プログラム
format_list_bulleted通信ソサイエティ
一般セッション
- この目次は,インターネット講演申込登録のデータを元に作成されています。
- また,講演者を○,◎印で示し, ◎印は本会「学術奨励賞受賞候補者」の資格対象であることを示します。
- ○,◎の後ろに△がある場合はキャリアエクスプローラーの掲載を希望しています。
B-1. アンテナ・伝播A(電波伝搬,非通信利用)
3月15日 9:00〜11:45 Meeting 16 座長 齋藤将人(琉球大)
B-1-1 |
導体球のサブテラヘルツ帯イメージングの解析と実験
◎大橋諒太郎・西岡泰弘・稲沢良夫・石岡和明・平 明徳(三菱電機) |
B-1-2 |
サブテラヘルツ・イメージングにおけるラフサーフェイス評価
○早馬道也・石岡和明・梅田周作・平 明徳(三菱電機) |
B-1-3 |
サブテラヘルツ波を活用した拍動検知性能の評価
○梅田周作・石岡和明・早馬道也・平 明徳(三菱電機) |
B-1-4 |
サブテラヘルツ波を用いる周辺環境イメージング結果
◎松永 亮・石岡和明・鮫島景子・早馬道也・梅田周作・平 明徳(三菱電機) |
B-1-5 |
テラヘルツ帯における人体遮蔽損失
◎豊竹和孝・今井哲朗(東京電機大)・宮下真行・豊見本和馬・山口 良(ソフトバンク) |
近年,無線通信やセンサー(レーダ)においてサブテラヘルツ帯・テラヘルツ帯の活用が注目されている.著者らはサブテラヘルツ帯を用いた非接触での危険物検知や非破壊での異物検査などの近距離から中距離でのセンシングシステム実現に向けて検討している.本稿では,サブテラヘルツ帯を用いたイメージング実験系を構築し,導体球を対象としたイメージング結果を評価した.また,実験系の条件を再現した電磁界解析モデルを用いて実験結果の妥当性を評価した.
ラフサーフェイスの例として凹凸をつけたアルミ箔をサブテラヘルツ波を用いてイメージングした結果について報告する。レイトレースを用いたシミュレーションと実機を用いた測定とでイメージング結果を比較し、ラフサーフェイスモデルの妥当性について述べる。
サブテラヘルツ帯は、信号の反射を受信することで高精度に測距することができる。
そのため、イメージング等様々な用途での活用が期待できる。
本稿では、この測距精度を活用した人間の拍動検知を活用した場合の検出性能について評価した。
その結果、脈拍計と同等の拍動検出性能を得られることを明らかにする。
サイバーフィジカルシステム実現のために,精度の高い周辺環境センシングが求められている.
センシング技術の一つとして周辺環境を画像化する周辺環境イメージングが挙げられる。
一般的に高解像なイメージングを行う場合、光を用いたイメージングが存在するが、300GHz
前後のサブテラヘルツ帯の電磁波を使用することで、マイクロ波やミリ波が持つ透過性能と
光の高精度なイメージングが両立可能である。本稿ではサブテラヘルツ波を距離1m程度の
イメージングに適用し,性能評価を実施したことを報告する.
次世代移動通信において100 [GHz]を超えるミリ波帯の利用が検討されている.既に275~450 [GHz]帯はWRC-19において陸上通信用途に割り当てられており,各種条件下における伝搬特性の解明が重要となっている.本稿では,電波暗室内にてミリ波帯における人体遮蔽損失の測定を行ったので報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 谷口美緒(室工大)
B-1-6 |
大規模市街地における建物集約を用いた電波伝搬解析の一検討
◎間宮拓朗・中西孝行・瀧川道生・西岡泰弘・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-7 |
PLATEAU3D都市モデルを活用した電波伝搬シミュレーションの実測との比較による検証
◎多田靖弘・杉山健斗・岡村 航・吉敷由起子(構造計画研) |
B-1-8 |
ITS通信における路車間電波伝搬シミュレーションモデルの一検討
◎坂本歩美・藤元美俊(福井大)・小川真人・鈴木 剛(京セラ) |
B-1-9 |
MIMOチャネルモデル化に向けた都市部の鉄道環境における電波伝搬特性の推定
◎栗田いずみ・北野隆康・中村一城(鉄道総研) |
B-1-10 |
並列FDTD解析を用いた5G周波数帯屋内伝搬における人体遮蔽量推定
◎吉田総希・日景 隆・山本 学(北大)・久野伸晃・猪又 稔・山田 渉(NTT) |
無線システムの通信特性を評価する方法として電波伝搬解析が有効である.伝搬解析法の一種であるレイ・トレーシング法は幾何光学回折理論を利用することで,FDTD法のようなマクスウェル方程式に基づく電磁界解析法と比較して,少ない演算量で伝搬解析が可能である.しかし,演算量はモデルの複雑さに応じて増加するため,kmオーダの範囲の市街地モデル等では演算量の問題から解析不能な場合が存在する.本報告では,数キロオーダの市街地での電波伝搬解析をモデルの簡略化によって実現し,実測データと比較から簡略化モデルのパラメータ条件を検討した結果を示す.
Society5.0時代では,より多くの通信機器が用いられ,かつ大規模通信が行われることが考えられ,新たな電波システムの設計・評価・検証を低コストかつ短時間に実施することが求められる.Project PLATEAUでは,3D都市モデルのオープンデータ化が進められており,PLATEAU3D都市モデルの電波伝搬シミュレーションにおける活用が期待されている.本報告では,PLATEAUモデルを用いた電波伝搬シミュレーション結果を実測と比較した結果を報告する.2.2GHzにおける伝搬損失の比較結果は,多くの区間で誤差10dB以内に収まり,誤差が大きくなる区間においても伝搬損失の変動傾向は概ね一致する結果となった.今後は,より緻密なPLATEAU3D都市モデルである,LOD2を活用したシミュレーションを検討する.
近い将来,自動車は通信インフラや交通管制センターと常に通信しながら走行する自動運転が実現されようとしている.その通信手段として,第5世代移動通信システム(5G)やITS通信システムの利用が期待されている[1].ただし,市街地における路車間,車車間通信のサービスエリアは,周波数,市街地構造および基地局構造に大きく影響される.本報告では,実際の市街地構造を考慮したサービスエリア拡大手法の検討に向けて,郊外地の構造データを用いたレイトレースによる電波伝搬シミュレーションを行い,実測データとの比較を行った.また,実測値とシミュレーション値との誤差要因について検討した.
近年,地車間情報伝送の高度化のため,鉄道環境へのMIMOの適用が検討されている.MIMOの適用に向けたチャネルモデルの構築にあたっては,各伝搬路のフェージングの相関が重要なファクタとなっている.そこで本稿では,MIMOチャネルのモデル化にあたってベースとなるフェージングの影響を分析するため,鉄道の特徴的な伝搬環境の一つである都市部の直線区間を対象として,電波伝搬シミュレーションを実施した.
本稿では,ローカル5G屋内利用環境の伝搬特性評価手法確立を目的として,3次元電磁界解析を用いて4.7 GHz帯の屋内環境人体遮蔽特性を評価する。一般的なオフィスルーム内において,複数の人体の遮蔽影響を考慮した伝搬特性推定を大規模並列FDTDシミュレーションにより実現し,統計的評価を行う。
3月15日 13:00〜16:00 Meeting 16 座長 中林寛暁(千葉工大)
B-1-11 |
建設現場におけるセルラー通信伝搬特性評価
○井澤良則・小林暁文・徳安朋浩・油川雄司(NTTドコモ)・茂木誠幸・井澤克俊(コマツ) |
B-1-12 |
無線LANセンシングのためのCSI解析に関する一検討
○△一色良太郎・辻 康介・品川将也・長尾勇平・尾知 博(九工大) |
B-1-13 |
SFN 環境下における列車通過時の遮蔽障害に関する研究
◎石田浩晃・河村拓実・會田颯馬・都竹愛一郎(名城大) |
B-1-14 |
100Wマイクロ波電力伝送における人体上電力密度の推定手法の実装及び有効性検証
◎△喬 楚天・グエン マインタイ(オムロン) |
B-1-15 |
UHF-RFID識別用アンテナの開発
◎大崎友広・岡野好伸(東京都市大) |
建設現場や鉱山など,建機を活用する現場において建機同士の接触事故の未然防止や広大なエリアにおける建機の情報を把握するために,セルラー通信を活用したアプリケーションが期待されている.このようなフィールドでは土砂や建機による遮蔽損失が課題となる.しかし,建機を活用する現場を想定した遮蔽損失の評価はほとんど行われていない.そこで,建設現場における遮蔽損失特性評価を実施したのでその結果を報告する.
近年, 家庭環境のような屋内においてチャネル状態情報(CSI:Channel State Information)を利用した屋内測位技術に関する研究が注目されている.先行研究ではアンテナ2本のCSI を用いることでフレーム同期点ずれから起因する位相シフト成分の除去を行っていた.しかし,アンテナ2本分のCSIを用いることで空間方向(アンテナ方向)の情報を統合しているため,空間方向の情報が失われていしまうという課題があった.そこで,本論文ではアンテナ1本のみを使ってCSIの位相シフト成分の除去する手法を提案し,その効果を示すとともに人検出アルゴリズムの検討を行う.
地上デジタル放送では周波数の有効利用のため約9割がSFN (Single Frequency Network)を利用している。本研究ではSFN環境下における列車の通過が地上デジタル放送波へ与える影響について検討した。変動のある放送波を再現した信号を市販受信機に入力し、所要入力電力(画面にブロックノイズが現れることなく視聴できる最低の入力電力)を測定した結果、振幅変動の無い放送波(基準波)と比較すると劣化量が大きくなりすぎて測定不可となる受信機があった。 SFN 環境下では通常時よりも劣化量が大きく、メーカー・年代によっても影響の大きさが変化するので、SFN 環境下で列車通過による遮蔽障害の影響は無視できないことが分かった。
近年、あらゆるセンサ等の端末が無線化になるDX社会が到来すると話題となっている.そこでマイクロ波を用いた無線電力伝送の研究が注目を集めている.マイクロ波無線給電は長距離給電が可能である一方,給電エリア近傍の人体に影響を及ぼさないように人体上の電力密度を電波防護指針の基準値以下に保つ必要がある.本研究では、人体に装着する電力密度推定用 RF タグを用い容易な人体上の電力密度推定方法を提案した.そして、提案手法を100W EIRPマイクロ波電力伝送システムに実装し、電波暗室とシールドルームにおける推定手法の有効性を検証した.本稿では,提案手法の実装方法について簡単に紹介し、二つの環境における提案手法の評価結果を報告する.
RFID(無線認証)システムは様々な分野でされるようになってきた.その特徴は,非接触で同時に複数の対象物の読み取りが可能な点であり,バーコードやQRコードにかわる技術として注目されている.本研究は,在庫管理の自動化を目標とし,UHF-RFIDのデメリットである密集タグ読み取り時の電磁波干渉を低減することで、RFIDシステムを用いた棚アンテナを実現することを目的とする.これにより,商品の在庫管理において,棚にある商品の種類や個数が正確に把握することが可能となり棚卸しなどが劇的に効率化され,最終的に継ぎ目のない物流管理が可能となることが予測される.
休 憩(14:30 再開) 座長 中村光貴(NTTドコモ)
B-1-16 |
300GHz帯室内無線での人体遮断に関する基礎検討
枚田明彦・○高木駿汰・松井啓祐(千葉工大) |
B-1-17 |
300 GHz帯の人体近傍における時空間伝搬路の基礎検討
○中林寛暁・金子裕明・有村健人(千葉工大) |
B-1-18 |
テラヘルツ波における人体散乱の影響
○宮下真行・矢吹 歩・保前俊稀・豊見本和馬・山口 良(ソフトバンク)・豊竹和孝・今井哲朗(東京電機大) |
B-1-19 |
テラヘルツ帯における人体散乱の偏波特性に関する検討
○矢吹 歩・宮下真行・保前俊樹・豊見本和馬・山口 良(ソフトバンク)・豊竹和孝・今井哲朗(東京電機大) |
B-1-20 |
人体近傍におけるテラヘルツ帯の利用に向けた電波伝搬特性の検討
○林 高弘・竹澤和輝・吉川慧司・長尾竜也・天野良晃(KDDI総合研究所) |
B-1-21 |
テラヘルツ通信に向けた人体遮蔽損失の変動特性の実験的検討
○吉川慧司・林 高弘・天野良晃(KDDI総合研究所) |
次世代移動体通信である Beyond 5G では,超高速・大容量通信の実現に向けて,300 GHz 帯室内無線の利用が検討されている.室内利用においては,テラヘルツ帯の電波は直進性が強いため,人体による遮断に大きな影響を受ける.また,波長が短いため,遮断する人体の部位により減衰量が大きく影響が受けると考えられる.しかし,これまで300 GHz帯における人体遮断については,人体遮断による減衰量の部位依存性などを体系的に調べられた例はあまりなかった[1].我々は,300 GHz 帯無線送信機・受信機を使用し,電波を遮断する部位が遮断による受信電力の減衰量に与える影響を評価した.
Beyond 5Gにおいてミリ波通信をテラヘルツ帯で中継するRadio over Terahertz技術の適用が期待されている.この技術において安定した通信品質を維持するためには,テラヘルツ帯の無線リンクをMIMOシステムで実現することが望まれる.本検討では,テラヘルツ帯として300 GHz帯を用いたユーザ端末とウェアラブル端末等の中継デバイス間の時空間伝搬路について,人体の有無に着目して検討を行った結果を報告する.
次世代移動通信として第6世代移動通信システム(6G)の研究開発が行われている.我々は,Multi User KIOSKをユースケースの1つとして考え, これまで壁面反射特性および人体遮蔽特性を評価した[1−3].本稿では,電波暗室内にて人体遮蔽特性のみならず人体散乱特性の測定を行ったので結果を報告する.
次世代移動通信として第6世代移動通信システム(6G)の研究開発が進んでいる.6Gでは,100 GHz超の高周波数帯(テラヘルツ帯)の活用が考えられており,そのユースケースの一つとしてマルチユーザーキオスクの検討や, 基本的な電波伝搬の研究 も行われている. 我々は, 300 GHz帯において, 人体によるテラヘルツ波の伝搬, 透過損失, 散乱などの特性の検証を行っている. 本稿では, 人体による散乱特性のうち,偏波による特性の違いについて検証を行ったので報告する.
第6世代移動通信システムでは超高速・大容量通信の実現に向けたテラヘルツ帯の利用が検討されている.筆者らは,ユーザ端末の周辺デバイスを協調して送信電力や搭載アンテナ数を拡張する仮想化端末を検討している.ユーザ端末と周辺デバイス間の通信には広い周波数帯域を活用できるテラヘルツ帯の利用を検討しているが,テラヘルツ帯は波長が短く遮蔽による損失が大きい.人体近傍における様々なユースケースにおいて安定した無線通信を実現するためには,周辺環境と送受信間に存在する物体の位置関係に応じて発生する個々の伝搬現象の解明とモデル化が必要である.そこで本稿では,人体近傍でのテラヘルツ帯の活用に向けて,これまで伝搬特性が明らかになっていない100GHz帯の伝搬実験を行い,支配的な伝搬経路を明らかにする.
第6世代移動通信システムでは超高速・大容量通信の実現が要求される.筆者らは,上り回線の高速化を実現するため,ユーザ端末周辺の無線デバイスにアンテナを拡張する仮想化端末を検討している.ユーザ端末間の通信には広い周波数帯域を利用できるテラヘルツ帯を検討しているが,波長が短いため遮蔽損失が大きく,わずかな遮蔽物体の動きにより変動が生じる課題がある.安定したシステムの設計や評価のため,変動を考慮した遮蔽損失の伝搬特性を明らかにする必要がある.本稿では,人体の遮蔽損失の変動の計算モデルを提案し,110 GHz帯の伝搬実験結果と比較して有効性を検証する.
3月16日 9:00〜11:45 Meeting 16 座長 猪又 稔(NTT)
B-1-22 |
232-330 GHz帯屋内伝搬測定
○沢田浩和・松村 武・稲垣惠三・菅野敦史・藤井勝巳・チャカロタイ ジェドヴィスノプ・関根徳彦・笠松章史・小川博世(NICT) |
B-1-23 |
屋内環境シミュレーションによる300GHz帯反射波の効果
○中村光貴・須山 聡・北尾光司郎・富永貴大・小田恭弘(NTTドコモ) |
B-1-24 |
双方向回転反射鏡アンテナを用いた300 GHz帯到来方向/出射方向測定方法の検討
◎保前俊稀・豊見本和馬・山口 良・矢吹 歩・宮下真行(ソフトバンク) |
B-1-25 |
Beyond 5Gに向けた300 GHz帯双角度チャネルサウンダの机上検討
○金 ミンソク(新潟大) |
B-1-26 |
300GHz帯無線フロントホール自動配置のセルサイズ依存性
○奥村 凌・枚田明彦(千葉工大) |
数十Gbpsの高速無線通信が可能となるテラヘルツ波の利用が検討されており,回線設計及び干渉評価を行うための伝搬モデルが必要となっている.本報告では,232-330 GHz帯での屋内伝搬測定の結果から,伝搬損失モデルの検討結果を示す.
NTTドコモでは,第6世代移動通信システムに向け,100 Gbpsの通信速度実現をめざしている.この実現のために,ミリ波より高い周波数帯であるテラヘルツ波が注目されている.しかし,テラヘルツ波はミリ波と比べて,遮蔽による損失が大きいことが知られている.しかし,屋内など周囲に壁や天井が存在する環境では,反射波が遮蔽されずに到来する場合が考えられる.そこで本稿では,屋内環境において,300 GHzで直接波遮蔽時の到来波の伝搬損失をシミュレーションし,反射波の効果について評価した結果を報告する.
300 GHz帯は従来の移動通信に用いる周波数よりも伝搬損失が大きいため,高利得・狭ビーム特性を有するアンテナを利用する必要がある.このようなアンテナの設計・開発を効率的に進めるためには,実伝搬環境における到来波/出射波の諸特性を把握することが重要となる.我々は回転反射鏡アンテナを用いた 300 GHz帯到来方向測定方法を提案しており,本稿では出射方向測定機能の拡張を行う.そして,シールドルーム内測定よりシミュレーション結果と測定結果がおおむね一致することを示し,有効性を確認する.
本稿では,300~GHz帯において双角度チャネル特性を測定するためのチャネルサウンダの机上検討内容を報告する.
6G 移動無線システムでは,多数のリモートアンテナユニット (RAU) を街灯や信号機に設置することにより,超高速通信を実現することが検討されている.街灯などに設置された RAU ,ビル屋上に設置した基地局は 100 Gbps データ伝送が可能な 300 GHz 帯フロントホール無線で接続する必要があるが,地上に設置されたRAUをすべて接続するために必要な基地局数やリンク方法は回線を形成する都市構造に依存する.本稿では,一定のエリアを分割するセル数に応じて接続可能なビル上RAUおよび,地上RAUの数がどのように変化するかを調べた.
休 憩(10:30 再開) 座長 沢田浩和(NICT)
B-1-27 |
建設現場でのセルラー通信における5Gエリア化に関する一検証
○小林暁文・井澤良則・徳安朋浩・油川雄司(NTTドコモ)・茂木誠幸・磨伊 徹(コマツ) |
B-1-28 |
高高度プラットフォーム(HAPS)による5G網と連携した38GHz帯の無線通信システム開発 - 長期伝搬測定の実施報告 -
○北之園 展・鈴木 淳(スカパーJSAT)・外園悠貴・岸山祥久・浅井孝浩(NTTドコモ) |
B-1-29 |
5G基地局を用いた透過型メタサーフェス屈折板による電力向上効果の評価
◎上濱孝文・平松信樹・米原正道(京セラ)・中野久松(法政大) |
B-1-30 |
24/60GHz帯デュアルバンド双角度チャネルサウンダの開発
◎塚田 響・熊倉啓一朗・鈴木直也・高橋莉玖・金 ミンソク(新潟大) |
B-1-31 |
ミリ波帯小セル環境におけるランダムクラスタの発生メカニズム
◎鈴木直也・熊倉啓一朗・唐 率欽・塚田 響・高橋莉玖・金 ミンソク(新潟大) |
建設業界では, 危険な作業環境下での安全確保が必要とされており, その解決策として5G通信を用いた建機の遠隔操作が期待されている. 建設現場でのセルラー通信における5Gエリア化を検証した.
高度20kmのHAPSに搭載したミリ波帯(38GHz 帯)無線局を用いたBeyond 5G時代の無線通信インフラに注目が集まっている.38GHz帯はその周波数特性上,降雨減衰により通信品質が著しく劣化するという課題があり,地上携帯電話網を構成するバックホール回線として用いる場合,降雨減衰による影響が当該エリア全体の通信サービスの品質劣化へと波及するため問題となる.本研究ではミリ波帯のHAPS伝搬モデルや降雨減衰量推定モデルの構築のため,令和3年度に約4か月間に渡って実施したミリ波の伝搬測定についての概要とその結果について報告する.
5Gミリ波は周波数が高く電波が回折しにくいため,障害物の陰は電波が届きにくい.その問題を解決すべく,我々はメタサーフェスに着目し,電波を特定方向へ屈折可能な透過型メタサーフェス屈折板(以降,屈折板)を作製した.屋外に配置された5G基地局から30m離れた屋内の見通し外環境までの伝搬路に屈折板を挿入し,受信電力の向上効果を評価した.屈折板の挿入により屋内見通し外環境で屋内見通し環境レベルまで受信電力が向上することを確認した.
近年,第5世代移動通信システム(5G)などに代表される新たな無線通信システムにおいて,ミリ波帯の利用が拡大している.ミリ波は準光学的な伝搬特性を有することから,個別環境におけるサイト固有な特性を考慮したチャネルモデルの開発が必要とされる.このため,様々な環境においてミリ波をカバーする広い周波数帯で測定したチャネル測定データが大量に必要になる.特に,送受信機における角度チャネル特性の取得が求められるがそのためには膨大なコストと時間がかかる.本研究では,先行研究で開発した60GHz帯で全方位角の高速ビームステアリングが可能なチャネルサウンダを拡張し,24GHz帯も同時に測定が可能にした.本発表では,開発した測定系について説明する.
Beyond 5G や IoT等の普及に伴い,新たな無線システムの開発や展開を迅速に行う必要がある.適用環境に応じた電波伝搬特性を高精度に再現するためには,正確な電波伝搬チャネルモデルが必要となる.特にミリ波帯においては,個別環境の影響を適切に反映するために決定論的クラスタと確率論的クラスタに分けてモデリングするハイブリッドモデルが広く採用されている.ここで,決定論的クラスタは,周辺の主な建物により生成されたクラスタ(直接波,地面・壁面反射など1回正規反射成分)であり,ランダムクラスタは,樹木や看板などの小さな散乱体により生成されたクラスタとして定義される.チャネルモデルを開発するには対象環境における多重波クラスタの生成メカニズムの解明が必要である.本研究では,測定データから抽出した多重波クラスタの伝搬経路を同定し,ランダムクラスタの生成メカニズムを確認する.
3月18日 9:15〜11:45 Meeting 16 座長 齋藤健太郎(東京電機大)
B-1-32 |
A Study of the horizontal and vertical arrival angles at the mobile station in HAPS communications
○HoYu Lin・Akihiro Sato・Hideki Omote・Sho Kimura・Shoma Tanaka(Softbank) |
B-1-33 |
Channel Parameters Simplification with Two-step Delay-Angular Clustering on a Development of Deterministic Radio Channel Emulator
◎Nopphon Keerativoranan・Jun-ichi Takada(Tokyo Tech) |
B-1-34 |
Measurement of Path Loss in Line-of-Sight Condition for Passive Channel Sounder verification
◎Deepak Gautam・Jun-ichi Takada(Tokyo Tech) |
B-1-35 |
Evaluation of applicability of standard rain attenuation model for automotive radar application in humid subtropical and similar regions
○Konstantin Kraskovskiy・Yutaka Takahashi・Yoshihisa Nishigori(OTSL) |
High-Altitude Platform Station (HAPS) has become the most exciting topic for next-generation mobile communication systems since it can offer resiliency to damage caused by disasters and ensures mobile communications' stability and reliability [1]. This paper shows a study on predicting the horizontal and vertical angle of arrival as one of the propagation characteristics and compares the measurement results [2].
Radio channel emulator driven by a deterministic channel model is useful in a drive testing for a wireless communication system in a virtual space. In practical, hardware limitation that prevents the channel emulator in handling large number of propagation paths is one of challenges. In this work, the two-step delay-angular clustering is proposed to simplify number of propagation paths that satisfies the emulator requirement. The effect of path clustering to the temporal characteristic of simplified channel is then validated.
Passive channel sounders are suitable for path loss measurement in commercial frequency bands. It is important to verify the developed channel sounder before actual measurement. Over-the-air channel measurement in the line-of-sight (LOS) condition is considered in an open space for the verification purpose. Since the open space might lead to multipath propagation, measurement is considered in two path condition by varying the height of receiver antenna. This paper presents determination of LOS path loss from measurement of ground reflected two paths in the open space using passive channel sounder consisting of cellular signal and software defined radio.
For the purpose of development the autonomous driving simulation environment we have performed a preliminary estimation of adaptation potential of standard “Specific attenuation model for rain” as specified in ITU-R P.838-3, specifically for automotive radar application in humid subtropical climate by means of numerical simulation. At this stage only high rain intensity and aspherical raindrops shape factors were considered while high-order effects like aerodynamic, puddle splatter etc. yet out of scope.
休 憩(10:30 再開) 座長 林 高弘(KDDI総合研究所)
B-1-36 |
CNNを用いた伝搬損失推定モデルにおける側面画像の活用
○久野伸晃・猪又 稔・佐々木元晴・山田 渉(NTT) |
B-1-37 |
ファインチューニングによる電波伝搬モデルの周波数拡張
○長尾竜也・林 高弘・天野良晃(KDDI総合研究所) |
B-1-38 |
市街地環境における機械学習を用いた波源位置推定
○清水健矢・中西孝行・西岡泰弘・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-39 |
量子コンピューティングのための伝搬QUBO モデルの検証
○今井哲朗(東京電機大)・山田 渉・猪又 稔・久野伸晃(NTT) |
B-1-40 |
無線LAN通信のCSIを用いたRNN解析によるセンシング技術の一検討
○辻 康介・一色良太郎・長尾勇平・尾知 博(九工大) |
近年様々な分野において注目されているCNNを活用し,UMa環境に対する伝搬損失推定においてもモデルがいくつか提案されている.その多くは送信局(Tx)や受信局(Rx)周辺の建物画像を入力としているが,UMa環境では送受信間の建物における屋根越え伝搬が支配的となる.そこで本稿では,Tx-Rx直線上の建物を側面画像として新たに定義したモデルについて述べる.
機械学習を用いた高精度なモデル構築には,大量の実測データを要する.新たな周波数の導入時は取得できる実測データが限定的であるため,学習データが少量のときのモデル化精度に課題がある.
本稿では,大量の実測データを利用可能な周波数で高精度なモデルを事前学習した上で,ファインチューニングにより新たな周波数のモデル構築へ転移させる手法を提案する.
無線通信を基盤とするシステムでは,電波干渉の要因となるノイズ対策が不可欠である.特に無線のサービスエリア周辺に存在する干渉波源の位置を迅速に特定することは,システムの健全性及びシステム保守の効率化の観点から非常に重要である.本稿では,機械学習を用いて位置情報と受信電力から干渉波源の位置を推定する回帰モデルとその精度検証結果について報告する.
現在,量子コンピュータの発展は目覚ましく,特に量子アニーリング方式は既に実用化されている.ここで,量子アニーリング法を用いれば電波の伝搬路(パス)を高速に探索することができる可能性がある.そこで,筆者らは電波伝搬解析に量子アニーリング方式を適用するためのモデル(伝搬QUBO モデル)を提案した.本稿では,提案モデルの妥当性をシミュレーテッドアニーリング法(SA)を用いて検証したので報告する.
近年,無線 LAN を利用した CSI (Channel State Information) センシングに関する研究が注目されている. CSI は周囲の物理的環境に応じて変化するため,それを観測することで人検出システムや位置推定などに応用が可能である技術であることから,次世代規格 IEEE802.11bf として取り上げられている.
本研究では,無線 LAN アクセスポイントから恒常的に送信される Beacon フレームを用いた周囲環境の情報を反映した CSI の時間相関行列に注目しセンシングを行なっていく.相関行列を特異値分解し第二ベクトルをRNN(Recurrent neural network)で学習させた.
3月18日 13:00〜15:45 Meeting 16 座長 芳野真弓(日本電業工作)
B-1-41 |
移動通信三次元空間セル構成における上空セルのKファクタ推定の基礎検討
◎政岡龍之介・佐々康平・藤井輝也(東工大) |
B-1-42 |
アンテナ高とKファクタの関係の一考察
○土肥 駿・西森健太郎(新潟大)・山田 渉・久野伸晃(NTT) |
B-1-43 |
3.35GHz帯移動環境における位相補正に基づく遅延プロファイル推定法
○齋藤将人(琉球大)・木村 翔・田中翔馬・林 合祐・佐藤彰弘・表 英毅(ソフトバンク) |
B-1-44 |
3.35GHz帯移動環境における遅延プロファイルの多段推定手法による雑音電力の低減
◎小鹿文也・山里敬也(名大)・齋藤将人(琉球大)・木村 翔・田中翔馬・林 合祐・佐藤彰弘・表 英毅(ソフトバンク) |
B-1-45 |
反射板を用いた下水道管内部における伝搬損失の低減
◎脇 修平・大島功三(旭川高専)・村本 充(苫小牧高専) |
携帯通信網を利用したドローンの飛行制御や撮影した映像データの転送が期待されている。筆者らは5Gのビームフォーミング技術を活用して、各基地局が地上セルと上空セルを構成し、同一周波数を共用する“三次元空間セル構成”を提案している。提案法を精度よく評価するには上空セル対応の電波伝搬モデルが不可欠である。上空を飛行するドローンは見通しとなることから伝搬変動は仲上-Rice変動となり、その特徴であるKファクタのモデル化が必要である。
本稿では、上空を飛行するドローンで測定した受信電力値から仲上-Rice変動のKファクタを高精度に推定する方法を提案する。
ドローン等の無人飛行機を用いた新たなMIMOを用いた中継伝送法が検討されており,Kファクタとアンテナ高の関係を定式化している.
本報告では,著者らの過去の検討をより詳細に考察することを目的として,アンテナ高が低い場合に見通し外となりKファクタが小さくなる箇所を調べることで,アンテナ高が高くなった場合にKファクタがどのように高くなるかを考察した結果について述べる.
遅延プロファイルの測定値には,信号の他に,通信路雑音およびアナログ=ディジタル変換器(ADC)の非線形性による量子化雑音,参照信号の自己相関特性に基づくサイドローブ等が加算されている.
本研究では,確率共鳴に基づく信号処理により,雑音の影響を低減する手法の検討を行う.3.35GHz帯移動環境で得られた測定値において,同じパスの位相補正を行い同相合成を行うことにより,雑音レベルを低減する手法について述べる.
本研究の目的は,確率共鳴を用いて基地局の通信範囲を拡大することである.本研究では,遅延プロファイル
の多段推定手法を提案し,雑音に埋もれた遅延プロファ
イルを浮かび上がらせることを試みる.本研究では信号
検出感度について,受信信号と伝搬距離の関係を表す遅
延プロファイルを用いて評価を行う.
下水道管内部の状態を効率よく調査するために,無線通信方式のロボットを導入することが提案され,下水道管内部の電波伝搬特性を解析する研究がおこなわれている.調査が必要な老朽管の多くは内部に鉄筋を含むコンクリート管であり,多重反射波が電波伝搬特性に影響を及ぼす.本稿では,下水道管内部において一方向(ロボットの進行方向)の伝搬損失を低減する手法として,反射板を用いて送信アンテナの指向性を制御する手法を提案し,伝搬損失特性の評価を行うことでその有用性を示す.
休 憩(14:30 再開) 座長 廣瀬 幸(九工大)
B-1-46 |
基地局周辺環境によるクラッター損失特性
○田中翔馬・木村 翔・佐藤彰弘・林 合祐・表 英毅(ソフトバンク) |
B-1-47 |
基地局周辺環境による移動局側電波到来角度特性
○木村 翔・佐藤彰弘・田中翔馬・林 合祐・表 英毅(ソフトバンク) |
B-1-48 |
住宅環境における電波伝搬特性評価及び統計モデルの検証
○中西孝行・小竹弘晃・花井諭司・瀧川道生・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-49 |
トンネルの電波伝搬での移動方向による後方散乱の違いについて
○西田賢史(東工大 / 京三製作所)・高田潤一(東工大)・Tossaporn Srisooksai(京三製作所) |
B-1-50 |
深層学習による降雨減衰推定法の提案
◎小枩谷勇二・今井哲朗(東京電機大)・廣瀬 幸(九工大) |
移動体通信において建物などの地物によるクラッター損失を推定するモデルが多く提案されており、都市部や市街地などの環境において汎用的に適用できる。一方で日本の都市部、郊外地エリアなどには周辺の建物高より大幅に高い高層ビルが散在する環境がある。本稿では、周辺建物高が一様な環境と、高層ビルが散在する環境の2つの異なる環境において、基地局高を変化させた際の伝搬損失測定を実施し、基地局高や周辺建物環境によるクラッター損失特性を評価する。
移動体通信においてMIMO等の空間処理アルゴリズムを精度良く評価するためには,電波到来角プロファイル推定が重要である[1][2][3].都市部,郊外地環境において,平均建物高に対して大幅に高い高層ビルが散在する環境が存在する.その様な建物が基地局周辺にある場合の移動局側到来角度特性を評価した例は少ない.本稿では,周辺建物高が一様な環境と,高層ビルが散在する環境において移動局側の到来角度測定を実施し,その特性を評価する.
近年,IoT(Internet of Things)やローカル5Gが普及しており,宅内,ビル,製造工場などで省配線化などを目的とした無線導入が始まっている.また、個別の施設に留まらず,IoT,AIを活用して街全体を効率化する動きも活発化している.無線機器の通信距離を適切に把握するために,電波伝搬解析技術が重要となる.無線環境の周囲構造物の影響でマルチパス波が発生し,電波伝搬特性がばらつくため,適切な電波伝搬モデルにより回線設計する必要がある.著者らはこれまで複数の屋内環境における電波伝搬統計モデルについて検討しており[1],本報告では住宅環境における電波伝搬特性評価と提案する統計モデルの有効性について検証する.
トンネルの電波伝搬ではその壁面による反射が大きく寄与し,その反射は壁面の状態に依存していると考えられる.地下鉄のトンネルにおいて,ほぼ同じ場所でその開業前後に2回の電波伝搬実験を実施することが出来,今回は2回目の実験について送信点を固定し受信点の移動方向による後方散乱の大きさについて報告する.実験で使用した周波数は2.4 GHz帯で,送信した信号は無変調波,受信側で記録された信号は112 MHzのサンプリングデータである.これを,移動によって生じたドプラ周波数が観測できる程度に間引き処理してフーリエ変換により直接波と後方散乱波を分離する方法を取った.直接波と後方散乱波の比は,受信点が送信点に近づく場合と遠ざかる場合それぞれでおおよそ一定し,遠ざかる場合のほうが約13 dB大きく観測された.
近年HAPSという新たなプラットフォームが提案されており, その概要を図1に示す.HAPS向けのフィーダリング周波数は20 GHz帯以上のものも存在し,降雨減衰による信頼性の低下が問題となる.したがって降雨減衰の推定が重要課題となる.一方,電波伝搬損失推定では,建造物や送受信点間距離といった経路上の情報を面的に入力するCNN:畳み込みニューラルネットワークを用いた深層学習モデルが提案されている. 筆者らは,降雨減衰推定においても伝搬損失推定と同様の手法をとることが可能であると考えた.
本稿では,降水強度および送受信点間距離といった経路上の情報を面的に入力する,深層学習を用いた降雨減衰推定法を提案する.
B-1. アンテナ・伝播B(アンテナ一般)
3月15日 9:15〜11:45 Meeting 17 座長 山本 学(北大)
B-1-51 |
5G ミリ波アンテナの利得を向上可能なスマートフォン用カバー
○古賀洋平・篠島貴裕・甲斐 学(FCNT) |
B-1-52 |
端部GND設計によるパッチアンテナの指向性向上
○小村 良・山田良樹(村田製作所) |
B-1-53 |
交さ偏波を抑圧したI形スロット装荷MSA
◎杉田楊平・室伏竜之介・花山英治(職業開発大) |
B-1-54 |
円偏波共用パッチアンテナを用いて生成した直線偏波の交差偏波低減
○佐野 誠・橋本 紘・和田健太郎(東芝) |
本報告ではスマートフォン内蔵アンテナには手を加えず,スマートフォンカバーに導電体(スタックトパッチ)を装荷する事で内蔵ミリ波アンテナの利得が向上可能な新しいカバーについて報告する.
近年スマートフォンの5G対応が活発化しており、ミリ波モジュールが搭載された端末も増えてきている。ミリ波モジュールが搭載される場所は様々ではあるが、端末側面に搭載されるケースが多く、その場合、ミリ波モジュールは低背かつ端末の厚みに合わせた狭小サイズを要求される。そこで、ミリ波モジュール用アンテナとしてよく使用されるパッチアンテナにおいて、狭小なGND形状でもモジュールの基板正面方向への強い指向性を持たせる方策を検討する。
マイクロストリップアンテナ(MSA)を広帯域化する手法として素子を重層構造にする手法が知られている.一方,重層化を伴わない手法として,MSAにスロットを装荷することで多周波数化を実現する手法が提案されている.しかし,スロットを設けることで,プリント基板に使用されるFR-4での誘電損失により,共用化した周波数において,利得の低下や,最大-8 dB程度の交さ偏波が生じる.誘電損失の影響は,誘電体を除去する改善手法が示されているが,交さ偏波については改善手法が示されていない.本稿では,スロット装荷により多周波数化したMSAの交さ偏波を抑圧する構造を提案し,シミュレーション,および実測により,交さ偏波がおおよそ8 dB改善することを示している.
著者らは,右旋・左旋円偏波を合成して直線偏波を生成し,位相制御のみでビーム走査・偏波角制御が可能なKu帯フェーズドアレーの開発を進めている.主ビーム方向や偏波角によっては交差偏波抑圧のために振幅制御が必要になり,送信電力が低下することを確認している.本稿では,円偏波共用の円形パッチアンテナにおいて位相制御のみで交差偏波を低減するための条件を示す.
休 憩(10:30 再開) 座長 藤本孝文(長崎大)
B-1-55 |
クランク状のスリットを設けた広帯域パッチアンテナ
○丸山貴史・後藤 準・宇田川重雄(三菱電機) |
B-1-56 |
2点給電型円偏波アンテナのMagic-Tを用いた広帯域化
◎△江崎海志・西山英輔・豊田一彦(佐賀大) |
B-1-57 |
Lプローブ給電偏波共用一層構造広帯域リング形平面アンテナの試作特性
◎戸村 豪・斉藤作義・木村雄一(埼玉大) |
B-1-58 |
一層パッチ型コーナーショートAmcenna
○内村弘志(京セラ) |
B-1-59 |
ポスト装荷マイクロストリップアンテナのアレー化に関する検討
◎今井 亨・松井章典(埼玉工大) |
パッチアンテナの広帯域化の方法として、二重パッチアンテナ、E形状を用いる構成等が知られている。前者は基板の層数が増える、後者はパッチの幅が広く、アレー化時の素子間隔に制約が生じるといった懸念がある。提案アンテナでは、パッチにクランク状のスリットを設ける。これにより通常のパッチアンテナと同じ基板条件で、かつ外径をほとんど変えることなく広帯域化できることを示す。
円偏波アンテナの広帯域化のために90°ハイブリッドを用いた給電回路が提案されている.本稿では,小型化を目的として,2点給電型円偏波アンテナのMagic-Tを用いた広帯域化についてシミュレーションにより検討した.従来のマイクロストリップ線路T分岐にスロットと終端抵抗を追加するだけで反射量を減らすことができ,提案アンテナの軸比の3dB帯域は,従来アンテナの0.8%に対して4.4%と5倍以上に広帯域化することを確認した.
リング形放射素子と2個のLプローブを同一面に配置した直交偏波共用一層構造広帯域マイクロストリップアンテナについて検討を加え、シミュレーションおよび実験の両面から良好な広帯域特性と偏波共用特性を示すことが明らかにされた。
これまで筆者らは,小形偏波MIMOや小形GPSアンテナに利用可能な二層パッチ型のコーナーショートAmcenna(以下CSAと記す)について報告した.このアンテナサイズは0.05λ×0.05λ(λは中心周波数での波長)と超小型であるが,それ故に総合放射効率は5%程度しかなかった.今回,放射効率の向上を目的に,より単純な構造の一層パッチ型CSAを提案した.これにより総合放射効率を60%以上に改善できた.また,この構造による2点給電円偏波アンテナは設計の自由度が高く,外形を変えても同一の中心周波数に設計できる.さらに,1点給電にすることで,本来の共振モードの高周波側にある平行平板モードを利用してマルチバンドアンテナとして機能できることを示した.
マイクロストリップアンテナ(以降,MSA)に装荷した金属ポスト(以降,ポスト)が放射特性に影響を与えることは以前報告した.
筆者らは単素子のMSAの放射素子上部にポストを装荷し,利得が増加する配置に関する設計資料を得た.
本研究では先行研究にて得た設計資料を元に,ポストを装荷したMSAのアレー化に関する検討を行う.
3月15日 9:15〜11:45 Meeting 18 座長 山岸 傑(住友電工)
B-1-60 |
ニュートラリゼーションブリッジの適応条件について
◎高遠翔大・新井宏之(横浜国大) |
B-1-61 |
無給電素子とブリッジ素子を用いた4素子の平板逆Fアンテナのデカップリング手法
◎フン クァン クァン・道下尚文(防衛大)・佐藤 浩・小柳芳雄(パナソニック)・森下 久(防衛大) |
B-1-62 |
多モードOAM波集束用反射鏡の曲率最適化に関する一検討
◎△石原克弥・斉藤 昭・菊池晴貴・和田 渉・本城和彦・石川 亮(電通大) |
B-1-63 |
同軸線路型アンテナによる建設現場における無線LAN環境構築の検討
○山本淳弘・石野祥太郎(古野電気) |
アンテナ素子を近くに配置すると素子間の相互結合が大きくなり,特性が悪化する.これを改善するために相互結合低減手法を用いる必要がある.減結合手法の中でもニュートラリゼーションブリッジ(ブリッジ)が有用である.しかしブリッジはアンテナ構造を含めた検討が必要であり,検討量が多い.ブリッジは適応できる条件と減結合に重要な要素が不明確であり,これを明確にすることで検討量を減らすことができる.本稿ではブリッジを適応するための条件を解析から検討する.
近年,MIMO (Multiple-Input Multiple-Output) が次世代通信の要素技術として検討されており,アンテナの素子間相互結合の低減(以下,デカップリングと呼ぶ.)が必要となっている.このニーズに応じて,これまでに様々な手法が提案されているが,ほとんどの手法は元のアンテナの形状・寸法を変更することが求められている.そのため,元のアンテナの形状・寸法を変更することが困難な場合,これらの手法は適さない.先行研究では,平板逆Fアンテナ(PIFA)の元の形状・寸法を変更せずにブリッジ素子で接続した無給電素子を近接配置するだけでデカップリングを実現しているが,この手法は2素子のPIFAの場合のみ有効である.そこで本稿では,先行研究で提案している手法をベースにし,4素子のPIFAに対応するデカップリング手法を検討した.
電磁波の軌道角運動量(OAM)は、通信の新たな多重化の次元を提供し、信号処理なしで多重通信を実現させるものとして近年注目されている。我々は円形ループアンテナアレイおよびパラボロイドを用いた遠距離通信を提案しているが、OAM波のモードごとの指向性が異なるため、集束位置にズレが生じる問題点がある。本稿では、焦点位置を揃えるための反射鏡曲率調整の検討結果について述べる。
建設現場の地下において無線LAN環境を提供するシステムを開発している。ごく短期的な使用を目的に、簡単に設置・撤去が可能な同軸線路型アンテナを用いたシステムを検討した。本アンテナは輪切り構造であり、従来の漏洩同軸線路と比較し、30 dB以上利得が向上した。
休 憩(10:30 再開) 座長 山ヶ城尚志(富士通)
B-1-64 |
ローパスフィルタの周波数特性を考慮したロバストCapon法の誤差楕円設計法
○柿谷 彬・福島浩文・高橋龍平(三菱電機) |
B-1-65 |
3次元実装RF-ICを用いたミリ波帯広角ビーム走査フェーズドアレーの試作評価
○池田峻一・横川 佳・横溝真也・和田 平・中本成洋・平井暁人・深沢 徹・大塚昌孝(三菱電機) |
B-1-66 |
フェーズドアレーアンテナを用いた近傍界面状ヌル形成法の検討
◎宇野 孝・中本成洋・高橋 徹・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-67 |
高インピーダンス表面を用いたヌルステアリングアンテナ
◎田村 成・新井宏之(横浜国大) |
B-1-68 |
2次元放射状アレーアンテナにおけるビーム走査
◎片野英淳・高野 忠・三枝健二(日大) |
HFレーダのビート信号は、ローパスフィルタの周波数特性などに要因により歪んだ複素正弦波である。複素正弦波の周波数は距離に対応する。ステアリングベクトルを複素正弦波としてCapon法で測距すると、ステアリングベクトルに歪みが考慮されていないため、SINR(Signal-to-Interference-plus-Noise Ratio)が理論値より大幅に劣化しうる。ステアリングベクトルとビート信号の差異が取り得るベクトル値全体を覆う誤差楕円を設計し、ロバストCapon法で測距すれば上記の課題は解決する。本発表では、ローパスフィルタの周波数特性の統計値から誤差楕円を設計する方式を述べる。
現在の移動体衛星通信ではKu帯の利用が主流であるが,大容量・高速通信のためにKa帯の利用が進みつつあり,将来的にはミリ波帯の利用が計画されている.また,近年では薄型化を目的として,フェーズドアレーアンテナ(PAA)が注目されている.これに対し筆者らは,放射素子/RF-IC/RF給電回路を単一基板に形成・実装するミリ波帯PAAを開発している。本稿では当該アンテナの概要,及びアレーアンテナの試作結果について示す.
通信の需要増大に伴い,複数の電波機器が近接して配置される環境が生じる.この環境では,与干渉・被干渉を低減するため,所望の近傍領域内でヌル形成が要求される場合がある.従来,単一方向の近傍界ヌル形成法は報告されているが,面状のヌル形成法は検討されていない.本稿では,励振分布最適化による近傍界面状ヌル形成法を提案する.提案手法では,ヌル目標領域内で,複数のヌル形成点に対する評価関数を定義し,この評価関数を最小にする励振分布を最適化より求める.これにより,近傍界に面状ヌルが形成されることを解析より示す.
アンテナを方向探知に用いる際,ビームまたはヌルを走査して取得した受信感度から位置推定を行う.ビーム走査は角度分解能がアンテナの大きさに依存するため,推定精度を向上するには大型化と高コスト化が課題となる.一方,ヌルの角度分解能はビームより非常に鋭い.更にヌル走査は 2 素子のアレーアンテナより実現できる.しかし,1. 深いヌルを形成すること,2. 深いヌルを安定して走査すること,ができなければ方向推定精度は劣化する.この課題を解決するために, High-Impedance Surface (HIS) を適用したヌルステアリングアンテナを提案する.
昨今、宇宙太陽光発電における無線電力伝送や自動車に搭載される衝突防止レーダーで、薄板構造アレーアンテナが必要である。任意の方向へ、位相を電子的に制御することにより電波を放射できるビーム走査が注目されている。
本論文では線状アレーを放射状に配置したアレーアンテナを用いて、ビーム走査をする。本稿では励振分布を工夫し不要な放射を低減する。
2次元放射状アレーアンテナにおいて各素子に半径rに比例する振幅を与え、位相を電子的に制御することで、所望のビーム走査を実現した。結果を2次元と1次元パターンで評価した。
3月15日 13:00〜17:00 Meeting 17 座長 藤田佳祐(前橋工科大)
B-1-69 |
電磁結合とスタブ構造を備えた平面型UWBモノポールアンテナの小型化に関する検討
◎△畑 知華代・竹村暢康(日本工大) |
B-1-70 |
柔らかい構造のデュアルバンド板状逆Fアンテナ
○西 百合恵・島崎仁司(京都工繊大) |
B-1-71 |
スロット付金属筐体及び折返しダイポールアンテナから構成されるアンテナの薄型化
○和田有紀子・道下尚文・森下 久(防衛大)・山本 温・松本一弘・菱川哲也(パナソニック) |
B-1-72 |
半球殻構造を有する防災用ヘルメットアンテナの試作
○甲斐太陽・道下尚文・森下 久(防衛大) |
B-1-73 |
半球誘電体共振器アンテナの2重モード縮退設計
○苅部蒼太・松室尭之・石崎俊雄(龍谷大) |
超広帯域(Ultra-wideband:UWB)システムに対応した平面型モノポールアンテナについてパラメトリック解析による結果を報告する.本アンテナは誘電体基板上に形成した三日月状にカットされた釣鐘型のUWBモノポールアンテナをハーフ形状とし,電磁結合及びショートスタブを装荷した構造である.アンテナの大きさは26×12×1.6mm3である. UWBシステムの帯域において動作することが可能である.また,アンテナをハーフ形状にした場合でも従来のUWBモノポールアンテナと同等な特性が実現できることを確認した.
本報告では,ウェアラブルデバイスのアンテナとして導電布を使用することを想定し、デュアルバンドで動作するアンテナを設計している.取り扱うのは板状逆Fアンテナで,上面放射導体板にスリットを設けて特定小電力無線等に割り当てられた920 MHz帯,ならびにGPS帯として使用されている1575 MHzの2つの周波数帯で動作させる.電磁界解析シミュレータを使用して設計し,反射特性,および放射パターンを明らかにしている.また、円筒面状に曲げた場合の動作帯域の変化について考察し,曲率半径300mmまでの曲げによって帯域が数MHz高い方へ移動することを示している.
スロットを有する金属筐体内部に折返しダイポール素子を配置し,折返しダイポール素子のみに給電すると,複共振が発生することが確認されている.また,金属筐体付スロットアンテナの並列共振時の周波数及び折返しダイポールアンテナの直列共振時の周波数を近くすることで,2共振特性となり広帯域化する動作原理が明らかになっている.本稿では,この動作原理に基づいて金属筐体の幅を薄型化した場合について検討した.
低姿勢のアンテナとして,垂直偏波で水平面内無指向性の放射パターンを有する容量装荷モノポールアンテナがある.先行研究では,容量装荷モノポールアンテナを用いるハンズフリーの無線機として,防災行政無線の周波数帯である260 MHz帯に整合するヘルメットアンテナを提案している.更に,短絡及びスリットを装荷することで頭部方向への放射を抑制でき,頭部ファントムに近接した解析モデルでも同様の特性となることが分かっている.本稿では,ヘルメットアンテナを試作,測定して検討した.
アレーアンテナを作る上で,より結合係数少ないアンテナが求められる.そこで,TE11xモードとTM11yモードの異なる伝搬モードを縮退できる共振器アンテナを考える.このアンテナ素子をアレー化することで隣り合うアンテナ素子との相互結合をTE11xモードとTM11yモードで打消すことでアンテナ部での損失を抑える.
中心導体を装荷し摂動を利用することで2つの伝搬モードが縮退する球形の共振器が考えられている.しかし,球形の共振器は給電方法という課題が存在する.そこで,半球にし,底面をGNDと接触させて給電することを提案する.本研究では,5.8GHzで縮退する半球誘電体共振器を設計した.使用する誘電体基板の基板厚を変更することで共振周波数の推移を確認した.
休 憩(14:30 再開) 座長 木村雄一(埼玉大)
B-1-74 |
誘電体レンズを用いたコンパクトアンテナテストレンジの設計
◎松田吏生・佐藤弘康・陳 強(東北大) |
B-1-75 |
八木宇田構造応用レクテナアレーのワイヤレス電力伝送効率測定
○丸山珠美・柴田紘希・中津川征士(函館高専)・村田政隆(北海道立工業技術センター) |
B-1-76 |
FDTDを用いた車載用オンガラスアンテナの指向性に対する地面の影響評価
○山田勇一郎・有馬卓司・宇野 亨(東京農工大)・加賀谷 修・新井圭祐(AGC) |
B-1-77 |
車載用オンガラスアンテナにおける雨による影響
○菊池嵩郁・有馬卓司・宇野 亨(東京農工大)・加賀谷 修・新井圭祐(AGC) |
B-1-78 |
損失材料を用いた車載用オンガラスアンテナの特性改善
○新田隆一・宇野 亨・有馬卓司(東京農工大)・加賀谷 修・新井圭祐(AGC) |
電波の散乱特性を示す指標としてレーダ散乱断面積(Radar Cross-Section: RCS)が用いられ,リフレクトアレーの性能評価において重要となる.比較的近距離でアンテナの遠方界を評価する方法としてコンパクトアンテナテストレンジ(Compact Antenna Test Range: CATR)が良く利用されている.CATR には反射鏡が良く用いられるが,誘電体レンズを使用した CATR は少ない.本報告では,レンズを用いた CATR を設計した結果を述べる.
本技術により,同じ電源に対して,点灯させるLEDの数が多い程,電源から離れたところまで電力を送ることができるという興味深い現象があることが電磁界解析を用いたワイヤレス電力伝送効率計算とLEDの点灯実験で報告されている.そこで本研究ではこの八木宇田構造を応用したレクテナアレーについてネットワークアナライザを用いて各導波器毎のワイヤレス電力伝送効率を求め導波器を設置することで波源から離れた場所における効率が高くなることを測定により明らかにした.
現在,自動車にはラジオ,テレビ,GPS,ITSなど様々な周波数帯のアンテナが搭載されている.これらのアンテナはデザイン的な観点からガラス表面設置型とする.自動車のフロントガラス上にダイポールアンテナを設置すると,電磁波の一部がガラスを伝搬し,金属枠に反射することで性能が悪化することが知られている.また,地面の反射による影響も危惧されている.そこで,これらの影響を定量的に調べる必要がある.FDTD法を用いて指向性を解析するには,一般的に解析対象を仮想閉曲面で囲う必要があるが,半無限大地では囲えない.そこで,本研究では大地の電流とグリーン関数により指向性を求める.
自動車には安全で快適な運転を実現するために様々なアンテナが取り付けられている.近年、自動車に設置されているアンテナは,デザインの観点よりガラス表面設置型のオングラスアンテナが用いられている.ITS(高度道路交通システム)の実現には車車間通信や路車間通信のためのアンテナ設計が必要になる.それら車載用アンテナ設計においては,アンテナ単体の特性と自動車搭載時の特性が大きく異なり,また,実際には降雨によりガラスに雨滴が付着する.本研究では様々な雨滴の状況を考え,それがオンガラスアンテナに対してどのような影響を与えるのか検討する.
車載オンガラスアンテナは通常自動車のフロントガラスに設置される.しかし,フロントガラスに設置すると表面波の影響により性能が劣化する.本研究では損失材料を用いることで,車載オンガラスアンテナの特性を改善できるか検討する.
休 憩(16:00 再開) 座長 松野宏己(KDDI総合研究所)
B-1-79 |
すり鉢状キャビティを有する2線式スパイラルアンテナの最適化
○倉本晶夫(NECプラットフォームズ)・竹村 崇・宮本勝男(NEC) |
B-1-80 |
周期パッチ装荷導体板上に配置された広帯域矩形ループアンテナに関する検討
◎大友啓暉・日景 隆・山本 学(北大) |
B-1-81 |
微小な立方導体を用いて筐体を放射器とする広帯域アンテナ
◎西目 匠・橋口 弘・道下尚文・森下 久(防衛大) |
B-1-82 |
双方向指向性を有する金属カバー付アンテナの2周波共用化
◎宮坂拓弥・坂本寛明・牧村英俊・西本研悟・西岡泰弘・稲沢良夫(三菱電機) |
円偏波で広帯域な衛星通信等に用いるアンテナとして,スパイラルアンテナが有効である.スパイラルアンテナを用いるためには,単一指向性のアンテナとする必要があり,広帯域でブロ-ドなビーム幅が維持され,かつ軸比及びインピ-ダンス特性が良好で,電波吸収体を用いないキャビティが必要である.先に検討したすり鉢状キャビティについて,底面を曲面にするなどの形状の最適化検討を実施し,良好な結果を得たので報告する.
ダイポールアンテナやループアンテナなどの双指向性アンテナを単指向性とするための反射板として完全導体板を用いる場合,放射素子と反射板との間隔は動作周波数の1/4波長程度となる.このような目的の反射板として完全導体板の代わりに周期パッチ装荷導体板を使用することで,アンテナ構造の低姿勢化が可能である.本稿では,反射板付広帯域矩形ループアンテナの低姿勢化を目的として,周期パッチ装荷導体板を反射板として用いた矩形ループアンテナについて有限要素法による基本特性の評価を行うとともに,アンテナの試作・測定を行ったので,その結果を報告する.
近年の携帯端末は,一般に各国の通信規格やGPSといった複数の周波数帯に対応するため,複数のアンテナが搭載されている.一方で端末の内部は高密度に部品が実装されるため,アンテナに与えられる容積は制限される.そこで,筐体を放射器として励振することが検討されている.本稿では,微小な立方導体を用いて筐体を放射器とするアンテナについて,その特性と動作原理について検討した.微小波源により形成された筐体上の電流分布より,非対称なバイコニカルアンテナとして動作し,広帯域特性が得られることがわかった.
広帯域に双方向指向性を有するアンテナとして,筆者らはモノポールアンテナをコの字型金属カバーで覆ったアンテナ方式を提案したが,励振素子にモノポールアンテナを採用していたため単一周波数でのみインピーダンス整合が可能であった.本稿では,励振素子として三角形状のモノポールアンテナを用いた2周波共用化について報告する.
3月15日 13:00〜17:00 Meeting 18 座長 高橋 徹(三菱電機)
B-1-83 |
凹型誘電体によるアレイアンテナの走査範囲拡大に関する検討
○菅谷聡志・新井宏之(横浜国大) |
B-1-84 |
26GHz帯広角ビーム走査パッチアレーのダイポールによる反射抑圧
○戸村 崇・白根篤史・岡田健一(東工大)・須藤順平・永島 隆(アクセルスペース) |
B-1-85 |
開口両端に導体壁を装荷した密結合ダイポールアレーアンテナ
○渡辺 光(三菱電機)・望月美和(三菱電機エンジニアリング)・丸山貴史・深沢 徹(三菱電機) |
B-1-86 |
直列給電アレーアンテナの密配置を可能にする放射素子の構造検討
○東 右一郎・小林敏幸(日本電業工作) |
B-1-87 |
人体の影響を受けた 30GHz と 300GHz 帯ダイポールアンテナアレイ
○中野雅之(KDDI総合研究所) |
近年、周波数資源の開拓や大容量通信を目的としてミリ波帯の利用が検討されている。ミリ波帯はその直進性の強さからビーム走査は必須である。広角にビーム走査を行う手法としてメタサーフェスを機械的に回転させる手法やアレイアンテナに位相勾配を形成したメタサーフェスを用いる手法が提案されているが、本稿では凹型に加工した誘電体を用いる手法について提案する。この凹型誘電体をアレイアンテナに適用することでビーム走査範囲の拡大を行うことを目的としている。
地球観測低軌道小型衛星のデータダウンリンク用電子ビーム走査フェーズドアレーの素子には広角ビーム走査特性が求められる.ビーム走査時の反射抑圧が課題であり,無給電素子配置パッチ[1]や中空キャビティ付きパッチアンテナ[2]が提案されているが,ビーム走査特性やキャビティ加工が必要といった課題がある.本稿ではキャビティ加工不要でビーム走査特性に優れる無給電ダイポール装荷パッチアンテナを提案する.
密結合ダイポールアレーアンテナは素子となるダイポールアンテナ同士をあえて強く結合するように密に配列し,無限長の電流シートを具現化することで自由空間との整合を図り,超広帯域特性を実現するものである.一方,本アンテナで所望の周波数帯域で良好な反射特性を得るためには,E面方向の配列長さを下限周波数の自由空間波長オーダーとする必要があり,それよりも小さくなると低域特性が劣化してしまう.したがって,低域反射を改善するためには,素子の配列長さを長くしなければならないといった課題があった.本稿では,配列長さが1波長未満となる低域の反射特性を改善する構造を提案し,電磁界解析で有効性を検証した結果を示す.
マイクロストリップアンテナを垂直方向に直列にアレーしたアンテナ(サブアレー)を水平方向へ複数並べ,それらを個別に制御することで水平方向のビームを走査するアンテナに対して,広角ビーム走査実現のためにサブアレーを密に配置する.垂直偏波は給電線路がパッチ素子を貫くような設計により密配置が可能であるが,45°偏波や水平偏波においては同様の方法で実現することは難しい.また,直列給電方式でアレーしたアンテナは使用周波数比帯域(比帯域)が数%程度と狭く,5Gなどの高速通信への活用や製作誤差における特性劣化の抑制などのためにも,比帯域を広げることが求められる.本稿では,比帯域の拡大と合わせて,垂直,水平,45°偏波のサブアレーが半波長の間隔で配置できる放射素子の構造について検討したので,報告する.
Beyond 5G/6G に向けた超広帯域が利用できるテラヘルツ波の無
線通信利用として、人体近傍での近距離無線での活用が検討され
ている。本稿では、人体近傍におけるミリ波とテラヘルツ波の
アンテナへの影響を計算機シミュレーションで評価したため報告
する。
休 憩(14:30 再開) 座長 橋本 紘(東芝)
B-1-88 |
方形領域照射導波管スロットアレーアンテナの部分並列給電回路の設計
◎桂 悠斗・戸村 崇・広川二郎(東工大) |
B-1-89 |
300GHz帯無指向性アンテナ給電用モード変換器の設計
◎柳澤利樹・広川二郎・戸村 崇(東工大) |
B-1-90 |
340GHz帯2×2素子誘電体充填導波管スロットサブアレーの広帯域設計
◎小倉彰平・戸村 崇(東工大)・林 琳(パナソニック) |
B-1-91 |
小型衛星搭載のCFRP製展開型スロットアレーアンテナ
○齋藤宏文・戸村 崇・広川二郎(東工大) |
B-1-92 |
円形開口アレーによるアイソフラックス放射特性の基礎検討
◎中山 弦・戸村 崇(東工大) |
本稿では、四隅まで通信が可能な方形の照射領域を有する。60GHz帯特定小電力無線局用導波路スロットアレーアンテナの部分並列給電回路を設計する。中心周波数は60.48GHz、帯域幅は2.16GHzである。照射領域を実現する素子の励振分布を算出し、励振分布を実現するために部分並列給電回路を用いる。このときの給電回路の分配器での分配比は13dBほどで大きくなっている。この大きな分配比を実現するために導波路内の3つのポストの位置を調整する。解析結果として、所望の分配差の大きい分配器を設計することができた。
テラヘルツ帯での電波伝搬特性の測定のために,無指向性アンテナが求められている.無指向性アンテナは方形導波管,テーパ導波管,モード変換器,放射器,反射器で構成される.テーパ導波管により方形導波管のTE10モードから円形導波管のTE11モードへ変換する.放射器は水平無指向性を得るために円形開口からTM01モードで放射する.そこでモード変換器によりTE11モードをTM01モードへ変換する.2つの円形導波管ベンドからなるモード変換器において,入出力ポート交換に関する可逆性と2つの伝搬モード間のモード変換係数の可逆性の2つの観点を考慮した設計法を検討する.
さらなる高速・大容量通信の実現に向け、300GHz帯の使用が検討されている。ポスト壁導波路スロットアレーはプリント基板加工技術で試作できミリ波体で高利得な特性を実現した。本稿では340GHzポスト壁導波路スロットアレーの事前検討として、誘電体充填導波管スロットサブアレーの広帯域設計結果を報告する。設計方法としては、2×2素子サブアレーを遺伝的アルゴリズム(GA: Genetic Algorithm)で広帯域設計する。解析にはモーメント法・2次元有限要素法ハイブリッド法を用いた。結果として、S11のVSWR1.5以下の帯域は300GHz~380GHzの21%となった。今後、ポスト壁にアンテナ構造を置き換え,試作・測定評価する予定である。
著者らの研究グループは小型合成開口レーダ観測用の展開型スロットアレーアンテナを開発して、2021年に軌道上実証に成功している。さらなる熱歪の抑制、軽量化、および製造再現性の改良のために、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製の展開型2次元導波管スロットアレーアンテナの開発を開始している。この現状を紹介する。
衛星搭載用アンテナの放射特性として,地表での放射電力が一定なるようなアイソフラックス特性がある.これまでチョークホーンによるアイソフラックス放射特性を実現した例がある.しかし本アンテナは金属で構成され重量・体積の観点で超小型衛星への搭載には適さない.本研究ではアイソフラックス特性をラジアルラインスロットアンテナなどの平面アンテナで実現することを提案する.本稿では,その初期検討としてアイソフラックス特性を実現する円形開口アレーの励振係数と放射特性の検討結果を報告する.
休 憩(16:00 再開) 座長 山口 良(ソフトバンク)
B-1-93 |
Special assignments of output phase differences per input ports in generalized one-dimensional switching matrices
○Jiro Hirokawa(Tokyo Tech)・Nelson J. G. Fonseca(European Space Agency) |
B-1-94 |
Special Configurations of 1-D Parallel Switching Matrices with Four Beams
○Shengjia Wu・Jiro Hirokawa・Takashi Tomura(Tokyo Tech)・Nelson J. G. Fonseca(European Space Agency) |
B-1-95 |
A 3×3-way Hollow-waveguide Nolen Matrix Using a 2-plane Coupler with Unequal Power Division
○Qi Li・Jiro Hirokawa・Takashi Tomura(Tokyo Tech)・Nelson Fonseca(European Space Agency) |
B-1-96 |
A Test of Research on Measurement of Antenna Alignment using Image Processing
○Yuanfeng She(AIST)・Xuefeng Liu(Niigata Univ.) |
The authors proposed a generalized one-dimensional switching matrix with an arbitrary number of beams suitable for planar implementation. This paper discusses the special assignments of output phase differences to input ports in matrices with an even and odd number of beams, respectively, ranging from 3 to 8 among all the permutations of the assignments.
General configurations of planar switching matrices with an arbitrary number of beams using one-plane couplers had been studied. For an even number N of beams, there are special configurations where two Nolen matrices with N/2 beams are fed in parallel through crossovers. This manuscript discusses the special configuration for four beams, which are adapted from the general configuration by changing the positions of two phase shifters from the left output port to the right output port of respective units. The new configuration is better for fabrication, as it leads to a more compact design.
This manuscript has introduced a 2D 3x3-way hollow-waveguide Nolen matrix using a novel 2-plane coupler with unequal power division.
The current one-antenna method and three-antenna method use the extrapolation method. The uncertainties of the antenna have been evaluated including the uncertainty of the mismatch loss, the uncertainty of the reflection coefficient, and the uncertainty due to the misalignment setting. This paper introduces an alignment measurement system using image processing. The misalignment of the antenna can be automatically detected on time in the extrapolation sweeping route, and the uncertainty due to the alignment can be quantitatively evaluated. 3D reconstruction technology and tracking technology can be effectively used by automatic image recognition supported by OpenCV (Open Source Computer Visio). This technology can also be applied to other measurements such as the three-antenna method, and other extrapolation methods which sweep the antennas.
3月16日 9:00〜11:45 Meeting 17 座長 大島一郎(電気興業)
B-1-97 |
集束ビーム給電系を有する反射鏡アンテナの通過位相測定
○山本伸一・瀧川道生(三菱電機) |
B-1-98 |
展開式シリンドリカル反射鏡アンテナの試作評価
○中嶋宏昌・山本伸一・瀧川道生・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-99 |
広帯域アンテナの開発
○△氏原秀樹(京大) |
B-1-100 |
反射防止構造による低姿勢誘電体レンズアンテナの高効率化
○石原僚汰・杉本義喜・榊原久二男・菊間信良(名工大)・菅沼孝吉・荒井孝之・齊藤共啓(エンプラス) |
B-1-101 |
レンズアレー素子用底面角形レンズアンテナの放射特性
◎杉山秀明・杉本義喜・Bazilah Baharom・榊原久二男・菊間信良(名工大) |
近年、70m級の大型反射鏡アンテナの代替として、32m級の中型の反射鏡アンテナをアレー状にして用いることが検討されている。文献では、受信系の信号処理による位相調整が想定されているが、送信アンテナとして用いる場合には、各反射鏡アンテナの通過位相を既知としておき、補正する必要がある。そのため、本稿では集束ビーム給電系を有する反射鏡アンテナの通過位相測定の方法を提示し、簡易実験を通して有効性を確認したので報告する。
合成開口レーダでは,広い観測領域と高い分解能を両立するために,衛星の進行方向であるAZ方向は狭ビーム,EL方向は広ビームとなるアンテナ特性が求められる.そのため,AZ方向を放物線,EL方向を直線としたシリンドリカル反射鏡が候補の一つとなる.先に,シリンドリカル反射鏡の基本設計を実施し,目標の電気特性を満足する結果を確認した.本稿では,本アンテナ方式の実現に向けた基礎検討として,小型サイズのシリンドリカル反射鏡を試作し,電気特性を評価したので報告する.
大気中の水蒸気を精密に測定するために水蒸気から雲中の水、酸素のスペクトラムを1つの受信系で測定できる16-64GHzの広帯域アンテナを開発した。これはNICT鹿島34mアンテナなど大型カセグレンアンテナの広帯域化に用いた広帯域フィードを基にしたものである。本研究の性能測定には京都大学生存圏研究所METLABを利用し、16-64GHzの広帯域のアンテナ開発には科研費(21H03828)および (科研費21H04524)のサポートを受けている。
誘電体レンズアンテナは高周波帯において高利得でも低損失な特性を持つ.一方で,焦点距離を短くしても,レンズ厚が増すため低姿勢化に限界がある.レンズ厚を薄くするために誘電率を高めると,表面反射の増大により効率が低下する.本研究では,270GHz において光の分野におけるサブ波長構造を用いて,低姿勢高効率誘電体レンズアンテナを設計し,その放射特性を示す.
レンズアレーアンテナは2倍の直径を持つ単一のレンズアンテナと同等の利得を持ち,低姿勢なアンテナであるが,円形レンズを矩形配列すると素子間に隙間ができ,開口面の利用効率が低く,利得が低い.そこで本研究では,レンズ底面が正方形の底面角形レンズを提案し,円形レンズよりも高い利得が実現できることを示す.
休 憩(10:30 再開) 座長 深沢 徹(三菱電機)
B-1-102 |
テラヘルツ帯における球状均一誘電体レンズアンテナのマルチビーム特性
○土田偉千・杉本義喜・榊原久二男・菊間信良(名工大) |
B-1-103 |
誘電体ロッドアンテナ給電による誘電体レンズアンテナのマルチビーム特性
◎杉本義喜・榊原久二男・菊間信良(名工大) |
B-1-104 |
テラヘルツ帯におけるマイクロストリップ線路給電ロットマンレンズビーム形成回路の設計
◎森岡隆文・榊原久二男・杉本義喜・菊間信良・岸 峻平(名工大) |
B-1-105 |
テラヘルツ帯における基板内導波管ロットマンレンズビーム形成回路の設計
○岸 峻平・森岡隆文・榊原久二男・杉本義喜・菊間信良(名工大) |
B-1-106 |
300GHz帯カセグレンアンテナの遠方界放射パタンの測定
○渡邊 健・枚田明彦(千葉工大)・渡邊一世・関根徳彦・笠松章史・藤井勝巳(NICT) |
ルーネベルグレンズアンテナは, 球対称なため指向性の広角走査に優れるが, 多層構造の作製が困難なため誘電率一定の球誘電体レンズが用いられる. 給電を離散的に切り替えるマルチビームアンテナでは, ビーム間(クロスオーバ)レベルが低下する問題がある. 本研究では, E面開口縮小ホーンアンテナを一次放射器とした球誘電体レンズアンテナを提案し, 特性を電磁界解析で評価した結果を示す.
誘電体レンズアンテナは一次放射器を切り替えることでマルチビームを実現できるが,隣接するビーム間での利得(クロスオーバレベル)の低下が問題である.本報告では,誘電体ロッドアンテナを一次放射器として用いることで,隣接ビームを近接させ,クロスオーバレベルの高いマルチビームレンズアンテナが実現できることを示す.
マルチビームの実現のため,ロットマンレンズビーム形成回路を用いたアレーアンテナが用いられる.テラヘルツ帯では波長が短いため,寸法が小さくなる.テラヘルツ帯においてマイクロストリップ線路入出力のロットマンレンズビーム形成回路を設計することで,製作限界が設計に与える影響について調べ,電磁界解析を用いて特性評価を行った結果を示す.解析ではいずれの入力においても,全出力ポートで約-10~-15 dBの透過量が得られた.ここで得られた,振幅,位相特性を用いて計算したアレーファクタから,0°,±15.5°,±31.5°方向へのマルチビームが確認され,5mm四方のサイズで5ビームの特性が実現できることを確認した.
基板内導波管(SIW : Substrate Integrated Waveguide)はマイクロストリップ線路よりも伝送損失が小さく,アンテナとの多層化が可能である.本研究ではテラヘルツ帯でロットマンレンズを設計し,その小型化の効果と電磁界解析により評価した特性を示す.設計の結果,ロットマンレンズ全体の大きさは 5.55 mm ☓ 4.91 mm となった.どの入力ポートに給電したときでも,概ね一様な分配特性か得られ,位相勾配は概ね一様であった.中心の入力ポートに給電したとき,解析したすべての周波数において,どの出力ポートの透過量も -15 dB 以上となり,透過位相の偏差は ±18°以内であった.小型なテラヘルツ帯 SIW ロットマンレンズを設計し,電磁界解析によって特性を評価した.広い周波数にわたりマルチビーム形成回路としての動作を確認した.
次世代移動通信規格である6Gでは,テラヘルツ(THz)帯の利用により,100Gbpsを超えるデータ転送速度を実現することが期待されている.テラヘルツ帯の固定無線リンクの設計や干渉評価には,アンテナモデルが必要である.しかし,ITU-R勧告に記載されているアンテナ放射パタンモデルは,86GHz以上は存在しない.また,300GHzでも高利得アンテナの遠距離放射パタンの測定には数十mの伝送距離が必要であり,屋外での実験には無線局免許が必要なため,300GHz高利得アンテナの遠距離放射パタンに関する実験結果はほとんど報告されていない.我々は、屋外での遠方界測定を行うために,300GHz帯無線機を試作し,高利得アンテナの遠方界を測定した.さらに、アンテナ近傍界を計測し、遠方界に変換した結果を遠方界の実測値と比較し、300GHz 帯高利得アンテナの放射パタン計測における近傍界-遠方界変換の適用性について評価した.
3月17日 14:45〜17:00 Meeting 17 座長 榊原久二男(名工大)
B-1-107 |
線状素子を用いたエンドファイアリフレクトアレーの設計
◎青木稜吾・今野佳祐・陳 強(東北大)・チャカロタイ ジェドヴィスノプ・藤井勝巳(NICT)・村上靖宜(電通大) |
B-1-108 |
スプリット矩形ループ素子を用いた一層化リフレクトアレーアンテナの研究
○髙尾昌誠・牧野 滋・瀧能翔太・皆森勇甫(金沢工大)・西岡泰弘・中嶋宏昌(三菱電機) |
B-1-109 |
フレネル領域におけるリフレクトアレーの設計
◎本多 出・小柳裕輔・今野佳祐・陳 強(東北大) |
B-1-110 |
フレキシブル基板一層で構成するリフレクトアレーの反射位相制御
◎△武田裕貴・戸村 崇・坂本 啓(東工大) |
リフレクトアレーは,素子によって入射波の位相を回転し,所望の方向で散乱波が同相になるように設計されたアレー構造である.これまでは平面型のリフレクトアレーが盛んに研究されてきたが,ブロードサイド方向からビーム方向が離れるにしたがって利得が減少することが知られており,水平方向へのビーム走査は困難であった.本研究では,線状ダイポール素子を用い,水平方向のビーム走査を可能としたエンドファイアリフレクトアレーを提案し,その有効性を数値的に明らかにしたので報告する.
近年,偏波と周波数によってビーム方向が異なるリフレクトアレーアンテナが研究されている.従来の検討では,誘電体内でグレーティングローブが伝播しない素子間隔において,反射位相領域を 360°カバーできていない.本報告では,独立した位相制御が可能かつ,反射位相領域を 360°カバーする一層化素子を提案する.
ミリ波帯のような高周波帯における無線通信では遮蔽物の影響によって電波の届きにくい不感地帯が発生することが知られている.このような不感地帯における無線通信を実現するために,リフレクトアレーが有効であることが知られている.一方で,これまでの研究では,このようなリフレクトアレーの設計は主に遠方界領域で行われ,フレネル領域のような近傍界における不感地帯を解消するようなリフレクトアレーの設計法に関する研究は少ない.そこで本研究では,フレネル領域にある端末に対してビームを向けられるリフレクトアレーを設計し,その有効性を数値的に明らかにしたので報告する.
織物膜を利用した大型展開構造は軽量,高収納効率であることから大型アンテナへの適用が期待されている.膜面の低い平面度により利得の低下が懸念されるが,回路素子による反射位相の電気的な制御によりその補償が可能であると示されている.本研究でアンテナ面に用いるフレキシブル基板は電子部品の実装や折り曲げ収納が可能であり,アンテナ面収納時の折りパターンを考慮したリフレクトアレーが提案されている.本研究では反射位相を電気的に制御できるリフレクトアレーをフレキシブル基板一層で実現することを目的とし,ポリイミド基板とバラクタダイオードで構成する反射素子を設計した.
休 憩(16:00 再開) 座長 今野佳祐(東北大)
B-1-111 |
偏波独立制御素子を用いた15/30GHz帯単層リフレクトアレー
○井上治幸・出口博之・辻 幹男(同志社大) |
B-1-112 |
幾何位相を用いた2帯域リフレクトアレーの反射特性について
◎冨田昌吾・光崎由二(川重岐阜エンジニアリング)・高橋康夫(川崎重工)・上田哲也(京都工繊大) |
B-1-113 |
メタ表面背面板による反射位相特性改善の実験評価
○久世竜司・福迫 武・松島 章(熊本大) |
B-1-114 |
スキャニングスポットビームリフレクトアレーアンテナの測定結果
○皆森勇甫・牧野 滋・瀧能翔太・重光賛志郎(金沢工大)・西岡泰弘・中嶋宏昌(三菱電機) |
リフレクトアレーは共振素子の反射位相量を用いてリフレクトアレー開口面での位相分布を制御し,一次放射器から空間給電された球面波を平面波に変換するものである.これまで筆者らは,遺伝的アルゴリズム(GA)による任意形状素子の最適化手法を用いて,直交偏波共用性を持つものや複数の周波数帯域で動作するリフレクトアレーの検討を進めてきた.本稿では,15/30GHzにおいて偏波共用での使用を目的として,先ず1セル内で偏波毎に設計領域を区別した単層リフレクトアレーについて検討し,その特性を実現する共振素子を設計したので報告する.
リフレクトアレーを2帯域化する手法の1つに,マージ手法がある.これは,異なる作動周波数の素子パターンを重ね合わせて統合することで1つの配列とし,2帯域作動させる方法である.しかしながら,本手法は,素子間結合を考慮した構造パラメータの最適化が不可欠である.
そこで本稿では,マージ手法における素子間結合を低減する方法として,反射位相の実現方法が異なる素子を用いた,2帯域リフレクトアレーを検討する.上記の手法を用いた2帯域リフレクトアレーを設計し,反射特性を数値計算により確認した.
アンテナの低姿勢化や電波伝搬制御の手段として反射波の位相制御が可能なメタ表面反射板が知られているが,周期構造であるため,十分なユニット数を配置できない場合,設計通りの反射位相とならない場合がある.メタ表面の背面板の縁端にきりかきノッチやスロットを設けることで,端部の影響を改善できることを明らかにした. 本報告では、小型メタ表面を試作し測定を行った結果を示す.背面板の形状が反射特性改善に寄与することを示す.
リフレクトアレーアンテナの周波数によってビーム方向を変える特性,偏波によってビーム方向を変える特性を合わせることで,1枚の反射鏡を用いた従来のマルチスポットビームとマルチスキャニングビームの提案がされてきた.以前の報告では,Elevation方向は周波数で,Azimuth方向は偏波でビーム方向を変化させるスキャニングスポットビームについて検討を行い、リフレクトアレーアンテナの設計方法と解析結果を示した。解析結果から周波数と偏波によってビーム方向が変わり、所望のエリアを効率よくカバーすることが確認できた。本報告では,実際に製作したリフレクトアレーアンテナの測定結果を示す.
3月17日 14:45〜17:00 Meeting 18 座長 藤元美俊(福井大)
B-1-115 |
Design of 2.4-GHz Reconfigurable Circularly Polarized Square Ring Slot Antenna Employing Microstrip-Line Switchable Feed Network
○Htet W. Htun・Eisuke Nishiyama・Ichihiko Toyoda(Saga Univ.) |
B-1-116 |
Design of Simple 4 × 2 Beam-Forming Network for Four-Beam Array Antenna
◎△Maodudul Hasan・Eisuke Nishiyama・Ichihiko Toyoda(Saga Univ.) |
B-1-117 |
Design of Shaped Dielectric Lens Antennas for 2 × 2 Lens Antenna Array
◎Bazilah Baharom・Yoshiki Sugimoto・Hideaki Sugiyama・Kunio Sakakibara・Nobuyoshi Kikuma(Nagoya Inst. of Tech.) |
B-1-118 |
Reconfigurable Wideband Reflectarray Design Based On Magnetoelectric Dipole Elements
○Wen Wu・Qiang Chen(Tohoku Univ.) |
This paper presents a new configuration of 2.4-GHz reconfigurable CP antenna. In this configuration, a square ring slot antenna and a microstrip-line switchable feed network are effectively used, and they are implemented on the ground plane and on top of the dielectric substrate respectively. For CP characteristics, the square ring slot antenna is integrated with the a perturbation segment and for switchable function, a center small patch element and short-ended microstrip lines are connected by didoes. Therefore, a simple design without additional bias network is realized. The reconfigurable CP feature between LHCP and RHCP can be switched by applying positive or negative bias voltage to the center patch and the performances are discussed by simulated results.
In this study, the design of a simple 4x2 BFN is presented to highlight its application for a four-beam array antenna. The BFN consists of a magic-T, two SPDT switches and a 90º hybrid coupler. It has four input ports for four beam patterns. The concept is found to be feasible in the simulation.
A lens array has been developed to reduce the height of the lens from a single double-diameter lens [1]. However, the aperture distribution is not completely uniform on the lens. Therefore, the lens array can not be equivalent with the single lens. To improve uniformity on the array aperture, the shaped lens is applied to the lens element. The effect and the performance of the shaped lens are demonstrated by FEKO at 300GHz band.
Magnetoelectric(ME) dipole element was deployed into wideband reconfigurable reflectarrays by means of a compact phase-shifting structure. Simulation results illustrate the great advantage in bandwidth. To the best of the authors' knowledge, the proposed design achieves the widest gain bandwidth of the reported 1-bit static or dynamic reconfigurable reflect arrays. In addition, such a wide bandwidth was realized by single-layer printed circuit board (PCB), which is very suitable for massive deployment due to its low cost.
休 憩(16:00 再開) 座長 西山英輔(佐賀大)
B-1-119 |
Measurement of Reflection Characteristics of Electronically Controlled Reflectarray Antennas
◎Xianbo Cao・Qiang Chen(Tohoku Univ.) |
B-1-120 |
Thickness Dependence of Liquid Crystal Reflectarray on Reflection Phase
◎Xiaotong Li・Hiroyasu Sato・Qiang Chen・Yosei Shibata・Takahiro Ishinabe・Hideo Fujikake(Tohoku Univ.) |
B-1-121 |
Proposal of 4×4-mode Rectangular-coordinate Orthogonal Multiplexing Antenna System for the Non-far Region Communication
○Baoquan Duan・Takashi Tomura・Jiro Hirokawa(Tokyo Tech) |
B-1-122 |
Design of a Wideband Aperture-Coupled 2 × 2-Magnetoelectric Dipole Subarray Fed by Groove Gap Waveguide
○Yaxiang Wu・Takashi Tomura・Jiro Hirokawa(Tokyo Tech)・Miao Zhang(Xiamen Univ.) |
A fast and low-cost method for measuring the reflection characteristics of electronic controlled RA antennas by using the PPW was demonstrated. The measurement method can be used to accurately measure both the amplitude and phase of reflected
wave with only one row instead of the whole antenna, which offers a fast and low-cost way to validate the performance of the RA antennas, especially for large size and electronically controlled RA antennas.
This report presents an experiment of a reconfigurable reflectarray (RA) with liquid crystal (LC), which is capable of phase changing by bias voltage. As the unit cell, 4-finger is designed, two 21×19 elements LC-RAs with bias voltage controlling of different thickness are manufactured and compared.
To realize large-capacity wireless communication, various multiplexing techniques are being researched. As a new multiplexing transmission antenna system for line-of-sight short-range wireless communication, ROM (rectangular-coordinate orthogonal multiplexing) uses the orthogonality of the excitation polarities in rectangular-coordinate arrangement and features its symmetrical circuit components which leads to a wider operation bandwidth. a 2x2-mode ROM transmission system has been proposed and studied. As a study of the potential of this ROM transmission system, this manuscript presents the excitation coefficient and feeding circuit of 4×4-mode two-dimensional ROM transmission.
This manuscript has presented a wideband cavity-backed and aperture-coupled 2 × 2-ME-dipole subarray fed by groove gap waveguide in the V-band.
3月18日 9:15〜11:45 Meeting 17 座長 福迫 武(熊本大)
B-1-123 |
MACKEYの円偏波化に関する検討
○米田道典・横江慧人・牧野 滋・伊東健治(金沢工大) |
B-1-124 |
二つのMACKEYを組み合わせた小型円偏波アンテナの検討
◎横江慧人・飯島光基・米田道典・牧野 滋・伊東健治(金沢工大) |
B-1-125 |
インピーダンス整合とバックローブ抑圧を両立した小形円偏波アンテナ
○坂本寛明・牧村英俊・西本研悟・西岡泰弘・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-126 |
4線巻きヘリカルアンテナを用いたドローン用円偏波アンテナ
○宮下功寛・周東雅之・杉谷敦彦(モバイルテクノ) |
周囲の金属における影響を受けない小型アンテナとしてMACKEY(Meta-surface inspired Antenna Chip developed by KIT EOE Labo-ratory)を考案した.本報告では,MACKEYを薄型化し,さらに逆L型素子を用いて不平衡給電にしたMACKEYⅡをベースとし,グリット板4枚を用いて偏波を従来の直線偏波から円偏波とする新たなモデルであるMACKEY C4型(以下:C4型)を提案した.
検討の結果,C4型ではWi-Fi2GHz帯の使用帯域である2.4~2.5GHzのほとんどの帯域で目標である自由空間,金属上ともにVSWR3以下,軸比を3dB以下にすることができた.しかし一部の帯域で目標値を満たすことができなかったので今後は全ての帯域において目標値を満たすことができるようにする検討と,給電点を1つにするなど,より簡易的に給電が行うことができるように検討を行う.
周囲の金属における影響を受けない小型アンテナとしてMACKEY(Meta-surface inspired Antenna Chip developed by KIT EOE Labo-ratory, 以下:基本型)[1]について考案し,自由空間および金属上でも動作可能なことを示した.また,さらに,厚みを薄くしたMACKEYⅡ[2]も開発されている.本研究では,2つのMACKEYⅡを組み合わせて円偏波を放射する新たなモデルをMACKEY C3型として検討を行う.
逆Lアンテナとスパイラル素子を組み合わせた小形円偏波アンテナにおいてインピーダンス整合と交差偏波のバックローブを抑圧可能な周波数を一致できることを計算結果で示した.
近年,HAPSによる広域ドローン運航管理システムが検討されている.このシステムでは,地上局とドローン間の通信を飛行体に搭載したHAPS中継局経由で行うが,飛行体は常に旋回し,さらにドローンの姿勢は一定ではないため,HAPS中継局とドローン間の通信は円偏波を使用することが望ましい.また,HAPS中継局は広いエリアをカバーすることが求められる.そのため,HAPS中継局と通信するドローンへ搭載されるアンテナは,仰角方向において広い角度範囲に対応できることが求められる.本稿では,4線巻きヘリカルアンテナを用いて低仰角方向にも垂直方向にも放射できるドローン用円偏波アンテナを検討したので報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 道下尚文(防衛大)
B-1-127 |
二線アルキメデス・メタスパイラルアンテナを使用した二帯域円偏波ビーム走査
◎阿部智希・山内潤治・中野久松(法政大) |
B-1-128 |
電磁界結合給電広帯域0次共振アンテナ
◎牛越大樹・西 隆史(SOKEN)・小出士朗・山下拓也(デンソー) |
B-1-129 |
2枚の短絡板により小型化したMACKEY Q型の検討
○飯島光基・横江慧人・牧野 滋・伊東健治(金沢工大) |
B-1-130 |
MACKEYの1次元アレーに関する研究
◎若山喜一・牧野 滋・辻 開成(金沢工大) |
B-1-131 |
MACKEYⅡの二次元アレー化検討
○鈴木 創・辻 開生・牧野 滋・伊東健治(金沢工大) |
スパイラルアンテナを用いた円偏波ビームの走査を提案してきた. このとき, 動作帯域は単一であった. 本稿では, 二線アルキメデス・メタスパイラルアンテナを使用し, 二つの帯域にわたる円偏波ビーム走査を実現する.
マッシュルーム構造を用いた水平面に垂直偏波無指向性を実現する0次共振アンテナが提案されている.0次共振アンテナはλ/4ダイポール等と比較して低背で設計が可能となるものの,狭帯域であることが課題である.0次共振アンテナをCellular等のアプリケーションで使用することを考慮した場合広帯域化が必要となる.
そこで本稿では,2つの周波数で動作するマッシュルーム構造の側方に配置した線状素子から電磁結合を用いて給電することでマルチバンド化し,厚みλ0/38で比帯域20.8%(S11≦-6)が得られたため,これを報告する.
周囲の金属に影響されない小型アンテナとしてMACKEY(Meta-surface inspired Antenna Chip developed by KIT EOE Laboratory)について考察し,自由空間および金属上でも動作することを示した.本検討では,2枚の短絡板を用いることによって,アンテナの大きさを約λ/4角に小型化したMACKEY Q型を提案する.
マイクロ波による無線電力伝送技術への注目が高まり、レクテナによってデバイスを動作させるためには高い受信電力が求められている。そこで当研究室で従来検討されてきたアンテナ素子MACKEYをアレー化して利得の向上を図った。
アンテナ素子MACKEYⅡ不平衡型単体素子をE面、H面に配列していく1次元アレーで検討してさらにスリット幅sを1mm、5mm、10mmに変更したときの利得と損失を比較した。その結果、E面配列とH面配列どちらでもスリット幅が10mmの時に最も利得が向上し、単体素子と比べて約4dB向上させることができた。また、E面とH面の比較ではH面配列の方が約1dB利得が向上した。よって本研究ではアレー化の目的の利得向上を達成していると考えられる。
近年,IoTが急速に発展していることにより,周囲の金属の有無に関わらず動作する小型アンテナとしてMACKEY と,MACKEYの小型化を行ったMACKEYⅡが検討されている.本論文では,周囲のエネルギーを電力に変換するエネルギーハーベスティングの技術とMACKEYⅡを組み合わせるために利得向上と指向性の変化を目的とした,素子間隔λ/4と素子間隔λ/2の MACKEYⅡ二次元アレー化の検討を行った.また,素子間隔λ/4では9素子アレーであり,素子間隔λ/2では4素子アレーであり,給電素子であるダイポールアンテナはZ方向に配列したものとする.解析条件は,等振幅,同位相の理想的な給電回路を仮定しており,給電方法はダイポール素子に直接給電するものとする.
3月18日 13:00〜15:30 Meeting 17 座長 有馬卓司(東京農工大)
B-1-132 |
EBGを用いたミリ波帯半波長ピッチアンテナの指向性改善
○八幡雄介・三木祐太郎・山岸 傑・桑山一郎(住友電工) |
B-1-133 |
AMCを用いたミリ波帯アンテナの垂直面指向性改善
○三木祐太郎・山岸 傑・桑山一郎(住友電工)・榊原久二男(名工大) |
B-1-134 |
非相反CRLHメタマテリアル線路の誘導性スタブからの放射利得改善
◎近藤 巧・上田哲也(京都工繊大) |
B-1-135 |
AMCを放射体とした小形偏波共用アンテナの高アイソレーション特性に関する検討
○吉川博道・磯山伸治(京セラ) |
B-1-136 |
電波を特定方向へ屈折可能な透過型メタサーフェス屈折板
◎米原正道・平松信樹(京セラ)・阿部智希・中野久松(法政大) |
基板表面上に構成される平面アンテナでは、指向性の凸凹の乱れ(リップル)が問題となる。これは、アンテナから放射される電磁波の一部がGND表面を伝搬し、GND端部から放射されてアンテナ放射の主成分と合成されるためである。本稿では、電磁波のGND表面伝搬を抑制するEBG (Electromagnetic Band Gap:電磁バンドギャップ) をアンテナの周囲に配置し、電磁界解析により指向性のリップルを評価した結果を報告する。
自動運転技術の進展に伴い、今後車両への28GHz帯や39GHz帯のミリ波帯を用いる5G通信機器の搭載が想定される。車両の金属製ルーフ上にこのアンテナを配置した場合、ルーフの反射により垂直面指向性にヌルが発生することがある。本稿では、28GHz帯アンテナへのAMC (Artificial Magnetic Conductor) の装荷による垂直面指向性ヌル抑制の検討について報告する。
近年,非相反メタマテリアル線路の漏れ波アンテナ応用に関する研究が行われている.さらに,非相反CRLH線路からなる擬似進行波共振器の両端に挿入された反射素子の反射移相を操作することで,ビーム往査と偏波面回転機能を兼ね備えたアンテナが提案されているが,誘導性スタブからの放射利得が中央線路からの放射利得と比べて大幅に低下する問題があった.
本稿では,CRLH線路を構成する誘導性スタブに容量素子を挿入することで,動作周波数を一定に保ちながらスタブ長を伸長することを提案する.数値計算の結果,スタブからの漏れ波放射利得が改善することを確認した.
IoTにRFIDを適用した場合、子機側の無線送信電力が不要になるため、電池の長寿命化が期待される。しかし、本システムにおける送受のアンテナ間のアイソレーション特性は信号品質のために重要となる。差動給電による偏波共用直交モードのパッチアンテナではアイソレーション特性-40dBから-50dBと改善が図られているが、λ/2のアンテナであり、サイズが大きい課題がある。一方、AMCを用いた小形偏波共用アンテナが提案されてる。
本報告では、差動給電によるAMCアンテナを用いることでアンテナ素子サイズの小形化を行い、かつ高アイソレーション特性-70dBと改善できることを示す。
5Gミリ波は周波数が高く電波が回折しにくいため,障害物の陰は電波が届きにくい.この課題の解決手段としてメタサーフェスがあるが,反射型の検討が多く,透過型の検討は少ない.そこで,本発表では透過型メタサーフェスを実現するための360°の位相変化が可能な共振構造を持つ素子を提案し,1パラメータの調整のみで360°の位相変化が可能なことを示した.また,提案素子を用いた透過型メタサーフェス屈折板によって入射してきた電波が設計した方向に屈折可能なことをシミュレーションおよび実測結果から示した.
休 憩(14:30 再開) 座長 佐藤 浩(パナソニック)
B-1-137 |
Q値解析による周波数可変マイクロストリップアンテナの損失に関する数値的評価
◎荒木 良・西山英輔・豊田一彦(佐賀大) |
B-1-138 |
トランジスタ発振器を用いたリングスロットアクティブアンテナの基礎検討
◎△眞子将太朗・田中高行・豊田一彦(佐賀大) |
B-1-139 |
大規模高密度レクテナアレーの性能向上に向けた無給電素子配置に関する検討
◎△吉地琢真・西山英輔・豊田一彦(佐賀大) |
B-1-140 |
アクティブ電波反射板の上部フィルム基板の開発
○早川雅宏・中田尚子・松浦大輔(大日本印刷) |
本研究では,周波数可変マイクロストリップアンテナの損失メカニズムについてQ値を用いて数値的に評価した.このアンテナは,マイクロストリップアンテナと4つのバラクタダイオードで構成されている.シミュレーションで容量値が大きくなると共振周波数は低く,損失は大きくなることを確認した.容量値が大きくなると放射Qが大きくなるのに対し,トータルQ,導体QとダイオードQは小さくなった.これは,共振周波数が低くなると電気長が長くなり,アンテナとしては小型になるので放射Qが増加するためである.つまり,エネルギーの放射による消費が減り,導体やダイオードによって消費される割合が増すので,損失が大きくなることがわかった.
我々は,トランジスタ発振器を一体化したマイクロストリップアクティブアンテナについて検討してきた.本稿では、リングスロットアンテナとマイクロストリップ線路を用いたトランジスタ発振器を2つを使用したリングスロットアクティブアンテナについて検討している.このアクティブアンテナは,表面に配置したリングスロットアンテナを介して,裏面に配置した2つのトランジスタ発振器が同期している.本構成では,リングスロットアンテナの裏面に発振器を配置することにより発振器からの放射を抑圧することができる.
我々は,大規模レクテナアレーのための高密度アレーアンテナを提案した.本稿では,高密度アレーアンテナに装荷した無給電素子の位置やサイズを変えることで,開口効率を向上させる方法についてシミュレーションにより検討した.位置,サイズを変化させないときに比べて開口効率が73%pt向上することを確認した.
次世代移動通信規格5Gの普及が進み、6Gを含めた通信技術の開発が盛んである。用いられる電波は高周波数帯であり、直進性が高く、遮蔽物に遮断されやすいため、カバレッジホールと呼ばれる電波の不感地帯が生じる。そこで注目を集めているのが電波の反射方向を動的に制御する役割を果たす「アクティブ電波反射板」である。
本開発では、液晶を用いたアクティブ電波反射板の研究を進める。電波反射板の部材に注目し、上部基板を従来のガラスから、低誘電率・低誘電損失の物性を持つフィルムに変えることで、損失の小さい電波反射板が得られると考えた。また、基板表面のフラットネスや基板同士の平行度が電波反射板の特性に大きく影響することがわかっているため、基材の選択から貼合等の作製プロセスまでを検討した。
3月18日 15:45〜17:00 Meeting 18 座長 山田寛喜(新潟大)
B-1-141 |
遺伝的アルゴリズムを用いたレイトレースパラメータの最適化
○廣瀬 幸(九工大)・今井哲朗(東京電機大)・呉 聖屹・岩﨑 慧・チン ギルバート シー・吉敷由起子(構造計画研) |
B-1-142 |
市街地マイクロセル環境における26-100GHz帯の伝搬路に関する一検討
○猪又 稔・山田 渉・久野伸晃・佐々木元晴(NTT) |
B-1-143 |
THz帯を活用した仮想化端末におけるデバイス方位推定手法の一検討
○松野宏己・長尾竜也・天野良晃(KDDI総合研究所) |
B-1-144 |
テーパスロットアンテナの周波数帯域の下限周波数の低減
○笹森崇行(北海学園大) |
B-1-145 |
CW信号による28GHz帯マルチビーム Massive MIMOの評価
○西森健太郎(新潟大) |
レイトレースにおける伝搬パラメータを構造的に最適化することでレイトレーシング法の高精度化を目指している.レイトレーシング解析において遺伝的アルゴリズム(Genetic algorithm; GA) を適用することによる電波伝搬推定法が報告されている.これはレイをトレースする場合の構造物の組合せを最適化することで,演算処理が高速化された.本研究ではレイトレーシング解析の高精度化を目的として遺伝的アルゴリズムを利用し,電波伝搬特性に影響を与えるパラメータとして構造物の誘電率および導電率・出射間隔・反射および回折回数を最適化し,実測結果と比較評価する.
6Gでは超高速・大容量の実現に向けて, 300GHz帯までのサブテラヘルツ波帯の適用が検討されている.5Gチャネルモデルは,3GPPやITU-Rで100GHz帯までのモデルが標準化されたが,測定結果は71GHz未満であり,サブテラヘルツ波帯のシステム設計においては十分ではない.そこで本稿では,市街地マイクロセル(UMi)環境において26-100GHz帯までの遅延プロファイル及び角度プロファイルを測定し,その結果より送受信間の伝搬路や周波数特性について検討したので報告する.
Beyond 5Gや 6Gで求められる超大容量・超低遅延通信の実現に向けて,ユーザ端末が周辺の無線デバイスと連携し,仮想的にアンテナとして扱うことで,ユーザ端末の無線性能を向上する構成の検討を進めている.
ユーザ端末と中継デバイス間の通信は,超高速・大容量、超低遅延通信が求められることから,超広帯域が利用可能なテラヘルツ帯の活用を考えており,テラヘルツ帯の超狭ビームをユーザ端末と中継デバイスでのビームを相互の移動に追従するために,相互方位の高精度な方位推定が必要となる.
本稿では,ビーム方向と受信電力の情報から高精度に方位を推定する手法として電力重心に着目し,推定誤差が0.5度と高精度に推定できることを確認した.
テーパスロットアンテナは,薄型,軽量で広帯域特性をもつアンテナとして知られている.TSAはミリ波帯イメージング装置や移動体通信用アレーアンテナの素子アンテナ,およびパラボラアンテナの1次放射器等への応用等が提案されている.本報告では,TSAの小形化を目的として,アンテナ外周の導体部分を曲線で絞り込む形状にすることで反射特性の周波数帯域の下限周波数が低くなることを報告する.
第5世代移動通信システム (5G)では,ミリ波である28GHz帯を用いたサービスが実現されている.CW送受信から得られるSNRとKファクタから,5GのMIMO-OFDM伝送の簡易評価法を提案している.本稿では,著者らが提案しているマルチビームMassive MIMOに対し,5G規格の伝送レートを評価した結果を示す.
B-1. アンテナ・伝播C(アンテナシステム)
3月15日 9:00〜11:45 Meeting 19 座長 井上祐樹(NTTドコモ)
B-1-146 |
振幅の周波数特性を容易に制御可能な小形キャンセラ回路の設計
○山浦真悟・西本研悟・西岡泰弘・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-147 |
全二重無線通信における空間ダイバーシティを用いたミリ波帯での端末間干渉抑圧に関する検討
○竹村暢康(日本工大) |
B-1-148 |
高高度プラットフォーム(HAPS)による5G網と連携した38GHz帯の無線通信システム開発 ―ミリ波帯HAPS用地上局アンテナシステムにおける追尾システム ―
◎大津留 豪・辻 宏之・阿部侑真・関口真理子・三浦 龍・大倉拓也・菅 智茂・松田隆志(NICT)・鈴木 淳(スカパーJSAT)・岸山祥久(NTTドコモ) |
B-1-149 |
可視光を用いたスケールモデルによるシャノン容量推定
○谷口諒太郎・村上友規・猪又 稔・小川智明・鷹取泰司(NTT) |
B-1-150 |
建物高さ画像とニューラルネットワークによる伝搬損失推定
◎井上一也・今泉圭太・市毛弘一(横浜国大)・長尾竜也・林 高弘(KDDI総合研究所) |
キャンセラ回路は,無線通信やレーダの同時送受信を実現するために使用されている.筆者らはこれまでに,振幅の周波数特性を容易に制御可能な小形キャンセラ回路を提案している.本稿では,同時送受信回路に提案回路を適用し,提案回路が従来回路よりも漏れ込み波を広帯域にキャンセルできることを示している.
近年,基地局と端末との間の通信において,信号伝送を同一周波数帯域で同時送受信する全二重無線通信システムが検討されている.このシステムは従来のTDD方式と比較して,理論上2倍の通信容量を実現できるという利点がある.一方,基地局へ送信する端末からの信号がダウンリンクする他の端末へ漏れこむ端末間干渉が発生するという問題がある.本稿では,ミリ波帯において,空間ダイバーシティを用いた携帯端末間の干渉抑圧について,レイトレーシング法を用いた数値解析を行った結果について述べる.
本稿では,高高度プラットフォームステーション(HAPS)の地上局における新たな追跡方法を提案する.HAPSの地上局は,同一周波数帯域の地上移動通信システムとの電波干渉の影響を低減しながら,導入コストを抑え低い消費電力でHAPSの位置を正確に追跡する必要がある.本研究では,HAPS軌道位置予測と新たなアンテナ指向性制御方法を導入し,HAPS地上局の効率的なアンテナ追跡方法を提案する.また,シミュレーション結果により,提案されたアルゴリズムの有効性を示す.
著者らはスケール率の高い環境モデルにおいて,可視光レーザ,球体,カメラを用いて測定した光の到来方向および反射回数のデータから伝搬特性を推定する手法を提案している.本報告では参照とする実測の伝搬チャネル情報の測定点の数に対しての,MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)のシャノン容量推定精度についての実験結果を示す.
本稿では,機械学習による伝搬損失推定手法を提案する.著者らは,入力データとして建物高さ画像と送受信点間距離などの数値パラメータを用いたモデルを提案し,空間データの利用方法による推定精度の違いについて検討した.本稿では,使用する数値パラメータの種類や空間データについて検討し,AP研伝搬DBの小倉データセット,および津田沼データセットを使用して,提案手法の有効性を検証する.
休 憩(10:30 再開) 座長 村田健太郎(岩手大)
B-1-151 |
高高度プラットフォーム(HAPS)による5G網と連携した38GHz帯の無線通信システム開発 -地上局におけるレンズアンテナ向けアレー給電の検討-
大内幹博・○木村知弘・外山隆行(パナソニック)・辻 宏之・三浦 龍(NICT) |
B-1-152 |
市街地ストリートセル環境におけるアレーアンテナの実効利得評価
◎林 真之介・藤元美俊(福井大)・北尾光司郎・中村光貴・須山 聡・小田恭弘(NTTドコモ) |
B-1-153 |
スロットペアの動作切換により素子信号の符号分割多重化を行う導波管スロットアレーアンテナの設計
○中本成洋・紀平一成・深沢 徹・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-154 |
複素共役関係の送信信号ペアを用いた送受積時間変調アレー
○紀平一成・深沢 徹・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-155 |
フェーズドアレーアンテナの重み係数と受信電力を用いたチャネル相関行列推定手法
◎金子裕哉・松下健治(矢崎総業)・本間尚樹(岩手大) |
筆者らは38GHz帯を用いたHAPS (High-Altitude Platform Station) バックホールシステムにおいて,レンズアンテナとアレーアンテナによる地上局アンテナシステムを提案した.本稿では,アレー給電の検討結果について述べる.
5G 及び次世代通信システム(6G)では,従来よりも高い周波数帯の電波を利用して高速・広帯域な通信を実現する.高周波数帯の電波は波長が短くなるため直進性が高くなり遮蔽物体の影響を大きく受けてしまう.そのため,5G の基地局はストリートセルと呼ばれる市街地環境の建物より低い位置に設置される.市街地ストリートセル環境では,歩行者及び車両の移動におけるマルチパスの遮蔽・散乱現象により,伝搬チャネル特性が変動することで,アレーアンテナの実効利得へ影響を与えると想定される.本報告では, 超多素子アレーアンテナを実装したチャネルサウンダを用いて,20GHz 帯での伝搬チャネル特性を測定し,アレーアンテナの実効利得を評価する.
フル DBF(Digital Beam Forming)アンテナの低コスト化技術として,各素子アンテナ信号に直交符号を乗算・合成し,信号処理でこれらを分離することで A/D 変換器数を削減する方法が提案されているが,各素子アンテナ系統に増幅器が必要となる.筆者らはこれまで,増幅器数を削減する方法として,導波管スロットアレーの各スロット動作を切り換えることで受信信号を符号分割多重化し,信号処理で各素子アンテナ信号に分離するDBFアンテナを提案している.本稿では,スロット動作切換にPINダイオードを用いた提案アンテナの設計結果について示す.
著者らは移相器による位相制御型時間変調アレーアンテナを提案している.これは各素子アンテナに与える位相分布を時分割で切り替え,時間平均により等価的に振幅制御を実現する技術である.これまで切替回数の削減や送受同時適用についてそれぞれ報告しており,本報告ではそれらを組み合わせた送受積方式を提案する.
ビームフォーミングを用いる通信では定期的にビームスイープと受信電力の測定を繰り返すことで伝搬環境の変化に追従してビーム方向を決定するが,指向性変更に伴うオーバーヘッドや一時的な受信電力の減少が起きる.各アンテナ素子の受信信号の位相差が把握できればスイープせずに到来方向推定が行えるが、高周波回路が複雑・高コスト化する。そこで,フェーズドアレーアンテナで各素子の重み係数を変更して受信電力を測定し,受信信号の位相差についての連立方程式を解くことでチャネル相関行列を求める方法を提案する.本発表では,提案手法により電力情報のみを用いて到来方向推定可能であることを計算機シミュレーションで確認した.
3月15日 13:00〜17:00 Meeting 19 座長 豊見本和馬(ソフトバンク)
B-1-156 |
ミリ波2次元MIMOレーダを用いたKhatri-Rao積拡張アレー処理による3次元イメージングに関する実験的検討
◎加藤立騎・山田寛喜(新潟大) |
B-1-157 |
ミリ波レーダを用いた人物動作分類におけるイメージング分解能と分類精度について
○坂上史弥・山田寛喜(新潟大) |
B-1-158 |
Deconvolution ISTAを用いたSAR観測データの情報圧縮
○牛腸正則(NICT) |
B-1-159 |
ミリ波FM-CWレーダを用いた交通監視における複数ターゲットの分離に関する検討
◎鈴木壱歩・山田寛喜(新潟大) |
B-1-160 |
OTA評価装置を用いた地板付きAOAアンテナの推定精度検証
◎大坪海翔・本田和博(富山大) |
近年,ミリ波レーダを用いたセキュリティシステムの強化が期待されている.既存のセキュリティシステムの多くは合成開口レーダ(SAR : Synthetic Aperture Radar)を用いることで,高精度な2D/3Dイメージングを実現している.しかし,通常,SARは機械走査による長い観測時間を要するという課題がある.本稿では,送信素子と受信素子がそれぞれ2次元平面アレーにより構成されたミリ波MIMOレーダを用いて実験を行い,Khatri-Rao(KR)積拡張アレー処理の適用前後で3次元イメージング結果の比較を行った.
近年,電波を用いた機械学習による人物の動作認識に関する研究が盛んに行われており,筆者らはミリ波レーダを用いてそれらに取り組んでいる.レーダによって観測した動作を2次元イメージング(画像化)し,それらをニューラルネットワークによって学習させることで動作の分類を実現させる.ここで、高精度な動作の分類には各動作の特性が明確に判断できるイメージングデータが必要である.
つまり,各動作の分類精度にはイメージングの分解能が非常に深く関わってくると予想される.そこで本稿では,ミリ波レーダを用いて得られた10動作のレンジ-ドップライメージングデータのレンジ分解能(周波数帯域幅)を変化させていった時の動作分類精度を評価する.
これまで我々は多次元畳み込み問題のスパース再構成手法(Deconvolution ISTA)の提案と,合成開口レーダ(SAR)観測データを用いた実験的検証を行ってきた.本発表では,提案手法の性能評価と応用利用として,再構成時のハイパーパラメータ/スパース率/復元率について確認を行う.特にスパース率と復元率から,提案手法の情報圧縮的な利用について考察を行う.
結果より,全体の僅か10%程度の非ゼロ要素からもとのSARデータを90%以上復元できることが確認された.さらに,僅か1%以下の非ゼロ要素から80%以上の復元率が得られることが確認できる.
近年,ミリ波レーダを用いた交通監視システムが注目を集めており,レーダと機械学習を用いたターゲットの識別に関する研究が盛んに行われている.先行研究では, 畳み込みニューラルネットワーク(CNN)によって単数ターゲットの識別は高い識別精度が得られるが,複数ターゲットになった場合,1つ1つのターゲットを識別するにはターゲットの分離をする必要がある.本稿では,2送信4受信のMIMOレーダで得られた複数ターゲットの実験データにKhatri-Rao(KR)積拡張アレー処理を適用したフィルタリング処理によってターゲットを分離し,フィルタリング処理前とのCNNによる識別精度を比較することにより,少ない素子数でも角度分解能を向上させることのできるKR積を適用したフィルタリング処理によって良好に複数ターゲットを分離・識別できることを示す.
本研究室では,到来波方向推定と超高速通信を同時に実現できる円形配列フェーズドアレーアンテナを開発している.本論文では,地板を有するモノポール素子による円形配列AOAアンテナについて,OTA評価装置を用いてライス伝搬環境下での測角精度を検証したので報告する.
休 憩(14:30 再開) 座長 塩見英久(大阪大)
B-1-161 |
分散型PfGAによる近傍波の到来方向推定に関する一検討
◎林 優太・大島功三(旭川高専)・村本 充(苫小牧高専) |
B-1-162 |
屋内UWB測距・測位精度向上のためのMUSIC法を用いた高分解能到来方向推定
◎渡邉友皓・伊丹 誠(東京理科大) |
B-1-163 |
無人飛行機を用いた波源推定法におけるKファクタを利用した配置法の実環境を考慮した評価
◎高世 駿・西森健太郎(新潟大)・松田崇弘(東京都立大) |
B-1-164 |
波源位置推定のためのISTAを用いた到来方向実験結果
◎宝田広夢・西森健太郎・高世 駿(新潟大)・松田崇弘(東京都立大) |
B-1-165 |
無人飛行機を利用した波源推定方法における実信号を考慮したシミュレーション評価
○髙橋佳史・西森健太郎・高世 駿(新潟大) |
電波の到来方向推定において,波源が近傍の場合,波を球面波として扱う必要があり,従来のMUSIC法等では,推定誤差が大きくなる.そこで我々の研究室では,球面波に対応した手法として染色体数可変GA(FCGA:Flexible Chromosomes Genetic Algorithm)を用いた手法の研究を行っている.本検討では,GAの環境構築の効率化のため,パラメータフリーGA(PfGA : Parameter-free Genetic Algorithm)を導入したFCGAを構築し,加えて,GAの処理を分散化することで,処理性能の向上を図る.本検討の目的は,到来方向推定における分散型PfGAの有効性を明らかにすることとする.
UWB (Ultra Wide Band)無線通信は高い距離分解能を持つため,測位・測距に関する研究が進められている.一方で,従来研究の到来時間のみによる距離推定ではシステムが複雑になると,センサ同士の時間同期が容易ではなくなり,測距精度が低くなってしまうという課題がある.本稿では,屋内UWB測距・測位に有効な高分解能到来方向推定の精度をコンピュータシミュレーションにより評価する.MUSIC法を用いてSNR(signal-to-noise ratio),アレーアンテナにおける素子数,素子配置を変更した場合の角度誤差を評価した.結果として,素子配置を多重円形とした場合に円形と比較して低指向性となること,目的の精度で測距を実現するために必要となる条件が確認されたので報告する.
近年注目されている周波数共用技術では,新規システムを既存システムに影響を与えない形での運用が求められるが,その際に既存システムの波源情報が必要である.著者らはアレーアンテナを搭載した無人飛行機を利用し,得られた到来方向推定結果を用いて送信波源を推定する手法を提案している.本検討では,実環境を考慮した無人飛行機の配置方法に着目して検討を行い,その特性を評価した.
周波数利用効率を向上するため,1次システムの波源位置推定を無人飛行機を用いて推定する手法の検討がされている.
先行研究では無人飛行機を用いた圧縮センシングによる波源位置推定の手法を提案し,シミュレーションを行うことでその有効性を明らかにしている.
本検討では,市街地環境下で提案手法を模擬した実験を行い,実環境における提案手法の有用性を評価した.
近年,無線通信システムの運用の増加に伴い,周波数資源の圧迫やシステム間の干渉が問題となっている.
しかし,全ての時間・場所に注目すると常に無線通信システムが使用されているとは限らず,空いている周波数を2次利用する検討が行われている.2次システムを利用するためには,未知の1次システムの波源位置を推定する必要がある.
著者らはアレーアンテナを搭載した無人飛行機を利用することで,得られた到来方向推定結果を用いて送信波源の位置を推定する手法を提案している.本検討では,波源推定のシミュレーションで使用する雑音に関して,実信号を考慮する点に着目して検討を行い,その特性を評価した.
休 憩(16:00 再開) 座長 紀平一成(三菱電機)
B-1-166 |
ミリ波レーダによるトポロジー法を用いた複数人非接触心拍計測
◎岩田慈樹・阪本卓也(京大) |
B-1-167 |
Schelkunoffの多項式法を利用した生体成分分析の高速化
◎鈴口純也・阪本卓也(京大) |
B-1-168 |
DODとTOFを用いたMISOレーダによる生体測位法
◎田中亮佑・伊藤友則・白木信之・本間尚樹・村田健太郎(岩手大)・中山武司・飯塚翔一(パナソニック) |
B-1-169 |
LOS/NLOS混在環境における移動速度とチャネル時間応答線形予測を考慮した測位精度評価
○白木信之・本間尚樹・村田健太郎(岩手大)・中山武司・飯塚翔一(パナソニック) |
従来,呼吸や心拍といったバイタル信号の計測には接触型センサが用いられてきたが,センサ着脱の手間や装着時の不快感などにより,常時計測には不適である.センサ装着が不要なレーダによる非接触計測は,呼吸・心拍などの常時計測に適し,複数人の同時計測への応用に期待が高まっている.我々は,これまで多人数の呼吸同時計測技術の開発に取り組んできたが,複数人を対象とした非接触心拍計測技術は未確立である.また,複数人の平均心拍数を非接触計測した例は報告されているが,瞬時心拍数の非接触計測については報告が少ない.本稿では,トポロジー法を応用し,複数人の瞬時心拍の非接触計測を実験により実証すべく,提案パラメータ自動設定法による精度改善を定量評価する.
人体の複数部位で皮膚表面の微小変位を計測すると,脈波の伝播遅延が計測でき,高血圧や動脈硬化に関係する重要な指標である脈波速度を得ることができる.我々は,人体の生体信号を数理モデル化し,そのモデルをアレー信号処理に導入した生体成分分析(Physiological Component Analysis: PHCA)と呼ばれるブラインド信号分離法を開発してきた.生体成分分析は,従来法と比べて高精度な信号分離を可能とする一方,多次元最適化による膨大な計算量が課題であった.本稿ではSchelkunoff多項式法を利用し,最適化問題の次元削減により生体成分分析の高速化手法を提案する.
本報告では,DODとTOFを用いたMISOレーダによる測位法を提案する.提案法では,既知の距離に置かれた受信局を用いて理想チャネルと観測チャネルを比較し,算出したチャネル校正係数よりデバイス由来の位相誤差を除去する.それにより得られた複素チャネル行列を用いてアレー方向の処理によりDODを推定し,OFDMにより得られる周波数特性に時間領域MUSIC法を適用することでTOF推定を行う.これら2つの情報の組み合わせにより生体の位置を推定する.5m×5m×2.5mの屋内環境を想定したシミュレーションでは,測位誤差のCDF75%値は1.99mとなり,チャネル校正をしない場合と比較して誤差が2.81m改善された.
近年,高齢者数の増加に伴う見守りシステムの需要が増加している.見守りシステムの一環として生体の測位が挙げられる.リアルタイムな測位は,転倒等の危険予測,早期発見に有用である.著者らは,リアルタイムな測位としてチャネル時間応答線形予測と対象移動速度を考慮した測位法を提案している.しかし,実際の環境はLOS環境とNLOS環境が混在しているのに対し,同手法はLOS環境のみの検討であった.本報告では,LOS/NLOS混在環境における移動速度とチャネル時間応答線形予測を用いた測位精度評価を行う.位置推定誤差の75%値を比較すると直近は2.1 m,現在は1.8 m,提案法は1.3 mとなり, LOS/NLOS混在環境であっても生体測位精度を向上させることを確認した.
3月16日 9:00〜11:45 Meeting 18 座長 本田和博(富山大)
B-1-170 |
屋内無線電力伝送の実用化に向けた人体曝露回避に関する研究
◎西村海都・藤元美俊(福井大)・河合克敏・中舎朋之・田中裕也(京セラ) |
B-1-171 |
位置拘束付電力最小化に基づく無線電力伝送
◎池田彰宏・藤元美俊(福井大)・河合克敏・中舎朋之・田中裕也(京セラ) |
B-1-172 |
ノイズキャンセル装置用信号間位相差測定法の測定誤差解析
○牧村英俊・西本研悟・稲沢良夫(三菱電機) |
B-1-173 |
可変型低PIM終端を用いた動的残留ノイズ同定手法の有効性評価
○桑田昌佳・久我宣裕(横浜国大) |
B-1-174 |
平面型Magic-Tを用いた給電マトリクス回路の提案
◎梅田祐孝・西山英輔・豊田一彦(佐賀大) |
無線電力伝送の実現に向け,現在屋内での無線電力伝送実用化に向けた検討が盛んにおこなわれている.屋内での無線電力伝送を行う上で人体への放射軽減は大きな課題である.人体に過剰に電波が放射されると刺激作用及び熱作用が生じることとなる.そのため屋内での無線電力伝送を実現するにあたり,安全のため人体への放射を回避する必要がある.本稿では遠方界ビームフォーミング,近傍界モードベクトル,レトロディレクティブの三種類の指向性制御手法による人体への放射回避について検討する.
無線電力伝送の実現に向け,現在屋内での無線電力伝送に関する検討が盛んに行われている.一方,設計自由度の高い指向性制御技術として,方向拘束付き電力最小化法(Directionally Constrained Minimization of Power, DCMP)がよく知られている.しかし,屋内はマルチパス環境であり,かつ近傍界であることから,DCMPを用いた指向性制御は良好に動作しない可能性が高い.本報告ではDCMPを拡張した位置拘束付電力最小化(Positionally CMP, 以下PCMPと呼ぶことにする)に基づく電力伝送制御技術を提案する.
無線機器内のイントラEMC問題に対して,電磁シールドなどではなく,回路的に内部干渉ノイズの影響を低減する手法の検討を行っている.前回大会にて,内部干渉ノイズをキャンセルする回路とその構成要素のひとつである信号位相差測定回路を提案し,動作を実験により確認した結果を報告した.本報では,信号間位相差測定回路について,電力合成器に反射が存在する場合の位相差測定誤差への影響を検討し,反射が小さく,かつ測定対象の信号レベル差が小さいほど測定誤差が抑制できることを示した.
PIM 測定において,テスタ内部の残留ノイズを評価することは試料を精度良く評価するためにも重要である.
そこで PIM 可変型終端を用いた残留ノイズ同定手法が提案されている.
これは PIM レベルが可変可能な終端器を用いて動的に残留ノイズを同定する手法である.
しかし,大電力では低 PIM 性能を確保できず,利用が困難であった.
そこで本稿では,可変型低 PIM 終端器を提案し,大電力における残留ノイズ同定手法の有効性を示す.
本終端器は固定減衰器を用いて従来のサイズを維持しつつ,大電力においても低 PIM 性能かつレベルの可変化を
実現している.
ビーム走査アンテナの給電回路としてバトラーマトリクスがよく用いられるが,複数の90度ハイブリッドと線路交差が必要なため平面型でコンパクトに構成することが難しく構造的に大きくなるという問題が発生していた.本稿では平面型Magic-Tとλ/4線路を用いた単層基板の給電マトリクス回路を提案する.Magic-Tの同相分配,逆相分配の特性を生かしたMagic-Tの配置により線路交差を無くし,単層平面型給電マトリクス回路の設計を可能とした.解析にはADS(Keysight社)を用いて全ての入力ポートで±5°の設計ができた.したがってMagic-Tとλ/4線路を用いることで単層平面型の簡易な構成でバトラーマトリクスと同様の動作をする給電マトリクス回路が実現できることを示した.
休 憩(10:30 再開) 座長 内田大輔(東芝)
B-1-175 |
OTA試験における測定点の削減について
◎三井悠輔・新井宏之(横浜国大) |
B-1-176 |
タイムドメイン近傍界測定におけるダイナミックレンジ拡大に関する検討
◎近藤源哉・藤森和博(岡山大)・新井宏之(横浜国大)・田中稔泰(マイクロウェーブファクトリー) |
B-1-177 |
可変長導体管を用いたアレーアンテナの非接触PIM源位置特定
◎△村田 翔・桑田昌佳・久我宣裕(横浜国大) |
B-1-178 |
集中定数型IM源を用いた平衡系PIM測定と不平衡系PIM測定の間の測定レベル換算に関する検討
○江尻真希志・桑田昌佳・久我宣裕(横浜国大)・室伏竜之介・花山英治(職業開発大) |
B-1-179 |
マイクロ波発泡成形における最適金型構造に関する検討
◎古内航紀・村田健太郎・本間尚樹(岩手大) |
近年、IOTデバイスの増加に伴いその無線能力を評価するOver the Air (OTA) 試験が注目されている.この試験は通常遠方界で行うため,測定装置が大掛かりになり,走査時間がかかってしまうという問題点がある.そこで,本稿では近傍界遠方界変換を用いることにより近傍界の電界値からアンテナの電流分布を推定し,これを用いて遠方界指向性を計算することで走査時間の削減を検討する.本論文では主に走査時間削減のための測定点の削減について示す.
アンテナ指向性の測定手段に近傍界測定がある.5G以降の基地局では,積極的なビームフォーミングを行うと同時に,5Gにおける28GHz帯以上の高周波数帯を利用するため,小型化・集積化が図られRF端子を持たないアンテナシステムが主流となる.これらの基地局や端末の指向性を測定する場合,VNAを用いた従来の近傍界測定は困難であるから,著者らはタイムドメイン近傍界測定によるアンテナ指向性測定システムを提案してきた.この方法ではダイナミックレンジが不足するという問題を抱えており,ケーブルを通過する高周波を28GHzから1GHzとすることで改善を図った.これにより,現れていなかったサイドローブがダイナミックレンジの改善によって現れていることがわかった.今後は,さらなる測定系の集積化を図る予定である.
アレーアンテナの非接触PIM源位置特定手法が提案されている[1].
文献[1]では,アンテナがPIM源である場合が検討対象となっていたが,一般的な給電回路では分岐回路が含まれるためこの影響を考慮したPIM源位置特定が必要となる.
これに対し本稿では,可変長導体管(VLT:Variable Length conductive Tube)を用いて給電回路を含めた非接触PIM源位置特定手法を提案する.
受動回路における相互変調ひずみ(PIM : Passive Intermodulation )は複数周波数が印加された際に素子の非線形性によってお互いの信号が変調され不要な周波数信号が発生する現象として,移動体通信基地局等で問題となっている.
移動通信システムでは一般にマイクロストリップ線路(MSL : Microstrip line)が多く使用されているためMSLのPIM評価を行う必要がある.先行研究ではMSLと電気的に透過な平衡MSLを用いることで非接触にてMSLのPIMレベルを評価する手法が提案されている.
さらに被測定試料を非接触コネクタで挟み込んで測定をしているため,コネクタ接触等により起因するPIMを排除して測定をすることができる.また,非接触にて被測定試料を測定しているため,PIMレベルが被測定試料を差し替えるだけで比較することができるメリットがある.しかし先行研究で用いる被測定試料ではスリッドを設けて被測定素子を装荷しているため,高レベルなIMは測定できるが整合がとれないことが問題となっている.そこで,本稿では整合状態及び高度なPIM測定のできる被測定試料の提案及び平衡系と不平衡系の相関を実験測定により示す
発泡スチロール(EPS)の製法として低製造コスト・低環境負荷が期待されるマイクロ波加熱方式が注目されている.しかし,本方式では金型内で発生する定在波により,加熱の不均一性が生じる.また,金属面の境界条件により,金型内隅角部に不感点が生じる.これらの原因でEPSの成形不良が発生するため,金型内の電磁界分布を均一化する手法が必要である.
本稿では,単一マイクロ波源のみを用い,成形空間に物理的に干渉せずに金型内電磁界分布を均一化する手法を提案し,電磁界分布の均一性と効率の観点から,提案法の有効性をシミュレーションに基づき評価する.
3月18日 10:30〜11:45 Meeting 18 座長 村上友規(NTT)
B-1-180 |
円形配列フェーズドアレー偏波制御4×4 MIMOアンテナのビーム測定
◎関野湧斗・本田和博(富山大) |
B-1-181 |
実運用環境における車載2×2MIMOチャネル容量の特性解析
◎池田友典・藤元美俊(福井大)・豊見本和馬・山口 良(ソフトバンク) |
B-1-182 |
都市環境下における車載マルチアンテナ構成の実験的検討
○豊見本和馬・山口 良(ソフトバンク)・福迫 武(熊本大) |
B-1-183 |
アレー給電レンズ型OAMアンテナの伝搬特性シミュレーション
○平部正司(NEC) |
B-1-184 |
直角座標系二次元直交多重伝送におけるサブアレー間隔拡大による伝送容量増大の基礎検討
◎藤城将志・広川二郎・戸村 崇(東工大)・西森健太郎(新潟大) |
我々は,到来波方向及びXPRに寄らず高速通信が実現可能である円形配列フェーズドアレー偏波制御4×4 MIMOアンテナを提案している.本論文では,提案アンテナを試作し,重み付け合成により偏波ビーム形成を実施したので報告する.
車載MIMO通信評価の方法として,電波暗室を用いた手法や実験用基地局装置を用いた手法があるが,大型電波暗室や電波免許などが必要となる.そこで,車載MIMOアンテナ評価用コヒーレント基地局スキャナ[1]が開発され,実運用環境での車載MIMO評価を簡易かつ小規模に行うことが可能となった.本報告では,コヒーレント基地局スキャナにより取得された測定データを用いて,実運用環境での車載2×2MIMO通信のチャネル容量の評価を行う.
自動運転等をサポートするために,移動通信網に接続可能なコネクテッドカーの開発が進められている.現在サービスされている第4世代及び第5世代移動通信においては, MIMO適用時のブランチ数が最大4までサポートされており(Sub-6以下の場合)[1],4ブランチを有した車載マルチアンテナの構成法を明らかにする必要がある.本稿では,我々が開発したコヒーレント基地局スキャナ[2]による商用波測定を行い,車両側に4ブランチからなるマルチアンテナ構成を検討する.具体的には,ルーフトップ,車内,及びルーフトップと車内に分散配置した場合の3種類の構成の比較を行い,得られた結果について考察を行う.
等間隔円形アレーアンテナ(UCA: Uniform Circular Array Antenna)用いてOAMモード多重伝送を行うことができるが,伝送距離に応じてUCAの径を調整する必要がある.我々はこの制約を解消する方法として円形アレーアンテナを一次放射器としたレンズアンテナによりOAMモードを生成・分離するアレー給電レンズ型OAMアンテナを提案し,その検証実験結果を報告した.本稿では,アレー給電レンズ型OAMアンテナの伝搬特性のシミュレーション結果を報告する.
本稿では,ミリ波帯の直角座標系二次元直交多重(ROM)伝送において,サブアレー間隔を拡大による伝送容量増大を基礎検討した。アンテナ系は,2x2のサブアレーからなる同じアンテナを送受信に用いて構成する。2x2のサブアレーは送受信のそれぞれにおいて直角座標系で2次元直交する極性をもつ4つのモードで独立に重みづけし,サブアレー中の素子はy偏波の微小ダイポールからなる。サブアレー間隔を変化させたとき,各モードの透過係数とチャネル容量の伝送距離依存性を解析した。その結果,規格化伝送容量が最大となるサブアレー間隔と伝送距離を得た。
3月18日 13:00〜15:30 Meeting 18 座長 杉本義喜(名工大)
B-1-185 |
実環境における連続波信号を用いた5G簡易評価
○佐藤宏紀・西森健太郎(新潟大) |
B-1-186 |
マルチユーザMIMOにおけるKファクタを用いた5G簡易評価法
◎青木 涼・西森健太郎・佐藤宏紀(新潟大) |
B-1-187 |
高周波数帯上りリンクにおける多重軸変換システム
◎瀧川将弘・堅岡良知・大関武雄・渡辺大詩・山崎浩輔・岸 洋司(KDDI総合研究所) |
B-1-188 |
実環境における非対称LoS-MIMOの効果
◎渡邉貴宣・西森健太郎・岡田 陸(新潟大) |
B-1-189 |
MIMO 伝送における独立成分分析を用いた受信方式
◎加藤寿輝・清水優也・藤元美俊(福井大) |
2020年から第5世代移動通信 (5G) システムの商用利用が日本でも開始されたが,その伝送特性を厳密に評価することは困難である.特に大学等の機関では広帯域の装置を作成することは容易ではない.そこで著者らは狭帯域信号で5Gシステムを評価する手法を提案している.本報告では実環境における簡易評価結果を従来手法と比較した結果を報告する.
5G システムでは,OFDMA などの新技術やミリ波を用いた高周波数帯での運用が検討されている.しかし,その伝搬特性の評価には,大きな労力を要することが知られている.本検討では,CW 信号による受信電力測定と,SNR および K ファクタから伝送レートを推定する手法を用い,これをマルチユーザに拡張する手法を提案する.具体的には実際の新潟市街地により取得した 2 ユーザの特性について,CW と OFDM を用いて得た結果について示す.
本稿では、高周波数帯を用いた上りリンク通信における多重軸変換システムを提案する。5G以降の移動通信システムでは、これまでの移動通信システムで行われてきた基地局からユーザ端末への下りリンク通信だけではなく、ユーザ端末から基地局への上りリンク通信への需要が高まっている。上りリンクにおける大容量通信を実現するため、周波数変換装置を具備した中継端末で周波数多重から空間多重への多重軸変換を行い、ユーザ端末が空間多重の効果を得られるようにする。本稿では、リンクレベルシミュレータによって、提案手法の有効性を確認した。
第5世代移動通信システムのサービスが開始され, 同時にBeyond 5Gや6Gに向けた検討が開始されている. その中で, ドローン等を用いた中継局伝送も想定されている. ドローンを中継局に用いることで, 見通し内(Line of Sight: LoS)環境での伝送となる. そのシステムでは, 基地局-中継局間や中継局-端末間通信では, 素子数が異なる場合が明らかに生じる. 本報告では, 実測より, 送受信素子数の異なる非対称LoS-MIMOのチャネル容量を求めることで, 実環境における非対称LoS-MIMOの効果を明らかにした.
MIMO伝送では,複数のデータを受信するために,通常,アレーアンテナの各素子に重みをかけ,指向性を制御することで複数信号を分離する.一方,指向性や重み係数を明に求めることなく信号を分離するブラインド信号源分離手法の1つとして独立成分分析(ICA:Independent Component Analysis)が注目されている.本報告では,MIMO伝送の受信にICAを適用し,その分離性能の向上を目的として,送信側での重みづけ手法について検討した.
休 憩(14:30 再開) 座長 堅岡良知(KDDI総合研究所)
B-1-190 |
28GHz帯マルチビームMassive MIMOの実環境での性能評価
◎近藤大路・西森健太郎(新潟大) |
B-1-191 |
仮想大規模MIMO伝送技術の屋内実験評価
○村上友規・小川智明・鷹取泰司(NTT) |
B-1-192 |
移動通信における電波到来角特性を考慮したMassive MIMOアンテナ構成の最適化の検討
◎佐々康平・藤井輝也(東工大) |
B-1-193 |
フルランクを実現するMassive MIMOアンテナのOTA評価
○本田和博・北村理央(富山大) |
第5 世代移動通信システム(5G) の商用サービスが開始された.5G では,ミリ波である28GHz 帯を用いたサービスも実現されている.本稿では,著者らが提案しているマルチビームMassive MIMO [1] に対し,28GHz帯の実伝搬環境で得た受信特性をもとに2 ユーザ環境下での干渉低減効果を明らかにする.
本稿では,VM-MIMO伝送技術を無線LANシステムに適用した場合の有効性を屋内実験評価により明らかにする.
数十~数百素子で構成される基地局Massive MIMOアンテナでは,複数の素子の受信波をアナログ的に合成し,等価的に素子数を低減するハイブリッドビームフォーミング技術が注目されている.筆者らは水平・垂直面内の電波の広がりによる空間相関を考慮した場合, 電波の広がりが小さい垂直面内の素子の同相合成が有効であることを示した.従来の検討は, 電波の到来方向を正面方向とした基本検討であった. 本稿では基地局アンテナ高を考慮し, 電波の到来方向が斜め方向から到来する現実的なモデルでのハイブリッドビームフォーミングの性能を評価した.
我々は,Massive MIMOアンテナについて,フルランクのチャネル行列を実現できるOTA評価方法を提案している.本研究では,チャネル数より少ない散乱体アンテナを有するOTA評価装置を用いて実験的検証を実施した結果,フルランクのチャネル行列の生成を実証できたので報告する.
B-2. 宇宙・航行エレクトロニクス
3月17日 13:00〜17:00 Meeting 20 座長 田中 真(東海大)
B-2-1 |
日本保有の宇宙物体の経年変化
○田中 真(東海大) |
B-2-2 |
1kW級ホールスラスタ用電源の開発
○松永芳樹(JAXA)・高橋 徹(高橋電機製作所)・艸分宏昌・張 科寅・渡邊裕樹(JAXA)・梶原一宏・黒川不二雄(長崎総合科学大)・大川恭志(JAXA) |
B-2-3 |
放送歴に基づく天頂全遅延の誤差評価
◎松村大輝・東野武史・岡田 実(奈良先端大) |
B-2-4 |
釧路地域における自設置基準局によるKinematic測位精度(3)
○山形文啓・白瀬佳就(釧路高専)・小熊 博(富山高専)・亀田 卓(広島大)・末松憲治(東北大) |
宇宙空間のスペースデブリの汚染状況は,時間経過とともに常に変化し続けており,近年のデブリの急増に対応した分布状況について,定期的かつ定点観測が不可欠になっている.これまで,日本が保有する宇宙物体に関して,その経年変化と定量的な評価を行なった論文や報告書はほとんど見当たらない.よって本研究では2022年1月現在の最新のデブリ軌道データをもとに,宇宙開発を積極的に推進している日本,かつデブリ保有国でもある日本の宇宙物体を経年変化について定量的に調査を行った.
JAXAでは世界初の大型デブリ除去等の技術実証のための研究開発を行っており、そのための重要な技術の一つが1kW級ホールスラスタシステムである. ホールスラスタは電力によって推進剤を電離させ発生したイオンを宇宙空間に加速・排気することで推進力得る電気推進と呼ばれるデバイスの一種である. 1kW級ホールスラスタシステムの電源(PPU)はシステムの中でも重量・コストの大きな割合を占めているため小型・軽量化が重要である. 本研究ではそれらの内、放電に関連しており技術的な課題が大きいと考えられるアノード電源、キーパー電源および制御部を試作し、かみ合わせ試験において1kW級ホールスラスタを安定して動作できることを確認した.
GNSSによる精密測位の計算で得られる天頂全遅延(ZTD : Zenith Total Delay)は対流圏内の水蒸気量を表しているため、水蒸気観測ならびに降水予測として利用できる。精密測位の方式のうち、基準局を不要とするリアルタイムの精密単独測位が有効であるが、測位演算の入力としてGNSSデバイスで得られる観測データの他に衛星の軌道歴を必要とし、高精度の軌道歴はインターネットを介したデータ通信により取得しなければならない。一方、測位衛星から容易に得られる放送歴は誤差が大きいとされる。本稿では、放送歴を用いて得た天頂全遅延量の誤差に関する評価を報告する。
我々は,GPS (Global Positioning System) に代表されるNSS (Navigation Satellite System)を用いたIoT (Internet of Things) 向けネットワークKinematic測位システムを提案している.このとき,基準局の設置間隔が測位機会の増大につながるため,簡易に基準局を設置できることがシステム実現のために必要となる.本稿では,自設置基準局を用いた場合の測定結果を報告する.
休 憩(14:15 再開) 座長 水野貴秀(JAXA)
B-2-5 |
ドップラLIDARへのSi-PM検出器の適用に関する研究
常盤大地(東海大)・○水野貴秀(JAXA)・田中 真(東海大) |
B-2-6 |
航空機の進入時の後方乱気流に対するLIDAR 観測結果について
◎藤井直樹・吉原貴之・瀬之口 敦(電子航法研) |
B-2-7 |
LiDARを用いた屋内外自動走行地中レーダの開発
◎増田楓真・園田 潤(仙台高専) |
B-2-8 |
超音波ビーコンを用いた屋内外自動走行地中レーダの開発
◎林 翔也・園田 潤(仙台高専) |
B-2-9 |
将来の航空通信・航法・監視への量子鍵配送の適用可能性検討
○金田直樹・宮崎裕己(電子航法研) |
本研究は、高感度なガイガーモードAPDを複数並べ、アレイ化したSi-PMをドップラーLIDARに適用することを目的とした基礎的な研究である.ドップラーLIDARで使うFMCW方式は送信波と受信波を干渉させたうなりを測定するため,前段階として強度変調をかけた光をSi-PMで測定する実験を行った.本発表では,強度変調とSi-PMの出力との相関,および信号処理による周波数成分の抽出評価等,実験結果を報告する.
世界的な航空需要の増大に対応して,空港の処理容量を拡大するために,進入着陸間隔の短縮が求められており,その間隔を決める要因の一つである航空機が作り出す後方乱気流に対する管制間隔基準の見直し(RECAT) を,国際民間航空機関(ICAO) をはじめ我が国や各国で行っている.当所はその新しい基準案の我が国における安全性検証のために,羽田空港に進入着陸する航空機が作り出す後方乱気流に対するLIDAR (LIght Detection And Ranging)観測及びその解析を行っている.本報告では当所LIDAR 観測に使用する解析手法とその解析結果などを報告する.
道路工事の際の水道管やガス管など地下埋設管の検出や,道路の空洞調査などの非破壊検査の手法として地中レーダが用いられている.しかし地中レーダで探査を行うためには,レーダを人手により牽引させる必要があり,広範囲の測定を行うためには時間と労力がかかる問題があった.我々は高精度人工衛星測位に基づく自動走行地中レーダを開発している .しかし,屋内など衛星信号が受信できない環境では使用できないという問題があった.本研究では,自己位置推定にLiDAR (Light Detection and Ranging)を用いることで,衛星測位が使用できない環境での自動走行地中レーダの実現を目的とする.
道路や建物などの構造物の点検を行う手法の一種として,地中レーダによる探査が挙げられる.地中レーダは数十MHzから数GHzの電磁波を調査対象に向けて放射し,内部の埋設物や空洞からの反射波を受信することによって内部探査を行うものである.しかし,これまでの地中レーダは,人や自動車で牽引することや探査の際には複数の測線を引く必要があり,多大な労力と時間を有するため自動化が求められている.我々は人工衛星測位による自動走行車を開発しているが,屋内など測位衛星の電波の不感地帯では使用できないという問題があった.本研究では,衛星が測位できない環境でも使用することができる超音波ビーコンを用いた自動走行車を開発することで,屋内シームレスな自動走行地中レーダを実現する.
量子力学の原理を用いた量子鍵配送は現在知られている最も高い機密性を提供する。具体的には、離れた2者間で乱数(鍵)を共有するとき、量子力学の原理に基づき盗聴されていないことを保証できる。現在の量子鍵配送は伝送距離が短く鍵生成速度が遅いという技術的な課題があり、これらの課題を解決するための研究が行われている。これまでの研究では量子鍵配送の移動体通信への適用可能性についての検討はあまり行われていない。本報告では、高速移動体である民間航空機で用いられる無線技術である通信・航法・監視に現状の技術で量子鍵配送が適用可能かどうか検討したので報告する。
休 憩(15:45 再開) 座長 北沢祥一(室工大)
B-2-10 |
関東周辺の空域における監視信号環境に関する考察
○大津山卓哉・本田純一(電子航法研) |
B-2-11 |
無人機交通管理を想定したドローンの四次元航法の飛行実験
◎岩見彰太・武市 昇(東京都立大) |
B-2-12 |
UAV飛行高度における電波環境測定値を用いた干渉波発生率の検討
○谷口美緒・佐々木恵梨菜・北沢祥一(室工大) |
B-2-13 |
無人航空機の目視外飛行に向けた環境適応周波数帯間ハンドオーバ制御方式の屋外評価結果
○阿部達也・浅野勝洋・中村 学(日立国際電気) |
B-2-14 |
深層学習によるUAV画像からの海岸漂着物検出と広範囲長期観測
園田 潤(仙台高専)・○金澤 靖(豊橋技科大)・木本智幸(大分高専) |
航空機の監視に使われている2次監視レーダシステムでは周波数共有のためにランダムアクセスシステムが使われている.そのため複数の送受信機間での相互干渉によって性能が変化する.したがって航空機の安全運航のためには監視性能を保つために信号量が適切となるよう管理する必要がある.さらに,現在,応答メッセージを通信のために使うADS-Bが国際的に広く使われているが,航空管制および航空機運用に有益な情報を活かすためにも信号環境の管理が重要である.本稿では飛行実験によって得られた実際の航空路における信号環境の状況を示し,監視システム性能について検討した結果を報告する.
本研究ではドローンの飛行実験により、4次元航法が無人機交通管理においてもたらす効果を明らかにする。市販のドローンに、位置と時刻に基づき飛行速度を制御するコンピュータを搭載し4次元航法の機能を持たせ、一定の時間で直線経路を往復するように飛行させた.比較対象として対地速度を一定に保つような通常のドローンの飛行も実施した。実験の結果、通常のドローンでは飛行時間のばらつきが風況に大きく影響され、かつ加速の不足による遅延が生じることが明らかとなった。これに対し、4次元航法の機能を持つドローンは飛行時間のばらつきの増加を大幅に抑制できるだけでなく、遅延をも解消できることが示された。
本研究では,小型無人航空機(UAV: Unmanned Aerial Vehicle)が上空を飛行する際に課題となる電波環境を定量的に評価するため,高層建築物やUAVを利用し電波環境測定を実施している.本報告では,これまでに取得した電波環境測定結果の中でも,相対的な受信電力が高く混雑している電波環境と見られる都市部の2.4 GHz帯の実際の測定値を使用した干渉波発生率の検討結果について報告する.上空でUAVが受信する操縦系の信号を希望波とみなした場合に対して,干渉波となり得る受信電力の発生率を算出した.その結果,時間依存性やチャネル(Ch: Channel)による差異みられた.
小型無人航空機(UAV)の有人地帯(第三者上空)での目視外飛行を実現するために,機体の航行に伴って変化する電波環境に適応して無線通信を維持し,飛行状況の把握に必要な情報や機体の状態,制御指令データ等を途切れることなく伝送する,UAV目視外飛行支援通信システムが提案されている.これまで,飛行ルート周辺における電波環境情報に基づき,状況に応じて適切な周波数帯(無線通信回線)に切り替えてシームレスなハンドオーバを行う適応ハンドオーバ制御方式などが提案されているが,本稿では,UAV目視外飛行のための環境適応周波数帯間ハンドオーバ制御方式の屋外評価結果について述べる.
近年,海洋プラスチックが問題となっており,処理計画立案のための定量化が必要とされている.我々は,無人航空機UAV (Unmanned Aerial Vehicle) と深層学習による海岸漂着物の自動検出を試みている.本研究では海岸漂着ゴミの定量化を目的に,UAV 画像と敵対的生成ネットワークGAN (Generative AdversarialNetworks) による海岸漂着物の識別と,宮城県名取市閖上浜における広範囲長期観測を試みる.
3月18日 9:15〜11:45 Meeting 20 座長 夏秋 嶺(東大)
B-2-15 |
干渉検出閾値制御による広帯域干渉抑圧を用いたCSレーダのSNR改善法
○梅比良正弘・志村拓人・渡邊 祐・王 瀟岩・武田茂樹(茨城大) |
B-2-16 |
尤度比検定に基づく到来波モデル判別手法の検出力評価
◎△田中裕士・太田 守・笠原禎也(金沢大) |
B-2-17 |
広範囲から読み取り可能なコーナーリフレクタ型チップレスRFIDの検討
◎飯塚達哉(NTT)・笹谷拓也(東大)・伊丹 豪・久田正樹(NTT)・鳴海紘也・川原圭博(東大) |
B-2-18 |
次世代陸域航空無線通信システムのプロトタイプ開発ーパワーアンプモジュール評価ー
○森岡和行・二ッ森俊一・米本成人・北折 潤・住谷泰人・河村暁子(電子航法研) |
B-2-19 |
既存航空用VHFデータ通信システムのIP化検討
○河村暁子・森岡和行・米本成人(電子航法研) |
自動運転等に有望な車載CS(Chirp Sequence)レーダの普及に伴い、レーダ間干渉が問題となる。筆者らは、受信信号と干渉信号の大きな受信レベル差を利用して、包絡線検出とソーティングにより希望信号の受信信号レベルを検出し、これを基準に干渉検出閾値を設定制御して干渉検出・抑圧を行う広帯域干渉抑圧法を提案している[1]。しかし、干渉レーダとターゲットの位置関係により、受信信号と干渉信号のレベル差が小さくなると、干渉検出・抑圧ができない、または希望信号が誤って抑圧されSNRが低下する問題がある。本文では、この問題に対するSNR改善法を提案し、シミュレーションにより有効性を示す。
科学衛星で観測される自然電波の到来方向を推定することで,宇宙空間を安全に利活用する上で必要な宇宙プラズマ環境変動の情報が得られる.この際,到来波数・平面波近似の可否等の情報(到来波モデル)の把握は高速かつ正確な到来方向推定結果を得る上で重要である.
著者たちは尤度比検定を基に到来波モデルを判別する手法を提案している.提案手法は,従来手法の planarity では正しく到来波モデルが判別できない,電磁界センサ間のノイズレベルが異なる場合においても有意水準の観点から正しく到来波モデルが判別可能である.ただし提案手法について,帰無仮説を正しく棄却する能力である検出力の観点からは未検証である.そこで本稿では提案手法の検出力をシミュレーションで評価した.
チップレスRFIDは,RFIDタグ内のICを不要にすることで,コストや環境負荷を低減する技術である.
タグ上に異なる電波散乱特性を配置し,高分解能レーダ等を用いて配置パターンをID情報として読み取ることができる.
タグへ埋め込む構成要素として,高いレーダ散乱断面積(RCS)をもつコーナーリフレクタ(CR)を採用することで,より長距離から読み取れるようになる.
このときCRのサイズは,小さいほど情報密度(単位面積あたりのビット数)は高まるが,波長程度に小さくなると開口面積の減少や共振現象の影響により高いRCSは得られない.
本稿では,広い読み取り範囲と高い情報密度をもつコーナーリフレクタ型のチップレスRFIDの実現に向けて,再帰性反射を行うCRの大きさの条件を電磁界解析により明らかにした.
その結果,CRの一辺の長さは波長の4倍以上となるように設計する必要があることが示唆された.
ICAO (International Civil Aviation Organization)では, 次世代の航空無線システムとして, 陸域での空地通信を目的としたLDACS (L-band Digital Aeronautical Communications System)の国際標準化が進められている. 本研究開発では, これまでに開発した物理レイヤ評価システムを発展させ, 上位レイヤを含め, リアルタイム通信が可能な, より実用に近いLDACSプロトタイプシステムの開発をめざしている. 本稿では, 開発したパワーアンプモジュールの紹介と基本性能評価結果について報告する.
本報告では,次世代航空情報共有基盤SWIMに対応した次世代航空通信システムとして,新しいシステムを導入する代わりに既存航空用VHFデータ通信システムをIP化した場合の可能性について実無線機を用いた通信時間評価から検討する.
休 憩(10:45 再開) 座長 園田 潤(仙台高専)
B-2-20 |
機械学習を用いた25GHz帯回線の降雨減衰に基づく降雨強度の推定
○中川 豊・東野武史・岡田 実(奈良先端大) |
B-2-21 |
SVMとアメダスデータを用いた定期船の運行予測
小岩 晃・○園田 潤(仙台高専) |
B-2-22 |
ソフトウェア無線技術を用いた電波伝搬状態観測用デジタル受信機の高度化
○山本真之・川村誠治(NICT) |
B-2-23 |
円形アレーを用いたトランスポンダ応答信号の到来方向推定
○北折 潤(電子航法研)・塩見格一(福井医療大) |
マイクロ波帯以上の電波が、気象、特に雨・霧・湿度に影響することを利用して地表付近の降雨強度の推定方法を検討する。25GHz 帯の無線回線の電力減衰及び地表における降雨強度の観測器を構築し、機械学習を導入して回帰精度を評価した。
山形県酒田市の離島,飛島では主なアクセス手段は定期船である.出航の判断は当日の朝に周辺地域の風速や波高などの天候データから行われている.このため出航の可否は当日まで分からず計画も立てづらく,前日までの定期船の運行予測が求められている.同様な問題として,航空機の遅延予測等の研究が行われている.本研究では,翌日以降の定期船の運行予測を目的とし,気象庁のアメダスデータをデータセットとしたSVM(Support Vector Machine)による2値分類で定期船の運行予測を行う手法について評価検討を行う.
電波の伝搬状態を利用して大気状態を観測するセンサの観測性能を実測により検証し、さらに向上させていくためには、個々のセンサに特有となる受信及びリアルタイム信号処理の機能を容易に実装・変更できるようデジタル受信機を高度化することが望ましい。コンフィギュラブルデジタル受信機はソフトウェア無線用データ収集装置(USRP X310)・基準信号分配器・ワークステーションで構成され、測定パラメータ(受信周波数・受信チャンネル数・ホストへの受信データ転送レート)の設定とリアルタイム信号処理の実装が高い自由度で可能である。発表では、電波伝搬状態観測用デジタル受信機の詳細を紹介する。
近距離航空機監視システム(LASS)での測位は複数の送信局ないし複数の受信局が必要となるが,局数が多いと局設置用地の確保が難しくなる.受信局にトランスポンダ応答信号の到来方向推定機能を持たせることで,LASSの最小構成を送信局と受信局各1局とすることができる.周辺空域の航空機監視という性質上,応答信号の到来方向推定では全方位をまんべんなく扱うことが望ましい.このような用途には円形アレーが適している.本稿では,応答信号の到来方向推定に7素子の円形アレーアンテナを利用した場合の基本検討結果について報告する.
3月18日 13:00〜16:45 Meeting 20 座長 二ッ森俊一(電子航法研)
B-2-24 |
LPRFレーダにおけるあいまいさのない速度算出の検討
○古田哲朗・影目 聡(三菱電機) |
B-2-25 |
レーダを用いた目標追尾開始方式
○小幡 康・亀田洋志・白石 將(三菱電機) |
B-2-26 |
深層学習を用いた地中レーダによる物体検出のためのデータ増強手法の検討
◎中道一紗・園田 潤(仙台高専)・國岡達也・高橋 信・内田貴大・谷口諒丞・野原彰仁(ミライト) |
B-2-27 |
地下探査レーダの受信波形の高速算出手法に関する研究
◎△張 凱淳・何 一偉(阪電通大) |
B-2-28 |
円筒波展開に基づくレーダ散乱断面積の近傍界遠方界変換
○赤嶺賢彦・戸村 崇・広川二郎(東工大) |
LPRF(Low Pulse Repetition Frequency)レーダでは、あいまいさなく解ける速度の範囲が狭いため、速度アンビギュイティが多く発生する、このため、広範囲の速度範囲から真の目標信号の測速度結果を精度良く解くためには多くの速度候補による探索が必要となり、演算負荷が高い。本発表では、演算負荷低減と推定精度の両立を図った測速度方式を提案し、数値シミュレーションによる検討内容を示す。
レーダによる目標追尾開始では,不要信号環境下での相関の確度向上が課題でありMHT(Multiple Hypothesis Tracking)による
相関決定方式が良く知られている[1].MHTは相関について複数仮説を生成し,相関決定の一時的な誤りからの回復が可能となる
利点がある.ただし不要信号環境下では類似仮説が並立して航跡確立が遅れる課題がある.本稿では従来の相関仮説を縮退させた
目標数仮説を生成し,目標数を決定してから航跡を確立する方式により性能向上を図る.
日本では自然災害が多く,特に地震や台風による被害が大きい.また,近年では建設から50年が経過した社会インフラの劣化による道路陥没やコンクリート剥離等の事故も発生している.このような地中やコンクリート内部の異常箇所を非破壊で調査する方法として地中レーダがある.地中レーダは入射した数百MHz帯の電波の反射波から内部を推定する技術であり,得られるレーダ画像には物体の形状そのものは映らないため,レーダ画像から内部を推定する必要がある.これまでは熟練技術者による画像判読が行われてきたがばらつきや精度の問題もあり,近年急速に発達している深層学習による自動推定が行われている.深層学習による自動推定では,レーダ画像を学習させる必要があるが,地中レーダでは学習用レーダ画像を大量に用意することが困難である.本研究では,実験による学習用レーダ画像を用いた物体識別について,識別率を向上させるためのデータ増強について検討する.
レーダ散乱断面積計測のための近傍界遠方界変換(NF変換)では,ターゲットを点散乱源の集合に近似する変換手法が複数提案されている.そのうち単一周波数の近傍界サンプルのみを用いる手法は2種類あり,それ以外の手法では複数周波数のサンプルを要する.単一周波数を用いる手法のうち,ひとつはフレネル領域にしか適用できず,もうひとつは計測誤差に応じて適切なパラメタ設定を要する.本稿で新たに提案するNF変換手法は,単一周波数のみ使用,近傍領域(フレネル領域よりも短い距離領域)にも適用可能,パラメタ設定が不要という点で既存手法と異なる.
休 憩(14:30 再開) 座長 北村尭之(三菱電機)
B-2-29 |
風力発電設備の航空用電波への影響に関する初期検討
○本田純一・米本成人(電子航法研) |
B-2-30 |
分散アレーレーダ向け行列型校正方式におけるサブアレー個体差の影響検討
○高橋善樹・水谷浩之・高橋龍平(三菱電機) |
B-2-31 |
多チャネルマルチスタティックレーダの PRF 設計法の基礎検討
○川崎健吾・水谷浩之・笹川 大・中溝英之(三菱電機) |
B-2-32 |
Pi-SAR2XマルチパスPolSARデータを用いた散乱電力分解法に関する基礎検討
◎鈴木雄大・山田寛喜・佐藤亮一(新潟大) |
脱炭素社会を念頭に風力発電の利活用に注目が集まっている中,日本国内では設置するための土地が限られており,海上への設置検討が進められている.本稿は,海上に設置された風力発電設備が航空用電波へ及ぼす影響について初期検討を行ったので,その結果について報告する.
これまで分散アレーレーダ向けの行列型校正方式(提案方式)を提案してきた.提案方式は,分散アレーレーダを構成するサブアレーが同一であることと各サブアレーの個体差が無視できることを前提とすることで,従来方式と比較して校正に必要な信号数を低減した方式である.しかし,実際にはサブアレーにも個体差が存在する.そこで本稿では,サブアレーを複数個試作し,その個体差を反映したデータを用いた提案方式による校正の効果を報告する.
従来のマルチスタティックレーダ[1]を多チャネルで運用すると,ターゲットまでの距離とターゲットの速度をより短時間で観測することができる.しかし,レーダ信号としてパルス変調波を扱うと,所望波の周辺に PRF(Pulse Repetition Frequency)の間隔で発生する不要波が別チャネルの所望波に干渉するチャネル間干渉が問題となる.本稿では,この問題を解決するための PRF 設計法を示し,本設計法の有効性を検証するために行った原理検証実験の結果を報告する.
近年,マイクロ波リモートセンシングにおいて,偏波合成開口レーダ(PolSAR)による観測が盛んに行われている.PolSARデータ解析手法の一つに,散乱メカニズムに対応する電力を抽出する散乱電力分解法がある.この手法は各散乱モデル成分の未知パラメータを推定することで実現されるが,観測データの独立な観測量に対して未知パラメータの数が多く解を一意に定められないため,一部のパラメータはある仮定の下で決定されている.筆者等はほぼ同一軌道で観測されたマルチベースラインPolSAR データを用いることで独立な観測量を増やし,未知パラメータを直接推定するマルチベースライン散乱成分分解法を提案している.本稿では,表面散乱と二回反射散乱成分のパラメータの推定に関して検討する.解析にはPi-SAR2Xによって取得された新潟県新潟市小針地区周辺のPolSARデータを用いた.
休 憩(15:45 再開) 座長 森山敏文(長崎大)
B-2-33 |
都心自転車専用レーンにおける自転車安全走行支援においてミリ波レーダを用いたグループトラッキング及びポイントクラウドの特徴による移動障害物検出に関する一検討
○平井寿幸・胡 尭坤・戸田 健(日大) |
B-2-34 |
76 GHz帯ミリ波レーダ用多素子平面アレイアンテナの設計および試作評価
○二ッ森俊一・宮崎則彦(電子航法研) |
B-2-35 |
電磁界シミュレータを用いた車載用ミリ波MIMO-SARによる3次元イメージングに関する検討
◎加藤雅也・山田寛喜(新潟大) |
B-2-36 |
ミリ波レーダによるGB-SARと変位計測の基礎的検討
○森山敏文(長崎大)・森沢茂紀・VAN DONG NGUYEN(RFtestLab) |
近年の自転車関連事故の増加やe-bikeの普及もあり,都心の自転車専用レーンにおいて安全走行支援を目的としたミリ波レーダの応用研究が進めてきた.そこで本研究では,複数フレーム間でのグループトラッキングとポイントクラウドの特徴による移動障害物の検出及び推定結果について報告する.結果ではガードレール等の固定障害物及び移動障害物として自転車や自動車が検出された.またグループトラッキングより推定された自転車と自動車の速度はそれぞれ 5.95及び3.96 km/hとなった.その際e-bike,自転車及び自動車の速度はそれぞれ21.00,15.05及び25.46 km/hと推定された.この時の自転車及び自動車の速度はそれぞれ約13及び24 km/hであったことから速度誤差率はそれぞれ約15.8及び6.08 %となった.
近年,ミリ波レーダ等を用いた安全技術に関する議論や関連する安全システムの研究開発が国内外で活発に行われている.航空機の中でも比較的低高度を飛行するヘリコプタの場合,気象や周囲構造物の影響で障害物の発見に支障が生じ,事故等の危険な状況が発生する可能性がある.これらの障害物等の事前察知および周辺監視のための操縦者支援システムとして,著者らはミリ波レーダを中心とした周辺監視支援システムの研究開発を実施している.本稿ではヘリコプタ用76 GHz帯ミリ波レーダへのデジタルビームフォーミング(DBF)適用を想定し,多素子平面アレイアンテナについて,有限差分時間領域法(FDTD)数値解析を用いた設計および試作評価を行った結果を議論する.
近年,自動車運転の安全性向上を目的とした物体の衝突防止システムの開発が行われている[1].物体検知に用いられるセンサとして,ミリ波レーダがある.
先行研究では,SIMO(Single-Input Multi-Output)レーダを用いたSAR Tomography(TomoSAR)での3次元イメージングを行った[2].しかし,角度分解能向上のために素子数を増加させる場合,単純に受信素子数のみを増加させる必要がある.そこで,MIMO(Multi-Input Multi-Output)レーダを用いることでSIMOレーダに比べて素子数が少ないまま角度分解能向上が可能となる.
本稿では,電磁界シミュレータであるWaveFarerを用いた送信素子数2,受信素子数32のMIMOレーダによる車載ミリ波シミュレーションを行い,イメージングを行った.イメージング結果として,送信素子数1,受信素子数64のSIMO等間隔リニアアレーのイメージングとの比較を示す.
衛星搭載センサーの分野では,合成開口レーダを用いて宇宙から地球の表面の微小変動を検出し,地殻変動や地盤沈下の計測が行われている.更に,その技術を17GHz帯の地上設置型合成開口レーダ(GB-SAR)にも利用し,土砂崩れの兆候検出などに利用されている[1].近年,値段の安価なミリ波レーダが車載や産業用に使われるようになり,これらのレーダもGB-SARとして利用可能である.この研究では,ミリ波レーダをGB-SARとして利用し,野外実験を行った.更に,短い観測間隔での画像間の複素相関がどうなるかを調べた.本発表では,それらの実験結果を報告する.
B-3. 衛星通信
3月15日 9:00〜11:45 Meeting 20 座長 石川博康(日大)
B-3-1 |
低軌道衛星MIMOの衛星搭載送信機と地上局復調装置との接続試験評価
○五藤大介・糸川喜代彦・山下史洋(NTT)・加藤智隼・中台光洋(JAXA) |
B-3-2 |
低軌道衛星MIMOを活用した920MHz帯IoTプラットフォームのプロトフライトモデル開発
○糸川喜代彦・五藤大介・小島康義・坂元一光・藤野洋輔・山下史洋(NTT)・加藤智隼・中台光洋・谷島正信・岩田隆敬(JAXA) |
B-3-3 |
低軌道衛星MIMOを活用した920MHz帯IoTプラットフォームの実験支援ツールの開発
○小島康義・糸川喜代彦・五藤大介・坂元一光・藤野洋輔・山下史洋(NTT) |
B-3-4 |
低軌道衛星MIMO伝送における可変型サブアレービームフォーミング法
◎立神光洋・五藤大介・糸川喜代彦・山下史洋(NTT) |
B-3-5 |
日本列島でのマルチビーム衛星通信の実現に向けた一検討
○奥浜 駿・津波 琉・仲間 凜・中平勝也(沖縄高専) |
筆者らは,低軌道周回(LEO)衛星システムの通信回線大容量化を目的とし,複数アンテナを用いたLEO-MIMO (Multiple-Input Multiple-Output) 技術を検討している.本システムは複数アンテナを搭載する一基のLEO衛星と基地局間で空間多重伝送を行うものである. 本システムの衛星軌道上技術実証を目的として,送信機となる低軌道衛星搭載用コンポーネントの評価用試作装置(EM: Engineering Model)と,受信機となる地上局復調装置を開発した.本稿では,EM装置と復調装置の接続試験を行い,MIMO伝送機能の正常性を確認したことを報告する.
本稿では衛星IoTプラットフォーム技術を衛星軌道上で実証する衛星搭載用コンポーネントの構成および動作概要,また環境試験の評価結果を示す.
低軌道衛星MIMOを活用した920MHz帯IoTプラットフォームの技術実証において、MIMOおよびIoT実験は,地球局から衛星にシステムコマンドを送信し,衛星から搭載用装置に発行することで実施する.実験計画に応じて必要なシステムコマンドを作成する実験支援ツールの開発について紹介する.
筆者らは,低軌道周回(LEO)衛星システムの大容量化を目的として,一基のLEO衛星に複数アンテナを搭載し,遠隔に配置した複数基地局アンテナ間で空間多重伝送を行う,LEO-MIMO技術を検討している.LEO-MIMO伝送のような見通し内MIMO伝送においては,送受信アンテナの位置関係によりチャネル相関が高くなりチャネル容量が低下するという課題がある.上記の課題に対し,送信信号数より多いアンテナを具備し,プリコーディングを行うことが有効である.一方プリコーディングでは複数の信号を合成するためPAPRが増加し,LEO衛星の送信アンプの所要電力が増加することが懸念される.そのため,筆者らはプリコーディングを行わないビームフォーミング手法について検討している.
本稿では,チャネル相関低減とチャネル容量の向上を図る,可変型サブアレービームフォーミング法を検討したので報告する.
地上無線通信の利用が困難な災害時の通信は、衛星通信が有効です。衛星通信は周波数の有効利用の観点からマルチビーム方式が主流です。この方式は、総周波数帯域を複数に分割し、サービスエリアに複数のビームを照射します。しかし、同一周波数のビーム間による干渉電力Iの発生とビーム数の増加による受信電力Cの減少によって、C/(N+I)が減少し、その結果、スループットが減少する可能性があります。そこで、サービスエリアのC/(N+I)が算出できるシミュレータを用いて、ユーザーのスループットの増大を目的とした検証を行いました。
休 憩(10:30 再開) 座長 名古屋 翼(スカパーJSAT)
B-3-6 |
衛星/5G連接システムにおけるマルチキャスト伝送制御手法に関する検討
○金子和真・半谷政毅・野田雅樹(三菱電機) |
B-3-7 |
衛星AISにおける非同期な信号衝突に対応したマルチアンテナ干渉キャンセラ
◎上橋俊介・能田康義・半谷政毅(三菱電機)・大鐘武雄(北大) |
B-3-8 |
衛星IoTシステムにおけるチャネル利用偏りによる性能劣化を防ぐSlotted ALOHA方式の送信制御の一検討
◎熊澤完介・岡田 啓(名大)・松井宗大・五藤大介・糸川喜代彦・山下史洋(NTT)・片山正昭(名大) |
B-3-9 |
衛星バーストスペクトラム分解合成位相特性の改善
○山下史洋・阿部順一(NTT) |
B-3-10 |
衛星放送受信パラボラ反射鏡用2周波共用ホーンアンテナの検討
○長坂正史・亀井 雅(NHK) |
衛星バックホールを用いる衛星/地上統合移動通信システムでは地上系ネットワークでのデータ特性を考慮してタイムスロット割り当てを行う制御手法が存在しないため,限られた通信リソースを有効に使用することが難しい.そこで,本稿では通信リソースの有効利用を目的として地上ネットワークのデータ情報を用いてビームホッピングでのタイムスロット割り当てを行う手法を提案し,その有効性の評価を行う.
全球における船舶の運航管理,航行安全等を目的として衛星AISが利用されている.本システムは,衛星でAIS 信号を一括して受信するため,従来のAIS と比較して広範囲の信号を取得できるメリットを有するものの,複数船舶のAIS信号が非同期に衝突して干渉することにより通信品質が低下する.本稿では,マルチアンテナを用いたビームフォーミングとSIC(逐次干渉キャンセラ)を組み合わせ,受信アンテナ数を超える信号が到来する環境においても各信号を逐次復調可能とし,上記特性劣化を改善できることを示す.
920MHz帯LPWAを使用したIoT端末について,地上ネットワークが利用できない山間地等からも接続できるよう,低軌道衛星を介しインターネットに接続するシステムが検討されている.IoT端末から衛星へのアップリンクでは複数チャネルを利用可能であるが,既存のIoT端末との干渉を避けるため,端末により利用可能なチャネルが異なることが考えられる.そのため,各チャネルの利用率に偏りが生じ,システムの性能が劣化する.また,送信の過多も性能が劣化する原因となる.本研究では,Slotted ALOHA (SA)方式に焦点をあて,性能劣化を防ぐ送信制御を提案する.提案する送信制御をシミュレーションで検証し,その有効性を示す.
衛星バーストスペクトラム分解合成位相特性の改善について報告する。
衛星放送用周波数は現行の12GHz帯のほか21GHz帯にも割り当てがあり,将来のイマーシブメディアの実現に向けて,21GHz帯衛星放送の研究開発が進められている.戸建て住宅や小規模な集合住宅では,パラボラアンテナの設置スペースが限られるため,周波数に応じて複数の受信アンテナを導入することはスペース的にもコスト的にも問題となる.そこで,家庭用衛星放送受信アンテナを想定し,オフセットパラボラアンテナの一次放射器として,12/21GHz帯共用のホーンアンテナを設計した.設計したホーンアンテナと開口径45cm反射鏡を組み合わせたときの特性を検討した結果,両帯域において,開口効率は70%以上であり,放射パターンはITU-Rの参照パターンを満足することを確認した.
3月15日 13:00〜15:45 Meeting 20 座長 加保貴奈(湘南工科大)
B-3-11 |
Impact of Human Body Orientation on the Usage of Propagation Delay in CSI-Based Fingerprinting for Indoor Localization
○Tee Ying Yap・Nopphon Keerativoranan・Jun-ichi Takada(Tokyo Tech) |
B-3-12 |
確率的信号処理のソフトエラー耐性評価
○山下靖貴・半谷政毅・野田雅樹(三菱電機) |
B-3-13 |
次世代HTS向け衛星通信システム制御技術検討
○内田 繁・堀江延佳・草野正明・須永輝巳・角田聡泰・田中 泰・坂井英一(三菱電機) |
B-3-14 |
ESV向けスペクトラム圧縮伝送における16QAMの適用効果
○柳田憲治・杉山隆利(工学院大) |
B-3-15 |
OQPSK変調を適用したスペクトラム圧縮伝送のPAPR特性評価
○菅家哲平・杉山隆利(工学院大) |
Wi-Fi channel state information (CSI) has been widely used in indoor localization systems, but the propagation delay information derived from CSI is rarely utilized due to its unreliability. The CSI calibration method addressed this problem by mitigating the undesired phase rotation. Since the propagation delay changes periodically with the minor chest movement caused by human breathing, it may be suitable to be utilized as a localization fingerprint. In this study, the impact of human body orientation on the robustness of the propagation delay fingerprint is investigated.
衛星搭載通信ミッション機器のデジタル化に際しては宇宙環境特有の放射線によるソフトエラー対策が重要となる.本稿では,ソフトエラー耐性の向上が期待できる確率的信号処理を用いて構成した FIR(Finite Impulse Response) フィルタにおいて,ビット反転が発生した場合の通信性能評価を行った結果を報告する.
近年の社会経済活動のグローバル化・多様化に伴い,空や海,ルーラルエリア等,広範な活動領域においてブロードバンド環境を提供すべく,「超カバレッジ拡張」の議論がBeyond 5G / 6G向けに開始されている状況であり,衛星通信への期待が高まりつつある.日本においては令和5年度打ち上げ予定の技術試験衛星9号機(ETS-9)を用いた実証実験を通して,フレキシビリティ機能を有する次世代HTS (High Throughput Satellite) 実現に向けた衛星リソース配分最適化のための制御技術を確立する.本稿では,フレキシブルにビームを形成するデジタルチャネライザ・DBF (Digital Beam Forming) 装置を制御する衛星通信システム制御技術の基本検討内容を述べる.
近年,無線通信の発展に伴い,周波数資源の枯渇問題が深刻化している.この問題を解決するため,送信スペクトラムの所要帯域幅を削減して周波数利用効率を向上させるスペクトラム圧縮伝送が検討されている.スペクトラム圧縮伝送の初期検討として,QPSKで評価してきましたが,周波数資源の枯渇問題の解決として,さらなる周波数利用効率の向上を図るため16QAMを用いてスペクトラム圧縮伝送の周波数利用効率を評価した.その結果,圧縮なしのQPSKと圧縮なしの16QAMの周波数利用効率は1.00[bit/sec/Hz]から2.00[bit/sec/Hz]となる.さらに,スペクトラム圧縮することで圧縮なしの16QAMより周波数利用効率が向上した.
周波数利用効率向上のためスループットを維持したまま所要帯域幅を狭帯域化するスペクトラム圧縮伝送において,PAPR増大問題を解決するためOQPSK変調を適用したスペクトラム圧縮伝送を提案した.そして,提案システムのPAPR特性を計算機シミュレーションより定量評価した.その結果,QPSK変調と比較してOQPSK変調を適用することでスペクトラム圧縮によるPAPRの増大を1.3dB低減できることがわかった.
休 憩(14:30 再開) 座長 渋谷惠美(KDDI総合研究所)
B-3-16 |
非地上系ネットワークによるカバレッジ拡張通信システムの開発 - 複数のNTNノードの接続およびネットワーク制御技術とそのユースケース開発実証計画 -
北之園 展・箕輪祐馬・○鈴木 淳(スカパーJSAT)・山下史洋(NTT)・浅井孝浩(NTTドコモ)・外山隆行(パナソニック) |
B-3-17 |
非地上系ネットワークによるカバレッジ拡張通信システムの開発 ―GEO 衛星とHAPS から構成される多層ネットワークにおけるルーティング制御の評価―
○松井宗大・加納寿美・阿部順一(NTT)・外園悠貴・小原日向・岸山祥久(NTTドコモ)・山下史洋(NTT) |
B-3-18 |
非地上系ネットワークによるカバレッジ拡張通信システムの開発 -Ka/Q帯デュアルバンド開口共用フェーズドアレイアンテナの開発-
○安達尚季・中仙道 剛・木村知弘・三浦 崇・外山隆行(パナソニック) |
B-3-19 |
非地上系ネットワークによるカバレッジ拡張通信システムの開発-降雨時の輻輳を回避するルーティング手法に関する一検討-
○加納寿美・松井宗大・阿部順一(NTT)・外園悠貴・小原日向・岸山祥久(NTTドコモ)・山下史洋(NTT) |
B-3-20 |
高高度プラットフォーム(HAPS)による5G網と連携した38GHz帯の無線通信システム開発 -地上ネットワーク設備の利活用による新規HAPSシステム構成-
◎小原日向・外園悠貴・岸山祥久・浅井孝浩(NTTドコモ)・鈴木 淳・北之園 展(スカパーJSAT) |
Beyond 5G時代においては,NTN(Non-Terrestrial Network)による上空・海上・宇宙へのユースケースに応じたサービスカバレッジの拡張が特に期待されている.様々な機能リソースをもつHAPSや衛星などのNTNノードのネットワークにおいて,それぞれのNTNノード間を接続する要素技術と接続されたNTNノード間のネットワークの制御技術を開発し,地上5G網と統合した情報通信基盤の確立についての研究開発計画について解説する.
本稿では,静止衛星(GEO 衛星)とHAPS で構成されるNTN におけるルーティ
ング制御技術について提案し、評価した結果を述べる。
Beyond 5Gにおいては, NTNによる,空・海・宇宙へのユースケースに応じたサービスカバレッジの拡張が期待されている.その実現には,NTNノード間を光やKa/Q帯等の無線通信により接続した,宇宙から地上まで多層的に接続されるネットワークアーキテクチャ構成の技術開発が必要になる.特に,変動要素に対しても高い可用性をもつネットワークの制御技術を開発し,地上5G網と統合した情報通信基盤の確立が極めて重要となる.本稿では,静止衛星(Ka帯),HAPS(Q帯)の2つのネットワークに接続可能な,航空機搭載用のKa/Q帯デュアルバンドアンテナシステムの開発について解説する.
B5G/6G時代のモバイル通信システムに向けて、衛星やHAPSを用いた非地上ネットワーク(NTN)を活用した超カバレッジ化が検討されている。HAPSは、地上基地局と通信するフィーダリンク(FL)に38GHz帯の活用が検討されているが、降雨減衰により通信不可となる。そのため、通信可能なFLまでNTN内でトラフィックを転送する。本稿では、トラフィック流量に応じた転送経路を選択することで輻輳を回避する方式を提案する。
筆者らは,5G網を含む地上ネットワークとHAPS による成層圏ネットワークが柔軟に連携できる通信方式やネットワークアーキテクチャの研究開発に取り組んでいる.今後の5G高度化および6Gの時代において,地上ネットワークとHAPSが連携可能なアーキテクチャを構築することにより,地上設備の再利用によるコスト削減・設置スペース削減を図ることができる.そこで本稿では,地上ネットワーク・HAPS連携アーキテクチャの初期検討として,既存の地上ネットワーク設備を利活用したHAPSシステムの構成を示す.
3月16日 9:00〜11:45 Meeting 20 座長 五藤大介(NTT)
B-3-21 |
ドローンを用いたリレー型GPSの西新宿エリアにおける測位誤差特性
◎吉田恒平・杉山隆利(工学院大) |
B-3-22 |
疑似距離近似を用いたGPS測位誤差改善効果の緯度特性
○斎藤晃一・杉山隆利(工学院大) |
B-3-23 |
機械学習による衛星測位信号の多重化検討
○高木 学・能田康義・半谷政毅・野田雅樹(三菱電機) |
B-3-24 |
無人航空機を用いたユーザ位置検出システムにおける ドップラーシフト複数回観測時の測位精度特性評価
○出口泰河・石川博康(日大) |
B-3-25 |
ミツバチドローンにおける花画像による花方向検出精度の評価
◎中村優菜・濱嶋恒希・上羽正純(室工大) |
近年,GPS(Global Positioning System)が活用されているが,高層ビルが多く存在する都市部環境では,GPS受信機が測位に必要な4機以上のGPS衛星からの信号を受信できずに測位不能となる場合がある.この問題を解決する方法として,測位を行うターゲット受信機の周辺に存在する擬似衛星ドローンがGPS測位によって得た自身の位置情報をブロードキャストすることで,ターゲット受信機のGPS衛星数を補完するリレー型GPSが提案されている.
ドローンを用いたリレー型GPSの評価指針として,これまでは高層ビルを等間隔に並べたシミュレーションモデルにおけるターゲット受信機の測位誤差を評価してきたが,本稿ではドローンを用いたリレー型GPSのフィジビリティスタディとして,西新宿エリアを模擬したシミュレーションモデルにおけるドローンを用いたリレー型GPSの測位誤差改善効果を明らかにしたので報告する.
GPS測位では疑似距離を使用して測位演算をするが,ビル壁等により反射波が受信されると本来の直線距離よりも長い疑似距離が観測されることで,測位誤差が劣化する.これを解決する一手法である疑似距離近似法について,高層ビル群環境を模擬し,東西南北方向にビルを等間隔で設置したモデルにおいて受信点を南北方向に等間隔で移動させた結果,測位誤差が中心座標(0,0)に対して対称とならない特性を有していることが明らかとなった.本稿では受信点の緯度を変更し,GPS衛星軌道の測位誤差特性への影響を示す.
同一キャリア上に複数の拡散信号を多重化して送信するPOCET(Phase-Optimized Constant-Envelope Transmission)という方式がある.POCETにおける信号点配置の決定は非線形最適化問題のため,文献では信号点を定包絡線上に配置することを制約とし最適化対象を位相のみとすることでこの問題を解いている.これは多重対象の拡散信号によっては,本来の信号点から信号点を大きく移動することになり,その影響による性能劣化が生じる.そこで,本稿では機械学習を用いることで最適化対象を位相だけでなく振幅に広げた新たな拡散符号の多重化を行う方式を提案する.
無人航空機(UAV)を用いたユーザ位置検出手法では, 地上端末-UAV 間の送受信信号の搬送波周波数に生じるド ップラーシフトを 1 機の UAV であれば 2 回,複数の UAV であれば 1 回に限定していたことから,得られる位置検出 精度に限界があり,極端に劣化するエリアが生じる等の課 題が存在している.
そこで本研究では,2機のUAVが同 一の 8 の字経路を周回飛行するモデルにおいて,ドップラ ーシフトを 2 回観測して最小 2 乗法に基づく測位演算処理 の情報量を増やすことによる位置検出精度の改善効果を評 価したので,その結果を報告する.
回転翼型UAV,通称ドローンは近年様々な分野での利用が普及しており,農業分野においてもその数が著しい.そこで,筆者らは現在人の手で行われている受粉作業をドローンで行うことによって,作業の効率化と労力の軽減になると考え,2軸ジンバルを搭載し花粉を噴霧させるドローンシステムを検討している.本稿では,このシステム実現に向け,受粉対象の花を画像処理を用いて検出,追尾する花方向検出系の角度検出精度を評価した結果を報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 小泉雄貴(NHK)
B-3-26 |
ヘリコプター衛星通信におけるスペクトル解析に基づく遮断率推定法の特性改善に関する検討
○八子聖也・小島年春(電通大) |
B-3-27 |
HAPS無線中継システムにおける固定翼UAV搭載アンテナ指向方向制御誤差の評価
◎濵嶋恒希・安川 慧・上羽正純(室工大)・加納寿美・阿倍順一・松井宗大・糸川喜代彦・山下史洋(NTT) |
B-3-28 |
多様なユースケースに対応するためのKa帯衛星の制御に関する研究開発-方式検討と製作-
○大川 貢・三浦 周・高橋 卓・吉村直子・森川栄久・久保岡俊宏・飯草恭一・織笠光明・阿部侑真・大倉拓也・菅 智茂・布施哲治・宗正 康・コレフディミタル・若菜弘充・山本伸一・鄭 炳表・高橋靖宏・鈴木健治・白玉公一・國森裕生・関口真理子・大津留 豪・辻 宏之・豊嶋守生(NICT) |
B-3-29 |
多様なユースケースに対応するためのKa帯衛星の制御に関する研究開発 ― 衛星地上連接シミュレータの開発状況
○関口真理子・阿部侑真・三浦 周(NICT) |
B-3-30 |
多様なユースケースに対応するための Ka 帯衛星の制御に関する研究開発―通信需要・回線条件の予測技術―
○木村紋子・稲岡和也・上田敦史・川島 穣・佐々木謙一・陳 柏嘉・中間洋子サラ・中村 凌(天地人) |
ヘリコプター衛星通信ではローターブレードにより信号の周期的遮断が生じる。遮断により失われる信号の割合を表す遮断率はビット誤り率特性に支配的影響を与える重要なパラメーターである。先行研究ではスペクトル解析に基づく高精度な遮断率推定法が提案された。しかし、この従来方式には低い遮断率ほど推定精度が低下するという課題がある。本稿では、この課題を解決する手法を提案する。計算機シミュレーションにより提案手法の有効性を確認した。
近年,高高度擬似衛星プラットフォーム(HAPS)のような,無人航空機(UAV)を用いた無線サービスの検討が盛んに行われている.長時間のサービス運用及び,高高度でのUAVの運用を想定した場合,回転翼型UAVよりも固定翼UAVの使用が現実的である.固定翼UAVは旋回することで所定のエリアに滞空するが,搭載アンテナの地上局への指向方向が変動する.そこで筆者らは,指定した地上局を常時指向するため,走査によるアンテナゲインの変化がない2軸ジンバル構造のアンテナを搭載した固定翼UAVを用いた中継システムを検討している.この場合,固定翼UAVの旋回中の姿勢変化及び運動によるモーメント影響を受けながらも,アンテナを搭載した2軸のジンバルを所望の指向方向精度を満たすように駆動する必要がある.本稿では,そのためのアンテナ指向方向制御系を構成・設計し,シミュレーションにより制御誤差を評価した結果を報告する.
次世代のフレキシブルHTS(High Throughput Satellite)の通信リソース配分を最適化するための制御技術を確立し,限られた周波数で多様なサービスへの対応や大容量通信を可能とすることを目的とした地上システムの研究開発を実施している.本稿では,現在NICTで進めている研究開発における方式検討と製作の状況について紹介する.
現在NICTでは,次世代のフレキシブル High Throughput Satelliteの通信リソース配分を最適化するための制御技術を確立することを目的とした研究開発を実施している.本稿では,研究課題の一つである衛星地上連接システムについて,取り上げる.本課題では,衛星を含むNon-Terrestrialネットワーク(NTN) を地上5G回線のバックホールとして利用するアーキテクチャを対象としている.NTNの遅延や通信品質は地上回線とは異なっており,連接システムでは様々な課題が生じることが予想される.本稿では,その起こり得る課題について述べ,課題解決のためのアルゴリズム評価を行う目的で開発中のシミュレータについて紹介する.
本研究開発では、技術試験衛星9号機(ETS-9)に代表される次世代のハイスループット衛星を用いた衛星通信システムにおいて、周波数リソースの効率化のために、通信需要や回線条件の変化をデータ解析に基づき予測を行い、衛星リソースを適切に割り当てる運用計画方式を確立する。具体的には、通信需要(ユーザリンク)では移動体の需要予測を行い、回線条件(フィーダリンク)では気象状況の予測を行う。各予測システムを、移動体需要予測サブシステム、気象状況予測サブシステムと呼び、各サブシステムの構成要素であるデータベース並びに解析アルゴリズムについて基本設計、試作、詳細設計、並びに開発(実装)を行う。本稿では、データ解析による予測精度について中間成果を報告する。
B-4. 環境電磁工学
3月15日 9:00〜11:45 Meeting 21 座長 萓野良樹(電通大)
B-4-1 |
交差構造を用いたノーマルモードフィルタのESL低減
○山梶佑介・廣瀬健二・菅 郁朗(三菱電機) |
B-4-2 |
2ピン型光電圧センサを用いたESDノイズ電圧測定およびシミュレーションによる妥当性検証
○堀口嵩浩・赤堀美桜・福井範行・谷口英司(三菱電機) |
B-4-3 |
ICパッケージとプリント基板の統合解析によるバイパスコンデンサの設計ルールの検証
○小林玲仁・明石憲彦・谷口英司(三菱電機) |
B-4-4 |
多分岐伝送路における高速パルス伝送波形最適化の測定評価
○桑原 崇・板倉 洋・明星慶洋・大和田 哲(三菱電機) |
B-4-5 |
高速信号伝送シミュレーションのための物性値抽出手法の検討-ステップ信号の伝搬応答と比誘電率の抽出精度との関係-
◎岡南佑紀・澁谷幸司・大和田 哲(三菱電機) |
SiCやGaNなどの登場により電源回路の高速化が進んだ結果, かつては基板上で大きい部品であったリアクトルの小型化が進んでいる.
一方で電源回路のノイズフィルタは定格電圧・定格電流を確保するため小型化は難しく, 高速化でノイズが増大するため大規模化する
傾向にある. それに対し, 文献には特殊な構造のコンデンサで相互インダクタンスを発生させ自己インダクタンス(ESL)を低減し,
フィルタを高性能化する方法が報告されている. 本稿では市販のコンデンサを用いて, 簡易な配線構造による相互インダクタンスで
ESLを低減する方法を示す.
本稿では,測定自由度の高い2ピン型光電圧センサのESD解析検証に対する有効性を示すため,ESD電圧ノイズ波形測定とその妥当性を検証した結果について報告する.
近年電子機器の高速・高周波化および低電圧化に伴いパワーインテグリティ(PI)設計の重要性が高まっている。これまで、PI解析の精度向上を目的としたICモデルとプリント基板の3次元構造モデルを組み合わせた電磁界解析について報告した[1]。本稿では、この解析手法を用いて、容量が大小で異なるパスコンを使用するという、EMC設計で一般的な設計ルールの有効性について検証する。
高速インターフェース(I/F)では,伝送路に分岐があるとインピーダンス不整合による信号反射が生じ伝送波形が劣化する.そのため,多点接続の高速I/Fではスイッチ機器等が必要となり,配線量の増大やコスト増加,装置の大型化などに繋がる.そこで筆者らは高速パルス伝送方式を多分岐線路へ適用する検討を行ってきた.さらに分岐線路の両端に反射補償線路(Reflection Compensation Line,RCL)を追加することで,反射波の影響が低減できることを示した.また,終端抵抗等の最適化により主波電圧の低下と遅延波電圧抑圧の両立を示した.本稿では基板の試作を行い,測定評価を実施したので報告する.
高速デジタル信号伝送の波形シミュレーションでは伝送路モデルのパラメータの一つに比誘電率が必要となる.伝送路の比誘電率が未知の場合,入力ステップ信号の伝搬遅延時間から対象の基板配線の比誘電率を抽出することがある.しかしながらこの手法で比誘電率を抽出するとき,伝送路の損失の影響でステップ信号の立上り時間や,遅延時間を求める際に参照する信号電圧で結果がばらつく問題があった.本研究では,比誘電率とこれらの関係を調べるために実施した回路シミュレーションの結果を報告する.
休 憩(10:30 再開) 座長 大前 彩(日立)
B-4-6 |
インプラント超広帯域微弱無線通信におけるスパース制御に基づいた送信パルス最適化の一検討
大野椋平・◎山本泰暉・安在大祐・王 建青(名工大) |
B-4-7 |
人体通信による義手のワイヤレス制御のための電極構造の検討
井口太輔・◎近藤育真・王 建青・安在大祐(名工大) |
B-4-8 |
Shielded-FPCの一次定数の周波数分散に関する検討
◎山極大葵・萓野良樹・上 芳夫・肖 鳳超・井上 浩(電通大) |
B-4-9 |
電磁ポテンシャルを用いた不均一媒質中のノーマルモード・コモンモードの時間領域解析
◎△神野崇馬・木虎秀二・土岐 博・阿部真之(阪大) |
B-4-10 |
コイル巻線の巻線間やコア間距離で生じる寄生容量のパラメータ依存性に関する一検討
○野部大貴・桑島遼輝・須賀良介(青学大)・長谷川光平・安住壮紀(東芝)・上野伴希・橋本 修(青学大) |
本研究では,インプラント医療機器の応用例としてカプセル内視鏡システムに着目する.超広帯域(UWB: Ultra Wideband)伝送は,高速で信頼性の高い通信を実現する上で有利である一方,インプラント機器からのUWB伝送を想定した場合では,人体における信号減衰が大きいため通信システムの最適化が重要である.本研究は,微弱無線局と電波防護指針の二つの規定に基づいたインプラント機器の許容送信電力決定法を適用した上で,スループット特性の点で最適化された送信パルス波形の検討を行う.また,スパース制御に基づいた最適波形切り替え点数の検討を行い,従来法との比較・評価を行う.
近年,人体通信によるウェアラブル義手のワイヤレス制御への適用が注目されている.代表例として筋電や脳波による義手の動作制御が挙げられる.人体通信は,空気中ではなく人体表面を伝送路とするため,電極を用いて通信することが一般的である.代表的な電極構造に電流方式と電界方式と呼ばれる構造が存在するが,義手に適した電極構造の比較検討についての報告は少ない.そこで本研究では義手の制御信号伝送に適した電極構造を計算機シミュレーションと実験により検討し,その結果を報告する.
薄い導体シールドが線路近傍に実装された伝送線路は,一次・二次定数に周波数分散を持つことが明らかとなっている.一般的な伝送線路であれば,周波数分散特性の物理現象が明らであるため,定量的な表現が可能である.しかし,薄い導体シールドを線路近傍に実装することによって生じる周波数分散は,その物理現象に不明確な点が残るため,その応答を定量的に予測することは困難である.この周波数分散の定量的表現が可能となれば,薄い導体シールドを実装する上で重要となる設計ガイドラインを構築できる.本報告では,線路近傍に薄い導体シールドを実装することによって生じる一次定数の周波数分散特性を近似する方法について検討した.
コモンモード(CM)は回路内の信号線を同相で流れ、外部への放射やノーマルモード(NM)に変換による信号歪曲など、様々な電磁ノイズを引き起こす原因となっている。通常の回路設計ではCMは考慮されておらず、予期しない電磁ノイズ源となっているため、EMC設計には、NMだけでなく、CMを考慮した設計が必要となる。そこで本報告では、本研究グループで開発している電磁ポテンシャル(スカラーポテンシャル・ベクトルポテンシャル)の数値計算手法を用いた、NM・CMの解析方法について発表する。特に、プリント基板設計への応用に向けて、空気や誘電体などの不均一媒質中の回路への応用について説明する。
電磁ノイズ対策用フィルタの一つとしてコア付きのコイルがあり,その適用周波数はインピーダンス特性で決定できる.
コイルのインピーダンスは周波数に比例するが,各所で発生する寄生容量により高インピーダンスとなる帯域が制限される.
これら寄生容量の詳細な推定により,広帯域なフィルタ設計が実現できる.
これまでに,コイルの寄生容量を巻線間容量C1,コアによって生じる容量C2として切り分けた等価回路を提案し,各容量の算出方法を示した.
そこで本研究では,広帯域なフィルタ設計に向けて,寄生容量に大きく影響を与える巻線間距離及び巻線-コア間ギャップ依存性について分析した.
3月15日 13:00〜17:00 Meeting 21 座長 丸山雅人(NTT)
B-4-11 |
ハーモニック共振器摂動法によるSHF帯複素比透磁率測定
○宮澤安範・山口正洋(東北大)・小池航太・佐藤敏郎(信州大) |
B-4-12 |
複数FMCWレーダを用いた電磁ノイズ起因の誤検出改善手法
○橘川雄亮・堀口嵩浩・福井範行・谷口英司(三菱電機) |
B-4-13 |
反射箱内に配置されたスイッチ付き金属平板撹拌機を用いた電磁界の均一性評価
○小杉 舜・須賀良介(青学大)・滝沢幸治(TDK)・橋本 修(青学大) |
B-4-14 |
位相中心を考慮したアンテナの近傍放射特性の評価
○張間勝茂(NICT)・久保崇将(ノイズ研究所)・後藤 薫(NICT)・石田武志(ノイズ研究所) |
B-4-15 |
ESDガン/TLP-HMM/CR-HMMの異なる負荷インピーダンスに対する放電電流波形の測定
◎吉田征弘・矢野佑典(名工大)・石田武志(ノイズ研究所)・王 建青(名工大) |
我々は5G通信に使用される28GHz帯を見据え、700 MHz~30 GHz帯の不要電波による無線通信の安定化を目的とした、磁性材料によるノイズ抑制とその評価技術の研究開発を行っている。我々はK/Ka(22-33GHz)バンドまで測定可能なハーモニック共振器を試作しSHF帯における磁性材料の複素比透磁率測定を行った。調査した限りではK/Kaバンド(22-33GHz)まで高い周波数帯のハーモニック共振器は市販されておらず、測定結果とともに課題抽出も出来たと考えている。それらの結果について報告する。
本発表では,高速FMCW方式における電磁ノイズ対策として,送信信号の傾きが異なる複数のレーダの検出結果を比較する方式を提案し,実証実験による有効性を示す.
電磁界撹拌機は反射箱内の電磁界の均一化に使用され、測定空間を広く取る為に小型化が要求されている。
筆者らは、小型な電磁界撹拌機として金属平板間をスイッチで接続した構造(スイッチ付き金属平板撹拌機と称す)を検討し、本撹拌機の撹拌効果をレーダ反射断面積により評価してきた。
本研究では、ON/OFFによりRCSが大きく変化する撹拌機を用いた反射箱内の電界分布の均一性をISO規格により評価した。
電子機器近傍での可搬型無線機の使用を想定した近接放射イミュニティ試験では,アンテナ近くにEUTを配置する.試験結果に影響するEUT配置場所での放射特性を位相中心を考慮した伝搬特性および波動インピーダンスから評価した.アンテナに比較的近い距離での放射特性の評価に本手法の有効性を示した.
電子機器に対する人体からの静電気放電(ESD : Electrostatic discharge)のイミュニティ試験は,IEC 61000-4-2によりESDガンを用いた試験法が規定されている.しかし,ESDガンは接触状態や傾き角度及びリターンケーブルの配置などの試験環境で放電波形が変化し,試験結果が安定しない.そこで,代替としてTLP-HMM(Transmission line pulse - human metal model)や,CR(Capacitance resistance)方式のHMMが提案されている.しかしながら,ESDガンやCR-HMMは2 Ω負荷の電流ターゲットに対する放電電流波形を定義しているのに対し,TLP-HMMは50 Ω負荷に対して定義されており,負荷インピーダンスの違いにより試験対象への影響が異なると懸念される.本研究では2 Ω及び50 Ωの2種類の電流ターゲットに対し,ESDガン,TLP-HMM及びCR-HMMの放電電流波形を比較することにより代替可能性を検討する.
休 憩(14:30 再開) 座長 青柳貴洋(東工大)
B-4-16 |
位相補償回路を適用した非接触電圧センシング
◎玉木雄三・明星慶洋・大和田 哲(三菱電機) |
B-4-17 |
4.6-4.9 GHz帯ローカル5Gの置局設計に向けた一検討
◎荒井稔登・中村佳弘・野瀬昇一・マハムド ファーハン・中村一義・平澤徳仁・西脇 博・本田奈月(NTT東日本) |
B-4-18 |
機械学習によるローカル5G電波の簡易品質推定手法の提案
○マハムド ファーハン・中村佳弘・荒井稔登・野瀬昇一・中村一義・平澤徳仁・西脇 博・本田奈月(NTT東日本) |
B-4-19 |
電波計測・可視化システムの広帯域化
◎西 真詞朗・清水健介・八木谷 聡(金沢大)・谷本真一・藤野新九郎(パナソニック)・尾崎光紀・井町智彦(金沢大) |
観測対象にプローブ電極を近接させ,結合容量を介して電圧を非接触で観測する方法が知られている.プロービングが容易であることから,狭所に敷設された機器等のケーブルに生じる信号・雑音の観測に応用が期待できる.今回,測定精度の向上を目的に,位相補償回路を搭載した非接触電圧観測の回路方式を検討したので報告する.
筆者らは,ローカル5G,特にSub6の置局設計において,使用する周波数の帯域が近く,免許申請不要な5.2 GHz帯の無線LANで代用する手法を検討している.本報告では,初期検討として,ローカル5Gおよび無線LANの電波の受信強度を測定した結果を報告する.
高額な測定器を使わずにローカル5G電波の品質を評価するため、機械学習を活用し汎用測定器で測定可能なスペクトラムから簡易にL5G電波の品質を推定する手法について報告する。
ICT利活用の促進に伴う、不要電磁波によるEMC問題が増々深刻化している。その対処法として従来、メタサーフェス電波吸収体を平面センサとした電波(電界)の2次元空間分布計測・可視化システムが開発されていた。本研究では、電波計測・可視化システムで使用するセンサからの計測データ受信機にリアルタイムスペクトルアナライザを導入した。これにより測定帯域を従来の1 MHzから40 MHzに拡大すると共に、センサ上に配置された計測点で電界スペクトルを計測し、複数の周波数別に電界の空間分布を可視化できるようにした。また、実際に電子機器から発生するノイズを計測し、異なる2つの周波数で発生するノイズの空間分布を可視化した。
休 憩(15:45 再開) 座長 張間勝茂(NICT)
B-4-20 |
位相オフセット除去を用いた狭帯域信号の到来方向推定の一検討
◎中川慶郎・安在大祐(名工大)・西川 久(アールエフネクスト)・王 建青(名工大) |
B-4-21 |
マイクロ波測定を用いた腹部脂肪厚推定用導波管の設計
◎澤野由希子・青柳貴洋(東工大) |
B-4-22 |
30 GHz帯における電磁ノイズの近傍評価
◎渡邊 航・青井 舞・小松美早紀・酒井陵多・田中 聡・永田 真(神戸大) |
B-4-23 |
時間反転法を用いたケーブルへのノイズ侵入位置推定の実測評価
○澁谷幸司・岡南佑紀・大和田 哲(三菱電機) |
B-4-24 |
日本酒もろみの発酵雑音へのWienerフィルタ適用と情報抽出
◎竹岡 大・西方敦博(東工大)・重松博之・森本 聡・酒井美希(愛媛県産技研) |
Internet of Things (IoT) の普及に伴い,電波を発する通信機器等に対する安価な位置推定が重要な課題である.その位置推定法にTOA(Time of Arrival) やAOA(Angle of Arrival) などが用いられる.しかし,IoTに使用される周波数帯は ISM 帯が想定されておりTOAを使用するに十分な信号帯域の確保が困難である.そこで,本研究では AOA に着目する.AOA による到来方向推定では受信器のポート間位相差を正確に求めることが重要であり,位相オフセットが存在すると推定精度は悪化する.そのため本研究ではハードウェアでの位相差同期が不十分な安価な装置においても位相オフセットが与える影響を評価し、オフセット補正を行うことで推定精度が向上することを示す.
本報告ではシミュレーションにより腹部脂肪量推定の実験用導波管の設計を行った.その結果,人体挿入孔がない状態で良好な周波数特性を有する導波管設計が得られた.今後の課題は,以下の通りである.
・中央の導波管に貫通孔を施し,数値人体モデルを挿入した上でSパラメータ測定を行う.
・SARの検討を行う.
・機械学習を用いて腹部脂肪厚推定を行う.
近年急速に普及している5G通信は、高速大容量通信に向けて30 GHz帯域のミリ波帯が利用される。しかしミリ波帯では信号減衰量が大きい事が問題である。さらに、5G通信利用機器の多くは高機能化・小型化が進んでおり、ノイズ源となる様々な電子機器が稠密に実装されている。高速駆動が行われる電子機器では回路動作に起因する電磁ノイズがミリ波通信帯域に及び、電磁干渉を引き起こす可能性があるため、その評価・対策が求められる。本稿では30 GHz帯域における電磁ノイズ評価環境を構築しデジタル回路から発生する電磁ノイズを測定し、ミリ波帯において電磁干渉が発生する可能性を確認した。
時間反転法(Time-reversal method)を用いて,観測されたノイズ波形からケーブル上のノイズ侵入位置を推定する技術を検討している.時間反転法は,観測点で得られた波形を,時間領域の解析手法に入力し,時間を過去にさかのぼらせて波源に波が収束する様子を再現させるものである.この手法は,ノイズ源の位置,個数およびノイズ波形の情報が不要という特徴があり,ノイズ源位置推定に有効と考えられる.本検討では,実測による評価を実施したので報告する.
日本酒もろみの発酵状態モニタリングの機械化を目指し、汎用のマイク内蔵カメラによる泡の画像・音声モニタリングの可能性を検討している。本報告では、音の情報に焦点化し、泡のはじける際の発酵雑音からもろみの発酵状態についての情報の抽出を試みた。具体的には、Wienerフィルタにより背景雑音を除去し、泡のはじける発酵雑音を抽出した。さらに信号処理を行い、パルス高の頻度分布より発酵雑音の2値化処理と累積関数の導出を行い、統計検定によりポアソン分布からの逸脱を示した。
3月16日 9:00〜11:45 Meeting 21 座長 東山潤司(NTTドコモ)
B-4-25 |
SARプローブ較正導波管を用いた電気定数測定でのアンテナ引き上げ位置ずれが測定結果に与える影響の検討
○清水悠斗(NICT)・石井 望(新潟大)・長岡智明(NICT) |
B-4-26 |
テラヘルツ帯におけるウサギ角膜の誘電特性に関する検討
○山崎祥他・水野麻弥・長岡智明(NICT) |
B-4-27 |
無線通信機器からの住居内における電波ばく露レベル
○幾代美和・大西輝夫・多氣昌生・渡辺聡一(NICT) |
B-4-28 |
平面波の重ね合せによるばく露評価とその効率化
○櫛山祐次郎・長岡智明(NICT) |
B-4-29 |
住居内における無線通信の利用に関するウェブアンケート調査結果
○亀谷和久・多氣昌生・幾代美和・大西輝夫・渡辺聡一(NICT) |
携帯電話等の移動無線端末の人体ばく露に対する適合性評価(6 GHz以下)にはSAR (Specific Absorption Rate)を指針値として用い,SAR測定には人体と電気的に等価な液剤が用いられ,その電気定数(比誘電率,導電率)は規格値を満たしている必要がある.本報告では、著者らが提案してきた伝送特性測定によるSARプローブ較正用導波管を流用した電気定数測定システムに関して,導波管開口中心からアンテナ引き上げ位置がずれた際の電気定数推定結果に及ぼす影響を検討した.
次世代無線通信(B5G/6G)ではTHz帯の電波利用が想定されており, 人体に対するTHz帯の電波ばく露量評価の必要性が高まっている. しかしながら, THz帯での高精度な電波ばく露量評価に必要となる, 生体組織の電気的特性についての, 形状や大きさ等のばらつきを考慮した十分な研究が行われていない. そこで本研究では, ウサギより摘出した眼球を試料として周波数0.1 THz~1 THzにおける角膜の複素比誘電率をTHz時間領域分光(THz-TDS)と全反射減衰分光法(ATR)ユニットを組合わせたTHz TD-ATR法により測定した.
我々は日常生活における電波ばく露の実態について定量的に把握するとともに,リスクコミュニケーションの在り方を検討することを目的に研究を行っている.屋外における携帯電話基地局等からの電波ばく露レベルの測定結果は既に報告している.一方,屋内では無線LANを利用した通信を行う機会が増えていることから,屋内での電波ばく露レベルを把握することも重要である.そこで著者らの個人宅における電波ばく露レベル予備測定を行った.本稿では,より多くのデータを集積し統計的に検討を行うため,一般の方を対象とした住居内測定を実施した.本測定の結果より予備測定と同様に無線LANと携帯電話電波からの電波ばく露レベルは同程度であった.
第5世代移動通信システム (5G) などの基地局や端末においてアレーアンテナの利用が広がっており,これの無線通信機器から発射された電波に対する人体安全性評価が重要な課題となっている. 6GHz 以上の周波数では,安全性評価の指標として吸収電力密度 (APD:Absorbed Power Density [W/m 2 ]) が用いられている.数値シミュレーションによる人体に対する詳細なばく露の評価においては,アンテナおよび高精細な数値人体モデルを用いた大規模計算が必要となり,様々なビーム方向に対するばく露評価には膨大な時間が必要となる.そこで,本研究では,アレーアンテナからのばく露評価に要する計算量および計算時間の削減を目的とし,様々なビームパターンによるばく露状況を,単一平面波からのばく露結果の重ね合わせで表現する手法と,この平面波の数を削減する手法について検討した.
我々は身の周りの生活空間における電波を利用した機器からの電波ばく露レベルを定量的に測定し、そのデータの蓄積・活用によるリスクコミュニケーションのあり方について研究を行なっている.本研究では、日常生活における電波ばく露レベルを把握することを目的に全国の20代から60代の個人約5000人を対象に住居内における無線通信の利用状況に関するウェブアンケート調査を2021年7月に実施した.その結果、住居内で使用される無線機器の種類、利用方法、使用時間等を取得することができた.また、それらの中には年代、世帯人数等の条件により異なる傾向を示すものがあることが示唆された.
休 憩(10:30 再開) 座長 齊藤一幸(千葉大)
B-4-30 |
FDTD法によってシミュレートしたリバブレーションチャンバー内電磁環境の検証
伊藤涼太・○王 建青(名工大) |
B-4-31 |
VHF帯電流知覚実験のための人体インピーダンス測定
○上村佳嗣・松本尚也(宇都宮大)・佐藤 健(八戸高専) |
B-4-32 |
電磁界ばく露下の非拘束環境におけるドシメトリを目的とした数値マウスモデルの開発
○石綿ひとみ・北原 真・Wasoontarajaroen Siriwat・鈴木敬久(東京都立大)・大谷 真・服部研之(明治薬科大)・牛山 明(保健医療科学院) |
B-4-33 |
電磁波の生体作用評価に向けた28 GHz二重盲検法による細胞ばく露装置の開発
○上條敏生・アルフレード キック・羽田亜紀・和田圭二・鈴木敬久(東京都立大)・池畑政輝・吉江幸子(鉄道総研)・服部研之(明治薬科大)・牛山 明(保健医療科学院) |
B-4-34 |
電波ばく露による下顎骨治療金属プレート近傍の温度上昇測定
◎西川拓次・大塚敦生・日景 隆(北大)・長岡智明(NICT) |
実際のRCにおける実効電界強度の測定結果と,FDTDシミュレーションによる実効電界強度の計算結果の比較
を行い,本研究で用いた FDTD シミュレーションにより,RC 内の電磁環境を適切に再現していることを示した.
近い将来に無線電力伝送の普及が大いに見込まれているが,一方で接触電流による間接作用の安全性評価が問題となっている.我が国の電波防護指針やIEEEの防護指針(2019)では接触電流に関するばく露制限値が100 MHz付近まで決められてはいるが,電流閾値の実験的研究は高々3 MHzまでしか行われていない.
現在,わが国で1 MHz~10 MHzの電流閾値実験が行われており,さらに30 MHz以上のVHF帯での実験を計画している.その際に用いるばく露装置では,電流経路をできるだけ短くする必要があり,指先-指の根元間に電流を流すことにしている.本研究ではVHF帯電流ばく露装置開発のために必要な指先-指の根元間の人体インピーダンスとそのばらつきを求めた.
無線電力伝送(WPT)において,伝送コイル近傍に生体が侵入した場合,安全装置が働くまでのタイムラグにより,短時間での高強度磁界ばく露の可能性が考えられる.そのため,マウスを対象に85kHz帯の短時間での高強度磁界ばく露に起因する熱,刺激作用以外の確立されていない生体作用に関し,動物実験での調査を行なっている.その際,ばく露対象のマウスは拘束ストレスによる影響の排除のため自由に動ける環境にあり,姿勢に依存してマウスと鎖交する磁束の量が変化し,体内誘導電界が変化する.このような背景から本研究ではドシメトリを行う上で姿勢の変形を考慮するために,姿勢変更可能なマウスモデルの開発を目的とする.
Safety verification is indispensable before the implementation of new technologies using ultra-high frequency bands, such as the introduction of the 5th generation mobile communication systems. In our research, we started to construct an in vitro evaluation protocol for radio waves in the 28 GHz band as a representative for the ultra-high frequency band. Recently, we developed a 28 GHz double-blind in vitro exposure system for the evaluation of the effects of EMW on biological cells. In this paper, we reported the concept of a double-blind method and the design of the microwave exposure system using a PC-controlled mechanical switch and two focus lens antennas.
金属を体内に埋め込んでいる場合,指針値以下のばく露でも局所的なSAR上昇の可能性が示唆されている.近年,様々な形状の医療用金属プレートが開発されており,これら器具等装着者に対する指針適用性の検討が重要となっている.著者らはこれまでに,平行に埋め込まれた2枚の金属プレート空隙部におけるSARの上昇について数値シミュレーションによる推定を行い,サーモグラフィなどによる測定実験による検証およびSAR上昇の機序について検討を行ってきた.本稿では,より複雑な構造を有する下顎骨折治療用金属プレート近傍の温度上昇について周波数特性を評価する.
3月16日 13:00〜15:15 Meeting 21 座長 清水悠斗(NICT)
B-4-35 |
曲面での吸収電力密度評価に関する一検討
○阿久津裕大(東京農工大)・櫛山祐次郎(NICT)・有馬卓司・宇野 亨(東京農工大)・長岡智明(NICT) |
B-4-36 |
Sub 6 と LTE 帯周波数の電磁波複合ばく露量の評価
○木村圭佑・齊藤一幸・高橋応明(千葉大)・長岡智明(NICT) |
B-4-37 |
幾何光学近似法を用いた屋内環境における28 GHz電磁界ばく露評価に関する検討
○市川智照(青学大)・佐々木謙介・長岡智明(NICT)・須賀良介・橋本 修(青学大) |
B-4-38 |
ミリ波帯電波ばく露における低損失ファントムを用いた等価電磁流源推定法による吸収電力密度評価
◎西原大輔(青学大)・大見俊太郎・佐々木謙介・長岡智明(NICT)・須賀良介・橋本 修(青学大) |
電波の人体防護の新国際ガイドライン[1]において,6GHz以上の周波数では,新たな指標として吸収電力密度(APD:Absorbed Power Density [W/m2 ]) が用いられている.このガイドラインでは,APDの定義として,2種類の式が示されており,これらの式は平面的な人体表面に対して等価とみなすことができるが,曲面に対しては用いる計算式や平均化領域の設定によってAPDに大きな差が生じる可能性がある.そこで,本研究では,曲 線に対して異なる2種類の計算式から算出したAPDの違いについて検討した.
情報通信機器の普及と,それらを用いたアプリケーションの発達によって,より高速かつ安定した通信が求められている.近年では複数の周波数を同時に使用して通信を行う技術が開発されており,スマートフォンをはじめ,この技術が利用されはじめている.このような,通信における周波数利用の複雑化に伴い,人体に対する電磁波ばく露量についてもこういった環境を想定した評価が必要である.
本研究では,Sub 6 帯周波数とLong Term Evolution (LTE)帯周波数の2つの周波数による,人体への電磁波複合ばく露を想定したSpecific Absorption Rate (SAR) 解析を行った.
5Gシステム等の準ミリ波・ミリ波帯を用いた無線技術が普及しており,これらの無線機器からの電波への人体ばく露の評価データの蓄積が求められている.電波への人体防護ガイドラインにおいて,全身平均SARに対する指針値が300 GHzまで拡張されたことから,我々は屋内環境における電波ばく露による全身平均SARの評価方法について検討してきた.
これまでに,全身平均SARの評価方法として膨大な計算コストが求められるFDTD法に対して,吸収断面積を特定の観測点での時間応答から簡易に全身平均SARを評価する手法を提案した.しかし,この簡易評価法はアンテナが人体から比較的近い距離(8 λ以下)に位置する場合では,全身平均SARを適切に見積もることができなかった.そこで,本研究では幾何光学近似を用いた全身平均SARの評価方法について検証した.
電波への人体ばく露の国際ガイドラインであるICNIRPでは,6-300GHzの電波に人体が局所的にさらされる際の指標として,吸収電力密度が用いられている.そこで我々は吸収電力密度の評価手法に関する検討を進めてきた.本研究では低損失ファントムを用いた吸収電力密度の評価法を提案し,28GHzアレーアンテナを用いて検証した結果について報告する.
休 憩(14:15 再開) 座長 佐々木菜実(星和電機)
B-4-39 |
PSD手法を用いたブラシモータ内蔵フィルタの定数決定
◎中西隆太・菅 翔平・五百旗頭健吾・豊田啓孝(岡山大) |
B-4-40 |
相関演算を用いたJJY信号のSER特性の改善
◎森岡泰地・河村拓実・會田颯馬・都竹愛一郎(名城大) |
B-4-41 |
円偏波を用いた曝露型IM測定の高次IMに対する効果に関する検討
○溝口弘也・久我宣裕(横浜国大) |
B-4-42 |
可変容量素子による連続可変整合移相器の検討
○西方敦博・西田大祐・丸山千瑛(東工大)・白戸裕史・山本泰義・髙橋雄太・北 直樹(NTT) |
ノイズ低減のためブラシモータに内蔵されたフィルタのキャパシタが,ケーブルが長い場合にケーブルのインダクタンスとの間で共振し問題となる. 今回, セットベース設計手法の1つであるPSD (Preference Set-based Design)手法を用いて, この共振を避けつつブラシモータのノイズを低減するフィルタ定数の決定を試みた. さらに, ケーブル長と最適なフィルタ定数の関係も調べた.
JJY標準電波を利用して時刻校正する電波時計が広く普及しているが、雑音の多い環境や建物内などのJJY標準電波が届きづらい環境では正しく時刻校正が行えない場合がある。同期加算平均によりC/Nを改善することはできるが、重要な「分」の情報は1分毎に変化するため改善できない。そこで「分」の情報を正確に復号するため、毎分1秒から9秒の期間に送られてくる「分」情報を、1分ごとに取りだし、連続する「分」の情報の相関演算によるSERの改善を行った。シミュレーションによりSER特性を求めた結果、所要SERを0.01とすると、連続する60分の相関値を用いた複号では、C/Nを17.2dB改善することができた。
移動体通信基地局近傍の強電磁界下の電子製品から発生した非線形ノイズ(IM)が問題となることがありその検査手法が求められている. 電子製品から発生するIMと直線偏波のアンテナの偏波面を一致させるのが困難なため, 円偏波曝露による測定法を提案し, 3次IMについては本手法の有効性を確認してきた. 本稿では本手法の高次のIMに対する効果を検討した.
最もIMの変動量が大きいもののひとつと考えられるダイポールアンテナの間隙にダイオードを装荷したモデル測定試料とし, 試料の設置角度に対する高次のIMの変動量を抑制できることを確認し, 高次のIMに対する本手法の有効性を示した.
先に、再帰反射体の通信への応用においてBPSK変調器の位相切り替えタイミングで生じる復調時パルス雑音の対策を検討した。一方、再帰反射波の近距離での焦点形成の検討も行っている。先の報告では変調器での移相量を不連続に切り替えていたが、それを連続的に変化させれば、復調時のパルス雑音の発生を抑えられるとともに、スイッチングに伴う高調波雑音も低減できると考える。また、焦点形成の用途には反射がなく低挿入損失の移相器が望まれる。そこで本報告では、両用途を想定した連続可変整合移相器を提案し、計算上、透過位相変化幅233°が得られることを示した。
3月18日 9:00〜11:45 Meeting 21 座長 立松明芳(電中研)
B-4-43 |
時間変調周波数選択シールドの設計
◎古谷航一・小林 剛・福井範行・谷口英司(三菱電機) |
B-4-44 |
受電可能な平面電波吸収体の研究
◎小畑 輝(都産技研) |
B-4-45 |
2.4 GHz/5 GHz 帯向け多段DB-SIW 共振器装荷非接触型電磁波シールド構造の誤差解析検討結果
○米田 諭・佐々木雄一・明石憲彦・谷口英司(三菱電機) |
B-4-46 |
メタルバックを用いないミリ波帯用電波吸収体の反射特性評価
◎蔭川慎之介・山本真一郎・畠山賢一(兵庫県立大)・伊藤盛通(大阪技術研)・戸川 斉(キーパー) |
B-4-47 |
導電膜格子状配列材と誘電体を用いるハイパスフィルターの設計
◎谷口雄視・江原隆太・山本真一郎・相河 聡(兵庫県立大)・松岡茂樹・長尾正揮(日本ジッパーチュービング) |
アクティブFSS(Frequency selective surface)を使用した時間変調周波数選択シールドを提案している.本稿では,シールドの単位セルの設計結果とその等価回路を示す.
本研究はFrequency Selective Surface型電波吸収体を用い,地板にスロットを設け,反射抑制特性を持ちつつアンテナとして入射電波の一部を取り出せる構造の開発を目的とする.円形の金属パッチおよび矩形スロットを基本の形状とし,電磁界解析上にて形状パラメータと特性の関係を明らかにした上で形状の最適化を行った.試作評価は,導波路として1つのマイクロストリップ線路を加えその端に給電ポートを接続し行った.反射量の斜入射特性および指向性利得を測定し,特定周波数において電波吸収体としての反射抑制特性と,アンテナとしての放射特性を有することを確認し,提案構造の有効性について示した.
2.4 GHz帯と5 GHz帯で有効な非接触電磁波シールド構造の測定結果に関する誤差解析結果について報告する.2つのSIW(Substrate Integrated Waveguide:基板集積導波路)共振器の結合スリットを共通化して構成するDB(Dual Behavior)-SIW共振器の測定結果における周波数シフトの主要因について電磁界計算で検討した結果,viaの直径が設計値よりも大きいことが主要因と考えられることがわかった.
5Gや自動車衝突防止レーダーに代表されるように今後も情報通信技術が益々発展していくことが見込まれている.その一方で,これらの通信機器から発生する不要電磁波により,機器間の誤作動やシステムの不具合を引き起こす問題が発生している.このような不要電磁波を抑制する対策として,電波吸収体が使用されている.
上述した自動車衝突防止レーダー等ではミリ波帯の周波数が利用されていることから,ミリ波帯における電波吸収体の設計が急務となっている.電波吸収体は通常電磁波入射面から見て吸収材背面に金属板を裏打ちした構造(メタルバック)となっている.本研究では,裏打ち金属板の有無により電波吸収特性がほとんど変化しないミリ波帯用電波吸収体を設計し,それらの反射特性を評価した.
近年,IoTの発達に伴い様々な無線通信機器が利用されている.その一方で,不要電磁波による機器間の誤作動などが問題視されている.このような不要電磁波を抑制し,電磁環境を整備するデバイスとして,従来から種々の電磁遮へい材が利用されている.
本研究では,導電膜を格子状に周期配列した構造の配列材を作製し,誘電体の両側にこの配列材を配置したハイパスフィルターを設計した.次に,そのフィルターの透過係数を測定し,伝送線路理論による計算値と比較することで透過特性を評価した.
休 憩(10:30 再開) 座長 山本真一郎(兵庫県立大)
B-4-48 |
超高周波帯電波吸収シートの設計指針とその開発
○藤田真男・豊田将之(マクセル)・李 尚曄(東工大)・原 紳介・渡邊一世・笠松章史(NICT)・高野恭弥(東京理科大) |
B-4-49 |
空隙によって変化するノイズ抑制シートの効果
◎鍋島拓海・伊藤大輔・中村 誠(岐阜大)・小山健史・武藤勝紀(積水化学) |
B-4-50 |
メタサーフェス電波吸収体の低周波化に関する検討
○清水健介・西 真詞郎・八木谷 聡(金沢大)・谷本真一・藤野新九郎(パナソニック)・尾崎光紀・井町智彦(金沢大) |
B-4-51 |
床材を用いた超薄型電波吸収体の開発
◎伊藤 樹・岡野好伸(東京都市大) |
B-4-52 |
電波散乱壁を用いた28 GHz帯の電波伝搬環境改善の実験的検証
○村上靖宜(電通大)・チャカロタイ ジェドヴィスノプ・浜田リラ・藤井勝巳(NICT) |
WRC-2019では高解像度イメージセンサー、および陸上移動サービスと固定サービスによる275〜450GHzのテラヘルツ波帯域の使用の可能性について議論された。様々な周波数帯が使われるはずの未来通信環境において電波干渉などを回避するためには不要電波を抑制する技術が必要となる。従って、このようなミリ波帯やテラヘルツ波を利用するという技術動向に対応した周波数帯の不要電波を吸収する技術のニーズがさらに高まることが期待される。以上の課題を踏まえて電波吸収シートの設計指針を確立することにより超高周波帯での電波吸収シートの開発ができるようになった。
情報通信の高速化や通信機器の小型・高密度化が進み、通信機器内部での電磁ノイズ放射が問題となり、NSSの需要が高まっている。NSSと伝送線路の空隙dが伝送特性に大きく影響を与えるパラメータであることが実験で示されており、本稿ではNSSと伝送線路の空隙を変化させた時に変化するノイズ抑制効果の原理について理論検討と電磁界解析ソフト(Ansys HFSS)による検証を行った。理論計算結果より、放射電界強度は指数関数的に減少するが、電磁界解析結果より得られた輻射抑制率は、d = 0.2 mmで最大となった。よって、NSSの吸収効果は電磁界強度が最大となる点で最大化せず、MSLの極近傍においてNSSの吸収効果を最大化し得る空隙が存在することを示唆している。
IoT技術の推進に伴い不要電磁波ノイズによるEMC問題がますます深刻となっている。その対処には電磁波分布を計測・可視化し不要電磁波源を特定することが有効であり、当研究室では、入射電波の電界成分における2次元空間分布を計測・可視化するセンサ開発を行っている。従来開発されてきたセンサは数GHzを対象としたものであったが、本研究ではより低周波(数百MHz)の電波を計測できるセンサ開発を検討した。センサに使用するメタサーフェス電波吸収体の構造変更を行い、共振周波数を従来のセンサにおける数GHzから数百MHzに変更することで、数百MHzの電波を計測できる低周波化センサを実現した。
近年,生産管理現場などでUHF帯-RFIDを用いた認証技術の利用が増加している.
一方で室内壁面や,天井などによる電磁波の多重反射を原因とする誤認証の誘発が問題になっており,
これらの電波障害の低減に電波吸収体の需要が高まっている.
また,床からの電磁波の反射は電波障害の原因である割合が大きく,
床材を用いた電波吸収体には大きな効果が見込める.
電波吸収体には、壁掛け型や衝立型などがあるが、
床面に適用できる電波吸収体はまだ実用化されていない。
そこで,一般的な床材に適用可能な電波波吸収体の設計を報告する.
第5世代移動通信システム(5G)では,28 GHz帯の電波を利用する.この周波数帯では,高利得アンテナが使用され,壁面からの電波は主に鏡面方向に反射する.また,送受信アンテナ間に遮蔽体がある場合は,受信アンテナに直接波も反射波も届かない.これらの問題を解決するために,反射波を広角に散乱させ,通常では電波が到達しない場所に置かれた受信アンテナに,電波を到達させることができる電波散乱壁を設計してきた.本報告では,電波散乱壁を用いた室内の電波伝搬環境(受信可能範囲)の改善効果を実験により明らかにする.
B-5. 無線通信システムA(移動通信)
3月15日 9:15〜11:45 Meeting 22 座長 岩渕匡史(NTT)
B-5-1 |
Dynamic Antenna Control for HAPS Using Geometric-Based Method in Multi-Cell Configuration
○Siyuan Yang・Mondher Bouazizi・Tomoaki Ohtsuki(Keio Univ.)・Yohei Shibata・Wataru Takabatake・Kenji Hoshino・Atsushi Nagate(SoftBank) |
B-5-2 |
高高度プラットフォーム(HAPS)による5G網と連携した38GHz帯の無線通信システム開発 -基地局搭載型HAPSにおけるフルデジタルビームフォーミングの検討(その2)-
○大内幹博・木村知弘(パナソニック)・珍田祐輔・菊地和彦(パナソニックシステムネットワークス開発研) |
B-5-3 |
HAPSと地上セルラーシステムが周波数共用した場合のHAPS下り回線干渉キャンセラー
○柳川竜輝・藤井輝也(東工大) |
B-5-4 |
HAPS複数ゲートウェイフィーダリンク信号再生中継システム対応干渉キャンセラーの性能評価
○藤井隆史・太田喜元(ソフトバンク) |
In this report, we propose a novel antenna control method for reducing the number of low throughput UEs caused by the shift and rotation of HAPS.
We assume that each HAPS has three antenna arrays for serving one region that consists of three cells and that we know the UE locations in each cell.
In the proposed method we first cluster all UEs into three clusters based on the UE locations, each antenna array is controlled to serve three clusters, respectively.
Based on the radius and center location information of three clusters, we propose a geometric-based method for antenna control.
筆者らはミリ波(38GHz帯)を用いたHAPS(High-Altitude Platform Station)バックホールシステムにおいて,基地局搭載型HAPSでのフルデジタルビームフォーミング実現のため,ADC・DAC低消費電力化と高精度リアルタイム位相校正法の検討結果を示した.本稿では,38GHz帯広帯域信号での帯域内位相傾き防止対策として,遅延校正法の検討結果について述べる.
成層圏の高度約20 kmを飛行するHAPS (High-Altitude Platform Station) と地上セルラーが同一周波数を共用する場合(以下、HAPSセルラー)、相互の干渉回避技術が不可欠である。HAPSセル内に複数のマクロセルを設置して同一周波数を利用する構成で、下り回線干渉除去(回避)技術として、マクロセルの下り回線信号にHAPSセルのキャンセル信号を重畳して送信する“マクロセル送信干渉キャンセラー”を提案した[1][2]。従来提案ではアンテナが送受信共に2本のMIMOで、距離変動と瞬時変動を重畳した伝搬モデルで検討を行った。
本稿では、従来の伝搬モデルに短区間変動を追加した実際の伝搬環境下でのHAPS下り回線干渉キャンセラーの検討を行う。
筆者らは成層圏プラットフォーム(HAPS)を用いて地上のセルラ携帯端末と直接通信する携帯通信サービスを提案している.特にHAPSと地上基地局(ゲートウェイ)間の通信であるフィーダリンクの周波数有効利用を目的に,同一周波数を空間分割多重する非再生中継方式の“複数ゲートウェイ(GW)システム”を提案している[1]. 本稿では複数GWシステムにて地上からHAPSへの通信であるフォワードリンクでの複数のフィーダリンク間の同一周波数干渉を低減する信号再生中継システム(基地局)対応干渉キャンセラーを提案,評価する.
休 憩(10:30 再開) 座長 岡本英二(名工大)
B-5-5 |
HAPSシステムにおけるフィーダリンク無線装置試作及びフィールド実験評価
○韓 冰・太田喜元(ソフトバンク) |
B-5-6 |
HAPSシステムにおけるフィーダリンク用無線装置の屋外実験評価
○松浦一樹・太田喜元(ソフトバンク) |
B-5-7 |
ミリ波帯通信におけるビームトラッキングを用いた長距離伝送実験
○多和田基史・韓 冰・太田喜元(ソフトバンク) |
B-5-8 |
OAM多重を用いた主回線優先型PtMP無線伝送の検討
○景山知哉・八木康徳・笹木裕文・伊藤穂乃花・李 斗煥・増野 淳(NTT) |
B-5-9 |
SFN野外実験による地上テレビジョン放送高度化方式のGI長比較
○朝倉慎悟・平林祐紀・古屋琴子・神原浩平・岡野正寛・斎藤恭一(NHK技研) |
成層圏プラットフォーム (HAPS)を用いた地上のセルラ携帯端末と直接通信する携帯通信サービスは,サービスエリアの拡大,災害時の通信手段として非常に魅力的である[1].図1 に本稿で想定するHAPS無線中継システムの基本構成を示す.HAPSの通信回線は地上に設置されたゲートウェイ(GW)局とHAPS間及びHAPSとHAPS間を結ぶフィーダリンク,HAPSとユーザ端末間を結ぶサービスリンクから成る.そこで当社では,ミリ波帯を用いたフィーダリンク無線装置の実験用試作装置を開発し,千葉県の九十九里浜で長距離ミリ波通信の実験を実施した。本稿では同システムを用いたフィールド実験の無線伝送試験結果を報告する.
成層圏プラットフォーム (HAPS)を用いた地上のセルラ携帯端末と直接通信する携帯通信サービスは,サービスエリアの拡大,災害時の通信手段として非常に魅力的である.HAPSの通信回線は地上に設置されたゲートウェイ(GW)局とHAPS間を結ぶフィーダリンク,HAPSとユーザ端末間を結ぶサービスリンクから成る.また,フィーダリンク用の無線装置では,GW局とのリンクだけではなくHAPS間通信や航空機向けのバックホール等としての利用も想定される.そのため当社では,目標物との位置関係やHAPSの姿勢変化を考慮した,高精度なビーム方向制御機能を搭載したフィーダリンク無線装置の試作機を開発した.本稿では開発したフィーダリンク無線装置の屋外実験評価について説明する.
近年,5Gをはじめとしたミリ波帯を用いた無線通信に関する研究が盛んに行われている.
ミリ波帯を用いることで広帯域化が実現できるが,送信電力密度の低下や伝搬損失がUHF,SHF帯と比べて大きくなる.そのため,長距離伝送を実現するためにはアンテナを多素子アレイ化し,ビームフォーミングによりアンテナ利得の確保が必要となる.
しかし,移動局のアンテナの向きの変化によって狭小幅のビームの指向方向から外れ,利得が低下する可能性があるため,対向局を補足するビ本発表では,提案したビームトラッキング方式を実装した装置を用いて,屋外LOS(Line of Sight)環境で8.5km離れた2局間通信を行い,アンテナの向きが変化する状況下においても安定して信号が受信できることを確認した.
B5G/6G 等の将来無線通信では, 性質の異なる複数の回線を同時に収容するPtMP(Point-to-multi-point) 伝送が検討されている(e.g. IAB:Integrated access and backhaul).
このようなシステムでは回線ごとの要求値が異なるため, それぞれの回線の要求値を満たしながら複数の回線を収容する必要がある. 本稿では, OAM (Orbital angular momentum) 多重伝送を用いた主回線優先型PtMP 伝送を検討し, その特性を屋外伝送実験にて評価したので報告する.
次世代の地上テレビジョン放送の実現に向けて,筆者らは地上テレビジョン放送高度化方式(高度化方式)の研究開発を進めている.高度化方式は,現行の地上放送と同様にOrthogonal Frequency Division Multiplexing(OFDM)技術をベースとし,複数のGuard Interval(GI)長を選択可能としている.筆者らは,GI長を現行放送とほぼ同等の126.56 µsとした場合のSFN(Single Frequency Network)環境での伝送特性を評価してきた.一方,GI長を長くするとオーバーヘッドは増加するが,置局可能な送信局間の距離が拡大でき,SFNによる周波数有効利用が期待できる.そこで,長いGI長での伝送特性を検証するため,名古屋地区に設置した2局の実験試験局を用いてSFN野外実験を実施した.その結果,GI長を長くすることで,希望波に対するSFN波の遅延量が現行放送のGI長より大きくてもSFNが成立することを確認した.
3月15日 13:00〜17:00 Meeting 22 座長 吉野 仁(ソフトバンク)
B-5-10 |
高度5Gネットワーク制御技術の統合実証に向けた大規模シミュレーションの検討
○平山晴久・塚本 優・村上隆秀・山口 明・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-5-11 |
適応型RANにおける基地局機能配置のための分散強化学習の設計
○塚本 優・平山晴久・ムン スンイル・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-5-12 |
5G基地局共用における機能分割型リソース制御方式
○小林崇春・大山哲平・温 允・瀬山崇志・伊達木 隆(富士通) |
B-5-13 |
エージェントシミュレーションを用いた5G基地局共用方式の評価
○温 允・大山哲平・小林崇春・瀬山崇志・伊達木 隆(富士通) |
B-5-14 |
5G Split Option 6 I/Fを用いたアップリンク低遅延化手法
○米澤祐紀・秋田耕司・内田大輔・旦代智哉(東芝) |
2025年ごろの高度5G時代には,大容量,超低遅延,超多接続などの多様な要求品質のトラヒックが想定されることから,個々の必要な品質で通信を常に提供する高信頼なネットワーク制御が必要となる.筆者らは,現状の5倍のトラヒックが発生する環境下で,基地局への無線リンクの接続率を99%以上とした上で,個々の通信サービスによるデータフローに対して要求された通信品質を95%以上担保することを目標として,高度5Gシステムのネットワーク制御技術の研究開発を2019年度から開始した.本研究開発では,2022年に各研究課題の提案技術の統合実証を行う.統合実証では,提案技術の実現性を示すため実証基盤を用いた実験と,到達目標の達成を示すため十分なスケールを確保可能なシミュレーション評価を行う.本稿では,シミュレーション評価に向けた評価環境とシミュレータの検討について報告する.
5G高度化時代における多様な要求品質の通信サービスに対応するため,適応型RAN(Radio Access Network)において,分散強化学習の一手法であるApe-Xを用いて基地局機能の配置を制御する手法を提案した[1].強化学習において,Agent/Actorへの報酬の与え方は制御の性能を左右する課題であることが知られている.本稿では,ネットワーク全体のQoS達成率を最大化する報酬を検討するため,いくつかの報酬の候補を比較評価した結果を報告する.
都市部の駅のプラットフォームやショッピングモール,地下街など環境が複雑で高トラフィックが想定されるエリアにおいては高密度な基地局(RU: Radio Unit)設置が必要となる.筆者らは効率的なRU設置展開に向けて,複数のMNO(Mobile Network Operator)の広帯域な信号を扱うことができる共用RUを制御するRIC(RAN Intelligent Controller)の開発を行っている.これまで,各MNOの使用する無線帯域幅と周波数ブロック配置を同時に最適化する無線リソース制御方式の検討を実施してきた[1].しかし,最適化を実施する共用RICに各MNO各ユーザに関する通信品質情報等をすべて収集する必要があり,データ転送やインターフェースへの負担が大きいという課題があった.本稿では,各MNOに閉じた最適化とMNO間に跨った最適化に機能を分割することで共用RICへのデータ転送量を抑えた制御方式を提案し,その評価を実施する.
都市部の駅のプラットフォームやショッピングモール,地下街など環境が複雑で高トラフィックが想定されるエリアにおいては高密度な基地局(RU: Radio Unit)設置が必要となる.筆者らは効率的なRU設置展開に向けて,複数の移動通信事業者(MNO)の広帯域な信号を扱うことができる共用RU (SRU: Shared RU)の開発を行っている.MNO毎に個別RUを設置する場合に比べて,共用により低コストでエリア内のRUを増やすことが可能となり,5Gサービスの早期展開につながる.筆者らは以前,SRUを用いる際に課題となるフロントホール(FH: Front Haul)の制限を考慮した共用RU無線リソース制御方式[1]を提案した.本稿では,より現実に近い条件における性能評価を行うために,エージェントシミュレーションを用いたユーザの移動および通信行動の再現で通信トラフィックの地理的分布と時間変化を模擬し,上記リソース制御方式の有効性を検証した.
Local 5Gにおいて、端末から基地局への上り通信に動的な無線リソース割当を利用した場合、無線リソースを効率的に活用できるというメリットはあるものの、通信遅延が生じやすいというデメリットがあるため、低遅延な通信環境が求められるユースケースへの適用に課題がある。
一方、基地局はマルチベンダー化に向けて、3GPPによりレイヤ間の分岐点としてOption1から8が定義され、O-RANやSmall Cell Forumなどの団体により具体的な通信プロトコルが定義されている。本報告ではOption 6の通信プロトコルの一つであるnFAPI(Network Functional Application Platform Interface)を活用した低遅延化手法を提案する。
休 憩(14:30 再開) 座長 瀬山崇志(富士通)
B-5-15 |
Study on BER Performance of Self-Interference Cancellation Using Adaptive Filter for In-Band Full-Duplex Wireless Systems
○Wei-Shun LIAO・Ou ZHAO・Keren LI・Takeshi MATSUMURA・Fumihide KOJIMA・Hiroshi HARADA(NICT) |
B-5-16 |
深層強化学習に基づく基地局送信ON/OFF制御法の一検討
◎室城勇人・樋口健一(東京理科大) |
B-5-17 |
HetNetにおけるCSOを用いたピコセル拡張時の送信電力の最適化に関する一検討
◎米山あゆみ(工学院大)・須山 聡・浅井孝浩(NTTドコモ)・大塚裕幸(工学院大) |
B-5-18 |
HetNetにおけるピコ基地局への端末接続比率を基準とする適応制御型CRE
◎森 和希・米山あゆみ・大塚裕幸(工学院大) |
B-5-19 |
三次元空間HetNet構成におけるマクロセル基地局上り回線干渉キャンセラーの処理量削減
◎金田拓也(ソフトバンク)・藤井輝也(東工大) |
For beyond 5G wireless systems, high throughput and low latency are promising requirements, and in-band the in-band full-duplex (IBFD) transmission is one of the possible solutions. However, to realize the IBFD systems, self-interference (SI) is a major problem which dominates the system performance [1]. In this study, we propose an adaptive filter-based SI cancellation scheme and investigate its BER performance under different modulation schemes.
ユーザ分布に応じた各基地局の送信ON/OFF制御は,移動通信ネットワークの電力効率改善やセル間干渉低減によるシステムスループット改善に有効である.本稿では,下りリンクシステムスループットの増大を目的として,深層強化学習の1つであるDQN (Deep Q-Network)を用いた基地局送信ON/OFF制御法を提案する.計算機シミュレーションにより,提案する深層強化学習に基づく基地局送信ON/OFF制御法が従来法よりもシステムスループットを増大できることを示す.
5G NR NSAは4Gのマクロセルと5G NRのピコセルが重畳するヘテロジーニアスネットワーク (HetNet)と同様な構成である.筆者らはピコセルの送信電力の最適化について検討を行ってきたが,正のCell Selection offset (CSO)を用いたピコセル拡張とピコセルの送信電力との関係については十分な考察を行っていなかった.
本稿では,2 GHz帯マクロセルと帯域幅100 MHzを有する4.5 GHz帯ピコセルから成るマルチバンドHetNetにおいて,平均ユーザスループットを最大化するピコ基地局の送信電力およびその最適値から6 dB小さくした場合の条件で,ピコセルを拡張するCSOに対するユーザスループットを明らかにする.その結果をもとに,ピコセルを拡張した場合のピコセルの送信電力の最適化について考察する.
システム容量を増大する技術の一つとしてヘテロジーニアスネットワーク(HetNet)がある.5G NR NSAは4Gのマクロセルと5G NRのピコセルが重畳するネットワーク構成であり,HetNetと同様な構成である.HetNetにおいて,ピコセルへの端末(UE)接続比率を向上するCell Range Expansion (CRE)技術は重要であり,筆者らは適応制御型CREの提案を行い,その特性評価を行ってきた.しかしながら,マクロとピコセルの周波数帯は同じであり,周波数帯が異なるマルチバンドHetNetの条件下での検討は行っていなかった.
本稿では,2GHz帯マクロセルと広帯域幅を有する4.5GHz帯ピコセルから成るマルチバンドHetNetにおいて,ピコ基地局への端末接続比率を基準とした適応制御型CREのユーザスループット特性を明らかにする.
マクロセル内部に同一周波数を用いた複数のスモールセルを設置して構成するHetNet構成は、周波数利用効率を向上させる技術として期待されている。特に、三次元空間に拡張したHetNet構成では、地上にスモールセルを配置した二次元空間HetNet構成に比べてマクロセル、スモールセル間の同一周波数干渉が大きくなることから干渉回避または抑圧が不可欠である。筆者らは上り回線を対象として、マクロセル基地局においてスモールセル端末からの干渉信号を抑圧する“ネットワーク連携上り回線干渉キャンセラー”を提案した。提案手法では、スモールセル数が増大すると干渉キャンセルのためのウェイト生成の計算処理量が増大する。本稿では、信号処理量削減のためにスモールセル間が遠く、その信号が届かないスモールセルをウェイト生成処理から除外する上り回線干渉キャンセラーを提案し、通信品質を評価する。
休 憩(16:00 再開) 座長 樋口健一(東京理科大)
B-5-20 |
ユーザスループット改善効果から見た3D-BFの最適ビーム数
◎大村有司・大塚裕幸(工学院大)・須山 聡・浅井孝浩(NTTドコモ) |
B-5-21 |
3GPP CDLチャネルモデルにおける受信ダイバーシチを適用したNRの物理レイヤセルID検出確率特性
◎米田 隼・井上大輔・佐和橋 衛(東京都市大)・永田 聡(NTTドコモ) |
B-5-22 |
NRの同期チャネルラスタを考慮したPCID検出時間における受信ダイバーシチ効果
◎岸 大祐・井上大輔・佐和橋 衛(東京都市大)・永田 聡(NTTドコモ) |
B-5-23 |
データブロックを複数スロットに渡ってマッピングするNR上りリンクデータチャネルにおけるインタリーブ方法の比較
○山本哲矢(パナソニック)・菅田真紀(パナソニックシステムネットワークス開発研)・湯田泰明・鈴木秀俊(パナソニック) |
5G NRでは,UEの受信SINRを向上するあるいはセルエリアを拡大するために,massive MIMOアンテナを用いた3Dビームフォーミング(3D-BF)が重要である.水平面内8ビーム,垂直面内2ビームの3D-BFを用いた場合のユーザスループット特性を示した.水平面内8ビーム,垂直面内3ビームの3D-BFに対するユーザスループット特性を示した.本稿では,さらにビーム数を増やし,最大64ビームを有する3D-BFを用いた場合のユーザスループット特性を示し,その特性から3D-BFの最適なビーム数について考察する.
本稿では,3GPP Clustered Delay Line (CDL)チャネルモデルにおけるNew Radio (NR)の同期信号を用いた場合の受信ダイバーシチを適用した物理レイヤセルID (PCID: Physical-layer Cell Identity)検出確率を計算機シミュレーションにより評価する.
本稿では,New Radio (NR)無線インタフェースの同期チャネルラスタを考慮したときの物理レイヤセルID (PCID)検出時間における受信ダイバーシチの効果を計算機シミュレーションにより評価する.
3GPP Release 17では,NR (New Radio)の上りリンクデータチャネル(PUSCH: Physical Uplink Shared Channel)のカバレッジ拡張技術を仕様化した.本稿では,カバレッジ拡張技術の1つであるデータブロックを複数スロットに渡ってマッピングして送信する手法(TBoMS: Transport Block processing over Multi-Slot PUSCH)におけるインタリーブ方法について,計算機シミュレーションを交えた比較検討結果を報告する.
3月16日 13:00〜17:00 Meeting 22 座長 衣斐信介(同志社大)
B-5-24 |
V2Xを活用したリレー伝送の遅延特性評価
○酒井 学・帶金一真・西本 浩・佐野裕康(三菱電機) |
B-5-25 |
移動中継通信システムにおける中継通信端末配置に関する一検討
○藤尾俊輔・尾崎一幸(富士通) |
B-5-26 |
移動中継通信システムにおけるハンドオーバーの動的制御技術に関する一検討
○西川健一・藤尾俊輔・尾崎一幸(富士通) |
B-5-27 |
遮蔽物密度の高い閉域環境における高周波数帯の柔軟活用方法の一検討
○村山大輔・中平俊朗・守山貴庸・鷹取泰司(NTT)・宮地健介・須山 聡・岸山祥久(NTTドコモ) |
V2X(Vehicle-to-Everything)は,安全運転支援や自動運転のための無線通信技術として,近年注目を集めている.V2X では,車車間・路車間通信向けとして,移動通信システムのコアネットワークを介さない端末間の直接通信(サイドリンク)が利用される.車車間通信では,VANET(Vehicle Ad-hoc NETwork)に代表されるように,マルチホップ通信に対応していることが望ましい.そこで本稿では,V2X における直接通信を用いたリレー伝送性能を,電波暗室における無線伝送実験により評価し,2 台の中継局を介した片方向リレー伝送遅延の99%値が100 ms 以下となることを示す.
Beyond 5G/6Gに向けて,更なる大容量・高速伝送の実現が求められており,広帯域を確保できるミリ波・準テラヘルツ帯などの高周波数帯の活用が重要である.しかしながら,ユーザ端末(UE: User Equipment)の実効放射電力を上げられないことに起因する上りリンクの伝送容量の劣化が,高周波数帯の利用促進を阻害する要因となってしまう.そこで,上りリンクの伝送容量を改善させるために,UAV(Unmanned Aerial Vehicle)等に中継通信端末(RS: Relay Station)を搭載し,UEの移動に伴いRSを移動させる,移動中継通信システムを筆者らは検討している.伝送容量向上のためにはRSとUE間の通信においても空間多重技術の適用が有効であるが,RSとUEの位置関係によっては多重するUE間で干渉が生じることで,十分に伝送容量を向上できない懸念がある.そこで,本稿では,複数UEを高効率に空間多重するために,RSの位置やアンテナの向きを適切に決定する手法を検討し,その効果を検証した.
単純に高い受信電力が得られる基地局/移動中継通信端末にハンドオーバーするのではなく,ハンドオーバーのオーバーヘッドを考慮してスループットの予測することで,ハンドオーバーを抑圧しスループットさせる方式を提案した.
シミュレーションによりハンドオーバーを抑圧し,スループットが改善する効果を確認した.
5Gやローカル5G等の高周波数帯を、工場のような遮蔽物が多い環境において活用することが求められているが、環境変化を見越した初期設計はコストが嵩む。本稿では、工場内を動く移動体に中継局としての機能を具備することで環境変化にもよりナチュラルに追従可能な無線NWの一実現方法を提案し、期待できる効果をシミュレーションにより評価したので報告する。
休 憩(14:15 再開) 座長 酒井 学(三菱電機)
B-5-28 |
無線端末の移動を考慮したLSTMによるIRSの反射パターン予測
◎土屋文彦・菅 宣理(東京理科大)・雨車和憲(工学院大)・藤沢匡哉(東京理科大) |
B-5-29 |
5Gミリ波通信に適用したIRS制御方式に関する一検討
◎大戸琢也・松野宏己・天野良晃(KDDI総合研究所) |
B-5-30 |
位置情報に基づく端末追従を適用した28 GHz帯Reconfigurable Intelligent Surfaceの屋内実験
○岩渕匡史・大宮 陸・来山大祐・小川智明(NTT)・後藤健太・坪井 淳・宮地健介(NTTドコモ)・熊谷 翔・加賀谷 修(AGC) |
B-5-31 |
強化学習を用いた28GHz帯Reconfigurable Intelligent Surfaceの制御実験
◎大宮 陸・岩渕匡史・来山大祐・小川智明(NTT)・後藤健太・坪井 淳・宮地健介(NTTドコモ)・熊谷 翔・加賀谷 修(AGC) |
B-5-32 |
Reconfigurable Intelligent Surface Aided Downlink/Uplink Decoupling in Heterogeneous Cellular Networks
○Yoghitha Ramamoorthi・Riku Ohmiya・Masashi Iwabuchi・Tomoaki Ogawa・Yasushi Takatori(NTT) |
高周波数帯域での無線通信において,電波の位相を制御して反射が可能な素子を面的に配置した Intelligent Reflecting Surface (IRS) の利用が検討されており,IRSの各素子における反射パターンを適切に制御することで見通し外においても高品質な通信が実現できる.この位相制御において,深層学習により部分的に観測された伝搬路情報から適切な反射パターンを予測する手法が提案されており,ある時点で得られる伝搬路情報のみを用いて予測を行っている.しかし,無線端末の移動は連続的であり,過去の値も用いることで精度が向上すると考えられる.よって本稿では無線端末の移動を考慮したLSTMによる予測手法を提案し,シミュレーションデータを用いた数値実験によりその有効性を示す.
5Gよりミリ波帯の移動通信利用が開始された.ミリ波帯は遮蔽物による不感地帯が発生しやすいため,対策手段として,電波を任意の方向に反射可能なIRS(Intelligent Reflecting Surface)の実用化が期待されている.
5Gミリ波通信では,基地局はビーム走査を行い,ユーザ端末のフィードバック情報からユーザ端末ごとに適切なビームを決定する.これまでIRSの反射制御の研究が進められているが,5Gへの適用および連携制御方式について具体的な検討がなされていない.そこで本稿では,5GにIRSを適用したIRS制御方式について提案し,シミュレーションにより不感地帯のユーザ端末の下り回線伝送速度の評価結果を報告する.
Reconfigurable Intelligent Surface (RIS)は高周波数帯のカバレッジを効率的に拡大する手段として注目されている。RISを用いて実質的に無線カバレッジを拡大するには、端末追従機能を伴う必要がある。本稿では端末位置情報を用いたRIS反射方向制御を適用し、28GHz帯5G信号を用いて屋内におけるカバレッジ拡大効果を実験により評価した。RISからの反射波が端末を追従し受信電力を改善できることを明らかにした。
高周波数帯の電磁波は直進性が強いため,ヒトやモノの動きによって通信品質が大きく変動する.そこでRIS (Reconfigurable Intelligent Surface)反射板等の中継デバイスを用いて,環境変動に適応的な伝搬路制御を行うコンセプトが提案されている.RISは多数の素子からなるメタサーフェス技術を用いた中継デバイスであり,各素子の特性を電気的に制御することで,例えば反射波を特定の端末方向に強く反射することができる.一方で最適な制御パラメータの算出には,各素子のチャネル推定やウェイト制御を行う必要があり,実装上の課題となっている.本稿では,実装可能なRIS制御手法として,強化学習により反射制御角度を算出する手法を提案し,その有効性を実験により明らかにする.
The 6G wireless systems are envisioned to have higher reliability and capacity. To achieve this, a new class of low power millimeter wave (mmWave) based small cell base stations (SCBSs) are expected to coexist with the existing high power macro BSs (MBSs) in heterogeneous cellular networks (HCNs). The transmit power imbalance in HCNs can be compensated by DL/UL decoupling (DUDe). The proposed RIS aided DUDe leveraging the advantages of Reconfigurable intelligent surfaces (RISs) and DUDe in HCNs. Decoupling the UL association from MBS and associate with mmWave based SCBSs via RIS can increase the UL link rate in certain regions.
休 憩(15:45 再開) 座長 菅野一生(KDDI総合研究所)
B-5-33 |
OFDMにおけるFDMパイロット信号を用いる位相雑音補償の誤り率特性
◎栗林遼太・佐和橋 衛(東京都市大)・神谷典史(NEC) |
B-5-34 |
ミリ波帯無線通信における位相雑音に耐性がある定振幅OFDM伝送方式
◎寺内 優・張 裕淵・府川和彦(東工大) |
B-5-35 |
Beyond 5G無線システムにおけるテラヘルツ帯位相雑音の影響の検討
○眞木翔太郎・湯田泰明・西尾昭彦(パナソニック) |
B-5-36 |
高周波数帯シングルキャリア伝送における非線形歪みを考慮した変調方式の最適化
○栗山圭太・福園隼人・吉岡正文・宮城利文(NTT) |
B-5-37 |
97 GHz 帯シングルキャリア伝送における非線形歪みコンスタレーションに対する対数尤度比法の実験的検証
○福園隼人・栗山圭太・内田大誠・吉岡正文・宮城利文・鬼沢 武(NTT)・須山 聡・奥山達樹・岸山祥久(NTTドコモ) |
無線バックホールへの適用のため,直交周波数分割多重(OFDM)における時間領域のパイロット信号を用いる位相雑音補償(PSA-PNC)及びFFT処理後の判定帰還位相雑音補償(DFB-PNC)を用いる方法が提案されている.本稿では,PSA-PNC及びDFB-PNCを用いる構成において,周波数分割多重(FDM)パイロットシンボル多重を用いた場合のビット誤り率(BER: Bit Error Rate)特性を計算機シミュレーションにより評価する.
直交周波数分割多重方式(OFDM)は多くの無線システムで用いられており,将来のミリ波帯無線システムの伝送方式でも採用が見込まれる.しかし,ピーク対平均電力比(PAPR)が高いことから,送信増幅器の高い線形性が必要となり,送信電力が著しく増加する.この増加を回避するため,非線形増幅器を用いると非線形歪みが発生し,伝送特性が大幅に劣化する.この問題に加え,ミリ波帯通信においてCMOS PLLシンセサイザーから位相雑音(PN)が発生し,伝送特性の更なる劣化を招く.本稿ではPAPRを最小化する定振幅OFDMをミリ波帯伝送に適用することを検討する.さらに判定指向型位相雑音補償(DD-PNC)を導入し,計算機シミュレーションによりその有効性を明らかにする.
Beyond 5G超高速大容量通信に向け,端末仮想化技術の研究が進められている.ユーザ端末とその周辺の中継デバイス間をテラヘルツ(300GHz)帯で接続し,周辺デバイスを仮想的なミリ波アンテナとして利用することで,上り回線空間多重数を拡大する.ミリ波を用いる5G NRでは,位相雑音に起因する通信性能劣化への対策として,可変なサブキャリア間隔や補償用の参照信号がサポートされている.本稿では,5G NRをベースとする無線波形に対して,300GHz帯位相雑音が与える影響を検討した.300GHz帯通信におけるエラーベクトル振幅を計算機シミュレーションによって評価し,サブキャリア間隔との関係を示した.
第6世代移動通信システムに向けた無線通信の更なる大容量化のため,広い信号帯域幅を確保できるサブテラヘルツ波帯などの高周波数帯活用が検討されている.このような高周波数帯では,伝搬損失が大きく,電力増幅器の高出力化が求められるため,確保できるIBOと入力信号のPAPRに応じた非線形歪みの影響を考慮する必要がある.本稿では,SC伝送において,非線形歪みを考慮したQAMとAPSKの最適な変調方式選択法を提案する.シミュレーションにより,提案法がBER特性を改善させることを示す.
筆者らは,シングルキャリア (SC) 伝送における非線形歪みコンスタレーションに対する適正な対数尤度比(LLR) を算出する方法を提案している.本稿では,IEEE802.11ad-SCに準じた変復調処理をもつ97 GHz 帯実機検証系により提案の歪み対策LLRの効果を検証し,提案法が符号化BER特性を改善することを示す.
3月16日 13:00〜15:30 Meeting 23 座長 牟田 修(九大)
B-5-38 |
ミリ波のRSSIとステレオカメラ動画像を用いた端末位置推定への高速探索手法の導入と位置推定精度への影響の検証
◎三原翔一郎・村上隆秀・山口 明・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-5-39 |
無線通信制御における経路情報を用いた遮蔽領域内での位置推定について
◎植田剛央・岡田 亨・大野耕祐・品川宜昭・小坂和裕・上杉 充(パナソニック) |
B-5-40 |
超高速車両走行環境における60GHz帯無線LAN伝送実験
○岩國辰彦・内田大誠・新井拓人・和井秀樹・北 直樹(NTT) |
B-5-41 |
受信性能差を補正した次元拡大位置指紋法の計算量削減の検討
○辻野孝弘・藤井輝也(東工大) |
第5世代移動通信システムで用いられるミリ波帯の電波は,通信路を物体に遮蔽されると,急激に受信強度が低下する問題がある.解決に向けて,筆者らは,画像からミリ波の受信電力を予測した上で,複数の基地局を活用して,遮蔽による無線リンク断を回避する制御手法を検討している.ミリ波の受信電力の予測には,正確な端末の位置情報が必要となるため,基地局で測定したミリ波のRSSIとステレオカメラの動画像を組み合わせて,ミリ波の遮蔽を契機に,端末位置を高精度に推定する手法を提案している.本稿では,提案手法の実用化に向けて,処理時間を削減する検討を行った.端末位置を探索する処理に対して,画像認識の分野で代表的な高速探索手法を導入した.実環境の実験データを用いて,処理時間と端末位置推定の誤差を評価し,それぞれの関係性を検証した結果を報告する.
5G高度化に向けた無線通信制御を行うために、道路を走行する車両の位置をレーダーで検出することに取り組んでいる。
ただし、道路上に遮蔽物があった場合、遮蔽領域内での検出ができないため、従来方式では遮蔽領域内での通信制御ができなかった。
今回、道路情報と走行方向を組み合わせた経路情報を遮蔽物との位置関係から最適化を行い、カルマンフィルタの状態方程式に
組み込むことで遮蔽領域内での位置推定を可能とし、遮蔽領域内での通信制御を可能とするシステムを開発した。
増え続ける無線通信トラフィックを収容するため,ミリ波帯及びサブテラヘルツ帯等の高周波数帯無線の利用検討が進んでいる.著者らは高周波数帯無線の通信信号そのものによって通信しながら端末の距離や方位も推定できる特性に着目し,この測位情報を用いた高速ハンドオーバ技術の検証を進めている.本稿では時速200km以上の超高速車両走行環境において,測位活用高速ハンドオーバ技術に加えハンドオーバ中の通信断対策としての擬似的なサイトダイバーシチ技術を検証した結果を報告する.
GPSを利用しない位置推定法として,事前に位置(ポイント)ごとに複数の基地局の受信電力を測定しておいて,各端末が測定した複数の受信電力とパターンマッチングすることで位置を推定する “位置指紋法” がある.事前に測定する受信機(以下,測定装置)と端末の受信性能は一般に異なる.筆者らはその手法の位置推定精度の改善を図るため,測定装置と端末の受信性能の差異を補正する“次元拡大位置指紋法”を提案した.受信性能差の補正には探索数が多くなり,計算量が膨大となる課題があった.
本稿では,受信性能差が短時間で大きく変わらないことに注目し,現時点の受信性能差の前後に探索範囲を制限し,計算量を削減する“次元拡大位置指紋法”を提案する.
休 憩(14:15 再開) 座長 中村 理(シャープ)
B-5-42 |
蓄積一括信号処理による連続位相信号の分離・復調技術の検討
◎△日笠智文・平川拓志・中家 翔・冨里 繁・田野 哲・上原一浩(岡山大) |
B-5-43 |
3GPP TDLチャネルモデルにおけるOFDMの階層化変調の誤り率特性
◎三田村大輝・佐和橋 衛(東京都市大)・岸山祥久(NTTドコモ) |
B-5-44 |
水中音響通信用OFDMモデムの帯域外輻射抑圧に関する検討
◎吉村拓真・岩本航汰・久保博嗣(立命館大) |
B-5-45 |
水中音響通信用差動OFDMモデムの伝送路予測多重遅延検波特性
◎藤田太一・久保博嗣(立命館大) |
B-5-46 |
二重選択性水中音響通信伝搬環境の三次元チャネルサウンド
◎橋本宏一・久保博嗣(立命館大) |
本研究ではネットワーク上での蓄積一括信号処理技術を確立し,従来の受信機では実現できない,衝突した信号や干渉を受けたIoT/M2M端末信号の分離,復調を目指している.本稿では蓄積一括信号処理に用いる手法として検討されている短時間フーリエ変換 (Short-Time Fourier Transform: STFT) による特徴量抽出を用いた信号分離方法[1-2]と復調方法としての特徴量復調方法[3]において,これまで検討が行われていなかった,ガウス最小偏移変調(Gaussian Minimum Shift Keying : GMSK)の信号分離性能におけるD/Uの影響と,STFTの窓関数の影響を計算機シミュレーションによって評価した.特徴量復調方法によりGMSK信号の分離・復調が可能であり,更にD/Uが小さい場合でも,窓関数を適切に選択することにより,分離・復調性能を改善できることを明らかにした.
本稿では,3GPP (3rd Generation Partnership Project)のTapped Delay Line (TDL)チャネルモデルにおける階層化変調(HM: Hierarchical Modulation)を適用した直交周波数分割多重(OFDM)のビット誤り率(BER: Bit Error Rate)を計算機シミュレーションにより評価する.
水中音響通信では,媒体伝搬速度が遅くなるため,厳しい二重選択性伝搬環境となる .このような場合,CP (cyclic prefix) を大きくとったOFDM (orthogonal frequency-division multiplexing) が有効である.しかしOFDMを用いるにあたり,帯域外輻射の大きさが問題となる.本稿では,CPを大きくとったOFDMモデムにおける,時間窓を用いた帯域外輻射の抑圧に関して検討する.
水中音響通信 (UWAC) は,二重選択性が大きな課題となる.本稿では,UWACシミュレーション環境下での,差動OFDM (orthogonal frequency-division multiplexing) の伝送路予測多重遅延検波 (MDD) 復調結果を明らかにする.なお,ソフトウェアモデムを作成し,その性能評価を実施している.ここで,変調方式としては,QPSKとTC (trellis coded) 8PSKを取り上げる.
水中音響通信(UWAC)においては,遅延時間広がりとドップラーシフトが大きな二重選択性伝搬環境となる.本稿では,インパルス計測法と相関計測法について,UWACを想定したシミュレーション結果より,三次元(3D)伝送路インパルス応答(CIR)計測での各手法の得失と課題を論じる.
3月18日 9:00〜11:45 Meeting 22 座長 田野 哲(岡山大)
B-5-47 |
大規模MIMOにおけるL-BFGS法を用いた信号検出に関する研究
◎春日由紀子・萩原淳一郎・西村寿彦・佐藤孝憲・大鐘武雄・小川恭孝(北大) |
B-5-48 |
低分解能ADCを用いた有相関大規模MIMO検出のための深層展開を利用したガウス信念伝搬法に関する一検討
◎田村優香・島村篤典・渡部 樹・白瀬大地・高橋拓海(阪大)・衣斐信介(同志社大)・三瓶政一(阪大) |
B-5-49 |
高次二値変数最適化とMIMO最尤検出の量子加速に関する検討
◎法本雅矢・佐野友貴・石川直樹(横浜国大) |
B-5-50 |
大規模MU-MIMOシステムにおける量子アニーリングを用いた簡易ビーム形成法
◎大塚達樹・西村寿彦・大鐘武雄・佐藤孝憲・萩原淳一郎・小川恭孝(北大) |
B-5-51 |
屋内環境においてIRSによるビームスプリットを用いた伝搬経路制御に関する一検討
◎青塚皓平・三瓶政一・高橋拓海(阪大) |
無線伝送技術である大規模MIMO(Massive MIMO)は高い通信性能を有するが,送受信アンテナ本数の増加に伴い信号検出処理の計算量増大が課題となる.本稿では信号検出性能を維持しつつ計算量を低減する方法として,確率・統計的なアプローチを活用する.具体的には事前分布に混合正規分布を適用し,事後分布の数値最大化にニュートン法の一種であるL-BFGS法(Limited-memory Broyden Fletcher Goldfarb Shanno algorithm)を用いる方法について提案を行う.そして計算機シミュレーションにより,アンテナ本数等を変化させた際の信号検出特性を確認する.
本稿では低分解能 ADC (Analog-toDigital Converter) を利用した有相関通信路におけるマルチユーザ検出 (MUD: Multi-User Detection) を扱う.低分解能ADCを利用したMIMO検出においては,量子化誤差による精度の低下が課題となる.このような問題を解くため,ガウス信念伝搬法(GaBP: Gaussian Belief Propagation) に基づく繰り返し推定法が提案されているが,フェージング空間相関が高い環境ではガウス性を前提としたアルゴリズムの動作前提が崩れてしまい,検出性能が大幅に低下する.本稿では,この不都合を深層展開 (DU: Deep Unfolding) による学習最適化で抑制する手法を検討する.
MIMO最尤検出は性能が優れる一方で、送信レートに対し指数的な時間計算量の増加が起こる。古典計算による軽量検出器と異なり、量子加速が証明されている量子アルゴリズムを適用すると、より低い問合せ計算量で最適解を得られる可能性が指摘されている。しかし、従来のアプローチでは目的関数と対応する量子回路がブラックボックスとして扱われており、実機での動作が確認されていない。本稿では、最尤検出処理を高次二値変数最適化問題として定式化し、量子回路による表現を可能とする。グローバー適応探索を用いて、検出器の量子加速が可能か検証する。
第5世代 (5G) 移動通信システムでは,高周波数帯域の利用効率を向上させるため,基地局に数百の送信アンテナ素子を配置する大規模MIMOシステムの検討が進められている.ZF法やMMSE法などではビーム形成の際に全ての送信アンテナ素子を利用するが,大規模MIMOシステムでは送信アンテナ素子数の多さゆえに,送信プリコーディングにおける演算負荷が増大することが懸念されている.そこで,各受信ユーザに対して複数の送信アンテナ素子を選択し,それらのチャネル応答をそのまま用いる簡易ビーム形成という手法が提案されている.本稿では,簡易ビーム形成に量子アニーリング (QA) 技術を適用し,その有効性を検討した.
近年,スマートファクトリなどにおいて,28 GHz帯を使用したローカル5Gの導入が検討されている.
ミリ波帯は従来の周波数帯に比べて直進性が強く,回折損失や散乱損失が大きいという特徴があるため,NLoS (Non Line-of-Sight) 環境においては通信が困難となる.
一方,屋内では多くの構造物が存在し,かつ移動するためNLoS環境は発生・変動しやすい.それを補うように基地局を設置するコストは大きい.
そこで本稿では,IRS (Intelligent-Reflecting-Surface) によるビームスプリット機能を利用し,変動するNLoSエリアをLoS (Line-of-Sight) エリアに変換する方法を提案し,その有効性を計算機シミュレーションで評価した.その結果,基地局を増設することなく,受信電力の向上によるカバー率の向上を確認した.
休 憩(10:30 再開) 座長 眞田幸俊(慶大)
B-5-52 |
準最適JTRDにおけるユーザ側重みベクトルの検討
○安達文幸・高橋 領(東北大) |
B-5-53 |
端末共同MIMO受信における端末間共有情報の一検討
◎太郎丸北斗・村田英一(京大)・中平俊朗・村山大輔・守山貴庸(NTT) |
B-5-54 |
B5G移動通信に向けたテラヘルツ帯を活用した仮想化端末の一検討
○國澤良雄・天野良晃(KDDI総合研究所) |
B-5-55 |
100 GHz帯見通しMIMOの特性評価
○奥山達樹・須山 聡・野中信秀・浅井孝浩(NTTドコモ) |
B-5-56 |
100 GHz帯Massive MIMO伝送における送受信ハイブリッドビームフォーミングのスループット特性
○野中信秀・須山 聡・奥山達樹・浅井孝浩(NTTドコモ) |
アンテナダイバーシチはフェージングによる通信品質劣化を救済する効果的な技術として古くから知られている.筆者らは送信側と受信側が協調するジョイント送受信ダイバーシチ(JTRD)について検討している.基地局(BS)では十分な広さが確保できるので多数のアンテナを設置できるが,ユーザ端末(UE)側では高々2~3本のアンテナしか利用できない.本稿では,このような非対称通信路におけるユーザ主導準最適JTRDのユーザ側重みベクトルについて検討している.ユーザ主導準最適JTRDでは,BSアンテナ数が多いときユーザ側に選択重みを用いる方が最大比重みより高いリンク容量が得られることを示している.
移動端末同士が基地局からの受信信号を共有する端末共同MIMO受信では判定に利用できる受信信号数が増大するため伝送特性が改善される.受信信号の共有状態によって同一信号に対する判定結果が端末間で異なることを利用した判定結果の選択・合成による特性改善が可能である.本稿では,判定情報と誤り率特性について検討する.
第5世代以降の移動通信(B5G) では,端末から基地局への上り通信でも高速データ伝送が求められる.高速データ伝送実現のためテラヘルツ(THz)帯の周波数が期待されており,WRC-19において275GHzから296GHzを陸上移動業務で利用可能とすることが合意された.THz帯の電波は伝搬損失が大きく移動通信では端末から基地局へ電波が届きにくいことが課題となる.そこで我々は,身の周りの腕時計等のデバイスにRF中継器を搭載し,端末からのTHz波をミリ波帯へ変換し基地局へ送信する仮想化端末という構成を提案している.本稿では,実用的なRFコンポーネントの構成と特性に基づいた,仮想化端末の上りの回線設計を行い,通信距離を評価したので報告する.
第6世代移動通信システム(6G)では,5Gで導入されたミリ波も活用しつつ,100 GHz帯といったさらに高い周波数帯での超広帯域伝送によりピークデータレートとして100 Gbps超の超高速通信の提供が期待されており,シミュレーションにより100 Gbps実現の可能性が確認されている.一方,100 Gbpsの達成には複数ストリームの伝送が必要となるものの,100 GHz帯は直進性が強く見通し波が支配的となりやすい.そこで,基地局のアンテナアレーを離して設置する分散MIMO技術が期待されている.本稿では,見通し波のみの環境で送信可能なストリーム数を確認する.BSアンテナアレーを一定間隔で離して設置し,基地局と移動局との各素子の位置関係から見通し波の放射・到来角を素子毎に求め,見通しMIMOとして複数ストリームの送信が期待できる環境において,送信可能なストリーム数と基地局アンテナアレーの配置間隔の関係を計算機シミュレーションにより明らかにする.
第6世代移動通信システム(6G)では,5Gで導入されたミリ波も活用しつつ,100 GHz帯といったさらに高い周波数帯での超広帯域伝送によりピークデータレートとして100 Gbps超の超高速通信の提供が期待されている.すでにシミュレーションにより100 GHz帯の超広帯域Massive MIMO伝送において,基地局(BS: Base Station)のハイブリッドビームフォーミング(BF: Beamforming)効果に関する基本伝送特性が評価されている.一方,100 GHzではMS(MS: Mobile Station)へのハイブリッドBFの適用についても検討する必要がある.そこで,本稿ではBSとMSにハイブリッドBFを適用したシステムにおけるBSとMSの距離に対する下りリンク(DL: Downlink)と上りリンク(UL: Uplink)スループットをシミュレーションにより明らかにする.
3月18日 9:00〜11:45 Meeting 23 座長 山本哲矢(パナソニック)
B-5-57 |
SE blockを用いた畳み込みニューラルネットワークによる電力増幅器動作モデリング手法
○渡辺大詩・大関武雄・山崎浩輔(KDDI総合研究所) |
B-5-58 |
準ミリ波アレイアンテナ搭載RU のDPD による消費電力削減効果検討
○玉野井 健・大田智也・ロズキン A.N.・石川広吉・西川卓朗(富士通) |
B-5-59 |
平行2本線路における放射を考慮したノーマル・コモンモード方程式とカップリングメカニズムの解明
◎△大原佑介・神野崇馬・木虎秀二・土岐 博・阿部真之(阪大) |
B-5-60 |
電磁界解析から上位層プロトコルまでを統合したシミュレータに関する一検討
○江頭直人・夜船誠致・大野智博・安江伸吾・周東雅之(モバイルテクノ) |
B-5-61 |
パケット損失と遅延に着目した輻輳推定による優先度付与手法
○小津 喬・青木 寛・横山浩之(ATR) |
移動通信システムにおける広帯域化により,電力増幅器で発生する非線形歪みによる性能劣化の影響は大きくなる.これを増幅器の特性改善で対応する場合,送信機の電力効率は大きく低下する.したがって,増幅器の特性改善に加えて,非線形歪み補償技術が必要である.非線形歪み補償を行うためには電力増幅器の動作を正確にモデリングする必要がある.近年,広帯域で発生する複雑な歪みをモデリングするためにニューラルネットワークを用いることが提案されている.中でも畳み込みニューラルネットワーク(CNN) を用いたRVTDCNN (real-valued time-delay convolutional neural network)は,比較的少ない計算量で高い精度をもつことで知られている.しかし今後のテラヘルツ帯の利用などによる帯域拡張に対応するためには,さらなる高精度化が求められる.また非線形歪み補償に応用した際の端末への実装も考慮すると高精度化だけでなく,計算量も考慮する必要がある.本稿では,従来のRVTDCNNにおいてモデル化の難しかったチャネルの相互作用をSE (Squeeze-and-Excitation) blockを組み合わせることでモデル化し,その精度と計算量を示す.
移動通信システムの様々な分野での活用が進み社会経済へ深く浸透していく中、移動通信トラフィックは毎年約1.3 倍増加しており、第5 世代以降の通信は無線リソースを確保するために準ミリ波帯の活用が開始された。筆者らは、準ミリ波帯の無線装置(Radio Unit: RU)にひずみ補償(Digital Predistortion: DPD)技術を適用し、アンプを高効率動作させてRU を低消費電力化する技術を検討している。本稿では、消費電力削減効果がどの程度得られるのか、実験結果に基づいて試算したので報告する。
コモンモード(CM)は外部への放射によるエミッショ ン(EMI)問題の原因や、信号であるノーマルモード (NM)への変換による信号品質(SI)の悪化の問題などを引き起こす原因となる。EMC設計にはコモンモード が引き起こすこれらの問題のメカニズムを理解し、理論的に根本から防ぐことが必要である。本研究では、マクスウェル方程式から導出した遅延時間を含む電磁ポテンシャルを用いて平行2本線路における NM と CM の電信方程式を導出した。導出した方程式から NM と CM のカップリングを時間領域で定量化することで、NM と CM のカップリングメカニズムを明らかにした。
無線システム開発において,実物を構成することなく性能評価できる計算機シミュレーションが利用されているが,システムの一部評価に留まっており,システム全体の性能を把握しづらい.この課題に対し物理層シミュレータと上位層シミュレータを連携させることでシステム全体の性能を評価する既存研究がなされているが,物理層のシミュレーション精度は十分ではない.本稿では,筆者らが開発している電磁界解析から上位プロトコル評価の統合シミュレータのコンセプトについて述べ,初期検討として試作した電磁界解析とベースバンド信号処理の統合シミュレータについて報告する.
インターネット動画配信サービスにおいては,ビットレートなどが動的に切り替わる適応制御可能なDASH (Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)プロトコルが広く活用されている.本稿では,DASHを使用するサービスとその他のサービスが混在するコアネットワークにおいて,輻輳状態に応じて動画配信に対する優先度を制御することでDASHの適応制御を強く促し,ネットワーク全体のサービス継続率を改善する手法を提案する.提案手法により輻輳状態に応じてDASHフローの優先度を微調整することで,トラフィックが増大してもサービス継続率を維持可能であることを示した.
休 憩(10:30 再開) 座長 成末義哲(東大)
B-5-62 |
順列行列の代数的構造に着目した完全ブラインド通信方式の検討
◎遠藤尚輝・石川直樹(横浜国大) |
B-5-63 |
ハイブリッド型Massive MIMOにおけるパイロット汚染を低減するチャネル推定法
◎小野佑貴・張 裕淵・府川和彦(東工大)・須山 聡・奥村幸彦(NTTドコモ) |
B-5-64 |
高周波帯域におけるチャネルフェージング変動速度を考慮したチャネル予測を用いたMIMO伝送に関する一検討
◎依岡寛人・高林健人・榊原勝己(岡山県立大) |
B-5-65 |
回帰型CNNによるSNR推定と適応変調符号化への応用
◎小島 駿(宇都宮大)・丸田一輝(東工大)・横田隆史・大津金光(宇都宮大) |
B-5-66 |
ニューラルネットワークを用いた電力測定によるリニアアレーアンテナの位相補正
○家 哲也・Pieter van Wyk・松本昇紘・薄田悠樹・髙谷翔平・藤井義巳(構造計画研) |
無線通信システムのチャネル推定にはパイロットシンボルによるトレーニング方式が主に用いられている。しかし、アンテナ本数が増えるほど周波数利用効率が下がるという課題があり、パイロットシンボルの送信頻度を最小限に抑えるセミブラインド方式や、パイロットシンボルを送信しないブラインド方式など多くの研究が行われてきた。本稿では、疎な時空間ブロック符号の代数的構造に着目したブラインドな通信方式を検討した。シミュレーションにより、低SNRかつ少ないブロック数でも従来法と比較して良好なBERを示すことがわかった。これにより、周波数利用効率の向上と計算量の低減が期待される。
Massive MIMOでは,アンテナ素子数分のBB(Base Band)回路およびRF(Radio Frequency)回路を大幅に削減できるアナログ・デジタル・ハイブリッドビームフォーミング(HB: Hybrid Beamforming)の構成が検討されている.
この構成でも,同一パイロット信号を複数のユーザ端末で共有することで発生するパイロット汚染の問題が依然として残る.
そこで本稿では,HBにおいてパイロット汚染の問題に対処するため,所望ユーザと干渉ユーザの平均到来角を推定し,推定した合成チャネルインパルス応答から干渉ユーザのチャネルインパルス応答を除去することで,所望ユーザのインパルス応答を得る手法を提案する.そして,計算機シミュレーションによりその有効性を明らかにする.
移動通信システムではセル内に多数の移動局が存在し,それぞれの移動局が各々の速度で移動することにより生じるマルチパスフェージングを原因とするランダムな受信電力変動が起こる.また,固有モード伝送に代表されるような空間多重化方式を用いるMIMO (Multi-Input Multi-Output) においては,信号が伝播する空間の情報,すなわち送信信号に対する受信信号のチャネル伝達関数を正確に取得する必要がある.伝搬チャネルは時間及び周波数に対して常に変動し続けるため,従来法ではデータフレームを送信する際にチャネル推定を行う.本研究では,伝搬チャネルのフェージングの変動の速さとして最大ドップラー変動周波数に注目し,5Gのような高い周波数帯を用いる移動通信における伝搬チャネルの短時間高速変動がもたらす伝送精度の劣化という問題に対し,チャネル予測を用いた伝送精度の劣化の低減を試みた.計算機シミュレーションの結果,提案手法は従来法を用いた場合よりも高い精度でチャネル情報を取得することができるようになり,伝送精度の向上を図ることができた.
IoTの発展に伴い,次世代の無線通信技術には,通信環境の迅速な把握とそれに基づく緻密な通信パラメータの制御が要求されている.従来では,高精度な通信環境推定の実現には事前情報である参照信号が必要であり,高速化のボトルネックとなっていた.これまでに,畳み込みニューラルネットワーク(CNN)による参照信号を用いないSNR推定手法を提案した[1][2]が,その出力はSNRの分類であったため推定精度が分類数に依存する課題があった.本稿では,この課題の解決を目指し,回帰型CNN (CNN-R)を用いたSNR推定手法を提案し,その適応変調符号化制御への応用についてBER・スループットの観点から検討する.
本研究では、アレーアンテナの電力放射パターンからアレーを構成する素子ごとの励振位相を推定する方法を考案した。推定器としてニューラルネットワークを用い、一様振幅のもと素子ごとにランダムな励振位相を与えて大量に生成した電力放射パターンによる教師あり学習を行った。本手法の妥当性を確認するため、実際に電波暗室実験により測定した8素子リニアアレーアンテナの放射パターンを入力し、REV法で測定した位相値に近い推定値が出力されることを確認した。本提案手法は従来の励振誤差補正手法に比べ、測定回数の点で高効率な測定であることを示した。
3月18日 13:00〜15:30 Meeting 22 座長 西村寿彦(北大)
B-5-67 |
基地局連携ビームフォーミングにおける他ユーザ利用時の性能評価
○渋谷惠美・山口 明・村上隆秀・新保宏之(KDDI総合研究所)・内村颯汰・石橋功至(電通大) |
B-5-68 |
ミリ波Cell-Free massive MIMO Hybrid Beamforming におけるアナログビーム探索に関する一検討
◎神渡俊介・菅野一生・大関武雄・山崎浩輔(KDDI総合研究所) |
B-5-69 |
高周波数帯分散アンテナシステムにおけるビーム組合せ履歴に基づくビーム探索数削減法の伝送容量改善に関する検討
◎和井秀樹・岩國辰彦・新井拓人・内田大誠・北 直樹(NTT) |
B-5-70 |
高周波数帯分散アンテナシステムにおける空間リソース割当に関する一検討
○新井拓人・内田大誠・岩國辰彦・和井秀樹・北 直樹(NTT) |
B-5-71 |
ヌル空間拡張を行ったマルチユーザMIMOの分散アンテナ基地局への適用効果に関する基礎検討
○太郎丸 真(福岡大)・村田英一(京大)・岩國辰彦・内田大誠・北 直樹(NTT) |
2025年頃の第5世代移動通信システムでは高度化が進み,高速大容量化のために更なるミリ波の活用が想定される.ミリ波は直進性が強く,人や車の移動などにより通信路が遮蔽されると,無線リンク断が発生する.通信の継続性を向上させるために,遮蔽予測情報を用いた複数基地局が連携するビームフォーミング手法(PHLEX2)が提案されている.多数の端末(UE: User Equipment)が存在し,QoS等の優先度が高いUEが,既にアンテナ素子を使用している状況では,必ずしも最適なビーム設計が行えないことでの品質劣化が懸念される.本稿では,このような状況で,PHLEX2のスループットへの影響が生じるかを,計算機シミュレーションで評価した結果を報告する.
Beyond 5G に向けてCell-Free massive MIMO(CF mMIMO)が注目されている.ミリ波向けには各アクセスポイント(AP) がアナログビームを形成し,集約局(CPU) のディジタル信号処理によりマルチユーザ多重を行うハイブリッドBF 構成が効果的と考えられる.
しかしながら, 連携動作するAP が増加するにつれ, アナログビームの探索時間や処理負荷が課題になる.
本稿では全AP のアナログビーム探索回数を削減することを目的として、CF mMIMO に適した2 段階探索法を提案し,その有効性を検証する.
近年,無線通信の超大容量化の実現手法として高周波数帯分散アンテナシステムが注目されている.本システムでは各分散アンテナがビーム探索する必要があるため,分散アンテナ数に比例してビーム探索のオーバヘッドが増加する課題がある.著者らはビーム組合せ履歴に基づくビーム探索数削減法を検討してきた.本稿では,最良ビーム組合せが履歴にない位置で無線品質が劣化する課題に対し,無線品質の良いビームが選択されなかったときに全探索して無線品質を改善する方法を提案し,その特性を評価した結果を報告する.
高周波数帯分散アンテナシステムにおけるHBF(Hybrid Beam Forming)を適用する構成として、超多素子アンテナをサブアレーに分割する構成とサブアレーと同素子数のアンテナを分散配置する構成を比較し、MIMO伝送におけるストリーム間干渉の課題に対して簡易制御により特性改善できる可能性を示す。
マルチユーザMIMOでは直近時刻のパイロットシンボルによるチャネル推定により基地局アレーアンテナのウェイトを制御するが,高速移動時などはチャネル変動により干渉が増加する問題に対し,ヌル空間拡張法が提案されている.一方,基地局アレーアンテナをエリア内に分散配置し,MIMO の空間多重度を向上させる研究が行われている.本稿ではマルチユーザMIMOを行う分散アンテナ基地局へ,ヌル空間拡張を行った場合の特性を,計算機シミュレーションにより検討した結果を報告する.
休 憩(14:30 再開) 座長 奥山達樹(NTTドコモ)
B-5-72 |
量子コンピューティングによる分散アンテナネットワーク構築の一検討
○花篭慶史・高橋 領・大山貴博(パナソニックシステムネットワークス開発研)・安達文幸(東北大) |
B-5-73 |
ユーザセントリックRANに向けたユーザのmobilityを考慮したAP cluster 形成手法の検討
◎相原直紀・伊神皓生・村上隆秀・塚本 優・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-5-74 |
ユーザセントリックRANに向けた大規模Cell Free massive MIMOにおけるCPU間連携の検討
○伊神皓生・相原直紀・塚本 優・村上隆秀・新保宏之(KDDI総合研究所) |
B-5-75 |
ミリ波帯CF-mMIMOでのCPU配置が無線品質に与える影響の評価
○村上隆秀・相原直紀・伊神皓生・塚本 優・新保宏之(KDDI総合研究所) |
多数のアンテナが基地局エリア(セル)内に分散配置された分散アンテナネットワークにおいて,セル内に存在するユーザを複数のクラスタに分割し,クラスタ毎にMU-MIMOを行う分散MIMOは干渉回避や演算量削減の観点から有効である.しかしながら,従来の計算方法ではシステムが大規模化するにつれ,分散MIMO実行に必要となるスケジューリングやクラスタ生成等の組合せ最適化問題の求解が有限時間内に終了しない可能性がある.そこで,本稿では組合せ最適化を高速に求解する方法として注目されている量子コンピューティングを用いて,分散アンテナネットワーク構築に必要な組合せ最適化問題を求解する手法を提案し,リンク容量シミュレーションにより評価する.
Beyond 5Gシステムの実現に向けて,筆者らは,限られたRANリソースを用いて,UEが存在するありとあらゆる場所で高い無線品質を確保する,ユーザセントリックRANを検討している.user equipment (UE)が移動している環境に着目すると,access point (AP)-UE 間のチャネルが秒単位で変動するので,移動後も高い無線品質を維持できるように,チャネル変動に追従して,UEと信号送受信を行うAPの群であるAP clusterを形成し続ける必要がある.本稿では,チャネル変動に追従できるAP cluster形成手法を検討するため,スループットの観点から,UEの移動速度と,接続を切り替えられるAPの関係を評価した.
筆者らは,Beyond 5Gに向け, Cell-Free massive MIMO (CF-mMIMO) を用い,user equipment(UE)が存在するありとあらゆる場所で必要なユーザスループットを確保できるuser-centric radio access network(UC-RAN)を検討している.CF-mMIMOの大規模展開を考え,UEとの送受信を行うaccess point(AP)と接続され,一括して無線信号処理を行うcentral processing unit(CPU)を異なるサイトに分散配置することで,伝送路・計算機負荷を低減する手法が提案されている[1].しかしながら,CPUが分散配置される環境では,異なるCPUに接続したUE間での干渉が発生し,CPU間のエリア境界付近のUEのユーザスループットが大きく劣化する.本稿では,実際の無線アクセスシステムへの適用を想定し,伝送路・計算機の容量に制約がある場合でも,異サイトのUE間干渉を抑制し,高いユーザスループットを確保する新たなCPU間連携手法を提案する.
筆者らは,個々のユーザの通信品質をいつでもどこでも確保するユーザセントリックRANの実現に向けて,Cell-free massive MIMO(CF-mMIMO)を適用したRANを検討している.CF-mMIMOでは,多数のAPの信号をCPUに集約して処理を行っているため,RANでのCPUの配置場所によって集約の範囲が異なり,無線品質と伝送路負荷が変化する.これまでに,sub-6GHzにて,CPUを分散配置する構成が,伝送路負荷の低減と無線品質の確保に有効であることを示した.ミリ波帯を用いたCF-mMIMOでは,伝搬特性の違いやビームフォーミング(BF)の利用により,達成される無線品質の特性がsub-6GHzと異なると想定される.そこで本稿では,ミリ波帯を用いたCF-mMIMOでの,CPUの配置と無線品質の関係を把握するために計算機シミュレーションを行った結果を示す.
3月18日 13:00〜15:30 Meeting 23 座長 高橋拓海(阪大)
B-5-76 |
A Study on Impact of Multiple Antennas on Hybrid Multiple Access Scheme Employing NOMA and OMA Simultaneously Considering User Request
◎Fuga Tanaka・Hirofumi Suganuma・Fumiaki Maehara(Waseda Univ.) |
B-5-77 |
全二重リレーアシストNOMAにおける電力割当ての検討
◎廖 漢麟・宮嶋照行・杉谷栄規(茨城大) |
B-5-78 |
グラスマン多様体とテンソル分解に基づく完全ブラインドな非直交多元接続技術の検討
◎永井祐衣・石川直樹(横浜国大) |
B-5-79 |
A Study on Performance Improvement of Faster-than-Nyquist Single-carrier MIMO Signaling Considering the Effects of Colored Noise
◎Yuta Kumagai・Atsuya Nakamura・Shuhei Saito・Hirofumi Suganuma(Waseda Univ.)・Keita Kuriyama・Yu Ono・Hayato Fukuzono・Masafumi Yoshioka(NTT)・Fumiaki Maehara(Waseda Univ.) |
B-5-80 |
FFTに基づく低演算事前符号化FTNに関する一検討
◎石原拓実・杉浦慎哉(東大) |
This report investigates the impact of multiple antennas on a hybrid multiple access scheme considering the desired user traffic volume as well as channel conditions. In the proposed approach, by using both non-orthogonal multiple access (NOMA) and orthogonal multiple access (OMA) in the same bandwidth, a resource pattern combined with different user requirements is introduced to effectively meet the demands of diversified wireless services beyond 5G. Especially in this scheme, maximum ratio transmission (MRT) is applied to NOMA and OMA, considering that recent base stations (BSs) are equipped with multiple antennas. Thus, the spatial diversity gain is considered when calculating the actual throughput used for choosing the best resource pattern. The effectiveness of the proposed scheme is demonstrated through computer simulations by considering the antenna configuration under diversified user traffic for eMBB and URLLC.
下りリンク非直交多元接続(NOMA)システムにおいて,カバレッジを拡張し,さらに周波数利用効率を向上させるために全二重リレー局を用いることが有効である.本発表では,全二重リレー局を用いる下りリンクNOMAのためのユーザ電力割当法を提案する.提案する方法は,システムの停止確率を下げるのと同時に,サムレートを最大化するように電力の割り当てを行う.固定の電力割り当てを行う従来法と違い,環境に応じて適切な電力割当てが可能となる.シミュレーションにより,停止確率とサムレートの観点から提案法の有効性を報告する.
従来研究では、グラスマン多様体により構成したテンソルを用いて、大規模MIMOアップリンクにおいて多端末からの信号をチャネル係数なしで復号できることが確認されている。これを発展させ、大規模MIMOダウンリンクにおいて、ペアリング不要かつ完全ブラインドな非直交多元接続の実現可能性を検討する。本稿ではグラスマン多様体に基づく送信シンボルを設計し、テンソル分解によりシンボル推定する方式を提案する。シミュレーションの結果、提案方式により非直交シンボルの完全ブラインド検出が可能であることが確認できた。またユーザ端末数が16台のとき優れた性能を示した。これは本研究で利用したグラスマン多様体の構成法に由来すると考えられる。
Faster-than-Nyquist (FTN) signaling is a promising technique for achieving high spectral efficiencies owing to non-orthogonal transmission that compresses the symbol period, and it is more effective to combine it with multiple-input multiple-output (MIMO). This paper proposes a FTN-MIMO signaling scheme employing single-carrier with frequency-domain equalization (SC-FDE) considering the effects of colored noise. Since FTN signaling generally induces colored noise, the proposed scheme considers its impact on FDE weight generation for improved detection accuracy of FTN-MIMO signaling. The effectiveness of the proposed scheme is demonstrated in terms of bit error rate (BER) through computer simulations.
Faster-than-Nyquist (FTN) 信号伝送は、既存のナイキスト基準に基づく直交信号伝送において帯域制限時に実用上生じる周波数利用効率のロスを低減可能な技術である。本稿では、周波数選択性フェージング伝搬路におけるマルチキャリアFTN伝送を対象として、fast Fourier transformに基づく低演算量なプリコーディング方式を提案する。連接ターボ符号を用いたときのビット誤り率の数値シミュレーション結果を示し、送受信機でルートレイズドコサイン帯域制限フィルタを用いたとき、提案FTN伝送方式がナイキスト伝送よりも優れた性能を達成することを示す。
休 憩(14:30 再開) 座長 村岡一志(NEC)
B-5-81 |
パンクチャド畳込み符号用シンボル復号法向け最適パンクチャパターン導出手法
○山口歌奈子・中島昭範・野田雅樹(三菱電機) |
B-5-82 |
polar符号の凍結ビット活用によるカオス変調の復調演算量削減と特性改善の検討
○浅野敬祐・奥村 守・阿部拓実・岡本英二(名工大)・山本哲矢(パナソニック) |
B-5-83 |
連続最適化法を一方向性関数として用いる物理層セキュリティ方式
◎香月優真(横浜国大)・Giuseppe Abreu(Jacobs Univ.)・石橋功至(電通大)・石川直樹(横浜国大) |
B-5-84 |
MIMO無線通信の時変動チャネルへ追従可能な物理層暗号方式
○松本侑里香・張 裕淵・府川和彦(東工大) |
これまでパンクチャ周期で遷移するトレリス線図を用いたパンクチャド畳込み符号用シンボル復号法向けパンクチャパターン最適化を提案し、良好な特性を示すことを明らかにした。しかし、最適パターン導出には取り得る全てのパターンを探索する必要があり、符号化率の増加に伴い探索数が膨大になるという課題があった。そこで、本稿では畳込み符号の生成多項式に基づく情報/符号化ビット対応表を用いて探索数を削減する最適パンクチャパターン導出手法を提案する。
近年,安全性が盗聴者の計算能力に依存しない物理層秘匿性が注目されており,我々はその1つとして通信路符号化効果を有するカオス変調を提案している.過去の検討でカオス変調とpolar符号の連接により,高品質伝送と変調信号を含む安全性向上が実現できるシステムを提案した.しかし,カオス復調に最尤系列推定を行う必要があるため低SNR帯での特性劣化と演算量の増加が課題となっていた.そこで本稿では,polar符号の凍結ビットを活用しpolar符号語の一部を受信側で既知とすることで,凍結ビットを“誤り訂正”に加えて,“最尤系列推定の探査量削減”にも活用する多用途化手法を提案する.これにより,既存手法よりも低演算量かつ高品質伝送が実現できることを示す.
無線通信路から抽出した真性乱数により情報を秘匿する,物理層セキュリティ技術が注目を集めている.本稿では多変数の連続最適化法を一方向性関数として用いる新しいコンセプトの物理層セキュリティ方式を提案する.盗聴者有利の仮定の下で,提案方式に対して攻撃アルゴリズムを考案し,安全性を評価する.数値シミュレーションにより,提案方式の安全性が送信機や盗聴者のアンテナ本数によりどのように変化するか確認する.
無線通信では,プリアンブルや同期信号などの既知信号が暗号化できず容易に盗聴可能という問題がある.この様な盗聴を含む物理層攻撃に有効な技術として,物理層暗号方式が盛んに検討されている.本稿では,従来方式に較べ平均送信電力を低く抑えられるRandom Phase(RP)に焦点を絞り,その課題に取り組む.具体的には,RP が時不変チャネルを前提としているため,時変チャネルでは正規受信機の伝送特性が劣化する問題があった.この問題を解決するため,チャネル予測と,受信側へチャネル予測誤差の補償技術を導入し,ブロック誤り率(BLER)の大幅改善を図る.
B-5. 無線通信システムB(無線アクセスネットワーク)
3月15日 9:00〜11:45 Meeting 24 座長 丸田一輝(東工大)
B-5-85 |
LoRaWANにおけるエネルギー消費のモデル化に関する検討
○小倉大輝・山崎悟史(沼津高専)・鈴木康介(電通大) |
B-5-86 |
複数周波数チャネルを用いるパケット型インデックス変調の実機評価
◎鶴見康平・鈴木康介・蕪木碧仁・安達宏一(電通大)・田久 修(信州大)・太田真衣(福岡大)・藤井威生(電通大) |
B-5-87 |
LPWANにおける通信の周期性を活かしたリソース割り当て法
◎蕪木碧仁・安達宏一(電通大)・田久 修(信州大)・太田真衣(福岡大)・藤井威生(電通大) |
B-5-88 |
無線センサネットワークにおける隠れ端末を考慮した蔵本モデル型スケジューリング方式
◎生形 貴・成末義哲(東大)・篠原笑子(NTT)・森川博之(東大) |
B-5-89 |
Wi-SUNマルチホップネットワークの構築と伝送特性評価
◎西島隆正・野々垣魁人・山口一弘・松江英明(諏訪東京理科大)・柘植 晃(YRP研究開発推進協会) |
近年,IoT(Internet of things)の進展に伴い,省電力広域無線ネットワーク(Low Power Wide Area Network, LPWAN)が注目されている.バッテリーで駆動する端末の利用を想定してLPWANを用いたセンサネットワークを構築する場合,ノードの低消費電力化(バッテリー寿命の延長化)は重要課題の一つである.本稿ではLPWANの一種であるLoRaWANのエネルギー消費モデルを実験的に確立することを検討する.具体的には,IoTのユースケースとして地方エリアでのスマート農業に着目し,LoRaWANのチップ単体ではなくセンサノードとしてのエネルギー消費を,フィールド実験結果に基づいてモデル化する手法を提案する.得られたモデルを用いて,拡散率とペイロード長がライフタイム特性に与える影響について明らかにしている.
著者らは,LPWANの1つであるLoRaWANを対象としてパケット型インデックス変調(PLIM)を提案した.PLIMでは,各端末が情報ビット系列(PLIMビット系列)に基づきパケットを送信する周波数チャネルおよび時間スロットの組み合わせを選択し,既存のLoRaWANのパケット伝送に加えて追加でビットを送信することで,システムに大幅な変更を加えることなく伝送ビット数を増大できる.パケットを受信したゲートウェイ(GW)は使用周波数チャネルと送信時間スロットの組み合わせを検出し,送信されたPLIMビットを復調するが,GWと端末の間で生じるクロックドリフトによってGWにおいて正しく端末側の送信時間スロットを推定出来ない可能性がある.そこで筆者らは,クロックドリフトに起因する送信時間スロット誤検出を避けるための補償法を提案し,商用のLoRaWAN GWであるDragino LG01を用いた実機評価結果について報告した.しかしながら,LG01は1つの周波数チャネルしか送受信に利用できなかったため,本稿では,複数の周波数チャネルでの送受信が可能な商用GWであるLG308にPLIMの受信機能ならびにクロックドリフト補償法を実装して行った実機評価結果を報告する.
近年,低コストで数km規模の広い通信エリアを実現できる省電力広域ネットワーク(LPWAN)が多種多様なアプリケーションへ導入されてきている.温度や湿度といったセンサによって観測される特定のデータを収集する場合,LPWANのトラフィックは観測データを定期的に送信する周期的トラフィックとなる.
周期的トラフィックのLPWANでは,パケット生成周期が一致する端末間では連続的にパケット衝突が発生する.筆者らは以前,周期的トラフィックのLPWANにおけるパケット衝突を回避するため,パケット生起の周期性を活用したパケット衝突発生予測に基づく集中制御型の通信リソース割り当て法を提案し,通信品質を向上可能であることを示した.しかし,GWが上り(UL)受信と下り(DL)送信を同時に行える環境を想定していた.本稿では,より現実的な半二重通信環境下での特性を計算機シミュレーションにより評価する.
近年,無線センサネットワークにおけるスケジューリング手法に対し,蔵本モデルの応用が試みられている.蔵本モデルに基づくスケジューリング手法においては,各センサノードの送信タイミングを位相に見立て,各センサノードが他のセンサノードの位相を観測して自律的に自身の位相を更新することで,公平かつスケーラブルなスケジューリングを実現する.しかしながら,既存手法では隠れ端末が存在する場合に位相同期精度が劣化し,パケット衝突を引き起こす.そこで本稿では,蔵本モデルを用いたスケジューリング手法における隠れ端末存下での位相同期手法について述べる.
市街地などの見通しのないエリアにおいて、Wi-SUNシステムを用いてマルチホップネットワークを構成するセンサーネットワークの有効性が示されている。今回、Wi-SUNマルチホップネットワークを学内キャンパスに構築してスループット値などの伝送特性を評価した。
休 憩(10:30 再開) 座長 安達宏一(電通大)
B-5-90 |
フィザルムソルバーを用いたマルチホップネットワークの検討
○内野大地・土田 輝・武 啓二郎(三菱電機) |
B-5-91 |
ブロックチェーンを用いた無線ネットワーク共用における端末収容数平滑化のための接続コスト制御手法
○福島 健・佐々木元晴・中平俊朗・村山大輔・守山貴庸(NTT) |
B-5-92 |
映像伝送の要求条件に基づいた無線周波数帯選択に関する一検討
◎佐藤拓広・山田良太・中村 理・留場宏道・浜口泰弘(シャープ) |
B-5-93 |
映像伝送の要求条件を用いるレイヤ間連携無線リソース割当ての一検討
○山田良太・留場宏道・佐藤拓広・中村 理・浜口泰弘(シャープ) |
B-5-94 |
無線リソース割り当て方式の検討
○青木 寛・山口真司・長谷川晃朗・横山浩之(ATR) |
5Gシステムで注目されるURLLCは低遅延の担保が課題である.膨大な無線ノードの中でノード間を最短距離で繋ぐshortest path法の利用は計算量が大きく,NP困難であり,少ない計算量で低遅延化が実現可能なネットワーク構成が必要である.URLLCには信頼性の担保も必要である.ミリ波である5Gでは遮蔽物による電波遮断やノードの故障(ランダム),サイバー攻撃を考慮する必要があり,ノードから生成されたパケットは目的ノードに向けて複数の経路を経由する.パケット複製などの冗長な通信路確保が必要となる.筆者らは計算量が少なく,冗長経路の確保が可能なフィザルムソルバーを活用したネットワーク構築に着目したので発表する.
第 6 世代移動通信システムでは様々な無線通信規格の連携・統合利用が検討されており,その一形態として今後
は個人や事業者が有する自営無線基地局(BS)も含めた連携・統合利用を行っていくことが考えられる.自営BS の
連携・統合におけるID不正等のセキュリティ上の懸念や集中制御局導入によるコスト増の課題を解決するために筆者
らは高セキュアに自律分散的な制御が可能なブロックチェーンを用いたBS の共用(BRAN)に着目している.し
かしながら,BRAN にはBS 全体の利用効率が低下する課題が存在する.本稿では,各BS で参照可能なブロックチ
ェーンの台帳情報を基にBS の接続コストを制御してユーザ端末(UE)収容数を平滑化する手法を提案し,計算機
シミュレーションにより提案手法の有効性を示す.
本報告では,代表的な大容量アプリケーションである超高精細映像伝送に着目し,映像伝送の要求条件を考慮した映像スループットを用いて無線周波数帯選択することの有効性を示す.
無線通信システムは,世代が変わるにつれ大容量化が進められてきた.しかしながら,近年,無線通信で実現されるアプリケーションが多様化してきており,無線通信システムの性能指標と個々のアプリケーションの要求条件が乖離するようになっている.その結果,無線通信の大容量化がアプリケーションの実現に直接つながっていないという問題が生じている.この問題解決のため,代表的な大容量アプリケーションである超高精細映像伝送に着目し,新たな性能指標である映像スループットを考慮したレイヤ間連携制御において,ユーザ及びアプリケーション間の公平性と映像スループットを向上させるApplication Proportional Fairness (APF)による周波数帯内の無線リソース割当てを提案する.
近年,製造やインフラなど様々な分野でIoTが利用されるようになり,これらには移動を伴う機器,配置の柔軟性等のために無線化が進められており,施設内の空間に多数の無線機器が設置される状況となっている.このように,密に配置された多数の無線機器が同時に通信を試みるような状況においては,通信衝突の頻発により遅延や信頼性の保証が難しくなる.このような問題を解決するため,我々は無線リソースを各機器に適切に割り当て協調動作させるシステムの研究を進めている.本稿では無線リソースの割り当てによる通信衝突の低減,遅延増加の影響を考慮し,無線リソース割り当て技術に関する評価,検討課題について報告する.
3月15日 13:00〜17:00 Meeting 24 座長 前原文明(早大)
B-5-95 |
工場環境における無線LANマルチポイント通信の基礎評価
○水野翔真(ATR/阪工大)・近藤良久(ATR)・樫原 茂(阪工大)・横山浩之(ATR) |
B-5-96 |
単一RUを共用する複数のRANスライスの実現に関する検討
○関 裕太・牟田竜二・松川潤也・松尾英範・小杉正憲・外山隆行(パナソニック) |
B-5-97 |
通信容量と基地局コストに基づくマルチ無線エリア設計法
○中平俊朗・村山大輔・高谷 聡・河村憲一・守山貴庸(NTT) |
B-5-98 |
複数無線システムにおける端末マルチリンク間スケジューリング技術の検討
○高谷 聡・中平俊朗・村山大輔・守山貴庸(NTT) |
B-5-99 |
ミリ波ネットワークの電力効率のシミュレーションによる評価
○鈴山 卓・本多亮太・志水紀之・浅沼 努・浅野弘明(パナソニック) |
多くの産業現場で求められる安定かつ低遅延な無線通信を,標準の無線LANを拡張することで実現する技術として,マルチダイバーシティ無線LAN(MD-WLAN)の研究開発を進めている.MD-WLANでは,生産現場のロボット等の移動体(STA)に対して,安定な低遅延通信を可能とするため,複数の無線LANデバイスを同時に用いるマルチチャネル通信や,位置の異なる複数のAPが,STAから送出された無線フレームを受信するマルチポイント通信を活用する.マルチポイント通信においては,設置AP数の増加により,通信性能の向上が期待できる一方,コストの観点からはAP数を抑制することも望まれる.本稿では,生産現場における効率的なAP配置の議論を進めるために行った,工場環境におけるマルチポイント通信の基礎評価実験に関して結果を報告する.
筆者らは,多数且つ多様な通信サービスが同時に発生する状況においても通信品質要求を満たす高信頼なシステムの実現を目的に,適応型RAN (Radio Access Network)技術の研究開発を進めている[1].適応型RANでは,仮想化ソフトウェアで実現する複数のRAN スライスをサービス種別に応じて適応的に制御する.異なる複数のRANスライスを,ハードウェア実装されるRU (Radio Unit)を共用して同時運用することができれば,論理的に独立した複数のRANを少ないハードウェア設備で実現することが可能となる.本稿では,単一RUを共用する複数のRANスライシングの実現手法について述べる.
ユーザに無線ネットワークを意識させない6G/IoT時代のナチュラルな無線通信の実現に向け,電波環境や利用状況の変動に応じて先回りして動的に必要な無線エリアを提供するマルチ無線プロアクティブ制御技術(Cradio)の研究開発を進めている.その中でも筆者らは,必要な無線エリアを高いコスト効率で提供することを目指し,通信性能やコストが異なる複数の無線通信方式を組合せた無線エリア設計に着目し,Cradioの要素技術の1つとして検討中である.
本稿では,複数の無線通信方式を組合せた無線エリアを通信容量と基地局コストに基づいて効率的に設計する方法を提案し,計算機シミュレーション評価により有効性を示す.
本稿では,複数の無線システムを用いてナチュラルな通信環境を実現するため,端末の接続先基地局や通信方式が異なる状況において,端末が所要スループットを満たすことができる無線システムとアルゴリズムを検討し,計算機シミュレーション評価によりその効果を示す.
ミリ波NW で通信タイミング制御を行った場合の電力効率をシミュレーションで評価した結果を報告する.
休 憩(14:30 再開) 座長 山本高至(京大)
B-5-100 |
FDD Massive MIMOにおける転移学習に基づくCSIフィードバック法のモデルのCKA評価
◎井上真悠子・大槻知明(慶大) |
B-5-101 |
CDL チャネルにおけるオートエンコーダを用いたパイロット配置設計
○山田雄太・大槻知明(慶大) |
B-5-102 |
アンサンブル学習を用いたGNSS測位に関する一検討
○丸山周悟・葉山祐輝・衣斐信介(同志社大)・高橋拓海(阪大)・岩井誠人(同志社大) |
B-5-103 |
無線LANにおける系列化CSIを利用した物体検知に関する検討
野口知樹・◎高田圭輔・牟田 修(九大)・村上友規・大槻信也(NTT) |
B-5-104 |
深層展開を用いた独立成分分析に基づくMIMOブラインド信号分離に関するー検討
○野上泰輔・張 岐林・衣斐信介(同志社大)・高橋拓海(阪大)・岩井誠人(同志社大) |
FDD (Frequency Division Duplexing) Massive MIMO (Multiple-Input Multiple-Output) において基地局で下り通信のCSI (Channel State Information)を得るために,DTL (Deep Transfer Learning)に基づくCSIフィードバック法がある.本稿では,DTLに基づくCSIフィードバック法におけるファインチューニング前後のモデルについて,類似度の指標であるCKA (centered kernel alignment)を用いて評価した.
近年,パイロット配置に関して,離散的な特徴量選択が可能なオートエンコーダである CAE (Concrete AutoEncoder)を用いた設計法が提案され, Vehicular-A チャネルに適したパイロット配置が報告されている.しかし,従来法では CAE によるパイロット配置と一様配置に対する特性比較は行われていない.また他のチャネルモデルに適したパイロット配置は不明である.本研究では,5G 規格で規定されているCDL (Clustered Delay Line) チャネルに適したパイロット配置を CAE を用いて導出し.デコーダによる補間結果から一様配置
と比較した.その結果, CAE により導出された配置が通信路推定特性を改善できることを確認した.
全球衛星測位システムでは,測位計算において非線形連立方程式を近似法で解くため,測位結果に誤差が生じる.この問題を適切に対応するためにアンサンブル学習を適用し,測位精度の向上を図る.21地点の測定実験を行い,13地点のデータを訓練データとして,8地点をテストデータとし位置推定の評価をする.また,分類学習器を利用し,テストデータを入力したとき訓練に用いた13地点の中で最も近い位置座標を得る.分類された結果と逐次近似法により得られた測位結果を予測変数とするアンサンブル学習器から得られる結果は,既存の位置推定法である逐次近似法のみの解法と比較し,約1.3 m の測位精度の向上が確認された.
無線信号を利用した物体検知手法として, 無線LANのチャネル状態情報(CSI)を利用する方式が検討されている. この方式は, 無線局間で伝達されるCSIを特徴量として機械学習による物体検知を行うものである. 近年, spectrogram等の時系列情報を特徴量とする手法が検討されている. 本稿では, 無線LANにおいて複数の瞬時CSIを連結した系列化CSIを用いる物体検知方式を提案する. 提案方式は, 現在および過去に取得したCSIを連結することで物体の状態をチャネル状態の時間・場所的な変動として特徴づけるものである. 周波数領域サンプリングによるCSI サイズ縮小化と併用する場合の効果を示す. 屋内実機実験による提案方式の実時間物体検知特性を評価し, その有効性を示す.
一般的に,空間多重された信号の分離には,通信路状態情報をパイロット信号を用いて推定し,その状態に基づき空間フィルタリング処理を施す方策がとられる.しかし,小容量のデータパケットに長いパイロット系列を付与することは伝送効率の観点からは望ましくない.このような状況ではブラインド信号分離技術の一種である独立成分分析の適用が考えられるものの,独立成分分析 (ICA) では非ガウス性の評価が必要であり,この推定には比較的長いデータ系列を要するため,そのまま適用したとしても高い検出精度を期待できない.本稿では,深層学習の一種である深層展開をICA に適用し,比較的短いデータ系列長におけるICA の信号分離性能の改善を図る.
休 憩(16:00 再開) 座長 宮路祐一(豊橋技科大)
B-5-105 |
ソフトウェア無線機を用いたカオス符号化変調方式の無線伝送実験
◎森 祐樹・富田健哉・岡本英二(名工大) |
B-5-106 |
アナログRoFシステムにおけるハイブリッドビーム制御に基づくマルチユーザー環境での実験的検討
○髙橋雄太・山本泰義・新井拓人・白戸裕史・俊長秀紀・北 直樹(NTT) |
B-5-107 |
A-RoFを用いたミリ波帯張出アンテナにおける品質評価
○山本泰義・髙橋雄太・白戸裕史・新井拓人・俊長秀紀・北 直樹(NTT) |
B-5-108 |
EMLを用いたIFoF伝送のミリ波基地局への適用検討
○川瀬大輔・中村美琴・桂 勇男・船田知之(住友電工) |
近年第5世代移動体通信システム(5G)の普及によって,無線通信において重要な個人情報を扱う場面が増えており,通信の秘匿性強化が求められてきた.我々は,物理層秘匿性と通信路符号化効果を備え持つ電波暗号化変調を提案してきたが,計算機シミュレーション及び有線伝送実験における評価に留まっていた.そこで本稿では,ソフトウェア無線機を用いて無線伝送実験を行い,提案手法と同じ伝送効率を有するbinary phase-shift keying(BPSK)に対して,ビット誤り率が10^-4の点で約0.7 dBの利得が得られていることを示す.
超大容量化通信を実現するためには,ミリ波やテラヘルツ波等,高い周波数帯を利用する必要がある.一方で広いエリアを構築するには高密度に張出局(RRU:Remote Radio Unit)が必要となる.そのためRRUの簡易化や省電力化を推し進める必要があり,これを実現する1つの技術としてA-RoF(Analog Radio-over-Fiber)がある.広いエリアを構築する観点からビーム制御技術は必須であるが,A-RoFで張出局のビーム制御を行う場合,集約局でビーム制御を実施する技術が必要である.著者らはこれまでA-RoF環境下でのアナログビーム制御の検討を行ってきており,本稿ではビーム制御の高度化に向けて,ディジタル信号処理を含めたハイブリッドビーム制御に関する実験的検証を行った.
高周波数帯無線システムは広いエリアをカバーするために多数の無線基地局が高密度に必要になるという課題がある.そこで,A-RoFを活用して無線基地局の機能を集約局と張出局に分離するシステム構成が提案されており,高密度な設置が必要な張出局の機能削減による簡易化・低消費電力化により,エリアの拡大が容易になる.本稿では,A-RoF伝送システム試作を用いた実験評価により本システムの実用化に向けた適応検討を行う.
Intermediate Frequency over Fiber(IFoF)伝送のミリ波基地局への適用の実現には、上りの入力電力レンジ(アンテナに対して端末が近い/遠いときの入力電力の強弱差)への対応が必要になる。本稿では、はじめに無線区間でのシミュレーションを実施し、5Gミリ波使用環境での上りの入力電力レンジを見積もった。さらに、EMLを想定したIFoFシステムでの光伝送シミュレーションを実施し、上りの入力電力レンジへの対応可能性を検討した。
3月16日 15:45〜17:00 Meeting 23 座長 久保博嗣(立命館大)
B-5-109 |
水中音響ネットワークにおけるアクセス制御方式評価
○中津尚大・福井 潔(OKI) |
B-5-110 |
OFDM変調のPAPR値圧縮に関する一検討
◎梅落亮太・松江英明(諏訪東京理科大) |
B-5-111 |
周期性バースト雑音下での誤り訂正符号を用いた Adaptive Frequency Hopping 方式の伝送特性に関する一検討
◎多計琳太郎・宮本伸一(和歌山大) |
B-5-112 |
無線LAN保護のための仮想専用チャネル構築法における隣接チャネルへの媒体予約通知による伝送性能への影響評価
◎平野侑佑・宮本伸一(和歌山大) |
B-5-113 |
IEEE 802.11ax無線LANにおける高優先フレーム送信促進・保護技術
○大谷花絵・岸田 朗・アベセカラ ヒランタ・淺井裕介・鷹取泰司(NTT) |
近年,海洋資源探索や海洋エネルギー資源開発の分野で水中無人機(AUV, ROV等)の利用が注目されている.広大な海洋環境を効率良く探索するためには,複数の水中無人機でネットワークを構築し互いに通信しながら協調動作する必要がある. 本稿では,水中無人機が接続する水中音響通信ネットワークにおいて,既存のアクセス制御方式であるCSMA/CAとポーリング方式を使用して通信した場合のチャネル利用効率について評価した.
OFDM変調方式は耐マルチパスフェージング特性に優れているがPAPR特性が良好でない[1]という欠点がある。今回、その低減方法として、振幅ピーク値を圧縮する方式を検討しBER特性を評価したので報告する。
アンライセンスバンドの中でも,2.4GHz帯は電波伝搬特性およびコストの面において使い勝手の良い周波数帯である.しかし,当該帯域を利用する無線局の普及による被干渉の増大,ならびにISM機器から輻射される人工雑音の影響により,安定した伝送性能の確保は困難である.この問題に対し,周波数ホッピングを用いる無線PANでは,誤りが頻繁に発生する周波数チャネルを回避するAFH方式が実装されている.本稿では,ISM機器から発生する周期性バースト雑音環境下でのAFH方式の伝送性能の向上を目的として,FECを導入した場合の伝送特性を評価する.また,AFHで利用する各周波数チャネルでの人工雑音の発生状況に応じてFECを切り替える手法を提案し,その有効性を検討する.
不特定多数のBSS(Basic Service Set)で周波数資源を共有する無線LANでは,個々のBSSの伝送性能を保証することは不可能である.この問題に対し,これまで我々は,プライベート空間を対象として,空間内に分散配置された端末から継続的に媒体予約期間(Network Allocation Vector, NAV)を報知することで,外来者のBSS(外来BSS)の割り込みを排除する仮想専用チャネル構築法を提案した.この手法を,周波数チャネルが5MHz間隔で重複して設けられている2.4GHz帯に導入する場合,外来BSSからの割り込みを排除するためには,近接周波数を利用する外来BSSに対してもNAVを通知しなければならない.本稿では,近接周波数チャネルにおけるNAVの通知が伝送性能に及ぼす影響を評価する.
本発表ではIEEE 802.11無線LANにおいて,大容量・低遅延性が求められるトラヒック (=高優先トラヒック) 保護の為の無線アクセス制御方式を提案する.本提案はIEEE 802.11axのSpatial Reuse機能を活用し,自端末が高優先フレームを送信する場合と,他端末が送信する高優先フレームを検出した場合とでキャリアセンスの電力閾値を変更する選択的CCA閾値設定法と送信電力制御法を組み合わせ,高優先フレーム送信促進およびに干渉低減を実現する.また,計算機シミュレーションにより高優先フレームの遅延特性の評価を行い,本手法の有効性を確認した.
3月16日 13:00〜17:00 Meeting 24 座長 湯田泰明(パナソニック)
B-5-114 |
802.11ax 利用屋内環境における MIMO アンテナ配置に関する検討
○加藤豪人・Gia Khanh Tran(東工大)・片岡善行・福田航平・岸田昌巳・中出賢太郎・新居隆之(フルノシステムズ) |
B-5-115 |
指向性と受信レベルの当てはめによるVHF/UHFアンテナ方向推定方法
○永瀬文昭・栗山圭太・吉岡正文・宮城利文(NTT) |
B-5-116 |
IRSの反射パターン形成によるユーザ端末方位推定手法の一検討
◎竹澤和輝・長尾竜也・松野宏己・天野良晃(KDDI総合研究所) |
B-5-117 |
学内設置下ローカル5Gシステムにおける固有モードSU-MIMOの伝送特性評価
◎浦沢碩規・前田昇吾・山口一弘・松江英明(諏訪東京理科大) |
IEEE802規格は年々更新され, 送受信に使用できるアンテナ数は増加し続けている。実環境においてMIMOアンテナ配置を決定する場合,その性能をより効率的に利用するため,特性に応じて適切に配置・設計することが必要となる。本稿では実環境をモデリングして1by4と2by4のshort dipoleによるMIMOを使用した時のアンテナ間隔ごとの通信容量特性について考察する。
無線通信システムでは指向性アンテナ設置時には受信レベルが最大になる方向にアンテナを向けることが重要である.特に大きいサイズのアンテナを用いるVHF /UHF無線通信システムでは,回折・反射が多いため設置アンテナの方向決定には作業者の経験に頼ることが多かった.そこで,本稿では受信レベルが最大となるアンテナ方向推定方法を提案し,提案方法による推定方向の精度を評価した.
5Gより利用が開始されたミリ波帯などの高い周波数は,遮蔽により受信電力が低下し通信不可となる不感地帯が生じやすい課題がある.本対策として基地局からの電波を任意な方向に反射調整可能な反射板 (Intelligent Reflecting Surface : IRS)の研究が活発になっている.ユーザ端末 (User Equipment : UE)へ適切に反射パターンを向けるための方位推定の手法として,これまで階層的に反射パターンのビーム幅を切り替えて絞り込む手法が提案されているが,オーバーヘッドが大きい課題がある.そこで本稿では,切り替え回数を削減する,IRSの任意な反射パターン形成機能を活用したUE方位推定手法を提案し,方位推定精度について評価したため報告する.
学内にローカル5G無線基地局を設置した場合において、レイトレーシング法により求めた受信電力、遅延分散値を基に固有モード2×2 SU-MIMOシステムのリンク速度を評価したので報告する。
休 憩(14:15 再開) 座長 張 裕淵(東工大)
B-5-118 |
大規模NOMA検出のためのスパース重ね合わせ符号の拡散行列に関する一検討
○大石慎也・久米龍一・衣斐信介(同志社大)・高橋拓海(阪大)・岩井誠人(同志社大) |
B-5-119 |
ディジタルRFを用いた帯域内全二重通信のための自己干渉除去に関する一検討
○下村南夏・衣斐信介(同志社大)・高橋拓海(阪大)・岩井誠人(同志社大) |
B-5-120 |
帯域内全二重無線システムにおける送受信アンテナ間の自己干渉についての研究(その3:広帯域ホーンアンテナ間の干渉低減)
○李 可人・松村 武(NICT) |
B-5-121 |
帯域内全二重における時間領域及び周波数領域キャンセラの実機実験による除去性能評価
◎金丸紘基・宮路祐一・上原秀幸(豊橋技科大) |
B-5-122 |
帯域内全二重におけるFSK,PSKの実験による自己干渉除去性能の評価
○山本魁世・宮路祐一・上原秀幸(豊橋技科大) |
従来採用されてきた直交多元接続 (OMA)は,IoT化に伴う無線トラフィックの増加への対応が困難となっている.そこで非直交多元接続 (NOMA)が多元接続において注目されており,NOMAの1つであるスパース符号多元接続 (SCMA)は活性化率を調整することで検出性能が向上することが知られている.本検討ではスパース重ね合わせ符号 (SSC)とSCMAの構造の類似性に注目し,SSCの拡散行列に活性化率を導入し,SSC-GaBPのための符号設計法を検討する.検出性能はビット誤り率特性を用いて評価し,通常のSSCと活性化率を導入したSSCで比較を行った.活性化率が0.1や0.3のように低い値をとるとき,通常のSSCと比べ,検出性能の改善を確認した.
帯域内全二重通信の実現には自己干渉信号の除去が必要不可欠である.
この問題に対して,差動符号化原理に基づくアナログ自己干渉キャンセラが提案されている.しかし,アナログRF信号を用いた通信を行うとき,局部発振器では位相雑音の影響を受けるため,自己干渉の除去が不完全になるという問題点がある.
そこで本検討では,ランダム性位相雑音の影響を原理的に受けないディジタルRF信号 (DRF: Digital Radio Frequency) を用いて自己干渉の除去を行う方式を提案する.
しかし,DRF信号作成に関わるパルス信号生成に使われるクロック信号が理想的でない場合,波形に歪みが生じるという問題点があるため,本検討では,DRF通信におけるタイミングジッタの影響を評価した.
本稿では、送受信アンテナとして広帯域ホーンアンテナを用いた帯域内全二重(In-band Full-Duplex: IBDF)無線システムにおけるアンテナ間の自己干渉(Self-Interference: SI)と、ホーンアンテナの広面エッジに吸収体シートを被せることによる干渉低減の測定結果を報告する。
電力増幅器やミクサの非線形性によって,歪んだ自己干渉信号を除去可能な非線形キャンセラにはキャンセラを時間領域で学習する手法と,周波数領域で学習する手法がある.周波数領域の手法は時間領域の手法に対して低い計算量かつ少量の学習シンボル数で同等の除去量を達成できることがシミュレーションによって確認されている.しかし,実機実験での性能の比較が行われていない.そこで,本研究はソフトウェア無線機を用いた実機実験において,時間領域と周波数領域で学習する非線形キャンセラの性能評価を行う.
本研究ではソフトウェア無線機で構成した帯域内全二重端末で二値周波数偏位変調(Binary Frequency Shift Keying: BFSK)信号と四値位相偏移変調(Quadrature Phase Shift Keying: QPSK)信号を送受信し,OFDM信号に対して自己干渉除去量の比較を行った.その結果,BFSK信号ではOFDM信号の除去量を上回った.これは,定包絡線変調のため,電力増幅器の非線形増幅の影響が低減されたためであると考えられる.一方,QPSKでは除去量がOFDMより劣化した.これは,条件数の増大により自己干渉キャンセラの計算誤差が増大したためであると考えられる.
休 憩(15:45 再開) 座長 石原浩一(NTT)
B-5-123 |
PCS CC-CDMAシステムに対する電力割り当ての適用
◎高橋 竜・韓 承鎬(電通大) |
B-5-124 |
Toward Lightweight Resolution of Signal Collisions in Chirp Spread Spectrum Systems
○Chenglong Shao・Osamu Muta(Kyushu Univ.) |
B-5-125 |
2つのチャープ信号を用いたDS-SS初期捕捉のレイリーフェージング環境下の特性評価
◎福間 恵・中島昭範・野田雅樹(三菱電機) |
B-5-126 |
DS-SS方式におけるチップ合成を用いる周波数オフセット推定方式の一検討
○天野匡平・大橋章範・中村亮介・中島昭範・野田雅樹(三菱電機) |
B-5-127 |
チャープ拡散FSK方式における送信ダイバーシティ手法の比較
◎堀 勇太・中島昭範・野田雅樹(三菱電機) |
直接拡散CDMA方式と比べて拡散に畳み込みを用いたCDMA方式は高いスペクトル効率を達成することができる.
その一方で畳み込み拡散によってシンボル間干渉が発生し,等化時に高い演算量が必要となる.
これに対して我々は拡散の畳み込みを周期畳み込みに変更することでスペクトル効率を維持したまま,演算量の削減を可能にしたPCS CC-CDMAシステムを提案した.
本稿ではPCS CC-CDMAのBER性能の向上を目的に送信器における電力割り当て手法の提案を行う.
またシミュレーションによって電力割り当てによる性能の変化を確かめる.
Chirp spread spectrum (CSS) is a promising low-power and long-range modulation scheme used for sending data. Despite the interest, CSS systems frequently encounter CSS signal collisions when massive transmitters coexist with each other. To resolve the collisions, recent studies resort to the frequency information of CSS signals. However, they need to repeatedly and redundantly apply Fourier transform to every single symbol of collided signals. In this context, this paper proposes LiCo, a more lightweight technique to resolve CSS signal collisions. For each symbol, LiCo performs Fourier transform only once and compares the frequency data to separate collided signals.
M2M (Machine to Machine) の長距離通信において,振幅一定かつ優れた自己相関特性を持つチャープ信号を用いた直接スペクトル拡散 (DS-SS:Direct Sequence Spread Spectrum) 通信が注目されている.筆者らは,送受信機間の局部発振器の周波数ずれによって大きい周波数オフセットが存在する場合にDS-SSの拡散符号タイミング粗同期 (初期捕捉) を行う方式として,時間とともに周波数が線形増加・減少する2つのチャープ信号を用いて周波数オフセット耐性を向上する初期捕捉方式を提案した.本稿では,提案方式のレイリーフェージング環境下における特性を示す.
本発表ではDS-SS方式における周波数オフセット推定法について検討する。提案法は受信されたプリアンブル信号を逆変調し、チップ合成を行ってから周波数オフセット推定を行うことで推定精度を改善させる方式であり、本効果を計算機シミュレーションにより明らかにする。
長距離かつ高信頼な無線通信システムを志向した伝送方式として,FSK(Frequency Shift Keying) と直接スペクトル拡散(DSSS:Direct-Sequence Spread Spectrum)を組み合わせた方式に近年注目が集まっている.DSSSに対して既存のSTBC(Space-Time Block Code)を適用する場合,その符号を構成する単位に依存して変調信号のPAPR(Peak-to-Average Power Ratio) と通信路のドップラー変動への耐性との間にトレードオフの関係が存在する.本稿では,符号構成単位を拡散チップまたは変調シンボルとするSTBCと筆者らがこれまで提案してきた空間・周波数直交マッピングとを比較し,提案手法がSTBC よりも優れたトレードオフを実現可能であることを示す.
B-6. ネットワークシステム
3月15日 9:00〜11:45 Meeting 25 座長 笹部昌弘(奈良先端大)
B-6-1 |
飛行アドホックネットワークにおける飛来物回避システム
◎戸田逸平・吉田政望(立命館大)・ガジェゴス ラモネト アルベルト(徳島大)・野口 拓(立命館大) |
B-6-2 |
災害時における事前取得位置情報に基づいたUAV移動基地局の経路決定法
◎岩本怜子・三好 匠・山崎 託・シルバーストン トーマス(芝浦工大)・山本 嶺(電通大)・上田清志(日大) |
B-6-3 |
高密度UAV環境における地上ビーコンを用いた分散管理手法
◎原口隆彦(芝浦工大)・片田寛志(早大)・山崎 託・三好 匠・シルバーストン トーマス(芝浦工大)・山本 嶺(電通大)・上田清志(日大) |
B-6-4 |
無線ジオフェンスによる飛行禁止領域回避のためのUAV軌道制御手法
◎百枝和哉・三好 匠・山崎 託・シルバーストン トーマス(芝浦工大)・山本 嶺(電通大)・上田清志(日大) |
B-6-5 |
位置情報と道路情報に基づく車両ネットワーク構築手法
◎塙 大樹・三好 匠・山崎 託・シルバーストン トーマス(芝浦工大) |
近年, ドローンの小型化低価格化に伴い, 建築や物流など様々な分野への利用が広まっている. このようなドローンの利用拡大によってドローンと障害物との衝突が懸念される. 鳥類などの飛来物との衝突はドローンの落下を招き, 人命に関わる事故を引き起こす可能性がある. 本稿ではドローン群を用いて FANET (Flying Ad Hoc Networks) を構成し, ドローン間で情報共有することによって事前に回避ルートを計算できない鳥類やボールなどの飛来物を効率的に回避するシステムを提案する. ネットワーク内で飛来物の情報を共有することで, ドローンが直接検知していない飛来物に対して事前に回避し, 衝突リスクを軽減することを目的とする.
自然災害が発生し,通信インフラが遮断された場合に,地形の影響を受けない無人航空機(UAV: Unmanned aerial vehicle)による一時的な通信インフラの提供が検討されている.
従来手法では,UAVが必ず経由する地点をあらかじめ設定するため,柔軟な飛行経路が決定できない.
本稿では,災害時に事前に取得したユーザの位置情報を用いて,通信インフラを効率的に提供するためのUAV飛行経路決定手法について検討する.
UAV(Unmanned aerial vehicle)は,配送やセンシングといった様々なサービスでの利用が期待されている.将来,各種サービスが混在する高密度環境では,各UAVを管制するシステムが必要となる.本研究では,そのような高密度UAV環境において,地上に設置したビーコン装置群を用いて,自律分散する多数のUAVを分散制御する管制システムを提案している.
UAV(Unmanned aerial vehicle)による物資輸送では,事前に飛行禁止領域を避けて飛行経路を構築し,目的地まで障害物を避けて飛行することが可能である.しかし,一時的に飛行禁止領域が設定された場合,あらかじめこれを回避することは困難である.本稿では,無線ジオフェンスによる飛行禁止領域回避のためのUAV軌道制御手法を提案している.
近年,道路交通が抱える事故や渋滞などの様々な課題を解決する高度道路交通システムの一つとして,位置情報を利用した近接端末間通信が提案されている.従来手法では,自身の周辺に存在する端末とネットワークを構築する際,端末間距離として直線距離を利用するため,道路に沿った距離では遠方に存在する端末が検出される問題がある.本稿では,位置情報と道路情報に基づいた車両ネットワーク構築手法について提案している.
休 憩(10:30 再開) 座長 塚本和也(九工大)
B-6-6 |
エージェント形IoTによる単身者向けの運動支援システム
◎樊 天羽・山崎 託・三好 匠・シルバーストン トーマス(芝浦工大) |
B-6-7 |
オフィス環境におけるネットワークトラヒックに対するサービス毎の分類
◎近藤亮介・川崎慈英・藤橋卓也・猿渡俊介・渡辺 尚(阪大) |
B-6-8 |
MQTTと分散KVSを用いたスケーラブルなIoTデータ収集基盤
◎△村上輝泰・坂野遼平(工学院大) |
B-6-9 |
クラウドを活用した安全制御システムにおける応答時間短縮方式
○平田 傑・宮﨑清人・飯島昌平・橋本 茂・高橋克佳(三菱電機) |
B-6-10 |
CPSの信頼性を向上するマルチファクタ照合方式の検討
◎小野孝太郎・川上健太・桑原 健(NTT) |
少子高齢化に伴い単身世帯が増えつつある日本では,全世帯を占めるその割合が2040年には39.3%に達すると予測されている.特に昨今では.新型コロナウイルスの影響により,テレワークや在宅勤務による運動不足が大きな問題になっている.本稿では,AIoT(Agent-based internet of things)を用いて,ユーザの状態に応じて,受動的かつ継続的に運動習慣の改善を促す支援システムを提案している.
近年,B5G,6G に向けた研究開発が活発化してきており,ネットワークに接続されるのがヒトからモノへと変わってネットワークのトラヒックの傾向にも影響を与えることが予想される.本稿では,あるオフィス環境におけるネットワークトラヒックを解析して,アップロード・ダウンロードにおけるサービス毎の分類した結果を説明する.具体的には,ダウンロードで最も多かったのはソフトウェアのアップデート,アップロードで最も多かったのはストレージサービスであることを示す.
近年IoTデバイスが急速に普及している.スマートファクトリ等のIoTシステムにおいては,センサ等から大量のデータを収集し,そのデータを保管し活用する事が多々ある.これらのデータを効率良く取り出して利活用する必要がある.そうしたIoTデータの収集において,軽量な通信プロトコルとしてMQTTが広く用いられている.我々はこれまでMQTTを用いた大規模なデータ収集のためにBroker,Subscriberを複数台用いて負荷を分散させ,スループットを向上させるシステムを提案してきた.本研究では上記のシステムに分散KVSを加え大規模なデータの収集,保管が出来るシステムを提案する.
産業設備や機器 の制御にクラウドを活用する方式が研究されているが、柔軟なリソース調整が可能な一方で、公衆網の通信遅延が課題となり、適用先が限定されている。生産システムへの適用を考えると、異常検知時に現場作業者の安全を確保する安全制御で、現場設備を非常停止する動作(以降、保護動作)の最大応答時間が長いという 問題がある。これに対し本稿では、現場内 に設置するゲートウェイが保護動作を代行する方式を提案する。保護動作の必要タイミングの判断は、ゲートウェイが現場設備とクラウド間の通信内容をもとに安全制御の状態遷移を追従監視することで行う。評価では、提案方式適用時の最大応答時間は39msとなり、生産システムでの目標値70ms以内を 達成できることを確認した。
Cyber-Physical System(CPS)の信頼性向上には、物体の位置等の物理空間の正確な把握が不可欠である。本稿では、物理空間の物体が能動的に送信した情報について、高い信頼性と網羅性を有するNW設備を含めた物体以外の複数の情報源からの情報と照合し、サイバー空間への射影や分析への活用採否を判定することで、CPSの信頼性を向上させる方式を提案した。
3月15日 9:00〜11:45 Meeting 26 座長 前川智則(東芝)
B-6-11 |
L2TP網のVPNトラヒック識別方式の検討
◎井上里美・林 裕平・須藤篤史(NTT) |
B-6-12 |
Segment Routing MPLS VPN網の細粒度通信パス識別方式の実機評価
○林 裕平・井上里美・須藤篤史(NTT) |
B-6-13 |
Segment Routing MPLS VPN網の外部条件に応じた収集位置変更方式
○古田晶規・林 裕平・山田賢杜・須藤篤史(NTT) |
B-6-14 |
SDNを利用した災害発生直後のマルチドメインネットワーク制御手法
○△野崎亮也・Luis Guillen(東北大)・和泉 諭(仙台高専)・阿部 亨・水木敬明・菅沼拓夫(東北大) |
B-6-15 |
Towards a P4-based Dynamic In-Band SDN Control Channel
○Takumi Yoshida・Masahiro Shibata・Masato Tsuru(Kyushu Inst. of Tech.) |
ネットワーク上で転送されるトラヒックに対してサンプリングを行い集計・分析を行うxFlowと呼ばれる技術が存在する.筆者らは収集したフロー統計情報をフローコレクタ毎に,加工,送出するソフトウェア(以降,xFlowプロキシと呼ぶ)を開発し,トンネルヘッダ(以降,Outerと呼ぶ)単位,ユーザ側ヘッダ(以降,Innerと呼ぶ)単位でのトラヒック可視化を実現してきた.
キャリア網でVPNを構築する技術としてL2TPがある.VPNユーザから申告があった場合,当該ユーザに関するVPN単位でのトラヒック情報の運用対処が求められる.本稿では,L2TP網におけるVPNトラヒック識別方式を検討する.
本稿では,著者らが研究開発を進めている細粒度通信可視化技術の出力と,ルーティング情報,トポロジ情報の組み合わせにより,Segment Routing MPLS(以降,SR-MPLSと呼ぶ) VPN網において,VPNやアプリ毎等の細粒度通信が経由したパスを解決する方式を提案する.
複雑大規模化するSR-MPLS VPN網において,重要ユーザ申告,DDoS攻撃,OSアップデート,OTT障害等の様々なイベントに対して,当該トラヒックを重点的に監視することが求められる.本研究は,フロー統計情報を活用し,重点監視を可能とする外部条件に応じた収集位置変更方式を提案する.
東⽇本⼤震災では,通信路が破損し⾏政機能や救助活動が⼤きな影響を受けた.この問題に対して,災害発⽣直後におけるネットワークをSoftware Defined Network (SDN)を利⽤して動的に制御することで,通信を継続する⼿法が提案されている.SDNではコントローラがネットワークの全体を把握することができるため,柔軟な経路制御が可能である.しかし,実際のネットワーク環境では複数ドメインが存在し,各ドメイン内のコントローラが⾃⾝のドメインを管理する形態をとる.本研究では,複数ドメイン環境のネットワークにも対応する災害発⽣直後のネットワーク制御⼿法を提案しその基本概念について説明する.
For the decentralization and virtualization of computing resources, Software Defined Networking (SDN), which enables flexible and dynamic control of packet forwarding and processing, is an essential technology. To connect one or more controllers with a number of distributed switches in SDN, an in-band control channel is of importance. However, the traditional static schemes such as L2VLAN are insufficient for a reliable and efficient SDN control plane especially in unreliable wireless networks. Therefore, our final goal is to develop a framework for dynamic in-band control channels in which the control messages can piggyback on data packets. As the first step, we report a feasibility study of the in-band control channel using Programming Protocol Independent Packet Processors (P4), which can be implemented flexibly and vendor-independently for packet processing functions of switches.
休 憩(10:30 再開) 座長 篠原悠介(NEC)
B-6-16 |
FPGAを用いた高効率なVPNゲートウェイ実装
○加納浩輝・河野伸也・宮本克真・杉園幸司(NTT) |
B-6-17 |
VPNゲートウェイにおけるFPGA利用効率改善方式の提案
○河野伸也・加納浩輝・宮本克真・杉園幸司(NTT) |
B-6-18 |
クラウドオフローディングにおけるハンドオーバ時のデータ処理遅延低減方法
○杉園幸司・宮本克真・加納浩輝・河野伸也(NTT) |
B-6-19 |
セグメントルーチング環境における経路最適化を用いたネットワークスライシング
○猪野 潤・西辻 崇・朝香卓也(東京都立大) |
B-6-20 |
細粒度トラヒック識別制御機能の配置位置の検討
○武井勇樹・中務諭士・西口雅人(NTT) |
リモートワーク需要の高まりから,キャリアによるVPN (Virtual Private Network)接続サービスの需要が高まっており、VPNゲートウェイによるVPN接続が提供されている.
本稿では,FPGA(Field Programmable Gate Array)が搭載されたsmart NIC上にVPNゲートウェイのユーザプレーン処理をオフロードさせることにより,収容効率および電力効率の向上を実現した結果を報告する.
リモートワーク需要の高まりから,キャリアによるVPN(Virtual Private Network)接続サービスが求められており,仮想化技術を活用したVPN GW(VPN Gateway)によるVPN接続が提供されている.本稿では,VPN接続を安価かつ低消費電力に提供するために,必要時のみFPGA(Field Programmable Gate Array)を活用する,VPN GWへのFPGA組み込み方式を提案する.
VR/AR でユーザの動作をリアルタイムに仮想空間へ反映するため,モーションデータ作成から端末への結果表示までの遅延を規定値以下に保つことが要求される.
これより,画像処理など高負荷処理をクラウド内サーバに委託するクラウドオフローディング活用時,ユーザの移動に応じユーザ最寄りクラウド内のサーバに処理委
託先を変更するハンドオーバ処理が提案されている.
ユーザが認識する仮想空間が変更前後で変化しないよう,ハンドオーバ中処理を停止する必要があった.本稿では変更元/変更先の両サーバが同一処理結果を返送する制御を実施することでハンドオーバ中いずれかのサーバで処理を継続するサーバ処理遅延時間短縮方式を提案する.
セグメントルーチング環境において経路最適化を用いた新たなネットワークスライシング方式を提案する.ネットワークスライシングを実現するための方法として,従来型のQoS制御,すなわち優先制御と帯域制御を組み合わせたQoS制御方式を用いた場合,各ノードでの制御そのものが極めて複雑になるという問題があった.提案する制御方式では優先制御を用いることなく,セグメントルーチングを各スライスごとに適用し各スライスの要求QoSを満足するよう経路の最適化を行う.これにより.各ノードでの制御は極めて簡易なものでありながら,スライスごとにネットワークリソースを論理的に分割することが可能となり,各スライスの要求QoS に応じたQoS制御が実現可能となる.
近年のネットワークアプリケーションの多様化に伴い,アプリケーションを意識したネットワーキングの期待が高まっている.より高品質で付加価値を与えるネットワークサービスの提供に向けて,筆者らは市販のPE(Provider Edge)ルータとプログラマブルスイッチ)を用いた,より細かい粒度のトラヒック識別制御方式[1]を提案している.本稿ではプログラマブルSWの配置位置と引き込みタイミングについて検討する.
3月15日 13:00〜17:00 Meeting 25 座長 藤橋卓也(阪大)
B-6-21 |
端末間距離に基づく位置依存形P2Pネットワーク構築手法
◎礒田知来・三好 匠・山崎 託・シルバーストン トーマス(芝浦工大) |
B-6-22 |
ユーザの位置と向きを用いたP2Pグループ会話システム
◎網代 航・山崎 託・三好 匠・シルバーストン トーマス(芝浦工大)・朝香卓也(東京都立大) |
B-6-23 |
広域多端末RDMAデータ収集のための通信パス利用制御方式の実装評価
◎津上諒平・福井達也(NTT) |
B-6-24 |
端末サイドの転送系機能のソフトウェア化におけるディスクレスクライアント技術の適用について
○澤崎文彦・中澤 奨(NTT) |
B-6-25 |
音声サービス加入者からの信号情報を用いた通信事業者における音声収録方式
◎前田健太(NTT) |
近年,多くのモバイル機器にGPS(Global positioning system)が搭載され,位置情報を利用したサービスが増加している.また,LTE(Long term evolution)やWi-Fiなどの既存通信インフラ技術と端末の位置情報に基づきP2P(Peer-to-peer)ネットワークを構築するG-LocON(Geo-location oriented network)が提案されている.従来手法では,自端末周辺に存在するすべての端末と通信を行うため,周辺端末数が増加するにつれて端末の負荷が増大するという問題がある.本稿では,自端末の移動速度や端末間距離に基づき適応的に接続端末を選択する位置依存形P2Pネットワーク構築手法について検討する.
工事現場,店舗,イベント会場などにおいて,遠方にいる人たちとグループで会話するため,トランシーバや通話アプリケーションなどを用いることがある.しかし,グループ内のあるユーザ同士が会話をしているとき,他のユーザは別の話題で会話をすることができない.そのため,会話の終了を待つことや,一時的に別のグループを作成するなどの対応が必要となる.また,特殊なヘッドセットを用いて遠方の人との会話を支援するシステムも提案されているが,複数人でのグループ会話には対応できない.本稿では,ユーザの位置と向いている方向によって発話者が受話者を柔軟に選択できるグループ会話システムを提案している.
データセントリックコンピューティングでは広域に多数配備されるデータ発生源(データソース)から大容量のデータを収集する際にRDMA(Remote Direct Memory Access)の利用を検討している。しかし、RDMAのための広帯域・ロスレスなネットワークを全データソースに常時確保することは困難である。そこで、データの即時性要件に基づき送信タイミングを制御し、広帯域・ロスレスな通信パスをデータ送信時のみ利用することで、リアルタイム性とネットワークの効率的な利用を両立する方式を提案した。本稿では、提案方式をサーバ上に実装してその実現性を確認し、有効性を定量的に測定・評価した結果を報告する。
転送系機能のソフトウェア化は、サービスの早期提供、経済性などの面でメリットがあり、端末サイドでも今後普及していくと予想されるが、一方で課題もある。本稿はこの課題について述べるとともに、ディスクレスクライアント技術を用いた課題の解決案を提案する。
企業のDX対応が求められる昨今、顧客との音声通話を介した応対業務を可視化し、分析することで、マーケティングやCS改善につなげたいというニーズが高まっている。音声通話の分析には、収録された音声データを用いるが、音声に加え、どの社員が、いつ応対した通話なのか、といったメタデータも併せて必要となる。通信事業者が、音声データの収録をサービスとして提供する場合、構内交換機との連携が必要となる点が、運用上困難である。本論文では、顧客宅側装置からのSIP信号において、事業者側に収録を促すための信号フラグを新たに制定することで、従来よりも容易に、録音およびメタデータを取得できる方式を提案する。
休 憩(14:30 再開) 座長 菊間一宏(日大)
B-6-26 |
軽圧縮映像のネットワーク内映像処理方式に関する一検討
○北田裕之(NTT)・福留大貴(NHK)・奥山隆文・趙 笑添(NTT)・黒住正顕・西出彩花・西村 敏・西本友成(NHK) |
B-6-27 |
WebRTCとPWAによる位置依存形P2P通信システムの実装
◎今中拓哉・三好 匠・山崎 託・シルバーストン トーマス(芝浦工大) |
B-6-28 |
多段転送電話におけるリングバックトーン鳴動中のガイダンス挿入および呼継続制御方法について
◎李 祥源・筒見拓也・片山研一(NTTドコモ) |
B-6-29 |
フォーキング発信時のSIP処理負荷分散方式
○林 悠眞・大滝基之・小林眞二(NTTドコモ) |
B-6-30 |
ENUMとIP回線による防災行政放送システムの評価
◎秋本政憲・山本高大(NTT) |
映像伝送のIP 化が進み,SMPTE ST 2110のような規格が実用化されており,映像制作において装置間での映像データのやりとりに使用される.本稿では,映像伝送規格の映像配信への適用を検討し,ネットワーク内における映像処理方式を提案する.
位置情報を利用してP2P(Peer-to-peer)ネットワークを構築する手法としてG-LocON(Geo-location oriented network)が提案されている.現在のG-LocONはAndroidアプリケーションとして実装されており,特定のプラットフォームに依存してしまう問題がある.本稿では,クロスプラットフォームな位置依存形P2P通信システムの実現方式について検討している.
転送電話サービスは標準規定のオプションとして、発信元に転送事実を知らせない機能を提供しており、電話転送であることを発信元に知られないようにしてリングバックトーンを流し続ける必要がある。しかし、音声ガイダンスを流すためにリングバックトーンを一時停止して再開する場合、リングバックトーンが変わることで転送事実が知られる問題が起こりうる。そのため、リングバックトーン送出元の特定が課題である。本稿では、呼制御信号にリングバックトーン送出元情報を記録することで、送出元の特定ができる方法を提案する。
フォーキング機能は, ある番号への着信に対して複数端末を一斉に呼び出し, 最初に応答した1端末と呼接続をさせる機能である. 複数端末を一斉に呼び出す機能であるため, 特に大規模なシステムで提供するには, SIPサーバのリソースについて考慮する必要がある.
本稿では, フォーキング機能において, 着信先の複数端末を小分けグループ化して, 優先度を設定して発信するという方式により, SIPサーバのリソースを有効活用できたことを示す.
過去、地域情報の放送サービスとして、オフトーク通信方式が存在していたが、現在のIP電話の方式では同様のサービスが存在しない。ENUMとIP回線による防災行政放送システムの仕組みについて検討、評価した結果を報告する。
休 憩(16:00 再開) 座長 小島英春(阪大)
B-6-31 |
低遅延でインタラクティブなゼロレイテンシー映像・Somatic統合ネットワーク
○甲藤二郎・金井謙治・孫 鶴鳴・魏 博・勝山 裕・文 鄭(早大)・中村裕一・近藤一晃・下西 慶(京大)・小野浩司・根波健一・青木智資・片野淳一・吉岡修一(アストロデザイン)・秋田純一(金沢大)・作中 剛・小林康雄・小沢基一(アストロデザイン) |
B-6-32 |
RDMAにおける高信頼多端末データ転送方式の検討
○井上綺泉・市川潤紀・築島幸男・清水健司・西沢秀樹・高杉耕一(NTT) |
B-6-33 |
エッジルータコンフィグ投入サーバの改造容易な要求受付機能
○岩橋宏樹・西口雅人・井上寛規・金澤俊之(NTT) |
B-6-34 |
複数サーバ環境における経路変更を用いたパケット集約によるルータ負荷軽減
◎尾西杏夏・青木道宏(愛知工業大) |
近年、テレワーク、オンライン授業、監視システム、遠隔医療、遠隔ロボットなど、無線回線を介した高速通信・操作システムが重要となっている。しかし、従来の無線通信では、伝送路の遅延やサーバの処理遅延などにより、相互の情報をリアルタイムに観測できない課題があった。例えば、映像通信では、撮像・符号化・伝送に数十~数百ミリ秒の遅延が発生し、触覚デバイスを用いた通信実験では、数十ミリ~数百ミリ秒の遅延が利用者に不自然な違和感を覚えさせることが知られている。そこで本研究開発では、映像情報とSomatic情報の未来予測と統合を行い、将来的なB5G網上の低遅延伝送を想定し、数ミリ秒~ゼロレイテンシーの超低遅延伝送を実現するための技術開発を行う。
将来,VRや高精細映像によるリモート音楽ライブなど大容量,多接続,低遅延の要件設定をもつアプリケーションが増加すると予想される.その際,例えばライブを行うアーティストと大勢の観客との間で,様々なインタラクションを実現するには遠隔地に大容量のデータを伝送するだけでなく,高速かつ低遅延な計算処理が必要となる.低遅延な計算機向けのインターコネクト方式にはRDMA(Remote Direct Memory Access)の利用が検討されている.
本研究では,RDMAと光や電気の物理的パケット複製により,超大容量データの多端末同時配信を実現するための通信方式を提案する.
IPネットワークにおけるエッジルータでは,収容されるユーザ毎に設定されたコンフィグ情報に基づき,様々な制御を実施している.このコンフィグ情報は集中管理サーバによって設定される.集中管理サーバは上位からコンフィグ投入要求としてユーザの契約サービス等の情報を受信し,その内容に応じて収容エッジの選定やコンフィグ投入を実施している.運用中にコンフィグ投入要求のパラメータに変更があると,アプリケーションの改造コストが大きく,運用システムの更新による業務影響も大きいため,改造容易性が重要となる.本稿では上位システム対応部の改造容易性について検討し,柔軟にパラメータ追加可能な方式を提案・評価を行う.
センサデバイスなどの増加によるショートパケット増加により、ルータのパケット処理性能を上回る数のパケットが流入することで、輻輳の誘発が懸念される。我々はネットワークを流れるパケット数を減少させることを目的として、パケット集約/分割技術に着目した。その技術を基に、より多くのパケットを集約できる集約パスを決定するアルゴリズムを提案してきた。本稿では、シミュレーション環境をより実際のネットワーク環境に近づけるために、サーバが複数のときを想定したシミュレーションを実施し、提案方式の有効性を確認した。
3月15日 13:00〜17:00 Meeting 26 座長 西島孝通(富士通研)
B-6-35 |
複数のネットワークドメインで共用するネットワーク識別子の管理手法
○西山聡史・加納浩輝(NTT) |
B-6-36 |
VPN共用の中継NWへの流入トラフィック抑制方式の提案
○中村孝幸・鳴海貴允・大坂 健(NTT) |
B-6-37 |
5GCを起点とした異種ドメイン間を跨るE2E通信制御方式
◎渡辺眞成・渡辺裕太・藤原貴之(NTT) |
B-6-38 |
Kubernetes クラスタ内の DNS サービスディスカバリーに要する遅延の測定
◎大隅雅斗・近藤大嗣・戸出英樹(阪府大) |
B-6-39 |
仮想リソース群を用いた冗長構成の高可用アップデート手法に関する一考察
◎赤松雄貴・篠原健太・澤崎文彦・中澤 奨(NTT) |
複数のネットワークが相互接続されエンドツーエンドで品質が確保された仮想NWの構築を目的として,ネットワークスライシングの研究が盛んに行われている.ネットワークスライシングでは,異なるネットワークに配備された各ドメインオーケストレータを統合管理するドメイン間オーケストレータを設置する構成が主流だが,実際の構成では,既存のネットワーク管理や他サービスに制約を受け,相互接続に用いるネットワーク識別子をドメイン間オーケストレータにより集中管理することが困難な場合がある.本発表では,複数ドメインで共用するNW識別子を集中管理することが困難な構成において,効率的にNW識別子を管理する手法を提案する.
VPNは各拠点を収容するVPN GWと中継NW上の論理パスで構成される.各VPNでは利用者と事業者間の契約等により決まる回線帯域等をトラフィック量が超過して輻輳し得る.中継NWでは複数のVPNの品質劣化を防ぐためにトラフィック増加に応じて設備増設し,コスト増加の要因となる.中継NWのコスト削減を目的に,中継NW通過後に破棄されるトラフィックの中継NWへの流入を防ぐ,トラフィック抑制方式を検討する.
近年,あらゆる機器がネットワークに接続するようになり,装置間連携が多様化・高度化している.さらなる利便性向上の為には複数ドメインを跨るE2E通信制御の高度化が重要と著者等は考えている.本発表では固定網との連携を例に5G Core Network(5GC)に網連携用の機能を導入することによって5GCを起点としたE2E通信制御方式を提案する.また,網連携を実現するための提案方式の機能配備候補についてシーケンスの観点から比較検討を行った.
現在,エッジに分散型コンテナアプリケーションを展開し,運用・管理を自動化するKubernetesの利用が注目されている.このクラスタ内では,複数のコンテナが疎結合することでマイクロサービスを達成し,その相互通信にはクラスタ内DNSである CoreDNSが利用されている.この際のDNSサービスディスカバリー遅延時間は,CoreDNSをどのノードに配置するかに影響を受ける.本稿では,遅延削減を目的とするCoreDNSの配置問題とDNSキャッシュの有用性について検討する.具体的には,CoreDNSをクエリ送信Podに対してどのように配置するのが良いかを調査し,そして,NodeLocal DNSCache機能によるDNSキャッシュサーバの実用性を評価する.
仮想リソースの構成情報をテンプレート化して一括構築可能な技術があり、仮想環境をテンプレートに従って構築された仮想リソース群(スタック)の単位で扱うことで仮想環境の構築等を簡略化可能である。スタックを用いて冗長構成を配備、再配備することで容易に冗長化されたアプリのアップデートが可能であるが、スタックの構成によっては切り戻しが不可能という課題がある。本稿では、切り戻しを可能とする手法を提案する。
休 憩(14:30 再開) 座長 橘 拓至(福井大)
B-6-40 |
マルチパスTCPのスループット公平性に関する検討
◎出口 悠・樽谷優弥・福島行信・横平徳美(岡山大) |
B-6-41 |
TCPインキャスト回避法の性能比較
◎濱田泰誠・樽谷優弥・福島行信・横平徳美(岡山大) |
B-6-42 |
Q学習を用いた適応レート制御手法の検討
○佐野優斗・魏 博(早大)・宋 航(東大)・甲藤二郎(早大) |
B-6-43 |
IP電話網における音声品質情報収集に関する一検討
○渡邊宏介(NTT) |
B-6-44 |
アクセス区間QoS 制御に関する一考察
○藤原貴之・中務諭士・渡辺裕太(NTT) |
近年モバイル通信技術の発達により、複数のネットワークインターフェースを持った機器が普及してきた.この複数の通信経路を利用したTCP通信としてマルチパスTCPが開発されている.このマルチパスTCPを用いて、キューサイズと公平性の関係性を検討する.キューサイズと往復遅延時間を変化させて通信を行い、その結果から公平性を算出するといった実験を行った.実験結果から、キューが小さい場合は公平性が高くなるという結果が得られた.キューをおおきくしていくと、それに応じて公平性も徐々に悪化した.しかし、ある程度の大きさのキューサイズになると公平性が改善する傾向が見られた.
TCPインキャスト回避法として,FGTCP,NOBTCPが提案されているが,これまで,クライアントとサーバ間に複数のスイッチが存在する形態での性能比較はなされていなかった.そこで,クライアントリンクのスイッチのバッファサイズを大きくしたネットワークモデルでの性能比較を行う.FGTCPではバッファサイズにかかわらず,サーバ数が増加するとインキャストが発生してしまうのに対し,NOBTCPではバッファサイズが大きい場合でのみインキャストが発生する.バッファサイズが大きい場合,パケットが処理を待つ間に再送タイムアウト時間を迎えてしまい,パケットが再送されてしまうことで,同じパケットが同時に複数存在してしまう問題が発生する.
近年、モバイルデータトラフィックは急速に増え続けており、中でもビデオトラフィックが占める割合が大きくなっている。そこで本研究では、Q学習を用いた適応レート制御を行い、ユーザー側から見た映像のサービス品質を定量的に表す指標であるQoEの最大化を行うことを目的とする。Q学習による適応レート制御により、4Kを含む映像配信においても安定したパフォーマンスが得られることを数値シミュレーションにより示す。
PSTNマイグレーションにおいて事業者間ではIPによる相互接続の開始が考えられている.IP相互接続では事業者単位での接続となり,音声呼の接続パターンが複雑化することから,音声品質に関する問題が生じた場合に問題解析に時間を要することが考えられる.本稿では,音声品質課題が生じた場合の解析迅速化を目的に,品質情報の可視化手法を提案し,従来の音声品質評価手法との差分について考察する.
動画視聴の増加等に伴い,下り方向のトラヒック需要が高まっている.ネットワーク事業者はこうした需要に応えるため設備増強するものの,コストの観点から完全には対応できない.特にBE(Best Effort)トラヒックについては,輻輳抑止のため過剰な流入を止める必要がある.このような仕組みとしてQoS(Quality of Service)制御がある.本稿ではネットワークの形状とユーザ収容状況が特殊なケースにおいて発生する事象と対策方法について考察する.
休 憩(16:00 再開) 座長 木村共孝(同志社大)
B-6-45 |
クロック偏差を考慮した5G-TSNトランスレータ
○宋 家佳・滝田大介・高橋克佳(三菱電機) |
B-6-46 |
時刻同期ネットワークにおける無線ブリッジモデルの基礎評価
◎此川志穂・松永 亮・大賀正夫・武 啓二郎・野田雅樹(三菱電機) |
B-6-47 |
TSNにおけるTime-Aware Shaperを用いた準絶対優先制御の提案
◎岩澤宏紀・東 信博・益谷仁士・木津貴秀・桑原 健(NTT) |
B-6-48 |
ユーザ識別子を考慮したTASのキャリアネットワークへの適用
◎川上優平・川田秀雄・久保尊広・安原夏樹・阿部広尚・吉原慎一・吉田智暁(NTT) |
5G-TSNでは、DS-TT(Device-side TSN Translator)とNW-TT(Network-side TSN Translator)の区間の伝送遅延が非対称であるため、TSNと同様に往復伝送遅延の測定方法で時刻同期方式を使うことができず、NW-TTとDS-TTのクロック偏差の補正計算が省略されているため、時刻誤差が大きくなるという問題があった。筆者らは,5G-TSNネットワークの時刻同期精度を高めるため,NW-TTとDS-TTがそれぞれ算出した自身と5G時刻源とのクロック偏差情報を、既存の時刻同期メッセージに相乗りさせることで、間接的にNW-TTとDS-TT間のクロック偏差を算出する機能を持つトランスレータを提案した。本稿では提案方法の有効性をシミュレーションで確認する。
5Gシステムは3GPP Rel.16以降の標準化で,産業用途向けに高信頼低遅延無線通信(URLLC)や,制御通信で用いられるようなTime Sensitive Networking(TSN)をブリッジングするTSN TSCといった機能が規格化されてきており,ローカル5Gシステムを活用した工場内の産業Ethernet無線化が期待される.本稿では,3GPP Rel.16で標準化された5Gシステムを仮想TSNブリッジとして扱うアーキテクチャでの時刻同期アプリケーション収容に関する基礎検討として,無線システムにWi-Fi6と自営LTEを代用して構築した模擬仮想TSNブリッジシステムについて報告する.
CPSの実現に向けて,TSNにおけるTASを拡張し,ジッタ保証を必要とする周期通信,低遅延を必要とする優先通信の要件を満たしつつ,全体の帯域利用率を改善する準絶対優先制御方式を提案した.Linux実装の評価を行った結果,優先通信の遅延悪化を30μs程度許容することで,周期通信のジッタをTASと同程度に抑えつつ,TASの未使用帯域をBE通信で利用できることを示した.
IEEE802.1Qbv(Time-aware Shaper : TAS)を用いた遅延制御は,従来,ファクトリーオートメーション等の目的でユーザNW内に閉じて利用されていた.近年,遠隔制御やクラウド型アプリケーションの利用を目的としたリアルタイム通信を実現するため,TASの適用領域をキャリアNWへ拡張することへの期待が高まっている.本稿では,キャリアNWを介してTASを適用する際に,他ユーザのフレーム送信タイミングが乱れることに起因して発生するジッタを最小化し,遅延保証を行う手法を提案する.
3月16日 9:00〜11:45 Meeting 25 座長 眞田耕輔(三重大)
B-6-49 |
Beyond 5Gで実現する同期型CPSコンピューティング基盤 (1)システム概要
○樋口淳一・丸橋建一・鈴木 順・和田啄茉・井上高道・篠原悠介・小林 宰・三谷昌平(NEC)・杜 平・中尾彰宏(東大) |
B-6-50 |
Beyond 5Gで実現する同期型CPSコンピューティング基盤 (2)ネットワーク型OT制御システムのアーキテクチャ
◎和田啄茉・小向祥実・日高健夫・山根浩義・林 佑樹・新野竜太・樋口淳一・丸橋建一・鈴木 順(NEC) |
B-6-51 |
Beyond 5Gで実現する同期型CPSコンピューティング基盤 (3) 時空間ダイナミックフロー制御技術の提案
○井上高道・奥野健司・加藤凜太郎・合田和史・阿南信一・藤本 剛・中島健智・樋口淳一・丸橋建一(NEC) |
B-6-52 |
Beyond 5Gで実現する同期型CPSコンピューティング基盤(4) E2E QoEコントローラの提案
○篠原悠介・沢辺亜南・岩井孝法(NEC) |
B-6-53 |
エンドクラウドネットワーキング環境におけるコンピューティングノードと通信経路選択法の検討
◎植田達也・近藤大嗣・谷川陽祐・戸出英樹(阪府大) |
本稿では、B5Gと密連携してOTを対象とするリアルタイム処理が可能で、多彩なサービスを提供できるコンピューティング処理基盤を特長とするCPS(同期型CPSと定義)のシステム概要と実現に向けたアプローチを示す。
※同時に4件投稿している”Beyond 5Gで実現する同期型CPSコンピューティング基盤”の関連発表になります。
4件投稿は連続で、本件は1番目の発表を希望します。
本稿では,Beyond 5Gで実現する同期型CPSコンピューティング基盤のためのネットワーク型OT制御システムのアーキテクチャを提案する.提案手法ではソフトウェア仮想化機構を採用することで,制御やAI学習等の多様な処理をエッジとクラウドに跨って分散して適切に実行することが可能となる.また,ソフトウェアのAPIを定義することで,本制御システム上で様々な機能を自由に組み合わせて多様なサービスを提供することが実現される.
本稿では、ユーザがRATを意識せずにレガシーのRATを含めた多様なRATを併用することで、様々なユースケースに簡易に適用できる無線システムの提供を実現するための必要な技術として、時空間ダイナミックフロー制御技術を提案する。
※同時に4件投稿している”Beyond 5Gで実現する同期型CPSコンピューティング基盤”の関連発表になります。
4件投稿は連続で、本件は3番目の発表を希望します。
今後,Beyond 5Gでは,ミリ波やテラヘルツ波等の従来よりも高い周波数帯を利活用した無線通信が期待されている.高周波数帯は一般的に遮蔽に弱く,電波到達範囲も従来よりも短くなると言われており,センシティブにネットワーク品質が変動することが想定される.一方,アプリケーション視点では,実空間のコンテキストや通信品質の状況に応じて,QoEが変動する.したがって,従来よりもセンシティブかつダイナミックに変動する無線品質環境下でも安定的に高水準の QoE の提供を目指した新たな無線リソース制御技術が必要となる.
以上の背景を踏まえて,本稿では,リアルタイム,高精度,かつ,ロバストに QoE 変動を予測し,所望の QoE を安定的に達成するE2E QoEコントローラを提案する.
※同時に4件投稿している”Beyond 5Gで実現する同期型CPSコンピューティング基盤”の関連発表になります。
4件投稿は連続で、本件は4番目の発表を希望します。
多数の計算機資源が分散配置された“分散クラウド環境”など,現在及び将来において,人々の近傍のノード間を結び,低遅延・高セキュリティに相互通信するサービスの利用シーンが増加している.現在の大規模なデータセンタによるクラウドとエッジコンピューティングによるクラウド(エッジクラウド)の連携システムは今後進化し,さらに,計算能力を有している多数のエンド端末をエンドクラウドとして連携させる環境が到来すると筆者らは予測している.一方,近年IoT化が進む中,低コストでネットワークを構築できる無線マルチホップ網構成法が注目されている.そこで本研究では,エンドクラウドネットワーキング環境で無線マルチホップを適用し,適切なコンピューティングノード集合とそれらを相互連結する経路の選択法を提案する.
休 憩(10:30 再開) 座長 木村達明(阪大)
B-6-54 |
無線センサ網における複数フレームから構成される緊急データ優先伝送法の検討
◎吉富慶太・戸出英樹・谷川陽祐・近藤大嗣(阪府大) |
B-6-55 |
無線センサ網における遅延制約付パケットの優先転送を考慮したランダムアクセス型MACプロトコルの検討
◎竹本開太・谷川陽祐・戸出英樹(阪府大) |
B-6-56 |
長距離無線通信の支援と中継局からのフレーム優先送信を導入した無線LANマルチホップ伝送法の検討
◎辻浦沙季・谷川陽祐・戸出英樹(阪府大) |
B-6-57 |
LPWAを用いたセンサネットワークにおける連続送信時間制限を考慮した送信制御手法の提案
◎藤田浩介・塚田晃司(和歌山大) |
B-6-58 |
無線センサ網におけるフレーム伝送遅延を抑制するOFDMA伝送法の検討
◎小野川裕也・谷川陽祐・戸出英樹(阪府大) |
スマートファクトリー,ヘルスケアなどに用いられる無線センサ網では,機械の故障など緊急性の高いデータが発生する場合があり,このようなデータは低遅延かつ低ロス率での伝送が望まれる.本稿では,緊急データが複数のフレームから構成される状況を想定し,フレーム伝送経路上のノード間での Medium AccessControl (MAC) 連携および無線チャネルの予約に基づくチャネルの空間的かつ時間的な排他利用により緊急データを優先伝送する手法を検討する.
工場用IoTのように厳しい遅延制約内でのデータ収集や制御を要する機器も多数存在する無線センサ網環境においては,遅延を抑制しつつデータを伝送する必要がある.本稿では,IEEE 802.11無線LANなどで広く用いられているCSMA/CA (Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance) との親和性を有し,確実に遅延制約付パケットを優先転送することで遅延を抑制するMACプロトコルを提案し,その有効性を評価する.
近年,タブレット端末等の携帯端末が広く普及しており,観光地や一時的なイベント等に集まるユーザに対し公衆無線アクセス網を低い設置コストで広域に構築することが望まれている.そこで,筆者らの研究グループでは,無線LANと,IEEE 802.11af や 802.11ah に代表される,より長距離の通信が可能な無線網を連携させることで,無線LANよりもカバレッジが大きい公衆無線アクセス網を低コストで構成する手法を提案し,さらに本アクセス網の基地局と直接無線LAN通信が行えない位置に存在する端末局に対して,中継端末局を経由したマルチホップ伝送で基地局との無線LAN通信を可能にする方式が提案している.本稿では,このマルチホップ伝送を中継した端末局からのフレーム送信をマルチホップ伝送に連続して衝突を回避しつつ行う方式を提案し,無線LANチャネルの利用効率を向上させるとともに,当該中継端末局に中継処理に対するインセンティブを付与する.また,提案方式における無線LANチャネルの利用効率の向上を評価する.
近年センサネットワークの需要は高まっており,森林内や山間部のような各種インフラの整っていない地域での需要も高まっている.そのような環境下では従来の無線通信方式以外にLPWAと総称される長距離無線通信が用いられる.日本国内でLPWAを利用する際にはARIB標準規格により制限がある.中でも送信時間に関する制限では,1時間当たりの送信時間の総和や連続送信時間の制限が課されているがそのような制限を考慮した送信制御手法は行われていない.本研究ではこのようなインフラの整っていない地域でのセンサネットワークでARIB標準規格の制限を考慮した送信制御手法の提案を行う.
近年,スマートファクトリーにおけるシステム制御などの用途のように,予め決められた許容遅延以内に受信ノードまで到達させる必要のあるデータを無線センサ網を用いて伝送する必要性が増している.本稿では,このような遅延制約付フレームの低遅延伝送を実現するため,IEEE 802.11axで導入された Orthogonal Frequency-Division Multiple Access (OFDMA) 伝送を遅延制約付フレームに適用する方式を提案し,達成可能な伝送遅延およびロス率の抑制について評価する.
3月16日 9:00〜11:30 Meeting 26 座長 樽谷優弥(岡山大)
B-6-59 |
正常ホストの誤検知低減を考慮したBloom Filterを用いたキャッシュポリューション攻撃の検知
◎芦原大和(福岡大)・上山憲昭(立命館大) |
B-6-60 |
DNSルートサーバの代替としてのHandshakeの名前解決におけるレイテンシ測定
◎磯部克貴・近藤大嗣・戸出英樹(阪府大) |
B-6-61 |
ブロックチェーンNW上の隣接ノード選択手法変更影響の考察
○松浦 洋・後藤良則・佐尾英博(NTT) |
B-6-62 |
NFTによるAIモデル流通管理システム
○小林啓洋・藤田幸愛・八百健嗣(OKI) |
B-6-63 |
ドメイン内フィンガープリント攻撃に適した特徴量に関する一考察
○濱中圭吾・武政淳二・小泉佑揮・長谷川 亨(阪大) |
Web閲覧や動画配信を快適に行うため、キャッシュ配信が広く行われている.しかし悪意を持ったユーザが意図的に低人気のコンテンツに多数の要求を行うことでキャッシュの効果を低下させるCache pollution attack(CPA)の問題が指摘されている.そこで筆者らは,BloomFilter (BF)を用いたCPAホストの検知方式を提案した.しかし正常なホストも同一コンテンツを複数回,視聴する可能性があるが,提案方式では検知回数が時間とともに増加するため,いずれほとんどの正常ホストが誤検知される.そこで本稿では正常ホストの誤検知を防ぐため,検知回数を周期的にデクリメントすることを提案する.提案方式の検知能力を大幅に下げることなく,正常ホストの誤検知を減少させることを示す.
DNSルートサーバの障害の回避は,インターネットの障害を防ぐための重要な課題である.近年,DNSにブロックチェーンを応用する試みが複数報告されており,その中に,Handshakeというものがある.Handshakeでは,ルートゾーンの情報をブロックチェーンとして保持することにより非中央集権的なDNSルートサーバを実現することができる.本稿では,Handshakeが既存のルートサーバの代替に応用でき,前述の問題を解決する候補になり得る技術であると考え,Handshakeノードの主要な実装が,実際に既存のルートサーバの代替になり得る性能をもつかどうかを名前解決におけるレイテンシの測定により検証する.
我々は複数地域に跨るブロックチェーンネットワーク(NW)の各ノードの地域外隣接ノード数を少数に保つことにより、ブロックがNWのすべてのノードに行き渡るまでの時間であるブロック伝搬時間を短縮できることを示した。しかし、すでにNWに接続している各ノードの隣接ノード選択手法をすべて一度に提案隣接ノード選択手法(提案手法)に変更することは難しい。本稿ではNW上で提案手法採用ノード割合を徐々に増やしていった場合のブロック伝搬時間への影響を測定し考察を行う。
昨今AIを用いたプログラムが多く活用されているが、高性能のモデルをフルスクラッチするには多くリソースがかかる。そのため近い将来、製品価値の高いモデルの売買や流通の事例が増えていくと考えられる。本稿では、記録の真正性担保と自動契約履行に強みを持つブロックチェーン技術のNFT(Non-fungible token)を利用した、ライセンスの移動と所有権の所在の証明を実現するシステムを提案する。本システムにより、モデルの作成者とユーザー、あるいはユーザ間でライセンスの所有権の移動を行えるようになる。
TorやTLSを用いてWeb通信を暗号化してもトラフィックの特徴から、ユーザがアクセスしたWebサイトを推定するWeb Site Fingerpriting(WSF)攻撃に加えて、近年、同一Web サイト内のページを推定するドメイン内WSF攻撃が脅威となっている。本稿では、ドメイン内WSF攻撃にアクセスしたページの隠蔽手法開発を目的として、攻撃に適した特徴量を実験的に調査する。
休 憩(10:30 再開) 座長 渡部康平(長岡技科大)
B-6-64 |
複数故障に対するIP高速迂回法の評価
◎河野貴謙・樽谷優弥・福島行信・横平徳美(岡山大) |
B-6-65 |
NAT構成におけるセッション情報連携手法
◎宮本克真・加納浩輝・杉園幸司・河野伸也(NTT) |
B-6-66 |
キャリア網におけるネットワーク対称性・規則性に基づいたトラヒック情報収集方式
○三好勇樹・林 裕平・森岡千晴(NTT) |
B-6-67 |
ネットワーク装置の段階的移行方式に関する一検討
○細野浩輝・井上寛規・阿部真司・須藤篤史・新原康之(NTT) |
現在のインターネットでは,故障発生時に経路の再計算を行う.しかし,再計算に時間を要するため,高速復旧を実現する手法としてIP高速迂回法が種々提案されている.その中で多重故障を対象としたnonPDST法が提案されているが,この手法を使用したとき,迂回経路のホップ数が通常経路(故障のない状態での経路)よりどの程度増加するかということについて未検討であった.そこで,本報告ではこの検討を行った.その結果,すべての条件で,ホップ数が増加した経路の平均増加ホップ数は1~1.8ホップに収まることが分かった.
モバイル事業者のコアネットワークと接続されるゲートウェイ(GW)において,ユーザ通信に対し通信制御やQoS制御を行うことで,アクセス制限や品質保証などさまざまなサービスの提供が可能になる.本稿では,モバイル事業者でNATを実施する構成において,端末単位でパケット処理を行う手法を提案する.
キャリア網におけるセキュリティ強化・保守運用高度化のためトラヒック情報収集の重要性が高まっており,IPFIX等のヘッダ情報を収集するヘッダサンプル型xFlow技術を用いて等複数事業者を収容するキャリア網のトラヒック情報を収集する方式が存在していた.本研究では,ネットワークの対称性・規則性に基づいた経済的・効率的なトラヒック情報収集方式,及び実現アーキテクチャを提案する.
ネットワーク装置は,製品のEoL等により後継機種への移行が必要である.また装置移行は,お客様影響を考慮し,夜間帯にSO(Service Order)の投入を規制した状態で実施する.通信事業者のNW装置では設定情報であるコンフィグが1台当たり10万行以上あり,移行台数は全国数千台にもなることがある.本発表では,アクセス収容装置を配下にもつエッジルータ装置を例に移行方式を論じる.
3月16日 13:00〜17:00 Meeting 25 座長 谷川陽祐(阪府大)
B-6-68 |
秘匿化した位置情報と秘密計算を用いたOpportunistic Routing
◎小林礼尭・細沼恵里・山崎 託・三好 匠・シルバーストン トーマス(芝浦工大) |
B-6-69 |
Opportunistic Routingを用いたLPWAメッシュネットワークにおける転送待機時間の解析実験
◎小林侑太・細沼恵里・山崎 託・三好 匠・シルバーストン トーマス・新津善弘(芝浦工大) |
B-6-70 |
転送待機時間に基づくOpportunistic Routingにおけるリンク対称性の連続的な確認
◎山崎拓真・細沼恵里・山崎 託・三好 匠・シルバーストン トーマス(芝浦工大) |
B-6-71 |
アドホックネットワークにおける動的な中継端末選択を用いたブロック伝送方式
◎細沼恵里・山崎 託・三好 匠・シルバーストン トーマス(芝浦工大) |
B-6-72 |
Wi-FiとLoRaを用いた災害時アドホックネットワーク構築法
◎Bingxin QU・吉田政望(立命館大)・Alberto GALLEGOS RAMONET(徳島大)・野口 拓(立命館大) |
位置情報を用いて中継端末を動的に選択するOpportunistic routing(OR)では,各端末は位置情報を互いに通知する必要があり,位置特定などのプライバシ問題につながる.そのため,位置情報を秘匿化する手法が提案されているものの,中継端末の位置情報が漏洩する問題がある.本稿では,準同型暗号による秘密計算を用いて秘匿化した位置情報から得られる距離を用いて中継端末を選択するORを提案している.
様々な状況下でセンサ情報を収集するため,広域通信が可能なLPWA(Low power wide area)と動的な中継経路選択が可能なOR(Opportunistic routing)を用いたメッシュネットワークが提案されている.しかし,本システムでは,中継端末を選択するために待機時間を用いるが,待機時間算出に用いるパラメータの設定が難しい.また,その動的な制御も検討しているが,実環境での実現には至っていない.本稿では,パラメータの動的制御を用いたLPWA メッシュネットワークの実現に向け,パケット中継時に用いる待機時間の設定に関連する特性評価を行う.
無線通信端末のみで構築されるアドホックネットワーク向けの経路構築手法として,転送待機時間に基づき中継端末を動的に選択するOpportunistic routing(OR)が提案されている.本手法では,実環境など,片方向にしか通信ができない非対称なリンクが存在する環境において,適切にパケットが中継されない問題がある.そこで,端末間のリンクの対称性を確認し,その影響を抑制する手法が提案されているが,制御の収束性に課題がある.本稿では,収束性を考慮し,連続的にリンク対称性を確認する手法を提案している.
アドホックネットワークでは,より良い中継経路を柔軟に選択する空間的な効率化と,通信資源を効率的に利用する時間的な効率化の両立が重要となる.そこで,両手法を組み合わせ,時空間的に効率化する手法が検討されているが,理論的な解析に留まっており,プロトコルとしての挙動は十分に定義されていない.本稿では,中継端末の選択手順に着目し,両手法を組み合わせたデータ伝送方式を提案している.
大規模災害発生時,通信障害が起きる可能性が高い.本研究は,Wi-Fi及びLoRaを用いて災害時の代替通信インフラとして利用可能なアドホックネットワークの構築法を提案する.
接続するユーザの偏りにより起こるパケットの再送問題を解決するため,ロードバランシングアルゴリズムも提案する.ロードバランシングアルゴリズムの有効性を確認するため,ネットワークシミュレータNS-3を用いて評価を行った.ロードバランシングアルゴリズムを使用する場合,データパケット受信回数が減少することを確認できた.
休 憩(14:30 再開) 座長 上田清志(日大)
B-6-73 |
NTNの階層性を利用したメディアアクセス制御の基礎検討
○周 恩平(阪大)・小林 真(広島市立大)・藤橋卓也(阪大)・Alim Md. Abdul(Khulna Univ.)・猿渡俊介(阪大)・西 正博(広島市立大)・渡辺 尚(阪大) |
B-6-74 |
機械学習を活用した無線通信品質予測に関する一検討
○澁谷尚希・河村憲一・守山貴庸・鷹取泰司(NTT) |
B-6-75 |
IPv6マルチキャストによるICNの実現
◎助川拓実・松澤智史(東京理科大) |
B-6-76 |
コンテンツ指向ネットワークにおけるクラス化した人気度情報を用いた分散キャッシュ探索手法
○佐当百合野・中村俊介(佐世保高専)・古閑宏幸(北九州市大) |
B-6-77 |
Beyond 5Gにおける双方向CDN制御方式の一考察
◎山本秀樹・岩下将人(OKI) |
6Gにおける技術としてNTN(Non-Terrestrial Network)が注目されている.
本稿ではNTNにおいて低遅延・高信頼を達成するMACプロトコルを提案する.
筆者らは,機械学習を活用し,移動体向けに無線通信の品質を過去の実績データから予測する技術に取り組んでいる.本稿では,農機自動運転のユースケースにおいて,機械学習を用いた通信品質の推定結果の適用と,提案するFine Tuningによる推定手法の評価結果を報告する.
現行の通信では,IPを代表するようにホスト間での通信が行われてきた.しかし,一対他の通信が増加してきており,現在の方法ではホスト間の通信を複数のユーザに対して確立しなければならない.また,通信相手のアドレスが不明の場合,通信が不可能になってしまう.
こうした現状から,ICN(Information Centric Networking)という技術が登場した.本研究により,マルチキャストを活用してICNを実現することで現在の多様な通信に適応することができる.
次世代コンテンツ配信サービスとしてCCNが注目されている.CCNでは配送経路上のルータ(CR: Content Router)に格納されたキャッシュを取得することで,低遅延なコンテンツ配信を実現する.先行研究においてフラッディングを利用し,隣接するCR上のキャッシュを探索する分散キャッシュ探索手法を提案している.しかし,単純なフラッティングではキャッシュされている確率が高い人気のコンテンツに対して探索範囲が狭く,効率よく取得できない場合がある.そこで,本稿ではコンテンツを効率的に取得するため,コンテンツの人気度によって探索範囲を制御する手法を提案し,その有効性を明らかにする.
第5世代移動通信システム(5G)の導入を機に新たなサービス形態が次々と登場するとともに、ネットワーク需要が大幅に増加することが見込まれる。本論文では、Beyond 5GにおけるMEC上のCDNに要求される機能を考察したので報告する。
休 憩(16:00 再開) 座長 山崎 託(芝浦工大)
B-6-78 |
5Gにおける新世代暗号方式のセキュリティ評価
○横山浩之・小津 喬(ATR) |
B-6-79 |
5Gにおける適切なPQC管理運用のための研究
○栗原拓哉・オジェツンデ ババツンデ・鈴木健太・矢野一人・鈴木義規・横山浩之(ATR) |
B-6-80 |
ハニーポットと機械学習を用いたIoTトラヒックの異常検知
◎渡邉直人・山崎 託・三好 匠・シルバーストン トーマス(芝浦工大)・山本 嶺(電通大) |
B-6-81 |
総データ量の低減を指向した秘密分散法
◎辻 晋明・樽谷優弥・福島行信・横平徳美(岡山大) |
筆者らは,5Gにおけるセキュリティ技術を様々な角度で評価検証するためのテストベンチの構築に取り組んでいる.オープンソースで構成された5Gエミュレータをベースに,量子計算機による解読にも耐える,より強度の高い暗号方式をセキュリティ機能のパッケージとして構成し,5Gのセキュリティ・フレームワークに適応して,無線通信環境を想定したセキュリティ評価を行うことを目指している.
現在の公開鍵暗号方式は量子計算機が実用化された場合には解かれてしまう恐れがあるため、耐量子計算機暗号(PQC)が求められている。また、無線システムである5Gにおいても公開鍵技術は活用されており、量子計算機の実用化に備え、それらをPQCへ置き換えていく必要があるが、PQCは既存の暗号よりも鍵長が長いなどの問題がある。そこで我々はユースケース等に合わせて適切にPQCを選択することで、セキュリティと通信性能を両立する技術の確立を目指している。本稿では、研究開発の背景と開発技術の概要について紹介する。
近年,IoT(Internet of things)デバイスを狙う攻撃が増加傾向にあり,今後も手法が明らかになっていない未知の攻撃が行われることが予想される.しかし,IoTデバイスはファームウェアが十分に更新されていないものも多く,新たな脆弱性に即時的に対応することが難しい.本稿では,機械学習を用いてIoTトラヒックから動的に学習を行い,ゲートウェイにおいて未知の攻撃を含む異常なIoTトラヒックを検知する手法を提案している.
秘密情報を紛失や盗難から守るために秘密分散法が提案されている。この方法では、整数nとk (n≧k)が与えられ、シェアと呼ばれるn個のデータが次の条件を満足するように構成される。(i)秘密情報は任意のk個またはそれ以上のシェアから復元される。(ii)k個未満のシェアからは秘密情報を復元することはできない。従来法では、全シェアの総データ量は秘密情報のデータ量のn倍であったが、我々は総データ量を削減した秘密分散法を提案した。本報告では、さらにデータ量を削減した分散法を提案する。本提案法では、既存手法に比べてさらなるデータ量の削減に成功しており、最大で約47%のデータ量削減に成功している。
3月17日 13:00〜16:00 Meeting 25 座長 大石裕司(日立)
B-6-82 |
スナップショット激甚対策方式における迅速な切替え方式の提案
○三原孝太郎・佐久間美能留・戸田貴都・木村伸宏(NTT) |
B-6-83 |
仮想環境上に構築した呼制御サーバのリソースを効率化するVM配置
◎戸田貴都・木村伸宏・佐久間美能留・三原孝太郎(NTT) |
B-6-84 |
加入者収容装置における疑似線路回路の機能配備変更に関する方式検討
○佐藤教之・古屋貴行(NTT) |
B-6-85 |
5GコアによるMEC外部通信における制御手法の提案
◎熊倉 顕・前迫敬介・張 亮(ソフトバンク) |
B-6-86 |
高可用性サーバシステムと省電力サーバシステムの複合動作について
○竹下敏和・北村光芳・山口拓実・岡崎竜弥(東京工芸大) |
音声系システムは一般的に激甚対策機能を具備しているが、システムが仮想化した場合、スナップショットを活用した激甚対策方式が普及すると想定される。このスナップショット激甚方式について、罹災時の激甚局への切替え時間を短縮化する方式を提案する。具体的には従来のスナップショット激甚方式では、罹災時作業の中でVMイメージの再構築処理を実施していたため、罹災時のサービス切替えに時間を要していたが、この処理について事前に可能なものは平常時に実施しておくことで、罹災時の復旧時間をできる限り短縮化する。提案方式の評価として、罹災時の迅速なサービス切替えに優れるかわりに、設備投資やシステム実装のシンプル性においては従来方式にやや劣る。
音声通信サービスを提供する呼制御サーバは,専用ハードウェア(HW)の採用やクラスタ構成(ACT/SBY)によるサーバの二重化などにより,サービス提供の信頼性を確保している.また,昨今の汎用HW(IAサーバ)の高性能化やシステム仮想化の流行を受け,呼制御サーバに対しても汎用HWの採用および仮想化構成への移行が検討されている.
前述の状況を踏まえ,本稿では,仮想環境上に構築した呼制御サーバのリソースを効率化するVM配置方式について提案する.
加入者交換機更改の一案として、市販メタル収容装置の活用を検討した。市販メタル収容装置に採用された市販加入者回路(SLIC)では、端末(電話機/FAX/モデム類)の回路特性に起因して通話品質(音声レベル)が確保できない場合があることが実測上の既知問題として知られている。端末の許容種類を増やすために、端末側に疑似線路回路(BON:Balance Of Network)の挿入を提案し、方式検討と机上評価を示す。
近年,モバイルネットワークにおける超低遅延サービスの実現のために,UEから物理的に距離の近い場所に計算機リソースを分散配置するMECが注目されている.また,MECによる多様かつ柔軟なユーザサービス提供のために,複数拠点を跨いだサービス処理アーキテクチャが提案されている.一方,5GコアネットワークにおけるMECサーバ収容のための標準化においては,MEC同士およびMECから外部DNへの通信については検討されていない.本稿では,5GコアによるMEC外部通信における課題を考察し,MEC側に仮想的なUE・gNB機能部を設けることで,5Gコアネットワークを経由した外部DNとの通信を実現する手法を提案する.
近年,感染症の拡大を抑制するためにインターネットサービスを利用するユーザが増加している.このようなサービスを効率的に提供するためには,サーバの最適な運用が必要不可欠である.そのため,高可用性かつ省電力化を実現するサーバシステムにおける構築技術の検討は非常に重要な課題となる.そこで,特定の管理サーバを必要としない省電力サーバシステム(PSS)が報告されている.しかしながら,PSSにおけるサーバ故障の検出は,各サーバが内部においてネットワークとサービスの動作状態を確認しており,外部からの接続確認をしていない.そこで,本報告では,外部からサーバの動作状態を確認可能なリング型で構成した動的バックアップサーバシステム(DBSS)とPSSを複合動作させる方式を提案する.
休 憩(14:30 再開) 座長 井原 武(NTTドコモ)
B-6-87 |
予約システムにおけるアクセス集中による状態調査について
○山口拓実・北村光芳・竹下敏和・岡崎竜弥(東京工芸大) |
B-6-88 |
リング型動的バックアップサーバシステムの開発について
北村光芳・○岡崎竜弥・竹下敏和・山口拓実(東京工芸大) |
近年,新型コロナウイルス感染症拡大の影響により,非接触で受けられるサービスの需要が増加している.これらはインターネットサービスが中心となっており,今後の利用増加も予想される.しかし,新規サービスの開始やチケットなどの予約開始とともにアクセス集中などでサーバの処理が混雑し,サービスが提供できないなどの問題が発生している.そのため,これらの問題を最小限に抑えるために,アクセス数に応じてサーバ数を増減させるスケーリング手法が検討されている.しかしながら,根本的な解決とはならない.そこで,本報告では,サーバの処理の一部をクライアントで行い,サーバ側の負荷を軽減するシステムを提案し,従来方式との比較を行う.
AIなどディジタルテクノロジが急速に発展しており,これらを使用して生活やビジネスを変革するDXが注目されている.DXでは,ICTインフラが非常に重要となり,サーバの最適な運用が必要不可欠である.そのため,高可用性を実現するサーバシステムの構築法の検討は非常に重要となる.一般的なサーバ管理システムは特定の管理サーバが管理対象サーバを監視し,異常を検出した場合にその対処を行う.しかし,管理サーバが故障した場合には管理を継続できない.そのため,特定の管理サーバを必要としないPeer-to-Peer(P2P)方式サーバ管理システムが報告されているが,管理プログラムが複雑となる問題点を有している.本報告では,管理プログラムが比較的単純で,特定の管理サーバを必要としないリング型で構成する動的バックアップサーバシステム(DBSS)を提案する.
休 憩(15:15 再開) 座長 佐藤丈博(京大)
B-6-89 |
IOWN APNにおける3rd Party向け動的光パス制御方式
◎嶋田和貴・佐久間美能留(NTT) |
B-6-90 |
有線無線統合ネットワークに向けた高密度光アクセスネットワーク容量に関する検討
◎長峯諒太朗・植之原裕行(東工大) |
B-6-91 |
伝送品質を考慮した光パス設計手法に対する最適候補経路数の一考察
◎横井花深・越地弘順・金子康晴・松川達哉・宮村 崇(NTT) |
NTTは現在,IOWN構想の実現に向け研究開発を行っている.その中で我々は,IOWNを構成する一要素であるAPN(All Photonics Network)によるEnd to Endの光通信の実現に向け検討を行っている.
そこで本稿では,将来的なAPNの利用シーンにおいて想定される動的なパス要求に応えるための制御方式の必要性を述べた上で,制御方式を提案する.
5Gのサービス開始により,自動運転車の普及が期待されている.自動運転車において安全性を確保するために,危険を察知し周囲に情報を送りつつ停止するため,低遅延で高信頼な通信が望まれる.よって,無線通信のみならず光通信ネットワークもさらなる高速通信,低遅延が求められる.しかし,自動運転車が存在するネットワークでは,まだ詳細は明確になっていない.そこで本研究では,データ容量や処理遅延の最適化と有線無線統合ネットワークの構成明確化を目的としている.今回,自動運転車が4K動画を送信するシナリオにおいて,Passive Optical Network (PON)を導入したネットワークを構築し,データ容量と遅延の解析を行ったので報告する.
本稿では,光伝送ネットワークにおける伝送品質と伝送パラメータを考慮した光パス設計手法に対する最適な候補経路数について考察する.本方式では,光パスの経路探索時に伝送品質を満たしつつ使用波長番号の小さい経路を選択することで,光伝送ネットワークの波長利用率の向上が可能となる.このとき,候補経路数がアルゴリズムの性能や実行時間に影響を与えるため,最適な候補経路数を導出することが,方式の性能の最大化につながる.方式のシミュレーション評価により,適用トポロジに対する最適な候補経路数について考察を行う.
3月18日 9:00〜11:00 Meeting 25 座長 山口実靖(工学院大)
B-6-92 |
複数ネットワーク装置間の共通設定情報に着目した装置更改時の設定情報引き継ぎ確認効率化
○井上寛規・細野浩輝・阿部真司・須藤篤史・新原康之(NTT) |
B-6-93 |
ENUMを用いた災害時の輻輳制御に関する検討
◎飯島直之・吉吉健太郎(NTT) |
B-6-94 |
STL分解を活用したトラヒック情報送信法の情報量削減効果評価
○山田賢杜・林 裕平(NTT) |
B-6-95 |
バス型ネットワークにおける距離ベースのアドレス設定自動化方式の一検討
◎広瀬太志・柴田浩司・高橋克佳(三菱電機) |
B-6-96 |
Fast xFlow Proxyにおける統計情報パケット送出方法
○森岡千晴・林 裕平・三好勇樹・須藤篤史(NTT) |
運用中のネットワークにおける装置の更改は多くの場合,現行装置の設定情報を後継装置に引き継ぐ.引き継ぎの正常性確認後,後継装置に切り替えることでより安定した運用が可能となる.本稿では,正常に設定情報が引き継がれていることを効率的に確認する方法,について論じる.
現状,電話系の通信接続は通信事業者間をPSTN網同士で相互接続されているが,設備の老朽化に対応すべくIP相互接続に向けた検討が進められている.そのため,従来のPSTN網で実現した輻輳制御方式を元にIP相互接続後の輻輳制御方式について見直す必要がある.本稿では呼処理の輻輳の中でも事前の発生予測が困難な災害型輻輳に着目し,IP相互接続により導入されるENUMサーバ(電話番号による接続先通信事業者の宛先解決を行う機能)を用いることで,発生した際の迅速な輻輳検知ならびに規制実施/解除を目的とした輻輳制御方式を提案する.提案方式と既存方式の比較を行い,災害型輻輳への有効性を評価する.
網運用等の目的で,網内を流れる通信のトラヒック情報がルータから収集されることが一般的である.本稿では,時系列データをトレンド・季節性・残差等項に分解するSTL分解を用いて,ルータ付近で送信トラヒック情報の特徴量を抽出し,その特徴量のみを送付し受信側でトラヒック情報を復元することで,送信トラヒック情報量を削減する手法について提案する.
ビルなどにおける設備機器は、バス型ネットワークを用いて制御するものがある。このような設備機器は、通信用のアドレスをあらかじめ持っておらず、DIPスイッチなどにより手動設定することがある。そこで、親機と子機間の伝送路距離を計測することで子機を識別し、あらかじめアドレスを持っていなくても自動アドレス設定する方法がある。しかし先行技術では、分岐のあるネットワークで親機から等距離にある子機を識別する方法が示されていない。本研究では、アドレス設定時に手動要素を削減しつつ、バス型ネットワークの伝送路上で親機から等距離にある複数の子機を識別する方法を提案・検討する。
筆者らは,ネットワークからカプセル化パケットを収集してヘッダ情報を解析し,フロー単位に算出したinnerヘッダの統計情報を外部の分析装置へ統計型xFlowパケットで送出可能なFast xFlow Proxyを検討している.本稿では,本システムにおいて算出した統計情報を損失なく分析装置へ送出する方法を検討する.
休 憩(10:30 再開) 座長 沢辺亜南(NEC)
B-6-97 |
サービス要件に応じたテレメトリの送信効率化手法の評価
○鳴海貴允・岡田智広・中村孝幸(NTT) |
B-6-98 |
作業時刻の記録に関する一検討
◎青島広武(NTT) |
5Gの実現に向けて,サービス要件ごとにネットワークを提供するネットワークスライス(NWスライス)が提案されている.NWスライスの効率的な運用に向けて,コントローラ(CTL)は,ネットワーク装置(NE)からNWスライス単位にNWリソースの情報(NW情報)を収集する.片系CTLの障害時,収集したNW情報が集中し負荷が増大する問題がある.その対処策として,我々はNW情報の収集をサービス要件に応じて通知間隔や通知先を制御する技術を提案した.本稿では,そのNW情報の収集をサービス要件に応じて通知頻度・通知先を変更する提案手法における,CTL性能とCTLに滞留するテレメトリパケットの評価を行う.
工事の作業時刻情報は工事の実施結果の記録となるだけでなく、工事手順の改善に向けた分析の対象となる重要な情報である。しかし、作業を一つ行う毎に作業時刻を手入力/手書きするのは作業者の負荷が高い。そこで、音声認識技術を活用して作業時刻を記録する方法として、発声ルールと手順書の様式を定めたうえで、工事中繋いでいる電話会議の音声と手順書を入力すると作業時刻を出力する作業時刻自動記録装置を提案する。
B-7. 情報ネットワーク
3月15日 9:00〜11:30 Meeting 28 座長 平山孝弘(NICT)
B-7-1 |
NDNにおけるサービスファンクションチェイニングのファンクション配置手法
◎徳永嘉裕・中里秀則(早大) |
B-7-2 |
NDNにおける熱拡散原理を用いたフロー制御の性能確認
○相川恭兵・中里秀則(早大) |
B-7-3 |
ICN ルータにおける運用コストを考慮したキャッシュ判断方法に関する一考察
○和田一真・佐藤寧洋(阪電通大) |
B-7-4 |
情報指向ネットワークにおけるIntra-As Coを基にした水平キャッシング手法の検討
◎佐伯貴也・川原憲治(九工大) |
B-7-5 |
情報指向ネットワークにおける周辺キャッシュを意識したルーティング手法の検討
◎岡崎雅大・川原憲治(九工大) |
近年のIoTデバイスの増加による、ネットワークへの負荷の軽減のために、エッジコンピューティングに加えて、IoTサービスにおける様々な処理(ファンクション)を連携させ、ネットワークにおける負荷を軽減させるサービスファンクションチェイニング(SFC)の活用が提案されている。SFCを行う上で、ファンクションの配置と選択問題の二つの研究課題がある。そこで、本研究では配置の問題に取り組み、ファンクションをIoTネットワーク内のルータに配置し、実行するシステムにおいて、ルータの次数に着目したファンクション配置手法を提案することでSFCの効率化を図り、効率的なIoTネットワークの実現を目指している。
コンテンツ指向ネットワークの中でも名前を使ってルーティングを行うNamed Data Networking(NDN)と呼ばれる新しい通信方式が盛んに研究されている。現在、NDNにおけるフロー制御では熱拡散原理を用いた手法が提案されている。それで、これまで行われていないより複雑化した経路における拡散型フロー制御の性能確認を行う。ルータ内の未充足パケット数を数え、ルータ間の混雑度とする。それを元に転送するパケット量を制御する。今回、二つのトポロジを用意しシミュレーションの実行を行った所、二つのトポロジどちらも混雑度に合わせてパケット量の制御ができていることが確認できた。複雑化した経路における制御性能の確認ができたといえる。
ICN において、ルータ資源の有効活用が難しい点が指摘されている。トレンド予測にもとづいたキャッシュ配置やルータ間の連携による効率的なキャッシュ方式が既存研究で検討されている。しかし、ルータやネットワークにおけるオーバーヘッドを考慮すると実環境においては困難な点も多い。本稿では、低コストで十分なキャッシュ性能が得られるようなキャッシュ判断方式として、2つの方法を検討する。1つ目は、ルータのリンク数、2つ目はルータが中継したデータパケットの数である。これらはルータの内部情報であり、それらにもとづいた判断方式を検討し、そのキャッシュ性能について評価する。
情報指向ネットワーク(ICN:Information Centric Networking)では,ProducerがConsumerに提供するコンテンツを中継ルータがキャッシュすることで,コンテンツ取得に対する通信性能を向上させる.そこで本研究では,コンテンツ取得性能の向上を目的として提案されている水平キャッシング手法(Intra-As Co)の改善方針を検討する.
コンテンツ配信に適した新たなネットワークアーキテクチャとして情報指向ネットワーク(ICN: Information Centric Networking)が提案されている. ICNではルータによるキャッシングを前提とし,要求をキャッシュを持つ近傍ルータへ転送することでコンテンツ取得に関する通信コストを削減可能である.本研究では,既存の周辺キャッシュを意識したルーティング手法の問題点を示し,改善手法について検討する.
休 憩(10:30 再開) 座長 山本秀樹(OKI)
B-7-6 |
NFVによる大容量映像配信システムの高度化の提案
◎岩崎昂大・瀬林克啓・丸山 充(神奈川工科大)・小原泰弘(NTTコミュニケーションズ)・栗本 崇・漆谷重雄(NII) |
B-7-7 |
データベース定義型SDNにおける視覚的なネットワーク接続制御方法
◎田中智也・佐藤寧洋(阪電通大) |
B-7-8 |
期間公平性を考慮した複数仮想ネットワーク連携制御方式の効用関数の改良
○星合擁湖・小林正裕・西松 研(NTT) |
B-7-9 |
局所的な電力需要抑制に対応するロバストVNF割当
○浦田賢吾・中村亮太・原田薫明(NTT) |
我々は,非圧縮8K超高精細映像をNFV(Network Function Virtualization)基盤を持つクラウド内のデータセンターやクラウド・エッジに分散配置した伝送・蓄積・処理機能を自在に連携させ必要に応じた映像ワークフローを自動構成する映像処理プラットフォームの確立を目指している.
これまで,クラウドの空きリソースを用いた仮想サーバで構成した複数の映像サーバ(VM)を柔軟に組み合わせ,8K非圧縮映像の蓄積配信を実現する大容量映像配信システムの実現を目指し,VMを用いて構成した要求伝送性能3Gbpsの映像サーバを8台連携させ,24Gbpsの8K非圧縮映像の安定配信を実現した.
本稿では,大容量映像配信システムの高度化として,現状の課題と解決の方法を提案し,その実現性を検証する.
SDNネットワークにおけるコントローラへの負荷が問題となっている。負荷分散の手法として研究グループではデータベースによる集中管理を提案している。また、データベースによるネットワークの制御についてWEBブラウザの使用によりGUI環境でのネットワーク制御を検討し、端末間の通信を切断する機能を実装している。本研究ではWEBブラウザを使用するネットワーク制御において端末間の通信を接続する機能とネットワーク情報の更新を検知し、ネットワーク図を更新する機能を実装した。
筆者らは,仮想化ネットワークにおける,仮想網間のある時点での公平性ではなく,一定期間の公平性(期間公平性)を実現する網資源割当方式を提案してきた.従来技術の,需要以上の資源を割り当てる傾向と,仮想網間の資源割当の公平性低下という課題を,網資源最適割当の目的関数として用いる効用関数(需要に対する割当容量への顧客満足度を表す関数)の改良により解決できることを,シミュレーションにより示す.
本発表では,電力会社から指定された電力需要抑制量に対応するために通信ネットワーク内の消費電力量を制御した上で,不確実な再エネ発電量とトラヒック量に対してロバストなVNF割当手法を提案する.提案するVNF割当手法は,2段階ロバスト最適化と呼ばれる数理最適化手法に基づいて定式化される.シンクラサービスを想定したVFN割当の数値例を通して提案法の有効性を示す.
3月15日 13:00〜16:45 Meeting 28 座長 渡部康平(長岡技科大)
B-7-10 |
4次方程式の近似モデルに基づくTCP Hyblaと親和性のあるリアルタイムレート制御の性能評価
○内海哲史(福島大)・石井明日香(福島キヤノン)・中山 明(福島大)・ザビル サラウッディン・ムハマド・サリム(鶴岡高専) |
B-7-11 |
タイムスロット型ルーティングの提案
◎郡川智洋・高崎智香子・清水雅史・高谷直樹(NTT) |
B-7-12 |
2段リンクHBHファイル配送スケジューリングの同帯域2リンク分岐への拡張
◎△片岡秀斗・北口善明・山岡克式(東工大) |
B-7-13 |
エッジ環境向け分散 publish-prosess-subscribe システムにおける近接通知の低遅延化に関する一検討
◎松本凌太・鎌田十三郎・Patrick Finnerty・太田 能(神戸大) |
B-7-14 |
共有ボトルネックリンクを考慮したDASHのセグメント長選択手法の改善
◎沼上翔貴・宮田純子(芝浦工大) |
衛星ネットワークは、広域性があり、地上の災害の影響を受けにくい。衛星ネットワークにおいても、高性能に機能する輻輳制御アルゴリズムとして、TCP Hyblaがある。本稿では、先行研究で提案されているTCP Hyblaの指数方程式によるスループット解析モデルを、4次方程式によるモデルに数学的に近似する。また、その4 次方程式による近似モデルに基づいて、スループット公平性の観点からTCP Hyblaと親和性のあるリアルタイムレート制御アルゴリズム(TFRC: TCP Friendly Rate Control) であるTFRC Quartic-Hyblaを提案し、その性能を評価する。
移動ノードネットワークにおいて外部環境の変化を考慮した効率的なルーティングを行うために、各移動ノードの送受信機や内部ストレージ容量等の仕様情報、各移動ノードの軌道情報、及び天候等の外部環境情報を入力情報として将来のタイムスロット毎のルーティング情報を生成、各移動ノードに設定するタイムスロット型のルーティング方式を提案する
2段リンクHBHファイル配送システムにおける,延べサービス時間低減スケジューリングに関して,準最適アルゴリズムが提案されている.
本研究では,最下層が複数ノードへ分岐する形態を,分流型モデルと定義し,適用領域の拡張に取り組む.そこで,分岐なしでの既存準最適アルゴリズムに,分岐された複数ノードからのリクエスト,リンク帯域比を考慮した重みを追加拡張した,準最適アルゴリズムを提案する.さらに,リンク帯域をパラメータとして変化させた計算機実験を行い,提案手法の準最適性,および,従来アルゴリズムとの延べサービス時間低減性能の比較をもって,提案手法による向上性能を,定量的に示す.
収集データを分析し通知をおこなう仕組みとして publish-process-subscribe が提案されている.
我々は近くのクライアントへのより低遅延な通知を実現すべく分散publish-process-subscribeシステムを
提案してきた.一つのトピックを複数サーバにスプールすることで,publisher 付近のサーバでの
処理と周辺 subscriber への低遅延伝達を可能にする.
本研究では,publisher が topic 毎に別サーバを利用できるように制約の緩和をすることによる効率化と,高頻度・近接通知の低遅延化を目的とし遅延に対する重み付けを行なった.
遅延モデルの改善により近接 publisher/subscriber 間の通知のさらなる低遅延化が確認された.
動画配信サービスが普及し,多くの人が利用するようになった.ゆえに,共有するリンクがボトルネックとなり,QoEが低下してしまう.そこで,DASHを利用することによって画質を動的に選択することでQoEを向上させることができる.既存研究では,画質選択に加え,クライアントのスループットの変動を計算することでセグメント長を動的に選択し,QoEを向上させた.しかし,再生開始時のセグメントはスループットの変動が適切に計算されず,不適切なセグメント長の選択によりQoEが低下してしまっていた.本研究は,事前に計測可能なボトルネックリンクの帯域幅と接続人数を用いた再生開始時のセグメント長選択と,スループットの変動の導出法の変更により,QoEの向上を図る手法を提案する.
休 憩(14:30 再開) 座長 末田欣子(明星大)
B-7-15 |
Ethereum技術を適用した自律分散無線アクセス共用網の検討
◎服部智哉・川原憲治(九工大) |
B-7-16 |
複数地点Crowdsensingにおけるポイゾニング攻撃法
◎藤本 凜(福岡大)・上山憲昭(立命館大) |
B-7-17 |
Bitcoin における送信ブロック数に基づく双方向隣接ノード選択方式
○森田 光・山崎憲一(芝浦工大) |
B-7-18 |
情報指向型センサネットワークにおけるデバイス認証方式の実装と評価
◎田家隆文・長岡英進・吉井優輝・水野 修(工学院大) |
近年,移動型端末の普及により無線LANアクセスポイント(AP)における通信量が増加しており,APの稠密設置が予想される.そこで管理者の異なるAP群に対して端末の契約/所属状態によらず接続を可能とするBitcoinベースのブロックチェーン技術を用いた自律分散無線アクセス共用システムが提案されている.本研究ではEthereum技術を適用することで他ノードの情報を保持し,迅速にAPが自律的に端末の認証や,端末の接続切替を行う手法の検討を行う.
多数のモバイル機器から報告されたデータから真の測定値を推定するクラウドセンシングの利用が拡大している.しかし,不特定多数のユーザからデータを収集する性質上,誤差の大きなデータが送信されることで推定値が歪むデータポイゾニング攻撃の問題が指摘されている.データポイゾニング攻撃に対して,ユーザの信頼度を重みとした測定値の加重和を推定値に用いる CRH(Conflict Resolution on Heterogeneous data) 法が提案されている.またCRH法に対し,攻撃者が推定誤差を最大化するよう,各攻撃者の測定報告値を設定する方式 DPA(Data poisoning attack) が提案されている.これらは,複数の地点に対するデータポイゾニング攻撃は考慮されていない.そこで本研究では,複数地点に存在するユーザから収集したデータに対して,地点ごとに真値を推測するCrowdsensing におけるデータポイゾニング攻撃を想定し,攻撃者が攻撃効果を最大化するよう各地点に配置する攻撃ユーザ数を設計する方式を考察する.また,考察した攻撃者の配置方式が,推定値の誤差に与える影響を分析する.
Bitcoinのブロックチェーンにおいてトランザクション承認のスループット短縮のため,ブロック伝播時間を短縮する必要があり,ノード同士がより早いブロック伝播が可能になるよう隣接ノードを選択する必要がある.先行研究にOutboundコネクションの隣接ノードをブロックの伝播回数を用いて更新する研究がある.しかし,コネクションにはInbound,Outboundの2種類が存在し改善の余地が残る.そこで本研究では新たにInboundコネクションの隣接ノードの更新方式を考案し,先行研究と組み合わせた方式を提案する.シミュレーション実験を行いブロック伝播時間の短縮を確認した.
複数の IoT サービスを実現するセンサネットワークとして,情報指向型ネットワーク( ICN ) を適用した情報指向型センサネットワーク ( ICSN ) を提案している.しかし,ネットワーク内に故意に無効なコンテンツや異常な値を示すデータを送信する敵対者が存在している場合に,サービス提供者側がそのデータを取得することや,クラスタヘッドにキャッシュされることが考えられる.そこで本報告では,ICSN にデバイス認証方式を適用し,ホスト端末上の仮想環境で Cefore を用いて実装と評価を行った.その結果,ICSN における新規デバイスの認証動作を確認し,認証における計算負荷の割合が成功した場合と拒否された場合で 1 : 2 であることを示した.
休 憩(15:45 再開) 座長 パン ジェニー(早大)
B-7-19 |
非常時通話のための複数拠点による二段階回線留保制御の検討
◎有井陽一朗・馬場健一(工学院大)・山岡克式(東工大) |
B-7-20 |
Multi-site information exchange by mobile nodes without the communication infrastructure
○Moemi Fukuda・Masahiro Shibata・Masato Tsuru(Kyushu Inst. of Tech.) |
B-7-21 |
多次元意見形成におけるユーザ間相互作用の部分空間構成法
◎△平倉直樹・会田雅樹(東京都立大) |
B-7-22 |
避難者数の差異を考慮したコンテンツ優先制御による避難者情報共有システムの提案
◎仁平涼大・小林亜樹(工学院大) |
非常時には、加入者電話,VoIP や携帯電話など含め、膨大な通話要求により、網内に輻輳が生じる.その輻輳対策として,電話網の回線の一部を確保し,優先制御を行う回線留保制御が提案され,その有効性が示されている.さらに,被災地内の通話と被災地外からの通話は,情報の質や重要度が異なるため,それらの差異を考慮した受付制御が提案されている.しかし,既存研究では被災地周辺の拠点の1か所のみで制御を行うことを想定しているため,被災地内呼や被災地外呼など個別に扱う制御が難しくなる.そこで、通話の種類を被災地内外と優先通話、一般通話による4 種類に区別し,被災地外に設けた制御拠点で呼制御を行うことにより4つの通話を制御する.本稿ではまず,被災地内外の呼損割合の制御を行うため,被災地外、被災地内の2拠点を利用した二段階回線留保制御を提案する.
When a large-scale disaster happens, the communication infrastructure may not work properly in the disaster areas. Our study focuses on how to share a large amount of distributed information, e.g., safety confirmation among multiple evacuation centers, with Store-carry-forward by vehicles equipped with Wi-Fi and large-sized storage is used to bring data as mobile agent. We report a preliminary result on vehicular routes and their meeting points.
近年,オンラインソーシャルネットワーク上のユーザが対立する意見を持った集団に分断される分極化が社会的な問題となっている.
分極化の発生メカニズムを解明するために意見形成モデルが提案されているが,複数の意見を扱う多次元意見形成において高次元の状態空間で発生するいわゆる「次元の呪い」についての考慮がされていない.
また,ユーザが相互作用する話題があらかじめ決められており,変化することの無い静的なモデルに限定されている.
本稿では,単語分散表現を利用したユーザ間相互作用の部分空間構成法を構築し,先行研究での問題を回避可能であり,各時点での話題で相互作用する動的なモデルを提案する.
大規模災害時の劣悪な通信環境において,断続的な通信などの劣悪な通信環境に耐えることができるDTN通信のような情報通信が必要である.その中で,
「コンテンツ優先制御による効果的な被災情報共有システムの提案」という研究がある.この研究では,各ノードの滞在者数の差異を考慮しておらず,これが情報を届けると言う目的にどのように影響するかが明らかではなかった.筆者らが行う研究では,各ノードの滞在者数に差異がある状況を考慮し,投稿されたコンテンツをより多くの避難者が読むことができる手法を提案する.
3月16日 9:15〜10:15 Meeting 28 座長 波戸邦夫(インターネットマルチフィード)
B-7-23 |
ベイズ最適化に基づく障害データ生成の検討
◎池内光希・松田康太郎(NTT)・松井知子(統計数理研) |
B-7-24 |
複数アプリケーションが混在したネットワークにおける機械学習を用いたトラヒック予測手法の提案
○山田友輝・小杉友哉・竹下絵莉奈・森田章弘・吉原慎一(NTT) |
B-7-25 |
要求条件の変化によるトラヒック変動に対応する時系列トラヒック予測
○竹下絵莉奈・山田友輝・小杉友哉・森田章弘・吉原慎一・吉田智焼(NTT) |
B-7-26 |
複数のログパーサーによるパーシング結果を活用したログ異常検知
◎森田喜恵・田尻兼悟(NTT) |
近年,機械学習に基づく障害対応に注目が集まっている.高精度な機械学習モデルを構築するには十分な量の障害データを確保する必要がある.そこで意図的に障害を挿入しシステム挙動を観測する枠組みであるカオスエンジニアリングの概念に基づき,障害データを人工的に生成する方法が議論されてきた.しかし,システムがとり得る状態数や発生しうる障害種類数は膨大であるため,既存技術が仮定するような障害の網羅的挿入は現実的でなく,ランダム挿入も非効率的である.本発表では,ベイズ最適化に基づき障害挿入実験を最適化することで,機械学習モデルの精度向上の意味でデータ取得価値が高いと思われる障害を効率的に挿入する手法を提案し,Kubernetes 環境においてその有効性を検証する.
複数のユーザを収容するキャリアネットワークにおける設備コスト抑制の一つの手段として、Supervised-VAEを活用した機械学習によるトラヒック予測が有効である。しかし、様々な特性のアプリが混在するネットワークでは、高い予測精度を得られない。本稿では、予測精度を高める方法として、従来の利用上限帯域の入力情報に加えて、アプリ毎に異なる設定値を追加することを提案する。特性の異なる2つのアプリを対象にトラヒック予測を行い、提案手法は従来手法よりも誤差を小さく抑えられることが示された。これは、各アプリの特性を捉え、予測精度向上を実現しているといえる。
ユーザの要求条件の変更によるトラヒック変動と経時変化に対応する時系列トラヒック予測手法を提案する.提案手法は要求条件だけでなく過去のトラヒックを考慮した特徴量を採用することで,従来の時系列予測モデルよりも高精度に変動に対応できることを確認した.
ICTシステム、大規模分散システムなどでソフトウェアから得られるログは、それらの実行時の情報が記録されており、実行時の状態や動作などを確認することができる重要なデータである。ログ取得後のログ解析は、ログパーサーによるログのパーシング、機械学習などでのデータの傾向探索を得るログマイニングの2工程が主となる。従来パーシングは一種のログパーサーによって行われるが、使用するログパーサーでパーシングしきれない部分がある場合、その部分の影響でログマイニングの精度が下がることもある。この課題を解決するため、本研究では複数のログパーサーによるパーシングの結果を用いて、ログマイニングタスクの一種であるログ異常検知を精度よく実行できるパーシング方法の決定の仕方について提案する。
B-8. コミュニケーションシステム
3月15日 9:00〜11:45 Meeting 29 座長 Kitsuwan Nattapong(電通大)
B-8-1 |
APNにおけるユーザ要求起点のEtE光パス接続先切替シーケンス
○妹尾由美子・金子 慎・柴田直剛・金井拓也・可児淳一・吉田智暁(NTT) |
B-8-2 |
IOWN APNにおける低遅延性を保証するリアルタイム品質制御に関する一検討
○王 寛・浅香航太・島田達也・吉田智暁(NTT) |
B-8-3 |
All-Photonics NetworkにおけるAMCC信号を用いた運用中End-End光パスの管理制御に関する検討
○金井拓也・金子 慎・原 一貴・可児淳一・吉田智暁(NTT) |
B-8-4 |
AMCC信号の電気重畳と光重畳による信号品質の影響に関する分析
○田中康就・金井拓也・陳 明晨・進藤隆彦・原 一貴・中村浩崇・可児淳一・佐野公一・吉田智暁(NTT) |
B-8-5 |
All-Photonics Networkにおける分散補償ファイバと適応等化フィルタを用いた受信信号処理による分散補償範囲の拡大
◎内山 仁・胡間 遼・原 一貴・可児淳一・吉田智暁(NTT) |
APN内で送信されたユーザ要求を契機として、EtE光パスの接続先を切り替えるシーケンスを提案し、システム検証によりそのフィージビリティを確認した。