デジタルスパイクマップの結合系である，結合デジタルスパイクマップの基本動作を考察する．

複数の結合されていない振動子に共通の雑音を加えることで位相が揃う現象を雑音誘起位相同期と呼ぶ。先行研究では雑音同期を自然環境に応用することを目指して、環境ノイズをFitzHugh-Nagumoモデルに印加するシミュレーションを行ったが、実機実験は行っていない。本研究では、環境ノイズとして自然界に存在する環境音に着目し、ファン・デル・ポール回路で実験を行なった。複数のマイクで環境音を録音し、それぞれの信号を回路に印加する場合、マイクの位置によって、録音信号には差異が生じる。録音信号同士にどの程度相関がある場合に位相同期が達成されるのか、実機実験を行い検討する。

我々は、van der Pol発振器をインダクタで梯子状や環状などに結合したシステムにおいて、隣接した発振器間の位相状態を同相同期から逆相同期、または逆相同期から同相同期へと切り替えながら伝搬し続ける波のような現象である位相反転波を発見した。この現象がいくつも組み合わさったものである位相反転波動を、良く似た現象である過渡状態でのみ観測可能な位相波などとの性質的な違い，波の安定性などについて論ずることは，未だ十分にできていないと言える。そこで、本研究では、van der Pol発振器を梯子状に結合した系の、位相反転波動が存在する状態において、わずかな初期値の差異がどのようになるか、観測及び調査を行う。

COVID-19の世界的な流行によって，感染症の数理モデルが注目を集めており，流行の解析や予測，制御などに応用されている．潜伏期間などの影響により，感染状況が報道されるまでの時間遅れが存在し，その情報に応じて人々が行動変容を行う感染症のダイナミクスでは，感染者数に自励振動が生じる．この振動のピーク値は，医療体制へ影響を与えることになる．本報告では，この感染症ダイナミクスに，感染状況のデータ取得に要する「処理遅延」を考慮した遅延フィードバック制御を適用し，感染者数の振動が抑制できるパラメータ領域に，処理遅延の有無が与える影響を調査した．その結果，処理遅延が存在する場合に，より領域が小さくなることを確認した．

ニューロンの単純なモデルとして知られる積分発火型発振回路において，ノイズ誘起同期が報告されている．しかしながら，外部から加えるノイズは，同期を促すトリガとして作用する一方，確率的に同期を妨げる場合も起こりうる．そこで，ロバストなノイズ誘起同期を目的とし，本研究では後者の影響を抑制する回路を試作し，先行研究の回路に組み込んだ実験を行った．本研究では，位相同期の判定基準として，発火直後の大きな瞬時値の変化に着目し，時間軸上で隣接する二つの発火の時間差が発振周期の0.1%未満にある場合に位相同期が起こっているとみなした結果，不感帯回路の有効性は確認できた．

双方向コンバータのマクロな変換特性を表すモデルとして，時変変圧器が用いられている．時変変圧器の時変2ポート回路としての性質を利用することで，テブナン等価回路にて表される電源を異なるテブナン等価回路に写像する場合，時変変圧器が非線形2ポート回路として動作することで出力特性の変換が実現されることについて述べる．加えて，この変換は非線形2ポート特性であるものの，変換の特徴として線形変圧器と線形ジャイレータのペアが存在し，線形変圧器と線形ジャイレータに対応した2個の動作点が存在することを明らかにする．

人工ニューラルネットワークに基づく機械学習手法の1つであるリザバーコンピューティング(RC)は, 物理実装に適する. 物理実装されたRCにおける課題に, RCの故障検出が挙げられる. 故障があることを検出できれば, 故障したままRCの再学習が可能で自己修復が可能となる. 自己修復の実現のために, まず故障を検出することを目的とする. 本報告では単方向結合双安定系をRCとし, 校正モードにおいてRCの状態の変化が検出できるか否かを検討した. その結果, 外部入力に対する系の振動の周波数が変化することを用いて, 校正モードを実現できる可能性があることを示した.

リザバーコンピューティング (以下RC) は, 結合振動子の物理現象を利用することで, 高速, 省電力な情報処理の実現が期待される. RCは入力信号に対する過渡応答を利用して情報処理を行うことから, 結合振動子の処理能力について動力学的な観点からの解明が不可欠である. 本報告では, アトラクタ近傍の吸引領域特性に基づいた過渡特性の定量化を行い, 非線形振動子の分岐特性に関連づけて結合振動子の解の振る舞いを考察した. その結果, 分岐点近傍の吸引領域の変化によって, 結合振動子での状態遷移が発生しうることを示した.

リザバーコンピューティング(RC)は,時系列情報処理に適した機械学習の一つである.近年,リザバー部のハードウェア化が検討されているが,一般にRCに適した力学構造は未だ明らかではない.したがって,学習を達成したRCのリザバー部が持つ力学的特徴を明らかにすることにより,リザバー部の構成決定に示唆を得ようとするものである.本報告では,RCにおいてリザバー部が示す力学的特徴を求める手法を検討する.まず状態のばらつきを定量化する手順を示し,次にその手法を適用した結果を考察する.その結果より,並進誤差がリザバー部を評価する指標となる可能性があることを示す.

カオスニューラルネットワークリザバー(CNNR)の時系列予測タスクによる性能やダイナミクスの評価は行われているが，時系列分類や認識に対する詳細な評価は行われていない．そこで本稿では，その第一歩として，離散単語認識におけるCNNRのパラメータの影響を詳細に評価を行った．その結果，CNNRは小規模でも高い性能を示し，またパラメータkが認識性能に大きな影響を与えることが分かった．

ニュー ラ ル ネット ワ ー ク(NN)の 学 習 を 効 果 的に行うことを目的として、過剰適合を抑制する Dropout(Drop)、内部の共変量シフトを抑制させ学 習効率を高める Batch Normalization (BN) が提案さ れている。本稿では CNN を対象として、Drop と BN の効果の検証を試みた。

ニューラルネットによる顔画像の加齢予測を目指していたが，顔の向きによりばらつきが生じる問題が発生した. これを解決するため顔の向きの変換を試みる. 顔 の向きを変換させる手法には，敵対的生成ネットワー ク (GAN) による方法が提案されている. 本研究では GAN よりも単純な手法を用いて顔の向きを変換させ，生成画像の精度向上を目指す.

教師あり学習では入力データに所望ラベルを付与しなければならない．また，精度の高い出力をするためには大量のデータが必要になる．そこで本研究では，少数のラベル付きデータのみでデータのラベル推定を行う手法を提案する．提案手法はSVMの分離超平面を移動させ，分類結果をフィッシャー評価基準を基にした新たなクラスター評価基準で評価する．実験から，先行研究で提案されている手法と比較して，提案手法が一部のデータセットにおいて有効であることを示した．

A method of GAN that is realized with a convex learner is proposed.
We shall briefly state the motivation behind our proposal and show the steps to attain our framework.

ニューラルネットを用いて時系列を学習する方法の一つにリカレントニューラルネットワーク(RNN)が存在する．しかし，学習が複雑である，時間がかかるなどの問題が存在する．この問題を解決する方法として，リザバーコンピューティング(RC)が存在する．RCでは，リザバー層と出力層をつなぐ結合重みのみを学習させる．これにより，学習の実装が容易になる，学習時間を短縮できるなどのメリットが生まれる．また，その応用であるカオスニューラルネットワークリザバー(CNNR)が既に提案されている．
本稿では，カオス時系列予測タスクにおける通常のRCとCNNRの性能を比較し，どちらが本タスクに適しているか調査する．

我々は既に，Izhikevich ニューロンモデルがRegular Spikingを呈する際の正弦波入力に対する応答を調査している．その結果，周期応答と準周期応答が発生することを報告した．我々の脳には，興奮性ニューロンと抑制性ニューロンが存在する．抑制性ニューロンは，IzhikevichニューロンモデルのFast Spiking (FS) ニューロンとして再現可能である．そこで本稿では，抑制性ニューロンの一つであるFSニューロンの周期入力に対する応答を調査したので報告する．

人間同士のコミュニケーションは，時間変化する人と人の関係を一定時間ごとにグラフで表したテンポラルネットワークで表現できる．ある時刻までに観測されたテンポラルネットワークから将来発生する頂点間の辺を予測する問題はリンク予測問題と呼ばれ，様々な研究が行われている．本稿では，ネットワーク中の頂点の中心性を測るサブグラフ中心性がリンク予測に有効であるかどうかを調査した結果を報告する．

脳の情報伝達は複数のニューロンがスパイクを介することによって行われ，最近の研究では，興奮性シナプス後電位(EPSP)の分布は対数正規分布(ロングテール)を持つことが知られている．その分布のうち，シナプス結合強度が強いものはスモールワールドネットワークを構成し，一方弱いものはランダムネットワークを構成する．この分布のうち，スモールワールドネットワークの再結合確率が小さいものがリキッドステートマシンの性能向上に貢献することが明らかになった．また，脳の仕組みで，ロングテール性と二重トポロジーが大きな役割を果たしている．本研究ではスモールワールド性が0.20のとき予測精度が最も高かったという結果になった．　　　　　

概日リズムの乱れは健康状態や精神状態に問題を引き起こすことが知られており，乱れの程度を推定することは医学的にも病状の理解をするにあたって重要である．本研究では，個々の領野間神経相互作用が反映される機能的結合の分析を試みた．機能的結合は，昼と夜でどの領野間の同期度に差異が生まれるのかを推定出来る．実験方法は，脳波を8箇所の電極から測定，位相同期指標であるPhase Lag Indexを用いることで，被験者の昼と夜における脳波の特徴を抽出し，分析を行った．その結果，δ，θ帯域において，機能的結合が昼に増加，夜に減少が見られた．β帯域においては，機能的結合が夜に増加，昼に減少が見られた．

近年，複雑ネットワーク理論の観点から力学系の解を解析する手法がいくつか提案されている．その一つが Xu ら によって提案されたものである．この手法は力学系が示す様々な解を分類できる可能性が示唆されている．この手法は非対称リカレンスプロットを用いるが変換後のネット ワーク解析では無向ネットワークとして解析を行っている ため，解の幾何学的構造を正確にとらえられていない可能性を孕んでいる．そこで，本研究では，対称なリカレンスプロット作成手法を導入することを提案し，これにより力学系の解分類が可能かを検討したのでその結果を報告する．

バイナリーニューラルネットに関する2つの目的関数を導入し，2目的最適化を考える．

基本セルオートマトン (ECA) は時間, 状態, 空間が離散的な力学系であり, 単純なルールに従って様々な時空間パターンを呈する. 工学的応用として, 音声データ記述, 画像処理, 音楽生成などが挙げられる. 本論文では, Wolfram Tonesを参考とした音楽合成への基礎固めを行う.

目的関数の微分情報を使用しない最適化問題の近似解法の一つである粒子群最適化法（PSO）[1] による多層ニューラルネットワーク（MNN）のパラメータの学習を試みる。

Search Performance of Stochastic Particle Swarm Optimization Networks with Stochastic Connection

近年，新型肺炎などのウイルスが各国に拡散しており，これらのウイルスの拡散抑制が求められている．ウイルスの拡散を防ぐ手法として種々の免疫配置手法が提案されている．これらの中でランダムウォーク配置手法は，接続状態の動的な変化を考慮しない静的なネットワークに対してのみ評価がなされていた．そこで本稿では，動的な接続変化を考慮したネットワークに対して，ランダムウォーク免疫配置手法を適用した際の感染の抑制効果を調査した．数値実験より，動的なネットワークにおいて免疫配置は感染の抑制に効果的である結果となることを確認した．その理由として，ネットワーク構造の違いが感染の抑制に影響すると考えられる．

時系列を複雑ネットワークに変換して解析する手法の1つにVisibility Graph (VG)法がある．従来のVG法では，その多くがデータの時間間隔が一定である時系列に対して適用されている．しかし，実世界のデータの多くは，時間間隔が一定ではないマーク付点過程として観測される．即ち，VG法のマーク付点過程への適用可能性を検討することも重要である．そこで本稿では，VG法をマーク付点過程に適用する際，時間間隔情報をどのようにネットワークに反映すべきかについて検討した結果を報告する．

近年colexificationに基づく感情分類の研究が注目を集めている．
colexificationとは単一の単語が複数の概念を意味する現象である．
ある言語において，colexificationを呈する複数の概念は意味が類似する傾向にある．
このような観点から，概念を頂点，2つの概念からcolexificationを呈する言語の数を枝の重みとした重み付きネットワークを用いることで，概念間の類似性に基づいて言語の特徴を調べる研究が行われている．
先行研究では，このような colexificationネットワーク上でのランダムウォークを適用した際の，任意の頂点ペア間におけるnステップ後の遷移確率を求めることで， 感情を表す概念間の類似性を調査している．
しかし，先行研究ではn=5までの場合しか考慮されていない．
そこで本稿では，ステップ数nを増やした際の，ネットワークの構造の変化について調査した結果を報告する.

本稿では，人の指先から計測した脈波の時系列データを遅延座標系に変換する際，再構成パラメータを網羅的に変化させ，再構成アトラクタ上の2点間距離分布のエントロピーを計算した．その結果，時間遅れτが小さい範囲では，エントロピーが比較的小さい値を取り，時間遅れτが大きい範囲では，エントロピーが比較的大きい値を取ることがわかった．

バイクシェアリングシステム (BSS) で生じる自転車の過不足台数を調整するために，我々は複数の自転車回収車を用いた自転車再配置問題の提案とその問題に対する発見的解法の開発に取り組んでいる．その際，ランダムにポートを配置したオリジナルの問題例を用いて，性能評価を行ったが，実際のBSS における再配置作業の効率的な戦略を提案するためには，実際のポート配置や利用履歴情報を組み込むことが重要となる．そこで我々は，BSSの実際の利用履歴データを点過程と捉えることで解析を行い，平日と週末の利用パターンに差がないことなどを明らかにした．実際のBSS では， 様々なユーザ属性が利用履歴と併せて記録されている. そこで本稿では，ユーザ属性の中でも特に定期所有情報に着目することで利用履歴を解析した結果を報告する.

近年、強化学習の一つである多腕バンディット問題に対して光ダイナミクスを用いて解くという光意思決定の研究が盛んである。多数の選択肢における多腕バンディット問題を解く手法として、戻り光を有する多モード半導体レーザのモード競合ダイナミクスを光注入により制御する意思決定手法が数値計算により提案されている。しかしながら、実験的な達成は未だ報告されていない。そこで本研究では、意思決定のために光注入によるモード制御を実験的に達成することを目的とする。その結果、戻り光を有する多モード半導体レーザへの光注入により、カオス的な競合ダイナミクスから1つの縦モードの発振へと制御できることが明らかとなった。

近年，小規模コンピューティングにおいて処理能力向上のために外部アクセラレータが重要となる．そこで，光を用いたアクセラレータとして半導体レーザネットワークを用いた多腕バンディット問題を解決する意思決定を提案する．半導体レーザネットワークでは遅延カオスが生じる．この遅延カオス同期の先行振動する半導体レーザに着目し，半導体レーザとスロットマシンを対応することでスロットマシンを選択する．また，得られた報酬を半導体レーザネットワークの結合強度にフィードバックすることで意思決定を行う．本研究では，まず，単一プレーヤの場合に対する意思決定を達成し，さらに複数人で行う協力的な意思決定も達成した．

生物の様々な歩容は中枢神経系のCentral Pattern Generator (CPG)によって生み出されているといわれている.本研究ではエルゴード的順序回路 CPGモデルを用いて生物模倣6脚ロボットの基本的な歩容を実現するための制御信号を発生することを目的とする.

アリやクモのような多脚の生き物，あるいは蛇や魚のような無脚の生き物は，リズミカルなパターンで動かされる屈筋と伸筋によって歩く，這う，泳ぐといった様々な種類の歩行運動を行うことができる．このようなリズムパターンは，中枢神経系のCentral Pattern Generator (CPG) によって生成されると考えられている．先行研究では，エルゴ－ド的順序回路CPGによる簡易な脚の構造を持つ4脚ロボットの歩行動作が確認された．本研究では，エルゴ－ド的順序回路CPGを用いた屈筋と伸筋に対応するサーボモータを持つ4脚ロボットの歩行動作の実現に取り組む．

我々の研究グループでは脳の情報処理機構モデルであるLiquid State Machineを応用した脳型無線センサネットワークを提案しており，本稿では温度分布推定における有効性を検証する．様々な温度分布におけるパルス送信状態を訓練データとして与え，セル毎の温度を推定できるようランダムフォレスト回帰による学習を行った．学習で与えた温度分布に対して推定誤差平均4.02度以下で予測ができており，脳型無線センサネットワークがリザバとしての十分な分離特性を有することを示した．また，学習時とは異なる温度分布に対しては，推定誤差平均13.37，推定誤差10度以下の割合は4%で予測が可能であることを確認した．

マルチレート環境において，ユーザの協力行動をもとに，システムスループットを最大化させるAP接続法が提案されている．ユーザの協力行動とは，新規ユーザが，APに接続する際にシステムスループットを向上させるために移動することである．しかし，新規ユーザが複数到着した場合，移動する場所はユーザ同士の干渉度合いに依存するにも関わらず，既存研究ではユーザ同士の干渉が考慮されていない．また，他の問題点としてシステムスループットを最大化させるユーザの最適位置も複数存在する場合がある．そこで，本研究ではユーザの最適位置をただ1つ求めることができるポテンシャルゲームのモデルを用いて，ユーザ同士の干渉を考慮したシステムスループットを最大化させるAP接続法を提案する．

DASH(Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)ストリーミング通信において、QoE(Quality of Experience)の向上を行う方法としてサーバの負荷を分散させるためにサーバの連立を行うマルチサーバ化が挙げられる。このマルチサーバ環境にユーザを適切に割り当てることでQoEの向上を図りたいが、既存の手法では特定のサーバについてユーザの集中が発生してしまい、QoEに悪影響を及ぼす恐れがある。本研究では、提携構造形成問題を用いることでユーザの集中回避を可能にしたユーザ割当方式を提案した。これによりマルチサーバ環境下におけるユーザ集中回避、及びユーザのQoE改善を行えた。

ポスト5Gを見据えた通信ネットワークにおいて，特にリアルタイムシステムの通信などで，遅延保証可能な通信方式は重要である．そこで，遅延保証ができず，時に膨大な通信遅延を生じさせる現在の無線通信における媒体アクセス制御手法CSMA/CAに替わる手法として，無線双方向時刻比較（Wi-Wi）を用い通信遅延の上限を保証するCSMA/APを提案したが，効果の検証はシミュレーションと有線ネットワークによるものにとどまっていた．
本研究では，CSMA/APを無線ネットワークに実装し，その原理実証を行った．実験により，CSMA/APに基づく通信が原理通りに動作すること及びWi-Wiによる高精度時刻同期が重要であることを示した．

A new scheme called Asynchronous Pulse Code Multiple Access is compared to Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance in terms of the probability by which messages are successfully transferred for various numbers of transmitters.

高密度IoT環境の実現に向け我々が提案している非同期パルス符号多重通信方式（APCMA）は少数のパルスの送信間隔として情報を符号化することで干渉にロバストな無線通信を達成している．本稿では10000台規模を対象とした性能向上のためにメッセージを分割・結合する手法について有効性を検証する．

IoTに適したLow Power, Wide Area(LPWA)が複数実用化されているが，高密度な通信環境においては衝突や干渉が問題となる．高密度な多重化が可能な方式として，スパースなパルスを用いたAsynchronous Pulse Code Multiple Access(APCMA) 方式が提案されており，100台の同時通信が実証されている．
本稿では，より大規模な検証を実環境で行うために，ARIB STD-T108を満たしたCSS-APCMA方式を設計する．また，500台の送信機を実装し，実機による同時通信の実証を行う．

近年，IoT に適した Low Power, Wide Area (LPWA) の普及が進んでいるが，高密度な通信環境においては 衝突や干渉が問題となる．文献 [1, 2] では，パルスを 用いた高密度通信可能な APCMA 方式が提案されてお り，100 台の送信機での通信を実証している．文献 [3] では APCMA 方式の物理層にチャープスペクトル拡散 (CSS) を適用し，高密度環境において LoRa よりも高 性能となることを示している．本稿では，長距離通信に おける CSS-APCMA の性能を検証するために，GNU Radio/USRP を用いて実装し評価を行う．

強化学習の基礎問題である多本腕バンディット問題では，その選択において探索と活用のトレードオフをどのように対処するかが要点となっている．一方，量子ウォーク(QW)とはランダムウォークの量子版であり，確率分布の標準偏差がウォークの駆動時間に比例する「線形的拡散」や，十分長い駆動時間でもある地点に確率分布が残り続ける「局在化」といった特質を持つ．現状，QWを用いた量子アルゴリズムによる報酬最大化の手法は未開拓であるが，これら2つのQWの特質は，広範な探索と適切な選択肢の活用の両立が要求されるバンディット問題と明確な対応を持つ．そこで本稿では，QWを用いたバンディット問題の方策を構築する．

状態リセット付き区分定数ベクトル場を用いた区分定数(PWC)ニューロンモデルが開発されてきた．本研究では，同ニューロンモデルに対するハードウェアベースト細胞分化法を提案する．FPGAで実装した細胞分化法によって，アナログ回路で実装したPWCニューロンモデルが，INa,pIKモデルとして知られるHodgkin-Huxley型ニューロンモデルの非線形な入出力特性を再現することを検証する．

行列積はニューラルネットワークの推論や固有値計算など様々な場面で登場する基本的な演算である。多くの科学技術計算の高速化に行列積の計算時間短縮が重要となる。一部の用途は厳密な計算結果を必要としないことに着目し、近似して行列積を計算するアルゴリズムが提案されている。我々が知る限り、高速かつ厳密に行列積を計算できるGPUにおいて、より高速な近似計算を実現した報告は存在しない。大半は既にGPUを活用して行列積を高速化しているため、近似計算もこれで実行が好ましい。本発表ではランダムサンプリングに基づく近似計算手法であるsliced AMMを説明する。そして、提案手法の近似精度および計算時間を報告する。

複数の要素を２つの要素ごとに組み合わせること（ペアリング）は通信技術などの技術分野で重要な問題である．本研究では各要素間の相性を考慮して，相性の総和が最大化するようなペアリングを少ない計算量で実現することを目指す．相性を考慮したペアリングは膨大な選択肢の中から最良の選択をすることが求められる困難さを含むが，本研究においてペアリングの問題を巡回セールスマン問題に変換することで，少ない計算量でより良いペアリングを実現するヒューリスティックなアルゴリズムを提案した．