーダ観測精度向上化のため,高効率,低サイドローブ,かつ低交差偏波特性を持つ二重偏波フェーズドアレーアン
テナが求められている.筆者らは,それらの特性を有するアンテナとして,樹脂導波管スロットアレーアンテナを開
発しており,高性能,軽量化,かつ低コスト化を目指している.本稿では,サイドローブレベル-30 dB以下の垂直偏波アンテナの測定結果について報告する.
レーダ分野や通信分野の高性能化に伴い,高効率かつ低サイドローブ,低交差偏波特性を持つ二重偏波のフェーズドアレーアンテナが求められている.筆者らは,それら特性を有するアンテナとして,樹脂導波管スロットアレーアンテナを開発しており,高性能かつ軽量,低コストを目指している.本稿では,水平偏波アンテナのパターン測定結果について報告する.
導波管スロットアレーにおいて導波管の管軸方向に垂直なスロットを導波管狭壁に設け,管軸方向に対して平行な偏波特性を実現する方法として,従来,導波管内部にワイヤやアイリスを設ける方法があるが,製造性に課題がある.本稿では,製造性を向上させるため,誘電体基板上に形成したダイポール状寄生素子を用いて導波管狭壁スロットを励振する方法を提案し,その基本特性を示す.
ICT施工を実現するため、ビル建設現場内で無線LAN環境を構築する取り組みが進んでいる。ビル内の階をまたいで高さ方向に電波伝播することは難しいため、我々は単管パイプを垂直に設置し、導波管として扱うことを検討した。9階建てビルの現場において9個の導波管アンテナを足場パイプに接続し、垂直アレイとすることで全フロア内に無線LAN環境を構築したので報告する。
本稿では,2つのデュアルスパイラルスロットアンテナを直交させ,短絡終端方形導波管広壁上クロススロットにより給電した円偏波素子を60GHz帯において設計した. 結果として,4つのスパイラルスロットをシーケンシャル位相給電することになり,良いの軸比特性が得られる. クロススロットをつくる2 つの直線スロット長は半波長前後であり,その上に4つのスパイラルスロットを載せる.スパイラルの長さを調整すると,磁流が進行波分布になり,広帯域の軸比が得られる.側壁部は周期境界壁である.解析結果は,軸比3dB以下の帯域は58.4-65.1GHz(比帯域10.9%)であり,VSWR2.0以下の帯域は57.3-64.7GHz(比帯域12.1%)である.
3月20日 13:30〜15:00 総合科学部 K棟2F K210講義室 座長 平部正司(NEC)
B-1-87 |
円形ループアンテナアレイの端子方位制御による通過アイソレーション改善
○斉藤 昭・三宅久之助・石川 亮・本城和彦(電通大) |
B-1-88 |
OAM多重通信に用いるループアンテナアレイの集積化の検討
◎菊池晴貴・斉藤 昭・三宅久之助・和田 渉・鈴木 博・石川 亮・本城和彦(電通大) |
B-1-89 |
ループアンテナを用いたOAM多重通信における抵抗装荷による干渉波抑制
◎三宅久之助・斉藤 昭・鈴木 博・石川 亮・本城和彦(電通大) |
B-1-90 |
積層ループ素子を用いた直交散乱素子
◎髙山侑紀・久我宣裕(横浜国大) |
B-1-91 |
LCP基板を使用したVバンド帯アンテナ
○長谷川雄大・淡路大輔・大塚茂樹・官 寧(フジクラ) |
B-1-92 |
群遅延特性を改善した28GHz帯アンテナ
◎八巻直生・和泉峻介・前山利幸(拓殖大)・田中稔泰(マイクロウェーブファクトリー) |
ループアンテナアレイを用い、異なる軌道角運動量を有する直交OAM 波を直接放射・受信するOAM 多重通信方式が提案され有用性が示されている。ここでは、反射板がない場合に関して、更なる端子方位制御による通過アイソレーション改善を解析した結果を示す。
近年,電磁波の軌道角運動量(OAM:Orbital Angular Momentum)の直交性を利用したOAM多重通信が注目されている.この通信は,同一の周波数でも複数の直交通信路を活用した空間多重により通信容量が拡大できる.当研究グループでは,円形ループアンテナアレイを用い単一OAM 波を直接放射・受信する方法を提案している[1].OAM 通信では高周波を用いるのが有利なことから,ここでは反射板も含めた一体集積の基礎検討として,テフロン基板(ϵr=2.2, tanδ=0.0009)を用い,集積化を考え,実際に12GHz帯で試作・実測評価を行った.
OAM通信は、電磁界の軌道角運動量を利用して固有モード伝送を行い、高い周波数利用効率を可能としている。ループアンテナを用いたOAM多重通信が提案されており、ループの周囲長を波長のほぼ整数倍にすることでそれぞれ独立したのOAM波を放射でき、また端子方位を制御することでループ径が同一であっても多重度を2倍にする方法が提案されている。しかし、ループアンテナには給電線を配置する必要があり、ループアンテナからのOAM波から給電線に電流を誘起させ, 給電線から散乱波を放射し他のモードのループアンテナに干渉波を与えてしまう問題がある。ここでは、干渉波を抑制手法を提案し、その効果について実測結果から示す。
本稿では屋内の低レベル受信地帯への無給電での中継手段として、到来波を直交方向に集中して散乱させる直交散乱素子を提案する。この散乱素子は2つのループ素子を開口面が直交する状態で積層させることによって到来波を片方のループ素子で受信し、もう片方のループ素子から再放射することで到来波の到来方向から直角方向に中継を行う。また, 散乱素子を配列しアレー化することで到来波の受信の高感度化、送信の高利得化を行い所望の方向への散乱量を増加させられることを確認し、通信に必要なレーダ断面積に応じて拡張可能であることを示す。
LCPによる導体層4層の基板を使い57~71GHzで動作するアンテナの設計と測定を行った。設計に近いS11が得られ、57~71GHzで動作することを確認した。
第5世代移動通信では,28GHz帯という既存システムよりも高い周波数帯域が利用されている.28GHz帯は4キャリア各社に400MHz幅で割り振られている.周波数帯域は27GHz~29.5GHzで,比帯域は11.2%となる.端末や共用型基地局を想定すると,上記条件を満たす広帯域なアンテナが必要になる.また,アンテナを広帯域とすると群遅延特性が問題となる.特に帯域内遅延に差があると変調信号に歪みが生じ,さらにMassive MIMOなどのビームフォーミングにおいては遅延が一定でないとビームが歪む課題もある.
そこで,群遅延特性の差を小さくするため,パッチアンテナを広帯域化した2層型のパッチアンテナを試作し,複数のアンテナにおける群遅延特性を測定し評価比較する.
3月20日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟2F K211講義室 座長 山ヶ城尚志(富士通アドバンストテクノロジ)
B-1-93 |
ポスト壁方形同軸線路を用いた79GHz帯並列給電マイクロストリップアンテナアレーの設計
◎△櫻井壮一・戸村 崇・広川二郎(東工大)・城崎俊文・脇山 悟・新帯 亮(デンソー) |
B-1-94 |
スリット層を用いたH面配列広帯域マイクロストリップアレー送受信アンテナ間のアイソレーション向上
◎地頭所浩平・戸村 崇・広川二郎(東工大) |
B-1-95 |
電磁結合給電型マイクロストリップパッチアンテナ放射素子の導電性繊維使用量削減検討
◎市川大暉・前田忠彦(立命館大) |
B-1-96 |
一点給電型円偏波方形マイクロストリップアンテナの軸比最良点での整合特性改善に関する検討
◎追木玲偉・松井章典(埼玉工大) |
B-1-97 |
直交偏波共用Lプローブ給電広帯域2周波多リング型マイクロストリップアンテナのアイソレーション特性改善に関する一検討
◎△木村雄樹・斉藤作義・木村雄一(埼玉大)・立松雅大(TDK) |
アレーにより広角まで走査可能で, アレー間でのアイソレーションが高い広帯域アレーとして, マイクロストリップアンテナを素子とするポスト壁方形同軸線路並列給電アレーを設計した. マイクロストリップアンテナは通常, 整合のためにマイクロストリップ線路に不連続構造を設けるため, 不要放射による損失増加の原因となる. しかし, 導波管による給電はカットオフを考慮しなければならないため, 大きな給電構造をとなる。そこで方形同軸線路を用いて管幅を減少させ, 制限された空間に並列給電構造を配置する.
固定無線通信において同一周波数かつ同一偏波で送受信を同時に行う場合、十分な送受間アイソレーションが必要である。高い交さ偏波識別度を有する導波管スロットアレーを送受信アンテナとして用いた場合、素子指向性からH面配列でアイソレーションを高く確保できる。本稿では、スロットと双対の素子としてマイクロストリップアンテナを用いた送受信アレーをH面配列し、その上にスリット層を装荷しアイソレーション向上効果を検討した。素子としてE型マイクロストリップアンテナを用いることにより30 GHz帯で比帯域約10%を確保し、32素子を送受信にH面配列した場合の最近接素子間のアイソレーションが約20 dB向上した。
導電性繊維を用いて形成するマイクロストリップパッチアンテナに電磁結合給電を採用することで放射特性の高い再現性を得ることを明らかにした. 一方で, 導電性繊維を用いて作製するアンテナでコスト削減や作製時間短縮のため, 所望の放射特性を満たすために必要となる導電性繊維使用量を把握しておくことが望ましい. 本報告では, 導電性繊維を用いて形成する電磁結合給電型マイクロストリップパッチアンテナの繊維量削減による放射特性への影響について実験的評価を行った.
マイクロストリップアンテナの放射素子面にスリットを加え等価的にキャパシタンスを付加させる方法を着想し, インダクタンス成分の低下について検討を行った.
マイクロストリップアンテナ(MSA)は小型・薄型・軽量・安価という特長を有し多面的な研究が行われている。マルチバンド特性を有するMSAとして、Lプローブにより給電される多リング型MSAは良好な特性を示すことが報告されている。このLプローブ給電リング形MSAに中心周波数の約0.1波長程度の厚さを有する誘電体基板を用いると広帯域特性が得られる。また、2個のリング形MSAを配置すると2周波帯において広帯域特性が得られる 。さらに、2個のLプローブを直交する位置に配置すると直交偏波共用化が可能となる。本稿では、直交偏波共用2リング形2周波広帯域MSAの放射素子中央にビアを装荷することによりポート間アイソレーション特性の改善の検討を行った結果について報告する。
休 憩(11:00 再開) 座長 大島一郎(電気興業)
B-1-98 |
Lプローブ給電されたバラクタ装荷2周波片側短絡マイクロストリップアンテナの交差偏波特性改善に関する一検討
○本多祥平・斉藤作義・木村雄一(埼玉大) |
B-1-99 |
広覆域な指向性を有する4点給電円偏波アンテナ
◎坂本寛明・野口直也・関 竜哉・柳 崇・西岡泰弘・米田尚史(三菱電機) |
B-1-100 |
摂動給電を用いた円偏波アンテナの特性改善に関する一検討
◎荒木義紀・松井章典(埼玉工大) |
B-1-101 |
マイクロストリップアンテナの近傍に置かれた金属ポストが放射指向特性に与える影響に関する検討
◎今井 亨・松井章典(埼玉工大) |
B-1-102 |
環状パッチ円偏波アンテナにおける環内導体突起物の影響
◎袖長翔太・長谷川 優・島崎仁司(京都工繊大) |
バラクタダイオードを装荷した周波数制御多リング形マイクロストリップアンテナ(MSA)の小型化については、種々の研究が成されている。この小型化された周波数制御MSAの2つの動作周波数を独立に制御できる素子間隔で配置すると、交差偏波が大きくなってしまう。そこで、本稿では周波数制御マルチバンド平面アンテナの交差偏波特性を改善することを目的として、共振周波数を独立に制御可能なバラクタ装荷2周波共用片側短絡MSAの構成法と周波数制御特性につき実験により検討を加えたので、ここに報告する。
2つのモードを重ね合わせて160°の3dBビーム幅が得られるパッチアンテナは広覆域な放射特性が得られる帯域幅が狭いことが課題である.そこで本発表では,広帯域にわたって広覆域な放射パターンが得られる4点給電の円偏波アンテナについて述べる.
摂動給電法による円偏波アンテナの提案を以前に行った.その報告では,ボアサイト方向における放射が小さいことから,本検討では放射指向性を改善するためシミュレーション及び実験を行い検討した.
マイクロストリッアンテナの近傍に金属ポストが置かれた際に,放射指向特性に影響を与えることが判明した.
実験およびシミュレーション結果から放射指向性の変化および利得についての考察を行った.
背面近傍に導体が存在し,素子が回転する状況での使用を想定した2.4GHz帯のアンテナの設計・試作を行った.さらに,その回転軸付近にはアンテナ面を設けることができない条件を付加している.先行研究として,背面の導体の影響が少なく回転軸に空間を確保できる円環パッチアンテナを用い,素子が回転する状況下においても偏波方向を一致させる必要のない円偏波を放射可能なアンテナについて同著者らにより報告されている.本研究では,環内径に沿ってパッチ部と導体接地板を接続するビアを設けた構造を検討している。結果として,軸比が3dB以下の帯域幅が30MHzで,先行研究のものより環内導体の影響の少ないものが得られた。
3月20日 13:30〜16:15 総合科学部 K棟2F K211講義室 座長 山岸 傑(住友電工)
B-1-103 |
無給電素子による球状アンテナの小型化に関する検討
○瀧澤 洸・松林一也・道下尚文・森下 久(防衛大) |
B-1-104 |
タッチパネル一体型透明5Gアンテナの検討
○藤田浩輔・高橋応明(千葉大) |
B-1-105 |
誘電体棒アンテナと誘電体小球アンテナの周波数特性の比較検討
◎安藤 瑠・山内潤治・中野久松(法政大) |
B-1-106 |
集中定数素子から成るフィルタを装荷した分岐素子型マルチバンドアンテナの設計
○山浦真悟・西本研悟・西岡泰弘・米田尚史(三菱電機) |
B-1-107 |
金属円筒内に配置されたRFIDタグ用メアンダラインアンテナ
◎橋本隆宏・道下尚文・森下 久(防衛大)・越 隆之(小松製作所) |
波長に比べて寸法が小さい電気的小形アンテナについて,アンテナQ値を下限Q値に近づける検討が行われている.Chu球の球内空間を最大限に活用してQ値を下限Q値に近づける検討の例として,ダイポールアンテナの素子端を球面に沿って円弧状に折り曲げたものを複数配置した球状小形アンテナが報告されている[1].本稿では,球状小形アンテナを地板上に設置し,各放射素子の内側に無給電素子を装荷することで,球状小形アンテナの更なる小型化を提案する.
第5世代移動通信システム(5G)は,従来の移動通信システムと比較してより高速且つ低遅延で,多数同時接続が可能である[1].しかし,5Gアンテナを設置する内部のスペースの確保により端末が大型化する可能性が有り,携帯性の低下などが問題となる.そこで,端末のタッチパネルとアンテナの統合によりこの問題の解決が見込まれる.本研究では,スマートフォンやタブレットのタッチパネルと統合された透明5Gアンテナの検討を行う.本報告では,Sub-6を動作周波数とするアンテナの簡易スマートフォンモデルを用いた解析を行ったので報告する.
エンドファイア型放射素子として, 誘電体棒アンテナが提案されている. 高利得を得るためには, 誘電体部でなめらかなモード変換が行われるよう, 棒径を小さくし, 棒長を十分な長さに選ぶ必要があった. 本稿では, 従来構造より棒径を大きく, 棒長を短くした誘電体棒アンテナを取り上げ, 利得特性を議論する. さらに, 誘電体小球アンテナとの周波数特性の比較検討もする.
2周波(fL,fH)向け分岐素子アンテナにおいて,fL素子上で生じるfHでの不要共振を回避する手法が提案されている.これにより,狭帯域化を防いだ整合が可能となる.本稿では,4周波化に向けて分岐素子を増やし,集中定数素子からなるフィルタを装荷したアンテナを提案する.そして,最適なフィルタ構成とその設計結果を示す.
近年,様々な形状や大きさの金属体を無線で管理するため,UHF RFID技術による小型で金属に取り付け可能なRFIDタグ用アンテナの利用が検討されている.また,RFID用コンフォーマルアンテナを金属円筒側面に設置する研究も行われている.本稿では,自動車のオイルタンク内で用いる消耗部品を無線で管理することを想定し,金属円筒内に配置されたメアンダラインアンテナからの放射について検討した.920 MHzで自己共振構造となり,外部へ放射することが確認できた.
休 憩(15:00 再開) 座長 道下尚文(防衛大)
B-1-108 |
2素子モノポールアンテナと平面地板の結合
○齋藤裕之・新井宏之(横浜国大) |
B-1-109 |
登山用ザック装着用150 MHz帯小型アンテナ
○石坂圭吾・馬野祐輔(富山県立大) |
B-1-110 |
2素子で4状態を切り替える簡易なダイバーシチアンテナの実験検討
○西本研悟(三菱電機)・小林亮介(三菱電機エンジニアリング)・田中豊久・西岡泰弘・米田尚史(三菱電機) |
B-1-111 |
ダブルピッチヘリカルアンテナの利得特性
○三牧宏彬・中野久松(法政大) |
B-1-112 |
ミリ波帯における人体ファントムの一検討
○和泉峻介・前山利幸(拓殖大)・田中稔泰(マイクロウェーブファクトリー) |
地板上のモノポールアンテナの特性を評価する際,地板の共振による影響を受ける. 地板を無限地板とするとモノポールアンテナ自体の特性を測定できるが,解析に多くの時間を要してしまうため,有限地板での解析が必要になる.有限地板によるモノポールアンテナへの影響についての議論は行われている.本稿では, 地板上に取り付けた2素子モノポールアンテナに対して地板の大きさがどう影響するか検討する.
登山者携帯端末に接続することができ,かつ登山用ザックに装着可能な150MHz帯用小型アンテナを試作し,アンテナの特性を測定した結果について報告する.
マルチパス環境に設置される小形の無線端末で簡易に通信接続率を向上させるためには,切替ダイバーシチ方式が有効である.ダイバーシチ方式では,ブランチ数を増やすほどフェージングによる受信電力低下を低減できる.しかし,小形端末に複数のアンテナを搭載する場合にはアンテナ間の相互結合が強くなるため,多数のアンテナを用いるのは困難である.そこで,先に,4個のサセプタンス素子から構成される減結合回路と2個の移相器を組み合わせることにより,2素子のアンテナで4状態を切り替える小形ダイバーシチアンテナを提案した.ここでは,本構成について実験による検証を行い,低相関な4ブランチ切替ダイバーシチが実現できることを示す.
シングルピッチヘリカルアンテナSPHAをダブルピッチ構造にすると,利得の増加が得られる.この時のアンテナ設計は,仮想円筒円周が1波長となる周波数 (3.0 GHz)で行われていた.本稿では,SPHAの最大利得の得られる周波数でダブルピッチ構造にした場合を検討し,利得の増加を図る.低ピッチで巻かれた螺旋の軸長と均一円筒部軸長の比を適切に選ぶことにより,利得を従来のSPHAのものより高くすることが可能である.最大利得 14.2 dBi から 1 dB 低下する周波数帯域幅は 18.3 %と算出される.
近年,10GHz以上の周波数を対象とした人体安全性評価技術の開発,研究が求められている.しかし,電波ばく露による人体安全性に関する,10GHz以上の先行研究は少ない.安全性評価技術の開発の段階では,実験に人体を用いることは難しいので,生体等価ファントムを用いる.そこで,ミリ波帯において利用可能なファントムについて検討を開始した.
本稿では試作したファントムをマイクロ波帯とミリ波帯で自由空間法と導波管法を用いて誘電率を測定し、比較,評価した結果を報告する.
B-1. アンテナ・伝播C(アンテナシステム)
3月17日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟2F K209講義室 座長 北 直樹(NTT)
B-1-113 |
等間隔円形アレーとButler matrixを用いたOAM3多重伝送
○村田健太郎・本間尚樹(岩手大)・道下尚文・森下 久(防衛大) |
B-1-114 |
送受信距離に依存しない66GHz帯LoS-MIMO構成の効果
○西森健太郎・松村尚輝・谷口諒太郎(新潟大)・平栗健史(日本工大)・戸村 崇・広川二郎(東工大) |
B-1-115 |
IEEE 802.11axにおけるDL MU-MIMOの簡易スループット評価
◎佐藤宏紀・西森健太郎・八九勇樹(新潟大)・平栗健史(日本工大) |
B-1-116 |
三点制御フェーズドアレーにおけるヌル生成に適したアンテナ間隔の検討
○幸谷 智・齊藤泰一(東京電機大) |
B-1-117 |
3次元到来波方向推定アンテナの設計指標
○本田和博(富山大) |
等間隔円形アレーを用いたorbital angular momentum (OAM) 多重伝送では,チャネル行列が常に巡回行列となり,Butler matrixを用いた受動的なdiscrete Fourier transform (DFT) ビームフォーミング により対角化可能となるため,信号処理簡易化の点で有効である.これに関し著者らは,2の冪乗次の多重OAMモードを生成するButler matrixを提案しているが,任意の次数に適用可能な手法については未検討であった.そこで本稿ではまず,3次のOAM多重伝送を可能とするシステムを提案し,3の倍数次への拡張可能性を示す.
著者らは,小型自立無人航空機(ドローン)を中継局としたMIMO 伝送により,伝搬損失と空間相関を改善する伝搬環境制御法を提案してきた.また,ドローン中継局間の通信にLOS-MIMO伝送を利用した伝搬環境制御について,送受信距離に依存しない不等間隔アレーによる構成を提案した.本稿では提案アンテナ構成を用いて,66~GHzで4x4LoS-MIMOにおける屋外実環境での伝搬チャネルを取得し,その効果を検証する.
無線LANの最新規格であるIEEE 802.11axではマルチユーザMIMO (MU-MIMO) のUp/Down Link (UL/DL) の両方が考慮されている.IEEE 802.11axの最大伝送レートは従来規格のIEEE 802.11acの約1.4倍であり,最大伝送レートはIEEE 802.11acに対しさほど改善しない.一方,通信効率の観点からIEEE 802.11axのDL MU-MIMO伝送ではTrigger Frameが導入され,Media Access Control (MAC) のオーバーヘッドが大きく軽減された.本検討では,DL MU-MIMO用の簡易評価を用いて,MACのオーバーヘッド軽減によって実効スループットが向上することを11acとの比較によって確認する.
筆者らは Wi-Fi 端末やアクセスポイントへの接続を不正に解除させる攻撃(deauthentication attack)に対し,攻撃を検知し,フェーズドアレーを用いて生成したヌルを攻撃端末方向に向けることで防御する方法を検討している [1].3つのアンテナ素子でアレーを構成したとき,その間隔により制御でヌルを向けられる角度とヌル幅が変化するため,本稿ではこれらを求め,防御に適したアレー間隔について検討を行ったので報告する.
ニュートン・ラフソン法を用いた3次元到来波方向の推定方法について検討している.本研究ではSNRと所望平均推定誤差を基に到来波推定アンテナの設計指標について検討したので報告する.
休 憩(11:00 再開) 座長 紀平一成(三菱電機)
B-1-118 |
尖度最大化アルゴリズムを用いたアレーアンテナによるブラインド信号分離の特性解析
◎關山桂太・菊間信良・榊原久二男(名工大) |
B-1-119 |
非同期サンプリングによるブラインド型仮想Massiveアレーの提案
◎髙橋草太・渡部一聖・西森健太郎・谷口諒太郎(新潟大)・村上友規(NTT) |
B-1-120 |
機械学習による受信電力を考慮した4×4MIMO伝送容量推定
◎増田大輝・本田和博(富山大) |
B-1-121 |
見通し内・外ストリートキャニオン環境下におけるMassive MIMOの平均アンテナ利得
○打木泳汰・町田一輝・田代裕也・中林寛暁(千葉工大) |
B-1-122 |
SHF帯における受信感度とクラスタ数の関係に関する考察
○△谷口諒太郎・西森健太郎(新潟大) |
無線通信では,混在した複数の未知の入射信号をブラインドで分離する必要があり,その有効な手法として,独立成分分析(Independent Component Analysis:ICA)が知られている.本研究では,ICAアルゴリズムの一つである尖度最大化アルゴリズム(Kurtosis Maximization Algorithm:KMA)を用いた信号分離に着目する.そして,一回のアレーのウェイベクトルの更新に複数のスナップショットを使用する移動平均を導入した場合の信号分離特性を解析する.
5Gシステムのキー技術であるMassive MIMOでは,アンテナ数の増加に伴いハードウェア規模が大きくなることが課題となる.本稿では,Virtual Massive (VM)-MIMOをベースとして,高速にA/D変換を行い1シンボル内で複数のアンテナパターンを形成し,仮想Massiveアレーを実現する伝搬環境制御法として,ブラインドアルゴリズムを用いた方法を提案する.また,提案方法の基本性能と有効性を明らかにする.
スマートフォン端末等において超高速通信を実現するため4×4MIMOシステムが導入されている.MIMO端末の性能を評価するためにはOTA評価が必要となるが,多大な労力を要する.本研究では,アンテナ受信電力を考慮した4×4MIMO伝送容量推定を機械学習にて行ったので報告する.
第5世代移動通信において,通信に利用される無線周波数の高周波数化が進んでいる.伝搬損失は周波数が高くなるにつれて大きくなるため,基地局を超多素子化により伝搬損失を補償するMassive MIMOの検討が精力的に進められている.これらの検討は,評価量としてチャネル容量やスループット等を用いたものが多く,回線設計と親和性の高いアンテナ利得に着目した検討は少ない.本検討では市街地マイクロセルストリートキャニオン環境下で基地局にMassive MIMOを適用した場合の実効的なアンテナ利得として平均アンテナ利得を求める.
第5世代移動通信方で用いられるミリ波帯では,伝搬特性がi.i.d.レイリーフェージングとは大きく異なり,Massive MIMOの伝送レート評価のためには厳密なクラスタ数の把握が必要である.そこで実環境に即した伝搬モデル提案したが,クラスタ数の評価は十分ではなかった.本報告ではレイトレーシング法を用いたシミュレーションとk-means++アルゴリズムにより,20GHz帯における受信感度とクラスタ数の関係を明らかにする.
3月17日 13:30〜17:30 総合科学部 K棟2F K209講義室 座長 本田和博(富山大)
B-1-123 |
符号多重によりチャネル数を削減した4チャネル送信DBFアンテナの無線検証
○栗山 侑(三菱電機)・Ma Rui・Orlik Philip(Mitsubishi Electric Research Labs.)・紀平一成・深沢 徹・米田尚史(三菱電機) |
B-1-124 |
移相器制御に基づく送受積時間変調アレー
○紀平一成・深沢 徹・米田尚史(三菱電機) |
B-1-125 |
R2V通信における適応指向性制御によるチャネル容量改善
◎佐々木翔太郎・藤元美俊(福井大)・河合克敏・飯沼敏範(京セラ) |
B-1-126 |
寄生アンテナを利用したフィードバック不要な導体筐体内無線電力伝送法
◎千田 司・及川航世・村田健太郎・本間尚樹(岩手大) |
B-1-127 |
波数空間分離とWKD法を統合した超分解能ドップラ速度・距離分解法
◎安藤 健・木寺正平(電通大) |
DBF(Digital Beamforming)技術への関心が高まっている.素子アンテナ毎にD/A(Digital to Analog Converter)を備える送信DBFでは,低コスト化・消費電力削減が課題である.これに対する有望な手法の一つはハードウェア削減であり,これまでに素子信号をディジタル処理で符号多重し、アナログ処理で分離することでD/Aの個数を削減する送信DBF方式を提案した[2].本稿では,本提案方式の無線環境による原理検証結果を報告する.
著者らは移相器による位相制御型時間変調アレーアンテナを提案している.これは各素子アンテナに与える位相分布を時分割で切り替え,時間平均により等価的に振幅制御を実現する技術である.本報告では,送受双方での時間変調処理を両立する送受積方式を提案する.
自動車の安全運転支援システムを実現するため, 車々間(Vehicle to Vehicle: V2V)および路車間(Roadside to Vehicle: R2V)において高品質な通信を行う必要がある. しかし, 緊急車両など, 特定の車両と通信を行う場合, 交差点など多くの車両が集中する場所では, 緊急車両以外の車両からの電波が, 受信側に干渉する恐れがある.
本報告では, 交差点付近のR2V通信に対してアダプティブアレーを導入した場合の, 干渉低減およびチャネル容量改善効果を明らかにする.
導体筐体内無線電力伝送に関し,寄生アンテナの負荷制御により電波伝搬環境を最適化し,給電効率を向上する手法が提案されている.しかし従来法では,負荷決定に際し受電機からのフィードバックを必要とし,受電機が電池切れの場合,適用不可となる.また,事前に対象空間の電磁界解析により算出した最適負荷を使用する手法では,解析精度と計算負荷の点で課題がある.
そこで本稿では,導体筐体の電波閉込効果を利用したフィードバック不要な寄生アンテナ最適負荷決定法を提案し,数値解析により給電効率が無制御時と比べて4.2倍に改善できることを示す.
マイクロ波・ミリ波近距離レーダは,自動運転時における視界不良・見通し外での人体衝突検知センサ等に有望である.また,パルスドップラレーダ方式により,特に人体各部位の動きに起因するマイクロドップラ成分を抽出することができる.超分解能ドップラ速度推定法として,重み付きカーネル密度推定に基づく推定法(WKD:Weighted Kernel Density) が提案されている.しかし,同手法は複数目標が同一距離付近に存在する状況下では,干渉等により精度が劣化するという問題がある.同問題を解決するため,本稿ではアレイデータを波数空間に変換し,角度方向に分解することで距離分解能を向上させ,かつ波数情報に基づく重み付き推定を導入する.数値計算に基づく性能評価により,本手法の有効性を示す.
休 憩(15:00 再開) 座長 塩見英久(阪大)
B-1-128 |
波数空間分離とRPM法を統合した超分解能レーダ画像化法の実験的検討
○大森知樹(電通大)・赤峰悠介・礒野友輔・近藤勝彦(SOKEN)・木寺正平(電通大) |
B-1-129 |
電磁透明化によるリアクタンス装荷AOAアンテナの測角精度改善メカニズム
○小川晃一・生川菜々(富山大) |
B-1-130 |
素子指向性ベクトル合成によるAOAアンテナ測角特性メカニズム解析
◎生川菜々・小川晃一(富山大) |
B-1-131 |
UWB到来角度推定における遮蔽物回折影響に関する検討
◎大石佳樹・古賀健一・古池竜也・森 恵・堀 勇貴(東海理化) |
B-1-132 |
PN相関法を用いた圧縮センシングによるマルチパス波のTOF推定
◎滝藤寛人・菊間信良・榊原久二男(名工大) |
マイクロ波・ミリ波帯の電磁波を用いた近距離レーダシステムは,光学センサ等の適用が困難な,壁越し・粉塵・見通し外環境等での目標探知が可能であり,自動車の突防止センサとして有望である.
上記応用に資する画像化法の一つとして,目標境界抽出に特化した高精度画像化法であるRPM 法(Range Points Migration) が提案されている.
一方,角度分解能は基本的に距離分解能で決定されるため,インコヒーレント処理に基づく同手法では,比帯域幅が小さいミリ波レーダ等の信号モデルにおいて精度が劣化する.
同問題を解決するため,波数空間変換に基づく距離分解法及びクラスタリング処理が提案され,数値計算においてその有効性が示された.
本稿ではX-band超広帯域レーダを用いた実機実験により,同手法の有効性を示す.
MIMO・AOA複合アンテナのMIMOサブアレーにリアクタンスを装荷し,測角精度を改善する方法を提案した[1].しかし,測角精度改善のメカニズムは明らかではなかった.そこで,本論文では測角精度改善の電磁気的メカニズムを調べた.
我々は,飛翔車両を対象として,全立体角で到来波方向推定を可能とするAOAアンテナ[1]を研究している.本稿では提案アンテナが高精度測角特性を持つメカニズムについて述べる.
近年、UWB(Ultra Wide Band)通信を用いた位置推定技術が注目されている。日本ではこれまで、UWBは屋内利用のみ認められていたが、法規改正により屋外でも利用可能となり、今後様々な場面での利用が増大すると考えられる。UWB位置推定が利用される場面の1つとして、車両の施解錠のためのスマートキーの位置推定が挙げられるが、車載通信用アンテナを車室内に設置した場合、様々なNLOS環境が想定され、推定精度が低下することが懸念される。そこで、NLOS環境の一例としてピラーを回折して信号が受信される際の角度推定への影響を確認し、アンテナ選択による角度推定精度改善効果について検討を実施したので、その結果を報告する。
近年, 無線通信の分野でセキュリティ等の目的で端末の位置を推定することが必要とされている.これには, 端末からの電波の伝搬遅延時間 (TOF : Time of Flight) および到来方向 (DOA : Direction of Arrival) の推定が有効である. 本研究では PN(Pseudo-Noise) 系列信号を送信信号としたPN相関法による遅延プロファイル推定に着目する. さらに, TOF 推定精度を向上させるためPN 相関法で得られた遅延プロファイルに, 圧縮センシングであるFOCUSS(Focal Undetermined System Solver)を適用し, 推定特性を詳細に検討する.
休 憩(16:30 再開) 座長 西森健太郎(新潟大)
B-1-133 |
深層学習を用いた電波伝搬推定手法の精度向上に関する検討
◎井上一也・市毛弘一(横浜国大)・長尾竜也・林 高弘(KDDI総合研究所) |
B-1-134 |
Matrix Based 圧縮センシングによるDOA-TOA同時推定の高速化
◎下茂清峰・立神光洋・藤元美俊(福井大) |
B-1-135 |
市街地構造パラメータを用いた機械学習による伝搬遅延時間推定
◎立神光洋・藤元美俊(福井大)・北尾光司郎・猪又 稔・須山 聡(NTTドコモ) |
B-1-136 |
機械学習によるMIMOセンサを用いた人の姿勢推定の基礎検討
○太田剛史・西森健太郎・谷口諒太郎(新潟大)・本間尚樹(岩手大) |
本稿では,機械学習を用いた電波伝搬推定手法として,空間情報と実測データを入力とする推定モデルを提案する.先行研究では,空間情報として建物占有率画像を用いることが有効であると報告している.しかしながら,建物占有率画像は都市部でのみ提供されている場合が多い.本稿では,航空写真から建物占有率画像を合成して用いることで,推定精度の向上を目指す.
無線通信品質を改善するために,DOAおよびTOAの様々な推定法が提案されている.特に,圧縮センシング(CS)を用いた手法は,従来法と比べ1サンプリングで推定が可能であり,注目されている.しかし,CSは,推定に多くの計算時間を必要とする.また,2次元以上のプロファイル推定を行う場合,CSのアルゴリズムは,一般に1次元に次元を下げて(ベクトル化して)推定を行う.そのため,計算時間が膨大となってしまう. 本稿では,CSのアルゴリズムである,ISTA(Iterative Shrinkage Thresholding Algorithm)においてDOAとTOAを2次元のマトリックスで推定するアルゴリズムを提案する.提案法により計算時間を短縮し高速化できることを示す.
第5世代移動通信システムでは,低基地局アンテナを利用したスモールセルの導入が検討されている.スモールセルは,移動体が密集する市街地ストリートセル環境に導入される.高周波数帯におけるチャネルモデルは3GPPやITU-Rにおいて標準化されたが,これらを用いて実際の街構造と伝搬経路の関係を,把握することはできない.
本稿では,20GHzチャネルサウンダにより測定された遅延プロファイルを教師データとし,市街地構造パラメータ入力とする教師あり機械学習による伝搬遅延時間推定について検討する.
著者らは,Multiple Input Multiple Output (MIMO) 技術を用いたセンシングについて研究を行っている.これまでマルチパスフェージングにより変動する伝搬チャネルに注目することで,人の到来方向やアンテナ間の対象人物の推定などの検討を行った.本稿では,MIMO センサより得られたデータから推定した伝搬チャネルを機械学習モデルの入力データとして学習させ,対象人物の姿勢分類を行い,推定性能を評価する.
3月18日 9:45〜12:15 総合科学部 K棟2F K209講義室 座長 飴谷充隆(産総研)
B-1-137 |
送受信系を利用したAPAAの自己校正法に関する実験検討
○渡辺 光・紀平一成・深沢 徹・米田尚史(三菱電機) |
B-1-138 |
アレーアンテナで発生するPIMに対する指向性成形の影響
○君野理哉・久我宣裕(横浜国大) |
B-1-139 |
ビーム走査アレーアンテナのEIRP測定
◎浅井美佑・新井宏之(横浜国大) |
B-1-140 |
粗いサンプリングを用いた近傍界同一平面での振幅測定による位相再構成
○楠瀬恭介・新井宏之(横浜国大) |
アクティブフェーズドアレーアンテナ(以下APAA)の放射指向性を適切に制御するには,各素子アンテナに接続される送受信モジュールの初期ばらつきを補償する校正が不可欠である.筆者らは電波暗室が不要かつ短時間で校正可能な自己校正法を検討した.しかし,本方法は事前にアレーアンテナの反射・結合データの取得が必要であるが,構造によっては測定が難しい場合があった.本稿では,より簡易的な自己校正法を提案し,APAA装置を用いて提案手法の有効性を検証した結果を示す.
指向性成形されたアレーアンテナ内のPIM源による観測PIMレベルの影響評価を行った.アレーアンテナ内の観測PIMの計算方法について提案し,それにより,指向性成形による観測PIMレベルへの影響を推定した.
ビーム走査アレーアンテナのEIRPを測る際には全空間に測定点を設定して全てのビーム走査を行いEIRPの最大値を検出する必要がある.しかし,測定時間が膨大になり,測定点数を削減することが望まれている.またERIPの評価指標としてビーム走査時の累積確率分布(CDF)で評価する手法が提案されている.本稿では,測定点数の削減法について等振幅な線形アレーアンテナを用いた検討を行い,必要最小限の測定間隔を求める.遠方界においては中央値を評価値としてEIRPを評価すると,測定点が15°間隔であれば評価に必要な測定点数を抑えることがが可能である.今後の課題は等振幅ではないアレーアンテナや三次元での測定に拡張することである.
高周波帯での位相測定の困難さから,振幅情報から位相分布を推定する方法が多用される.その一つとして異なる距離の二面の振幅情報を用いて位相を最適化するPhase Retrieval(PR)法があるが,0.1λ以下の精密なサンプリングと内挿線形補間を用いることで一面の振幅情報からも一意に位相分布が決定できる.この一平面からの位相推定手法に関して,アンテナのアレイ化によるビームチルトと,半波長に近い粗い測定間隔への対応を本研究では検討した.
休 憩(11:00 再開) 座長 黒川 悟(産総研)
B-1-141 |
GHz帯組織等価液剤中シース付ダイポールアンテナの送信アンテナ係数の距離特性
○石井 望(新潟大)・チャカロタイ ジェドウィスノプ・清水悠斗・和氣加奈子・渡辺聡一(NICT) |
B-1-142 |
グレーティング,ワッフル,ワッフルアイロン導波路の評価
○飯田 渉・新井宏之(横浜国大) |
B-1-143 |
2面の近傍電界振幅を用いた遠方界推定の車型モデルへの適用
○松井寿樹・新井宏之(横浜国大)・岩永伸也・堀 智(小島プレス) |
B-1-144 |
モーメント法と2面半球面近傍電界振幅を用いた遠方界推定
◎林 祐造・新井宏之(横浜国大)・岩永伸也・堀 智(小島プレス) |
B-1-145 |
高精細人体モデルを用いたカプセル内視鏡の位置推定と実測
○佐々木凜太郎・高橋応明(千葉大) |
本稿では,GHz帯において近傍界利得に基づくプローブ較正の困難さを解消することに目的として,組織等価液剤中で動作するダイポールアンテナの送信アンテナ係数の距離特性を測定し,送信アンテナ係数に基づくプローブ較正の実現可能性を検討した.送信アンテナ係数は距離によらず一定となる範囲が存在することが確認された.このことにより,従前著者らがMHz帯において開発した送信アンテナ係数を利用したプローブ較正法をGHzにおいても適用可能であることが明らかとなった.
近年,データトラフィック量の増加,シリコンフォトニクス技術の向上により,光無線通信が注目されている.光無線通信用の高利得,高ビームチルト機能を持つ漏れ波アンテナとして,グレーティング導波路が知られており,また,より高利得な漏れ波アンテナとしてワッフル,ワッフルアイロン導波路が提案されている.本報告では,3つの導波路について,等価屈折率,減衰定数,指向性利得を算出することで,比較を行い,提案された導波路がより高利得となっているかを確認する.
金属筐体にアンテナを接続すると筐体全体がアンテナとして動作するため筐体サイズによっては、遠方界の測定に広大なスペースを要する場合がある。こういったアンテナにおいて半球面走査による近傍界測定を用いた電流分布推定法が提案されている。この方法では位相情報が必要であるが実測において位相を正確に測定することは難しい。そこで本報告では2面の半球面近傍電界振幅から電流分布を最適化し,遠方界推定を行う手法について述べ,それを車型モデルに対して適用することで,複雑なモデルに対しても有用な手法であることを示す。
金属筐体にアンテナを接続すると筐体全体がアンテナとして動作するため筐体サイズによっては、遠方界の測定に広大なスペースを要する場合がある。こういったアンテナにおいて半球面走査による2面近傍界振幅を用いた電流分布推定法が提案されている。このような手法においては、正しい電流分布に収束する2面の測定半径が限定される場合がある。そこで本報告では位相初期値としてモーメント法により取得した値を適用することで収束条件の緩和を図る。
カプセル内視鏡検査は,従来の内視鏡に比べ侵襲性が低く,消化管内を可視化し診断できるイメージングツールとして現在注目を集めている.画像撮影時にカプセルの位置情報を付加することにより,外部からの電力伝送の効率化や病変部位特定が可能になり診断精度の向上が期待されている.先行研究では,リアルタイムなカプセル内視鏡(送信アンテナ)の位置推定を目的とし,簡易人体モデルにおける低演算処理による位置推定が行われていた.本研究では,先に提案している位置推定アルゴリズムの有効性を確認するために,人体構造を模した高精細人体モデルを用いて位置推定の解析を行うとともに,人体等価ファントムを用いた実測を行った.
3月20日 9:30〜12:00 総合科学部 K棟2F K209講義室 座長 鷹取泰司(NTT)
B-1-146 |
自動車内での逆正接復調を用いたマイクロ波心拍検出
◎佐々木滉太・佐藤 潤・長谷部 駿・本間尚樹・岩井守生・小林宏一郎(岩手大)・佐藤 敦(エクォス・リサーチ)・村田健太郎(岩手大) |
B-1-147 |
マイクロ波電力伝送に向けた対人電波照射回避と高効率給電を両立するビームフォーミング法
◎金子直樹・長谷部 駿・村田健太郎・本間尚樹(岩手大) |
B-1-148 |
指向性可変アンテナとDNNを用いた屋内無線タグ位置推定の一検討
○桧垣 誠・堤 由佳子(東芝) |
B-1-149 |
無線LANを用いたパッシブレーダによる屋内人物の2次元位置推定に関する基礎検討
◎小川辰也・牛腸正則・山田寛喜(新潟大) |
B-1-150 |
複数局MIMOレーダを用いた非拘束生体向き推定法
◎林 哲平・白木信之・沼崎和樹・本間尚樹(岩手大)・中山武司・飯塚翔一(パナソニック)・村田健太郎(岩手大) |
近年,自動運転技術は目覚ましく発展しているが,依然として人間の介入が必要である.そのため,人に引き継ぐ前に,安全に運転できる状態であるか監視する必要がある.運転手の監視法としてウェアラブルデバイスやカメラなどが挙げられるが,前者は身体的ストレスや衛生面,後者はプライバシーの問題が挙げられる.これらの解決手段として,電波を用いたバイタルセンシングが検討されているが,走行時に非接触で観測することは困難である.本報告では,エンジンや走行により身体が振動する条件下の心拍測定実現を目的として,マイクロ波を用いた心拍検出法に関して検討した.結果としては,静止時のエンジン稼働状態では,高い心拍推定精度が得られるが,走行時は誤差が大きくなることが確認された.今後は,外乱を除去できるよう改良を進める.
マイクロ波電力伝送では,受電端末への給電効率向上と同空間内に存在する人体への電波照射レベルを所定の指針値以下に抑制する必要がある.従来法であるpower inversion(PI)理論に基づくbeamforming(BF)法は,本質的に所望端末への給電効率の向上機能を有していないため,本稿では固有モード解析に基づく対人電波照射回避と高効率給電を両立する新たなBF法を提案する.実験結果より,提案法では人体電波照射レベルは従来法と同程度に抑制しつつ,給電効率が約15 dB改善されることを確認した.以上の結果から,提案法により対人電波照射回避と給電効率向上が両立可能であることが示された.
指向性可変アンテナとDNN(Deep Neural Network)を用いた屋内無線タグ位置推定について、汎化性能の観点でMUSIC法と比較検討したので報告する。
近年,電波センサを用いた屋内位置推定に関する研究が盛んに行われている.しかし,電波の利用需要が急速に増加しており,割り当て可能な周波数が枯渇しつつある.この問題の解決策として,一般的なレーダのように自ら電波を放射する必要の無い,既存の電波源を利用するパッシブレーダに着目した.このレーダは特別な周波数の割り当て及び無線局免許の申請が不要であるといった利点を持つ.本稿では,無線LANを用いたパッシブレーダの実験データに対してスパース再構成による屋内人物の距離推定を行い,その距離推定結果のマッピング方法を変化した場合の屋内人物の2次元位置推定結果について報告する.
高齢者のための屋内見守りシステムの需要が高まっており,電波を用いた見守り技術として生体向き推定が検討されている.しかし,生体近くに複数のアンテナを配置するため,向き認識には生体の拘束が必要であった.本報告では,アレーアンテナを部屋の四隅に配置したMIMOレーダによる非拘束生体向き推定法を提案する.固有ベクトルを用いて教師データと観測データを比較し向きの推定を行う.さらに,実験により生体向き推定精度を評価した結果について述べる.結果として,部屋の9ヵ所で測定を行い同位置の教師データと観測データを比較することで,平均85%の精度で向き推定可能であることを明らかとした.
休 憩(11:00 再開) 座長 井上祐樹(NTTドコモ)
B-1-151 |
マイクロ波アレイレーダによる非接触生体計測と胸部位置推定
◎香田隆斗・阪本卓也(京大) |
B-1-152 |
マイクロ波電力伝送に向けた完全受動伝搬路推定法
◎近藤慎之介・小田島祥太・及川航世・村田健太郎・本間尚樹(岩手大) |
B-1-153 |
2次元重みづけ関数を用いたマルチスタティックMIMOレーダ
◎白木信之・本間尚樹(岩手大)・中山武司・飯塚翔一(パナソニック)・村田健太郎(岩手大) |
B-1-154 |
レーザスキャナを用いた分散型アンテナの位置校正精度評価
○中西孝行(三菱電機)・人見健三郎(三菱電機エンジニアリング)・橋本貴博・瀧川道生・米田尚史(三菱電機) |
呼吸や心拍といった生体情報の測定はヘルスケア等の分野で大きな注目を集めている.特に,レーダを用いた非接触生体計測では,接触型センサと異なり皮膚のかぶれや不快感がなく,カメラと異なりプライバシーの懸念が少ない.例えば,睡眠中の体動や呼吸を非接触で計測することで,対象者に負担をかけずに睡眠状態のモニタリングができる.特に,2.4 GHz帯レーダは衣服や寝具を容易に透過するという利点があるが,その多くは単一素子のみを使用し,アレイによるイメージングはできない.本研究では2.4 GHz帯の9素子2次元アレイレーダを整備し,イメージングによる胸部位置推定と生体計測の双方を同時に実現する.
マイクロ波電力伝送では,送受電機間の伝搬路情報に基づきビームフォーミングを行うことで高効率給電を実現できる.しかし,受電機が電池切れまたは通信機能を持たない場合,伝搬路推定不可となり給電不能となる.そこで本稿では,入射電力強度に応じレクテナの反射特性が非線形に変化する現象に着目し,送電側の基本波電力制御によりレクテナで発生する``疑似負荷変調信号''を利用した受動伝搬路推定法を提案する.さらに,送受信を切り替えて反復試行することで推定精度の逐次的改善を図る.数値解析結果から,11回の反復試行で幅2 m,前方4 m程度の範囲内で高精度に伝搬路推定可能であることを確認した.
近年,高齢者の見守りシステムに関する研究,開発が盛んに行われている.高齢者の見守りシステムの一環として屋内位置推定を目的とした複数局協調型MIMO (Multiple-Input Multiple-Output)レーダが提案されている.しかし,被験者がアンテナ局から離れると位置推定精度が劣化するといった問題がある.同手法では,被験者-アンテナ局間距離が考慮されていないため,被験者の遠近に関わらず推定位置の信頼度が同等となってしまう.
本報告では,2次元重みづけ関数を用いたMIMOレーダによる屋内位置推定法の提案と精度評価を行う.以下では,被験者-アンテナ局間距離に対応した2次元重みづけ関数を用いた補正法の原理について述べ,1~2人の被験者における位置推定精度の評価を行う.
レーダの探知性能向上や低コスト化を目的に、フェーズドアレーアンテナで構成されるサブアレーアンテナを複数個分散させて配置する分散アレーアンテナを用いたレーダシステムが検討されている.測角や干渉抑圧等のアレー信号処理を実施するために,各サブアレーの位置及び角度を正確に測定して校正する必要がある.本報告ではレーザスキャナ(以下,LS)を用いた分散型アンテナの位置校正精度の評価結果について示す.
3月20日 13:30〜14:30 総合科学部 K棟2F K209講義室 座長 今井哲朗(東京電機大)
B-1-155 |
4素子円形アレーと180°/90°ハイブリッドを用いたRSSIに基づく2次元位置推定法
◎小野寺和希・北村大地・成毛一史・本間尚樹・村田健太郎(岩手大)・竹田真理・武居厚志・松本一弘・柴野伸之・菱川哲也(パナソニック) |
B-1-156 |
サーキュラアレーを用いた近傍波源位置推定と素子間相互結合の影響に関する検討
◎林 朋樹・菊間信良・榊原久二男(名工大) |
B-1-157 |
無人飛行機による仮想アレーを用いた到来方向推定による波源位置推定の検討
○高世 駿・西森健太郎・谷口諒太郎(新潟大)・松田崇弘(首都大東京)・満井 勉(光電製作所) |
B-1-158 |
NLOS環境における最尤推定を用いた波源位置推定
○村田真一(光電製作所)・松田崇弘(首都大東京)・西森健太郎(新潟大)・満井 勉(光電製作所) |
ビーコン信号のRSSI (Received Signal Strength Indicator) からDOD (Direction-of-Departure) を計算し,推定したDOD情報に対して三角法を用いることで受信端末の位置を推定する方法が提案されている.しかし,このDOD推定法はアレーアンテナ前方の1次元の推定に限定されていた.本報告では,円形配置した4素子アンテナを天井に設置しRSSIのみを用いて2次元DOA (Direction-of-Arrival)を計算し,送信端末の位置を推定する方法を提案する.
数値解析によって性能を評価した結果,2次元DOAを位置に換算した場合,受信アンテナの真下の点からの半径方向の距離が7 m以内の範囲において,誤差2.5 m以下の精度で位置推定が可能であることを明らかにした.
高速通信が求められる現代において, 近距離通信の必要性は高まっている.本研究では, 端末位置推定を目的として, 全方位到来方向推定が可能なサーキュラアレーに着目し, MUSIC法を用いてアレー近傍の波源位置推定について検討を行う.さらに, 受信アレーアンテナの素子間相互結合(アレー誤差)の影響を検討し, アレー誤差を校正する手法の一つであるSee法の校正性能を検証する.
携帯電話・無線LAN等の1次システムが使用していない帯域を2次利用するため,1次システムからの信号波源の位置を無人飛行機で推定する手法が検討されている.本稿では,無人飛行機が自由に移動できることを利用した仮想アレーに基づく到来方向推定を用いて,波源位置推定について,レイトレースを用いたシミュレーションにより評価する.仮想アレーの配置方法の違いと無人飛行機の高度の変化に対する波源位置推定精度を明らかにする.
無線LAN・携帯電話通信等1次システムが使用していない帯域を2次利用するため,1次システムからの信号波源の位置を無人飛行機で推定する手法が検討されている.本研究では,波源と無人飛行機間が見通し外(NLOS)である環境において,最尤推定を用いた波源推定手法を提案し,その基本性能をシミュレーション実験により評価する
B-2. 宇宙・航行エレクトロニクス
3月17日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟3F K310講義室 座長 網嶋 武(三菱電機)
B-2-1 |
洋上開発におけるマルチパス環境時の測位方式について
◎青木京平・久保信明・Yize Zhang(東京海洋大) |
B-2-2 |
RTK測位における電離層遅延及び対流圏遅延量の補正及び推定について
○尾関友啓・久保信明・青木京平(東京海洋大) |
B-2-3 |
GNSSコンパスの原理を利用した安価なスプーフィング検出装置の開発
○△小林海斗・久保信明(東京海洋大) |
B-2-4 |
航空機内データ通信周波数帯における小型航空機の干渉経路損失 -ビーチクラフトB300型機を用いた測定評価-
○二ッ森俊一・宮崎則彦(電子航法研)・関口徹也・日景 隆・野島俊雄(北大) |
B-2-5 |
ILS信号干渉シミュレーターの開発
○本田純一・松永圭左・毛塚 敦・田嶋裕久(電子航法研) |
山や構造物等に囲まれたオープンスカイ環境でない、かつ RTK 測位やPPP測位の利用が難しい条件下で、実際にどの程度の測位精度を実現できるかを評価することを目的とした。例えば、洋上における作業船や係留作業中のタグボートなどが上記の環境下に相当する。RTK測位は、地上の基準局と距離が離れているため恒常的に用いることが難しく、PPP測位は障害物方向に準天頂衛星がある場合、補正データを受信できない場合がある。本研究により擬似距離のみを用いた測位で水平誤差1m 級の位置精度を得ることができれば、船舶や自動車の安全運転支援にどのように利用できるかの指標となればと考えた。
近年、Galileo及びBDSの人工衛星数の増加により、GPSからマルチGNSSの時代に突入した。この状況に伴い、様々な分野でのマルチGNSSが利用され始めている。その際に注目されている測位方式がRTKである。RTK測位を実施すれば、移動局(自分の位置)がcm級でわかるが、そのためには基準局の設置が不可欠である。基準局と移動局との距離(基線長)は、一般的に20~30km以内が望ましいとされる。しかし実際のRTKを使用する現場では、30km以内に基準局を設置することが困難な場合も存在する。そこで本研究では基線長を伸ばすために重要な電離層遅延量及び対流圏遅延量の補正と推定の検討を行った。
GNSSに対するスプーフィング(なりすまし)の対策として2つの受信機とアンテナを使用しGNSSコンパスの原理を応用した4万円程度の安価なスプーフィング検出装置を開発した。暗室での実験でスプーフィングの検出に成功し、アラートを出すことができた。
WRC-15において,航空機電波高度計に配分されている4 GHz帯(4.2 GHz-4.4 GHz)が航空機内データ通信(Wireless Avionics Intra-Communications, WAIC)にも配分されることが決議された.現在,電波高度計とWAIC機器間およびWAIC機器間の周波数共用が可能となるよう,国際民間航空機関,欧州民間航空電子装置機関および航空無線技術委員会等で,2021年3月を目標にWAIC機器の国際規格化が進められており,著者らはその活動に参加している.本稿では,航空機電波高度計とWAIC機器の周波数共用検討を実施するための基礎データとして,小型航空機を用いて実施した,電波高度計への干渉経路損失(Interference Pass Loss, IPL)の測定結果について議論する.
ローカライザー(LOC)やグライドスロープ(GS)といった計器着陸システム(ILS)は,航空機に着陸経路上における水平および垂直方向の自機の位置関係を知らせる地上航法施設である.これらの施設では,建物や航空機からの散乱波が着陸経路を乱す誤差要因としてしばしば問題となる.本研究では,ILSの電波干渉を数値解析するための計算アルゴリズムの開発を進めており,それを実装したILSシミュレーターの開発を開始した.本稿は,開発中のシミュレーターの概要についてまとめたものである.
休 憩(11:00 再開) 座長 二ッ森俊一(電子航法研)
B-2-6 |
HMUとの比較によるADS-Bの幾何高度基準面判定
○金田直樹・松永圭左・宮崎裕己(電子航法研) |
B-2-7 |
深層学習を用いた地中レーダとUAVによる海洋プラスチック検出
園田 潤・◎佐藤 匠(仙台高専)・金澤 靖(豊橋技科大)・木本智幸(大分高専) |
B-2-8 |
地中レーダ画像の補間による地中情報の密な3次元可視化
◎徳重海都・金澤 靖(豊橋技科大)・園田 潤(仙台高専)・山本佳士・光谷和剛(名大) |
B-2-9 |
HF海洋レーダを用いたパッシブレーダにおけるDOA推定への拡張HQR法の適用
○高橋善樹・高橋龍平・大島正資・田中裕士(三菱電機) |
B-2-10 |
地デジ信号を使ったパッシブレーダによる移動体検出
○大津山卓哉・本田純一・渡邊優人(電子航法研) |
増大する航空輸送の需要に対応するため,日本では航空機の垂直方向の管制間隔を短縮するRVSMが2005年から導入されている。RVSMを導入するには航空機の高度維持性能の監視が必要であり,日本ではマルチラテレーション方式による高度維持性能監視システムが運用されている。一方,費用面に優れるADS-Bによる高度維持性能監視手法が豪州から提案され豪州等の高度維持性能監視に活用されている。しかしADS-B機上装置の仕様上,地球回転楕円体からの高度とジオイド面からの高度のどちらかADS-Bの情報だけでは判別できず問題となる。
我々はこれまでADS-B信号を解析し幾何高度基準面の判別を行っている。今回HMUとADS-Bの幾何高度を比較することによりADS-Bの幾何高度基準面を判定したので結果を報告する。
近年,海に年間少なくとも800 万トンものプラスチックが流れこんでいるとされ,大きな環境問題になっている.日本沿岸でも海岸漂着プラスチックが問題になっており,処理計画立案のための定量化が必要とされているが,自動定量観測は研究されていない.また,漂着プラスチックは砂浜に沈下し,海洋生態系にも大きな影響を及ぼすと考えられるが,その調査も行われていない.本研究では,海岸漂着プラスチックの定量化を目的に,地中レーダによる地中内部のレーダ画像とUAVによる表層の空撮画像から深層学習を用いた自動検出を試みる.
地中レーダを用いて広範囲な地中の状態を計測する場合,一般に密な測線を設定する必要がある.本研究では,測線間のデータを補間によって推定し,実測データと補間データを合わせて地中の密な情報を3次元的に可視化する手法を提案する.ここでは疑似カラー画像化したデータから,深層学習を用いた画像生成手法の一つであるGANを用いて補間画像を生成し,それらの画像を3次元的に並べることで地中情報を可視化する.実データおよびシミュレーションデータを用いた実験の結果,線形補間と比較し,特に地中物体の外挿部分で提案法の方が良い精度で推定できることがわかった.
著者らがこれまで提案してきた,相関波へ適用可能な高分解能DOA(Direction Of Arrival)推定手法である拡張HQR(Half-Quadratic Regularization)法の検討は,計算機シミュレーションによる評価に留まっていた.また近年,海洋監視等を目的としたHF(High Frequency)海洋レーダを用いたパッシブレーダの検討が盛んであるが,角度高分解能化のためのアンテナ規模の大型化が課題である.そこで本稿では, HF海洋レーダを送信局としたパッシブレーダ装置で得られたレンジドップラマップに対し,拡張HQR法を適用し,実データによる角度高分解能化の効果を報告する.
現在,レーダはさまざまな場面で活躍する重要な社会インフラとなっている.航空管制においても多くのレーダが使われているが,航空管制で使われるレーダは電波の反射ではなく航空機からの応答信号を使う2次監視レーダが使われている.しかしながら,航空機の搭載機材に依存するため,反射を用いた併せて使用しているものの,得られる情報が2次監視レーダよりも限定的であるため,単独で使われることはあまりない.近年,様々な電波源を活用したパッシブレーダであるMSPSRを航空管制おいて使用するための研究が盛んに行われている.本稿では,地上デジタル放送波の遅延プロファイルを用いたパッシブレーダにおける移動体検出について報告する.
3月17日 13:30〜17:30 総合科学部 K棟3F K310講義室 座長 秋田 学(電通大)
B-2-11 |
位相雑音下でのFMCWレーダーによるマルチターゲット推定
◎橘 優輝・韓 承鎬(電通大) |
B-2-12 |
時系列複素データ解析によるミリ波帯回折波を用いた見通し外人体識別法
○何 姜浩淼・木寺正平(電通大)・寺島将太・山田秀行(マツダ) |
B-2-13 |
位相差マップによる反射位置推定について-船舶用レーダスプリアス測定法の研究開発(その4)
○△町澤朗彦・川原昌利・北澤弘則・塩田貞明(NICT)・井上 朗・中村 透・村川真一・石井義弘(ラボテック・インターナショナル) |
B-2-14 |
HPRFレーダの複数ゲートを用いる高分解能測距法
○影目 聡・島津恭明・諏訪 啓(三菱電機) |
B-2-15 |
HPRFレーダの測距結果に基づく目標数推定及び収束判断方法
◎岩城悠也・影目 聡・諏訪 啓(三菱電機) |
FMCW(周波数変調方式)レーダーは周波数差を用いてターゲットとの距離や速度を測定するが、従来の信号電力を用いたマルチターゲット推定方法では、位相雑音の影響でスペクトルの歪みが生じターゲット数の誤りや精度の劣化が生じる。 本研究ではIF信号の自己相関関数から位相雑音が存在する場合でのパワースペクトル密度を解析することで、その補正方法について提唱する。
ミリ波帯レーダは視界不良及び見通し外環境等のセン
シング技術として,特に自動運転における衝突回避セン
サ等で有用である.また回折波解析により,見通し
外にでの人体等を識別することも期待されている.本稿
では見通し外での人体及び人工構造物からの回折信号を
用いた機械学習による識別法を提案する.本手法では,
いくつかの特徴量を導入し,複素時系列データを非線形
識別器SVM(Support Vector Machine) で学習させる.
特に見通し外環境で想定される低SNR(Signal to Noise
Ratio) の状況下で識別性能を改善させる.24GHz 帯ミ
リ波レーダを用いた実機実験によりその性能を検証する.
船舶用レーダのスプリアスを測定するOATS(Open Air Test Site)における地面での反射対策として電波吸収体フェンスを用いる方式が提案されている。本稿では、限られた高さの電波吸収体フェンスを適切に配置するために、受信信号の干渉縞を基に直接波と反射波の位相差を用いて反射位置を推定する方法を提案する。本推定法に基づいて電波吸収体フェンスを配置することでマルチパスを効果的に低減することが可能となる。
HPRF(High Pulse Repetition Frequency)パルスドップラーレーダにおいて,モノパルスを用いて距離計測する方法がある.しかし,この方法は単一ゲート(パルス幅相当)を前提にしているため,単一ゲートに複数目標からの反射信号を受信する場合は測距性能が劣化する問題がある.
本稿では,パルス内変調符号を施した送信信号を送受信し,各受信ゲートで復調(ゲート処理含む),ゲート内フーリエ変換,ゲート間高サンプリング処理を行う事により,高分解能に測距を行う方法を提案する.
HPRF (High Pulse Repetition Frequency)パルスドップラーレーダにおいて,複数のPRFによる測距結果を相関することで曖昧さのない距離計測を行う手法 (マルチPRFレンジング)がある。従来手法では,目標数が未知かつ目標をドップラ周波数で分離できない場合に目標数推定が出来ず,尚且つ測距結果が収束したか否かを判断できない課題がある。本発表では,マルチPRFレンジングの測距結果に基づく目標数推定手法及び,目標数推定の結果を用いて測距完了判断する方法を提案し,性能評価結果を示す.
休 憩(15:00 再開) 座長 鈴木潤一郎(東芝インフラシステムズ)
B-2-16 |
セキュリティ強化に向けたハイブリッドイメージングシステムの 熱雑音パッシブ受信機に関する基礎実験
○米本成人・森岡和行・河村暁子・二ッ森俊一・渡辺優人(海上・港湾・航空技術研究所) |
B-2-17 |
クラスタリングによるPS抽出とガウス過程回帰を用いた非線形変位解析のための多時期干渉合成開口レーダ
◎田中大地・宝珠山 治(NEC) |
B-2-18 |
非平行観測軌道を用いた干渉SARにおける軌道位相残差
○牛腸正則・児島正一郎(NICT)・山田寛喜(新潟大) |
B-2-19 |
HPRFパルスドップラレーダ向け仮検出型検出方式による旋回目標検出
○小幡 康・亀田洋志・和泉秀幸(三菱電機) |
B-2-20 |
広帯域干渉抑圧を用いるFMCWレーダにおけるFFT窓関数の影響
奥田健夫・○梅比良正弘・王 瀟岩・武田茂樹(茨城大) |
。本稿では、アクティブイメージングに加えて、人体から放射される微弱な熱雑音を計測し画像化することが可能なパッシブイメージングを実現するハイブリッドイメージングシステムを開発するため、パッシブ受信機の雑音に埋もれた外来の信号を抽出する電波干計の原理検証実験について報告する。
本稿では, 非線形な変位を解析するための多時期干渉合成開口レーダとして, クラスタリングによるPersistent Scatterer (PS) 抽出法とGauss過程回帰を用いた手法を提案する. クラスタリングによるPS抽出法では, 画素間の位相相関を評価することにより, 位相ノイズが少ない画素であるPSを正確に抽出する. 抽出されたPS上の位相に対して, ガウス過程回帰による非線形な関数のフィッティングを行うことにより, 非線形な変位を推定することが出来る. 実験によりビルの熱膨張により生じている大きな非線形変位をとらえることが出来ていることを確認した.
2つのSAR(Synthetic Aperture Radar)観測データの位相差(干渉位相)を利用することでサブ波長精度の情報抽出を実現する干渉SARはさまざまな用途に活用されている.干渉SARでは前処理として軌道位相を除去する必要があるが,軌道誤差により軌道位相の残差が生じることがある.ここで軌道誤差とはGPS誤差などに加え,解析モデルの系統誤差も含むものとし,特に本稿では非平行軌道を平行軌道と近似した場合の影響について議論する.一般に軌道位相は観測軌道の十分な平行性を仮定し,レンジ方向のみに依存する関数として定式化される.しかし著者らのこれまでの検討において,航空機軌道のわずかな傾きに起因すると思われるアジマス/レンジ双方向の非線形な軌道位相残差が確認されている.軌道位相残差の数式モデルや近似式として,衛星SARを対象とするアジマス/レンジ双方向の線形関数が報告されているが,非線形な軌道位相残差モデルはまだあまり検討がされていない.そこで本稿では航空機SARを用いた非平行観測軌道によるリピートパス干渉SARを想定し,軌道位相残差の定式化と空間変動について報告する.
航空機搭載レーダの低S/N目標検出で、既存装置規模での実装可能な方式として、HPRFパルスドップラ波形を前提とする仮検出型の方式を提案している。本稿ではこれを旋回目標検出に応用し、FM変調波形を前提とする従来方式との比較検証を報告する。
広帯域干渉抑圧を用いるFMCWレーダにおいては、干渉継続時間が長くなると干渉抑圧後のSNRが低下する。干渉抑圧後のSNRの解析にはLPFの周波数特性に加えてFFT窓関数の影響を考慮する必要がある。本文では広帯域干渉抑圧を用いるFMCWレーダにおけるFFT窓関数の影響を述べる。
休 憩(16:30 再開) 座長 田中大地(NEC)
B-2-21 |
野外環境における漁船のRCS計測
◎大川保純・赤嶺賢彦・仲 功(防衛装備庁) |
B-2-22 |
レーダシステム不要発射測定の高速化検討-船舶用レーダースプリアス測定法の研究開発(その1)-
○塩田貞明・町澤朗彦・川原昌利・北澤弘則(NICT)・井上 朗・中村 透・村川真一・石井義弘(ラボテック・インターナショナル) |
B-2-23 |
レーダスプリアス測定場におけるマルチパス対策-船舶用レーダスプリアス測定法の研究開発(その2)
○川原昌利・町澤朗彦・塩田貞明・北澤弘則(NICT)・井上 朗・中村 透・村川真一・石井義弘(ラボテック・インターナショナル) |
B-2-24 |
電波吸収体フェンスによるマルチパス対策ー船舶用レーダスプリアス測定法の研究開発(その3)
○北澤弘則・町澤朗彦・川原昌利・塩田貞明(NICT)・井上 朗・中村 透・村川真一・石井義弘(ラボテック・インターナショナル) |
漁船などの比較的小型の移動目標について、電波の反射特性を評価するために、移動状態におけるRCS(Radar Cross Section:レーダ反射断面積)を把握することが必要である。本研究では、野外RCS計測の基礎データを取得するため、漁船が持つRCSの角度特性について、4種類の周波数帯で同時計測を行なった。
その結果、主な反射箇所は両舷及び船尾部分であり、形状によるRCSが支配的であることを確認した。また、主な反射箇所以外のRCSの度数分布は、X帯及びKu帯で対数正規分布に従うことを確認した。
レーダシステムから発射されるスプリアス領域における不要発射の測定法はITU-R勧告M.1177に記されているが、この測定法に従い船舶用レーダのようなものを測定すると、非常に長い測定時間が必要となる。近年、市販の高速フーリエ変換(FFT)を用いたスペクトラム測定器が高性能になってきていることから、これらを用いた不要発射測定時間の短縮について検討を行った。
レーダからのスプリアス発射の強度を精度良く測定するには、他の無線設備等からの外来波や、被測定器から放射された電波が周囲の構造物等により反射されるマルチパスなどの影響を極力受けないようにすることが望ましい。そのための対策としては、測定環境が自由空間に近い状態になるように、電波暗室のように測定施設を電波吸収体で囲むとか、送受信双方のアンテナを大地によるマルチパスの影響の及ばない程度まで上げる等の方法が考えられるが、共に現実的ではない。そこで今回我々が採用した対策方法について紹介する。
レーダのスプリアス領域における不要発射測定に関して、直接法による遠距離(350m)、広範囲の周波数範囲(1~18GHz)の測定で、屋外測定サイトにかかわるマルチパス対策として電波吸収体フェンスを使用した測定に関する研究結果を報告する。
3月18日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟3F K310講義室 座長 本田純一(電子航法研)
B-2-25 |
次世代ウィンドプロファイラの研究開発
○山本真之(NICT)・西村耕司(極地研究所)・川村誠治(NICT)・山口弘誠・中北英一(京大)・吉田 智(気象研究所) |
B-2-26 |
次世代ウィンドプロファイラの実用化に向けた研究開発 - アダプティブクラッタ抑圧技術の実証評価
○山口博史・斎藤浩二・浜田隆行・奥野宗彦・今井克之(住友電設)・山本真之・川村誠治(NICT) |
B-2-27 |
航空機搭載高度計による海面高度計測
○灘井章嗣(NICT) |
B-2-28 |
搬送波位相を用いる双方向モデムの開発
○後藤忠広・藤枝美穂・田渕 良(NICT) |
B-2-29 |
日本標準時の分散化(3)-分散化システムの運用状況-
○中川史丸・花土ゆう子・松原健祐・齊藤春夫・後藤忠広・井戸哲也(NICT) |
ウィンドプロファイラ(WPR)は、晴天域における風速の高度プロファイルを計測するレーダーである。WPRによる風速の観測データは、気象状態の把握と予報に利用されている。WPRのさらなる高度利用の実現を目指した、次世代WPRの開発に取り組んでいる。アダプティブクラッタ抑圧は、複数の受信アンテナと適応信号処理を用いて非所望エコー(クラッタ)を低減することで、風速測定データの品質を向上させる技術である。レンジイメージングは、送信毎の周波数切替えと適応信号処理を用いることで、高度分解能を向上させる技術である。高度分解能の向上は、風速・大気乱流の高分解能計測に貢献する。発表では、これまでの開発成果を述べる。
風速の高度プロファイルを測定するレーダーであるウィンドプロファイラ(以下、WPR)は、気象予報等の気象業務に利用されている。WPRの持つ優れた観測分解能を最大限に生かし、WPRのさらなる高度利用を実現するためには、非所望エコー(クラッタ)の混入による風速観測データの品質低下を極力防ぐ必要がある。アダプティブクラッタ抑圧(ACS)は、適応信号処理を用いて複数のサブアレイアンテナから得た信号を重み付け合成することにより受信アンテナのビームパターンを制御し、クラッタを低減する技術である。ACSの実用化に向けた実証実験と性能評価を行う研究開発に取り組んでいる。発表では、本研究開発の概要と開発状況を紹介する。
発生時に甚大な被害を及ぼすメガ津波のj評価には、従来の地震波による断層モデルを介した津波予測では誤差が大きいため、実際に起きている津波(潮位変化)を沖合で航空機搭載電波高度計での計測に基づく津波予測について、航空機観測をもとに検討した。現在の技術でメガ津波の予測に有効な精度での計測が可能であることが判明した。
情報通信研究機構では,通信衛星を用いた衛星双方向時刻比較方式の観測量として搬送波位相を用いることで,従来の群遅延のみを使用した方式に比べ2桁以上比較精度を改善することに成功した.これまでの実験では,ソフトウェア無線技術を用いて,デジタル信号処理をパソコン上のソフトウェアで実装していたが,実運用で使用可能なようにFPGAによる製品化を行なった.本稿では,開発したモデム装置の詳細について報告する.
NICTでは、日本標準時の信頼性と精度の向上を目的に、日本標準時の分散化技術の研究開発を進めてきた。これまでNICT神戸未来ICT研究所において日本標準時神戸副局を設置、2018年6月より正式運用を開始した。これによりこれまで東京小金井でのみ運用されてきた標準時システムのバックアップができ、信頼性の向上に繋がっている。また、分散システムにより標準時に使用できる原子時計の台数が増え、生成される標準時の精度向上についての確認もでき、現在実用化へ向けて開発を進めている。
休 憩(11:00 再開) 座長 高橋善樹(三菱電機)
B-2-30 |
無人航空機の目視外飛行に向けた周波数帯域利用の適応制御技術 ―環境適応周波数帯間ハンドオーバによるUAV目視外飛行支援システムの提案―
○浅野勝洋・竹川雅之・阿部達也・中村 学(日立国際電気) |
B-2-31 |
無人航空機の目視外飛行に向けた周波数帯域利用の適応制御技術-環境適応周波数帯間ハンドオーバを実現するネットワーク構成の検討-
○竹川雅之・阿部達也・中村 学・浅野勝洋(日立国際電気) |
B-2-32 |
固定翼UAV用の無線映像伝送システムの評価実験について
○古賀 禎・本田純一(電子航法研) |
B-2-33 |
ドッキングモニタ映像の無線LAN伝送軌道上実証
○笹田武志・近藤義典・則武 諭・末廣知也・藤田 迪・蜂谷友理・伊藤徳政(JAXA) |
B-2-34 |
SDRとフォールデッドダイポールによるCubeSatのHKデータ受信
○三橋龍一・髙橋俊暉・芳賀和輝・青木由直(北科大) |
小型無人航空機(以降UAVと記す)の安全な利活用推進に向けて,2020年代以降に有人地帯(第三者上空)での目視外飛行(レベル4)によるUAVの利用を実現するために,UAV向けの安全運用に資する通信技術の開発が求められている.
本稿では,UAVの目視外飛行に求められる機能要件を満足するための,UAV運行支援システム構成を検討する.
小型無人航空機(以降UAVと記す)の安全な利活用推進に向けて,2020年代以降に有人地帯(第三者上空)での目視外飛行(レベル4)によるUAVの利用を実現するために,UAV向けの安全運用に資する通信技術の開発が求められている.本稿では,UAVの目視外飛行実現に向けた環境適応周波数帯域利用を実現するための通信ネットワーク構成について検討する.
筆者らは,固定翼UAV(Unmanned aerial vehicle)映像伝送システムの研究開発を進めている.本稿では,開発中の固定翼UAV用の無線映像伝送システムと飛行実験について紹介する.
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は,現在運用中の宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)の後継機である新型宇宙ステーション補給機(HTV-X)を開発している.HTV-Xでは国際宇宙ステーション(ISS)に対し自動ドッキング技術実証を計画している.自動ドッキングに必要な要素技術として,①相対航法センサ,②誘導制御アルゴリズム,③国際標準ドッキング機構,及び④ドッキングモニタ映像の無線伝送がある.本稿は,④の実験について概説する.
世界中の地球周回軌道上での衛星を利用した実験を実施するチームで,CubeSat(1U:10cm×10cm×10cm,ISS放出の最大重量:1.33kg)の開発と打上げが盛んにおこなわれている.衛星にとって無線通信は命綱と言えるが,CubeSatでは通信に失敗して運用ができない事例が多く報告されている.無線通信系のトラブルの原因としては様々な要因が推定されるが,予備機での再現性がない場合には次に開発する衛星に失敗の経験を活かせないことは大きな問題である.
2019年より北海道科学大学を中心とした北海道内のエンジニアチームが,CubeSat開発プロジェクトを開始した.その目的はCubeSat無線通信システムの無線機をフルSDRで構築し,さらにCubeSatに搭載する無線機・ケーブル・アンテナのすべてを一体化して開発するものである.それにより,世界スタンダード規格となる最高性能クラスのCubeSat(および超小型衛星)用の無線通信システムを生み出すことである.
本報告では,無線通信理論に基づき最低限の構成部品で地上局を構築し,その地上局システムで受信実験を行い,その結果を述べる.
B-3. 衛星通信
3月17日 9:30〜11:45 総合科学部 K棟1F K106講義室 座長 筋誡 久(NHK)
B-3-1 |
衛星航空機間通信における負荷分散ハンドオーバに関する一検討
○藤井義巳・谷林昭浩・関口真理子(構造計画研) |
B-3-2 |
重要拠点間通信を確保する衛星通信システムの一検討
○柴山大樹・原田耕一・嶋 正樹・山下史洋(NTT) |
B-3-3 |
NICTにおける可搬型光地上局の研究開発
○斉藤嘉彦・竹中秀樹・白玉公一・宗正 康・カラスコ カサド アルベルト・鈴木健治・布施哲治・久保岡俊宏・豊嶋守生(NICT) |
B-3-4 |
気象レーダー波によるBS/CS受信機の画像破綻C/Iの測定
○正源和義(B-SAT)・田島慶一(スカパーJSAT)・花土 弘(NICT)・小島政明(NHK)・田中祥次(B-SAT)・橋本明記・横畑和典・浜中太郎(NHK) |
衛星通信を利用した航空機向けブロードバンドアクセスの大容量化が求められている.本研究では4G,5Gをベースとする衛星-航空機間無線アクセス方式を検討しており,課題の抽出および対応策の検討を行っている.本稿ではGEOマルチビームを想定した場合の,ビーム間の負荷分散を目的としたハンドオーバアルゴリズム検討を行った結果を示す.
本稿では従来の災害対策向け衛星通信システムが使えなくなるパターンを整理するとともに 重要拠点間の初動対応に向けた衛星通信システムの必要条件の検討
衛星-地上局間光空間通信において,晴天域確保の方法の一つとして地上局を可搬化するということが考えられる。すなわち光地上局となる望遠鏡を車両に搭載し、任意の場所に移動して条件のいい場所で地上局を展開するという方法である。可搬局のメリットは緊急時に任意の場所で地上局を展開可能であることも挙げられる。我々は2018年に可搬型光地上局の開発を開始し、2020年2月に望遠鏡が搭載された車両としての可搬型光地上局を完成させる。ここではこの可搬型光地上局の研究開発の概要と効率よく通信光を受信機に伝達するための精追尾光学系の設計についても報告する。
9GHz帯気象レーダーのイメージ妨害干渉からBS/CS受信で引き起こされる画像破綻を防止するのに必要な条件を明らかにするために,以下の3つの課題を検討している.
(1)イメージ妨害抑圧比(受信アンテナ反射鏡込) の測定.
(2)画像破綻閾値 Cave/Ipeakの測定.
(3)アンテナ識別度 の測定.
本稿では,上記(2)の結果を報告する.
休 憩(10:45 再開) 座長 難波 忍(KDDI総合研究所)
B-3-5 |
通信補完による降雨減衰補償を目的とした衛星放送用LDPC符号による消失訂正の検討―パディングビットを用いた符号化率変換手法―
○小泉雄貴・鈴木陽一・楠 知也・横畑和典・筋誡 久(NHK) |
B-3-6 |
5G NTN 向け上りリンク初期アクセスチャネル送信方法の比較
○河内涼子・高田智史(パナソニックシステムネットワークス開発研)・湯田泰明・西尾昭彦(パナソニック) |
B-3-7 |
畳込みニューラルネットワークによる2波LEO-MIMO制御信号のドップラーシフト推定
○桶間 椋(名大)・五藤大介(NTT)・山里敬也(名大)・山下史洋・柴山大樹(NTT) |
B-3-8 |
LEO-MIMOにおける遠隔受信局間クロック同期精度に関する検討
○五藤大介・糸川喜代彦・山下史洋(NTT)・加藤智隼・中台光洋(JAXA) |
衛星放送用周波数帯として現行の12GHz帯以外に21GHz帯が日本に割り当てられており、著者らは21GHz帯の実用化を目指して研究している。最大の課題は降雨減衰であり、その補償として降雨減衰で受信不可となったサービスエリアに対し、晴天エリアで受信した信号を公衆IP回線でバックアップするシステムを検討している。本システムの実現には通信路で生じるパケット消失の訂正が必要であり、これまでに衛星放送で用いる誤り訂正符号によるパケット消失訂正の検討を行い、十分な訂正性能が得られることを確認した。衛星伝送路と通信路で共通の誤り訂正符号を用いることで、放送と通信のシームレスな接続が可能となるが、両伝送路の特性はそれぞれ異なるため、それらの特性に応じた符号化率を選択する必要がある。
本稿では、衛星受信した信号を通信路へ伝送する際、共通の誤り訂正符号を用いて衛星伝送路とは異なる符号化率へ変換する手法について述べる。その際、パディングビット(PB)を用いることで訂正性能を落とすことなく、符号化率の変換が可能であることを示す。
第5世代移動通信システム(5G)では,カバレッジ拡大のため,衛星等の非地上ネットワーク(NTN)への展開が検討されている.5Gでは上りリンクで初期アクセスチャネル:PRACHを送信する.PRACHにはZadoff-Chu系列を使用しており,周波数オフセットの増加に伴い自己相関ピークがシフトするため,低軌道衛星(LEO)の高ドップラーシフト下では,検出誤り率の劣化を招く.本稿ではNTN向けPRACHとして,サブキャリア間隔の拡張と,異なる2系列の相関ピークを利用の2つのアプローチを比較する.
低軌道(LEO)衛星信号にはドップラーシフトが発生する.複数LEO衛星を用いたMIMO通信(LEO-MIMO)ではMIMOで利用する衛星数が増えると,制御信号用帯域が全体のシステム帯域に占める割合が増加し伝送容量が低下する.我々は制御信号を重畳させることで制御信号用帯域を削減し,LEO-MIMOの伝送容量低下を抑える手法を検討している. そこで本研究では畳み込みニューラルネットワーク(CNN)によるドップラーシフト推定手法を検討する. DNNとの比較を行い評価し,CNNのドップラーシフト推定への適正を示した.
筆者らは,低軌道衛星(LEO)システムの大容量化を目的とし,複数アンテナを用いたLEO-MIMO (Multiple-Input Multiple-Output) 技術を検討している.本システムは複数アンテナを搭載する一基のLEO衛星と基地局間で空間多重伝送を行うものである.本稿では,遠隔配置されたMIMOアンテナ間の非同期環境における,所要クロック精度を評価する.
3月17日 13:30〜16:30 総合科学部 K棟1F K106講義室 座長 小島政明(NHK)
B-3-9 |
Ku帯衛星回線における降雨減衰統計年変動とITU-R予測値の比較
◎山﨑光資・前川泰之(阪電通大) |
B-3-10 |
Ku帯衛星回線における台風通過時の降雨減衰変動特性
◎佐々木駿一・前川泰之(阪電通大) |
B-3-11 |
Ku帯災害対策用衛星通信システムの回線稼働率に関する一検討
○原田耕一・嶋 正樹・松下 章・柴山大樹・山下史洋(NTT) |
B-3-12 |
21GHz帯降雨減衰の初期測定結果に基づく降雨強度との関係
○横澤真介・亀井 雅・筋誡 久(NHK) |
B-3-13 |
低軌道衛星による衛星IoT回線設計に関する一検討
○糸川喜代彦・五藤大介・小島康義・山下史洋(NTT) |
大阪電気通信大学(OECU、大阪府寝屋川市)で、1989年から2018年にかけて過去30間測定されたKu帯BS電波(11.84GHz、仰角41.4°、右旋円偏波)の受信レベルの降雨減衰変動特性について、降雨強度の年間累積時間率分布0.01%値に用いて算出されるITU-R勧告値との比較検討を行った。過去20年間にさかのぼって比較すると、前半の10年間では降雨減衰累積時間率0.01%の測定値と推定値の差は2dB程度の増加に止まるが、後半の10年間では5dB程度に測定値が上昇することが示された。さらに2006年から2012年にかけて、近隣の4から6kmの距離にある四條畷市と守口市で同様に測定されたBS電波受信レベルにも、同様の増加傾向が確認された。
大阪電気通信大学(OECU、大阪府寝屋川市)で、1988 年から2019 年にかけて過去32年間測定されたKu帯BS電波(11.84GHz、仰角41.4°、右旋円偏波)の受信レベルの降雨減衰変動特性について、特に台風通過時に注目して解析を行った。台風が局舎の西側を通過する場合に比べて東側を通過するときの方が、降雨強度に対する降雨減衰の比率が概して大きくなり、等価通路長が増大する傾向があることが示された。近隣のアメダスによる地上風速と比較した結果、衛星電波の到来方向(西南方向)よりもその反対方向(北東方向)からの風速が強まるほど、衛星電波に対する等価通路長が増大する傾向が示された。
NTTでは,Ku帯を用いて災害対策用衛星通信システムを運用しているが,端末局は可搬性を重視し75cmの小型アンテナを適用しており,降雨減衰も勘案し,サービスエリアを主に日本本土に限定してきた.
これまでサービスエリア外としてきた島嶼部での衛星回線の実品質を測定すると同時に,回線稼働率に最も影響を与える降雨時の送信電力制御と基地局二重化の効果について評価した結果を報告する.
2017年9月に打ち上げられた放送衛星BSAT-4aには,新4K8K衛星放送に使用される12GHz帯中継器に加え,将来の21GHz帯衛星放送の実現に向け,21GHz帯中継器およびビーコン送信機が搭載されている.21GHz帯衛星放送で課題となる降雨減衰特性の把握のために,2018年から降雨減衰の測定を開始したので,その初期測定結果を報告する.
本稿では、市販IoT端末の活用を前提にLEO軌道を考慮したIoTサービスの回線設計法およびアンテナ構成の指針について報告する。
休 憩(15:00 再開) 座長 柴山大樹(NTT)
B-3-14 |
ドローン高度制御を用いた耐災害ネットワークのスループット最適化に関する研究
○石神美穂・杉山隆利(工学院大) |
B-3-15 |
ドローンを用いたリレー型GPSの提案
○吉田恒平・杉山隆利(工学院大) |
B-3-16 |
GNSSにおける搬送波位相遮断環境における測位精度の向上に関する研究
◎チョウ コウエン・久保信明(東京海洋大) |
B-3-17 |
無人航空機を用いた位置検出システムにおける簡易マルチパス環境下のドップラーシフト分布特性
○毛塚直哉・石川博康(日大) |
B-3-18 |
8の字飛行を行う1機の無人航空機を用いたユーザ位置検出手法における時間経過時の特性評価
○岩瀬詩帆海・堀川裕貴・石川博康(日大) |
B-3-19 |
8の字飛行する2機の無人航空機を用いた最大誤差推定方式に基づく位置検出精度の特性評価
◎堀川裕貴・石川博康(日大) |
近年,災害時における臨時無線通信ネットワーク構築の手段の一つとしてUAV(Unmanned Aircraft Vehicle)と呼ばれる無人航空機を用いた無人航空機ネットワークの研究が進められている.本稿ではホバリング可能でネットワーク構築が容易なドローンと呼ばれる回転翼UAVを用いたドローンネットワークの検討を行う.一方,実際の被災地では避難所などの特定の場所に人が集中するため,地上の通信端末の分布に偏りがあることが予想される.地上端末が密集している地域をカバーするドローンにトラヒックが集中し,端末あたりのスループット低下が生じる.この問題を解決するために,トラヒックに応じてドローンの高度を制御し,リンクアダプテーションによる伝送方式を選択できるようにする手法を提案する.計算機シミュレーションによってドローンの高度に対する地上端末1台あたりの平均スループットを定量的に示し,提案方式の有効性を明らかにする.
近年,GPS(Global Positioning System)が広く用いられているが,高層ビルなどの障害物が存在する都市部環境下では,GPS受信機が測位に必要な4機以上のGPS衛星からの信号を受信できずに測位不能となる場合がある.これを解決する方法として,測位を行うターゲット受信機周辺に多数存在する携帯端末がGPS測位によって得た自身の位置情報をブロードキャストすることでターゲット受信機のGPS衛星数を補完するリレー型GPSが提案されている.リレー型GPSでは,疑似衛星携帯端末の測位精度がターゲット受信機の測位精度に大きく影響するため,疑似衛星携帯端末の測位精度を向上させる必要がある.そこで本稿では,リレー型GPSにおいて擬似衛星携帯端末の代わりとして高度にも自由度がある疑似衛星ドローンを用いたリレー型GPSを提案し,シミュレーションによって提案方式の測位誤差低減効果を明らかにしたので報告する.
Based on the comparison between ublox and NovAtel at Tokyo Metropolitan Expressway, comparing the performance when
passing under the obstruction. From the results, using the software receiver to improve tracking performance by simulating signal
tracking.
無人航空機(UAV)を利用するユーザ位置検出手法では,地上端末から送信するトーン信号(連続波)を上空で高速飛行するUAVが受信することで生じるドップラーシフトを利用する.従来研究では,UAVの飛行位置誤差を劣化要因と仮定し,ユーザ端末位置検出手法の特性評価を行ってきたが,端末周辺の建物等により生じる直接波の遮断やマルチパス波の影響は考慮していなかった.本研究では,簡易的な3D建物モデルをRapLab上に作成し,1機のUAVが周回飛行するケースについてマルチパス波を考慮したシミュレーションを実施し,ドップラーシフト分布特性を評価したので,その結果について報告する.
無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)と地上制御局等から構成される無人航空機システム(UAS:Unmanned Aircraft System)では,UAVが周回飛行することによりUAV-ユーザ端末間の送受信信号の無線周波数にドップラーシフトが生じる.このドップラーシフトを複数回観測し,UAVの飛行位置情報と飛行速度を利用することで,地上のユーザ端末の位置を検出することができる.我々はこれまでに,様々な飛行モデルで位置検出精度の特性評価を実施してきた. そこで本研究では,1機のUAVを用いた8の字飛行モデルを対象とし,時間経過に伴うUAVの飛行位置及び飛行方向の変化の影響を考慮したシミュレーション評価を行ったので,その結果について報告する.
本研究で想定する無人航空機(UAV)を用いた無人航空機システム(UAS)は,地上のユーザ端末上空をUAVが周回飛行することを想定しており,UAV-ユーザ端末間の送受信信号の搬送波周波数に生じるドップラーシフトを観測することでユーザ位置が検出可能である.我々はこれまで,UAVの飛行位置とユーザ位置の関係に基づく測位精度指標の提案・評価,同指標を利用した最大・最小位置検出誤差推定手法の提案と有効性の検証,並びに円旋回飛行モデルにおける最大誤差推定方式を用いた特性評価を実施してきた.本研究では,UAVの飛行高度及び時間経過による測位精度への影響を評価するため,飛行高度が異なる2機のUAVが8の字飛行するモデルにおいて最大誤差推定方式に基づく特性評価を実施したので,その結果を報告する.
3月18日 13:30〜16:15 総合科学部 K棟1F K106講義室 座長 山下史洋(NTT)
B-3-20 |
ニーズに合わせて通信容量や利用地域を柔軟に変更可能なハイスループット衛星通信システム技術の総合評価の状況
○三浦 周・森川栄久・吉村直子・辻 宏之・岡田和則・織笠光明・大川 貢・若菜弘充・山本伸一(NICT)・高橋昌希・川本雄一・加藤 寧(東北大)・坂井英一・須永輝巳・堀江延佳(三菱電機)・高橋 卓・川崎和義・菅 智茂・佐藤正樹・小園晋一・大倉拓也・阿部侑真・豊嶋守生(NICT)・金指有昌・角田聡泰・草野正明・稲沢良夫・尾野仁深(三菱電機) |
B-3-21 |
ハイスループット衛星における周波数フレキシビリティの総合評価
◎阿部侑真・大川 貢・三浦 周・岡田和則・豊嶋守生(NICT) |
B-3-22 |
ハイスループット衛星通信システムの柔軟性評価モデルへの実パラメータ適用に関する一考察
◎高橋昌希・川本雄一・加藤 寧(東北大) |
B-3-23 |
航空機搭載用薄型電子走査アレイアンテナの研究開発―送信側アレイアンテナの軸外輻射特性―
◎大倉拓也・菅 智茂・高橋 卓・辻 宏之・豊嶋守生(NICT) |
B-3-24 |
衛星通信用地球局向けKa帯650Wpeak ヘリックス形TWTの開発
○松本大輝・町田哲夫・岡本耕治(NECネットワーク・センサ) |
大容量化と周波数割当のフレキシビリティを主眼とする衛星通信技術の確立を目的とした「ニーズに合わせて通信容量や利用地域を柔軟に変更可能なハイスループット衛星通信システム技術の研究開発」の総合評価の状況について述べる.
近年,航空機や船舶などの移動体におけるブロードバンド通信や災害時の非常時通信のニーズが高まっていることから,ハイスループット通信衛星(HTS)の研究開発が進められている.さらに,デジタルチャネライザと呼ばれるペイロードを搭載することで,各ビームの周波数割当てを柔軟に変更できる周波数フレキシビリティ機能も注目されている.本発表では,3種類のリンク割当て法に着目した総合評価の結果を述べる.
近年の衛星通信に対するニーズの増大に対応するため, HTS(High Throughput Satellite)の研究開発が展開されている.その上,衛星通信システムに対するトラヒック要求の変動に合わせて有限の通信リソースを無駄なく配分するといった柔軟性の向上が求められている.本研究グループは柔軟性評価モデルを独自に構築し,様々な観点から衛星通信システムの柔軟性を評価してきた.しかし,衛星通信システムにおける実パラメータに関する制約が柔軟性にどのような影響を及ぼすかについては未反映である.本稿では,柔軟性評価モデルに対して特定の実パラメータを新たなメトリックとして導入し,ハイスループット衛星通信システムの柔軟性に与える影響について考察する.
近年,小型・中型航空機向けの衛星通信を用いたブロードバンドサービスの需要が高まっている.NICTでは,Ka帯において航空機への搭載性を損なわず,開口サイズをスケーラブルに変更でき,広範囲のビーム走査を有する電子走査アレイアンテナの研究開発を行っている.本報告では,航空機搭載用薄型電子走査アレイアンテナの送信側アレイアンテナの軸外輻射特性について報告する.
近年,インターネットの普及に伴い衛星通信分野では従来のC帯やKu帯より情報通信量が大きいKa帯を使用した大容量衛星通信(High Throughput Satellite,HTS)の利用が拡大している.当社はこれまでに,衛星通信用地球局のキーデバイスであるKa帯500W TWT(進行波管: Traveling Wave Tube,マイクロ波を増幅する電子管の一種)を開発,1500台以上を出荷し大容量衛星通信に貢献してきた.本稿では更なる大容量通信のために高出力・高信頼性のKa帯650W peak / 500W CW TWTを開発したことを報告する.
休 憩(15:00 再開) 座長 石川博康(日大)
B-3-25 |
複数中継器分散型スペクトラム分解伝送における受信自動利得制御特性解析
○山下史洋・五藤大介・小島康義・糸川喜代彦(NTT) |
B-3-26 |
衛星AISにおけるPICによる衝突パケットの分離検出
◎高根沢優和・張 裕淵・府川和彦(東工大)・平原大地(JAXA) |
B-3-27 |
並列化デルタシグマDACにおける不連続性緩和手法
○早馬道也・金子和真・小西良明(三菱電機) |
B-3-28 |
確率的信号処理を用いたFIRフィルタの演算誤差低減法
◎山下靖貴・谷 重紀・内田 繁・有賀 博(三菱電機) |
B-3-29 |
線形・非線形歪みを同時補償するメモリ多項式に基づく適応等化方式の実機性能評価
◎上橋俊介・能田康義・谷 重紀・内田 繁・有賀 博(三菱電機) |
衛星中継器毎に受信利得が異なることで分解したサブスペクトラム間で電力密度差が生じる場合のスペクトラム分解伝送特性について検討した結果を報告する.
近年,日本の領海において,全ての大型船舶に対してAutomatic Identification System (AIS) の搭載が義務付けられており,航海安全にある程度の成果を上げている.公海等遠洋でもAISを利用可能とするSpace-based AIS Experiment (SPAISE)では,衛星を用いた通信システムが検討されているが,受信範囲が広くなるため複数パケットが衝突し伝送特性が大幅に劣化してしまう.この問題を解決するため,従来よりSuccessive Interference Cancellation (SIC) を用いた衝突パケットの分離検出が検討されており,衝突パケット間電力差が十分大きい場合において精度良く分離検出できることが示されているが,電力差が小さい場合には,ビット誤り率(BER)特性が劣化する問題がある.この問題に対処するため,本稿ではマルチユーザ検出にParallel Interference Cancellation(PIC)を導入し,BER特性の改善を図る.伝送路パラメータが既知の条件でシミュレーションを行い,提案手法の有効性を明らかにする.
時間分割を用いたデルタシグマDACの並列化手法は、ポリフェーズ分解を用いる方式と比較して次数やフィルタ特性を柔軟に決定することができるといったメリットがある。一方で分割したブロック間に生じる不連続性により信号が劣化する。本稿は時間分割した信号境界でオーバーラップ区間を設けたうえで、出力の差分が連続して小さくなるタイミングで出力信号を切り替えることでブロック間の不連続性を緩和する手法を提案する。提案手法を適用することでSNRが約1.5dB改善することをシミュレーションにより確認した。
筆者らは,デジタルペイロード型の衛星に安価で高性能な民生デバイスを利用するために,ソフトエラー耐性の向上が期待できる確率的信号処理を用いた通信ペイロードを検討している.本稿では,確率的信号処理を用いてFIR(Finite Impulse Response) フィルタを構成する場合に問題となる,演算誤差を低減する構成を提案し,シミュレーションにより評価した結果を報告する.
筆者らは、衛星通信で広帯域伝送を行う際に課題となる線形・非線形歪みを受信側で一括補償する非線形適応等化方式を提案している。本発表では、本方式を実装したFPGA(Field-Programmable Gate Array) での実機評価により、非線形歪みの影響が大きいTWTA(Traveling Wave Tube Amplifier) 特性を用いた際の特性改善効果に加え、非線形歪みの影響が緩和されたL-TWTA (Linearized TWTA) 特性を用いた際でも電力効率改善が可能であることを示す。
B-4. 環境電磁工学
3月17日 9:30〜12:15 工学部 講義棟1F 102講義室 座長 萓野良樹(電通大)
B-4-1 |
コプレーナ線路を有する電源-グラウンドプレーンにマイクロストリップラインが励振する誘導電流の一検討
○川上雅士・戸花照雄・秋元浩平・礒田陽次(秋田県立大) |
B-4-2 |
2つのグラウンドスロットをもつマイクロストリップ線路の伝搬特性の解析
◎秋山 輝・戸花照雄・川上雅士・秋元浩平・礒田陽次(秋田県立大) |
B-4-3 |
複数のLED電球を接続した配線パターンの違いによる電流ノイズの検討
○春日貴志・平林諒也・高野誠也(長野高専)・井上 浩(秋田大) |
B-4-4 |
GTEMセルを用いたLED電球の放射妨害波測定
○張間勝茂(NICT) |
B-4-5 |
ナノ結晶合金コアの寄生容量を考慮したトロイダルコイルのインピーダンス推定に関する検討
須賀良介・◎桑島遼輝(青学大)・長谷川光平・常盤 豪(東芝)・上野伴希・橋本 修(青学大) |
電源層にマイクロストリップライン,グラウンド層にコプレーナ線路を有する電源-グラウンドプレーンの構造を検討する.
マイクロストリップラインに高周波信号が流れる際,電源プレーンに誘導電流が発生する.この電源プレーンは,コプレーナ線路のグラウンドの一部であり,
コプレーナ線路のリターンパスに誘導電流が流れることで,電源プレーンを介してマイクロストリップラインとコプレーナ線路が結合する.
本発表では,この電源プレーンの有無がマイクロストリップラインに与える影響について検討する.
電子回路の高密度実装化に伴い,プリント回路基板の多層化が進み,各層間を結ぶビアが多数使用される場合がある.多数のビアとクリアランス・ホールが存在することで.グラウンドスロットが形成される可能性がある.このようなグラウンドスロットは線路の伝搬特性に影響を与える原因となる.本報告では伝送線路法(TL法)を用いてマイクロストリップ線路基板のグラウンド部分に2つのスロットが存在する場合の伝搬特性に対する影響を解析することを目的とする.
LED照明から発生する電磁ノイズが通信系へ影響を与えることで問題となっている.これまで,複数のLED照明から発生する電流ノイズの増加量について検討してきた.しかし,実用環境下におけるノイズ放射について検討が行われていない.本報告では,実用環境下での配線を想定して,電源線の配線パターンが異なる照明ユニットモデルを構築し,電源線を流れる電流ノイズについて検討した.複数のLED電球を接続した配線モデルにおいて,配線を分岐させると配線の長さ毎に共振ピークが発生し,配線パターンが多いほど広帯域でノイズが増加する.一方,スイッチを延長したモデルでは,ノイズの低減効果が確認出来た.
照明機器に対する放射妨害波測定は,CISPR15規格に基づきオープンテストサイトあるいは電波暗室で行われている.最近,測定周波数の上限が1GHzに拡張された.一方,妨害波測定の代替(または独立)法としてGTEMセルなどのTEM導波管やリバーブレーションチャンバー法が良く知られている.LED電球の放射妨害波をGTEMセルを用いて推定し電波暗室による結果と比較した.
近年のスイッチング素子の高速動作化に伴って,高周波帯電磁ノイズの顕在化が懸念される.
ノイズ抑制フィルタに用いるコア付きコイルのインピーダンスは、コアの材料定数などにより大きく変化するためフィルタの帯域設計に支障がある.
これまでにコイルの動作周波数帯域やインピーダンスの予測について報告されている.
本稿では1ターンコイルの実測値から任意巻数のインピーダンスを推定できることを示す.
休 憩(11:00 再開) 座長 春日貴志(長野高専)
B-4-6 |
AM放送周波数帯におけるハイブリットEMIフィルターの設計
◎夏 徳君・萓野良樹・上 芳夫・肖 鳳超(電通大) |
B-4-7 |
寄生成分を活用した極のある電源用EMIフィルタの提案
◎板垣裕太・肖 鳳超・上 芳夫・萓野良樹(電通大) |
B-4-8 |
デカップリングコンデンサのフィルタ性能改善検討
○中本藤之・佐々木雄一(三菱電機) |
B-4-9 |
ESLキャンセル回路間の磁気結合による小型化
◎大塚喬太・廣瀬健二・佐々木雄一(三菱電機) |
B-4-10 |
GaNパワー半導体を適用したパワーエレクトロニクスシステムの伝導エミッションの対策手法検討
○高辻寛之(村田製作所)・佐々木 守・大河内李之・山本真義・今岡 淳(名大) |
近年、ハイプリッドカー(HEV)や電気自動車(EV)などの電動自動車の商品化が加速になり、電動車両にスイッチング電源が多く使用され、スイッチング電源からのノイズはAM放送に悪影響を及ぶす恐れがあり、AM放送周波帯域におけるEMIフィルターの研究を行う必要がある。
本文ではパッシプフィルターとアクティブフィルターに合わせて、シミュレーションと実測に基づいて500 kHz~1.6 MHzの周波数帯の伝導ノイズを抑制するハイブリットフィルターを提案する。本研究は、アクティブインピーダンスマルチプリケィション法を用いてパッシブフィルターのインピーダンスを増大させ、ノイズ低減効果の向上を図る。
スイッチング電源による非常に高ピークを持つDMノイズを抑制するため、EMIフィルタの回路においてフィルタ上のキャパシタのリード線によって発生するESLを活用し、リード線長を調整することで極をスイッチング周波数に合わせ、高い挿入損失を得ることがこの研究の目的である。ESLを活用できれば、より少ない部品数でEMIフィルタを構築することができ、製造コストの削減や小型化が期待できる。本研究ではまず、電磁界理論に基づきリード線によるESLの理論値を計算し測定値と比較する。次に、キャパシタのリード線長を調整して要求性能を満たすようにフィルタを設計し、挿入損失を理論的に評価する。
ノイズフィルタとしてデカップリングコンデンサを用いる場合,シャント経路のESL (Equivalent Series Inductance,等価直列インダクタンス)により,高周波領域ではフィルタ性能が低下する問題がある.この問題に対し,ループを形成せず,平行に近接させた2本の電源パターン間の電磁結合による相互インダクタンスを利用し,フィルタ性能の改善方法を検討した.0.1 μFのチップコンデンサを用いる場合について試作評価した結果,提案構造によりコンデンサのシャント経路が有する約1.3 nHのESLを打ち消し,高域側での性能劣化を最大約25dB改善する結果が得られた.本構造は,ループを形成しないため,従来構造と比較して,小型化できる可能性がある.
電源線のノイズ対策で使用されるコンデンサの広帯域化を目的として、寄生インダクタンス(ESL)の打ち消しが可能なESLキャンセル回路に関する開発を行ってきた。従来の課題として、適用先の機器によっては回路面積が大きくなることが挙げられる。本報告では、電源の相ごとのESL キャンセル回路同士を磁気結合させることで小型化可能な構造を提案する。電磁界解析を用いて、回路面積の削減効果を検討した。高周波特性は悪化するものの、回路面積は従来の26.3 %と大幅に小型化可能であることを示した。今後は提案構造における寄生容量の影響を検討する。
GaNパワー半導体の主な特徴は, 飽和電子速度が大きいためスイッチング速度の高速化によるスイッチングロス低減が図られ, 高効率・高周波化・小型化への恩恵が挙げられる. 一方, シリコンパワー半導体からGaNに置き換わることで新たなノイズ問題が発生する可能性もある. 本報告では, SiとGaNを適用したパワーエレクトロニクスシステムの伝導エミッションのノイズ相対解析, およびGaN適用システムの伝導エミッションの対策手法について述べる.
3月17日 13:30〜17:30 工学部 講義棟1F 102講義室 座長 栗原 弘(TDK)
B-4-11 |
メタマテリアル電波吸収体の比誘電率・比透磁率評価
◎岡田啓汰・山本真一郎・相河 聡・畠山賢一(兵庫県立大)・笠置映寛(山口東理大) |
B-4-12 |
低コストFSSを用いた広帯域CA電波吸収体
◎古谷航一・小林 剛・福井範行・宮崎千春(三菱電機) |
B-4-13 |
電磁波曝露されたDCファンで発生する高次IMに対する薄型吸収体による抑制効果
◎安藤佑悟・久我宣裕(横浜国大) |
B-4-14 |
広帯域電波暗箱の寸法に関する検討
○佐藤智紀・遠山勝久・小林一彦・三枝健二(日大) |
B-4-15 |
Characteristics of Organic Electromagnetic Wave Absorbers Using Rice Husk and Charcoal Composite
○Erik Madyo Putro・Satoshi Yagitani・Mitsunori Ozaki・Tomohiko Imachi・Yoshio Ikehata(Kanazawa Univ.)・Yoshiyuki Yoshimura・Hirokazu Sugiura(Industrial Research Institute of Ishikawa) |
近年,スマートフォンに代表されるような電磁波を利用した電子機器が普及している.その一方で,不要電磁波による他の機器への電磁干渉が問題視されており,その対策として電波吸収体が種々の箇所で利用されている.本研究では,筆者らが従来から設計しているメタマテリアル電波吸収体の比誘電率,比透磁率特性を実験的に評価した.
軽量かつ安価な広帯域電波吸収体として,CA(Circuit analog)電波吸収体が注目されている.本検討では,基板上に実装する抵抗素子数を削減し,製造コストを低減する手法を検討した.提案構造は,非対称構造を有するFSS(Frequency selective surface)からなり,抵抗素子数を従来の4分の1以下に削減することができる.
電磁波曝露下の電子装置から発生する不要IMノイズが問題となっており,その発生源特定やノイズ抑制が必要となっている.これまでに筆者らは電子装置の一例としてDCファンを扱い,稼働時のバイアス条件を考慮した上で,電磁波曝露下に対して電波吸収体をDCファンに装荷することで,その3次IMの抑制効果を得た.本稿では,5次IM,7次IMの抑制について検討している.5次IM,7次IMについてもIM抑制効果を得ることができた.また回路の状態によっては吸収体装荷により,発生したIMだけでなく回路に印加される電力も減衰される場合があることが確認された.
現在,5G通信周波数範囲は,4G通信の主な周波数範囲(700~3.5GHz)に加え,7.125GHzまでの拡張と更にミリ波帯(28.25~52.60GHz)の領域までの3GPPで規格化されており,非常に広帯域な周波数が使用される.そのため本研究では,小形であっても広帯域にわたって特性が良好な電波暗箱の設計を目的としている.本稿では,電波暗箱の形状を変更し,電波暗箱内の特性について検討を行う.その結果,z軸寸法の増大につれてQZの領域が増加することを確認した.しかし,寸法の拡大は小形化の目的には反してしるため,今後は,より小形で最適な寸法の検討を進める
These electromagnetic wave absorbers combine rice husks and charcoal by using adhesives in a composite. The main adhesives are PVA and UPR. Wax is used as an addition to the adhesive. Seven RC composites for each adhesive are made with different weight ratios of charcoal as 20wt%, 27wt%, 33wt%, 38wt%, 42wt%, 46wt%, and 50wt%, with 30 cm square and 1 cm thick through the process of cold pressure and heat pressure. We aim to determine the effect of the composition between RC and compare the effect of PVA and UPR as RC composite adhesives in absorbing electromagnetic waves.
休 憩(15:00 再開) 座長 室賀 翔(秋田大)
B-4-16 |
FDTD法を用いた空間フィルタ-の透過特性評価
◎河野脩司・山本真一郎・相河 聡・畠山賢一(兵庫県立大) |
B-4-17 |
相反性を用いた反射箱による放射妨害波測定法の基礎的検討
○緑 雅貴・根建寛之・栗原 弘(TDK)・峯松育弥(KEC)・青柳貴洋(東工大) |
B-4-18 |
反射箱における金属製試験机上の電界強度の測定
◎根建寛之・緑 雅貴・栗原 弘(TDK)・峯松育弥(KEC)・青柳貴洋(東工大) |
B-4-19 |
反射箱に設置されたスイッチ型攪拌機の設置角度が電磁界に与える影響
濱本将太郎・◎小杉 舜・須賀良介(青学大)・滝沢幸治(TDK)・橋本 修(青学大) |
近年,情報通信技術の発達により,スマ-トフォン,ETCなどの電磁波を利用した機器が普及している.さらに,自動車衝突防止レ-ダ-に代表されるように使用周波数帯もミリ波帯まで移行してきている.また,様々な周波数の電磁波が混在しているため,使用用途に応じて特定の周波数を選択する必要性が求められている.
本研究では,周期的に円形穴のあいた金属板と誘電体を組み合わせた構造の空間フィルタ-を設計した.この構造が透過制御材として機能することを,FDTD解析と実験より確認した.
反射箱は、金属箱内部に設置した攪拌機により壁面の境界条件を変化させ、統計的に均一な電界分布を発生させる装置であり、放射妨害波測定に使用される.本検討では、反射箱内部の電磁界の相反性を利用し、適合性試験時の送信アンテナを放射妨害波測定時の受信アンテナとして利用する測定方法を提案する.
反射箱は、金属箱内部に設置した撹拌機により統計的に均一な電界分布を発生させる装置であり、車載部品のEMS試験に使用される.車両の金属構造に外装を接地するDUTのEMS試験を行う場合、DUTの外装を金属製の試験机に接地し、試験が行われる.一方、電界強度の校正は、Working Volumeの面上で行われており、DUT及びハーネスにかかる電界強度とは異なる可能性がある.本検討では、Working Volume上の電界強度と試験机近傍の電界強度について複数点測定を行い、測定点に対する平均電界強度について比較検証を実施した.
電磁界攪拌機は反射箱内の電磁界を均一にするために使用されており,その小型化が要求されている.
これまでに著者らは,金属平板をスイッチで接続した電磁界攪拌機を設計し,
スイッチのON/OFF によりRadar Cross Section (RCS)が大きく変化する周波数において,
反射箱内電磁界が変化することを確認している.
本研究では,上記の周波数において反射箱に設置された攪拌機の設置角度が
スイッチのON/OFFによる電界強度の変化へ与える影響について検討した.
休 憩(16:15 再開) 座長 戸花照雄(秋田県立大)
B-4-20 |
非磁性金属を被覆した不織布を配置したMSLの高周波伝導ノイズ抑制効果
○室賀 翔・竹谷洋平・田中元志(秋田大)・岡村知恵・日下部純一(旭化成)・加藤一史(無所属) |
B-4-21 |
平行2導体MSL上に配置したCo-Zr-Nb膜で生じるFMR損失の推定
◎三上貴大・室賀 翔・田中元志(秋田大) |
B-4-22 |
磁気シェイキング磁界周波数に対するシールド特性
◎松田篤史・柳川太成・栗原 弘(TDK)・笹田一郎(笹田磁気計測研究所)・西方敦博(東工大) |
B-4-23 |
磁気シェイキング下における漏洩磁界の抑圧に関する一検討
○栗原 弘・柳川太成・松田篤史(TDK)・笹田一郎(笹田磁気計測研究所)・西方敦博(東工大) |
B-4-24 |
勾配磁界センサによる異物検出評価の基礎検討
◎長久保洋介・松田篤史・栗原 弘(TDK)・笹田一郎(笹田磁気計測研究所) |
プリント基板などで生じる予期せぬ電磁ノイズ対策として用いられる電磁ノイズ抑制体(NSS)の一つとして,非磁性金属を被覆した不織布を用いたNSSが提案されている。これまで,FR-4基板で作製した長さ100 mmのマイクロストリップ線路(MSL)上にNSSを配置し,0.4–1.5 GHzの伝導ノイズ吸収性能が,連続導体より高くなることを実験的に示した。しかし,波長共振の影響,MSL自体の損失が大きく,機構解析や高周波数帯域の測定が行われていない。そこで,測定系を改善して高周波帯(30 GHzまで)の伝導ノイズ抑制効果を測定し,その機構を検討した。その結果,MSL上に配置した際に生じる損失は,NSS内に流れる渦電流損失が支配的であることが示唆された。
機器内の電磁ノイズ対策に,磁性体の強磁性共鳴(FMR)損失を利用したノイズ抑制シート(NSS)が普及している。しかし,機器への実装における明確な設計指針が確立されていない。筆者らは,1本の伝送線路断面における磁気回路解析を用いた設計法を提案し,磁性膜を配置した伝送線路の等価回路を推定した。しかし,差動配線等の複数導体線路への適用は検討されていない。本研究では,Co-Zr-Nb膜を配置した平行2導体マイクロストリップ線路(MSL)の片方の線路に信号を印加した場合に,膜内で生じるFMR損失を磁気回路から推定した。その結果,渦電流損の影響が小さい周波数帯で実験値と概ね一致し,平行2導体MSL上の磁性膜で生じるFMR損失を推定可能であることを示した。
Co系アモルファス磁性薄帯に磁気シェイキングを施すことにより増分透磁率が飛躍的に増大し、低周波磁界のシールドに適用すると大きなシールド効果が得られることが報告されている.本検討では、Co系アモルファス磁性薄帯に磁気シェイキングを施した条件で、シールドすべき磁界の周波数または磁気シェイキング周波数を変化させた場合の磁気シールド特性について実験的に検討した.
Co 系アモルファス磁性箔帯に磁気シェイキングを施すことにより増分透磁率が飛躍的に増大し、大きなシールド効
果が得られることが報告されている.しかし、磁気シェイキング周波数に起因した漏洩磁界が生じるため、その抑圧が必要となる.本検討では、渦電流による漏洩磁界の抑圧を目的に、アルミニウム管を最内層に配置した抑圧効果を実験的に把握した.
これまでに報告されている磁気センサによる磁性異物検出は、粒径Φ50μm程度の着磁された鋼球を検出可能としている.実際の検査工程では、検査対象物に混入する磁性異物には多種多様な材料が含まれる可能性があり、粒径問わずに着磁による磁性異物の磁気モーメントが重要になると考える.本検討では、磁性異物としてFeとSUS304の粒径の異なる模擬サンプルを用いて、それぞれの磁気モーメントと粒径に着目し、勾配磁界センサによる検出評価を検討した.
3月18日 9:45〜11:45 工学部 講義棟1F 102講義室 座長 村野公俊(東海大)
B-4-25 |
平衡線路と非平衡線路の接続によるノーマルモード・コモンモードカップリングの時間領域解析
◎神野崇馬・木虎秀二・土岐 博・阿部真之(阪大) |
B-4-26 |
時間遅延を考慮したコモンモード電流の数値計算
◎木虎秀二・神野崇馬・土岐 博・阿部真之(阪大) |
B-4-27 |
伝送線路の一次・二次定数の実験的算出法
◎山極大葵・萓野良樹・上 芳夫・肖 鳳超(電通大) |
B-4-28 |
電圧源や電流源が存在している多ポートの回路網の等価電源表現
○萓野良樹・上 芳夫・肖 鳳超(電通大) |
我々の研究グループでは、これまでにマクスウェル方程式とオームの法則、連続の式から導出した電位と電流に関する電信方程式と集中定数回路を組み合わせた時間領域における数値計算手法を考案し、3本線回路と集中定数回路の境界におけるノーマルモード(NM)とコモンモード(CM)のカップリング係数を導出した。さらに数値計算手法を3次元へと拡張した。今回、これまでに実現した数値計算手法を組み合わせて、平衡線路と非平衡線路の接続箇所で生じるNMとCMのカップリング現象を時間領域で観察し、Time Domain Reflectometry(TDR)測定を用いた実験結果と比較した。その結果、接続箇所で生じるNMとCMのカップリング現象を時間領域で定量化することを実現した。
伝送線路に流れるコモンモード電流は, 電磁波放射の主要な原因となり得るが, 通常の電信方程式を基にした分布定数回路理論では, 線路の断面における電流の総和をゼロとするため, 2導体線路におけるコモンモード電流を扱うことができないという問題がある. また回路に印加したノーマルモード電流が, どこでどの程度コモンモード電流に変換され, 放射ノイズとなるか, といった電磁ノイズ発生のメカニズムを解明するためには, 時間領域における解析が必要となる. そこでコモンモード電流とその放射への寄与解明するため, 時間遅延を考慮した多導体同軸線路の数値計算手法を開発した. 本報告では, 2導体同軸線路を中心に報告する.
電磁放射の抑制には電磁シールドが広く利用されており,機器の小型・軽量化のためには今後より薄いシールドが線路近傍に実装される可能性がある.しかしながら,薄い導体シールドが線路近傍に実装された伝送線路は周波数分散を持つため,その詳細な検討が必要である.実験的に伝送線路の一次・二次定数を算出することができれば,分散特性を考慮したRLGC等価回路による定量的な評価が可能となり,信号品質の改善や周波数分散が伝送特性や時間応答に与える影響の解明が期待できる.本報告では,伝送線路の一次・二次定数を実験的に求める手法について検討した.本手法を適用することで,線路長の1/2波長以下の周波数帯域で,線路の一次・二次定数が実験的に算出可能である.
差動伝送線路のSI, EMI問題を解決するために,問題を明確にするための単純化したモデルから基本現象を明らかにし,その現象を定量的に予測,説明可能な物理ベース等価回路モデルの開発を進めており,これまでに差動伝送線路を等価電源回路と等価負荷回路で表現することにより伝送線路上の任意の点の電圧・電流を理論的に解析する手法を提案している.本稿では電圧源や電流源が存在している多ポートの回路網の等価電源表現について述べる.
休 憩(11:00 再開) 座長 肖 鳳超(電通大)
B-4-29 |
メタリック回線終端条件の非接触検出法に関する基礎検討
◎長尾 篤・会田慎一・平澤徳仁・伊藤秀紀・西脇 博・小林隆一(NTT東日本) |
B-4-30 |
給電系インピーダンス比により発生する迷走電流の最大値に関する検討
○マハムド ファーハン・浅沼 洋・金井猛志・平澤徳仁・伊藤秀紀・西脇 博・小林隆一(NTT東日本) |
B-4-31 |
多線条線路理論を用いた近傍界ノイズ抑制素子装荷差動伝送線路の伝送特性解析
○村野公俊・伊與部雅矩・鶴見直矢・渡部航雅・佐藤 圭(東海大)・上 芳夫(電通大)・小塚洋司(東海大) |
光回線の普及に伴い、不要となったメタリック引込線が多く存在しており、効率的な引込線の撤去が必要である。本稿では、電流プローブにて引込線にコモンモード電流を印加し、電流と接続端子かん接続部の電圧を測定し、利用状況を判定する計算、実験検討を行った。
検討の結果、アクセス区間のインピーダンス変化に伴い、電流、電圧が変化することを確認したことから、提案手法により接続端子かんにおけるコモンモードインピーダンスの違いを判別可能であると考えられる。
通信センタビルでは、異なる整流器から給電された通信装置間を通信線により接続することで、給電線の配線長等の違いにより迷走電流が発生することが知られている[1]。しかし、迷走電流の発生レベルの最大値や、通信信号への影響等について、明らかとなっていない部分もある。そこで本稿では、給電線のインピーダンスに着目し、迷走電流および通信線に誘起される電圧の発生レベルの最大値について理論検討し、その妥当性を実験および回路解析により検証した結果について報告する。
伝送線路を伝搬する電磁ノイズを周波数選択的に抑制する手法として,近傍界ノイズ抑制素子(NSD)が提案されている.本稿では,NSDを装荷した差動伝送線路の電磁ノイズ抑制効果について,多線条線路理論を用いた解析手法ならびに解析結果を明らかにしている.
3月19日 13:30〜17:15 工学部 講義棟1F 102講義室 座長 藤井勝巳(NICT)
B-4-32 |
メタサーフェス電波吸収体による電界ベクトル計測手法の検討
○坂野敦哉・瀬川浩史・坪田卓也・清水健介・西 真詞郎・八木谷 聡・井町智彦・尾崎光紀(金沢大) |
B-4-33 |
Wavelet信号解析を用いた自動車用HVシステムベンチの環境雑音除去手法
○渕上翔太・森 晃(トヨタ)・依田達夫(キーサイト・テクノロジー) |
B-4-34 |
インパルス性磁気雑音源の位置同時推定における雑音源数の推定可能性について
◎富塚ゆみ子・西方敦博(東工大) |
B-4-35 |
電波環境におけるVHF帯ノイズと湿度の関係の基礎調査
○増長 遥・小林 真・新 浩一・西 正博(広島市立大) |
B-4-36 |
パワー半導体インバータ回路における放射ノイズの広帯域評価
◎小松美早紀・渡邊 航・青井 舞・田中 聡・三浦典之・永田 真(神戸大) |
電子機器の普及に伴い不要電磁波ノイズによるEMC問題が深刻となっている.その対処には電磁波分布を計測・可視化し不要電磁波源を特定することが有効となる.当研究室では,入射電波の電界2成分の2次元空間分布を計測・可視化するセンサ を開発し,それをもとに電磁波源の探査を行っている.本研究では,新たに電界ベクトル(直交3成分)の2次元空間分布を計測できるセンサ構造を検討する.従来の電界2成分検出型メタサーフェス電波吸収体にz方向成分計測機能を追加し,シミュレーションの結果から入射角が小さいところでは理論値と一致していた.しかし,入射角度が大きくなるにつれ理論値とずれが生じるため,今後その対策を検討していく必要がある.
車両の電動化に伴い、動力系に用いられるインバータ・モータに起因する低周波ノイズ(~400kHz)が問題となっている。この低周波ノイズは、電波障害や人体ばく露の要因となるため、車両で性能開発をしている。低周波ノイズ性能を満たさない車両は、設計や評価のやり直しにより、開発の遅延をもたらすため、早期に低周波ノイズ性能を確立することが求められる。そのためには、インバータ・モータが車両に搭載される前に、HV車用システムベンチ(以降:ベンチ)で本性能を把握することが必要になる。しかし、一般的なベンチは機能評価用であり、電源や負荷設備等に起因する環境雑音によって低周波ノイズが検出できない懸念がある。従って、本発表では、ベンチで測定した低周波ノイズと環境雑音の双方が含まれる合成波形にWavelet信号解析手法を適用することで、低周波ノイズ波形を抽出する手法を検討した。
複数のインパルス性磁気雑音源の位置を推定する手法において,雑音源の数を情報量規準から推定する方法を検討した.ノイズ波源としては垂直磁気ダイポールを仮定し,回転台と2つのループアンテナで雑音波形を同時記録し,ピークの電圧比をとることで位置推定を行う.その際用いる対数尤度関数について,これまでは雑音源の数kを既知としていた.しかし実用上はkは未知と考えられる.本報告では,対数尤度関数内に含まれる雑音源の数kを変化させ,kに対して計算した情報量規準AICおよびBICの変化の様子から,雑音源数の推定が可能である見通しを得た.
VHF帯周波数は災害時に情報伝達手段の一つとして利用されることから,電波環境の把握が重要である.
我々の研究室では地域の電波環境を観測するためFMチューナーを用いてVHF帯の周波数を測定してきた.
大気ダクトの発生に伴う異常伝搬であるダクト伝搬や,
スポラディックE層の発生に伴う異常伝搬の評価を行ってきた.
今まで湿度のような気象現象が電波環境に影響を与えるか定量的に評価されてこなかった.
本研究ではVHF帯ノイズと湿度の関係を調査した.
これまでに次世代半導体素子を用いた無線電力伝送(WPT)装置からの不要電波がLTEなどの移動通信と干渉することが報告されている。本研究では、この不要電波の発生原理を調査するため、GaN素子を用いたインバータ回路を搭載した評価用基板を用意し、放射ノイズ特性を移動通信に使用されるSub-6 GHz帯域において評価した。その結果、1.5 GHz以下の帯域では、GaN素子の駆動周波数(100 kHz)に依存した不要電波が確認できた。1.5 GHz以上の帯域においても不要電波が観測されたが、GaN素子の駆動周波数に依るものではなく、ゲート駆動回路内の論理回路から生じる不要電波である可能性を見出した。
休 憩(15:00 再開) 座長 須賀良介(青学大)
B-4-37 |
非接触電圧・電流プローブの周波数特性に関する検討
○小林隆一・マハムド ファーハン・長尾 篤・平澤徳仁・伊藤秀紀(NTT東日本) |
B-4-38 |
近接放射イミュニティ試験用TEMホーンアンテナのインパルス波励振による応答特性
川上 源・○川又 憲・石上 忍(東北学院大)・石田武志(ノイズ研究所)・張間勝茂・後藤 薫(NICT) |
B-4-39 |
バイコニカルアンテナを用いたNSA法の補正係数
○藤井勝巳・佐藤洋平・酒井孝次郎・山中幸雄(NICT) |
B-4-40 |
3アンテナ法による標準ループアンテナの校正における不確かさの改善
○石居正典(産総研) |
B-4-41 |
9 kHz減衰量標準の開発
○Anton Widarta(産総研) |
ケーブルに発生するコモンモード伝導妨害波によるEMC問題解決のためには,その電圧,電流の測定が必要であり,これまで伝導妨害波の電圧・電流を非接触で同時に測定するプローブについて検討を行ってきた。本報告では,プローブの最適設計方法の確立を目的として,その周波数特性の計算方法について検討を行った結果について述べている。その結果、簡易な等価回路を用いることにより、プローブのカットオフ周波数を計算可能であることがわかった。
指数関数テーパーTEMホーンを用いて,インパルス性電磁妨害波による近接イミュニティ試験を想定し,妨害波印加用放射器としてのインパルス応答について実験的な検討を行った。その結果,インパルス波励振によるホーン開口面の過渡磁界分布の均一性は,Y軸上の約±8cmの範囲で-6dB以内を示し,また。この領域における位相遅れは約20ps程度以下に留まった。さらに振幅特性ならびに位相特性の上下導体間の対称性は良好であることを確認した。
国際無線障害特別委員会(CISPR)は,30~1000 MHzの放射妨害波測定に用いる電波暗室やオープンサイトの特性を検証する方法の一つとして,正規化サイトアッテネーション法(NSA法)を定めている.本稿では,バイコニカルアンテナを用いたNSA法のために提案されている補正係数について,検討を行った.
産業技術総合研究所の計量標準総合センターでは,ループアンテナの国家標準の整備を行っている.しかし,3アンテナ法による校正手法の研究開発と整備を開始して以来,既に15年以上が経過しており,この間に30 MHz以下の周波数帯域におけるの電磁波の利用が拡大している.また最近では,妨害波測定に使用されるループアンテナの磁界アンテナ係数の要求不確かさも明確になり,さらに近年は測定器等の性能も向上している.本報告では,改めて不確かさの再検討を行い,その結果,大幅な不確かさの改善が見られたので報告をする.
高周波減衰量は高周波回路の基本量の1つとして重要であり、高周波電力計測やアンテナ計測等をはじめ、多くの高周波・マイクロ波計測及び校正技術において利用されている。産総研ではこれまでに10 MHzから40 GHzまでの高周波減衰量標準を確立して供給を行っている。一方、周波数範囲が数kHzから扱うEMC・EMI分野の最近の規格では,各量の計測に対するトレーサビリティも要求されるようになるので、これに対応する標準も確立される必要がある。本稿は周波数9 kHzの高周波減衰量標準の開発について述べる。
休 憩(16:30 再開) 座長 石居正典(産総研)
B-4-42 |
バス型ネットワークのケーブル長推定方法に関する検討
◎岡南佑紀・大和田 哲(三菱電機) |
B-4-43 |
複数のLED照明を設置したライティングダクトレールから発生する電磁雑音の波形評価に関する基礎的検討
◎吉田侑介・呉 奕鋒・後藤 薫・松本 泰(NICT)・須賀良介・橋本 修(青学大) |
B-4-44 |
デバイス装着型電磁ノイズ測定への対地容量測定手法の適用性評価
◎荒井稔登・岡本 健・加藤 潤(NTT) |
ケーブルの物理形状の把握が目視で困難な場合において、その長さや特性インピーダンスを測定することができる技術としてTDR(Time Domain Reflectometry)が挙げられる。しかし測定対象物が多点接続からなるバス型ネットワークのケーブルの場合、各ノードの周波数特性によってはケーブル長の検知精度が低下する恐れがある。本稿では回路シミュレーションにより、各ノードが容量性のインピーダンスをもつ場合について、TDRによりケーブル長を推定する方法を検討したので報告する。
省エネルギー家電の普及に伴って,LED照明の使用も空間的密度を増している一方で,LED照明のスイッチング電源から放射される電磁雑音が周囲の通信・放送へ電磁干渉を与えることが懸念されている.本稿では,複数のLED照明により発生する電磁雑音の基本的特性を把握するため,LED照明を装着したライティングダクトレール(以下ダクトレール)からの磁界測定によるコモンモード電流雑音波形の特性評価を行う.
電気電子機器から発生する電磁ノイズは,電力線や通信線を経由して通信装置に侵入し,通信断などの通信障害を引き起こすことがある.障害原因の切り分けのため,オシロスコープなどの測定器を用いて電磁ノイズの電圧や電流の測定が行われるが,大型の測定器を用いた測定は作業者にとって負担となる作業である.そこで本報告では,作業者が簡易的に電磁ノイズを測定可能なウェアラブルデバイスを用いた測定手法を提案する.さらに,提案手法への既存の対地容量の見積もり手法の適用性について,実験的に得られた知見について報告する.
3月20日 9:30〜12:00 工学部 講義棟1F 102講義室 座長 松嶋 徹(九工大)
B-4-45 |
マイクロウェーブ展会場における不要電波の評価
○宮澤安範(東北大)・田中 聡(神戸大)・山口正洋(東北大)・椙本祥史・渡邊 航・永田 真(神戸大)・沖米田恭之(昭和飛行機工業) |
B-4-46 |
RC造壁面の2.45GHz電波透過度測定および金属パッチアレーを用いた透過特性改善
◎中條鷹信・西方敦博(東工大)・伊藤耕大・白戸裕史・北 直樹(NTT) |
B-4-47 |
遺伝的アルゴリズムを用いた電波散乱壁の設計
○村上靖宜・チャカロタイ ジェドヴィスノプ・藤井勝巳(NICT) |
B-4-48 |
FMCWレーダにおける電磁ノイズ起因の誤検出に対する受信信号比較結果を用いた改善手法
○橘川雄亮・堀口嵩浩・福井範行・宮崎千春(三菱電機) |
電波暗室と異なり実使用に近い環境として、Microwave Workshops & Exhibition (MWE 2018)会場において、無線電力伝送(以下WPT)用7 kW級インバータ機器を動作させ、インバータ機器からの不要電波がLTE受信周波数帯に干渉することを公開実験にて示した。本論文では、その結果と、会場全体の不要電波を観測した結果を報告する。
RC造壁面の電波透過特性を調べることは無線通信環境および電磁環境の両面での基礎データとなり重要である。初めに2.45GHzにおけるRC造壁面での電波透過係数の測定実験を行った。
次に建築図面を基に詳細な壁面モデルを作成しFEMによる数値シュミレーションを行い、透過係数の実験値とFEMによる計算値の比較を行ったところ類似した結果を得た。
また、計算において入射側空間に定在波が立ったためこれを解消するような金属パッチアレーを設計した。金属パッチアレーの設置により透過係数は0.2~0.3dB増加した。
この方法を壁の両面に用いての計算と実験が今後の課題である。
次世代高速大容量通信(5G)では,28 GHz帯の電波が使用されることが決定している.この周波数帯では,直接波も反射波も届かない領域が生じ,通信品質が劣化する可能性が考えられる.これ対して著者らは,通常の金属平板とは異なる散乱特性を実現する電波散乱壁を提案してきた.電波散乱壁は厚さの異なる2つの金属平板を組み合わせて構成するが,最適構成を得るための試行回数が多いという問題があった.そこで,本研究では遺伝的アルゴリズム(GA)を用いて効率的に電波散乱壁を設計する方法を提案し,GAの探索能力を評価する.
本発表では,FMCWにおける電磁ノイズ起因の誤検出対策として,レーダ信号送信時と停止時の受信信号を比較する手法を提案し,シミュレーション結果による有効性を示す.
休 憩(10:45 再開) 座長 チャカロタイ ジェドヴィスノプ(NICT)
B-4-49 |
車載Ethernetの信頼性評価に向けた100BASE-TXのパルス性妨害波に対するパケットエラーシミュレーション
◎石橋健太・松嶋 徹・福本幸弘(九工大)・後藤 薫(NICT) |
B-4-50 |
次世代の高速通信に向けた伝送方式における変成器を用いた時間領域解析
◎佐藤匠弥・松嶋 徹・福本幸弘(九工大) |
B-4-51 |
ICチップパッケージングにおけるノイズ抑制磁性材料の導入と評価
◎青井 舞・渡邊 航・小松美早紀・地家幸祐・田中 聡・三浦典之・永田 真(神戸大)・宮澤安範・山口正洋(東北大) |
B-4-52 |
微弱無線帯を用いた広帯域インプラント通信機の設計と実験的評価
山田亮祐・◎藤井雄基・王 建青・安在大祐(名工大) |
B-4-53 |
非接触ウェアラブル体表温測定に向けた初期検討
◎豊田 新・小野一善・石原隆子・登倉明雄・都甲浩芳(NTT) |
近年,自動運転技術等の発達により,車載通信の大容量化・高信頼化が求められており,特にその中でもEthernetが注目されている.現在,車内の電磁環境はより劣悪になっており,そのような環境下での車載通信品質を保証することは重要な課題となっている.本報告では著者の従来の実験結果を踏まえ,MATLAB 及びSimulinkによる100BASE-TXの信号波形に対してパルス性妨害波を印加した際のパケットエラーについてシミュレーションを構築した.その結果,実験結果とよく一致する結果が得られた.
現在、有線における信号伝送において対となる2線に逆相の電圧を印加して信号伝送を行う差動伝送方式が多く用いられているが、例えば4線ケーブルで差動伝送方式を用いる場合、4線を2対の信号線として使うため2チャンネルの信号しか送信できない。
これまで対称4線STPケーブルを対象に新たな伝送方式としてモード多重伝送方式の提案を行い、信号励振を変成器を用いて作成したモード分解回路を使った透過特性での評価を回路シミュレーションを使用し確認してきた。本報告では、時間領域で信号伝送を行うことができるか確認した。アイパターンで確認したところ変成器の挿入損失や反射損失により信号品質の劣化は起こるが、アイの開口は十分にあり、信号伝送が可能であることがわかった。
磁性膜をICチップとインターポーザ基板の間に実装し、3種類の磁性膜に対して不要電波の干渉抑制効果を評価した。ICチップから放射される不要電波を広帯域において磁界プローブで測定し、磁性膜の効果が確認できた2つの周波数帯域において帯域5 MHzの積分電力を狭帯域測定により評価した。また、無線通信システムシミュレータを用いてLTE受信感度の改善効果を測定した。磁性膜を実装していない基板とLTE受信感度を比較したところ、4.8 GHzにおいてはNiCuZnスピネルフェライトで約9 dB、Z型六方晶フェライトで約5 dB、Y型六方晶フェライトで約10 dBの効果が確認できた。また、Y型六方晶フェライトは800 MHz帯域においても約9 dBの干渉抑制効果がみられた。
近年,情報通信技術の発展に伴い人体情報の伝達やリモート制御を行うワイヤレスボディエリアネットワークの研究が盛んに進んでおり,医療・ヘルスケア分野への応用が期待されている.本研究では,人体深部まで20 Mbps の高速伝送を見据えた通信機の設計と評価を行った.また,拡散変調させた際の通信距離の検討も行った.
熱中症は一般的にWBGTと呼ばれる広域的な暑さ指数をもとに注意喚起が行われているが,発症には個人差や局所的な環境の影響が大きい.そこで, ウェア型のセンサを用いて体表温等の個人の生体情報をモニタリングすることで,個人の状態に合わせた熱中症対策としての暑さ予防を行うことが提案されている.これまで,正確に体表温を計測するために接触式センサで温度を測定する例が報告されているが,センサが皮膚に触れ続けると接触部に不快感が生じてしまう.そのため,非接触なウェアラブル温度センサが望まれている.本発表では快適かつ連続的に衣服の内側の体表温計測を行うためのデバイス構成の提案と初期検討について報告する.
3月20日 13:30〜17:30 工学部 講義棟1F 102講義室 座長 佐々木謙介(NICT)
B-4-54 |
FDTD法によるリバブレーションチャンバーにおける電界強度とラット全身平均SARとの定量関係
○伊藤涼太・王 建青・安在大祐(名工大) |
B-4-55 |
海水中と陸上での生体電気計測における電磁波ノイズの比較
○中里一茂・瀧澤由佳子(兵庫県立工技セ) |
B-4-56 |
スクリューホール付金属プレート空隙部のSAR推定
◎伊藤涼音・大塚敦生・日景 隆(北大)・長岡智明・和氣加奈子・渡辺聡一(NICT) |
B-4-57 |
5G Sub6周波数帯における植込み型心臓ペースメーカEMI推定を目的とした電気-光変換による干渉誘起電圧測定
伊藤涼音・○日景 隆(北大)・石岡諒汰・東山潤司・鈴木恭宜(NTTドコモ) |
B-4-58 |
6 GHz超の電波ばく露によるコンタクトレンズ装着時における眼球温度上昇特性
◎西川周吾(青学大)・渡辺聡一・和氣加奈子(NICT)・須賀良介・橋本 修(青学大) |
米国国家毒性プログラム(NTP)研究での電磁波ばく露の長期発がん性試験による発がん性リスクの結果に関して,その検証試験は2020年度から日本と韓国で実施される.本研究では,ばく露実験に使用されるリバブレーションチャンバー内の電界強度と被ばくラットの全身平均比吸収率(WBA-SAR: Whole Body Average Specific Absorption Rate)との定量関係を, FDTD (Finite Difference Time Domain) 法を用いて明らかにする.ラット数値モデルをFDTDシミュレーション上に配置し計算を行い,結果をもとに理想的なリバブレーションチャンバーの環境構築をし,その条件のもとでラットのWBA-SARを算出する.得られた結果を実験的に検証し,最終的にはNTP検証試験に用いる予定である.
生体電気計測(筋電図,心電図)は医療診断等に利用されている.この計測では生体内で発生する活動電位を皮膚表面に設置した生体電極で検出し,これを増幅して電気信号を得ている.しかし,増幅前の信号は微弱であるため,室内照明,電気配線,他の装置からのハムや高周波の電磁波ノイズの影響を受け,正確な信号を得るのは難しい.そこで,我々は海水の電磁波吸収減衰特性に着目し,海水中で計測することで電磁波ノイズが少ない生体電気信号が得られる生体電気計測手法を提案する.本研究では,海水中と陸上で筋電位を計測し,これらの結果から電磁波ノイズの大きさを比較して本手法の有用性について検討した内容を述べる.
金属を体内に埋め込んでいる場合,指針値以下のばく露でも局所的な比吸収率(SAR : Specific Absorption Rate)上昇の可能性が示唆されている.近年,様々な形状の医療用金属プレートが開発されており,これら器具等装着者に対する指針適用性の検討が重要となっている.これまでに,平行に埋め込まれた2枚の金属プレートの空隙部においてSAR が上昇する可能性があることを数値シミュレーションおよび物理ファントムを用いた温度測定などにより明らかにしている.本稿では,スクリュー固定のための複雑な構造を有する顔面骨折治療用埋込み金属プレートに起因するSAR上昇について,ばく露電波の周波数および偏波に対する特性評価を行う.
各種電波利用機器が植込み型心臓ペースメーカおよび植込み型除細動器(ICD)等の植込み型医療機器に及ぼす電磁干渉影響(EMI)についての調査・研究が進められており,それら結果に基づき影響防止のための指針が定められている.著者らの研究グループでは電気-光(EO)変換技術を用いた植込み型医療機器の干渉電圧測定系について検討してきている.本稿では,第5世代移動通信システム(5G) のSub 6における干渉誘起電圧測定系の構築を目的としてこれら周波数帯における基礎検討を行う.
我が国では,今年から5Gの本格的な実用化が見込まれている.5Gは現行のシステムよりも高周波数の電波が利用されることから高速なデータ通信が可能となる.また近年では,スマートフォンの普及していることから,モバイル端末を顔面前方で使用する機会がさらに増加すると想定される.その一方で,現在1700万人のコンタクトレンズ(CL)使用者がいると言われている.そこで本稿では,CL装着時の数値人体モデルの眼球に対する6 GHz超の電波ばく露による眼球温度上昇を評価した.その結果,高周波になるに従い,CLの有無による角膜の最大温度上昇の差が大きくなり,30 GHzにおいてCL装着時の方が角膜で44.3 %,水晶体で37.1 %高くなることを確認した.
休 憩(15:00 再開) 座長 安在大祐(名工大)
B-4-59 |
6種類の数値スマートフォンモデルを用いた人体内SAR評価
◎高坂千明・齊藤一幸・高橋応明(千葉大)・長岡智明・渡辺聡一・和氣加奈子(NICT) |
B-4-60 |
人体検出用簡易ファントム開発のための人体RCSの度数分布評価
○齊藤一幸・鈴木雅大(千葉大) |
B-4-61 |
動物及び細胞を対象とした85kHz帯超高度磁界ばく露装置の開発とそのドシメトリのための検討
◎金川宗嵩・Siriwat Wasoontarajaroen・石綿ひとみ・松原壱樹・鈴木敬久・和田圭二(首都大東京) |
B-4-62 |
図書館の電子商品監視(EAS)機器からの中間周波磁界ばく露 ― 異なる人体ばく露評価方法による結果の比較 ―
○幾代美和・江嵜かおる・相本篤子・鈴木敬久(首都大東京)・多氣昌生(NICT)・小島原典子(東京女子医大)・和氣加奈子(NICT)・山崎健一(電中研) |
B-4-63 |
図書館の電子商品監視(EAS)機器周辺磁界の3次元空間分布測定
○江嵜かおる・幾代美和・相本篤子(首都大東京)・多氣昌生・和氣加奈子(NICT)・小島原典子(東京女子医大)・山崎健一(電中研) |
近年,スマートフォンを始めとする情報通信端末が急速に普及しており,その生体影響についての詳細な評価が必要とされている.電磁波ばく露による熱的作用の指標には単位質量当たりの吸収電力を表すSAR(Rpecific Absorption Rate:比吸収率)が用いられる.しかし実人体によるSAR測定は倫理的に困難であるため,数値解析による評価が有効である.近年ではスマートフォン端末を詳細に再現した数値モデルによるSAR解析も行われてきているが,スマートフォンの種類や,スマートフォンを保持する位置や角度によるSARの変化に関する検討は少ない.本研究では,6種類の高精細数値スマートフォンモデルを作製し,それらが人体に相対する傾き角度を変化させてSAR解析を行った.
空間伝送型WPT(Wireless Power Transmission:無線電力伝送)には,ワイヤレスで比較的遠方まで電力伝送できるという特長がある.しかしながら,他の方式と比較して送電電力が小さく,効率が低いといったデメリットもあるため,送電経路上の人体を検出し,送電方向を変更するといった技術が必須である.この人体検出技術の開発には,ファントムの使用が不可欠である.ここで使用するファントムは,人体の形状や物性定数を精緻に模擬する必要はなく,単に,人体と同等のRCS(Radar Cross Section:レーダー反射断面積)をもつ物体であればよい.本研究では,人体と同等のRCSをもつ簡易形状ファントムを開発すべく,人体の上半身方向のあらゆる角度より平面波を入射した際のRCSを算出し,これらの結果を度数分布としてまとめた.そして,この度数分布をもとにして,簡易ファントムの形状を考察した.
近年,無線電力伝送(WPT)を用いた車両の充電の普及が進んでいる.また大型車両の充電には大容量の電力伝送を行うために高強度の磁界の利用が考えられる.人体防護のためのICNIRPのガイドラインでは非常に短い時間内(100μsまたはそれ以下)で測定評価され泣けばならないとしている.しかし実際のWPTシステムでの安全装置の起動及び停止は困難であり,技術的に1秒程度必要であると仮定すると,その間に高強度磁界ばく露の可能性が考えられる.そのため動物・細胞を対象としたばく露用コイルを開発した.本稿では新たな磁界ばく露用コイルを提案し,その磁界分布を計算した.またその分布とマウス・細胞の培養培地のモデルを用いてインピーダンス法で内部誘導電界の計算を行った.
電子商品監視(EAS)機器は,日常環境下で比較的強い中間周波帯磁界発生源の1つである.本研究は,図書館内EASゲートからの発生磁界において,国際標準規格IEC62369-1に準拠した評価と先行研究で行ったばく露評価の比較を行った.ばく露評価においてICNIRP(2010)ガイドライン基本制限との比較が望ましいが,簡単ではない.そこで参考レベルとの比較は人体内入射磁束密度最大値は過大評価となる為,平均を用いる.人体内入射磁束密度平均値の参考レベルに対する比率は34 % に対し,IEC62369-1の磁束密度空間平均は44 % と前者と近似しているが若干上回り,安全側であった.従ってEAS評価法としてIEC62369-1準拠した評価方法は簡易でかつ過大評価を軽減できる有効な手法と考えられる
電子商品監視(EAS)機器は比較的強い中間周波帯(WHOの定義では300Hz~10MHz)電磁界発生源の一つである。図書館のEASゲート磁界へのばく露は、ゲート内の検出エリアを通過する図書館利用者のばく露とゲート外側の周辺空間で長時間執務する図書館職員のばく露に分けて考えられる。本研究では、図書館職員を対象とした疫学調査を対象としたばく露評価を目的として、EASゲート周辺磁界の3次元空間分布を測定した。その結果、空間分布は、ゲートを中心にほぼ回転対称性を有し、高さによる大きな差は見られなかった。磁界分布の相対的表示は、多様な機種で汎用性があると考えられることから、図書館の職場環境におけるばく露評価に有用と思われる。
休 憩(16:30 再開) 座長 日景 隆(北大)
B-4-64 |
1~10 MHz電流知覚実験システムの開発
○上村佳嗣・大門賢周・木村駿愛(宇都宮大)・佐藤 健(八戸高専) |
B-4-65 |
車室内ケーブルの漏えい磁界からの人体防護評価
○松沢晋一郎・渡辺俊明・伯田祐輔(豊田中研) |
B-4-66 |
SARプローブ較正システムの不確かさにおける導波管内電界強度均一性及びプローブ直線性の評価
◎清水悠斗(NICT)・石井 望(NICT/新潟大)・長岡智明・和氣加奈子・渡辺聡一(NICT) |
B-4-67 |
脂肪組織電気定数の水分含有量依存型パラメトリックモデルに関する検討
○佐々木謙介・渡辺聡一・和氣加奈子(NICT) |
近年,無線電力伝送の普及が見込まれているが,接触電流による間接作用の安全性評価が問題となっている.ICNIRPの防護指針では接触電流の参考レベルは110 MHzまで決められているが,電流知覚閾値の実験的研究は高々3 MHzまでしか行われていない.
現在,1 MHz~10 MHzの電流知覚実験を計画しており,そのばく露装置の開発を行った.
実験システムの概要について,まず100 mAまでの電流ばく露の方法論と課題を述べ,次に高周波電流の測定方法について具体的に述べている.
さらにMHz帯において生じた問題点の解決策についても言及している.
自動車の電動化や自動車材料の軽量化が進む中,自動車から発生する電磁波の影響に関する検討が進んでいる[1].HV/EVではインバータで扱う大電流により,低周波磁界が発生するため,車室内の磁界強度を考慮した設計が必要となる.車室内のケーブルからの漏えい磁界からの人体防護についてシミュレーション結果を述べる.
筆者らは導波管を用いた無線通信端末の適合性評価用SAR(Specific Absorption Rate)プローブ較正の不確かさ評価をIEC(International Electrotechnical Commission)の規格文書に基づいて行ってきている.本稿ではこれまで継続的に実施してきたSARプローブの不確かさ評価結果から,評価方法が明確に定まっていない項目について新たな評価方法の導入を行い,不確かさを再評価した.
生体組織の電気定数(誘電率や導電率)は電波と人体との相互作業を理解する上で必須の基礎的な物理定数である.本研究では組織中の水分含有量(または脂質含有量)によって, 電気定数が大きく変動(最小値から最大値で数10 倍変動)することが報告されている脂肪組織の電気定数に着目する. 我々は脂肪組織の水分含有量に対応した電気定数を明らかにすることを目標とし, そのための検討として, 1~100GHz までの周波数を対象とし, 水分含有量をパラメータとして含む, 電気定数パラメトリックモデルの開発について検討した.
B-5. 無線通信システムA(移動通信)
3月17日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟3F K313講義室 座長 大塚裕幸(工学院大)
B-5-1 |
端末移動性を用いたSC-FDE判定帰還型伝搬路推定の特性改善に関する一検討
◎中村敦也・新保薫子・齋藤周平・菅沼碩文・前原文明(早大) |
B-5-2 |
伝搬路状態に基づいてFFTサイズと信号抽出範囲を決定するオーバーラップSC-FDE伝送方式
○中島昭範・東中雅嗣・有賀 博(三菱電機) |
B-5-3 |
OFDM,V-OFDM及びCRV-OFDMの位相雑音環境下での性能評価
◎羽田野恭平・韓 承鎬(電通大) |
B-5-4 |
音響通信のためのDFT-Spread OFDMの特性
◎田島秀哉・久保博嗣(立命館大) |
B-5-5 |
音響通信のための多値QAMシングルキャリアブロック伝送方式
◎山本捷義・佐野隆貴・久保博嗣(立命館大) |
SC-FDEは,PAPRを低く抑えつつマルチパスフェージングを克服できることから,送信側を低コストに抑えたまま広帯域無線通信を実現できる.これまでに,我々は,SC-FDEの時間選択性フェージング対策として,LS (Least Squares) に基づく判定帰還型伝搬路推定 (DFCE) を適用するとともに,端末移動性に基づき伝搬路推定値の追従を図る方式を提案してきた.本稿では,DFCEについて,伝搬路のマルチパス長がブロック長よりも十分に短いことを利用して,周波数領域の受信信号と送信信号のレプリカ行列から一般化逆行列により伝搬路のインパルス応答を推定する方式の適用を図るとともに,端末移動性を変化させたときの有効性を計算機シミュレーションにより評価する.
近年,シングルキャリア(SC)伝送を対象としたオーバーラップ周波数領域等化(OFDE)方式では,FDE後の信号電力対干渉電力比(SIR)に基づいて信号抽出範囲を決定する適応OFDE(AOFDE)が提案されている.しかしながら,FDEにおいてFFTサイズに対応して,信号抽出範囲を決定するための演算量が増大する課題がある.そこで,本論文では,伝送路状態に基づいてFFTサイズを決定することで演算量を削減するオーバーラップFDE方式を提案する.
OFDMは複数のサブキャリアの信号が重なるため同 相で加算された場合にPAPRが大きくなってしまう等の欠点がある.このような欠点に対して,V-OFDM,CRV-OFDMがOFDMの欠点を改善することが示された.しかし,これらのシステムはマルチキャリア方式であるため,周波数変動に対して敏感であり,位相雑音によって出力信号の位相がランダムに変動する場合の性能を評価し,必要に応じて補正する必要がある.本稿では,OFDM,V-OFDM及びCRV-OFDMの位相雑音環境下での性能を比較し,各通信方式の位相雑音耐性の評価を行った.
近年,音響通信への関心が,水中,陸上を問わず高まっている.音響通信はRF (radio frequency) 帯と比較して,使用できる周波数帯域幅が狭い.また,伝搬速度を比較した場合,音速は光速に対して水中では約二十万分の一,陸上では約百万分の一となる.そのため,音響通信においては遅延時間広がりの増大が課題となる.本稿では,これらの課題を抑圧するため,DFT-S-OFDM (Discrete Fourier Transform-Spread Orthogonal Frequency Division Multiplexing) に周波数領域等化 (FDE) を適用する方式を検討する.
近年,海洋資源開発のための水中ロボットへの関心が高まっている.水中では,音響通信を用いるのが主流である.本稿では,水中ロボットの画像通信を想定した大容量伝送の実現をするために,音響通信用の無線通信方式として耐遅延波特性と大容量化が実現可能な多値QAM (quadrature amplitude modulation) シングルキャリアブロック伝送方式を検討する.
休 憩(11:00 再開) 座長 中島昭範(三菱電機)
B-5-6 |
4.5GHz 帯マルチキャリアHetNetにおけるピコ基地局の送信電力の最適化
○米山あゆみ(工学院大)・須山 聡(NTTドコモ)・大塚裕幸(工学院大) |
B-5-7 |
マルチキャリアHetNetにおけるUE配置のクラスターサイズに対する適応制御型CREの特性
◎藤澤研斗(工学院大)・須山 聡(NTTドコモ)・大塚裕幸(工学院大) |
B-5-8 |
マルチキャリアHetNetにおける28GHz帯ピコセルの3セクター化による改善効果
○剱持郁也(工学院大)・須山 聡(NTTドコモ)・大塚裕幸(工学院大) |
B-5-9 |
シングルキャリアHetNetにおける1024-QAMを用いた場合の適応制御型CREの効果
○瀬戸優太・藤澤研斗・宇多津裕貴(工学院大)・須山 聡(NTTドコモ)・大塚裕幸(工学院大) |
B-5-10 |
下り回線SIMO/MIMO切替え送信干渉キャンセラーの最適制御
◎谷口怜奈・藤井輝也(東工大) |
5G ではシステム容量の増大が求められており,4G に引き続 き,ヘテロジーニアスネットワーク (HetNet)の研究が盛んである.その中でも,より広い帯域幅の利用が可能な高周波数帯を用 いた HetNet の研究が注目されている.しかし,異なる無線周 波数,異なる帯域幅を用いた HetNet の特性評価はまだ十分に 行われていない. 本稿では,2 GHz 帯マクロセルと帯域幅 100 MHz を有する 4.5 GHz 帯ピコセルから成るマルチキャリア HetNet において, ピコ基地局の送信電力をパラメータとしてユーザスループットを求 め,その結果から最適なピコ基地局の送信電力を明らかにする.
システム容量の増大は5Gの目的の一つであり,その手段の一つとしてヘテロジーニアスネットワークHetNetがある.HetNetにおいて,筆者らは,各ユーザ端末UEに最適なパーソナルセルを形成する適応制御型Cell Range Expansion (CRE)を提案し,その特性評価を行ってきた.本稿では,2GHz帯マクロセルと3.4GHz帯ピコセルから成るマルチキャリアHetNetにおいて,ピコセル近傍にUEを配置するクラスターサイズに対する適応制御型CREのユーザスループット特性を明らかにする.
次世代の移動通信システムではシステム容量を増大するためにヘテロジーニアスネットワークHetNetの研究が盛んである.また,さらなる高速化を目的として広い帯域幅を利用出来る高周波帯の利用も注目されている.そこで我々は,2GHz帯マクロセルと28GHz帯ピコセルから成るマルチキャリアHetNetにおいて,ピコセルを3セクター化する方法を提案し,そのユーザスループット特性を評価してきた.本稿では,提案した28GHz帯3セクターピコセルと従来のオムニピコセルとのユーザスループットを比較することにより,28GHz帯3セクターピコセル方式の改善効果を示す.
システム容量を増大する技術の一つとしてヘテロジーニアスネットワークHetNetがある.HetNetにおいてはマクロセルからピコセルに負荷分散を促進するCRE技術が重要である.また,伝送速度の向上を目的として1024-QAM等の多値変調方式の適用の研究も加速している.筆者らは,マクロセルとピコセルを2GHz帯で運用するシングルキャリアHetNetにおいて,パーソナルセルを指向する適応制御型CREを提案し,その特性評価を行ってきた.これまでは,64-QAMを最高とするMCSを用いてその効果を明らかにしてきたが,本稿では1024-QAMを最高とするMCSを用いた場合の適応制御型CREのユーザスループット改善効果を明らかにする.
マクロセル内部に同一周波数を用いた複数スモールセルを設置したHetNet 構成は、周波数利用効率を向上させる技術として期待されている。一層の向上効果を得るためには干渉除去技術が不可欠である。筆者等はマクロセルの下り回線の干渉除去技術として、各スモールセル基地局が自セル信号に重畳してマクロセルの除去信号送信する“MIMO 対応スモールセル送信干渉キャンセラー”を提案した。MIMO 構成では SNR が高い場合には大きな改善効果が得られるが、SNRが低い場合には改善効果が少ない。本稿では、SNRが低い場合にMIMOより高い通信容量が得られるSIMOを適用し、スモールセル基地局が SIMO と MIMO 方式を通信品質に応じて適宜切替する送信干渉キャンセラーを提案する。
3月17日 13:30〜16:15 総合科学部 K棟3F K313講義室 座長 張 裕淵(東工大)
B-5-11 |
HetNet構成における他スモールセル干渉を除去する上り回線干渉キャンセラーの検討
◎金田拓也・藤井輝也(東工大) |
B-5-12 |
ビームフォーミング技術を活用した地上と上空セルの周波数共用の基礎検討
◎橘田 真・藤井輝也(東工大) |
B-5-13 |
HAPSマルチゲートウェイフィーダリンクシステムにおけるリバースリンク対応信号帯域分割送信干渉キャンセラー
○藤井隆史・太田喜元(HAPSモバイル) |
B-5-14 |
モバイルネットワークを使ったUAVの三次元位置測位の検討
◎津町直人・大関武雄・山崎浩輔(KDDI総合研究所) |
B-5-15 |
LoRaフラッディング技術を活用した臨時展開可能なバルーンネットワークの研究
○佐藤剛至・大和田泰伯(NICT) |
マクロセル内部に同一周波数を用いた複数のスモールセルを設置して構成するHetNet (Heterogeneous Network) 構成は、周波数利用効率を向上させる技術として期待されている。この構成ではマクロセル、スモールセルが共に同一周波数を用いることから干渉抑圧が不可欠である。筆者らは上り回線を対象として、マクロ基地局でスモール端末からの干渉信号を除去する“上り回線干渉キャンセラー”を提案した。従来の提案法は、各スモールセルの受信信号を真としてそのまま干渉キャンセル信号として用いたため、スモールセル間距離が近い場合には他スモールセルからの干渉信号が混在することからマクロセル基地局において干渉を十分に抑圧できない課題があった。本稿では、上り回線において、各スモールセル間も連携し、スモールセル間干渉を抑圧するマクロセル基地局受信干渉キャンセラーを提案し、その適用効果を明らかにする。
セルラー網を利用したドローンの飛行制御や撮影した映像データの転送が期待されている。しかしながら、セルラー通信は基本的に地上端末を想定して通信品質の最適化が図られており、上空での通信は想定外である。特に、現在のセルラー網で上空端末が通信を行えば、広範囲に干渉を及ぼすことから、地上端末の通信品質劣化が避けられない。本稿では、5Gのビームフォーミング技術を活用して、各基地局で地上セルと上空セルが同一周波数を共用する“3次元空間セル構成”について検討する。
成層圏プラットホーム(HAPS)を用いて地上のセルラ携帯端末(携帯端末)と直接通信する携帯通信サービスは,サービスエリアの拡大,災害時の通信手段として非常に魅力的である.HAPSと地上基地局(ゲートウェイ)間の通信であるフィーダリンクの周波数有効利用を目的に,同一周波数を空間分割多重する“複数ゲートウェイ(GW)システム”を提案し,地上からHAPSへの通信であるフォワードリンク(FL)およびHAPSから地上への通信であるリバースリンク(RL)が共に同一周波数干渉を低減する干渉キャンセル技術を提案した.本稿では,提案したRL対応の送信干渉キャンセラーの更なる干渉抑圧を可能とする送信干渉キャンセラーを提案し,その改善効果を明らかにする.
ドローン機器に代表されるUAV (Unmanned Aerial Vehicle) は、イベント会場での空撮といった利用だけでなく、災害現場、物流、地形調査など、様々なシーンでの利用が実施/検討されており、UAV利用の重要性は近年高まっている。また、UAVを建物や他のUAVと衝突させることなく安全に利用するためには、その位置を正確に測位出来ることが重要である。
UAVの位置測位にはGPSを用いた手法が、高度測位については気圧計やレーザー光を用いた手法が利用されているが、UAVのデバイス簡素化の観点からは、位置測位も可能なモバイル通信用モジュールのみを使った三次元位置測位も望まれる。本稿では、モバイルネットワークにおいて代表的な位置測位手法である信号の到来時間差(TDOA: Time Difference of Arrival)情報による位置測位手法をUAVの位置測位に適用した場合の検討を実施する。
これまでNICTが研究開発を進めてきたLoRaフラッディング技術を実装した軽量かつ省電力な無線通信ノードが持つ長距離通信性能を最大限活用するため,ヘリウムガスバルーンによる上空ネットワークを構築し,その隘路を克服することを提案する.加えて,LoRa規格の通信の低速さによる,活用可能なアプリケーションが限定されるという問題点に対して,複数のLoRaチャネル結束による通信高速化を合わせて提案し,その活用領域を広げることを目指す.
休 憩(15:00 再開) 座長 藤井輝也(東工大)
B-5-16 |
送信ダイバーシチに適用するビート干渉抑圧方式
○増田進二・佐々木 慧・東中雅嗣・有賀 博(三菱電機) |
B-5-17 |
プロポーショナルフェアネス規範に基づく深層強化学習を用いたセルレンジ拡張制御法に関する一検討
◎稲垣瑞樹・三木信彦(香川大) |
B-5-18 |
モバイルエッジコンピューティングシステムにおけるユーザスケジューリング手法の検討
◎三上智史・安達宏一(電通大) |
B-5-19 |
無線品質予測に基づいた送信タイミング制御の一検討
○志水紀之・奥田雅久・中川洋一・浅野弘明(パナソニック) |
B-5-20 |
1024-QAMと3D-BFを用いた場合のビーム数に対するユーザスループット特性
◎大村有司・剱持郁也・宇多津裕貴(工学院大)・須山 聡(NTTドコモ)・大塚裕幸(工学院大) |
伝送容量拡大を目的に,送信ダイバーシチの一つであるDSTBCと組み合わせる相対空間マッピング変調方式を提案してきた.今回,本方式で複局同時送信する際に発生するビート干渉を抑圧する方式を提案する.提案方式は,基地局から送信する2つの送信信号を,振幅、位相を調整して合成し、送信するもので、基地局毎に異なる振幅、位相を使用することで基地局毎の送信信号を異なるものとし,ビート干渉の発生を抑えるものである.本発表では,計算機シミュレーションで評価した結果を報告する.
スモールセル環境においてセルレンジ拡張を行うためのオフセット値を深層強化学習の一つであるDQN(Deep Q Network)を用いて最適化した場合の特性を評価した.
高負荷な処理を低遅延で処理するために,高機能なサーバを無線ネットワークのエッジ(基地局等)に配置して,演算処理を行うモバイルエッジコンピューティング(MEC)が注目されている.既存のセルラーネットワークにMEC機能を導入した場合,低遅延なタスク処理を要求するMEC利用ユーザ(MECユーザ)と高スループットを要求する既存ユーザ(LEGACYユーザ)間で効率的に無線リソースを共有する必要がある.本研究では2種類のユーザが混在する環境での無線・計算リソースにおける効率的なスケジューリング手法を検討する.
5Gの高度化に向けた研究開発が進められている。更なる大容量通信を実現するためミリ波の活用が検討されており、その伝搬特性に起因する様々な課題への研究が進められている。これらの研究の一つとして、電力効率を改善するための回路構成や制御方式が提案されており、[1]では運転支援のための交差点映像や車載カメラ映像、工場における検査支援のための生産ライン映像等、限定されたエリアで生成し利用される地産地消型のトラヒックに着目し、電力効率の観点でこれらのトラヒックを効率的に配信・収容するためのネットワーク構成、及び無線制御の考え方が示されている。本稿では[1]で示された無線制御の一つとして、特に非リアルタイム系サービスで扱う大容量トラヒックを効率的に配信・収容するための無線品質予測に基づいた送信タイミング制御を提案しその検討結果を報告する。
第5世代移動通信システム5GではターゲットUEの受信SINRを向上させ他のUEへの干渉を低減できる3Dビームフォーミング(3D-BF)技術が注目されている.また,伝送速度を向上するために1024-QAMなどの高次変調方式の適用も検討されている.これまで,1024-QAMと3D-BFを同時に適用した場合の検討は十分になされていない.本稿では,システムレベルシミュレーションを用いて下り回線の3D-BFのビーム数をパラメータとしてユーザスループットの改善効果を明らかにする.
3月17日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟3F K314講義室 座長 牟田 修(九大)
B-5-21 |
F-OFDM方式の隣接チャネル存在下における伝送特性
○長瀬 渉・松江英明(諏訪東京理科大) |
B-5-22 |
OFDM櫛型パイロットにおける繰り返しIDFT/DFTによるCSI補間
○丸田一輝(千葉大)・井田悠太(山口大)・安 昌俊(千葉大) |
B-5-23 |
マルチパスの遅延推定による広帯域OFDMのチャネル予測
◎高野裕太・小川恭孝・西村寿彦・大鐘武雄・萩原淳一郎(北大) |
B-5-24 |
繰返し系列を用いた同一周波数複局同時送信向け基地局信号検出法
○富塚浩志・蒲原健一郎・西本 浩・佐野裕康・有賀 博(三菱電機) |
B-5-25 |
空間・周波数直交マッピングに基づくFSK送信ダイバーシチのマッピング則最適化
○中村亮介・堀 勇太・中島昭範・東中雅嗣・有賀 博(三菱電機) |
隣接チャネル存在下におけるF-OFDM (Filtered-Orthogonal Frequency Multiplexing)方式について隣接チャネル干渉の軽減特性および符号誤り率特性を計算機シミュレーションにより評価したので報告する。
OFDM伝送では,チャネル推定のために用いるパイロットシンボルを分散配することにより,データの伝送効率を向上することが可能である.また,他のサブキャリアに異なる端末/アンテナに対するチャネル推定のためのパイロットを配置することで効率的なチャネル推定も可能となる.このとき,パイロットを配置しないヌルサブキャリアにおけるチャネル推定情報(CSI)を補間する必要があり,その精度が伝送性能に影響する.本稿では,櫛形パイロット配置における,ヌルサブキャリアのCSIを高精度に補間可能な手法を提案する.
マルチユーザMIMOシステムのプリコーディングでは,基地局側で下り回線のチャネル情報(CSI)を必要とする.未来のチャネルを予測することによって,パイロットシンボルの送信頻度を抑えることができ,伝送効率の向上が可能となる.筆者らは,広帯域OFDM通信の各サブキャリアのCSIを用いて異なった遅延を持つマルチパスの推定を行い,それらの分離・予測・再合成によるチャネルの予測手法を提案し,FISTA(Fast Iterative Shrinkage-Thresholding Algorithm)を用いた手法が良好な特性を示すことを明らかにした.本稿では,より現実に近い環境での予測精度を明らかにする.
複局同時送信は同一周波数で複数の基地局が同一情報を送信する方式であり,基地局のセル半径拡大や送信ダイバーシチによる受信品質改善に効果がある.一方,端末では複数の基地局信号の合成波が受信されるため,受信信号から干渉や遅延波の影響等,電波状態を監視することが困難であった.そこで,複局同時送信方式において周波数利用効率低下を抑えつつ各基地局の受信電界強度推定を行うことを目的に,同期用プリアンブルを併用し,基地局アンテナ毎の送信信号に繰返し系列と位相回転により周波数直交させたプリアンブルパターンを割当てる手法を検討した.
M2M通信のための長距離高信頼無線通信システムとして著者らは,FSK信号を位相回転系列で直接拡散することで高い電力効率を達成し,更にインタリーブ型スペクトル拡散によってユーザを直交周波数多重する方式を検討している.その中で,FSK伝送におけるキャリア直交性を利用した新たな送信ダイバーシチ手法を提案し,時変動通信路においてSTBCよりも優れた性能を示した.本稿では,この新たな送信ダイバーシチ手法である空間・周波数直交マッピングにおいて,4FSKを例として最もダイバーシチ効果が得られるマッピング則を検討した結果を報告する.
休 憩(11:00 再開) 座長 高橋拓海(阪大)
B-5-26 |
差動マルチキャリア伝送方式の一般化に関する検討
◎山田悠司・久保博嗣(立命館大) |
B-5-27 |
伝送路予測多重遅延検波を用いた差動トレリス符号化OFDM
◎岩本航汰・久保哲朗・久保博嗣(立命館大) |
B-5-28 |
伝送路予測判定帰還多重遅延検波を用いた差動OFDMの特性
◎長舩大陽・塚本圭哉・久保博嗣(立命館大) |
B-5-29 |
A Study on Channel Estimation in Delay-Doppler Domain for OTFS Modulation
○Noriyuki Hashimoto・Noboru Osawa・Kosuke Yamazaki(KDDI Research) |
B-5-30 |
OTFS変調におけるZF線形フィルタ及びMessage Passingを用いた信号検出に関する一検討
◎大澤 昇・橋本典征・山崎浩輔(KDDI総合研究所) |
マルチキャリア伝送方式の信号点は,時間と周波数の2次元で規定される.本稿では,信号点に対してサブキャリアごとにタイミングオフセットを付与し, 信号点に使用されるフィルタ形状を一般化することで,厳しい2重選択性によるキャリア間干渉 (ICI) 及び符号間干渉 (ISI) の影響を低減する方式を検討する.
移動体通信では,遅延波によって引き起こされる周波数選択性と,ドップラー効果によって引き起こされる時間選択性が同時に発生する2重選択性環境が課題となる.本稿では,2重選択性環境下における無線通信方式として,送信側に差動トレリス符号化orthogonal frequency division multiplexing (DTC-OFDM),受信側に伝送路予測形のper-survivor processing多重遅延検波 (PSP-MDD) を適用する方式を提案する.
周波数選択性に対しては,複数のサブキャリアを用いるOFDM(orthogonal frequency division multiplexing)が有効である.しかし,同期検波OFDMは厳しい2重選択環境では,パイロット信号の挿入が頻繁になり,データ送信効率が低下する.本稿では,OFDMの時間選択性への耐性を高めるために,伝送路予測判定帰還多重遅延検波(DFMDD)を用いた差動OFDM(DOFDM)を提案する.
Recent studies on Orthogonal Time Frequency and Space (OTFS) modulation scheme have shown to outperform the conventional OFDM modulation scheme in high Doppler situations. Some channel estimation algorithms for OTFS have been proposed, but they are not practical or not efficient. We, therefore, consider a transmission scheme of the pilot symbols and the data symbols under the same noisy channel and at the same time.
OTFS変調はdelay-Doppler領域のリソースグリッドに情報シンボルを割り当てて伝送し,delay-Doppler領域にて信号検出を行うことでドップラー変動に対する補償を可能とする.Delay-Doppler領域における受信信号モデルはMIMOと同様に係数行列と情報シンボルベクトルとの積で表現され,Zero Forcing (ZF) 等の線形フィルタリングを用いることができる.一方,delay-Doppler領域における係数行列がスパース性を有することから,Message Passing (MP) をベースとした信号検出法が演算量削減の観点からも有効であると報告されている.本検討では,MPを用いたOTFSの信号検出において,情報シンボルの多値数が増加した際の信号検出性能を測定することを目的とし,初期検討としてドップラーの変動がない環境における QPSK及び16QAM使用時のBLER特性を計算器シミュレーションにより評価した.
3月17日 13:30〜17:30 総合科学部 K棟3F K314講義室 座長 久保博嗣(立命館大)
B-5-31 |
多素子MIMO-OFDMにおける余剰アンテナを活用したピークキャンセラの歪み補償の検討ーベクトル摂動プリコーディングを用いる場合への拡張ー
◎景山知哉・牟田 修(九大) |
B-5-32 |
クリッピング歪みをメトリックとしたトレリスシェイピングによるOFDM信号のPAPR低減
◎瀧澤 峻・落合秀樹(横浜国大) |
B-5-33 |
IF帯サブナイキストA-D変換された信号の受信非線形補償の検討
◎山田 翼・阿部友希・山尾 泰(電通大) |
B-5-34 |
メモリ非線形のモデル解析と受信後非線形補償効果の検討
◎伊藤弘樹・阿部友希・山尾 泰(電通大) |
B-5-35 |
異なるHPAモデルに対するHPA線形化システムの特性評価
◎△多田 陽・梅比良正弘・王 瀟岩(茨城大) |
多素子MIMO-OFDMでは, 送信信号のピーク電力対平均電力比(PAPR)の低減が課題となる. 著者等は帯域内歪みを許容値以下に抑えながらOFDM信号のピーク電力を抑圧する適応ピークキャンセラ(PC)と, 多素子MIMOの余剰アンテナを活用した帯域内歪み補償を提案した.
本稿では, [2] の方式をベクトル摂動プリコーディング(VP:Vector perturbation) を用いる場合に拡張する手法を提案する. 提案方式は, VP における摂動ベクトルを歪み補償信号に重畳することで適応PC による帯域内歪みと摂動ベクトルを同時に補償するものである.
直交周波数分割多重(OFDM:Orthogonal Frequency-Division Multiplexing)方式の高いピーク対平均電力比(PAPR:Peak-to-Average Power Ratio)を低減する手法の一つにトレリスシェイピング(TS:Trellis Shaping)がある.TSは,畳み込み符号のトレリス構造を利用することで送信系列を制御する手法であり, 高いPAPR低減性能を特徴としている.しかしその一方で,符号語探索時のメトリック計算に膨大な演算量が必要となる.そこで本稿では,低演算ながら高いPAPR低減性能を達成し得る新たなクリッピング歪みに基づく符号語探索メトリックを提案する.
ミリ波信号に対応した受信機を構成する際,高周波広帯域ミリ波信号を直接ベースバンドに直交周波数変換することは困難なため,中間周波数(IF)帯へ周波数変換し,IF帯でアナログ-ディジタル変換する構成が考えられるが,受信フロントエンドでの非線形歪の補償が課題である。本研究では,サブナイキスト標本化ブラインド受信非線形補償の技術を拡張し,IF帯を経由する信号についてIF標本化周波数の低減とこの場合に達成可能なEVM(Error Vector Magnitude)の検討を行った。その結果,最適な中間周波数と標本化周波数を選択することにより,標本化周波数を低減しつつ非線形補償の制度を高く保つことができると分かった。
増幅器の電力効率を高めるために送信信号電力を増幅器の最大出力電力に近づけると,非線形歪が生じる.第 5 世代移動通信システムでは信号の広帯域化が要求されるため,非線形歪へのメモリ効果の影響がより顕著になる.本研究では増幅器における非線形歪のメモリ効果をモデル化してその影響を解析するとともに,非線形歪と線形歪を分離して受信後に補償し,信号精度を改善する方法を検討した.まず非線形歪にメモリ効果が与える影響について述べ,次に受信非線形補償器に等化器を併用することでメモリ非線形効果を線形歪と非線形歪に分けて補償可能であることを示した.
ブロードバンド無線通信では周波数利用効率向上に加えて、HPA(High Power Amplifier)の電力利用効率向上が要求される。HPAを小さなOBO(Output Back-off)で使用すると、HPAの非線形特性により誤り率特性劣化やACLP(Adjacent Channel Leakage Power)の増大が問題となる。筆者らは、端末から送信される振幅参照信号を用いて基地局でHPA入出力特性を推定し、携帯端末のHPA線形化を行うHPA線形化システムを提案しているが、種々のHPA特性に対する評価が必要である[1]。本文では異なるHPA特性に対するHPA線形化システムの特性評価をした。
休 憩(15:00 再開) 座長 石原浩一(NTT)
B-5-36 |
コンスタレーションを用いた畳み込みニューラルネットワークによるSNR推定
◎浪江耀人・小島 駿・丸田一輝・安 昌俊(千葉大) |
B-5-37 |
スペクトログラムを用いた通信環境推定法によるスループット特性評価
◎△小島 駿・丸田一輝・安 昌俊(千葉大) |
B-5-38 |
分散パイロット配置及びRBF補間を用いたGRNNチャネル推定
◎赫 赫・大村高輝・丸田一輝・安 昌俊(千葉大) |
B-5-39 |
深層学習を用いた到来方向推定におけるDNN構成に関する検討
◎加瀬裕也・西村寿彦・大鐘武雄・小川恭孝(北大)・来山大祐・岸山祥久(NTTドコモ) |
B-5-40 |
共用周波数帯を利用した移動通信トラヒックオフロード:不完備トラヒック情報の代償
◎尹 博・山本高至・西尾理志・守倉正博(京大) |
スモールセル化,高周波数帯への移行そしてV2Xの台頭に伴い,無線通信環境は従来とは異なり多様化が進んでいる.
そのため,通信環境に関する様々なパラメータを推定し柔軟な適応変調を実現する手法が求められる.これまでに,著者等は電力スペクトル及びニューラルネットワークを用いたSNR及びドップラー周波数の同時推定手法を提案している.
新たなアプローチとして受信コンスタレーションを用いた同パラメータの推定手法を検討する.本稿では,まずSNR推定の可能性について報告する.
次世代の移動体無線通信において, 高速・大容量かつ低遅延な通信の実現のために適応変調符号化(AMC)等の適応的に制御を行う手法が広く研究されている. AMCでは制御のためにSNRやドップラーシフト等の送受信機間の通信環境情報が必要となり, 通常これらの情報は参照信号を利用することで取得する. しかしながら参照信号は伝送効率の低下やフィードバック遅延の要因となり, 通信性能の劣化を誘引してしまう. これまでに,受信スペクトログラムを用いた畳み込みニューラルネットワーク(CNN) によるSNR・ドップラーシフトの推定手法を提案した\cite{kojima}.これは参照信号を必要としない.本稿では,提案手法を用いたAMC適用時のスループット特性を明らかにする.
高速移動体通信において時間的に大きく変動するチャネル
を補償する方法としてニューラルネットワークを用いた手法
がこれまでに提案されている [1].この方法では教師信号と
して伝送フレーム前半部の判定帰還チャネル推定 (Decision
Feedback Channel Estimation, DFCE) 値を利用するが,
チャネル変動が激しい場合にはその精度が悪くなり,チャ
ネル予測性能の劣化につながる.この問題を解決するため,
本稿では同数の OFDM パイロットシンボルを前提として,
分散パイロット配置において放射基底関数 (Radial Basis
Function, RBF) により周波数補間されたチャネル推定値を
用いる手法を提案する.それらを一般回帰ニューラルネッ
トワーク (General Regression Neural Network, GRNN) の
教師信号として学習させ,チャネル補償性能の改善を図る.
電波の到来方向推定は,移動通信におけるユーザの位置推定や各種レーダなどに応用される技術である.これまで筆者らは,深層学習を用いた推定手法の検討を行ってきた.本稿では,層数,ユニット数の異なる複数のDNN (deep neural network) を訓練し,性能評価を行う.
移動通信トラヒックの増加への対策として,共用周波数帯や無免許周波数帯へのオフロードが効果的だと考えられる.専用周波数帯とは違って,共用周波数帯では,ある一つのオペレータが排他的に利用が不可能であり,意思決定を行う主体が複数に存在する特徴がある.また,トラヒック量は時間的に変動する一方,ある OP が必ずしも他 OP のトラヒック量を観測できないという特徴もある.この特徴は,ゲーム理論における不完備情報型確率ゲームによるモデル化が可能である.本研究では利得関数の実現可能領域に着目し,不完備トラヒック情報の代償を明らかにする.
休 憩(16:30 再開) 座長 石橋功至(電通大)
B-5-41 |
非直交パイロットを用いた大規模MIMO検出のためのBiGAMPにおける交互メッセージ初期化に関する一検討
◎伊藤賢太・高橋拓海(阪大)・衣斐信介(同志社大)・三瓶政一(阪大) |
B-5-42 |
準巡回符号の構成における中国剰余定理の利用と最小重みの評価
○江口広樹・山地大樹・松井 一(豊田工大) |
B-5-43 |
無線通信におけるSum-Productアルゴリズムを用いたPolar符号の逐次除去復号
◎荒木駿生・張 裕淵・府川和彦(東工大) |
B-5-44 |
遺伝的アルゴリズムに基づく多値変調に適したPolar符号の設計
◎松峯利樹・落合秀樹(横浜国大)・石井直人・神谷典史(NEC) |
本稿では,非直交パイロット系列を用いた上り回線の大規模マルチユーザMIMO (Multi-InputMulti-Output)信号検出を扱う.高精度な通信路推定の実現には,直交パイロット系列の利用が望ましいが,最大収容端末数Nの増加に伴うオーバーヘッドの増大が問題となる.一方,非直交パイロット系列を許容すると,通信路推定と後段の信号検出が劣決定問題となり,マルチユーザ検出性能が著しく低下する.この不都合を回避するため,確率伝搬法に基づく通信路とデータ系列の同時推定手法であるBiGAMP (Bilinear Generalized ApproximateMessage Passing) [1]に着目する.BiGAMPは初期値依存性が強く,極端に短いパイロット系列の利用は繰り返し収束特性 劣化を招く.そこで,適切な繰り返しタイミングで通信路とデータ系列の事後推定値を交互に初期化(リフレッシュ)し,局所的最適解への繰り返し収束を回避することで,信号検出精度の向上を図る.
本研究では誤り訂正符号の1つである準巡回符号について述べる.その中でも特にx^9+1の生成多項式行列の自己双対符号を求める.x^9+1の素因子の生成多項式行列を求め,x^9+1の生成多項式行列を全探索で求めた時との時間を比較する.また,素因子分解して得られたG_1,G_2,G_3 の最小重みとG の最小重みとの関係性について述べる.
Polar符号は, 5Gにおいて制御チャネルの誤り訂正符号として採用されており,注目を集めている.
本稿では,Polar符号の復号としてSC (Successive Cancellation)に着目し,SC復号器の入力となるLR (Likelihood Ratio) の精度を高めるため,SP (Sum-Product) アルゴリズムを用いてLRを更新することを提案する.具体的には,生成行列から凍結ビットを設定し,それを用いてパリティチェック行列を求め,このパリティチェック行列と受信ビットのLR にSPアルゴリズムを適用してLRを更新する.
OFDMの周波数選択性フェージング条件下でシミュレーションを行い,低SNR領域において,BER特性とPER特性を従来方式に較べて改善できることを明らかにする.
Polar符号は理論的に2元対称通信路の通信路容量を達成することが証明されているが,実際の特性は設計方法に大きく依存する.これまでに提案されてきたPolar符号の設計手法の中で代表的なものとして,密度発展法やそのガウス近似がよく知られている.これらは逐次除去(SC)復号の仮定の元で,Polar符号の性能を理論的に捉えることができる一方で,より強力な逐次除去リスト(SCL)復号や多値変調を用いた際の符号設計にそのまま適用できず,汎用性の面で課題を有する.そこで本稿では,これらに代わる手法として,遺伝的アルゴリズム(GenAlg)を用いたPolar符号の設計を検討する.遺伝的アルゴリズムのPolar符号の設計への応用は既に先行研究で提案されているが,これらの研究では,PSK変調を仮定し,特定の復号法に対する符号設計に主眼が置かれてきた.そこで本稿では,これらの内容を多値変調に拡張させ,GenAlgによるPolar符号の設計の有効性を示す.
3月18日 13:30〜17:15 総合科学部 K棟3F K313講義室 座長 田野 哲(岡山大)
B-5-45 |
干渉波部分空間の次元削減によるマルチユーザMassive MIMOヌル空間拡張法のSINR特性改善
◎舟木信貴・丸田一輝・安 昌俊(千葉大) |
B-5-46 |
未知干渉存在下におけるアップリンクマルチユーザMassive MIMOヌル空間拡張
○荒井 甲・丸田一輝・安 昌俊(千葉大) |
B-5-47 |
OAM多重伝送における偏波干渉の影響
◎伊藤有希・齋藤周平・菅沼碩文(早大)・小川賀代(日本女子大)・前原文明(早大) |
B-5-48 |
OAM-MIMO多重伝送技術を用いた28GHz帯屋外伝送実験評価
○笹木裕文・八木康徳・山田貴之・李 斗煥・清水敬司(NTT) |
B-5-49 |
LTEシステムにおける中央値変動を考慮したASPF-MIMOの評価
◎小竹啓輝・服部 武・小川将克(上智大) |
マルチユーザMIMO システムにおいてチャネル情報(CSI)を用いてビームとヌルの形成行う場合,ユーザの移動およびCSI の推定誤差によりヌルの方向に誤差が生じ,これによりユーザ間干渉(IUI)が引き起こされることが問題となる.これに対して,Massive MIMO の特徴である自由度の高さを利用してヌル空間を拡張することでIUI を低減する手法が提案されているが,ヌル空間の拡張により希望信号電力が低下するという問題がある.本稿では拡張した干渉波部分空間に対して主成分を抽出することでヌル空間の次元を適切に選択する手法を提案する.これによりIUI を低減しつつ希望信号電力の低下の抑制を図る.
近年, 周波数利用効率の向上を目的としてMU-MIMOの利用検討が進められている. MU-MIMOシステムでは基地局側でユーザのチャネル情報に基づきビームフォーミングを行うため,ユーザが移動するようなチャネル時変動環境下においては正しいビームが形成できないという課題がある.この課題を解決する手法として過去の推定チャネルを利用するヌル空間拡張法が提案されている.しかし,アップリンク回線において未知の同一チャネル干渉が存在する場合正しくチャネルが推定が出来ず,性能が劣化してしまうという問題が生じる.本研究では,未知の干渉信号を除去するSMI法とヌル空間拡張法を利用することで,未知干渉が存在するチャネル時変動環境下において干渉を抑圧する手法を提案する.
OAM伝送では,モード多重に加えて偏波多重が可能となることから,さらなる大容量化が期待できる.一般に,偏波多重を適用する場合,アンテナ指向性に起因して異なる偏波からのストリーム間干渉が生じることから,その影響の評価は,多重効果を把握する上で重要と考えられる.これまでに,OAM伝送を対象とした偏波干渉の影響については,単一モードを想定した評価に留まっており,複数のモードから構成されるOAM多重伝送を対象とした特性評価は見当たらない.そこで,本稿では,OAM多重伝送を取り上げ,指向性アンテナとしてダイポールアンテナを想定したときの偏波干渉の影響を偏波面及びOAMモードの観点から解析・評価する.
テラビット級無線伝送の実現に向け,電磁波の軌道角運動量(OAM: Orbital Angular Momentum) の直交性とMIMOデジタル信号処理を効果的に組み合わせたOAM-MIMO 多重伝送技術を提案してきた.本報告では,28GHz 帯屋外伝送実験によりOAM-MIMO多重伝送技術の有効性を確認したので報告する.
システム全体の通信容量を向上させつつ,システムエリア内のUE(User Equipment)の得る通信容量を公平にするスケジューリング方式としてASPF-MIMO(Advanced Stochastic Proportional Fair for Multiple-Input Multiple-Output)を提案した.これまでの提案では,実際の伝搬環境下で起こる中央値変動の影響を考慮せずに提案方式の評価を行った.そこで本稿では,中央値変動を考慮したモデル下でシミュレーションを行い,提案方式の有効性を明らかにする.
休 憩(15:00 再開) 座長 岡本英二(名工大)
B-5-50 |
5G高度化に向けた電力効率を向上するミリ波ネットワークの検討
○浅野弘明・奥田雅久・志水紀之・中川洋一(パナソニック) |
B-5-51 |
複数端末移動時におけるミリ波帯基地局連携技術の特性評価
奥山達樹・○須山 聡・野中信秀・奥村幸彦・浅井孝浩(NTTドコモ) |
B-5-52 |
デジタルビームフォーミングを用いたミリ波帯基地局連携技術の屋外伝送実験
○奥山達樹・須山 聡・野中信秀・奥村幸彦・浅井孝浩(NTTドコモ) |
B-5-53 |
ローカル5Gにおける送信電力制御方法
○村山大輔・石原浩一・河村憲一・中山章太・守山貴庸(NTT) |
今後、増々増加するモバイルトラフィックへの対応やローカル5Gで期待される様々な用途に応じて、ミリ波帯を幅広く活用することが期待されているが、電力効率が低い課題がある。ミリ波を幅広く利用するためには、電力効率を改善することは非常に重要な取組となる。筆者らは、5G高度化に向けて、ミリ波の広帯域性を活かすシステムとして スマートシティなどでのモビリティ収容やローカル5Gでの工場などでの用途などを対象に、ミリ波を用いたマルチホップネットワークの検討を始めており、検討する技術と目標について紹介する。
5Gのさらなる発展に向けては,28 GHzといった高SHF帯等を用いた高速通信が,高速鉄道などの高速移動環境においても安定して提供されることが求められ,時速150 kmや時速300 kmの高速移動体に対するビーム追従性能評価の実験が行われている.これらでは,1 Gbps以上のスループットを達成しているが,複数基地局(BS: Base Station)の連携による一層高いスループットを広いエリアにおいて安定して実現するために,弊社では高速移動体向けミリ波帯基地局連携技術の研究開発を総務省からの委託を受けて推進している.本稿では,BS間の連携として,一つのベースバンド処理装置(BBU: Baseband Unit)に接続された複数の超多素子アンテナ間を協調させる場合(Intra-BBU)と,同一のセル間協調制御装置(CU: Central Unit)に接続された複数BBU間を協調動作させる場合(Inter-BBU)のそれぞれの特徴を述べた上で,計算機シミュレーションにより4端末が存在する環境でのスループットを明らかにする.
5Gのさらなる発展に向けては,28 GHz等の高SHF帯を用いた高速通信が,高速鉄道などの高速移動環境においても安定して提供されることが求められるため,筆者らは時速約100 km以上の高速移動環境においてアナログビームフォーミング(BF: Beamforming)の追従性能を検証する実験を行ってきた.将来的には,複数端末(MS: Mobile Station)に対して複数基地局(BS: Base Station)が連携してビームを生成・制御し,より安定した通信サービスを提供するため,デジタル信号処理によるプリコーディングやBFが必要になる.本稿では,高速移動体に追従するビーム制御技術および同一のセル間協調制御装置に接続された複数のベースバンド処理装置を協調制御するセル間協調制御技術を実環境で検証するため,デジタルBFに対応した実験装置を開発し,屋外環境でMSが歩行速度で移動する場合のスループットを測定したので,その結果を報告する.
ローカル5G では運用者ごとに免許を与えて,それぞれが独立したシステムを運用する.システム間の干渉を抑えて,有効にシステムを活用するために,エリアセンサを用いた,ビームごとの送信電力制御方法を提案する.
休 憩(16:15 再開) 座長 丸田一輝(千葉大)
B-5-54 |
チャネル対称性を用いた線形プリコーディングにおけるチャネル推定誤差の影響に関する一検討
◎濱 優人・来山大祐・宮地健介(NTTドコモ) |
B-5-55 |
圧縮センシングを用いた広帯域FDD下り回線チャネル推定の検討
○登坂紫織・小川恭孝・西村寿彦・大鐘武雄・萩原淳一郎(北大) |
B-5-56 |
カルマンフィルタに基づくスパースチャネル推定を用いたOFDM逐次受信機
○菊地陽介・府川和彦・張 裕淵(東工大) |
B-5-57 |
グラントフリーmMTCにおける物理層秘匿性を有するユーザ検出及びチャネル推定手法の一検討
○岡本英二・枡田佳大(名工大)・山本哲矢(パナソニック) |
第5世代移動体通信システム(5G)においては,基地局で多数のアンテナ素子を搭載したmassive MIMOシステムを用いてビームフォーミングを適用することで,高周波数帯の利用に伴う伝搬損失を補償する.特にTDDにおいては,上り(UL)と下り(DL)の伝搬路に対称性が成り立つことを利用し,ULの参照信号からDLのプリコーディングで用いるCSIを推定することで,ディジタルビームフォーミングの適用が可能である.しかしながら実際には,パイロット汚染によるチャネル推定誤差や上下チャネルでの対称性の不成立から,結果的にDLの実伝搬チャネルとは異なるCSIに基づきプリコーディングを行うケースが想定される.そこで本稿では,線形プリコーディングにおいて,チャネル推定誤差がDLのビット誤り率(BER)に与える影響を解析し,計算機シミュレーション結果とともに示す.
FDDにおいては,下り回線のパイロット信号によって得られるチャネル情報を端末から基地局にフィードバックすることで下り回線チャネルを推定する.
しかし,大規模MIMOシステムのようにアンテナ数が多くなると伝送効率が著しく低下してしまうため,FDDの適用は難しい問題とされている.
筆者らは,上り回線のチャネルから遅延領域において各マルチパスの複素振幅を求め,それを用いて下り回線チャネルを推定する手法を提案した.この方法はマルチパスの間隔が比較的広い環境で良好な特性を示している.本稿では,より現実に近いマルチパス環境を想定してシミュレーションを行い,その特性の評価を行う.
移動通信において,ドップラ変動が相対的に速く,かつ遅延波の数が少ないスパースチャネルの場合,従来のチャネル推定では十分な推定精度が得られず,伝送特性が大幅に劣化するという問題がある.この問題を解決するため,本報告は連続パイロットOFDMに着目し,その逐次受信処理のi)初回チャネル推定とii)軟判定信号を用いる判定指向形チャネル推定に,スパースチャネル推定法であるFISTAへの拡張アルゴリズムを導入する.具体的には,インパルス応答の一次時間微分も合わせて推定するカルマンフィルタを考え,それをFISTAへ拡張する.ARIB STD-B33準拠の計算機シミュレーションを行い,提案法が従来の最小二乗法やFISTAよりも推定精度とBER特性を大幅に改善できることを示す.
多数のInternet of things(IoT)端末などを収容するmassive machine type communications(mMTC)シナリオを実現する手法として,非直交多元接続手法が提案されている.我々はその一つとして共通鍵暗号方式に基づいた物理層秘匿性を有する電波暗号化即時送信型非直交多元接続手法(grant-free sparse chaos code multiple access: GF-SCCMA)を検討している.しかしこれまでの検討では上りリンクにおいて受信側基地局でのユーザ検出とチャネル推定が完全であることを仮定していた.実際にはユーザ端末からのプリアンブル送信によってこれらの情報を得る必要があるため,本稿では,GF-SCCMAが鍵信号を送受信側で共有していることを利用した物理層秘匿性を有するユーザ検出及びチャネル推定手法を提案し,計算機シミュレーションによりその特性を評価する.
3月18日 13:30〜17:30 総合科学部 K棟3F K314講義室 座長 山本哲矢(パナソニック)
B-5-58 |
多様なサービス要求に応じた高信頼な高度5Gネットワーク制御技術の研究開発
○新保宏之・岸 洋司(KDDI総合研究所)・横山浩之(ATR)・石橋功至(電通大)・藤井義巳(構造計画研)・中沢正隆(東北大)・外山隆之(パナソニック) |
B-5-59 |
多様なサービス品質を満足する適応型RANアーキテクチャ
○難波 忍・平山晴久・塚本 優・西村公佐・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-5-60 |
ミリ波帯の遮蔽影響予測に対応した5Gナノエリア基地局の基礎的検討
○村上隆秀・三原翔一郎・伊藤智史・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-5-61 |
ナノエリア遮蔽予測に向けた奥行き方向を含む物体移動予測手法
◎三原翔一郎・伊藤智史・村上隆秀・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-5-62 |
画像情報を用いたナノエリア遮蔽影響予測の計算量削減の検討
◎伊藤智史・三原翔一郎・村上隆秀・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-5-63 |
5G高度化に向けた多様なサービス品質を考慮したフロー制御方式の検討
○玉井森彦・長谷川晃朗・横山浩之(ATR) |
B-5-64 |
ナノエリア環境のための新たな無線アクセスアーキテクチャ
○石橋功至(電通大) |
B-5-65 |
5G高度化のための不完全通信路推定と確率的遮蔽を考慮した複数基地局連携ロバストビームフォーミングに関する一検討
◎岡部 亮・石橋功至(電通大) |
今後,2025年頃を想定すると,5Gシステムへのユーザからの要求は大きくなり,高度化が必要になると考えられる.高度化として,「大容量かつ低遅延」のように複数の特性を持つ,多数かつ多様な通信サービスが同時に発生し,かつ1端末が複数の通信サービスを利用する状況で,個々の通信フローへの品質要求を満たすことで高信頼に提供することが考えられる.筆者らは,多様な通信サービスを高信頼に提供するために必要となる,高度5Gシステムにおけるネットワーク制御技術の研究開発を2019年度から開始した.本稿ではその概要について紹介する.
2025年ごろの5G成熟期には,単なる大容量化にとどまらず,大容量,超低遅延,超多接続を組み合わせたサービスを高信頼に実現する必要がある.そのためには,①ミリ波の活用,②サービスやトラヒックに応じたRANの適用制御,③フローレベルでのトラヒック管理が重要な検討課題である.本稿では,これら検討課題を解決するためにマクロセル内のスモールセルやミリ波のナノセルが混在する環境下で,超大容量,超低遅延,超多接続などを組み合わせた複数のサービス品質要求を満足する適応型RANのアーキテクチャの一案を紹介する.
5Gシステムの更なる高度化に向けた研究開発では,通信システムの多様化が進むことを想定し,適応型RANシステム基盤にて従来よりも通信端末が密集してトラフィックが増大する環境で多様な通信サービスが要求する品質を確保することを目標としている.トラフィックの増大と通信品質の確保に対応するためには,広い周波数帯を確保できるミリ波帯の更なる活用が求められる.しかし,ミリ波帯の電波は従来から用いられる6GHz以下の電波と比べて直進性が高い伝搬特性を有し,人や物体による遮蔽の影響を受けやすい.そこで筆者らは深度カメラやLiDAR等のセンサによる無線以外の情報を用いた遮蔽予測を適用したミリ波帯基地局を検討している.本稿では遮蔽予測の実現に向けた課題と,遮蔽予測に対応する基地局について述べる.
第5世代移動通信システムで用いられるミリ波帯の電波は減衰しやすく回折が起きにくいため, 通信路を物体に遮蔽されると急激に受信強度が低下するという問題がある. そこで我々は, 移動物体に起因する遮蔽による突然の無線リンク断をカメラの映像から予測することで, 事前に通信路を切り替えて通信品質を保つ通信制御方式を検討している. 本検討では, 通信路の遮蔽予測のための物体移動予測を実時間に処理することを目的として, 画素単位の三次元の動き情報(シーンフロー)に基づく深度方向を含む物体移動予測手法を提案する.
複数のミリ波帯基地局を用いて,遮蔽による回線断を画像情報から予測し事前に接続基地局を切り替える手法を検討しており,物体による遮蔽影響を正確に予測する手法が必要となる.従来手法として,屋内環境でCNNを使った遮蔽影響予測手法が提案されているが,想定する屋外ナノエリアは最大50m程度の通信距離となることから,従来手法の適用可否の見極めが必要となる.また,通信距離が広がると同一画角に対する遮蔽物の割合は小さくなるため,解像度が低いと屋外遠方の遮蔽物を表す画素数が減少して予測精度が低下することが予想される.一方で,解像度を高くすると計算時間が増えるため,適切な画像の縮小が必要となる.本稿では,手法の基礎検討として,入力画像の縮小率に対する計算時間とスループット予測の精度の関係についての実験結果を報告する.
5Gでは,スマートフォン,センサ,ロボット,スマートカーなどの様々なデバイスがネットワークに接続されることから,多様なQoS要求を持つアプリケーションのトラフィックを収容することが求められる.QoS要求の多様化の一つの形態として,本稿では,一つのアプリケーションが本質的にQoS要求の異なる複数のフローから構成される場合を想定し,各フローに対し個別に無線リソースを割り当てることで,一定水準の視聴品質を満足可能なユーザ数を向上するフロー制御方式について基礎検討を行った結果を報告する.
第5世代移動体通信(5G)の高度化のためには,変動する環境・通信要求に適応的に対応可能な新たな無線アクセスアーキテクチャが必要と考えられる.本論文では、通信サービスの高信頼性を担保しつつ,高速・低遅延・多接続といった要求の組み合わせに柔軟に対応できる新たな無線アーキテクチャを提案し,それを支える2つの基礎技術を紹介する.
第5世代移動体通信(5G)の高度化のためには、ミリ波を含む高周波数帯の活用が必要不可欠である.
しかし,高周波数帯における通信では,車や人体などの遮蔽による損失によって,通信の安定性が著しく影響を受ける.
また,アンテナ素子数の増加に伴い,通信路推定に要する時間が無視できないほど増大してしまう.
このため,通信路推定に要するオーバーヘッドを抑圧する様々な手法が提案されているが,推定精度のある程度の劣化は避けることができない.
本稿では,遮蔽と不完全通信路推定の両者を考慮したロバストビームフォーミング技術を提案し,不完全通信路推定のみを考慮した既存方式と比較して,システムの要求を高確率で達成可能であることを,計算機シミュレーションによって示す.
休 憩(15:45 再開) 座長 吉野 仁(ソフトバンク)
B-5-66 |
5G高度化ワイヤレスアクセス実現に向けたミリ波ビームフォーミングの基礎評価
○家 哲也・津田顕祐・藤井義巳(構造計画研) |
B-5-67 |
5G高度化超高密度RANにおける干渉と無線リソースの適応制御
○安達文幸・高橋 領・松尾英範(東北大) |
B-5-68 |
適応型RANにおける光・無線統合制御のための基礎検討
○関 裕太・外山隆行(パナソニック) |
B-5-69 |
5G高度化に向けたモバイルフロントホールの光・無線協調動作に関する提案
○中沢正隆・葛西恵介・吉田真人・廣岡俊彦・岩月勝美(東北大) |
B-5-70 |
5G高度化適応型RANにおける基地局機能配置手法の基礎検討
◎塚本 優・平山晴久・難波 忍・ムン スンイル・西村公佐・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-5-71 |
適応型RANにおける多様なサービスの品質保証のための無線リソース割当手法
○平山晴久・塚本 優・難波 忍・西村公佐・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-5-72 |
Ensemble Learning Method-based Slice Admission Control Module for Adaptive RAN
○SEUNGIL MOON・Haruhisa HIRAYAMA・Yu TSUKAMOTO・Shinobu NANBA・Kosuke NISHIMURA・Hiroyuki SHINBO(KDDI Research) |
5G高度化時代に利用検討されているミリ波帯においては、多素子アンテナを用いたビームフォーミング技術により、伝搬ロスを補償するとともに、空間領域での多重化による高効率な多重伝送が期待されている。今回、28GHz帯において、いくつかの手法を用いて実際のデバイスの特性を考慮したビームフォーミングのシミュレーションを行った。本発表ではその結果を報告する。
第5世代移動通信(5G)システムの導入後も増加し続けるモバイルデータトラフィックを収容するためには無線アクセスネットワーク(RAN)の更なる大容量化が求められる.このためにRANを超高密度化すると,深刻な干渉問題が発生する.本稿では,5G高度化超高密度RANにおける干渉と無線リソースの適応制御について述べている.
5G導入後も通信トラヒックの増大への対応と共に,多様なサービスへの品質要求に応えることが求められる.膨大な通信トラヒックが時間的・空間的に動的に変化する環境において各サービスに求められる通信品質を確保する技術が重要になると考えられる.その要求に対して,筆者らは,適応型RAN (Radio Access Network)技術を研究開発している.適応型RANでは,基地局機能を集中局舎と分散局舎に適応的に配置し,両局舎間を光フロントホール(FH)で接続する.本稿では,適応型RANおよび光FHの伝送効率を向上する 光・無線統合制御の原理について述べ,シミュレーションにより光FHにおける残留信号歪みがスループット性能へ与える影響を評価した.
モバイルデータトラヒックが現在の5倍となった環境下でも、通信への品質要求を95 %以上満たす高信頼な適応型RANの研究が進められている。このようなRANを実現するため、我々は多値度・FEC冗長度可変デジタルコヒーレント光伝送技術を用いた大容量・高効率モバイルフロントホールの研究に取り組んでいる。本研究では光データ信号の多値度と誤り訂正符号(FEC)の冗長度及び多重化方式(TDMまたはWDM)を可変し、サービス毎に伝送容量と遅延量を適応制御する。また、光・無線統合の符号化効率(MCS)制御技術を確立することにより、一般的なデジタルコヒーレント光伝送において問題となる信号処理遅延時間の削減を目指す。今回、光・無線統合MCS制御方式に関して基礎検討を行ったので報告する。
2025年ごろの5G高度化時代には,大容量,超低遅延,超多接続など,通信サービスの品質要求が多様化することが想定される.これらの品質要件を満足するため,著者らは仮想化技術を用いて,基地局の機能を通信サービスに応じて適応的に配置する適応型RAN(Radio Access Network)を提案している.本稿では,最適な基地局機能配置を決定する線形計画法の定式化について報告する
5Gの多様化するサービスの品質要求を満たすため,筆者らは適応型RAN (Radio Access Network)を提案している.適応型RANではサービス要件やトラヒック変動などに応じて,仮想化された基地局機能である複数のCU/DU (Central Unit/Distributed Unit)の配置を適応的に変更する.また,RU (Radio Unit)の無線リソースを効率的に利用するために,単一のRUに複数のDUが接続される構成である.DUはそれぞれ物理的な配置が異なるため,DUと接続された制御機能である RANコーディネータを用いてDUへのリソースの割り当てを行う.無線品質が変動する環境でサービスの品質要求を満たしつつ,効率的にリソースを割り当てることが課題である.本稿では,端末から基地局に通知される無線品質の情報を用いて,統計的にDUの必要無線リソースを見積もり,割当を行う手法を提案する.
In advanced 5G system, to serve the communication services, we have proposed an adaptive Radio Access Network (RAN) system. In the adaptive RAN, an efficient slice admission control (SAC) scheme for RAN slices with machine learning (ML) is required. Recently, research on applying ML for efficient slice resource management and SAC in 5G RAN slicing environments has been discussed. But the existing Deep Reinforcement Learning approach takes too long training time. In this paper, we propose an ensemble learning method (ELM)-based SAC module to reduce learning time and improve performance for adaptive RAN.
3月20日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟3F K313講義室 座長 眞田幸俊(慶大)
B-5-73 |
マルチユーザMIMOシステムの空間相関存在下における特性評価
○前田昇吾・松江英明(諏訪東京理科大) |
B-5-74 |
Massive MIMOにおける低演算量ユーザ間干渉抑圧方式の特性改善
○向井和輝・丸田一輝(千葉大)・牟田 修(九大)・安 昌俊(千葉大) |
B-5-75 |
大規模マルチユーザMIMOのための最適ビーム選択に基づく直交パイロット割当に関する一検討
◎越智雄市・高橋拓海(阪大)・衣斐信介(同志社大)・三瓶政一(阪大) |
B-5-76 |
過負荷Wireless MIMO Switchingにおける4アンテナ中継局を介した5端末間の安全な情報交換の最適送信順序
◎高橋 新・田久 修・藤原洋志(信州大)・藤井威生(電通大)・大槻知明(慶大) |
次世代移動体通信システムの通信容量増大に向けたキー技術としてマルチユーザ MIMO技術[1]が検討されている。今回,マルチユーザMIMOシステムにおいて伝搬路に空間相関が存在する場合の特性評価を行ったので報告する。
近年,5Gの実現に向けてMassive MIMOシステムが検討されているが,これらのシステムにおけるウェイト算出に要する演算量は一般に,送信アンテナ数Ntと受信アンテナ数Nrの 2 乗の積O(NtNr^2) であり,Nt>100,Nr>10の規模を考えると従来のMIMOと比較して複雑である.これまでにMassive MIMO伝送における膨大なアンテナ自由度を利用して,最大比送信 (Maximal Ratio Transmission, MRT)や等利得送信(Equal Gain Transmission, EGT)のような簡易なプリコーディング方式にユーザ間干渉(IUI)抑圧の成分を重畳することで,低演算で実現可能なプリコーディング方式が提案されている.本稿では,従来方式と同等の演算で優れた干渉抑圧性能を実現可能なウェイト算出法を提案する.
近年,無線端末数の増加に伴い上り回線大規模マルチユーザMIMOが注目を集めている.上り回線シナリオでは高精度の通信路推定を行うことが望ましいが,直交パイロットによる通信路推定を仮定すると,オーバーヘッドの増大により伝送効率の低下を招く.しかし,受信ビームフォーミングを前提とした場合には,受信信号の角度広がりに応じてビーム領域通信路に疑似的なスパース性が生じる.そこで本研究では,このスパース性を利用しユーザ端末間の直交性を保ったままパイロット長を削減する手法を提案する.
本稿では,数理最適化を用いて中継局のアンテナ数が2本,端末数が3個における情報交換法の送信順序を検討している.離散最適問題の1つであるビンパッキング問題による数理最適化を用いることで効率よく通信を行うスケジュール決定をすることが可能になった.
休 憩(11:00 再開) 座長 田久 修(信州大)
B-5-77 |
Matched Filter-PICとMMSE法を併用したMIMO空間多重における低演算信号検出法の検討
◎枡川健太郎・濱 優人・落合秀樹(横浜国大) |
B-5-78 |
MIMO-NOMAにおけるQRM-MLDによる信号検出
◎大川貴之・張 裕淵・府川和彦(東工大) |
B-5-79 |
近似メッセージ伝搬法による少数信号検出の一検討
◎辻本若葉・西村寿彦・大鐘武雄・小川恭孝・萩原淳一郎(北大) |
B-5-80 |
GibbsサンプリングターボMIMO復調における尤度ベースメトリック
○小林佑太郎・眞田幸俊(慶大) |
B-5-81 |
MIMOシステムのためのMMSE法を用いた基底格子縮小における軟判定復号
◎柏原光希・田野 哲・侯 亜飛(岡山大) |
限られた周波数資源を効率的に利用しつつ,大容量通信を実現する MIMO(Multiple-Input Multiple-Output) 空間多重システムでは,受信機で信号を分離する信号検出が重要な要素の一つ である.誤り率特性においては,最尤検出法 (MLD:Maximum Likelihood Detection) が最適な手法として知られているが, MLD は送信アンテナ数が増加した際に計算量が膨大となる. 線形フィルタを用いた信号検出法は MLD に比べて誤り率特 性が劣化する一方で,低演算量で実現することが可能である. 本稿では,線形フィルタを用いた手法の中でも特に計算量の低 い Matched Filter 検出法 (MF) と代表的な線形フィルタであ る MMSE(Minimum Mean Square Error) 検出法を併用した システムを提案し,計算量を抑えつつ最適に近い誤り率特性 を実現可能なことを示す
増大する通信トラフィックに対応するため,次世代移動通信において, MIMO と非直交多元接続( NOMA )を組み合わせた MIMO-NOMA の導入が検討されている [1] .しかしながら, MIMO の送受信アンテナ数と NOMA の多重ユーザ数の増加に伴い,最適信号検出の演算量は指数関数的に増加するという問題がある.従来の NOMA は,逐次干渉除去( SIC )によって計算量を抑えながら,信号検出を行っていた.一方, MIMO の信号検出では,最適信号検出である最尤検出( MLD )並びに線形受信である MMSE によるデータストリーム分離がよく知られている.本稿では, i) MLD , ii) MMSE と SIC との縦続構成, iii) チャネル行列の QR 分解と MLD の組み合わせである QR-MLD ,さらに iv) QR-MLD に M アルゴリズムを導入した QRM-MLD [2] について検討する.計算機シミュレーションにより,各種信号検出の平均ビット誤り率( BER )特性を明らかにする.
圧縮センシングの分野で提案された近似メッセージ伝搬法(AMP)はMIMO 信号検出に利用可能であり,比較的低演算量で高い検出性能を実現することが報告されている.ただし,AMP アルゴリズムは大システム極限が成立する,かつ,観測行列の各要素が独立同一なガウス分布に従う場合に適用可能であり,送受信アンテナ数が小さい場合やアンテナ間に相関がある場合には性能を保障しない.筆者らは空間相関がある場合の適用について検討し,観測率を定数倍することが有効であることを明らかにした.そこで本稿では送受信アンテナ数が小さい場合での適用について検討を行う.
本研究では, turbo復号器からフィードバックされた尤度比のみを用いて行うGS MIMO復調方式を提案する. EXITチャートを用いた分析より, 推定送信信号列と実際の送信信号の間の相互情報量が増加するとEXITカーブが重なることが明らかになった. そこで, 受信信号を用いたGS MIMO復調を初回のみとし, 以後のMIMO復調ではフィードバックされたLLRのみを元としてGSアルゴリズムの選択確率を計算する.
シミュレーション結果より, 従来法と提案法はほぼ同等の誤り率特性を示すことが明らかになった.
無線通信のさらなる高速化を目指して,MIMOシステムのためのMMSE法を用いた基底格子縮小における軟判定復号についての研究を行った.本論文では,計算機シミュレーションを用いて,軟判定処理を行うことでのBER特性の改善の評価を行った.
3月20日 13:30〜17:30 総合科学部 K棟3F K313講義室 座長 菅野一生(KDDI総合研究所)
B-5-82 |
A Database-Aided Digital Cancellation for Full-Duplex Wireless Communication Systems
○Ou Zhao・Wei-Shun Liao・Keren Li・Takeshi Matsumura・Fumihide Kojima・Hiroshi Harada(NICT) |
B-5-83 |
Preliminary Evaluation on Performance of Self-Interference Cancellation Using Adaptive Filter for In-Band Full-Duplex Wireless Systems
○Wei-Shun Liao・Ou Zhao・Keren Li・Takeshi Matsumura・Fumihide Kojima・Hiroshi Harada(NICT) |
B-5-84 |
シンボル間欠送信を行う干渉キャンセラ方式における干渉中心周波数推定法
◎酒井 学・富塚浩志・佐野裕康・有賀 博(三菱電機) |
B-5-85 |
接続可能な完全相補系列系を用いた周期畳み込み直交多重接続システム
◎△高橋 竜・韓 承鎬(電通大) |
B-5-86 |
接続可能な完全相補系列系を用いたCCC-CDMAシステムとその性能評価
◎水由 光・韓 承鎬(電通大) |
In uni-directional in-band full-duplex (FD) systems, since self-interference (SI) at BS is very strong compared to the received desired signals, more efficient cancellation approaches need to be considered. To achieve a significant suppression to SI and enable the FD transmissions in cellular systems, we propose a database-aided digital cancellation (DC) and evaluate it using antenna and analog cancellations (AAC).
In beyond 5G wireless systems, high throughput and low latency are promising requirements, and the in-band full-duplex (FD) transmission is one of the possible solutions. However, to realize the FD systems, self-interference (SI) is a major problem which degrades the system performance. In this study, we propose an adaptive filter-based SI cancellation scheme and evaluate its performance.
限られた電波資源を有効利用するために,複数のシステムを同一周波数帯にて運用する場合,システム間の干渉軽減・回避を行う周波数共用技術が必須である.その一つに,シンボル間欠送信を行う干渉キャンセラ方式がある.本手法は,他システムからの干渉がどの周波数帯域に存在しているかを正確に推定することで,干渉除去性能が向上する.そこで本稿では,干渉中心周波数推定法を提案し,計算機シミュレーションにより提案法の有効性を示す.
従来のCS (Convolutional Spreading) CDMA (Code Division Multiple Access)方式ではDS (Direct Spreading) CDMAと比較してICI (Inter Channel Interference)がないため周波数利用効率が高い。しかしながら送信信号を畳み込みにより拡散するため、高演算量となる。これに対して接続可能な完全相補系列系(CCCC: Concatenative Complete Complementary Codes)を拡散系列として用いることで、高速フーリエ変換を用いた畳み込み演算の高速化を実現することができる。しかしながら等化において、大きな行列の逆行列を求める必要がある。本稿では畳み込みを周期畳み込みに変更することにより、等化における演算量の削減について検討を行う。また計算機シミュレーションによって、等化方法の違いによってBER (Bit Error Rate)の差を示す。
従来のCS (Convolutional Spreading) CDMA (Code Division Multiple Access) 方式はICI (Inter-Channel Interference)-freeな一方で,CSによる高演算量が欠点である.これに対しCS-CDMAに接続可能な完全相補系列系 (CCCC: Concatenative Complete Complementary Codes) を用いて,FFT (Fast Fourier Transform) またはFWHT (Fast Walsh Hadamard Transform) に基づくCSを行うことで,送信器の高演算量問題を根本的に解決できる.本稿では,今まで不明瞭であった高速変換に基づいた逆拡散を包含した,CCC-CDMAシステムを提案し,その性能評価を行う.
休 憩(15:00 再開) 座長 大関武雄(KDDI総合研究所)
B-5-87 |
端末高密度/遮蔽環境での高周波数帯分散アンテナシステムの一検討
○内田大誠・岩國辰彦・黄 俊翔・和井秀樹・北 直樹・鷹取泰司・鬼沢 武(NTT)・岸山祥久・永田 聡・須山 聡・坪井 淳・浅井孝浩(NTTドコモ) |
B-5-88 |
高周波数帯高密度設置アンテナ環境における干渉特性評価
◎岩國辰彦・内田大誠・和井秀樹・黄 俊翔・北 直樹・鬼沢 武(NTT) |
B-5-89 |
端末連携MIMO受信におけるレプリカ信頼度を用いた端末選択の一検討
◎笠井万平・村田英一(京大)・中平俊朗・石原浩一・守山貴庸(NTT) |
B-5-90 |
Study of Estimated SINR Based Terminal Selection in Terminal Collaborated MIMO Reception
◎Fengning Du・Hidekazu Murata(Kyoto Univ.)・Toshiro Nakahira・Koichi Ishihara・Takatsune Moriyama(NTT) |
近年、AR/VR、高精細映像データの普及から、無線通信の更なる大容量化が求められており、1GHz以上の伝送帯域が確保可能なミリ波対以上の高周波数帯の活用が注目されている。高周波数帯はシャドウイング損失が大きいため、見通し通信が前提であり、移動端末を収容するために分散アンテナシステムが有効である。本稿では、端末高密度、遮蔽環境における本システムのシステム設計例、技術課題を考察した結果を報告する。
近年の無線通信の需要拡大に伴い,広帯域を利用可能な更なる高周波数帯利用の検討が進められている.高周波数帯では,距離減衰等により伝送距離が制限される.また,限られた周波数資源を有効活用するために,なるべく端末の近くまでは他のエントランス回線を利用し端末の近くで初めてその周波数を利用することにより周波数の繰り返し利用を図ることが好ましい.この観点から,著者らは従来に比して高密度にアンテナを配置することを提案している.本稿ではその基礎検討として,高周波数帯において基地局アンテナを高密度に配置した際の干渉特性をアンテナ条件と信号対干渉雑音電力比(CINR)特性の関係で評価したのでその結果を報告する.
移動端末同士が基地局からの受信信号を共有して復調を行う端末連携MIMO受信では,等価的にアンテナ数を増大させ仮想的なMIMO伝送を実現し,周波数利用効率の向上が期待できる.そこで多数の移動端末から連携する端末群を選択する手法が研究されている.本稿では,繰り返し等化処理におけるレプリカ信頼度を用いた選択手法の検討する.レプリカ信頼度として繰り返し等化の尤度などの利用を考える.屋外伝送実験にて記録した受信信号を用いて算出したBERのCDF特性に基づく評価において,従来のチャネル行列に基づいた選択手法と比較することで,信号処理部との連携による端末選択の特性改善の可能性を示す.
Terminal collaborated MIMO reception is a form of distributed MIMO transmission, in which a base station transmits multiple signal streams to a virtual terminal with lots of receive antennas. This virtual terminal consists of multiple mobile stations. It is better to choose a small subset of MSs for inter-terminal collaboration. Currently, a single selected subset of MSs are used for demodulation of all streams have been examined. This paper studies the performance of MS selection schemes that select a subset for each stream independently.
休 憩(16:30 再開) 座長 酒井 学(三菱電機)
B-5-91 |
マルチホップネットワークに基づく共有メモリアクセス
○田中 晶(東京高専) |
B-5-92 |
基地局連携送受信における伝搬遅延差による影響の基礎評価
◎伊藤雅秋・菅野一生・大関武雄・山崎浩輔(KDDI総合研究所) |
B-5-93 |
チャネル利得を用いたアップリンクSCMA/OFDMAユーザクラスタリングに関する一検討
◎熊谷雄太・権田尚哉・小作伸一・菅沼碩文・前原文明(早大) |
B-5-94 |
Buffer-State-Based Relay Selection in Cognitive Radio Networks
○Ruichao Zhang・Ryota Nakai・Kaoru Sezaki・Shinya Sugiura(The Univ. of Tokyo) |
多くの人が日常身に着けているスマートフォンや,広く用いられつつあるマイコン,再構成可能デバイス(FPGA)等を接続する,小規模なヘテロジニアスなマルチホップネットワーク設計してきた.このようなネットワークによる情報処理は,端末同士が対等に機能する接続形態で,全ての端末の接続関係を把握できる方式が適用できれば効率が高い.東京高専情報通信研究室(田中研)は,この特徴を活かしてネットワークの端末全体が一つの簡易プロセッサとなり,各端末メモリからなる分散共有メモリ内の転送により通信するネットワークコンピューティングシステムの基本機能の設計を進めており,本稿ではプロトタイプ開発に向けた適用技術を述べる.
第5世代以降の無線通信システム(Beyond 5G)に向けてCell-Free Massive MIMO(CF mMIMO)が注目されている.CF mMIMOでは,分散配置された多数の基地局アンテナが連携することでユーザ当たりのデータレートを飛躍的に向上させることが期待できる.一方で,既存セルラーシステムと異なりセルやセクタの概念を持たないため,比較的離れた複数のアクセスポイント(AP)で同一ユーザ端末(UE)の処理を行うことや,あるAPとあるUEとの距離が遠いことなどが想定される.複数の周波数帯で伝搬遅延差や電力差を考慮した基礎的な評価を行い,環境によっては伝搬遅延差が2 CP長以上となるとエラーフロアが発生し,SNR対BLER特性が大幅に劣化することを明らかにした.
5Gの利用シナリオの1つであるmMTCでは,多数の端末が同時接続することが想定され,符号領域で非直交多元接続を行うSCMAの適用が有望視されている.SCMAの特徴として,高CNR帯では,高い容量拡大を達成できるものの,低CNR帯においては,各ユーザの信号分離が困難となることから,OFDMAよりも容量が小さくなる問題がある.本稿では,これらの特徴に着目し,ユーザをチャネル利得に応じて2グループにクラスタ化し,チャネル利得の大きいグループに対してはSCMA,チャネル利得の小さいグループに対してはOFDMAを適用する方式を提案する.また,提案方式の有効性を,SCMAあるいはOFDMAのみを適用する場合を比較対象にとって,システムスループットの観点から計算機シミュレーションにより評価する.
In this paper, we present a buffer-state-based relaying selection scheme in the context of the underlay cognitive radio network, supporting the primary and secondary networks. In the proposed scheme, both the effects of inter-network interference and fading are successfully suppressed, by introducing a flexible link selection algorithm in the secondary network.
3月20日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟3F K314講義室 座長 亀田 卓(東北大)
B-5-95 |
主成分分析を用いた高精度なバックスキャッタ位相角推定の実現
○岩崎友哉・亀井大向・三次 仁(慶大) |
B-5-96 |
Sub-GHz測距プロトタイプを用いた屋外における実測
○吉田 弘・大城将吉・農人克也・西川正樹・仁藤与晴(東芝デバイス&ストレージ)・加藤貴之(東芝インフラシステムズ)・石渡秀幸・大高章二(東芝デバイス&ストレージ) |
B-5-97 |
SHVワイヤレスカメラのLDPC符号による伝送特性改善
○島崎智拓・松崎敬文・山岸史弥・中川孝之・居相直彦(NHK) |
B-5-98 |
60GHz帯指向性ビーム情報を活用した端末方位推定に関する実験的検討
○黄 俊翔・岩國辰彦・内田大誠・和井秀樹・北 直樹(NTT) |
B-5-99 |
屋外移動環境における60GHz帯サイトダイバーシチの実験的検証
○和井秀樹・岩國辰彦・黄 俊翔・内田大誠・北 直樹・鬼沢 武(NTT) |
バックスキャッタ信号における位相角推定を正確に行うことは、RFIDなどのバッテリレスなタグの位置推定を実現するために必要な要素技術である。一般的に、位相角の推定には線形回帰が用いられるが、これはSN比が悪い状況だと推定誤差が大きくなってしまう。それに対し、本研究が提案する主成分分析を用いた推定方法ではSN比が悪い状況でも正確に位相角を推定することができる。したがって、SN比が悪い状況でバックスキャッタ信号の位相角推定を行う際には、本研究が提案する主成分分析を用いた方法が有効である。
Sub-GHzを用いた測距システムのプロトタイプを示し、良好な実測結果が得られることを報告した[1]。測距技術は様々な応用例があるが、筆者らはスマートキーのリレーアタック盗難対策を念頭に、本プロトタイプの屋外にて見通し環境および車にアンテナを設置した状態での測距評価を実施し精度を確認したので報告する。
筆者らは,一般的に電力増幅器の歪の影響を受けにくく電力効率に優れたSingle Carrier – Frequency Domain Equalization(SC-FDE)方式を適用した200Mbps級の4K・8K映像の伝送が可能なミリ波SHVワイヤレスカメラの開発を進めている.4K・8K映像など大容量の情報を伝送する手法として,伝送帯域の広帯域化やデータシンボルの変調方式の多値化が考えられる.しかしながら,変調多値数を従来の80Mbps級のミリ波2Kワイヤレスカメラの4bit(16QAM)から5bit(32APSK)に1bit上げると,所要C/Nは約3dB上昇し,従来と同等の伝送エリアをカバーすることは難しい.
そこで,誤り訂正符号を畳み込み符号からLDPC符号に変更した場合,多値化による所要C/N上昇が補償可能か,シミュレーション及び実機を用いた室内実験により検証した結果を報告する.
一方,ミリ波帯の無線通信は,1GHz以上の広帯域信号と指向性ビーム制御が可能なアレイアンテナを用いるため,広帯域通信を活かした距離推定とビーム情報による方位推定を行えば,無線通信情報のみで端末位置情報を取得でき,通信制御が可能と考えられる.本稿では,前記背景を鑑み,この端末位置推定の中で指向性ビーム情報を用いた端末方位推定のフィージビリティを60GHz帯のWiGigデバイスを用いて実験で検証した結果を報告する.
60GHz帯などのミリ波帯以上の更なる利用拡大が期待されている.ミリ波帯以上の電波はマイクロ波よりも距離減衰が大きく直進性が強いため,送受信点間に遮蔽があると受信電力が低下して接続断となる.このため,基地局アンテナを分散配置し,基地局のあるアンテナからの電波が遮蔽されても,別の位置のアンテナからは遮蔽がなく通信を維持できるように安定性を高める必要がある.そこで,屋外移動環境かつ,ミリ波帯以上の周波数において,基地局アンテナを分散配置するサイトダイバーシチの効果を,IEEE802.11adの通信装置を用いて実験評価した.その結果、基地局アンテナを十分離して分散配置することにより,遮蔽物が存在する環境でも最低1台のアンテナとは見通しが確保でき、接続状態を維持できることを確認した.
休 憩(11:00 再開) 座長 中川孝之(NHK)
B-5-100 |
パッシブリピータの組合せ選択による干渉抑制法の実験評価
◎大宮 陸・村上友規・岩渕匡史・小川智明・鷹取泰司(NTT) |
B-5-101 |
多数多様な中継系による高周波数帯マルチパス形成制御の提案
○岩渕匡史・村上友規・大宮 陸・小川智明(NTT) |
B-5-102 |
見通し外環境における屋外から屋内へのSU-MIMO伝送実験
○内野大地・石岡和明・木下裕介・武 啓二郎・有賀 博(三菱電機) |
B-5-103 |
5Gにおける高SHF帯・広帯域Massive MIMOシステムを用いた屋外環境SU-MIMOビームトラッキング伝送実験
蒲原健一郎・酒井 学・○井浦裕貴(三菱電機)・野中信秀・須山 聡・奥村幸彦(NTTドコモ) |
B-5-104 |
新幹線を用いた高速移動環境における28 GHz帯5G下りリンク伝送実験
◎野中信秀・村岡一志・奥山達樹・須山 聡・奥村幸彦・浅井孝浩(NTTドコモ)・松村善洋(JR東海) |
スマートフォンなどのモバイル端末が爆発的に普及するとともに,モバイルのトラヒック量は増加し続けている.無線トラヒックと端末を収容するために,既存の一次無線局に支障を来さない範囲で「空き周波数」を検出し,二次的に周波数を利用する周波数共用技術は,有力なアプローチの一つである.我々はパッシブリピータを組合せて用いることで,既存無線局への干渉電力の低減と,二次利用する無線局の伝送容量の増大を両立させる簡易的な手法を提案し,干渉電力をノイズと同レベルまで低減させ,伝送容量は従来法の最大1.6倍させることができることを,シミュレーション評価により明らかにしている.本稿では提案手法の実環境での特性を明らかにする.
5G以降の将来無線アクセス技術の議論が始まっている.さらなる大容量化のため,今後も高周波数帯の開拓や活用が見込まれる.しかし高周波数帯は距離や遮蔽による減衰が大きく,安定した特性を維持することが難しい.また高周波数帯では電波減衰補償のためビームフォーミングを用いるが,複数ビームを単一端末に向けるとビーム間の相関が高くなり,単一ユーザへの多レイヤ伝送が難しい.そこで多様な中継系を活用した高周波数帯マルチパス形成制御を提案する.さらに初期検証として屋外実験を行い,金属反射板による60GHz無線伝送の特性安定化効果を評価する.
第5世代移動通信システム(5G)の実現に向け,28GHz帯APAA-MIMOシステムを開発した.本発表では屋内端末における28GHz帯を用いた伝送課題となる窓ガラスによる減衰を,APAAからなる16台のサブアレーを用いたSU-MIMO 2ストリーム空間多重伝送を行うことで送信利得を向上させ見通し外環境において下りスループット改善を確認したので報告する.
高SHF帯の5Gでは、アナログビームフォーミングとMIMOを融合したハイブリッドBFが検討されている。このハイブリッドBFを用いた、屋外見通し環境のSU-MIMO 16ストリーム空間多重伝送において、アナログビームトラッキング周期が伝送性能に及ぼす影響を、伝送実験を通して考察する。
5Gのさらなる発展に向けては,28 GHz等の高SHF帯を用いた高速通信が,高速鉄道などの高速移動環境においても安定して提供されることが求められる.筆者らは時速約120 kmの鉄道環境での実験を行ってきた.しかし,より高速で移動する新幹線などの高速鉄道環境では,ドップラー周波数シフトの増大による特性劣化が懸念される.そこで,Massive MIMOによるビーム追従機能を有した28 GHz帯5G実験装置を用いて,時速283 kmで走行する実際の新幹線を用いた伝送実験を実施した.本稿では,本実験で取得された下りリンク(DL: Downlink)スループット特性を示す.
3月20日 13:30〜17:30 総合科学部 K棟3F K314講義室 座長 浅井裕介(NTT)
B-5-105 |
セルラー網を活用したドローンの遠隔操縦を実現するドローン無線中継システム - バックホールとしての衛星通信中継利用 -
○江田紀一・前迫敬介・飯塚哲也・松浦一樹・張 亮・藤井輝也(ソフトバンク) |
B-5-106 |
セルラー網を活用したドローンの遠隔操縦を実現するドローン無線中継システム - システム構成 -
○藤井輝也・張 亮・松浦一樹・米田 進・千葉武伸(ソフトバンク) |
B-5-107 |
セルラー網を活用したドローンの遠隔操縦を実現するドローン無線中継システム‐無線中継装置構成‐
○松浦一樹・米田 進・藤井輝也(ソフトバンク) |
B-5-108 |
セルラー網を活用したドローンの遠隔操縦を実現する飛行制御システム ―遠隔制御システム構成―
○張 亮・前迫敬介・飯塚哲也・米田 進・藤井輝也(ソフトバンク) |
B-5-109 |
セルラー網を活用したドローンの遠隔操縦を実現する飛行制御システム ―実証実験結果―
○飯塚哲也・前迫敬介・張 亮・米田 進・藤井輝也(ソフトバンク) |
当社では、遭難者の迅速な救助を目的として、ドローン無線中継システムを用いた遭難者の位置特定システムを開発し、実証実験を実施したが、本システムは遭難場所の周辺にあるセルラー基地局を介して無線中継を行うことを前提としている。しかし、山岳地域はセルラー網のエリア外であることが多いため、本システムのバックホールとして可搬型の衛星通信システムが期待される。本稿では、セルラー網のエリア外対応として開発した衛星通信システムをバックホールとするドローン無線中継システムの概要を説明する。
2016年度、雪崩などの遭難事故よる遭難者の迅速な救助を目的として、 “ドローン無線中継システムを用いた遭難者の位置特定システム”を開発し、実証実験を実施した[1]。運用に関して一層の効率化を図るため、子機にセルラー対応の通信装置を搭載し、ドローンの操縦や無線中継システムの運用・監視をセルラー網を介して遠隔地及び現地の両方で適宜切り替えできる “ケータイドローン無線中継システム”を開発した。本稿では、ケータイドローン無線中継システムを用いた遭難者の位置特定システムの概要を説明する。
当社では2018年度、雪崩等による遭難者の迅速な救助を目的として、“複数キャリア対応ドローン無線中継システムを用いた遭難者の位置特定システム”を開発し、実証実験を実施した。開発した無線中継システムではドローンに搭載した各キャリアの携帯通信装置が無線中継周波数を切り替えた直後に位置登録を行うなど、通信を確立するまでに時間を要することから、この時間がセルラー網を介してドローンを手動により遠隔操縦する場合の支障となっていた。そこで、制御信号は一つのキャリアの通信装置だけを利用し、無線中継は異なる複数のキャリアを時間的に切り替えて行う“複数キャリア対応ドローン無線中継システム”を開発した。本稿では、開発したシステムの概要を説明する。
2016年12月,冬山登山等において,雪崩などの遭難事故よる遭難者の迅速な救助を目的として,LTE/WCDMA対応ドローン無線中継システムを用いた遭難者の位置特定の実証実験を実施した.新たに,運用に関してドローン搭載無線中継機(子機)にLTE/WCDMA対応の通信装置を搭載し,ドローンの操縦や無線中継システムの運用・監視を,セルラー網を介して遠隔地と現地の両方で適宜切り替えて操縦・制御できる“ケータイドローン無線中継システム及び飛行制御システム”を開発した.
本稿では,遠隔操縦を実現するケータイドローン飛行制御システムについて説明する.
当社では,災害時における救助・救援活動などでの活用を目指し,セルラー通信網を利用して遠隔地から操縦装置(プロポ)によるドローンの手動操縦を可能にする「ドローン飛行制御システム」を開発した.遠隔地から手動操縦をするためには,手動操縦に不可欠な映像情報を操縦者にリアルタイムに転送する必要がある.そこで,ドローンにカメラを搭載して,飛行方向等の映像情報をドローンに搭載しているLTE/WCDMA対応の携帯通信モジュールを用いてセルラー網を介して遠隔地に転送する“遠隔飛行制御システム”を開発した.
本稿では,開発した遠隔飛行制御システムの実証実験結果を報告する.
休 憩(15:00 再開) 座長 山本高至(京大)
B-5-110 |
事前QoS通知を用いた自動車無線上りリンク通信性能改善の検討
◎長谷川 遼・岡本英二(名工大)・秋田英範(デンソー) |
B-5-111 |
URLLCを用いた自動運転のためのチャネル状態に基づくHARQ早期再送制御の検討
◎△塩満優作・岡本英二(名工大)・三上 学・吉野 仁(ソフトバンク) |
B-5-112 |
遅延制約と信頼性を考慮したテイルバイティング畳み込み符号に基づくHARQの設計
◎兼山紀章・落合秀樹(横浜国大) |
B-5-113 |
アンライセンスバンド向けNR上りリンク制御チャネルの高電力送信の検討
○眞木翔太郎・山本哲矢・鈴木秀俊(パナソニック) |
B-5-114 |
アンライセンスバンド向けNR上りリンク制御チャネルにおける巡回シフトパターンを用いたスケジューリングリクエスト伝送
○山本哲矢・眞木翔太郎・鈴木秀俊(パナソニック) |
5G Automotive Association (5GAA) は3G Partnership Project (3GPP) に対してIn-Advance QoS Notification (IQN)を出すように依頼を行っている[1].IQNとは基地局から自動車へのQoS予測値の通知である.自動車はIQNを受信することによって,事前にQoSの変動を察知することが可能となる.このIQNにより,Level of Automationを変更する為に必要な時間を確保することが容易となり,より安全で高度な自動運転を実現することが可能となる.本稿ではこのIQNをスループット値であると仮定し,IQNを用いることによって通信性能の改善を行う手法を提案する.提案手法では,現在基地局が混んでおり予測される未来のスループット値が大きい場合は,現在の送信データの一部を保留する.この操作によって基地局への負荷を分散させることにより,輻輳可能性を下げることが可能となる.
5G(第5世代移動通信システム)のユースケースの一つに,自動運転などを目的としたURLLC (Ultra-Reliable and Low Latency Communications)があり,無線伝送における高信頼性と低遅延性を両立する技術が求められている.無線伝送で従来用いられてきた高信頼化技術であるACK/NACK (Acknowledgement /Negative ACK)フィードバックを用いるHARQ (Hybrid Automatic Repeat reQuest)再送制御を用いた場合,伝送遅延が大きくなるためURLLCへの適用には新たな技術が必要であった.我々はフィードバック不要で再送を行うOpen-Loop HARQにより低遅延と高信頼を両立させる手法を検討していたが,従来手法では不要再送が生じるためスループットが低下するという課題があった.それを踏まえ本稿では,URLLCに適する早期再送制御手法を提案する.そして計算機シミュレーションにより従来手法との比較を行い,提案手法が低遅延と高スループット化を両立していることを示す.
近年,IoTやM2Mの普及に伴いこれらのリアルタイム制御を可能とする低遅延・高信頼な通信が求められている.ハイブリッドARQ(HARQ)は通信の高信頼化に有力な手法であるが,再送による遅延の発生が大きな課題となる.そのため,遅延制約下におけるスループット評価,復号処理や再送要求の回数を削減する高速化アルゴリズムの提案など,低遅延・高信頼を目標としてさまざまな提案がなされている.また,畳み込み符号の特徴として,拘束長が一定の場合には符号長が長くなると符号語誤り率も劣化するため,長い符号長が必ずしも最適ではない.そこで本稿ではテイルバイティング畳み込み符号(TBCC)に基づくHARQに対し,遅延制約に基づいて再送回数を決定し,通信路環境に応じて符号長を適応的に選択することで,低遅延化および高信頼化のよりよいトレードオフの実現を試みる.特に,適応的な符号長の選択により符号長が固定された従来手法に比べて優れたスループット特性を達成できることを示す.
3GPPでは,第5世代移動通信システム(5G)の無線インタフェースNR(New Radio)を拡張し,アンライセンスバンドに対応したNR-Unlicensed (NR-U)が検討されている.筆者らは,NR-Uの1シンボル上りリンク制御チャネル送信方法を検討した.インターレース配置する各リソースブロックに異なる巡回シフト量を適用することで送信バックオフを改善でき,高電力かつ高効率送信できることを示した.
3GPPでは,5Gの無線インタフェースの1つであるNRを拡張し,アンライセンスバンドに対応したNR-Uが検討されている.欧州では,5GHz帯のアンライセンスバンドにおいて,送信電力帯域密度が制限され,かつ,占有する帯域幅(OCB)が使用するシステム帯域(例えば20MHz)の80%以上であることが規定されている.筆者らはこれらの条件下でNR-U上りリンク制御チャネル(PUCCH)を高電力送信する手法を提案した.本手法では,等間隔インターレース状に配置した各リソースブロック(RB)に異なる巡回シフト(CS)量を適用した従来規定のPUCCH送信系列を割り当て,送信信号のピーク対平均電力比を低減する.本稿では,各RBへのCS量のパターンで上りリンクデータへのリソース割当要求を伝送する手法を提案する.
休 憩(16:30 再開) 座長 村岡一志(NEC)
B-5-115 |
5Gにおけるコネクテッドカーの方向指示器情報に基づいた効率的なハンドオーバに関する一検討
◎西壅智哉・三瓶政一(阪大) |
B-5-116 |
スマートファクトリーにおけるサイドリンクを用いた面的カバー率の向上に関する一検討
◎久保田章弘・三瓶政一・高橋拓海(阪大) |
B-5-117 |
工場環境における受信電力を考慮した運搬車の経路設計に関する一検討
◎道見大成・三瓶政一(阪大) |
B-5-118 |
セルラ環境下の屋内空間における時空間グラフを用いた自律ロボットの経路設計に関する一検討
◎今西宏基・三瓶政一・高橋拓海(阪大) |
現在,LTE-Advancedの次の世代となる5Gのサービス開始を目指し研究,開発が進められている.中でもコネクテッドカーは,サーバへ常時接続する機能を具備した自動車である. 5G環境において高速で移動するコネクテッドカーはビームフォーミングによってトラッキングされるが,特に道路のブロック単位で信号機に基地局が設置される場合には,高速かつ正確なハンドオーバ技術が必要となる.従来のLTEハンドオーバではハンドオーバの処理時間が長く,かつ受信環境が悪化して初めてハンドオーバが行われるため正確性に欠ける.そこで,車の位置情報と交差点における車の走行方向情報を利用してハンドオーバ先を決定する手法について検討する.
工場内でローカル5Gによるネットワークを構築する上で、工場内の通信に有線通信を用いる場合,断線や工場レイアウト変更による再配線等の問題がある。一方,無線通信は、5Gシステムにおいて有線通線と同等の伝送品質を持つことから,無線通信を用いた工場内のネットワーク構成に大きな期待が集まっている.しかし,工場内には多数の金属を含む機器が存在するため電波が遮蔽されやすく,空間内にNLoS(Non Line-of-Sight)が発生しやすい.そこで本稿では,NLoS環境の原因となる遮蔽物に設置されている通信機のサイドリンクを活用することで遮蔽物の影響を抑制する方法を提案し,その性能を解析する.
スマートファクトリではローカル5Gの適用が大きな期待を集めている.現在ローカル5Gで周波数の割り当てが実施されている28GHz帯を用いる場合,電波が遮蔽されるエリアが広くなるという特徴がある.本研究では,工場内で全ての移動物体の位置情報を把握するシステムの適用を前提とする.各移動物体は受信信号電力情報を運行管理システムに送信し,運行管理システムにおいては,空間内の受信信号電力分布情報を作成し,その情報を空間内の移動物体の位置情報に加えてブロードキャストすることで,各移動機器は空間内の不感地帯をできるだけ避けるように移動経路設計を行い,運搬車が常にネットワークに接続することを可能にするための手法を提案する.
スマートファクトリーではあらゆる機器が連携動作を行うため,セルラネットワークの接続性だけでなく,接続される機器の位置情報が必要不可欠となる.そこで,空間内の機器や人の位置情報を距離センサ(LiDAR)によって取得し,各時刻のリアルタイムな物体位置情報地図を作成,全自律ロボットにブロードキャストし,各ロボットがそれぞれの目的地までの経路設計を行うシステムを考える.
効率的な経路設計においては,複数ロボットのすれ違いが課題となる.そこで,動的環境を時空間グラフで表現し,各ロボットの移動先を予測することで,待機と迂回による,距離と時間の優先度を考慮した経路設計手法を提案する.
B-5. 無線通信システムB(無線アクセスネットワーク)
3月17日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟3F K312講義室 座長 眞田耕輔(三重大)
B-5-119 |
スプリット学習による深度画像の1ピクセル特徴量からのミリ波通信受信電力予測
◎香田優介(京大)・Park Jihong・Bennis Mehdi(Oulu Univ.)・山本高至・西尾理志・守倉正博(京大) |
B-5-120 |
マルチ無線ネットワークにおける無線基地局選択のための品質予測技術に関する一検討
○若尾佳佑・中山章太・河村憲一・守山貴庸・鷹取泰司(NTT) |
B-5-121 |
IoTにおける送信タイミングの自律分散的制御法の検討
◎蕪木碧仁・相原直紀・安達宏一(電通大)・田久 修(信州大)・太田真衣(福岡大)・藤井威生(電通大) |
B-5-122 |
LoRaWANにおける外部干渉検知システムにおける学習パラメータ再初期化
◎相原直紀・安達宏一(電通大)・田久 修(信州大)・太田真衣(福岡大)・藤井威生(電通大) |
B-5-123 |
Deep Q-Learning Based Resource Allocation for Energy Harvesting Internet of Things
◎Aohan Li・Tomoaki Ohtsuki(Keio Univ.) |
本稿では,深度画像の使用を前提とし,スプリット学習によりUEのプライバシを保護しつつ将来のミリ波RSSを予測する方式を提案する.スプリット学習では,ニューラルネットワークの計算の一部を,入力データを持つ主体に行わせる.これにより,深度画像を保持するUEは,生の画像よりも抽象度の高い特徴量を計算し送信して,自身のプライバシを保護できる.最も抽象度の高い1ピクセルの特徴量のみをUEが送信する制約の中で,平均2.7dBの精度で120ms先のRSSを予測できることを実験により確認した.
1台の端末が複数の無線インターフェースを備えることで様々な無線システム・基地局と同時に接続し通信をおこなうマルチ無線ネットワークでは、接続先の無線基地局選択がサービスの要件満足のために重要となる。これに対し、我々は機械学習を用いた品質予測技術をエンジンにより提供する無線ネットワークを提案し、うち、その品質予測技術に関する初期検討をおこなったので報告する。
近年,モノのインターネット (IoT) や M2M 通信などの発展が進んでいる.
これに伴い,多接続,低消費電力などの要求に対応した無線規格として,LoRaWANを代表とする省電力広域ネットワーク (LPWAN) が注目を集めている.
しかし,これらの規格において端末は簡易な純ALOHAプロトコルをMAC層のアクセスプロトコルとしている.
そのためシステム異常検知などのイベント観測時に発生する,通信品質を激しく低下させるバーストトラフィックが問題となっている.
本稿ではこのバーストトラフィックに対する通信品質向上のための手法を提案する.パケット衝突による通信品質の低下を回避するため確率的な制御による送信台数の制御と強化学習による送信タイミングの最適化を提案し,その特性を計算機シミュレーションにより評価する.
多数の無線端末が自律分散的に周波数資源を共用する環境において,複数のシステムが一つの周波数帯域を共用するための技術は重要である.本稿では,筆者らが提案した,LoRaWANシステムにおける外部干渉の検知及び無線リソース再割当て手法において,より優れた特性を得るための学習パラメータ初期化を検討し,その特性を計算機シミュレーションにより評価する.
In this report, to achieve high system capacity under limited resources with low complexity, deep Q-learning (DQL) method is exploited to develop resource allocation (RA) scheme for energy harvesting (EH) IoT. With the developed DQL based RA (DQLRA) scheme, the gateway (GW), as the agent, can autonomously make decisions to allocate spectrum, power, and time for data transmission to the IoT devices within its coverage. The DQLRA scheme can significantly reduce computational complexity compared with conventional RA schemes while improving system capacity compared with the random allocation scheme.
休 憩(11:00 再開) 座長 三木信彦(香川大)
B-5-124 |
5GHz帯マイクロ波給電と無線LANとの共存検討~実環境でのスループット評価~
○谷口健太郎・三友敏也・森 浩樹(東芝) |
B-5-125 |
UHF帯伝搬損モデルを用いた置局設計に関する一検討
◎小野 優・永瀬文昭・宮城利文・古谷博幸・林 崇文(NTT) |
B-5-126 |
STBC-MISO-OFDM方式ワイヤレスイヤーモニターの検討
◎飯島脩太・西村康生・佐藤 響(東京高専)・村上洸太・中谷裕子(NHKテクノロジーズ)・濱住啓之(東京高専) |
B-5-127 |
STBC-OFDM方式W-IEMシステムの受信ダイバーシチ性能評価
○西村康生・飯島脩太(東京高専)・村上洸太・中谷裕子(NHKテクノロジーズ)・濱住啓之(東京高専) |
B-5-128 |
プリント基板上のスタック八木アンテナによる無線クラスタ
○片山光亮・馬場孝明・大澤 隆(早大) |
近年,ケーブルの制約を受けずにメートルオーダで電力を送電可能なマイクロ波給電が注目を集めている.マイクロ波給電向け周波数帯として5GHz帯が知られているが,近傍の周波数帯を使う無線LAN(WLAN)に与える干渉が課題となる.これまでに,マイクロ波給電装置(WPT)に給電時間制御を導入することで干渉を軽減可能であることを,シミュレーション評価によって示した.本稿では,給電時間制御に加え,指向性による空間制御によってWPTがWLANへ与える影響を大幅に低減できることを実機評価で示す.
災害対策用加入者系無線システムは離島との通信や長距離区間に用いられることもあり,海上伝搬や鉄塔など高所からの送信が求められる.本稿では海上における長距離通信実験の結果と置局設計で用いられる伝搬モデル,および2波モデル[2の計算結果を比較し,置局設計の精度を上げるため評価を行ったので報告する.
コンサートや音楽番組制作などで用いられているワイヤレスインイヤーモニター(W-IEM)は、ミキシング卓の音声を演奏者の耳に直接送り返すシステムである。演奏者に装着するシステムのため小型化が要求される。このため信頼性を向上する受信ダイバーシチの適用が難しい。現在はアナログFM方式で実用化されておりカバーエリアが狭いという課題がある。このため複局送信が可能なデジタル方式の実用化が期待されている。しかし、マルチパスに強いOFDM (Orthogonal Frequency Division Multiplexing)を適用するだけでは十分な性能が得られない。そこで本報告では、STBC (Space Time Block Coding) および MISO (Multi-Input Single-Output)をW-IEMに適用する。2系統のOFDM送信局にSTBCを適用したW-IEMシステムを提案するとともに、計算機シミュレーションにより性能評価を行った結果を述べる。
コンサートや音楽番組制作などで用いられているワイヤレスインイヤーモニター(W-IEM)は、ミキシング卓の音声を演奏者の耳に直接送り返すシステムである。現在はアナログFM方式で実用化がなされているが、カバーエリアが狭いという課題がある。このため筆者らは、マルチパスに強いOFDM (Orthogonal Frequency Division Multiplexing)とSTBC (Space Time Block Code) および MISO (Multi-Input Single-Output)をW-IEMに適用するシステムを検討している。W-IEMは演奏者に装着するシステムのため小型化が要求される。信頼性を向上する受信ダイバーシチの適用は難しいものの2系統の受信であれば適用できる可能性がある。また、W-IEM方式をワイヤレスマイクに適用する場合は、受信ダイバーシチを4系統にできる可能性もある。そこで本報告では、STBC-MISO-OFDM方式W-IEMシステムに対して受信ダイバーシチの適用を試みる。STBC-MISO-OFDMシステムに受信ダイバーシチを適用し計算機シミュレーションにより性能評価を行った結果を述べる。
プリント基板上の13.6 dBiスタック八木アンテナを用いて2.45 GHz 帯における通信を行い、100 m 以上の距離で 20 Mbps 程度の通信速度を得た。複数のPCに同アンテナを接続し、無線接続クラスタコンピュータシステムを構築した。MPIを用いた並列計算プログラムにより12スレッド計算時に1スレッド計算時と比較して約6倍の高速化が確認された。
3月17日 13:30〜17:15 総合科学部 K棟3F K312講義室 座長 谷口健太郎(東芝)
B-5-129 |
上り回線NOMAにおける時間領域送信等化の時刻ずれの影響
◎吉田 圭(東北大)・亀田 卓(東北大/NICT)・末松憲治(東北大) |
B-5-130 |
SNR発展法を用いた部分アクセスIDMAシステムの数値解析
○山岸雅弥・長村 明・木村共孝・程 俊(同志社大) |
B-5-131 |
Radar and CommunicationにおけるRF不完全性の影響の評価
◎田齊広太郎・小松和暉・宮路祐一・上原秀幸(豊橋技科大) |
B-5-132 |
STPA-BAA方式におけるSLMを用いたPAPR低減
◎小林宏彰・妹尾克哉・丸田一輝(千葉大)・杉山隆利(工学院大)・安 昌俊(千葉大) |
IoTにおける通信環境では周波数利用効率を向上させるため,上り回線非直交多元接続方式の適用が検討されている.IoT向けの通信環境では狭帯域通信が予想され時間選択性フェージングの影響が深刻と考えられるので,時間領域送信等化によりフェージングの歪みを抑制できる.狭帯域通信ではビットレートが低く,データ通信時間が長いため,実際のチャネル利得と時間領域送信等化に利用するチャネル推定値の間で時刻ずれが生じやすい.本稿では,本稿では,上り回線非直交多元接続において時間領域送信等化適用時のチャネル推定値との時刻ずれの影響の評価を行った.
多重接続通信の1つであるIDMA(Interleave Division Multiple Access)通信システムは,従来のCDMAより良い性能を持つとして注目されている.しかし,IDMAシステムは同時に多数のユーザが通信路にアクセスするため,受信機における各ユーザの信号を分離する処理の計算量が多く,多数のユーザでの使用が困難である.この問題に対し,本論文では部分アクセスIDMA通信システムを提案する.本システムは送信系列にランダムに"0"シンボルを加えることにより,ユーザ間の協調を行うことで,瞬間的にアクセスするユーザ数が減少し,低計算量を実現する.また,瞬間的にアクセスするユーザ数の減少に伴い復号時に生成するファクターグラフ内のループが減少する.SNR発展法を用いた数値解析とシミュレーションにより,従来のフルアクセスIDMAシステムより高い復号性能を持つことを示す.
Radar and Communication(RadCom)は無線通信機器をレーダーとして用いる技術であり,
既存の専用機器を使ったレーダー技術に対してコストの削減が期待できる.
しかし,RadComでは検知対象以外で反射した信号(自己干渉信号)が対象の検知を困難にする.
既存手法では自己干渉信号が静的な線形チャネルによって発生すると仮定し,検知対象を移動物体に限定することで,対象の検知を容易にした.
しかし実際には,自己干渉信号は高周波回路の不完全性により,
非線形なチャネルを通るため検知精度が劣化する.
本研究ではRF不完全性が検知精度へ与える影響をシミュレーションによって評価する.
複数システム間の周波数帯域の効率的な共用を実現するための技術としてSTPA-BAA方式が提案されている.このSTPA-BAA方式はOFDM方式で信号の送受信を行っており,OFDMの送信信号は変調された各キャリアの足し合わせであることから,PAPRが高くなる場合がある.そこでSTPA方式において,PAPRに影響を与えていると考えられる高電力サブキャリアに着目し,それらにのみSLMを適用する手法を提案する.各シンボルごとのPAPRが最小となる位相系列を選択することでピークの抑圧を行い,PAPRの低減を図る.
休 憩(14:45 再開) 座長 中村 理(シャープ)
B-5-133 |
帯域内全二重におけるPAPR低減手法によるディジタル自己干渉除去の性能改善
◎岡野公太・小松和暉・宮路祐一・上原秀幸(豊橋技科大) |
B-5-134 |
非線形自己干渉キャンセラを用いる帯域内全二重のための送信機AM-AM特性の最適化
◎△小松和暉・宮路祐一・上原秀幸(豊橋技科大) |
B-5-135 |
無線チャネルの変動に対処した自己干渉キャンセラの再学習
◎石井建至・小松和暉・宮路祐一・上原秀幸(豊橋技科大) |
B-5-136 |
ベースバンド無線における帯域内全二重のためのヒルベルト変換を組み合わせた自己干渉除去
◎蛭川泰丞・小松和暉・宮路祐一・上原秀幸(豊橋技科大) |
B-5-137 |
FD-VLCネットワークにおけるパケット破棄を抑制するバックオフ手法のマルコフ連鎖モデルを用いた性能解析
◎澤 優太・眞田耕輔・羽多野裕之・森 香津夫(三重大) |
帯域内全二重における自己干渉除去手法の一つに線形自己干渉キャンセラがある.この手法は低計算量であるが,自己干渉信号が電力増幅器による非線形増幅を受けた場合,除去性能が劣化する.また,OFDM信号はPAPRが高く,送信機の電力増幅器で非線形増幅されやすい.そこで本研究では,PAPR低減手法を適用した帯域内全二重における線形自己干渉キャンセラの性能をソフトウェア無線機で構築したシステムで評価する.
帯域内全二重は周波数利用効率を向上させるが,自己干渉を除去しなければ実現できない.非線形自己干渉キャンセラを用いた帯域内全二重では,送信機にて理想プリディストーションするよりも送信信号を非線形に歪ませたときに通信路容量が向上することがある.しかし,どのようなAM-AM特性が帯域内全二重にとって最適であるかは分かっていない.本研究では,送信機のAM-AM特性を数値的に最適化することで,帯域内全二重の信号対干渉歪み雑音電力比を最大化する.
帯域内全二重における自己干渉は,伝搬するチャネル変動の影響を受ける.これにより,自己干渉キャンセラの性能は大幅に劣化するため,除去性能の維持が課題である.我々は,先行研究において,増幅器の非線形特性の変動を考慮した自己干渉キャンセラの再学習手法を提案した.本稿では新たに,無線チャネルの変動に対して自己干渉キャンセラを更新する,再学習手法を提案する.
帯域内全二重における線形自己干渉除去は,アナログ回路の不完全性の影響を受ける.そのため,線形自己干渉除去の性能が低下する.そこで,我々は,IQミキサを介さずに送受信を行うベースバンド無線に着目する.本稿では,ベースバンド無線における帯域内全二重のためのヒルベルト変換を組み合わせた線形自己干渉除去を提案する.
全二重通信を適用した可視光無線通信では,コーディネータが全端末に対しビジートーンを送信することにより隠れ端末による信号衝突を軽減している.しかしながら,全二重通信に起因して,端末がチャネルビジー判定(CCA)する度,チャネルビジーと判定されてしまい,パケット破棄が頻繁に生じる問題がある.そこで,チャネルビジーと判定された端末のバックオフ指数(BE)とバックオフ回数(NB)を維持することで,最大再送回数に達することによるパケット破棄を低減している.本稿では,提案されたバックオフ手法をマルコフ連鎖モデルを用いてモデル化することで,その性能評価を行い,提案手法の有効性を理論的に示す.
休 憩(16:15 再開) 座長 宮路祐一(豊橋技科大)
B-5-138 |
無線システムの混在環境を模擬する無線信号発生装置に関する一考察
○大堀文子・板谷聡子・大須賀 徹・中島健智・丸橋建一・児島史秀(NICT) |
B-5-139 |
製造現場におけるシステム安定度評価に関する一考察
板谷聡子・○大須賀 徹・大堀文子・長谷川 淳・丸橋建一・児島史秀(NICT) |
B-5-140 |
無線LANにおける許容遅延を考慮した送信タイミング制御の検討
○青木 寛・吉岡達哉・山口真司・長谷川晃朗・横山浩之(ATR) |
B-5-141 |
高信頼低遅延無線通信におけるシステム干渉の観測に基づく適応チャネル選択法
○宗 秀哉(東工大)・征矢隼人(neko 9 Laboratories)・府川和彦・張 裕淵(東工大) |
新たな IoT デバイスを導入する際,既存の無線通信に悪影響を及ぼす問題を事前に把握することが望まれているが,特定の条件下でのみ発生する問題などは再現に時間がかかるという課題がある.本稿では,導入先の無線環境を想定した動作検証を暗室等で行うために,複数の無線システムが混在する環境下で計測した無線通信情報をもとに他の無線機からの無線信号を再現する無線信号発生装置について提案する.
工場内のような狭い空間では,様々なシステム間での電波の干渉や反射により,安定した通信の実現に課題がある.本稿では,国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)が推進するFlexible Factory Projectによる実証実験結果に基づき,工場における無線通信の安定度評価手法について提案する.
多くの製造システムが密に配置される工場においては,複数の無線機器が同時に通信を試みるため,パケット衝突が頻発し,パケットロスや遅延が発生するといった問題がある.この問題に対して我々は複数の無線LANシステムの送信タイミングを制御し協調動作させる時分割通信システムの研究を進めている.本稿では,時分割通信による遅延増加の影響を考慮し,トラヒックの許容遅延を考慮した割当アルゴリズムを評価した.その結果,トラヒックが高密度になる場合は時分割通信システムに単純な割当アルゴリズムを適用すると逆効果になる可能性が示唆された.この改善にはトラヒック密度を割当アルゴリズムで考慮する必要があると考えている.
高信頼低遅延が求められるIoTシステムでは,伝送遅延時間に厳しい制約があるが,アンライセンス帯でCSMA/CAによる通信を行うと,他システムからの干渉波と自システムのパケットとの衝突により,伝送遅延時間が長くなるという問題がある.パケット衝突数を低減するため,他システムのチャネル使用率(帯域時間占有率)を観測し,帯域時間占有率が低いチャネルを選択する手法が提案されている.一方で,他システムのパケット送信時間が伝送遅延時間に影響を与えることが報告されている.本稿では,他システムの帯域時間占有率だけでなく,パケット送信時間の情報を用いるチャネル選択法を提案し,計算機シミュレーションによりその伝送遅延時間特性を明らかにする.
3月18日 13:30〜17:30 総合科学部 K棟3F K312講義室 座長 宮本伸一(和歌山大)
B-5-142 |
集中制御型無線LANにおけるMU-MIMOリソース割り当てに関する一検討
◎田中風我・山下颯磨・菅沼碩文・前原文明(早大) |
B-5-143 |
端末位置に基づく適応可動無線制御法
○中平俊朗・石原浩一・アベセカラ ヒランタ・守山貴庸・五藤大介(NTT) |
B-5-144 |
無線LANにおける重要通信保護のためのCTS送信制御に関する検討
◎中山章太・河村憲一・若尾佳佑・守山貴庸・鷹取泰司(NTT) |
B-5-145 |
CSMA/CA方式のCWmin値が異なるIEEE802.11g モード 2 スマートフォンのUDP単独・競合通信時の通信品質
◎徳竹晶栄・小林武史・喜田健司(東洋大)・石川博康(日大)・篠永英之(東洋大) |
B-5-146 |
マルチBSS環境におけるIEEE802.11CSMA/CA性能解析モデルに関する一検討
◎梶原隆平・Leonardo Jr. Lanante・長尾勇平・黒崎正行・尾知 博(九工大) |
無線LANは,移動通信システムのトラヒック負荷軽減に極めて有効となるが,一定エリア内で多数の無線LAN機器が利用されると,ユーザ/アクセスポイント(AP)間の干渉に起因したスループットの低下が問題となる.これまでに我々は,MU-MIMOが適用された無線LANにおいて,制御エンジンによりユーザの干渉状態を把握し,各AP内でのユーザ割り当てとMU-MIMOのリソース割り当てを同時に実現し,スループット向上を図る方式を提案してきた.本稿では,更なる特性向上を図るべく,MU-MIMOのリソース割り当てについて,タイムスロット毎に空間直交性に基づくリソース割り当てを行う方式を提案する.また,提案方式の有効性を,MU-MIMOの全ユーザに対してリソース割り当てを行う従来方式を比較対象にとって,計算機シミュレーションにより評価する.
ドローンやロボットなどの可動機器にAP(access point) を搭載し,通信状況に応じてAP配置を制御する適応可動AP制御が提案されている.本稿では,適応可動AP制御に対して筆者らがこれまで検討を進めてきた無線パラメータ制御を組み合わせた適応可動無線制御法を提案し,無線LANにおける計算機シミュレーション評価により提案法の有効性を示す.
本稿では、CTS信号による干渉端末の通信容量が抑制される問題に対し、周辺の無線LANからの干渉状況に基づくCTS信号の自動送信制御方法を提案し、実験により保護端末の低遅延性を維持しつつ干渉端末の通信容量の改善を確認したので報告する。
本研究は無線LANアクセス方式のCSMA/CAのパケット衝突回避機能のBack-off制御のパラメータであるCWmin値が異なる2スマートフォンを用いた実通信環境下のIEEE802.11g モードAP上りUDP競合通信測定からCWmin値の差が通信品質に与える影響を明らかにすることを目的とする。送信UDPパケット量である設定UDP伝送速度ごとに測定を行い。スマートフォンとAP間の無線区間のパケット捕捉データから自系統パケット間に競合スマートフォンのパケットが含まれるパケット間隔時間特性を作成した。APと受信側PC間にTAPを介してスループット特性を測定する。パケット間隔時間特性とスループット特性からCWmin値の違いがパケットの連続送信と通信品質に与える影響を報告する。
現在、無線LANアクセスポイントやモバイルルータの増加により、複数のBSSが互いに干渉し合うマルチBSS環境が生じている。このような環境においてIEEE802.11のCSMA/CAの性能を十分に引き出すにはスループットの正確な解析モデルが重要となる。解析モデルとして2000年にBianchiが提案したモデル(以下、Bianchiモデル)が存在するが、Bianchiモデルは1BSSの環境でしか適用することができない。本稿ではBianchiモデルの拡張としてCarrier Sense Rangeの影響及びInterference Rangeの影響を考慮した解析モデルを提案する。今回は2BSSの環境において提案モデルを適用し、計算機シミュレーションにより提案モデルの評価を行った。評価の結果、提案モデルが従来のBianchiモデルより正確にスループットを解析できることを確認した。
休 憩(15:00 再開) 座長 川崎 耀(NICT)
B-5-147 |
無線LANにおける冗長検査情報による通信品質要因解析
○山本高至・紀平悠人・香田優介・西尾理志・守倉正博(京大) |
B-5-148 |
人工雑音環境下での漏洩同軸ケーブルを用いた無線LAN の性能評価
成松佳苗・山田健志・○宮本伸一(和歌山大) |
B-5-149 |
仮想専用チャネル構築法における稼働する媒体予約期間通知端末の決定法に関する一検討
◎山田健志・宮本伸一(和歌山大) |
B-5-150 |
無線LANのCSI を利用した物体検知の検討その1 ~周波数選択性を考慮した特徴量選択法の提案~
◎千手広輝・景山知哉・牟田 修(九大)・村上友規・大槻信也・小川智明(NTT) |
B-5-151 |
無線LANのCSIを利用した物体検知の検討その2-MIMO伝搬チャネルを考慮した物体検知手法の提案ー
◎安藤永稀・景山知哉・牟田 修(九大)・村上友規・大槻信也・小川智明(NTT) |
本研究では,通信品質要因の特定に資するフレーム送信区間などの情報を冗長検査情報と呼ぶこととし,有線バックホール回線などでの収集を想定する.そして,通信成否等の情報と組み合わせ,通信品質要因解析ならびに無線アクセス技術の高効率化を検討する.本稿では冗長検査情報に基づいた強化学習により,集約の効果を説明する.
漏洩同軸ケーブル(LCX)を用いた無線LANは,微弱な電波をケーブル沿いに輻射するという電波伝搬特性を活用し,安定かつセキュアな情報伝送を可能とする無線LANシステムとして注目されている.一方,無線LANが利用する周波数帯のうち,2.4 GHz帯は,元来,ISM(Industrial, Scientific and Medical)機器が利用する周波数帯と重畳していることから,ISM機器から輻射される人工雑音の影響による伝送性能の劣化が懸念される.本稿では,人工雑音環境下でのLCXを用いた無線LANシステムの伝送特性を評価し,人工雑音がLCXを用いた無線LANシステムの伝送性能に及ぼす影響を明らかにする.また,LCXとオムニアンテナを切り替えて受信する手法を導入し,それによる伝送性能の改善効果を明らかにする.
不特定多数のBSS (Basic Service Set) で周波数資源を共用する無線LANでは,個々のBSSの伝送性能を保証することは不可能である.この問題に対し,これまで我々は,比較的広域なプライベート空間を対象とし,エリアオーナによって設置された端末(守衛端末)から継続的に媒体予約期間を報知することで,外来者のBSS(外来BSS)の割り込みを排除する仮想専用チャネル構築法を提案した.本稿では,外来BSSの位置を特定できる場合,外来BSSの位置に応じてNAV通知領域を動的に制御する手法を提案する.
無線信号を利用した物体検知手法として, IEEE 802.11acにおけるCSI (Channel state information)を利用する方式が検討されている. この方式は, 無線局間で伝達される圧縮CSIフレームを特徴量として機械学習による物体検知を行うものであり, その検知精度は特徴量の選択手法に依存する. 本稿では, CSIを利用する物体検知システムにおいて, 伝搬チャネルの周波数選択性を考慮した特徴量選択手法を提案する. 提案方式の特性を計算機シミュレーションにより評価し, その有効性を示す.
無線信号を利用した物体検知手法として, IEEE802.11ac におけるCSI (Channel State Information)を利用する方式が検討されている. この方式は, 無線局間で伝達される圧縮CSIフレームを特徴量として機械学習による物体検知を行うものであり, 送受信のアンテナ素子数が検知精度に影響を与える. 本稿では, CSIを利用する物体検知システムにおいて, MIMO (Multi-input multi-output) 伝送路における第一固有チャネルの角度情報(圧縮CSI)のみを用いる方式を提案する.提案方式の特性を計算機シミュレーションにより評価し, その有効性を示す.
休 憩(16:30 再開) 座長 井田悠太(山口大)
B-5-152 |
RoFシステムのための波長固定ビームフォーミング手法の実験評価
◎伊藤耕大・菅 瑞紀・白戸裕史・北 直樹(NTT) |
B-5-153 |
RoFシステムに波長固定ビームフォーミング手法を適用した変調波伝送実験
○菅 瑞紀・伊藤耕大・白戸裕史・北 直樹(NTT) |
B-5-154 |
試作IEEE 802.11af無線機によるTVWS利用のフィールド実証
◎川崎 耀・伊深和雄・村上 誉・石津健太郎・松村 武・児島史秀(NICT) |
B-5-155 |
低周波電磁波による氷下海中ドローンの測位・通信試験
◎佐藤 良・吉田 弘(JAMSTEC)・高橋応明・加藤涼介(千葉大)・陳 強(東北大)・石井 望(新潟大)・三好 扶・米倉達郎(岩手大) |
ミリ波を用いたRoF (Radio over Fiber) システムでは,利得確保のためのビームフォーミングが必須となる.RoFにおけるビームフォーミング手法として,波長分散を利用し,波長を制御してRF位相を制御する手法が提案されている.しかし,これらの手法には波長利用効率が悪い,光ファイバの距離情報が必要,BS (Base Station) を制御不要としたときのBS構成が複雑,光ファイバが長い・高RF帯のときの波長調整量が小さく高精度化が必要といった課題が存在するため,著者らは新たな波長固定RoFビームフォーミング手法を提案し,評価を行ってきた.本稿では,実験評価により提案手法の原理確認を行ったので報告する.
我々はミリ波RoF (Radio over Fiber) システムにおける遠隔ビームフォーミング (BF) 手法の検討を進めている.提案手法は,従来の波長制御BF手法の課題を解決し,波長を固定で割り当てて遠隔でビーム制御を行うことを特徴とする.本稿では,提案手法を用いた変調波の伝送実験について報告する.
情報通信研究機構(NICT)では,コグニティブ無線技術の実用化を目指し,これまでに様々な研究開発や標準化活動を推進してきた.NICT主導の下,2013年に標準化されたIEEE 802.11afはテレビ帯ホワイトスペース(TVWS)を二次利用可能な無線システムである.TVWSを利用した省電力・長距離通信は,山間部や離島のようにケーブル敷設が困難な地域に通信回線を低コストで構築する上で極めて有望である.本稿では,NICTが試作したIEEE 802.11af無線機\cite{matsumura2019experimental, matsumura2019implementation}によりTVWSを利用したブロードバンド通信の海上フィールド実証実験を行った結果について報告する.
温暖化による北極海の環境変動は、近年の気候変動や災害をもたらす一因となっている。氷の融解の原因には気温上昇のほかにも、氷下からの温暖ガス放出や生態系の変化などが原因と考えられている。著者らは北極で極海下のパラメータ(水温、塩分濃度等)を調査するための探査機(本講演内では北極ドローンと称する)を開発中である。北極ドローンを使った北極下の調査を行うため、低周波の電波による通信、及び測位を提案している。そこで著者らは、海中での電波通信性能を測定するための通信機を開発し、氷上ー海中間の通信特性の測定にあたってきた。本講演では、2020年2月に冬季のサロマ湖上で、北極ドローンを模したROVに通信機を取り付けて海中に沈め、電波を使った通信・測位の実証試験を実施したので報告する。
3月20日 9:30〜12:15 総合科学部 K棟3F K312講義室 座長 奥山達樹(NTTドコモ)
B-5-156 |
ネットワーク連携干渉キャンセラを用いたセル境界通信品質改善の検討
○米田拓海・藤井輝也(東工大) |
B-5-157 |
ミリ波メッシュバックホールネットワークにおける基地局の小型化に関する研究
○袁 偉然・中村 誠・阪口 啓(東工大) |
B-5-158 |
災害時におけるミリ波を用いたUAV基地局の位置配置
◎小笹聖典・平田孝佑・タン ザ カン・阪口 啓(東工大) |
B-5-159 |
UAVを用いた動的ミリ波メッシュバックホールの設計
◎平田孝佑・小笹正聖・タン ザ カン・阪口 啓(東工大) |
B-5-160 |
Long Range Communication Experiment Using LPWA in 920MHz Band for Traffic Management of Multiple Drones
○Bilguunmaa Myagmardulam(Nagaoka Univ.)・Ryu Miura・Fumie Ono・Toshinori Kagawa・Linh Shan(NICT)・Tadachika Nakayama(Nagaoka Univ.)・Fumihide Kojima(NICT) |
5G等の今後の移動通信システムではセル内のどこでも超高速データ伝送が期待されている。全てのセルで同一周波数を繰り返す移動通信システムでは、特にセル境界付近において隣接セル干渉により通信品質が劣化する。
本稿では、セル境界付近の干渉を抑圧する技術として、隣接する基地局が連携して仮想的なセルを構成し、地理的に分散する各基地局のアンテナを仮想セル内のアンテナと見做して、隣接セル干渉を抑圧する仮想化MU-MIMO(Multi-User Multi-Input-Multi-output)キャンセラを提案し、その適用効果を明らかにする。
近年,スマートフォンやタブレットなどの電子端末の普及により,モバイルトラフィックが年間約47%のペースで増加している[1].これに対処するために基地局の大容量高密度化が検討されており、低コストで基地局を配置できるミリ波を用いたメッシュバックホールネットワークが注目されている.また,多数の小セル基地局の建設および設置を簡易化するため,その小型化設計が要求されている.そこで本研究では、ミリ波メッシュバックホールネットワークの小型化および実験による性能評価を行った.
我々は,災害地における高解像度動画中継等のアプリケーションを想定し,UAVをミリ波基地局として用いることで,超高速伝送の実現を目指している.UAVは地上の要件に左右されず,高度に配備することができるので,ミリ波帯において重要な,地上局への見通し環境の確保や,少ないアクセス局でのカバレッジの拡大が期待できる.
ミリ波を対象としたUAV基地局の位置配置が検討されている例は少なく,またマイクロ波帯においてなされているいくつかの検討では隣接UAVのユーザ地点での干渉は無視できない.
よって本稿では,ミリ波帯を用いたUAV基地局によるネットワーク構築において,なるべく干渉を低減するようなUAV配置を考える.
通信機器の発達により,モバイルトラフィックが年々増加している.それに対し,5Gの開始にあたり,広帯域を担保できるミリ波の使用が必要不可欠となりつつある.ミリ波の使用に伴い基地局の増設が要求されるが容易ではない.そこでUAVで代用することが検討されている.UAVに基地局を代用させることは地上のユーザーとの見通し確率を向上させたり,トラフィックの増大する時間帯,場所にのみ運用させることで費用を抑えたりする効果が挙げられる.また,自由にネットワークトポロジーを変更でき,ルーティングへの自由度を与える利点も考えられる.
本研究ではユーザーと直接通信するUAVと地上の基地局を中継するためのバックホールUAVの位置最適化及びネットワーク構成最適化を遺伝的アルゴリズムにより行い,数値解析で評価してので,報告する.
Recently, the use of unmanned aerial vehicles (UAVs) and drones, are becoming popular in various applications that includes survey, military, telecommunications, logistics and disaster management. One of the important issues for safe operation of drones is to collect their location data and ID at ground stations so that dangerous conditions can be avoided. In particular, the drone safety guarantees are difficult to attain, when drones fly beyond the line of sight (BLOS).In this research, we proposed drone location information sharing using the 920 MHz system for logistic application of multiple drones.
This work is focused on the monitoring of multiple-drones flying over the long-distance in BLOS environment.The field experiment was conducted in coast area of Minami Soma, “Fukushima Robot Test Field” in October 2019. The module antenna direction and position affect the RSSI values captured by the GS.
休 憩(11:00 再開) 座長 安達宏一(電通大)
B-5-161 |
OFDM-CMAにおける干渉信号のタイミングオフセットに対する抑圧効果
○大金史歩・妹尾克哉・丸田一輝・安 昌俊(千葉大) |
B-5-162 |
平面アレーアンテナの回転による到来方向推定精度の向上
◎花田稔弥・丸田一輝・安 昌俊・後藤健太(千葉大) |
B-5-163 |
マルチユーザMIMO-SC系におけるFIR送信ビーム形成に基づく空間ダイバーシティ技術
○福園隼人・栗山圭太・吉岡正文・林 崇文(NTT) |
B-5-164 |
FIR型送信ビーム形成を用いた広帯域シングルキャリアMU-MIMOシステムの実験的検討
◎栗山圭太・福園隼人・吉岡正文・林 崇文(NTT) |
B-5-165 |
Principle of MARIA method for Beyond 5G and its propagation entropy−Enhancing mMIMO and Beamforming for multi-user/multi-networking−
○Gen-ichiro Ohta(Yokosuka Telecom Research Park) |
ブラインドアダプティブアレーは干渉を事前情報なく抑圧可能とする手法であり,中でもCMAは優れた干渉抑圧性能を有する.CMAにおいて,鑑賞信号の低包絡線性を改変することでその抑圧性能が改善可能背あることが示されている.OFDMでは,FFTタイミングのウィンドウ位置にオフセットを与えることでも同様のことが実現できると考えられ,本稿ではその影響を評価する.
到来方向の推定方法としてMUSIC(Multiple Signal Classification)法が広く用いられている.本研究は,平面アレーアンテナを用いるMUSIC法において,より多くの信号源を推定可能とするためにアンテナ回転を適用することを提案する.
本稿では,非正方のMIMO 通信路行列の系にも使用できるFIR 送信ビーム形成法を提案する.提案法により空間ストリームを超える数の送信アンテナを利用し,送信ダイバーシティによる特性改善が見込める.シミュレーションにより,提案法がSINR 特性を改善させることを示す.
長遅延波環境における広帯域シングルキャリアMU (multiuser) -MIMO (multiple-input multiple-output) システムでは,時間方向の伝搬遅延によるシンボル間干渉と空間方向のユーザー間干渉を抑制する必要がある.これに対し,筆者らはCIR (channel impulse response) 伝達関数行列の転置余因子行列(adjugate matrix) を送信ウェイトとしたFIR (finite impulse response) フィルタ型送信ビーム形成と,波形等化器を用いる手法を提案した.本稿では,SDR (software-defined radio) デバイスとフェージングエミュレータを用いた,疑似MU-MIMO環境における伝送特性を評価したので報告する.
A new modulation/access method is invented. It is based on propagation models induced from natural radio paths characteristics. This method has a new information entropy space. The capability of enhancement of data-rate can be expected more than 100 times. Moreover, another capability is expected to give multi-user use and multi-operator-use of a single beam of the 5G beam-forming service. In this session, the principle of this method, the new entropy space for the method, and application service models over 5G beam-forming function are discussed.
3月20日 13:30〜14:30 総合科学部 K棟3F K312講義室 座長 衣斐信介(同志社大)
B-5-166 |
分断された経路を考慮した自律的無線同期制御方式
○三宅裕士・青山哲也・武 啓二郎・有賀 博(三菱電機) |
B-5-167 |
他システムへの干渉を考慮したLoRaWANの送信制御法の検討
◎Bounpasith CHALEUNSOUK・相原直紀・安達宏一(電通大) |
B-5-168 |
Wireless Powered Mobile Edge Computingにおける確率的バイナリーオフロードの検討
◎小林拓弥・安達宏一(電通大) |
B-5-169 |
市販マルチコプタのRoFによる位置推定の基礎検討
○河村暁子・角張泰之・森岡和行・二ッ森俊一・米本成人(電子航法研) |
ローカル無線ネットワークにおいて,無線を用いる無線局間の同期確立手法が検討されている.本発表では,複数の経路間の無線局間のフレームタイミング差を縮小するようにタイミング制御を行う際に各無線局の補正量が最小となる自律的にタイミングの基準となる経路を選択する同期制御方式を提案する.
近年,多数の無線端末が自律分散的に周波数資源を共用するLPWA(Low Power Wide Area)環境において,複数のシステムが一つの周波数帯域を共用するための技術が注目を集めている.日本国内では,他端末及び他システム保護のためのキャリアセンス(CS: Carrier Sense)が規定されているが,LPWA の広いカバレッジに起因し,CS の失敗によるシステム間干渉が問題として考えられる.本稿では,LPWA の一種であるLoRaWAN に着目し,この他システムへ与える干渉を低減するためのセンシングを用いたタイムスロット割り当てを提案し,その特性を計算機シミュレーションにより評価する.
近年, モノのインターネット(IoT) の発展に伴いIoT機器やセンサの小型化による計算能力の限界やこれらの増加による充電管理が問題視されている.
無線端末 のタスクを代替計算処理するモバイルエッジコンピューティング(MEC) と,
APから無線端末へ無線高周波信号を送り, エナジーハーベスティング(EH) を行う無線電力伝送(WPT)を組み合わせた
Wireless Powered Mobile Edge Computingシステムによって2つの問題を解決することが期待されている.
本稿では, APによる集中制御ではなく確率的制御によってオフロードとローカル計算の2つのモードを選択するProbabilistic Binary Offloadingシステムを提案する.
このシステムに対しWPTを行うことで全端末のバッテリ消費を抑えることを目標とする.
近年,ドローンの利用増加に伴い重要施設への侵入検知技術が求められている.著者らは,小型無人航空機の運用に関わっていない第三者が,機体とオペレータ間のテレメトリ通信波を受信して到来時間差より機体の位置を推定する手法について検討し,市販のマルチコプタを用いて電波無響室内において測定を実施した.
B-6. ネットワークシステム
3月17日 9:30〜12:15 工学部 講義棟1F 116講義室 座長 高野知佐(広島市立大)
B-6-1 |
SIPサーバにおける膨大ログのパターン化手法に関する一検討
○レー 武興・城所忠篤(NTT) |
B-6-2 |
IP電話網における通話路品質劣化時の切り分け手法のシステム化に関する一考察
○澤田暁彦(NTT) |
B-6-3 |
IBCFをB2BUAで実装することの有効性
○久保耀介・門間 裕・佐藤隆之(NTTドコモ) |
B-6-4 |
通話中におけるCATメディア提供手順に関する一考察
◎永徳はるか(NTT) |
B-6-5 |
移動端末の接続先エッジアプリ制御方式の検討
◎小野孝太郎・石橋亮太・鍔木拓磨・中原悠希・桑原 健(NTT) |
従来,SIPを用いた事業者間のIP相互接続時は,SIPサーバ内で,異常・エラーが発生すると,アラームやログ等を分析することで障害原因を特定している.しかし,SIPサーバの台数が多く,SIP系障害は多種多様なため,SIPサーバにおける異常検出は簡易ではない.
異常検出や不正発見等のため,教師なし学習であるクラスタリング手法がよく使われている.このような従来のクラスタリング手法では,ログの類似度から,特徴的なパターンを抽出することで分類を行っている.しかしながら,従来手法では分布の類似パターンのみ抽出でき,データ数が少ないと,同一クラスタとして分類されてしまう欠点がある.
本研究ではログの複数パターンから潜在的な特徴を抽出できる因子分解法を活用し,膨大ログのパターン化を実施することでSIPサーバにおける異常ログの特徴を抽出する.
障害箇所推定機能について検討を行った。SIP情報を元に経路を特定し、その経路上の障害箇所の探索を行うことに着目しての検討を行った。当該機能と網内の各SIPサーバとの具体的なIFについては、提案機能と連携するSIPサーバの製品仕様等を考慮し、提案機能内で収集したSIP信号から解析を行うか、もしくはIFの規定を検討する必要がある。
IMS間のNNIでSIPを採用するにあたり、網間のGWノードとしてIBCFをB2BUA方式で実装することによる有効性を紹介する
本研究では、時代に合わせたコミュニケーションサービスの提供を目的として、通話におけるアナウンスメント提供手順に関する仕様拡張を検討する。通話時のアナウンスメントについては、近年のスマートフォンの普及による通話形態の変化等の影響を受けて、3GPPにおいても盛んに検討が行われている。本発表においては、従来通話開始前の提供を前提とされていたアナウンスメントを、通話中にも継続して提供するための手順、及びその適用例を報告する。
端末近傍に配備されたサーバ基盤(エッジ基盤)によりサービスが提供されるエッジコンピューティング環境では、サービス要件の充足やネットワーク負荷低減のため、コネクテッドカーのように移動する端末がその時々に最も近接するエッジ基盤上のアプリ(エッジアプリ)と接続してサービスを利用することが望ましい場合が想定される。本稿では、移動端末がその時々に最適なエッジアプリに接続できるようにするために、移動端末の在圏地域に応じたエッジアプリの名前解決応答と必要に応じた名前解決結果のキャッシュ削除を実施することで、端末負荷の増大を回避しつつ移動端末の接続先を適切に制御する方式を提案した。
休 憩(11:00 再開) 座長 藤本章宏(和歌山大)
B-6-6 |
EPCにおけるIPv6シングルスタックに関する一考察
○國友宏一郎・宮坂 昭(ドコモ・テクノロジ) |
B-6-7 |
NB-IoT端末におけるSMS in MMEのタイマ値に関する考察
○渡邉紘輝・阿部元洋・國友宏一郎(ドコモ・テクノロジ) |
B-6-8 |
特定の管理サーバを必要としない省電力サーバシステムの開発について
北村光芳・○竹下敏和・谷 昂樹・山口拓実(東京工芸大) |
B-6-9 |
サーバシステム構築トレーニングシステムの開発について
北村光芳・○山口拓実・谷 昂樹・竹下敏和(東京工芸大) |
B-6-10 |
無線アクセスを用いた固定電話の実現方式の考察
○鐘ヶ江俊介・栗田弘之(NTT) |
EPCにおいて,IPv6をシングルスタックで用いる場合の課題について考察する.
3GPP networkに収容するNB-IoT端末にSMS in MMEを適用する場合の課題を明らかにし、提案手法を検討した。
近年,クラウドコンピューティングは我々に便利なサービスを提供しており,そのサービスは我々の生活にとって必要不可欠となっている.そのため,そのサービスを支えるサーバシステムの高可用性や省電力化を実現することが重要となる.一般的に省電力サーバシステム(PSS)は,特定の管理サーバがサービスを提供しているサーバの負荷を測定し,その状況に応じた構成にサーバシステムを変更することによって省電力化を実現している.そのため,特定の管理サーバが故障した場合を想定した設計が必要となり,その制御方法の複雑化や管理対象サーバ数に伴う,管理のための負荷の増加が懸念される.そこで,本報告では特定の管理サーバを必要としないPSS についてのサーバ構成および処理概要について示す.
近年,インターネットサービスの発展により,我々の生活にとって非常に便利なサービスが提供されている.今後,新たなサービス要求の増加が予想されるため,サーバシステムを構築するスキルを持ったエンジニアを育成することが重要となる.それらを育成するためには,学習用サーバの用意やサーバシステムの構築知識を持つ講師の手配など,多くのコストが必要となる.そこで,サーバ仮想化技術を採用し,1台のコンピュータで同時に複数のサーバエンジニアを教育可能なサーバシステム構築トレーニングシステム(SSCTS)の開発を行う.本報告ではSSCTS の構成概要を示すとともに,システムの効率的な構築方法およびその機能を示す.
NTTはこれまでルーラルエリアに、固定電話のためのメタルケーブルを配備してきたが、その更改を行うにあたり、山間島部は、光ファイバー設置・維持コストが高く、無線を利用した固定電話が、議論されている。0AB~J番号を利用するための技術的要件担保が課題とされている。本稿では、技術的要件の担保に向け、前提となる既存のネットワークを整理したうえで、実現方式を比較評価した結果を示す。
3月17日 13:30〜17:15 工学部 講義棟1F 116講義室 座長 山垣則夫(NEC)
B-6-11 |
DNS水責め攻撃に対抗するDNSキャッシュサーバ上でのFQDNベースホワイトリストフィルタに関する検討
◎長谷川圭太・戸出英樹・近藤大嗣(阪府大) |
B-6-12 |
グラフ中心性に基づくDDoS攻撃検知特徴量の検知精度評価
◎林 裕平(NTT)・藤岡碧志・鈴木彦文(信州大) |
B-6-13 |
ブロックチェーンを用いたトレーサビリティシステムの設計と評価
◎佐藤呼春人・萬代雅希(上智大) |
B-6-14 |
MQTT プロトコルと秘密分散法を用いた IoT 向けセキュリティシ ステムの実装と評価
◎中川雅人・ガジェゴス ラモネト アルベルト・野口 拓(立命館大) |
B-6-15 |
MPLS網内の任意箇所におけるパケットのVPN選別方法
○井上寛規・大澤 浩(NTT) |
B-6-16 |
ネットワークシステムにおけるサイレントチェンジ対策の一提案
◎横田昌宏・並木雅俊・武智宏人・荒谷克寛・前田英樹(NTT) |
B-6-17 |
IP相互接続における障害箇所推定手法に関する検討
○雑賀 優(NTT) |
B-6-18 |
通信系伝送装置における音声系障害検出方式の検討
○金光卓生(NTT) |
マルウェアを用いて大量の情報機器をボット化し,攻撃目標のサーバに対して一斉にアクセスを行わせるDDoS攻撃が大きな社会問題となっている.その1つに,ボット群がDNSクエリ中のFQDNとして,存在しないランダムなサブドメインを指定し,接続先のDNSキャッシュサーバのキャッシュを無効化して攻撃対象の権威DNSサーバに大量のクエリを到達させるDNS水責め攻撃がある.この攻撃に対し,正常ユーザのDNSクエリ内のFQDNに着目し,DNSキャッシュサーバに関するキャッシュ特性を加味したFQDNベースホワイトリストを用いる防御手法を提案する.
近年,ポートをランダム変化させて攻撃を行うDDoS攻撃や,間隔を空けて攻撃を行うパルス状DDoS攻撃,攻撃先を変化させて攻撃を行う絨毯爆撃DDoS攻撃等の巧妙化されたDDoS攻撃が流行している.本稿ではこれらの検知に向け,一般のルータから得られる 5-tupleで定義される通信フロー(以降,単にフローと呼ぶ)データから計算可能な,グラフ中心性に基づく攻撃検知特徴量を提案する.
本研究では, ブロックチェーンを用いたトレーサビリティシステムにおける, コストと性能について検討する.具体的には, コストと性能の拡張性を考慮したスマートコントラクトの設計法と追跡アルゴリズムを示す.スマートコントラクトの設計に関しては, 直近の配送, 製造情報のみ記録することで, 記録コントラクトのコストの増大を線形にする.また, 追跡アルゴリズムの設計に関しては, 追跡対象の製品の物流, 製造処理を, 対象を柔軟に変えつつ原料調達の段階まで遡る.
本論文では, MQTTプロトコルと秘密分散法を用いたIoT向けセキュリティシステムを提案する. 既存のMQTTセキュリティであるSSL/TLSを利用する際, CPU性能の低いIoT機器によっては使用が困難な場合がある. その原因として, 共通鍵の共有に用いる公開鍵暗号の素数生成が考えられる. そこで, 本提案では公開鍵暗号に代わる共通鍵の共有方法として漏洩や改竄に強い秘密分散法を用いたセキュリティシステムを提案する. 実験において公開鍵暗号と比較を行った結果, 秘密分散法がIoT環境での鍵共有に適していることを示した.
これまでMPLS網パケットのVPN選別は,PEルータ上では容易だが,Pルータ上では困難であった.本提案により,Pルータ上でもベンダ非依存でVPN選別でき,MPLS網の任意の箇所でVPN選別が可能となる.また,PEルータ数と網構成によっては,提案方式により必要パケット複製箇所数を抑制できることがわかった.
伝送装置をはじめとするネットワーク装置において、サイレントチェンジ(通知がないままでの部品変更)に伴う故障や不具合により、商用サービスに影響を与える事象が発生している。今回、装置内のモジュールやのサイレントチェンジのリスクを事前に推定することにより、問題混入を早期に検出するとともに、故障発生時に故障原因特定の早期化およびサービス影響範囲を抑え、保守稼働を削減することに繋げる。
IP相互接続時に障害が発生した際にSIP(Session Initiation Protocol)[2]、RTP(Real-time Transport Protocol)[3]を活用して障害箇所を推定する手法に関して検討した結果を述べる。
デジタル処理を行うエコーキャンセル機能を持つ通信系伝送装置において、装置内での演算処理誤りによる雑音等の音声系障害の発生時に音声データのみが異常となった場合は、エコーキャンセル機能の動作特性から異常の検出が難しく、障害が継続してしまう懸念がある。今回提案する音声障害検出方式を採用することで、エコーキャンセルを含む音声処理前後での音声データの変化によらず該当の通話チャネルの正常性の確認が可能となる。
休 憩(15:45 再開) 座長 木村共孝(同志社大)
B-6-19 |
遅延ベース輻輳制御の収束性改善に関する一検討
○石倉彰太郎・山本 幹(関西大) |
B-6-20 |
RDMAにおけるレート変動を抑えた輻輳制御方式
○野口雅広・菅原大輔・山本 幹(関西大) |
B-6-21 |
優先パケットを考慮したENUM通信の輻輳制御方式
○杉木優太(NTT) |
B-6-22 |
OVS環境における音声品質と開発工程における留意点
○中村 拓(NTTドコモ) |
B-6-23 |
タイルベースの360度動画ストリーミングにおけるタイルクオリティ選択方法
◎関根ありさ・萬代雅希(上智大) |
B-6-24 |
ライブ/リニア配信向けマニフェスト制御方式における原型マニフェストファイル取得手法の評価
○奥山隆文・趙 笑添・北田裕之・瀬戸三郎(NTT) |
輻輳制御方式として,これまで多くの方式が提案されてきた.近年,目的関数を機械学習により最適化する方式がいくつか提案されてきた.これに対し,目的関数を用いたうえでアルゴリズミックに動作し,そのレートがナッシュ均衡条件を満足する手法として,遅延ベースのCopaが提案されている.本稿では,Copaの送信レート収束性の問題を解決する方向性について検討する.
データセンタネットワーク(DCN)において広帯域,低遅延を実現できるRDMAが注目されている.RDMA環境における輻輳制御としてDCQCN\cite{dcqcn}とTIMELY\cite{timely}が提案されている.両者ともレートベースの輻輳制御であり,輻輳シグナルとしてDCQCNはECN、TIMELYはRTTを用いている.本稿では,両方式に安定性の観点で技術課題があることを示し,これを解決するレート変動を抑えた新しい手法を提案する.
2021年より電気通信事業者間でIP相互接続を開始する。IP相互接続前は電話番号を用いて着信事業者へルーティングしていたが、IP相互接続後はドメインを用いて接続する事が事業者間で決定しており、各事業者は着信事業者のドメインを管理するENUMサーバを運用して宛先解決をする事が決まっている。一般呼、優先呼関わらずほとんどの通信はENUMサーバに問い合わせを行い、宛先解決を実現する。ENUMサーバ輻輳時に優先呼を救済する方法を検討する。
テレコムVNFのパケット中継方式をOVSで実装した場合の音声品質データより、サービス提供できるレベルであることの共有及び、開発工程における留意点を共有する
本研究では,タイルベースのストリーミングにおける,タイルクオリティ選択方法を提案する.提案方式は,ユーザの頭の動きによるviewport領域の変化によって起こるviewport内の空間的なクオリティ変化を抑制する.タイルクオリティ選択では,viewportとその周辺のクオリティレベルの差が大きいとき,その差を減らす.シミュレーションの結果,視聴ビットレートを大きく減らすことなく,viewport内のクオリティ変化を大幅に減少できることを示す.
HTTPストリーミングにおけるライブ/リニア配信において,マニフェスト制御方式を用いる際の原型マニフェストファイル取得手法について,セグメントファイルの特性が手法の性能に与える影響を評価した.
3月17日 9:45〜12:15 工学部 講義棟2F 219講義室 座長 上 豊樹(パナソニックシステムネットワークス)
B-6-25 |
Wake-Up Signal適用時におけるPaging方式の検討
◎宮崎祐哉・阿部元洋(ドコモ・テクノロジ) |
B-6-26 |
ベイズ最適化を用いたマルチアクセス環境における最適ユーザ収容アルゴリズムの検討
○小野央也・成川 聖(NTT) |
B-6-27 |
Intelligent Reflecting Surfaceを用いた移動通信システムにおけるセル間干渉制御に関する一検討
◎橋田紘明・川本雄一・加藤 寧(東北大) |
B-6-28 |
AR Glass as 5G Terminal and its Application in Smart Buildings
○Yue Wang・Tao Yu・Kei Sakaguchi(Tokyo Tech) |
Wake-Up Signal適用時においてPagingが失敗するリスクがある。本課題の要因の説明と解決策の検討を行う。
近年の通信端末はモバイルキャリアの提供するセルラ無線や無線LANなど複数種類のアクセス手段を利用可能となっているが、将来の端末は複数キャリアのセルラ無線や衛星通信など、より多くのアクセス手段を利用可能となることが予想される。その際、各アクセス手段の特徴を加味してアプリケーションの要件を満たすアクセス手段を選択できれば、ユーザの満足度最大化や設備リソースの有効活用が可能であると考えられる。本発表では端末群がLTE基地局と無線LAN APに接続可能なケースでの最適接続先組み合わせ導出アルゴリズムとして、ベイズ最適化を適用したときの探索回数削減効果について報告する。
現在,無人航空機システムやスカイカーの実用化が検討されており,上空のユーザに無線通信環境を提供する必要性が拡大している.しかし,上空は基地局からの見通し範囲が広域に及ぶため,地上エリアと比べセル間における干渉が深刻になる.
そこで筆者らは,上空における干渉レベルを低減するために,IRS(Intelligent Reflecting Surface)を用いて電波伝搬環境を動的に制御する手法の確立を目指している.IRSとはメタ原子と呼ばれる微小な素子を二次元的に配列することにより構成される反射板である.その表面に入射した電磁波の位相を制御できるという特徴を有しており,電磁波の指向性および反射方向を制御することができる.本稿では,IRSが上空におけるダウンリンクのセル間干渉を抑制し,上空に存在するユーザのSINR(Signal to Interference plus Noise power ratio)を向上させる手段として有用であることを示す.
These years AR devices, especially AR glasses focusing on visual experience, have made great progress and been applied in various fields. 5G promotes the development of other technologies, such as AI and smart buildings. In this paper, an application is shown for a lighting control platform and is implemented in an indoor scenario where users can detect illuminance and control the lighting system by gestures or voice via an AR device.
休 憩(11:00 再開) 座長 小島英春(阪大)
B-6-29 |
リアルタイム通信アプリケーション利用時のサーバ配備箇所選定手法の提案
○佐藤卓哉・中村孝幸・本間俊介・天坂光男・岡田智広(NTT) |
B-6-30 |
ネットワーク事業者におけるフィルタ転送設定確認方式
○藤原貴之・渡辺裕太・武田知典(NTT) |
B-6-31 |
仮想化環境におけるハードウェア障害に対する再開処理の改良提案
○三原孝太郎・戸田貴都・佐久間美能留・木村伸宏(NTT) |
B-6-32 |
MECに対するキャッシュポリューション攻撃の影響分析
◎芦原大和・上山憲昭(福岡大) |
B-6-33 |
ブロックチェーンを用いた個人信用スコアシステムの提案
◎△許斐健太・上山憲昭(福岡大) |
複数のクライアントが一箇所のMECへアクセスして一つのアプリケーションを実行する環境においては,クライアント毎の遅延量のバランス等がアプリケーション全体の性能や体感品質に影響するケースがあり,その場合は,複数のクライアント毎の遅延量に基づいて総合的にサーバの配備場所を選定する必要がある.本稿では,サーバ配備場所の適切な選定が求められるユースケースに対して,その選定手法を提案する.
ネットワークのサービス多様化に供え,エッジには柔軟かつ迅速に機能・性能を準備できるアーキテクチャに対応できることが望ましい.Mobile Edge Computing (MEC) 等のエッジコンピューティングアーキテクチャを前提とした場合,エッジ装置はサービス対象となるパケットを選別し,サービス部へ転送する必要がある.このような処理の実現例として,Virtual Routing and Forwarding (VRF)と,Match / Actionルール(以降,M/A) による転送処理を定義する方法がある.一方,従来のIPフォワーディングに比べ転送条件が複雑化するため,設定投入直後にサービス用の通信経路が正しく反映されているかを確認できることが,ネットワーク事業者にとっては望ましい.
音声系システムをVMとして仮想化基盤上で動作させるとき、音声系システムが特有に備える再開機能について、仮想化技術であるオートヒールを活用することで、システムの信頼性を更に向上させる方式について提案する。
従来の再開機能ではハードウェア障害に対しては再開エスカレーションの結果による障害系の最終的なFLT(サービス不可状態)遷移することで対応していたが、FLT経由することで片系運転時間が長くなるという課題があった。これに対して再開動作時にオートヒールをあわせて実行することで、FLTを経由させることなしに障害の発生しているハードウェアから退避する方式を提案する。
悪意 を持ったユーザが意図的に低人気のコンテンツに多数の要求を 行うことで低人気コンテンツをキャッシュさせ,キャッシュの 効果を低下させるキャッシュポリューション攻撃 (CPA: cache pollution attack) の問題が指摘されている .本稿では, CPAのモデルとして4つの方式を検討し,正常ホ ストのキャッシュヒット率低下度合いを計算機シミュレーション により評価した.その結果,Smart fixed 型以外の 3 つの CPA 方式のキャッシュヒット率低下効果は同等であり,攻撃対象コ ンテンツ数がコンテンツの総数に対し数 10%程度の広い領域 で,また攻撃ホスト数が少ない領域で,その脅威が大きくなる ことを確認した.
近年中国では個人の信用スコアを、融資、賃貸、シェアサイクルやカーシェアなどのシェアリングエコノミーなどの様々な場面で活用しようとする動きが高まっている. また海外の国々や日本でも個人スコアを使用する動きが高まっている. 現在は一企業が個人ごとに個人の信用スコアを算出しているため、個人の信用スコアの算出方法は企業に依存しているのが現状である. ビットコインを始めとする暗号通貨の核となるブロックチェーンと呼ばれる技術がある. 暗号通貨ではブロックチェーンを用いることによって第三者を通さずに通貨の受け渡しが可能である. さらにイーサリアムと呼ばれる通貨には通貨の受け渡し以外にスマートコントラクトと呼ばれる自動契約を第三者を必要とせず、履行できる仕組みを保持している. 本研究ではイーサリアムを使用し、個人の信用スコアの算出方法を一企業に依存せず、各個人が各個人の信用スコアを評価するしくみを提案する.
3月17日 13:30〜17:15 工学部 講義棟2F 219講義室 座長 高野知佐(広島市立大)
B-6-34 |
ヘッダサンプル型xFlowパケットのロードバランス機構に関する一検討
○西岡孟朗・林 裕平・大澤 浩(NTT) |
B-6-35 |
xFlow生成・分配システムにおける負荷分散手法
○大澤 浩・西岡孟朗・三好勇樹・林 裕平(NTT) |
B-6-36 |
xFlowパケット内のヘッダサンプルフォーマット変換方式
○三好勇樹・林 裕平・井上寛規・西岡孟朗・森岡千晴・大澤 浩(NTT) |
B-6-37 |
通信系装置における電源供給方式の検討
○佐藤教之・古屋貴行(NTT) |
B-6-38 |
N-Act 運用における装置増設時のサービス継続提供に関する検討
○渡辺裕太・武井勇樹・西口雅人(NTT) |
B-6-39 |
ディスアグリゲーション化された伝送装置の接続設定簡易化に関する検討
○本田健太郎・伊藤 健・前田英樹(NTT) |
B-6-40 |
共通線のIP化によるリンク設定方法に関する一検討
○渡邊宏介(NTT) |
ネットワークトラヒックの分析のために,サンプルパケットのパケットヘッダ情報を収集するヘッダサンプル型 xFlowと呼ばれるフローサンプリング技術が存在する.また近年,サーバの処理性能向上に伴って,ネットワークトラヒックの処理をサーバ上のソフトウェアにて行うような技術や製品が多く登場している.本稿ではソフトウェアによるヘッダサンプル型xFlowの分析処理性能向上のためのロードバランス機構を提案し,従来方式との定性的な比較評価を行う.
xFlow(NetFlow/IPFIX/sflow等)の受信・分析を行うフローコレクタが受け切れないケースでは,複数のフローコレクタを設置し負荷分散を行う事が必要となる.本発表ではフローの内容を加味した効率の良い負荷分散手法を提案する
増加するネットワーク(NW)へのサイバー攻撃を低コストで検知する為,パケットのヘッダ情報のみを収集するIPFIXやsFlow等のヘッダサンプル型xFlowと総称される技術が存在する.
著者らはこれまでトンネリング技術を多用するNWにおいて,ミラーリングしたパケットをフォーマット変換(FC)することでinnerフロー情報を収集する方式を提案した.
本稿ではヘッダサンプル型xFlowによるサンプルをFCすることで,同様にinnerフロー情報を収集する方式を提案し,評価と考察を実施する.
電気通信サービスを提供する局舎には機能や目的が異なる多数の装置が設置され、これらが連携してサービスを提供している。通常これらの装置を起動する場合、作業者が手作業で装置を順番に起動する手順を実施する。しかし、商用電源が停電から復電した場合等、通常の手順と異なり、全ての装置が同時に給電される。その結果、装置が正常に起動せず、サービスを提供できない場合がある。
作業者による手作業を自動化し、短時間に確実なサービス復旧を目的に、作業者無しで多数の装置を順番に起動する方式を提案する。
複数のアプライアンス機器を利用して高信頼製を保ちつつネットワーク機能を提供する方法としてN+m冗長化方式やN-Act方式がある。N-Act方式では装置故障時に予備系機器を現用化した際に故障が顕在化するリスクが小さい。
しかし、ハッシュによる負荷分散時を活用している場合において、分散先となる対象装置の増設等を行った際には再ハッシュにより多数のセッションが断となる懸念がある。
今回、既存セッションへの影響を抑止し、サービス提供を継続しつつ装置増設を実現する技術を提案する。
近年、トランスポートネットワークに用いられている伝送装置は、伝送に必要な全ての機能が1つの装置に集約されているオールインワン構成から、機能毎に装置を分割し、必要な装置を選ぶことで初期投資を抑えることが可能となるディスアグリゲーション化が進んでいる。
本報告では、ディスアグリゲーション化された伝送装置を初期建設・増設する際に稼働の増加を招いてしまう各装置間の接続に関する課題について検討し、解決方法の提案を行う。
交換機の維持限界等の理由からIP網への円滑な移行の検討が進められている.移行後の形態では,メタル回線を維持し,メタルからIPへの変換装置を介して電話端末をIP網に収容する方式が考えられている.本稿では,制御信号となる共通線に着目し,共通線をIP網に移行を行う際のリンク設定方法に関する課題を挙げ,効率的に移行を進めるための方式について提案を行う.
休 憩(15:30 再開) 座長 上田清志(日大)
B-6-41 |
データトレンドを用いたネットワーク散在データ検索方式
○野口博史・片岡 操・磯田卓万・服部恭太(NTT) |
B-6-42 |
Hash法に於けるruleのany値展開時の配列型利用の提案
○金子 斉・西木雅幸(NTT) |
B-6-43 |
ICNを用いたIoTサマリデータのキャッシュ法の提案
◎佐々木 颯・上山憲昭(福岡大) |
B-6-44 |
異種 Skip Graphの連携による空間的自己相関をもつデータの検索に適したクエリ転送法の検討
○藤田悠生・藤本章宏(和歌山大)・戸出英樹(阪府大) |
B-6-45 |
Fileサーバを使用しないPeer-to-Peer方式サーバ管理システムの開発
○谷 昂樹・北村光芳・竹下敏和・山口拓実(東京工芸大) |
B-6-46 |
BitTorrentにおける近傍性を考慮した協同グループの導入によるピース取得効率向上
◎林 優輔・藤本章宏(和歌山大)・戸出英樹(阪府大) |
B-6-47 |
P2Pストリーミングにおける保持データ量を考慮したネットワーク再構築の検討と評価
◎棚橋祐太・青木道宏(愛知工業大) |
Internet of Things (IoT)が急速に拡大を続けており,ネットワークにつながるデバイスが生成するデータを活用するサービスが増加している.本稿は,データトレンドと呼ぶネットワークごとのデータ傾向を用いたソフトウェア配備により,広域ネットワークに散在するデータを高効率に検索する方式を述べる.
高速packet検索技術としてHash法があるが その適用は原則として各ruleの検索field長が固定である場合に限られ,検索fieldがany値を含む場合は,二分木法が用いられるのが一般である.筆者らは,検索field長が固定で無い場合に,Hash 法を適用する手法を提案しているが,本稿では,any値を展開する手法の改善案について述べる.
特定の地域に存在するセンサ情報の平均値,標準偏差,サンプル数を取得するサービスを想定し,平均値や標準偏差の演算結果をキャッシュして再利用することを検討する.キャッシュデータを活用することにより,どの程度,1回の配信における転送データの総経由ホップ数を低減可能か評価する.キャッシュは要求エリアの全データが集まったルータで行う方式をとる.結果として,キャッシュを用いない場合と,最小エリアの単位で経由ルータ上でキャッシュする場合の2つと比較して, 1回の配信における転送データの総経由ホップ数を低減することを示した.
IoT デバイスの増加に伴い,デバイス同士が自律分散的 にネットワークを構築・維持し,高いスケーラビリティを もつ P2P 型 IoT プラットフォームが注目されている.とり わけ,ネットワーク再構築のコストが小さく,範囲検索が 可能な Skip Graph は,当該プラットフォームに適している. 一方で,IoT で扱うデータには「地理的に近接した地点で は類似した値が観測される傾向(空間的自己相関)」のある データが存在し,それが Skip Graph の検索性能に影響を及 ぼす場合がある.本稿では空間的自己相関をもつデータを 効率的に検索するためのクエリ転送法を提案する.
IPv6 の普及によりすべてのIT 機器にIP アドレスを割り当てることが可能となる.そこで,すべてのモノやヒトをインターネットに接続し,新たな価値を創出するInternet of Everything(IoE)という概念が提唱されている.IoEの実現によりインターネットに接続されるIT 機器は爆発的に増加し,それらから得られたデータを管理するサーバの重要性がさらに高まると予想される.そこで,特定の管理サーバを必要としないPeer-to-Peer(P2P)方式サーバ管理システムが提案されている.しかし,P2P 方式はシステムの規模や動作がFile サーバに依存するという問題を含んでいる.そこで,本報告ではFile サーバを使用しないP2P 方式サーバ管理システムを開発し,実験によりその有効性を示す.
教室での教材配布や,映画館やイベント会場におけるコンテンツ配布等,特定スポットにおいて個人端末間でファイルを共有する機会が増大している.今後は,AR/VR/3Dコンテンツ等の普及により共有されるファイルサイズの増大も予測される.本稿では,代表的なP2P型ファイル共有システムであるBitTorrentを基盤とし,近傍のピア同士が協同することで当該グループ内ピアのダウンロード効率を向上させるファイル共有手法を提案する.
P2Pストリーミングネットワークにおいて,ノードの参加・離脱により発生する不均衡なネットワークを均衡化することで,コンテンツの配信効率の低下を抑制することが考えられている.しかし,ネットワークの再構築時に上位ホストが下位ホストになる可能性があるため,コンテンツが動画であるとき,保持データ量の少ないホストの子として保持データ量の多いホストが接続され,待ち時間が増加する可能性がある.そのため,待ち時間を削減するために保持データ量を考慮したネットワークの再構築法を提案した.本稿では,ネットワークの再構築時にかかる管理サーバへの負荷を考慮した評価を行う.
3月18日 9:45〜11:45 工学部 講義棟1F 116講義室 座長 井原 武(NTTドコモ)
B-6-48 |
VNF再配置型SDNにおけるスイッチ内TCAM可用率向上方法
○杉園幸司・河野伸也・岡田昭宏(NTT) |
B-6-49 |
呼制御サーバのNFV化を活用した新たな激甚方式
◎戸田貴都・三原孝太郎・佐久間美能留・木村伸宏(NTT) |
B-6-50 |
SDNに適した機械学習ベースIn-networkアプリケーション識別手法の検討
◎持丸雄匡・下川駿平(九工大)・妙中雄三(奈良先端大)・塚本和也(九工大) |
B-6-51 |
マイクロサービスシステムにおける輻輳抑制手法に関する一考察
○澤崎文彦・荒岡 誠(NTT) |
TCAMはスイッチ出力先検索を高速化する反面,登録可能出力先エントリ数が少ない.新規フロー用出力先エ
ントリの登録成功率を向上すべく,本稿では仮想化したネットワーク機能(Virtualized Network Function:VNF)
再配置時に一時的に生じるデータ転送パス用出力先エントリのTCAM 内滞留時間の短縮方法を提案する.
音声通信サービスを提供する呼制御サーバは,専用ハードウェア(HW)の採用やクラスタ構成(ACT/SBY)によるサーバ二重化,運用局と激甚局による災害対策等により,サービス提供の信頼性を確保している.また,近年では通信システムの低コスト化を目的として,汎用HW(IAサーバ)の採用と仮想環境への移行が提案されており,HW及び維持管理コスト低減の機運が高まっている.
前述の状況を踏まえ,本稿では,呼制御サーバのNFV化を活用した激甚災害への新たな対策方式を提案する.
異なるアプリケーションのフローを一様に制御するための指標としてQoEの活用が期待されている.我々の研究グループでは無線ネットワーク資源の有効活用を実現するために,SDNを用いてQoEを指標としたネットワーク制御手法を提案している.しかし,QoEの算出法はアプリケーションごとに異なるため,アプリケーションは既知のものとして扱っていた.実際の環境においてQoEを活用するには,通信フロー単位でアプリケーションの識別が不可欠である.そこで本研究では,OpenFlowで制御するネットワークにおいて,OpenFlowが"ネットワーク内で取得可能な情報のみ"を用いて,機械学習を活用することで"フローの転送中"にアプリケーション識別を行う手法を提案する.
マイクロサービス技術では、スケールアウトによって輻輳を抑制するアプローチが取られる。しかし、電気通信設備のように要件上オンプレ環境に設置することが前提の設備では、地震災害発生後のような通常の数十倍のトラヒックが発生する場合に、スケールアウトのリソースが不足するケースが有り得る。本稿ではリソースに制限のある環境下におけるマイクロサービスシステムにおける輻輳抑制に関する要件と具体的手法を提案する。
休 憩(11:00 再開) 座長 中平佳裕(OKI)
B-6-52 |
効率的なE2EネットワークスライスのD-Plane構成方式の提案
○中村孝幸・本間俊介・天坂光男・佐藤卓哉・岡田智広(NTT) |
B-6-53 |
サーバ-ネットワーク連携による効率的なパケット転送方式の提案
◎天坂光男・岡田智広・本間俊介・中村孝幸・佐藤卓哉(NTT) |
B-6-54 |
VNFの処理性能と利用コストを考慮した最適サービスチェイン構成法
○長谷川聖樹・橘 拓至(福井大) |
通信に対する多様な要件を持つサービスを効率的に提供する技術として,仮想資源を組み合せた仮想網を共通物理基盤上に構成するネットワークスライス技術がある.通信の多くはアクセスNWからDCまで複数のNWドメインを跨ることから,単一ドメインに限定することなく End-to-Endで一貫してサービス要件を満足するE2Eスライスが必要となる.本稿では, E2Eスライス実現に向けて必要となるD-Plane構成方式について検討する.
近年、映像やゲーム等のコンテンツ配信が増加傾向にあり、より効率的なパケット転送が求められている。IPマルチキャスト方式はパケット転送を効率化する手法として用いられるが、ネットワーク全体が本方式に対応する必要がある。マルチキャスト未対応のパブリッククラウド等から通信を行う場合は、トランスポートNWの区間がマルチキャストに対応していても、ユニキャスト通信を行わざるを得ない。そこで、柔軟にネットワーク資源の設定・管理が可能なSDN技術に着目する。SDNは、NWへの導入に向けて議論が進められている。将来的にトランスポートNWへSDNの導入が実現した環境を想定し、効率的なパケット転送方式について検討する。
複数の仮想ネットワーク機能(VNF)を経由してサービスを提供するサービスチェイニングでは,VNFを適切に配置することでデータスループットを向上できる.一方で,VNFの配置場所によっては,サービスチェインのサービス品質や運用・管理コストが大きく変化する.本稿では,VNFの処理性能と利用コストを考慮した最適サービスチェイン構成法を提案する.提案法では,最適化問題の解を導出することで適切なサービスチェイン構成を決定する.数値例の性能比較から,提案法によってコストあたりの収入が高いサービスチェイン構成が実現できていることを示す.
3月18日 13:30〜16:15 工学部 講義棟1F 116講義室 座長 木村共孝(同志社大)
B-6-55 |
IP光統合装置の設定制御系インターフェース統合に向けた分析
◎山口 秀・齋藤公利・小池良典・吉岡弘高(NTT) |
B-6-56 |
折り曲げによる光損失を利用した光ファイバ芯線対照方法
◎舘野瑞樹・渡邊宏介(NTT) |
B-6-57 |
ソフトウェアによるTSNスイッチ実現に向けた検討
○小林優太・オゲ ヤースィン・伊藤将志・山浦隆博(東芝) |
B-6-58 |
エッジルータにおける柔軟なユーザ収容方法の検討
○岩橋宏樹・藤原貴之・渡辺裕太・西木雅幸(NTT) |
B-6-59 |
レイヤ2転送システムにおける異方式間連携に関する一検討
◎豊鷲見和都・高橋 賢・吉岡弘高(NTT) |
本稿では,IP光統合制御の実現を目的に転送装置とトランスポンダの制御系インターフェース統合について検討し,トランスポンダを高機能トランシーバとみなすことで転送装置を主体とした設定制御系インターフェースの統合を想定した設定コンフィグの分析を行い,インターフェース統合の可能性を考察した.トランスポンダのパス開通設定を,新たに定義した内部I/Fパラメータ・外部I/Fパラメータ・Manualパラメータの3種に分類し,分析した結果,内部I/Fパラメータが支配的であり,これらは転送装置の設定と関連付けて設定可能なため7割のコンフィグを削減可能であることを明らかにし,IP光統合制御のインターフェースモデルの定義が可能であることを証明した.
光ファイバによる通信の重要性が増しており、所内の現地調査や接続の切り分けにおける光ファイバの特定方法が求められている。本稿で提案する芯線対照方法は、光ファイバの折り曲げによる損失を芯線対照器にて測定し、折り曲げた光ファイバと芯線対照器により測定した光ファイバの同一性を確認するものである。本稿で提案する方法は、芯線対照器の損失の測定結果を光ファイバの折り曲げにフィードバックすることで、光ファイバの折り曲げ過ぎを防止する仕組みを有している。本稿で提案する芯線対照方法により、隣接する空芯線がない光ファイバや現用の光ファイバであっても、サービス影響を低減して芯線対照することができ、所内における現地調査や接続の切り分けにおいて有用と考える。
IEEE 802.1Qbv規格に基づいた仮想マシン間通信を実現するソフトウェアTSNスイッチを提案する.提案手法は,IEEE 802.1Qbv規格に係わる処理をソフトウェアTSNスイッチに集約することで,各ゲストOSのタスクスケジューラの影響やゲストOS間での時刻同期処理を排除する.これにより,高精度な送信タイミング制御を実現しつつ,ソフトウェアの強みである高い柔軟性を確保できる.
IPネットワークにおけるエッジルータ(以下,エッジ)では,収容されるユーザ毎のプロファイル情報を保持することで,インターネット接続や映像配信,電話等のサービス提供に必要な制御をユーザ毎に実施している.従来では各エッジの収容ユーザ数を均等となるように収容設計が行われてきた.しかし,近年のユーザの利用サービス多様化に伴い,エッジのリソース消費パターンもユーザ毎に多様化しており,また利用サービスが頻繁に変わることで消費リソース量が変化することも考えられる.本稿ではエッジルータにおけるリソース管理を行い,適切にユーザの収容エッジとバックアップ先を変更可能とする管理サーバの提案と評価を行う。
E-VPNによるL2 over L3NWで異なるサービスタイプ間のL2トンネル構築ができない課題に対し、BGP-CTLを用いてL2トンネル構築を行う手法を提案した。提案方式では、RRと連携するBGP-CTLを用いることで、既存NWへの影響を抑えつつ異方式間連携を行うことを実現する。
休 憩(15:00 再開) 座長 橘 拓至(福井大)
B-6-60 |
次世代車載ネットワークにおけるタイムスロット算出手法
◎久保見 慎・堀 敏典・松下竜真・滝田大介・堀田善文(三菱電機) |
B-6-61 |
In-band network telemetryを用いた事業者間伝送時間情報の連携方法
○西木雅幸・西口雅人・武井勇樹(NTT) |
B-6-62 |
低遅延パケット処理と省電力の両立を可能とするCPU動作周波数動的制御手法の提案
○新井麻衣子・藤本 圭・緒方祐介(NTT) |
B-6-63 |
ネットワーク遅延測定精度向上の取り組み
○高橋 賢・平澤崇佳・中務諭士・森 弘樹・吉岡弘高(NTT) |
B-6-64 |
ネットワーク内遅延の発生位置・方向推定技術に関する検討
◎平澤崇佳・高橋 賢・中務諭士・森 弘樹・吉岡弘高(NTT) |
自動運転を実現するための次世代の車載システムでは、LidarやRADAR等の広帯域、高優先の通信ストリームを収容するためにEthernetを用いたアーキテクチャが検討されているが、これらのストリームは許容遅延が厳しいという要求条件を持つ。要求遅延を満たす手段として、各ストリームに対して確実に情報を転送できるタイムスロットを割り当てるスケジューリングがあるが、ネットワークの機器数やストリーム数が増加するほど、そのタイムスロット算出は困難になるという課題がある。今回、SMT(Satisfiability Modulo Theories)と呼ばれる論理式の充足判定を行うアルゴリズムに注目し、車載ネットワークにおけるタイムスロット算出へのSMTの応用を検討した。
通信品質を監視する手段とであるIn-band Network Telemetry(INT)を用いて通信事業者等の設備での通信遅延や障害発生を迅速に把握し,サービス品質の維持・向上へ活用可能になると考えられる一方,クラウドの普及で,End to Endでの通信品質を把握するためには、各事業者が保持する監視情報を連携させる必要がある.INTで収集する監視情報は各事業者のINT情報を連携させることが難しい課題があるため、各事業者がそれぞれ保有する通信管理機構を活用しつつ事業者連携サービスのEnd-End品質を把握するためのデータ連携方式を提案する.
高いリアルタイム性を求めるユースケースが増え低遅延なNW(Network)が期待されている.NW遅延は様々な区間の遅延が加算されたもので,その中でもサーバ区間のパケット処理ではmsオーダの遅延が発生する事が報告されており,この区間の遅延抑制は特に重要である.また,急速な情報量の増加に伴い増加しているサーバの消費電力削減も期待されている.省電力を実現する手法としてCPU動作周波数を動的に変動する手法があるが,msオーダの遅延が発生する.当該遅延を抑制する手法としてCPU動作周波数を常に最大とする手法が考えられるが,消費電力が高くなることが想定される.本稿ではkernelによる低遅延パケット処理と省電力の両立を可能とする手法を提案し,実機評価により低遅延の観点における提案手法の有効性を報告する.
近年,Mobility carやe-sports等の新しいユースケースに対し遅延観点での要件も求められている.また広帯域なサービス増によりマイクロバーストの影響が無視できなくなってきている。そのため,キャリアネットワーク内にて,エンドツーエンドの正確な網内遅延量や遅延ゆらぎの把握とその情報に基づく最適パスの選択といったNW制御が求められつつある.本稿では,精度の高い測定方式について既存技術との性能比較を行い,その有用性について述べる
ネットワーク網内の遅延測定は、既存技術では区間の特定及び特定リンクの遅延発生方向の推定が困難という課題があった。本発表ではSegment Routing等の経路制御技術を活用し、網内へ遅延を測定するための2種類のプローブパケットを流し、各リンクの遅延量変化を方向ごとに区別して測定する技術を提案する。また、提案手法を用いて試験網で有効性を確認したため報告する。
3月18日 9:30〜12:15 工学部 講義棟2F 219講義室 座長 大石哲矢(NTT)
B-6-65 |
順序制約と経路制約を緩和したサービスチェイン配備問題における列生成法を用いた発見的アルゴリズム
○菊池 淳・佐藤丈博・新熊亮一・大木英司(京大) |
B-6-66 |
ハードウェアアクセラレータ内蔵仮想化対応トラフィック監視システム (1) ~ トラフィックの可視化を実現するシステムアーキテクチャ ~
○池田奈美子・右近祐太・大輝晶子・吉田周平・新田高庸(NTT) |
B-6-67 |
ハードウェアアクセラレータ内蔵仮想化対応トラフィック監視システム (2) ―FPGAを用いた高速かつ柔軟な仮想化対応フロー識別器―
◎右近祐太・吉田周平・大輝晶子・池田奈美子・新田高庸(NTT) |
B-6-68 |
ハードウェアアクセラレータ内蔵仮想化対応トラフィック監視システム(3) ~RTPパケットのジッタとレイテンシのリアルタイム監視~
○大輝晶子・吉田周平・右近祐太・池田奈美子・新田高庸(NTT) |
B-6-69 |
ハードウェアアクセラレータ内蔵仮想化対応トラフィック監視システム(4) ~高効率マイクロバーストパケットキャプチャ手法の提案~
◎吉田周平・右近祐太・大輝晶子・池田奈美子・新田高庸(NTT) |
SC (Service Chaining)は,ネットワーク上でユーザ宛てのトラヒックがVNF (Virtual Network Function)を適切な順番で通るように経路制御を行うことで,ユーザに所望のサービスを提供する手法である.SCでは,ネットワーク資源および計算機資源の有効活用のために,VNFの配置およびチェインの経路を適切に決定する必要がある.過去にVNFの順序制約の緩和や経路制約の緩和により,VNFの配置に柔軟性を持たせ,SCの実現に必要なコストを低減するモデルについて研究が行われている.しかし,これらのモデルにおいて大規模な問題で実用的時間内に最適解を得るのは困難である.本稿では,大規模な問題にも適用できる列生成法を用いた発見的アルゴリズムを提案する.
NFV/SDN等の仮想化技術の進展に伴い、仮想マシン(VM)等を用いた様々なサービスが提案されている。それらのサービスを提供、運用するためには、サーバ等のノード単位ではなく、VM毎の詳細な監視、解析をリアルタイムに行うことが必要である。そこで、汎用サーバとFPGAを用い、リアルタイムかつ経済的な、ハードウェアアクセラレータ内蔵仮想化対応トラフィック監視システムを開発した。本システムにより、仮想化環境のフローを識別し、VMの障害検知やジッタ、レイテンシ測定、瞬間的な帯域増加(マイクロバースト)検知を実現する。
データセンタにおけるネットワークサービスの運用では,障害を速やかに発見するためにリアルタイムのトラフィック監視が重要である.しかし,ネットワーク仮想化技術の進展によりトラフィックが多様化したことで,大量のトラフィックを監視することが困難になっている.仮想化環境ではフロー識別に用いるヘッダフィールドが増えるため,低速な監視ソフトウェアでは高速ネットワークに対応できない.本稿では,FPGAを用いた高速かつ柔軟な仮想化対応フロー識別器を提案する.
音声や動画のリアルタイム配信において伝送経路でのジッタが大きいとドロップアウトが発生するので、ジッタの発生箇所を特定する目的でジッタを監視したいという要望がある.また、パケット処理をソフトウェアで行う通信装置の処理性能を知る目的でレイテンシを監視したいという要望がある.そこで、RTPパケットのジッタとレイテンシをリアルタイムに監視してヒストグラム化する回路をトラフィック監視システムのFPGAに実装した.
ミリ秒単位の短時間内にトラフィックが急増するマイクロバーストは,瞬間的な遅延増大やパケットロスを引き起こすため,映像配信サービスやVoIPサービスなどでは,サービス品質の劣化の原因となる.
本稿では,ハードウェアアクセラレータ内蔵仮想化対応トラフィック監視システムにおける,マイクロバースト発生前後のパケットのみを自動的にキャプチャ可能な効率的なパケットキャプチャ手法を提案する.
休 憩(11:00 再開) 座長 國頭吾郎(NTTドコモ)
B-6-70 |
P4に対するMRC用予備ルーティングテーブル自動生成プログラムの実装評価
○木村圭佑・橘 拓至(福井大) |
B-6-71 |
ONOSとP4を用いた高速障害復旧技術MRCの実装検討
○松原和輝・橘 拓至(福井大) |
B-6-72 |
高精度ネットワーク時刻同期プロトコルの試作評価
◎坂口尚駿・坂上佑介・谷口幸子・川手竜介(三菱電機) |
B-6-73 |
INTと機械学習を用いたトラヒック解析に対する確率的データ収集機構の実験評価
◎吉山遼太・橘 拓至(福井大) |
B-6-74 |
産業用途向けリング型ネットワークの性能評価
○君家一紀・田中宏平・吉田 実(三菱電機) |
現在,多様なサービス展開を実現するために通信ネットワークのオープン化が進められており,データプレーンのプログラムが可能なP4言語による様々な研究開発が行われている.本稿では,MRC (Multiple Routing Configurations) による高速障害復旧をP4で実現するために,MRC用予備ルーティング構成の自動生成プログラムを開発して実装評価を行う.数値例より,ネットワークの規模が大きくなると処理時間が増加するが,スイッチ数が10程度であれば数ミリ秒で処理が終了することがわかる.
通信ネットワークの高速障害復旧技術としてMRC(Multiple Routing Configurations)が提案されている.本技術では,事前にルーティング構成を複数用意し,障害が発生すると障害箇所を使用しないルーティング構成に切り替えることで,高速障害復旧を実現する.先行研究では,データプレーンプログラミングが可能なP4を用いたMRCの実装が検討されている.本研究では,ONOS (Open Networking Operating System)とP4を用いたMRCの実装を検討する.
本発表は、産業や車載ネットワーク向けの最新のネットワーク時刻同期プロファイルであるIEEE P802.1AS-Revをハードウェア試作し、その性能評価を実施したことを報告するものである。まず近年、高精度な時刻同期機能への要求が高まっている背景を記し、IEEE P802.1AS-Revの概要を説明している。これに続きソフトウェア処理を行うことを前提としている本機能をハードウェア処理した場合の利点を挙げ、今回実際に試作した装置の評価結果を示している。最後に本発表で未評価の他の機能の評価を今後行うという展望を記している。
機械学習を用いたネットワーク分析では,In-band Network Telemetry(INT)技術によって収集したデータを積極的に利用することで予測精度の向上が期待できる.
しかしながら,多くのデータを収集すると通信トラヒック量が増加し,ネットワークの通信性能が低下してしまう.
そこで本稿では,INTと機械学習を利用したトラヒック解析に対して,トラヒック量の低減を実現する確率的データ収集機構を提案し,本機構の性能を実験によって評価する.
産業用途を中心に、リング型トポロジーを用いたネットワークが普及している。
リング型では、任意の2ノード間の通信経路が2種類存在することから、単一故障時においても通信を維持することができる。
ゆえに、ロバスト性の高いネットワークを構築できる。
しかしながら現在普及している手法では、専用のハードウェアが必要となり、導入コストや部品の長期供給性において問題があった。
そこで本研究では、一般的なEthernetおよびIPを利用した、専用ハードウェアを必要としない手法を提案する。
3月19日 13:30〜17:30 工学部 講義棟1F 116講義室 座長 山本 寛(立命館大)
B-6-75 |
移動デバイスを含むデバイス間距離推定方式の提案
◎片岡 操・野口博史・磯田卓万・服部恭太(NTT) |
B-6-76 |
階層形車車間通信における走行箇所に基づく情報共有システム
○中村光宏(早大)・山崎 託(芝浦工大)・山本 嶺(電通大)・三好 匠(芝浦工大)・田中良明(早大) |
B-6-77 |
MANETとDTNを用いた車車間ネットワーク構築手法
◎宇野 亮・三好 匠・山崎 託(芝浦工大) |
B-6-78 |
P2P通信とV2V通信を併用した車車間情報配信手法
◎菊地楓雅・山崎 託・三好 匠(芝浦工大)・小野翔多(東大) |
B-6-79 |
車内環境におけるマイクロ波とミリ波を併用した経路制御手法
◎大場貴斗・山崎 託・三好 匠(芝浦工大)・山本 嶺(電通大)・細川元気・國立忠秀(矢崎総業)・田中良明(早大) |
B-6-80 |
位置情報を用いた歩車間危険通知システムの評価
◎△鈴木貴大(早大)・矢守恭子(朝日大)・三好 匠(芝浦工大)・田中良明(早大) |
B-6-81 |
GPSシンチレーションがGPS時刻情報に与える影響調査
◎牧 佑河・毛利未来斗・藤本晶子・塚本和也(九工大) |
カメラ等を利用した見守りサービスなど,物理的広域を移動する対象に追従するサービスを効率的に行うには,あるデバイスで観測された対象が移動後,次に観測されるデバイスを推定する必要がある.GPS等の位置情報を持たないデバイスを利用するには,デバイス間の距離を求めるアプローチが有効であると考える.しかしながら,移動するデバイスを用いる場合には,デバイス間の距離が随時変化するため,分析できるデータ量が少なく高精度な推定が行えないことが課題である.本稿では,移動デバイスも含めたユーザ追従サービス提供を目的に,移動デバイスも含むデバイス間距離を得る方式を提案し,シミュレーションにより有効性を確認した.
今後,自動運転車両と手動運転車両が混在する環境となることが想定される.両車両が混在する環境に対し,従来手法では,車両の運転支援レベルに応じて,車両間で共有する情報を決定する.しかし,自動運転車両が増加した場合,各自動運転車両が他の自動運転車両と互いに直接情報共有するため,トラヒックが増加する.また,本線部と合流部において車両が要求する情報と条件が異なることを考慮していない.そこで本稿では,従来手法を改善するため,階層形車車間通信における走行箇所に基づく情報共有システムを提案している.本方式により,合流部の手前の早い段階で合流車両情報を得ることができる.
近年,運転支援システムの発達に伴い,自動運転が注目されている.自動運転車は,搭載されているセンサやレーダを用いることで車線や障害物を検知し,自律的な走行が可能である.しかし,自車のみから取得できる情報には限界があるため,より高度な自動運転を実現するには,前方の車両が取得した情報を共有する必要があると考えられる.自動車が周辺車両から情報を取得する手法として,車両間で直接無線通信を行い,互いにデータを中継する車車間アドホックネットワークが提案されている.本研究では自動運転が普及した環境を想定した情報共有システムを提案している.
車両間で通信する方法には,直接通信を用いた車車間通信(V2V通信)と移動体通信網を用いたピアツーピア通信(P2P通信)がある.V2V通信では,マルチホップ通信を用いることで車車間アドホックネットワークを構築し,情報を共有する.しかし,車両間の距離が遠い場合は情報が不達となる.P2P通信では,移動体通信網を用いて車両間の距離に依らずに直接情報を共有することができる.しかし,接続する車両数が多くなると移動体通信網や配信元車両への負荷が増大する.本研究では,分断された車両群に対応するため,V2V通信とP2P通信を併用した情報配信手法を提案している.
自動車内のセンサやスイッチ類を接続する配線は,車両の重量やコストを増大する要因になるため,配線の無線化が検討されている.しかし,車両内のような狭い空間では,電波の干渉や人による遮蔽によって無線通信が不安定になる問題がある.本稿では,無指向性アンテナを用いたマイクロ波通信により経路制御情報の共有を行い,指向性アンテナを用いたミリ波通信によりデータ送信を行う手法を提案している.
歩行者と車両の交通事故を未然に防ぐには,歩行者と車両に互いの接近を知らせ,危険行動の回避を促す仕組みが有効である.本稿では,GPSを用いて,両者の移動予測領域を作成し,互いの領域が接した時点で互いに警告を発する危険通知システムを構築してる.そして歩行者と車両の接近を知らせる事前通知時間の精度を実験により明らかにしている.車両速度が小さいと事前通知はかなり早くなる傾向にあり,車両速度が大きいと事前通知はちょうどよいか若干遅くなる傾向にある.
近年,GPS (Global Positioning System) は正確な位置,時刻情報を取得する手段として幅広く普及しており,多種多様な分野で今後利用される技術が要求する高精度な時刻同期の実現にGPSの利活用が期待されている. 現在,GPS によって取得する情報には少なからず誤差が含まれており,特に電離圏環境の不安定化に起因する GPS 信号の電離圏遅延誤差の増加,及びゆらめき (GPS シンチレーション) の影響が最も大きいため,問題視されている.しかし,この誤差量をリアルタイムに推定することは難しい上,その影響は調査されていない.そこで,本研究では,GPSシンチレーションがGPS時刻情報に与える影響を実データを用いて調査する.
休 憩(15:30 再開) 座長 金井謙治(早大)
B-6-82 |
Geo-Centric 情報プラットフォームにおけるIoTデータ処理サーバの選択手法の検討
◎山本悠登・永島 薫(九工大)・妙中雄三(奈良先端大)・塚本和也(九工大) |
B-6-83 |
近距離協調データオフロードシステムのための適応形分散ダウンロードの実装実験
◎水野聖也・山崎 託・三好 匠(芝浦工大) |
B-6-84 |
100ノードの6TiSCH無線メッシュネットワークの実機評価
○佐古田健志・向本将規・伊藤俊夫(東芝) |
B-6-85 |
センサーデータ収集森における森寿命最長化方式
○松浦 洋(NTT) |
B-6-86 |
周期/非周期トラヒックが混在する無線センサネットワークにおけるパケット衝突回避のための送信スケジューリング手法の検討
◎小山 彩・谷川陽祐・戸出英樹(阪府大) |
B-6-87 |
センサネットワークの到達性と中継ノードの有効性(1)
○内海富博・橋本 仁(秋田大) |
B-6-88 |
センサネットワークの到達性と中継ノードの有効性(2):メトリック
内海富博・○橋本 仁(秋田大) |
B-6-89 |
無線センサネットワークにおける深層学習の並列分散割当方式
◎足立賢人・三好 匠・山崎 託(芝浦工大) |
IoT の普及により地域の多様な異分野IoT データを連
携させてIoT サービスを創出する異分野データ連携が
注目されている.これまでに連携データが物理的に近接
して生成される点に着目し,地理空間を意識したコンテ
ンツ(時空間コンテンツ) 流通を行うGCIP(Geo-Centric
Information Platform) を提案した[1].GCIP では,エッ
ジの限られた資源を時空間コンテンツ生成に生かすため
に,スケーラブルかつ効率的なデータの収集・処理アー
キテクチャの提案を行った[1].しかし,アーキテクチャ
の理論性能評価に留まり,実環境における具体的な方法
や技術の検討の必要がある.本研究では,GCIP のエッ
ジサーバ・ネットワークの資源を効率的に活用する前処
理サーバ選択手法と具体的な実装方法を提案し,小規模
な実験環境において評価を行う.
スマートフォンなどのモバイル端末の急速な普及により,ユーザが移動体通信網を介して様々なコンテンツを取得することが可能であるため,移動体通信トラヒックの増加による通信帯域の消費が問題となっている.このような背景から,移動体通信トラヒックを削減するため,複数の端末で協調的にコンテンツの取得を行う近距離協調データオフロードシステムが提案されている.しかし,協調する端末数の増加に伴い,共有に必要な遅延の増加や負荷の偏りが発生する問題がある.本稿では,従来手法として提案されている2つのダウンロード方式を適応的に組み合わせた分散ダウンロード方式を提案している.
産業用機器の状態収集や制御を見据え,広域をカバー可能なメッシュ型,かつ時間保証も可能な双方向無線通信の研究を進めている.広域をカバーするという観点から920MHz帯無線(ARIB STD-T108に準拠)を利用し,双方向通信という観点から6TiSCHを利用した通信ソフトウェアの研究開発を行っている.これまでに我々が開発してきた通信ソフトウェアを実装した無線機を100台展開している.
本稿では,屋内に100台の無線機を設置してネットワーク構築時間について評価した結果について述べる.
センサーを使ったデータ収集は建物管理,自然保護等の目的で広く利用されている.特にツリー状に繋がった各センサーからツリー頂点であるベースステーション(BS)にセンサーレポートを一定周期間隔で収集する形態は一般的であり,多くの論文がNP(non-polynomial)完全問題であるデータ収集木寿命最長化問題に取り組んでいる.対してBSが複数存在するデータ収集森では,森全体の寿命を延ばすために各センサーの所属収集木を決定する必要があり,問題をより複雑にしている.本稿では収集木生成方式ASAGAO(assured switching with accurate graph optimization)を収集森に拡張し,その結果を既存方式と比較する.
近年,ヘルスケア等の用途で様々な種類の周期トラヒックを扱う無線センサネットワークの需要が高まっている.しかし複数の周期トラヒック間でパケットが繰り返し衝突することで連続したパケットロスが発生し,通信品質が低下する.このような問題に対し,筆者らの研究グループでは,アプリケーション層における周期トラヒックのパケット生成タイミングをソースノード間で分散させることでパケット衝突を回避する方式を提案している.これらの方式は,ランダムアクセス型のMAC層制御を採用可能であり,アプリケーション層制御に対する少ない拡張量や負荷で実現できることが特徴である.
本稿では,継続的なモニタリングデータ等が想定される周期トラヒックに対し,何らかのイベント発生等を想定した非周期トラヒックが混在する環境を考え非周期トラヒックと周期トラヒック間を含めたパケット衝突を回避する方式を提案する.
本研究では,省電力化のために中継ノードが間欠動作するセンサネットワークにおいて,データを収集するSinkノードへの到達率が高いネットワークを構成することを最終目的として,到達率に対する中継ノード配置数および接続確率との関係について検討した.
本研究では,省電力化のために中継ノードが間欠動作するセンサネットワークにおいて,中継ノードの設置による経路数への影響と到達性の向上効果を表すメトリックを提案する.
近年,IoTの普及により,さまざまなセンサから大量にデータを取得することが可能になり,これらのデータを機械学習技術を利用したクラウドサービスに活用することが注目されている.今後深層学習を利用したクラウドサービスが拡大すれば,それに伴うクラウド負荷増大や,通信帯域の圧迫が懸念される. 本稿では,無線センサネットワーク(WSN: Wireless sensor network)上での深層学習において,処理能力が大きいセンサノードに畳み込み演算処理を集約する並列分散割当方式を提案し,シミュレーションにより,畳み込み演算の過程で発生する通信量を評価した.
3月20日 9:30〜12:00 工学部 講義棟1F 116講義室 座長 石田仁志(日立)
B-6-90 |
AIネットワークとデータ連携するコンテンツ配信ネットワークのI/Fの検討
○山本秀樹・岩下将人・中松芳樹(OKI) |
B-6-91 |
ネットワーク分散形機械学習における処理分割割当方式
◎本山 潤・三好 匠・山崎 託(芝浦工大)・朝香卓也(首都大東京) |
B-6-92 |
MANETにおけるノードの通信負荷に基づく経路構築手法
◎小野翔多(東大)・山崎 託・三好 匠(芝浦工大)・瀬崎 薫(東大) |
B-6-93 |
IoT機器に対する広域ネットワークスキャンのポート最適化技術
○松下一仁・石岡 裕・和氣弘明・大崎光洋(NTT-AT) |
B-6-94 |
IoT機器に対する広域ネットワークスキャンの頻度最適化技術
○石岡 裕・松下一仁・和氣弘明・大崎光洋(NTT-AT) |
第5世代移動通信システム(5G)や仮想化技術の導入を機に、今後、IoTやマルチメディア等をはじめとした様々な領域において、新たなサービス形態が次々と登場するとともに、NW需要が大幅に増加することが見込まれる。このような状況に対応するため、AI技術を活用した迅速なプロビジョニングや効率的なリソース制御、高度な障害検知・障害復旧を可能とするネットワーク(AIネットワーク)が検討されている。本稿では、AIネットワークとデータ連携するコンテンツ配信ネットワーク制御システムの概要とデータ連携I/Fの概要を示す。
無線センサネットワーク(WSN: Wireless sensor network)におけるセンサの性能向上により,クラウド以外での機械学習の分散処理技術が注目されている.従来手法として,WSNにおいて機械学習の演算処理を分割して各ノードに割り当てる手法が提案されているが,クラウドの負荷は分散されるものの,ネットワーク全体から見た適切な処理の割当は実現されていない.提案手法では,ネットワーク全体から見たセンサノードの負荷均一化を実現する処理分割割当手法について検討する.提案手法の評価をするため,シミュレーションを用いて演算量における従来手法と提案手法の比較を行った.その結果,提案手法では,機械学習の演算処理を適切に分散し,負荷の均一化を実現した.
MANET(Mobile ad-hoc network)は,無線通信を用いることで自律分散的なネットワークを構築することが可能である.
しかし,経路構築時に送信元ノードが宛先ノードを検索するために経路要求をフラッディングすることで,通信資源を過剰に消費する.
この問題に対し,移動体通信を用いることで位置情報をサーバで管理した後,取得した位置情報に基づき仮想的な領域を作成し,不必要な制御メッセージを抑制する手法が提案されている.
しかし,多くの近傍ノードを持つノードが経路に選択されやすく,ノード負荷に偏りが生じる.
本稿では,各ノードの通信負荷を考慮し特定のノードに対して通信負荷を軽減する経路構築手法を提案する.
近年、IoT機器の数は著しく増加しておりサイバー攻撃に悪用されるIoT機器も増加している。サイバー攻撃を防ぐ
ために広域スキャンを実施して国内の脆弱なIoT機器を調査することが不可欠である。本研究ではスキャン頻度とス
キャンポートの最適化を図り、ポートの検出率を維持しつつスキャンに係る通信量の削減を目指した。今回はスキャ
ン対象ポートの最適化技術について発表する。
近年、IoT機器の数は著しく増加しておりサイバー攻撃に悪用されるIoT機器も増加している。そのためサイバー攻撃を防ぐために広域スキャンを実施して国内の脆弱なIoT機器を調査することが不可欠である。本研究ではスキャン頻度とスキャンポートの最適化を図り、ポートの検出率を維持しつつスキャンに係る通信量の削減を目指した。本稿ではスキャン頻度の最適化技術について述べる。
休 憩(11:00 再開) 座長 山崎 託(芝浦工大)
B-6-95 |
Experimental Investigation of Response Delay in Wireless LAN with Realistic Background Traffic
○Rui Teng・Kazuto Yano・Yoshinori Suzuki(ATR) |
B-6-96 |
IEEE 802.11ax 無線LANにおけるTCPを考慮した下りOFDMA伝送法の検討
◎上村洸瑠・谷川陽祐・戸出英樹(阪府大) |
B-6-97 |
同時送信フラッディングとOpportunistic Routingを併用したパケット転送手法
◎横山智之・山崎 託・三好 匠(芝浦工大)・山本 嶺(電通大) |
B-6-98 |
Opportunistic Routingを用いたLPWAメッシュネットワークの屋内実装実験
◎五十嵐健太・山崎 託・三好 匠・新津善弘(芝浦工大) |
This paper studies the response delay properties in
wireless LANs (WLANs). Two scenarios have been examined
in the experimental studies. One is a scenario
without interference from background traffic. The
other has realistic background traffic. We focus on
the WLAN using 2.4 GHz band. By comparing the
response delay performance in these two scenarios, we
evaluate the impact of background traffic on the response
delay.
近年,無線LANに接続する端末局数や無線LAN自体が高密度に配置される状況が増加している.多くの端末局を無線LANに効率的に収容するための一手法として,IEEE 802.11axでは
OFDMA (Orthogonal Frequency Division Multiple Access) に基づくフレーム伝送法が規定されている.これは,チャネルを複数のRU (Resource Unit) に分割し,各RUを用いて複数フレームを同時伝送する
技術である.また,現在インターネットなどの情報ネットワークで伝送されるフローの大半は,TCPを利用して伝送されている.そこで,本稿では,IEEE 802.11ax 無線LANにおける基地局から端末局への下り伝送に注目し,TCPフローへのOFDMA伝送の適用がTCPスループットに与える影響を評価し,TCPスループットの向上法について検討する.
近年,同時送信フラッディング(CTF: Concurrent transmission flooding)という,新たなパケット転送方式について多くの議論がされている.CTFでは,複数端末がパケットを同時送信することにより発生する建設的干渉を利用し,高速で効率的な転送を可能とする.しかし,端末数増加に伴う,パケット数の増加や,建設的干渉が起こらずにパケット損失が発生する問題がある.本稿では,CTFやそれに関連する従来研究を述べるとともに,CTFとOpportunistic routingを組み合わせたより信頼度の高い手法を提案している.また,シミュレーションを行い,その結果から得られる提案手法の性能評価についても示している.
建物内では,情報の収集などのための様々なセンサやスイッチ類が有線配線を用いて多数接続されている.これらの有線配線を無線通信に置き換えることで,センサやスイッチ類の敷設や情報の収集を容易に行うことが可能となる.しかし,無線LANなどでは障害物による遮蔽や電波干渉による影響により,通信可能範囲が狭く多くの端末を設置する必要がある.一方,LPWAでは無線LANで用いる周波数帯より低い周波数帯を用いることで,無線LANに比べ広範囲をカバーした通信が可能である.しかし,屋内環境などでは遮蔽による影響や,通信品質の変動への対応が課題となる.本稿では,屋内環境における効率的な情報収集やノード間での情報共有を行うため,中継経路を各ノードが動的に選択可能であるORを利用したLPWAメッシュネットワークを提案している.
B-7. 情報ネットワーク
3月17日 9:30〜12:15 総合科学部 L棟2F L201講義室 座長 石田賢治(広島市立大)
B-7-1 |
NDNベースのアドホック網におけるPublish/Subscribe通信のRP選択と経路構築に関する一考察
◎村井穏永・小泉佑揮・長谷川 亨(阪大) |
B-7-2 |
排他制御を廃したマルチコアNDNルータにおいてプログラムエラーを発生させないPITの設計に関する一考察
◎小山 亮・小泉佑揮・長谷川 亨(阪大) |
B-7-3 |
複数パケット名を活用した頻度攻撃に対するICNにおけるーデータ名暗号化の脆弱性に関する一考察
◎江夏永広・小泉佑揮・長谷川 亨(阪大) |
B-7-4 |
NDNにおけるSFCのファンクション配置アルゴリズム
○徳永嘉裕・中里秀則(早大) |
B-7-5 |
Ceforeを用いた情報指向型センサネットワークにおける負荷特性評価
◎木村圭吾・水野 修(工学院大) |
筆者らは、Named Data Networking (NDN) アドホック網において、Rendezvous Point (RP)を根とするコアベース木を用いて非同期グループ通信を実現する Publish/Subscribe 通信プロトコルを提案してきた。本稿では、RPを自律的に選択し、コアベース木を構築する機構を追加する。
Named Data Networking (NDN) ルータでは、名前フォワーディングを実現するために、Pending Interest Table (PIT) で転送情報を保持する。この情報に対して、パケット転送ごとに読み書きが発生するため、処理のマルチスレッド化を行う場合、排他制御が必要となる。しかし、排他制御を実現する Compare-and-Swap (CAS) 命令がパケット転送速度を低下させると指摘されている。本稿では、排他制御を施さずに、NDN プロトコルによって回復可能なエラーを許容しつつプログラムを停止させる致命的なエラーを発生させない PIT を設計する。
ICN網では、1つのデータが1つのパケットで構成される場合、データ名を暗号化して、元のデータ名と対応がつかないようにしても、データ名とそのデータへの要求頻度の分布が公開されている場合、人気度の高いデータ名を推測できる(頻度攻撃と呼ぶ)。本稿では複数パケットで構成される場合、人気度の低いデータも推測できることを評価する
IoTデバイスの増加により、通信トラフィックが増加して、ネットワークに膨大な負荷がかかることが予想され、低レイテンシのサービス運用の大きな問題となる。ネットワーのク負荷の軽減するための研究課題として、「ファンクション配置問題」と「ファンクション選択問題」があるが、本研究は前者を取り扱い、サービスファンクションチェイニンング(SFC)をより効率的に行うことを目指す。提案手法として、配置する際にノードの次数に着目し、ランダムにファンクションを配置した場合と比較し、サービスの総実行時間を評価した。結果として、提案手法の方が良い結果となった。しかし、ノードの次数のみを考えることは最適解ではなく、他の着目点からの配置アルゴリズムを取り入れることで、よりSFCを効率的することが期待できる。
複数のM2Mサービスを実現するセンサネットワークについて,情報指向型センサネットワーク(ICSN: Information-Centric Networking-based Wireless Sensor Network)を提案している.これまで,ICSNの実現のため,各ノードの機能設計を行い,Ceforeを用いて実装を行った.ICSNでは,複数のサービスが存在し,サービスが様々な要求をすることを想定している.サービスの増加に伴い要求数も増加し,要求の間隔が狭まり,ノードへの負荷やRTTに影響することが考えられる.そのため,Ceforeを用いたICSNにおいて,要求数や要求の方法の違いによる調査が必要である.本報告では,VMwareを用いてICSNを構築し,3パターンの要求方法の負荷特性を評価した.
休 憩(11:00 再開) 座長 馬場健一(工学院大)
B-7-6 |
Publish/Subscribe型プロトコルをFog Computingに適用したIoTデータ共有方式
◎吉井優輝・木村圭吾・天野圭貴・水野 修(工学院大) |
B-7-7 |
時空間的な無線変動を考慮したマルチホップネットワークの検討
○石橋孝一(金沢工大) |
B-7-8 |
面の再帰分割に基づくDTNにおける無人機の最適配分
○張 至杰・林 幸雄(北陸先端大) |
B-7-9 |
IoT家電における踏み台攻撃を想定した質問回答型不正機器排除方式
◎篠﨑健治・水野 修(工学院大) |
B-7-10 |
遠隔計算検証法における検証情報を用いた攻撃と対策
○増田大輝・北 健太朗・小泉佑揮・長谷川 亨(阪大) |
IoT(Internet of Thing)デバイスとクラウドの中間にデータの事前処理を行うフォグノード(FN:Fog Node)を集約したFog Computingが注目されている.フォグノードはデータの事前処理だけでなくサービスプロバイダ(SP:Service Provider)と契約しているユーザのIoTデータを収集できる.ユーザとサービスプロバイダ間でIoTデータを共有することにより新たなサービスの創出も期待できる.しかしフォグノードを提供する主体が異なる場合,IoTデータ命名規則が独自になることが想定される.よってサービスプロバイダから契約しているユーザが所持するフォグノードに対してIoTデータの取得指定が行えずIoTデータの共有が困難となる.本稿では,Fog ComputingによるIoTデータ共有方式の実現を目的とし,実装を行いTagIDをTopicに付与し名前解決を図った.
身の回りに存在する「モノ」をネットワークに接続することにより、サイバー空間とフィジカル空間とを
高度に融合させたSociety 5.0に向けた取組みが進められている。このSociety 5.0では、
データを収集するだけでなく、データを永続的に収集できることが重要となる。
ここでは、Society 5.0に向けたIoTシステムとして、時空間的な無線変動に対して、
確実なデータ収集を可能とする無線マルチホップネットワーク構築について議論している。
本研究は、空中ネットワークの構造と無人機の最適配分を検討する。各種のセンサーや無線通信装置などを搭載する無人機を複数台使って被害地域上空に決まったルートに配置して通信をリカバリーすることを考える。基本構成(DTN+MSQ)について、固定基地局(ネットワークのノード:中継ノード)と無人機(運ぶ役:転送データを一時的に蓄積)で構成され、情報は無人機を通じてリレーされる。MSQネットワークの各面を巡回する複数台の無人機を二重設置(時計回りと反時計回り)して、中継ノード間の送受信要求に応じて各サイクルのメッセージフェリーの配分数や巡回速度を調整するものとする。
様々なモノがインターネットにつながるInternet of Things(IoT)機器が注目されており,中でも処理能力が高くないIoT家電は顕著に増加している.IoT機器には多数のセキュリティ上の脅威が存在するが,既存の対策ではユーザの意図通りに動作するという正当性の担保対策が不足している.そこで,異常を検知後,正当な機器が不正機器の正当性を検証し,非通信化させるシステムを提案した.本稿ではIoT家電が自律的に正当性を判断する方式の有効性と軽量性を実験により評価した.実験結果より,ソケット通信時と比較し最大でも2倍程度のCPU使用率において100%の割合で正当性を担保可能であった.
あるノードが遠隔ノードへプログラムPの実行を依頼し、実行結果RPを受信する計算モデルがある。この計算モデルにおいてPを実行したノード (計算ノード) から返送されたRPがPの実行結果かどうかをPの実行を依頼したノード(要求ノード)が検証する手法が検討されている。しかし既存研究では、Pの依頼、RPや検証情報の受信および検証を行うため、要求ノードが実行するプログラムVへの攻撃を考慮していない。本稿ではVが正しく実行されたことを検証する手法を検討する。
3月18日 9:30〜12:15 総合科学部 L棟2F L201講義室 座長 橋本匡史(阪大)
B-7-11 |
Research on Security and Channel Coding for Satellite Information Networks
○zhiyun Tsai・chiasheng Tsai・yenting Liu(Tatung Univ.) |
B-7-12 |
誤り検出再送による受信者代弁型情報伝送プロトコルへの1bit誤り耐性付加
◎伊藤佑樹・北口善明・山岡克式(東工大) |
B-7-13 |
LoRaを用いた狩猟罠作動通知システムの設計と低消費電力センサデバイスの実装
◎矢崎 陽・韓 承鎬(電通大) |
B-7-14 |
LoRaを用いたIoTシステムの基本特性の評価
○嘉藤 学・境 隆匡・中村勇人・日吉郁人(有明高専) |
B-7-15 |
低消費電力ワイヤレスセンサネットワーク構築のためのノード数最適化手法
○織田悦至・濱崎利彦(広島工大) |
Low-density parity-check (LDPC) code is quite popular, in 1962, proposed by Rober.G.Gallager, its good quality of performance which shall be close to Shannon Limit. However, subject to the difficulty of hardware design before, it was not valued. Nowadays, LDPC codes have been applied to wireless communications, fiber-optic communications, digital video broadcasting-satellites (DVB-S), digital audio broadcasting (DAB), etc. The theoretical research field of LDPC codes mainly focus on performance analysis of decoding algorithms, methods of encoding, and optimizations of code structure. Here, we studied on wireless network information transmission encryption applied LDPC, using Advanced encryption Standard (AES) and hash function to achieve the protection of information security.
1bit誤りに対する,受信者代弁型情報伝送プロトコルの誤り検出再送手順を提案し,当手法で効果が得られる環境条件について述べる.さらに理論解析を用いて,検出頻度の調節によるビット数削減量と遅延の関係を示す.
野生鳥獣被害の農山村への深刻な影響と共に,全国の狩猟者の高齢化により害獣狩猟の効率化が求められている.
本研究は,狩猟罠の作動を遠隔確認する既存の特定小電力無線や3Gを利用した製品の問題を解決し,より安価で利便性の高い狩猟罠作動通知システムの設計を目指して,LPWAN技術のLoRaを用いた狩猟罠の無線作動通知システムを設計し,そのセンサデバイスを実装した.
実装したセンサデバイスは,受信待機時間の設定を4時間/日とした場合,充電池(2500mAh)で1ヶ月動作可能であり,バッテリ寿命・コスト・拡張性において従来製品と比較して十分に実用的であることを示した.